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スキーマ療法は幼少期~思春期の生育環境や過去の傷つき体験の外在化

目次

スキーマ療法のワーク№3では、幼少期から思春期に起きた過去の傷つき体験の外在化で総合的な自己の早期不適応的スキーマを決定します。このワークでは安全なイメージづくりのアンカーを備えたうえで不適応的スキーマ・マップを作ります。

ワーク№1ワーク№2により、自己の早期不適応的スキーマの見当はできました。これから早期不適応的スキーマのさらなる仮説を立てていきます。より、真実に近づいた自身の早期不適応的スキーマの存在が見えてきます。これは心に染みついたスキーマの種類、全貌を知ることができますので、今後早期不適応的スキーマが活性化されたときにリアルタイムで気づくことができるようになります。これだけでも早期不適応的スキーマと会話ができるようになるとイメージすることができます。そして、その影響力を弱めるための働きかけができるということです。その働きかけはこれからワーク№3以降のスキーマ療法ワークにより学んでいきます。

最終的には自分を生きやすくさせてくれる適応的スキーマ(ハッピースキーマ)を手に入れることになります。適応的スキーマの登場が多くなることで、早期不適応的スキーマは、自ずと不要であると感じ心から出ていきます。当然ながら時間は相当掛かりますが、長年かけて沁み付いた信念です。とても頑固であるということを忘れないでください。

 ただし、既に早期不適応的スキーマの見当はついていますので、今日からの生き方、スキーマの存在に意識が向くようになり、スキーマの知識や認識も深まっていると思います。少なからず、早期不適応的スキーマの登場に気づくようになっています。これがスキーマ療法の大きな一歩目なのです。

ワークは「中核的感情欲求と早期不適応的スキーマとは」№1・№2・№3・「コーピングとモードとは」・№4~№10と内容が続いているため、№1質問用紙90問から順序にワークすることを奨励します。

このページを含め、心理的な知識の情報発信と疑問をテーマに作成しています。メンタルルームでは、「生きづらさ」のカウンセリングや話し相手、愚痴聴きなどから精神疾患までメンタルの悩みや心理のご相談を対面にて3時間無料で行っています。

安全なイメージづくり(リソースアンカー)ワーク№3- ⑴

スキーマ療法は、過去の傷つき体験を振り返りますので、進行中に精神的にきつくなることもあります。もし辛くなったら、すぐにこの安心、安全なイメージに戻れるよう、安心、安全なイメージを事前に作っておきます。辛さを和らげる、心が壊れないようにするために行うものです。

安心、安全、満ち足りる、自信がある(あった)幸福など、望ましい体験、進行、イメージを思い起こし、安心の強度を最高100%で書き出します。
サポーター(人物、モノ、場所)などでも構いません。

安全なイメージ/リソースアンカー/ワーク№3-⑴

安心、安全、満足、自信、幸福、サポーター(人物、モノ、場所)などの体験、進行中、 イメージなどを具体的に書き出す。安心強度 最高100%
       
 
       
 
       
 
       
 
       
 
       
 
       
 
       
 

上記のワークで安心、安全、満足、自信、幸福、サポーター(人物、モノ、場所)などの体験を外在化しました。このいくつかの中で思い出しやすいか、しばしば頭に浮かぶイメージがリソースアンカーになりやすい体験となります。そして、今までの人生のなかで楽しく安全で幸福な思い出をポーズやルーティンなど催眠のように記憶する実践心理学のアンカリングの方法でつくっていきます。
リソースアンカーのイメージの作り方は、詳しい安全なイメージづくり「アンカー」の身体ポーズでアンカリングができる!を参考にしてください。
ただし、アンカリングをしなくても、いつでも安心、安全、幸福などのイメージを思い出せる方は、ワークの中で思い出をまとめたことにより、さらにイメージしやすくなっていると思います。

ポジティブな気持ち・感情リスト

安心、安全、満足、自信、幸福、サポーター(人物、モノ、場所)などの体験、進行中、 イメージなどを具体的に書き出すために、次の「気持ち/感情のリスト」を参考に過去を振り返って外在化してみます。

ポジティブな気持ち/感情のリスト
・心を開いた・愛情に満ちていた・心に触れた・感動した・感謝している・楽しかった・嬉しかった・心が安らいだ
・リラックスした・心が惹かれる・気持ちが搔き立てられる・魅了される・誰かと一緒にいて楽しかった
・誰かと一緒にいて幸せった・頑張らないで気が楽だった・恩を感じる・誇らしい・期待している・満足している
・生きている実感があった・趣味を楽しんだ ・生まれ変わったような・解放された・安定した・満たされた
・しみじみと何かを感じた ・誰かを愛した・誰かに愛された・誰かに親切にされた・達成感・励まされる・刺激される
・誰かに気にかけてもらえた・誰かに助けてもらった・興味を持っている・ドキドキした・ありのままを受ける
・ペットをかわいがった ありのままを受ける・素晴らしい本を読んだ・素晴らしい映画を見た・気持ちを掻き立てられる
・守ってくれた・導いてくれた・理解してくれた・育んでくれた・愛してくれた・認めてくれた・共感してくれた
・救い出してくれた・心から喜んでくれた
サポーター
家族・親戚・恋人・友人・お世話になっている人・職場の人・昔の先輩・知り合い・お店の人・ペット・ぬいぐるみ
人とのつながり:相談に乗ってくれる人、褒めてくれる人・愛してくれる人・理解してくれる人、力になってくれる、いつも連絡が取れる、親友と呼べる人・何があっても味方な人・くだらない話を聞いてくれる人・一緒にお酒を飲める人・仕事で仲間だと思える人・電話をくれる人・笑顔で接してくれる人
思い出:・大切な人に言われた言葉・子供のころに遊んだ場所や友達・楽しかった旅行・恋人との会話・やり遂げて賞賛を得たこと・みんなの前でステージに立ったこと・表彰されたこと・達成できたこと・他より秀でている自分
好きなもののイメージ:漫画やアニメのキャラクター・憧れのスポーツ選手、アイドル・ラジオのパーソナリティ・亡くなったが信頼していた人・好きな人の顔・懐かしい故郷・行ってみたい国・ペットと一緒の自分・映画のワンシーン・歌のフレーズ・芸能人
自分を褒められるところ:頑張っている・評価しているよ・継続はすごい・やり遂げている・投げ出さない・辛抱強いね・自分が好きだよ、信じているよ

過去の傷つき体験を振り返り外在化/ワーク№3-

スキーマとは
思春期あたりまでの有害な経験によって、中核的感情欲求が阻害されることで形成される認知的防衛機能です。

  1. 過去をあらためて年表で振り返り、幼少期~思春期の生育環境やあなたに影響を及ぼしていると思われる傷つき体験、特に「早期不適応的スキーマ」の形成に影響を及ぼしていると思われる体験を外在化します。
  2. あなた自身の生得気質や特徴(知能・機能・身体・癖など含む)について外在化します。
  3. 次のリストを参考に外在化しても構いません。

外在化の連想例

見捨てられたいじめられた虐待された軽視された誤解された
見放された騙された裏切られた無視された脅された
恨まれた軽蔑された仲間外れにされた嫌われた利用された
冷たくされた理解されない打ちのめされた屈辱を味わった愛されない
疑われた欠陥人間だ恥ずかしい存在だ巻き込まれている自分は変わり者だ
失敗してしまう認められたい許されない何をしても良い…するべきだ
我慢したくないどうせ…孤立しているなにか起きたらどうしよう
恐ろしいことが起きる…しなければならない

幼少期~思春期の生育環境や過去の傷つき体験の外在化/ワーク№3 -⑵

悲劇的な出来事や恐怖、心に受けた深い傷、愛情の欠如、抑えられた心、不安定な環境、 自己敗北的な感情、養育者の誤った知識や学習の植付けなど

何歳頃出来事や体験・環境その時の感情、感覚など
        
 
        
 
        
 
        
 
        
 
        
 
生得気質・特徴についての外在化 生まれ持ったと思われる性質や行動、発達における障害 「不器用である」「左利きである」「落ち着きがない」「〇〇障害がある」「身体的特徴」など
           


  1. 既にワーク№1質問用紙の早期不適応的スキーマの強度とワーク№2により18の不適応的スキーマの基本・服従・回避・過剰補償の特徴と概念、解説を読んで主観による強度は示されました。それをもとに早期不適応的スキーマ見当表の合算強度により見当はついています。
  2. 次のワーク№3では幼少~思春期で過去の傷つき体験の外在化と生得気質・特徴の外在化をしました。自身の過去を振り返ることで「満たされなかった中核的感情欲求」「損傷を受けた中核的感情」に気づくことができているかもしれません。
  3. 過去の傷つき体験が外在化されたことで、さらに真実の早期不適応的スキーマに近づけられるかもしれません。
    ワーク№1と№2の作成数日後にもう一度、ワーク№2の18の早期不適応的スキーマの基本・服従・回避・過剰補償(正式には、ワーク№3用の18の不適応スキーマの基本となる詳しい解説書がある)をさらに自分に引き寄せてじっくり読み、この早期不適応的スキーマは「自分の中に全くない」が0%、「自分の中に強烈的な形である」を100%とした強度を自己の主観で【早期不適応的スキーマ仮説表】の【新主観度】に基本・服従・回避・過剰補償のそれぞれ0〜100%、合計0~400%÷4で表します。
    そして合算強度と新主観度÷4の合計により仮説強度を算出し、早期不適応的スキーマ強度の高い順位を確定させます。

※「合算強度」はワーク№1【早期不適応的スキーマ見当表】の質問用紙%+ワーク№2の主観強度%
「仮説強度」はワーク№2【早期不適応的スキーマ仮説表】の「合算強度」に+ワーク№3の「新主観度」
仮説強度の%が高い項目(2〜3個程度)を自己の早期不適応的スキーマとします。

自己の早期不適応的スキーマの確定(仮説)と外在化/ワーク№3-⑶

早期不適応的スキーマ仮説表/ワーク№3-⑶

強度順位早期不適応的スキーマ合算強度%新主観度%仮説強度%
見捨てられ/不安定スキーマ13575210

早期不適応的スキーマ仮説表の作成後に自己の強度の高い早期不適応的スキーマ(7つ以内)をもとに「外在マップ」を作成します。
外在マップはスマホなどに保存して、常に確認ができるようにしていきます。

不適応スキーマ・マップの例

早期不適応的スキーマ仮説表/ワーク№3-⑶

強度順位早期不適応的スキーマ合算強度%新主観度%仮説強度%
 見捨てられ/不安定スキーマ   
 不信/虐待スキーマ   
 情緒的剥奪スキーマ   
 欠陥/恥スキーマ   
 社会孤立/疎外スキーマ   
 依存/無能スキーマ   
 損害や疾病に対する脆弱性スキーマ   
 巻き込まれ/未発達のスキーマ   
 失敗スキーマ   
 服従スキーマ   
 自己犠牲スキーマ   
 評価と承認の希求スキーマ   
 否定/悲観スキーマ   
 感情抑制スキーマ   
 厳密な基準/過度の批判スキーマ   
 罰スキーマ   
 権利欲求/尊大スキーマ   
 自制と自立の欠如スキーマ   

早期不適応的スキーマ外在マップ

早期不適応的スキーマ外在マップを完成させて、スマホなどに保存していつでも見られる状態にしてください。
(早期不適応的スキーマは、点数・%の高いスキーマ2~3が適度かもしれません。

早期不適応的スキーマ外在マップ

参考・引用文献

自分でできるスキーマ療法ワークブックBook2:伊藤絵美/星和書店
認知行動療法実践ガイド基礎から応用まで第2版₋ジュディス・ベックの認知行動療法テキスト:翻訳伊藤絵美、神村栄一、藤澤大介/星和書店
スキーマ療法₋パーソナリティの問題に対する総合的認知行動療法アプローチ:ジェフリー・E・ヤング、ジャネット・S・クロスコ、マジョリェ・E・ウェイシャー(共著)伊藤絵美(監訳)/金剛出版
スキーマ療法入門₋理論と事例で学ぶスキーマ療法の基礎から応用:伊藤絵美(著・編集)・津高京子・大泉久子・森本雅理(著)/星和書店
スキーマの概念とスキーマ療法のレビューに関する一考察₋スキーマの修復に関する人材開発手法の研究のために:加藤雄士/研究ノート
慢性化した抑うつ症状を訴える男性に対する総合的認知行動療法₋スキーマ療法を併用した症例報告:佐野正剛/大阪径大論集・第68巻第6号

・自傷行為とつらい感情に悩む人のために:ボーダーライン・パーソナリティ障害(BPD)のセルフマニュアル 著者ロレーヌベル/誠信書房   

・中核的な思い込みスキーマより75問の引用と15問を作成、追加しています。

https://www.wikihouse.com/cognitive/index.php?FrontPage

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