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自己対話ワークでハッピースキーマの内在化とリフレーミングで強化

目次

不適応的スキーマと自己対話ワークで不適応的スキーマの存在を小さくし、ハッピースキーマの内在化をします。さらにリフレーミングでハッピースキーマの強化をします。ワーク№5・№6

今までのワーク№1〜№3で自己の早期不適応的スキーマを知ることができました。ワーク№4ではハッピースキーマと出会い名前を付けることもできました。

ワーク№5ではあなたの無意識のなかに必ずいる「中立(適応的)なスキーマ」が自分自身に話しかけて自己対話(中立なスキーマと不適応スキーマ、ヘルシーモードが主役となり、自己の純粋な心と会話をするワーク)をします。
「中立なスキーマ」を通して問いかけや言葉をかけ、生きづらさの原因となっている早期不適応的スキーマの立場や活躍してきた理解と感謝を述べながらも、新しく認知できたハッピースキーマを自己の心に取り込む「内在化」の作業となります。
何回にも分け、生きづらさが顕著に表れている早期不適応的スキーマの一つひとつに登場してもらい、話しかけていきます。最終的にすべての早期不適応的スキーマと会話することでハッピースキーマの存在を大きくしていきます。
内在化ワークは、一人では集中し難い場合もありますので、セラピストや友達に手伝ってもらうことでスムーズに進ませることができます。

対話ワークの目的

  • スキーマの対話的探求
    • セラピストや友達との対話を通じて、自身のスキーマについて深く探求します。セラピストはクライエントに対して質問を投げかけ、洞察や自己理解を深める手助けをします。不適応的スキーマの起源やメンバーの特性を明らかにすることで、スキーマの変容と癒しを促進します。
  • スキーマを否定する認知反転
    • クライエントが長年信じてきた不適応的スキーマを否定し、代わりに健康的なハッピースキーマを肯定する手法です。特定の不適応的スキーマが症状や問題の根本にあると考えられる場合に会話ワークの中で行います。
  • ロールプレイング
    • クライアントが不適応的スキーマやハッピースキーマに関連する役割を演じることで、スキーマに関する感情や思考を探求することができます。
  • イメージワーク
    • クライアントが不適応的スキーマやハッピースキーマと関連する体験をイメージ化し、感情や感覚を深めることで、スキーマの感情的な原因や影響を理解することができます。
  • 問いかけを用いた自己観察
    • クライアントが自分自身の感情、思考、行動のパターンを理解し、自分の問題やスキーマを特定するために自己観察を行います。そのために、セラピストや友達はクライアントに対して積極的に質問を投げかけ、クライアントが自分の内面を掘り下げる手助けをします。
  • スキーマの変容
    • スキーマの否定的な信念や思考パターンに対して、対話や問いかけを通じて客観的な視点や他の可能性を探求します。クライエントに新しい視点を提供し、柔軟な思考を促します。
  • スキーマの評価
    • セラピストや友達はスキーマが現実に基づいているのかどうかを検証します。これには、クライエントがスキーマに関連する認知や感情をどのように経験しているのかを探求し、それが客観的な現実とどのように一致または不一致しているのかを明らかにします。認知的な歪みや過剰な反応など、不適応的スキーマによって引き起こされる可能性のある認知的なパターンを共有し、クライエントにそれを認識させることでスキーマの検証を支援します。
  • スキーマのバリデーション
    • スキーマの特定と評価の過程では、クライエントに対してスキーマのバリデーション(妥当性の確認)が行われます。これは、クライエントの経験や感情を通じて、スキーマが現実に基づいているのかを検証、確認することです。
  • イメージの再視覚化
    • クライエントが特定のイメージや記憶を持っている場合、そのイメージを再び思い出し、新たな情報や感情を関連付けることでスキーマの再処理を促します。
      セラピストや友達は、クライエントに特定のイメージを思い出させ、そのイメージに対して対話やガイダンスを行います。クライエントはイメージを活用して感情や思考を探求し、より健康的な解釈や意味づけを行うことができます。
  • スキーマの探求と理解
    • クライエントとセラピストや友達がスキーマの保持と変容のメカニズムを探求します。クライエントがスキーマに固執し続ける理由や、それを変容するために必要な要素やプロセスを明らかにします。
      セラピストはクライエントと協力して、スキーマの保持を緩和し、新たな健全な信念や行動パターンを育むための方法や戦略を見つけ出します。

ワークは「中核的感情欲求と早期不適応的スキーマとは」№1・№2・№3・「コーピングとモードとは」・№4~№10と内容が続いているため、№1質問用紙90問から順序にワークすることを奨励します。

「対話ワーク」によりハッピースキーマを内在化をします。ワーク№5

ハッピースキーマを内在化する「対話のワーク」ワーク№5

新たなスキーマを迎え入れるための作業ですが、とても時間とエネルギーを使う根気ワークとなります。

➀ 椅子を1台置き、自分の中にある一つの「早期不適応的スキーマ」を座らせます。
➁ 椅子をもう一台置き、中立なスキーマも座ります。中立なスキーマは主(ホスト)となり、時にはヘルシーアダルトモード(健康な親/大人モード)も登場し、本気で質問、会話をしていきます。

中立なスキーマとヘルシーアダルトモードは一体化することで適応的スキーマの強化が計られます。

質問は語り掛けるように言葉を発していき、1つずつの早期不適応的スキーマの特性に共感しつつ、十分に傾聴したうえで「生きづらさ」から逃がすような会話をします。そのために無理な言い方ではなく、ヘルシーでハッピーなものの見方や感じ方を教えていきます。そして新たなハッピースキーマを取り入れる助けをしていきます。

※会話は録音します。思うように進むまで何度も繰り返します。ハッピースキーマを取り入れられた録音を聴いて、次の早期不適応的スキーマとのワークに入ります。

何かを思考する際に無意識のうちにバイアスがかかってしまうことがあります。これは認知の歪みであり、浅い認知(自動思考)、深い認知(スキーマ)の影響を受けているものと思われます。

認知の歪みと感情の大まかな関係を参考に対話ワークに活かしても構いません。

中立スキーマへの問いかけリストの例/ワーク№5

今日はあなたの生きづらさに大きく影響している不適応的スキーマさんをお呼びしてお話してみましょう。

はい‥‥

現在いくつか一緒にいる不適応的スキーマの中で、生きづらさを強く感じるスキーマさんを教えてください。

えっと……

そのスキーマさんとはお別れしたいと思っているのですね。

はい……

そのスキーマさんは、生きづらさに影響していることが明確に出ているからだろうと思いますが、例えばどんな影響が出ていたのですか?

えっと……

本音ではこのスキーマさんが現れた時にどんなお話がしたかったのですか?
実はこのスキーマさんが現れているのは幼少から思春期に起きた過去の出来事が大きな原因となっているはずです。
現在も過去のままの対処であなたを守ろうとして現れているのですよ。でも、現在のあなたは幼少期や思春期の頃より成長していて、今までのスキーマさんの対処方法ではズレが生じているだけです。だから、本当は違う形で接して欲しかったことや言葉をかけてもらいたかったこと、慰めてもらいたかったこと、応援してもらいたかったことなどの期待はありましたよね。そのことをお話してください。いかがですか?

そうだったんですね。スキーマさんの以前の対処方法では、気持ちや行動の歪ができていたんですね。だから苦しくて、辛くて、生きづらさが出ていたんですね。このことはスキーマの学びで理解できていました。だから、えっと……

そうですね。それがあなたの本音ですね。そんなお話をもっと前にスキーマさんとできていれば、スキーマさんも、あなたも無理しないで言動できていたはずですよね。早くに結論も出ていたと思います。

そうなんだと思います……

もし、自分の大切な人にも同じようなスキーマさんがいたとしたら、そのスキーマさんへ何と言ってあげたいですか?

えっと……

そうですね。今回の対象のスキーマさんがあなたに現れている状況に対しても、先ほどの大切な人に声をかけてあげたのと同じように、客観的な視点で考えられることができたら、もう一度言葉を選んでスキーマさんになんと言ってあげたいですか?

えっと……

そうなんですね。そのことからも、不適応的スキーマさんとも長いお付き合いになっていましたが、幼少の頃のあなたと成長しているあなたでは今の不適応的スキーマさんとの付き合い方は大きく異なりますね。今のままではスキーマさんの考え方・防衛の仕方が合わなくなっていて正直重荷になっていたことはうすうす気づいていましたよね。
お別れしてスキーマさんに休んでもらうことが、スキーマさんにとってもあなたにとってもお互いに今後は無理することなく楽になれることだと思いませんか!
幼いころにはスキーマさんの対処で救われてきたことはとてもありがたかったことなので、お礼をしっかり話してお別れすることが大切です。何と言ってお別れしましょうか?

はい、以前はスキーマさんに対処してもらって感謝していることが多くありました。しかし、今では… … 今まで無理をかけてしまってごめんなさい…これからは…

もともとあなたの力でこのスキーマさんを作り上げた訳ですが、成長したあなたには合わなくなり、いままでスキーマさんに無理をさせてきました。不適応的スキーマさんは寿命を超えて活躍していただきましたが、今日で休んでいただきましょう。
出番を長らく待っていた新しいハッピースキーマさんにバトンタッチしましょう。ところで、成長したあなたに相応しい新しいハッピースキーマさんを作りましたが、お名前はなんとおっしゃいますか?
今、ハッピースキーマさんは出てきていただけますか?
それでは、アンカーのポーズをしてハッピースキーマさんをお呼びしましょうね。

スキーマさん小さい時から守っていただきありがとうございました。
ゆっくりお休みください。

ハッピースキーマの○○さん、出てきていただいてよろしいですか?
こんにちは…

とても素敵なハッピースキーマさんですね!○○さんとお呼びするのですね。
スマホなどでハッピースキーマさんリストをいつも持ち歩いている中のお一人だと思いますが、どんなお役目や特徴をお持ちなのですか?

はい‥‥

ハッピースキーマの○○さんと、もっと早くからお付き合いできていたとしたら、今のあなたは大きく変わっていたと思いますが、どんなふうになっていたか想像してみて、お話していただけませんか?

そうですね…‥

そうですね。こんどは現実にその新たなハッピースキーマの○○さんと仲良くなれたら、今後の日々の生活はどのようにハッピーに変わっていくのでしょうか?

はい‥・だと予想できます。

今度は、新たなハッピースキーマの○○さんと力を合わせることで、これから少しずつ生きやすくなるのは間違いありませんが、1か月後はどんなに生きやすい自分に変わっているのでしょうか?そして、どんな目標を持てるようになるのか想像してみましょう。

3か月後はどんなに生きやすい自分に変わっているのでしょうか?そして、どんな目標を持てるようになるのか想像してみましょう。

1年後はどんなに生きやすい自分に変わっているのでしょうか?そして、どんな目標を持てるようになるのか想像してみましょう。

はい‥‥‥‥

その輝きが増す未来の人生を送るには、今後に向けてどんなハッピースキーマさんのお力が必要となりますか?
お名前は何といいますか?どんなお役目や特徴を持っていますか?
現在スマホなどで保存しているハッピースキーマの仲間にその方はいらっしゃいますか?

はい、おります。‥‥‥

また、既に作り上げて外在化した手助けしてくれるヘルシーアダルトモードさんはいらっしゃいますか?

私たちの反応は特定の出来事に対して、不適応的スキーマが活性化され、それに伴いコーピングスタイルがスキーマの一部となって防衛しています。さらに、その防衛された出来事の認知にヘルシーアダルトモードさんは直結することになります。分かりやすくするためにヘルシーモードさんの役割を自動思考(いま、出来事を捉えている考え)と呼ぶことにします。この自動思考によって、感情や身体反応、そして行動までも操作されます。このことからも最終的に出来事の反応を変化させることができるのはモードですので、重要な存在となります。
スキーマモードには、チャイルドモードや不適応的モード、非機能的モードなど状態を悪くするモードも数多くいますが、ヘルシーアダルトモードは、出来事の捉え方や状態を良くするための活躍をしてくれます。

ヘルシーアダルトモードさんのお名前は何といいますか?
どんなお役目や特徴を持っていますか?

まだいらっしゃると思いますが、もう一人紹介してください。       どんなお役目や特徴を持っていますか?

はい、おります。今回のハッピースキーマの○○さんと協力していただけるヘルシーアダルトモードさんは、(        )さんだと思います。お役目と特徴は…………です。

もう一人は、(       )さんが適任だと思います。お役目と特徴は………です。

とても、お力になってくれそうなヘルシーアダルトモードさんたちですね。心強いですね!
これで、ハッピースキーマの〇〇さんと○○さんが、ヘルシーアダルトモードの(       )さんと(       )さんの協力があれば最強となりますね。

これは、今日からのあなた、そして3か月後のあなた、1年後のあなたは徐々に徐々に輝きを増していきますね。
万歳!ハッピースキーマさんとヘルシーアダルトモードさんですね。

本当にそうだと思います。…‥

今度は1か月後にでも、次にお別れしたい不適応的スキーマさんのお話をしましょう!

新たなハッピースキーマさんとヘルシーアダルトモードさんのお付き合いで、あなたは大きく成長していくと思います。ここからが人生の再スタートとなりますね。
おめでとうございます!ワーク№5

※この例のように、ワーク№7.8で行うヘルシーアダルトモードの形成と外在化されたモードも一緒に内在化することも可能となります。

やめたい否定的行動がある場合のハッピースキーマによる葛藤の統合

幼少期に身についた早期不適応的スキーマは、状況に対応するためや自己を守るたの信念がいくつかできあがっていて、適応的と自覚していました。しかし、成長するごとに適応が困難となり、基本的な3つの反応により脅威に対抗してきました。3つの反応はコーピングスタイルとして、スキーマを確証する「服従」、スキーマを押さえ込もうとする「回避」、スキーマと正反対の振る舞いをする「過剰補償」が加わり、スキーマの活性化と相互作用するようになります。
さらに、スキーマは緻密化され信念や反応、対処だけにとどまらず、過去の経験に基づいて形成された特定の側面を表現することで、感情、思考、行動に影響を与えるようになります。これがスキーマモードの作用ですが、感情や思考、行動の表現に関与するには無数のスキーマモードがあるということになります。
早期不適応的スキーマ、コーピングスタイル、スキーマモードについては、前ページで既に学習してきています。

ここで行う葛藤の統合スキーマ・ワークは、わかりやすく行うために「隠喩」や「例え」のように表現しています。まずは否定的行動(非機能的パターン)をする肯定的意図の説明をします。

人の行動には、意識的にやりたい行動と、無意識にやりたくないのにやってしまう行動があります。しかし、どちらにもそれを通して得られる望ましいと思える「肯定的意図」があります。心からやりたい行動はプラス面で「肯定的理由」がはっきりしていて意識的に行いますが、やりたくないのにやってしまう否定的行動(非機能的パターン)は無意識的に行う場合があります。実際には悪いことを理解しているのに自分を正当化したり、無理な意味で満足させることで問題を紛らわすような「肯定的意図」が隠されています。
しかし、1つの行動の肯定的意図は葛藤している場合も多く、「会社を休む」を例にすると「会社を休むのは仕事の負担が積み重なり体調や精神的に不安が出ている」と同時に「疲れているだけなんだ、正式な病気名もないし、気持ちの問題だ、理由もなく会社を休むのは社会人として怠慢である」というように相反する感情が葛藤しています。要するに否定的行動にも何らかの肯定的意図があって行うということです。

STEP
やめたい否定的行動や悪習慣を特定する

否定的行動(非機能的パターン)、あるいは否定的結果を生んでいる行動を特定します。

*葛藤を一つ選びます。やめたい否定的行動と相反する適応的行動の二つの行動を決めます。

否定的行動:毎日、お店のはしごまでして多量にお酒を飲む癖をやめたいと思っています。
相反する適応的行動:週に2回スポーツジム、または趣味教室に通い、休肝日をつくりたいと思います。

STEP
やめたい否定的行動をとっている不適応的スキーマとの対話

その行動を指示している早期不適応的スキーマとつながります。

やめたい否定的行動(非機能的パターン)をしている自己を体験します。その行動を創り出している不適応的スキーマを身体から探ります。

  1. 自己の心に注意を向け、その行動を指示している不適応的スキーマとコンタクトを取りたい、会話がしたいと集中します。
    まず「私とコンタクトを取ってもらえますか?」などの言葉で不適応的スキーマからの「はい」の返事を待ちます。
  2. 声が聞こえてきたり、胸が熱くなるような反応がするのを待ちます。反応が得られたら、挨拶をします。そして感謝の言葉を言います。
  3. あらゆる反応を見逃さないようにしながら、コミニケションを取りたいと伝えます。そして、例えば、『アルコールちゃん』と、そのスキーマに名前を付け納得してもらいます。そのスキーマをゆっくりと片方の手のうえに取り出します。
  4. そして、そのイメージをサブモダリティで言語化します。「どんな形ですか?」「どんな色ですか?」「どんな大きさですか」「どのくらいの量ですか?」「冷たいですか、温かいですか?」「いつできあがりましたか?」名前は『アルコールちゃん』ですね…
  5. このまま、コミニケションをとっても良いと判断した時には次のステップに移ります。
STEP
やめたい否定的行動を起こしている不適応的スキーマの肯定的意図

やめたい否定的的行動(非機能的パターン)のメリットや何を得ようとしているのか、肯定的意図を聞くための会話をします。

不適応的スキーマの『アルコールちゃん』に「この行動を通して何を手に入れているのですか?入れようとしているのですか?」「この行動を通して、私に何を教えてくれているのですか?」と質問をします。そして答えが肯定的な意図と感じることができるまで、同じ質問を繰り返します。

  • 「会社で仕事も人間関係もうまくいっていなくて、お酒で一時的にでも忘れようとしている」
  • 「お店には、飲み仲間や常連もいて寂しさも忘れ、自宅に帰りすぐに眠りにつける」
  • 「毎日お酒を飲んできた習慣なのか、お酒がなければ一日が終わらないと体が訴えている」
  • 「最近の部下は酒席に付き合ってくれる人もいなくなり、欲求不満をお店の店長やママに聞いてもらっている」など…


STEP
自分を大切にしてくれる適応的ハッピースキーマに相談

自己を大切に思ってくれている適応的ハッピースキーマと一緒に否定的(悪習慣)行動の肯定的意図に相反する新しい意図を3つ考えます。

  • 適応的ハッピースキーマ(不適応的スキーマに相反するハッピースキーマ)を知りたいと話しかけ自己にある適応的ハッピースキーマをサブモダリティをして十分に感じます。
  • 相反する適応的ハッピースキーマを感じ、特定したら名前を付け納得してもらいます。ここでは『健康ちゃん』とします。健康ちゃんには、ヘルシーモードが一緒についていることがあります。まずは、感謝の気持ちを伝え、ある程度の不適応的スキーマの悪習慣の肯定的意図を満たすと同時に、健康のバランスがとれるアイデアを創造して欲しいとお願いします。そして、自己と一緒に考えていきます。その場合、ヘルシーモードにも名前を付けて一緒に活動します。
  • その後、3つ程度の代替案が出るまでコミュニケーションをとります。

【実践例】

  • お店通いは仕事などで成功したお祝いと休日前だけにする(その他は映画鑑賞や野球観戦、結婚紹介所、カラオケ教室など習い事でも好きなことをしてもいい)
  • 自宅で飲んでも良いが適量を決めて、それ以上はノンアルコールにする。
    好きなつまみを買っても、出前をしてもいい(先に食べ物でおなかを満たす)、寝付けなさそうだったら睡眠導入剤を使う
  • 1か月ずつ継続で褒美、3カ月、6カ月、1年で大きな祝いをする(旅行や買い物、部屋の引っ越しなど)毎日の飲食店通いの無駄遣いの貯蓄で自分へのプレゼントや投資をするようなことを考案します。
STEP
やめたい否定的行動を行なう不適応的スキーマに代替案提示

やめたい否定的行動(非機能的パターン)を行なう不適応的スキーマに、3つの代替案に代えることができるか確認します。

  • 両手を目の前に差し出し、片手には不適応的スキーマ『アルコールちゃん』、もう一方の片手には適応的ハッピースキーマ『健康ちゃん』を乗せて向かい合わせたうえで、お互いの肯定的意図が大切であることをスキーマ同士で話し合わせます。
  • 適応的ハッピースキーマの『健康ちゃん』から不適応的スキーマの『アルコールちゃん』に3つの代替案の報告をして、あなたの肯定的意図はよくわかりますが、もともとの行動にあまりにもかけ離れた代替案ではないので受け入れてみませんか?自分を苦しめず向上させる効果もありますよ。というような会話をします。
  • 3つの代替案に変更した行動に切り変えて欲しいのですが、反対するような代替案はありますか?それとも3つの代替案を受けてくれますか?というような言葉で不適応的スキーマ『アルコールちゃん』に問いかけてみます。
  • そして、自己から数人いるスキーマの皆さんに大切なメッセージを語り掛けます。「スキーマの皆さんには、それぞれの考えがあるのはわかります。しかし、自己本体(私)のからだや感情、心が壊れたら、スキーマの皆さんも好きな行動ができなくなってしまいます。ここは自己本体を守るためにも協力してください」。「お願いします。」というようなメッセージを伝えます。
  • スキーマからの返事が「はい」の返事であれば、次のステップに進み「いいえ」の返事であればSTEP4⃣に戻り、繰り返します。

【実践例】

そのうえで、具体的に「毎日お店のはしごをして、大量にお酒をのんでいます。当然、身体にも悪いし次の日にも残っていて生活にも悪影響がありますね。あなたの肯定的意図はよくわかりますが、3つの代替案に変更した行動に切り変えて欲しいのですが、賛成していただけませんか?」というような言葉で不適応的スキーマの『アルコールちゃん』に問いかけてみます。

STEP
全スキーマへのチェック

自己の中のスキーマ全員に「自分のために3つの代わりの新しい行動をとることに決めたい」と思いますが、と言って次のような質問を問いかけます。体の隅々まで染み渡るようにアプローチします。

【実践例】

  • 代替案がうまくいくと信じていますか?
  • 代替案に他のスキーマも賛成していますか?
  • 周りの人や環境に負担がかからないか、また抵抗はありませんか?
  • 代替案はもともとの行動に変わる現実的なものですか?
  • 代替案の行動をすることで、今までのような楽なことばかりではなく、最初は多少の精神的な苦痛があってもできますか?
  • すぐに取り掛かる心の準備がありますか?

エコロジーチェックにより、代替案の最適性や正当性を多方面からの判断することにつながります。
反対するスキーマがいなければ、新しい行動に切りかえます。自分の中に反対するような不一致のスキーマがいれば、STEP4⃣に戻り、繰り返します。

STEP
スキーマの統合

十分な話し合いがでできたら統合します。
目の前のスキーマ『アルコールちゃん』とハッピースキーマ『健康ちゃん』をよく見ます。ともに変化した肯定的意図を持っています。2人とも自分にとってとても大切なスキーマさんです。両手にいる大切なスキーマさん同士を安心できる状態でゆっくりと近づけていって、両手が合わさるのを見守ります。これが統合です。
両手は合わせたまま、新しい肯定的意図を持って行動で満たしてくれるスキーマ『アルコールちゃん』に質問します。新しい代替案はどんなことでしたか?1つ目は?2つ目は?3つ目は?

両手にある新しい肯定的意図を持ったスキーマさんをゆっくりと引き寄せて、自分の身体の中に溶け込み全身に広がっていくのを確認します。


ありがとう。大切な私のスキーマのお2人さん、そして快く協力していただいた全スキーマの皆さんありがとう。実際の行動をするには多くのモードさんのお力が必要となりますので、よろしくお願いします。と感謝とお願いの言葉をかけて終了です。

新たなハッピースキーマの「リフレーミング」ワーク/ワーク№6

スキーマはおもに幼少期に心に形成された無意識にある信念の「認知」です。自動思考と異なり、「深いレベルの認知」のことを「スキーマ」と呼びます。今までの№1〜№5のワークで既に深いレベルの認知に大きな変化が起きているはずです。
自分を生きづらくさせていた「早期不適応的スキーマ」とは異なる、新たなハッピースキーマを手に入れたことで、認知の思い込みの指示系統が大きく変化しています。
「深いレベルの認知」が変化したという事は、必然的にそれによって生じる浅い認知「自動思考」も変化します。ハッピースキーマを内在化させたことによって、少しずつながら自分の自動思考にも変化が生じつつあることを実感していると思います。

次のモデルからもわかるように「認知」は単独であるのではなく、「気分・感情」や「身体反応」、そして「行動」と循環的に相互作用しています。また、そのような個人の反応は、個人を取り巻く環境とも互いに作用しあっています。
つまり深い部分の認知であるスキーマが大きく変容するということは、浅い部分の認知である自動思考が変化するだけでなく、認知に伴う「気分・感情」「身体反応」「行動」も大きく変化するということになります。また、それは結果的にその人を取り巻く環境との関わり方の変化にも繋がっていきます。

スキーマのリフレーミング/ワーク№6

ワーク№6では、今までは早期不適応的スキーマで状況を捉えてきていましたが、スキーマワークを通じて学び、適応的スキーマを内在化している現在の感覚で信用度を提示してみて、次には新たに内在化したハッピースキーマの感覚で比較しながら「リフレーミング」で捉えてみます。不適応的スキーマを現在、過去、未来で想定し一つずつリフレーミングをしていきます。さらに、ある程度確信できているハッピースキーマをリフレーミングの「行動ワーク」で内在化を強化します。

  1. スキーマのリフレーミング
  2. 行動ワーク

核となる古い
・不適応的スキーマ名・解説

依存/無能スキーマ
私は無能だ。受け入れられない      
不適応スキーマについての今現在における信用度%50%
不適応スキーマについて過去においての信用度%80%
不適応スキーマにおいて未来に予想できる信用度%30%

新しい信念
・ハッピースキーマ名・解説

能力発揮スキーマ
私は全能ではないが、まったくの無能というわけでもない。他部署からも欲しがる能力がある。 ここ数年については自分が思っていた以上の成果を上げている。 実際には他人に頼らないで仕事をしているケースが多いと思う。  
 
スクロールできます
ハッピースキーマと自身の合致する証拠古いスキーマを支持する証拠古いスキーマのリフレーミング(古いスキーマにハッピースキーマを重ね、スキーマの見直し)
ある部署であなたを欲しがっているとスカウトのように言われている。                      私より仕事のできる人が多いと感じていて、企画でもリーダになったことはない。 こんなことからも他人に頼っていて、他人に先行してもらわなければできない事が多いと思う。リーダになったことがないのは、自分の能力がないと信じていて指名されないように行動をとっている。 他部署からスカウトがあるのは、逃げている行動を見ていないからだ。 現在の部署から移動をしないのであれば、リーダになって挑戦することもいいかもしれない。
スクロールしてください➡

「対話ワーク」で内在化したハッピースキーマを「行動ワーク」によってさらに内在化を強めます。

環境(ストレッサー)、状況、出来事、対人関係、または未来に対し、ハッピースキーマの登場

  • このハッピースキーマを持っている人だったら、どんなふうに振る舞うのでしょうか。
  • このハッピースキーマを持っている人だったら、どんなふうに人と関わるのでしょうか。
  • このハッピースキーマを持っている人だったら、どんなふうに行動するのでしょうか。
ストレッサー(ストレスを受けている環境)内容
           



ハッピースキーマ名
 
 
 
ハッピースキーマに基づいた思考・気分感情・身体の変化により、今とは別な新たな行動計画
                                   





参考・引用文献

自分でできるスキーマ療法ワークブックBook2:伊藤絵美/星和書店
認知行動療法実践ガイド基礎から応用まで第2版₋ジュディス・ベックの認知行動療法テキスト:翻訳伊藤絵美、神村栄一、藤澤大介/星和書店
スキーマ療法₋パーソナリティの問題に対する総合的認知行動療法アプローチ:ジェフリー・E・ヤング、ジャネット・S・クロスコ、マジョリェ・E・ウェイシャー(共著)伊藤絵美(監訳)/金剛出版
スキーマ療法入門₋理論と事例で学ぶスキーマ療法の基礎から応用:伊藤絵美(著・編集)・津高京子・大泉久子・森本雅理(著)/星和書店
スキーマの概念とスキーマ療法のレビューに関する一考察₋スキーマの修復に関する人材開発手法の研究のために:加藤雄士/研究ノート
慢性化した抑うつ症状を訴える男性に対する総合的認知行動療法₋スキーマ療法を併用した症例報告:佐野正剛/大阪径大論集・第68巻第6号

・自傷行為とつらい感情に悩む人のために:ボーダーライン・パーソナリティ障害(BPD)のセルフマニュアル 著者ロレーヌベル/誠信書房   

・中核的な思い込みスキーマより75問の引用と15問を作成、追加しています。

https://www.wikihouse.com/cognitive/index.php?FrontPage

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