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性格の悪い人はいない!誰もが持っているパーソナリティの特徴の偏り

目次

パーソナリティは性格や人格ではありません。生まれ持った気質と器質に加え、主に幼少期の生育環境で無意識に心に刻み込まれた核ができあがり、社会の環境体験で起こる意識がその人の特徴を表現します。

「自分勝手で自己中心的」「場の空気を読めず人を信じることが無い」「プライドが高く気が変わりやすい」「怒りっぽく衝動的だ」「いつも一人でこもっていて協力的でない」…こんな人は性格が悪いと捉えられますが、実は本人は無意識で全く悪気が無いのです。既に乳児から幼少期に心に刻み込まれた核ができあがり、偏った受け取り方をすることで望ましくない言動を引き起こしています。これが他者からは性格が悪いと言われ、本人は生きづらさを感じることになります。さらに社会環境や周りの接触、対応の仕方次第では上塗りされてパーソナリティの悪さを増強させてしまいます。このことからも性格が悪いと言われる原因は、100%本人に責任がある訳ではないという考え方もできます。

パーソナリティとは(以前は性格や人格と呼ばれていた)

気質(素質的要因)

生まれながらの遺伝的要素(例えば、生まれた直後を比較しても活発であったり、とてもおとなしいなどの固有があります)の基礎部分を「気質」と称します。
人となりの特徴の根底をなすもので、比較的永続的な部分であり、生得的側面が強くなります。

先天的器質要因

遺伝的要素で先天的に備わった脳の器質的(例えば、自閉症スペクトラムASD/注意欠如・多動性障害ADHD/学習障害LDなどの発達障害)や身体的障害などの特徴要因を「先天的器質」と称します。

後天的器質要因

分娩時のトラブルなどの後遺症や後天的に病気や外傷、栄養不足など身体に影響を受けることを「後天的器質」と称します。

性格(環境的要因)

環境的要因である養育・学校・地域社会・家庭生活・職業などでの社会的体験や心的外傷体験(トラウマやPTSDなど)の影響を受けて形成される性質を「性格」と称します。
その人の刻み込まれた表面が現れ、他の人と区別されるような特徴を持っています。

パーソナリティ

気質・器質・性格が統合されたものを「パーソナリティ」と称します。

人格

気質、器質、性格が統合されたパーソナリティに、知能、情緒、身体性、道徳観、倫理感を含めた包括的な概念の人間性を「人格」と称します。

 パーソナリティは出来事や状況に対して、一人ひとりが違う価値観、ルール、信念(深い認知・無意識)の心の核に加えて、ものの見方や受け取り方、言動するうえでの考え方(浅い認知・自動思考)があります。それが社会生活の中で周りに対しての接し方や態度につながり、周りに与える影響はその人特有のパターンが出てきます。このことを個性と呼びますが、パーソナリティの偏りが強く、社会生活の上で周りの人たちに支障をきたしている状態を性格の悪い人だと呼んでいます。
本人ではこの性格が悪いとされる状態を自覚することが難しく、最良の方法だと思いながら言動しているのです。そのため、周りの反応が悪かった際は意味が解らないで困っているのです。このように偏りを増強させている原因の一つには周りの接触の仕方が大きく左右しています。

 人は誰しもがある程度のパーソナリティの偏りを抱えています。乳児期、幼少期、青年期、社会環境の中での躓きや挫折がトリガーとなり、問題と感じられる言動が強くなってきたものであり、もともとの性格は悪いものではなかった人が多いのです。このため、ものの見方や受け取り方が極端になり、考え方が偏ってしまって柔軟性にも欠けていたりします。このことが非常識な言動と捉えられ軋轢を生んでしまっているのです。

クロニンジャーのパーソナリティ理論
大学生の怒りの感情制御方略とクロニンジャーのパーソナリティ理論との関連について
冨岡美咲・平井正三郎論文より引用作成

パーソナリティ(障害)の偏り(性格が悪いとされる)の特徴

それでは、パーソナリティの偏りの特徴を見てみます。

全か無か思考(二文法思考・白黒思考)で両極端な二文法的認知をしています。

全か無か、白か黒か、敵か味方か、成功か失敗かなど二極に分かれていて、時には考え方に必要とする「あいまいなグレーゾーンの柔軟さ」が無いのです。そのため、友情も些細なことで壊れてしまい攻撃的になることもあります。また、職場の人間関係や恋人も自分の上か下で見てしまい、対等な関係を結びにくい面が現れます。あと一歩で成功していたプロジェクトも他者の些細な一言で投げ出してしまうこともあります。

自分と他者の境目が認識できなく、自分だけの視点で言動をしてしまいます。

自分と他者の境目や区別があいまいで、自己本位に見える行動をとります。自分の視点は他者も満足であると思い込んでいて、他人の感じ方を意識できずに勝手な行動や場の空気を壊すことが多くなります。また、自分を絶対視しているため、自分関連の問題が起きた場合には、他者に責任転嫁したりすり替えてしまいます。そのうえ、周りの不満が理解できないので、不当な非難を浴びていると感じてしまいます。

相手を信頼することも、相手に安心感を持つこともできない認知です。

相手の信頼感、安心感、好意を感じられず、常に不信感を持ち続けています。そのため、緊張し続けてコミュニケーションが取れず、信頼もできないことから相手を試すような行動をとることもあります。また、裏切られるのが怖いために自ら離れてしまい、誰とも親しい関係を築くことも避けてしまいます。恋愛のパートナーに関しても理想を求めて次々と相手を変えて失望させる行動をとります。

尊大なプライドを持っています。同時に強い劣等感も併存していることが多くあります。

高いプライドによって自己のイメージを理想化し万能感を持っているため、特別な賞賛を求めたり評価や意見を過剰に気にします。そのためアドバイスを攻撃と捉えてしまい、屈辱や恨みを覚えるだけでなく自分からも攻撃的になります。
また、強い劣等感を併存している場合は、周りに注目されることを避けたり消極的になったりします。ただし、自己卑下し理想の自己像と現実のギャップを感じているため、アンバランスさに悩み、自己否定感を打ち消すように空想を膨らませ均衡を保とうとしますが、有効な手段として他者に誇大な自己アピールをすることで不安を隠そうとします。

心の堪忍袋の緒が切れやすい、怒りが爆発しやすいなどの衝撃的行動を起こすことがあります。

感情の揺れが激しく、思い通りにいかない状況では衝動のコントロールが適切に処理されず、心のバランスが崩壊し極端な感情的振る舞いをしてしまいます。さらには理性の歯止めも効かなくなり、破壊的な言動を起こしてしまいます。これまでの経緯や事情も考慮することもできず、激しい情動によって不利益になることを省みることもできません。
記憶が飛ぶような乖離している状態とも言えます。

パーソナリティ症の症状評価チェックリスト79問

次の79の質問項目を読み、普段の自分に当てはまるか当てはまらないかを選び〇印をつけてください。

※症状評価は、専門家の診断を受けてください。

パーソナリティ症の症状評価チェックリスト79問
1. 見捨てられないために、なりふり構わない振る舞いをする。
2. 相手を過剰に理想化したり、否定したりする。
3. 自己イメージの不安さが続いている。
4. 衝動的に自分を傷つけるような行為をする(浪費、性行為、物質乱用、無謀な運転、むちゃ食いなど)。
5. 自殺、自傷行為を企てたり、ほのめかしたりする。また、それらを繰り返す。
6. イライラや不安感が頻繁に起きる。
7. むなしさやはかなさを慢性的に感じる。
8. 頻繁に怒ったり、怒りや怒りによる衝動的行動をコントロールできない。
9. 被害妄想や離人感(自分自身をかたわらから見ているような感覚)がある。
5KK
10. 現実に関わらず自分が特別優れていて、賞賛されるべきと考える。
11. 自分は才能や美しさなどの美徳にあふれ、成功し、愛されていると考える
12. 自分は特別な存在で、それを理解できるのは、ほかの特別な才能に恵まれているものだけだと考える。
13. 過剰な賞賛を求める。
14. 自分に対する特別な取り計らいや賛同を理由なく期待する。
15. 目的のために他人を利用する。
16. 他人の気持ちや感情を軽視する。
17. 他人に嫉妬したり、他人から嫉妬されていると思い込む。
18. 思い上がったり、人を見下すような態度。
5ZA
19. 常に自分が注目されていないと気がすまない。
20. 異性に対して性を強調するようなコミュニケーションをとる。
21. すぐに機嫌が悪くなったりし、それを隠さない。
22. 目立つために派手な服装、髪型などを用いる。
23. オーバーだが内容のない話し方をする。
24. 芝居がかった、大袈裟な言動を用いる。
25. 他人または環境の影響を受けやすい。
26. 相手との関係を実際より親密なものと思っている。
5EN
27. 根拠なく、他人が「自分を利用する」「危害を加える」「だます」などと疑う。
28. 友人や仲間の誠実さや信頼を不当に思う。
29. 他人を信用できず、秘密を打ち明けようとしない。
30. 悪意のない言葉や出来事であっても、悪い意味にとらえる。
31. 自分が不利益を受けた相手には、恨みを抱き続ける。
32. 自分への評価や批判を攻撃だと受け取り、怒ったり、逆襲を考える。
33. 根拠なく、配偶者恋人が不誠実であることを疑う。
4MO
34. 他人はもちろん、家族とも親密な関係を持ちたいとは思わない、また楽しいとも感じない。
35. いつも孤立した行動をとりたがる。
36. 他人と性体験を持とうとする興味が薄い。
37. 自分が楽しむことに消極的。
38. 親、兄弟、子供以外には、親しい友人や信頼できる友人がいない。
39. 他人の賞賛や批判に対して関心を示さない。
40. 感情的な様子を見せず、常に冷淡な状態を示す。
4TS
41. 規則や順序、予定にとらわれ、本来の目的を見失う。
42. 物事を行う際に完璧主義者で、自分の厳格な基準を満たしていないと気がすまない。
43. 損得関係なしに、ものごとにのめり込み、楽しいことや友人関係を犠牲にしても気にしない。
44. 文化や信仰によらず、社会的ルールを過度に重要視し、誠実、良心的に守ろうとするが、融通が利かない。
45. 思い出や愛着といった所持する理由がない、または価値のないものでも捨てることができない。
46. 自分のやり方に従わない他人に仕事を任せない。または一緒に仕事をし言うとはしない。
47. ケチなお金の使い方をする。将来何があるかわからないので、お金をためておこうと考える。
48. 堅苦しさと頑固さがある。
KH
49. 偶然の出来事に、特別な意味があると考える。
50. 迷信、超能力、魔術、霊感などを信じる。子供から青年期に奇妙な空想をする。
51. 超常現象を見たり、体験したと感じる。
52. 奇妙な考え方をし、あいまい、間延びしがち、回りくどい、細部にこだわるなど独特の話し方をする。
53. 他人対する疑い深さや被害妄想などがある。
54. その場にそぐわない感情反応や表情。
55. その場にそぐわない奇妙な行動や服装。
56. 親、兄弟、子供以外には、親しい友人や信頼できる人がいない。
57. 対人関係が苦手で、いつまでも慣れず、そうした場面で悪いことが起きると考え不安になる。
5TG
58. 逮捕の原因になるような違法行為を繰り返したりする。
59. 繰り返し嘘をついたり、自分の利益や快楽のために人をだます。
60. 行動は衝動的で、長期的な見通しがない。
61. イライラしやすく攻撃的で、仕事が長続きしなかったり、約束を守らなかったりする。
62. 無謀な行動をする。
63. 無責任で仕事が長続きしなかったり、約束を守らなかったりする。
64. 他人を傷つけたり、悪いことをしても良心が痛まない。
HS
65. 日常のことでも、ほかの人達からの助言と保証がなければ決められない。
66. 生活で必要なことのほとんどを他人に支えてもらおうとする。
67. 自分に味方してもらえなくなることを恐れ、人に対して反対意見を言えない。
68. 判断力がなく、自分自身の考えで物事を始めたり、行うことができない。
69. 他人からの世話や支えを得るためには、不快なことまで自分から進んでしてしまう。
70. 自分では何もできないと思い込み、1人になると不安や無力感を感じる。
71. 支えてくれた人との関係が終わった時に、すぐに支えてくれる別の人を必死で求める。
72. 自分が1人残されてしまったらどうしよう、という恐怖を持ち続けている。
IZ
73. 批判や非難、拒絶を怖がり、人に対してきちんと対応しなければならないような仕事や立場を避けようとする。
74. 好かれているという確信が持てなければ、人と関係を持てない。
75. 恥や嘲笑を恐れるために、人と会う機会を避けようとする。
76. 社会的な状況では、批判される、または拒絶されることに心がとらわれている。
77. 自分に対して自信が持てず、新しい対人関係を持とうとしない。
78. 自分は、社会に不適切である、長所がない、他の人より劣っている、と思っている。
79. 恥をかくことを恐れ、挑戦したり、何か新しいことに取り組むことを避け、異常なほど引っ込み思案である。
KA
リスト№パーソナリティ症の特性チェック数
5KK境界性
5ZA自己愛性
5EN演技性
4MO妄想性
4TS統合失調症
4KH強迫症
5TG統合失調型
3HS反社会性
5IZ依存性
4KA回避性

参考図書
パーソナリティ障害がわかる本:岡田尊司/法研
パーソナリティ障害:岡田尊司/PHP研究所
メラニー・クライントゥデイ:スビリウスE.B(著):松木邦裕(監訳)/岩崎学術出版社
精神分析辞典:小此木啓吾他/岩崎学術出版社
パーソナリティ障害:林直樹(監修)/法研
標準精神医学第8版:尾崎紀夫・三村將・水野雅文・村井俊哉/医学書院
乳幼児の心理的誕生:マーガレットS.マーラー・高橋雅士他/黎明書房


インターネットより
大学生の怒りの感情制御方略とクロニンジャーのパーソナリティ理論との関連について冨岡美咲・平井正三郎論文

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