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パーソナリティ障害/症の精神療法と薬物療法と合併症について

目次

パーソナリティ障害の治療方法は一時的に症状を抑える薬物療法と持続的な改善が期待できる精神療法に分けられます。多くの場合は組み合わせで行いますが、合併症の症状も含めたその人特有のオーダーメイドの治療方法です。

パーソナリティ障害の治療

パーソナリティ障害の治療は発展し続け改善するケースが増えてきました。治療方法は薬物療法と精神療法に分けられます。ただし、パーソナリティ障害を発生した背景はその人の性質、器質、養育、社会環境などの体験や経験が違いますので千差万別です。よって、同じタイプのパーソナリティ障害であっても治療法はその人によって変わってきます。なお、他に合併している精神疾患などがあれば診断内容が変わってしまうこともあります。
多くの場合、薬物療法と精神療法の組み合わせとなりますが、いくら薬物療法といえども数週間は効果が現れないことが普通です。また、一回目の処方薬では効き目が少ないとか、副作用が強く出るなどで何種類か試してみるという事もあります。精神療法の場合も単独の療法だけではなく、組み合わせて心理的に働きかけていきます。要するにその人に対するオーダーメイドが必要となるということです。

治療への親和性や改善の可能性の3つのカテゴリー
必ず妥当性を持つとは言えないが目安としての治療親和性
最も高い治療親和性を持つグループ依存性、演技性、強迫性、回避性
中程度の治療親和性を持つグループ自己愛性、境界性、失調型
最も低い治療親和性を持つグループ妄想性、失調症、反社会性
パーソナリティ障害がわかる本:岡田尊司/法研;p194

薬物療法

薬物療法は即効性があり、一時的に症状を抑えるために行われる

抗精神病薬自傷行為や暴力などの焦燥感、怒りや衝動行動を抑えて気持ちを安定させるアリピプラゾール・オランザピン
リスペリドン・クエチアピン…
抗てんかん薬衝動行動を抑えて気分の変化を穏やかにするバルプロ酸ナトリウム
カルバマゼピン…
抗不安薬不安や焦燥感が強い時エチゾラム・アルプラゾラム
ブロマゼパム…
抗うつ薬気分の落ち込みが強い時パロキセチン・フルボキサミン
セルトラリン…

パーソナリティ障害の知見から有効とされている薬物療法

抗精神病薬受動的なパーソナリティ障害統合失調型など
感情調整薬
非定型抗精神病薬
衝動性や感情不安定境界性
反社会性
非定型抗精神病薬境界性、反社会性
統合失調型
選択的セロトニン再取り込み阻害薬不安抑制回避性など

精神療法

精神療法は持続的な改善が期待できる療法ですが、発生した症状や障害となった背景が人それぞれですので、個人療法、集団療法、家族療法など複数の療法と組み合わせのアプローチが必要となります。また、精神療法の効果が出るには長期間を要します。

精神療法名内容
支持的精神療法現実的な課題、例えば対人関係の苦痛や窮屈感などを感じているのに対し、励ましや指示を与えながら支持的に対面します。教育も取り入れながら、その人が持っている資質を活かして適応力をつけるためにも、ゆっくりと数年かけることがスタンスですが、柔軟に調整しながら課題に対する偏りを自覚させ修正していきます。また、他の精神療法とも相性がよく、薬物療法とも組み合わせて統括的に管理しています。
認知行動療法その人の偏った信念に基づく自動思考や非適応的な認知の修正をすることが治療の本筋です。状況で起こる認知の問題を治療者と共に同定し、把握、検討、修正、解消、再発防止をしていきます。二文法的な思考の改善は両極端な言動も安定させていきます。実際は⑴アセスメントシートで状況に対して偏りが起こる自動思考(認知)により、気分・感情、身体反応、行動が起きていることを理解します。⑵認知再構成法で非機能的認知を検討し適応的な認知へ再構成させます。⑶問題解決法により、問題プロセスをシートで何度も体験させ、自身が解決できる認知を習得する療法です。
力動的精神療法精神分析理論に基づく治療で、特に境界性パーソナリティ障害には定式化されていて、実証的成果が発表されています。母子分離などの見捨てられ体験など構造的問題を解決してパーソナリティの再建を目指すものです。⑴意図的に治療者に挑発するようにしながら信頼関係を作る試しの時期をつくります。⑵母子分離の問題が引き起こしている感情や葛藤を語らせ、治療者は受け止め解釈する徹底操作期を行います。⑶治療者に依存していた自己を自分で支えられるようになる終結期を迎えます言動と欲求を結びつけて解釈し自己洞察を促すことに治療者の転移を積極的に使います。さらに、家族療法やディケア、入院治療、集団治療なども行われます。
弁証法的行動療法自殺行為や自殺企図を呈する境界性パーソナリティー障害に向けて、認知行動療法と禅の思想が融合して生まれた統合的精神療法です。二文法的な思考も肯定的受容と適応のための戦略で有効化に変化させるアプローチを1年以上続けられます。基本的技能は⑴マインドフルネス⑵感情統御技能⑶対人関係技能で、補足技法として①不足事態への対処②行動スキルトレーニング③暴露に基づく技法④認知の修正です。学習理論に立った強化と消去を徹底し続けていき、認知、自動思考、行動、感情が心理的過程から起こることを理解する能力をつけていきます。
対人関係療法認知療法と精神分析の要素を持っていて、治療期間を限定する短期精神療法として認識されています。主に対人関係機能、社会的機能を改善するために、対人関係の4つの領域⑴悲哀⑵不和・不一致⑶役割の変化⑷対人関係の欠如の中で問題がある対人に焦点を絞ります。パーソナリティー障害の偏りのパターンは、幼児期に重要だった両親や養育者との関係から愛着し続けて身についたパターンの内在化表象を再現します。そして不適応パーターンに気づき、理解し、呪縛から自由になることです。その療法を現在の問題とリンクさせ対人・社会機能を優位に改善させます。
スキーマ療法幼少期に形成された深いレベルの中核的認知をスキーマと呼び、その人の信念が無意識の中にあります。スキーマによって浅いレベルの自動思考が操られ、気分・感情、身体反応、行動につながります。このスキーマの基となる中核的感情欲求である5種類の中のいずれかが幼少期に満たされなかったことにより早期不適応スキーマに影響を与えます。この影響によって、見捨てられ・不安、不信・虐待、情緒剥奪、社会的孤立、依存など18種類の不適応的スキーマに当てはまるようになります。さらにモードへと変化し、パーソナリティの偏りを大きくしていきます。これを治療者とワークにより幼少期の信念を適応化していく治療です。
集団療法自己の正当化がパーソナリティの問題を自覚することを拒んでいます。集団の中には自覚の進んだ患者がいて指摘、指南をしてくれることで自覚を促すことができます。また、集団の中にはパーソナリティ障害の問題が如実に鮮明に現れています。このことで自己の偏りを自覚し修正する機会が増えます。治療者ではなく同士と集団行動や生活をすることで実践的になります。
家族療法親子関係とのつまづきが再現され、パーソナリティの偏りなど問題を形成しているケースが多くあります。それは本人への精神療法のアプローチだけでは治療が不十分となります。家族が大きな弊害となっている場合は、家族に自覚させることが必要となります。

パーソナリティ障害は偏った考え方など大きく分けると5つの言動のパターンがあり、社会生活に支障をきたしている状態です。薬物や病気、けがなどによって症状が一時的に現れたものは障害に含まれません。
著しく偏った肉体的体験や行動の持続的様式は、青年期から成人早期、18歳~29歳位の年齢に当てはめます。
18歳未満のケースでは「発達障害」「情緒障害」「行為障害」などと診断されることが普通です。また、加齢や認知症の発症によって人柄が変わる現象は人格の変化と呼んでいます。従来からあった「自己中心的」「猜疑心」「頑固」「嫉妬」などが増強されるようになります。

パーソナリティ障害の人は眼鏡のレンズが歪んでいることがわからないため、障害に気付くことは難しくなります。周りの人も性格の問題だと捉えていて気付くことは少ないのが現実です。そのため、抑うつ症状や強迫性障害、不安障害、摂食障害やアルコール依存症などが併存したことによって判明する場合が多くあります。

精神障害・疾患名最も多く合併するパーソナリティ障害比率(%)
双極性障害クラスターB群
境界性、自己愛性、反社会性、演技性
20~50
うつ病①境界性、演技性20~50
うつ病②依存性、回避性>50
社会不安障害回避性40~60
強迫性障害クラスターC群
回避性、強迫性、依存性
40~60
摂食障害①クラスターB群
境界性、自己愛性、反社会性
20~50
摂食障害②クラスターC群
依存性、強迫性、回避性
20~50
PTSD①境界性20~50
PTSD②回避性20~50
物質使用障害反社会性、境界性>50
身体表現性障害クラスターC>50
一般人口に対しパーソナリティ障害構造面接:10~15
個々の面接:1〜2
「標準精神医学」尾崎紀夫、他/医学書院「パーソナリティ障害」林直樹/法研、他より作成
測定方法は構造化面接のため、実際はこの報告より合併率が低いと考えられる

参考図書

自己の修復ハインツ.コフート(著)本条秀次、笠原嘉(監訳・翻訳)/みすず書房

自己愛と依存の精神分析:和田秀樹/PHP研究所

自己心理学入門 コフート理論の実践:アーネスト.S.ウルフ、安村直己、角田豊/金剛出版

パーソナリティ障害がわかる本:岡田尊司/法研

パーソナリティ障害:岡田尊司/PHP研究所

メラニー.クライントゥデイ:スビリウスE.B(著):松木邦裕(監訳)/岩崎学術出版社

精神分析辞典:小此木啓吾他/岩崎学術出版社

パーソナリティ障害:林直樹(監修)/法研

標準精神医学第8版:尾崎紀夫・三村將・水野雅文・村井俊哉/医学書院

DSM-Ⅳ-TR  精神疾患の診断・統計マニュアル新訂版:高橋三郎・大野裕・染矢俊幸(訳)/2004医学書院

DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル:高橋三郎、大野裕(監訳)/医学書院

日本精神神経学会・精神神経学雑誌第124巻第4号:パーソナリティ症および関連特性群-正常なパーソナリティ機能とパーソナリティ症、パーソナリティ特性/加藤敏

精神医学61巻3号・パーソナル障害:松本ちひろ/医学書院

ICD-11・DSM-5準拠新・臨床家のための精神ガイドブック:池田健/金剛出版

自分でできるスキーマ療法ワークブックBook2:伊藤えみ/星和書店
WHO ICD-11 https://icd.who.int/

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