ゲシュタルト療法のエンプティチェア、シャトル技法、ホットシート、ファンタジートリップ、ボディワーク、夢のワークの代表的な介入方法
ゲシュタルト療法は、人間の心理的な問題や課題を理解し、解決するための独自のアプローチです。このアプローチは、「ここ」&「今」の現在に焦点を当て、個人が持つ感情や体験を活用します。
基本的な概念と技法のステップは、クライアントの自己理解と成長を促進するために用いられますが、ゲシュタルト療法は、クライアントとセラピストが共同で、クライアントの個々のニーズや目標に合ったアプローチを見つけることを重視しています。ゲシュタルト療法の基本的な概念において、全体的な技法のステップは次の通りです。
ゲシュタルト療法では、クライアントが「ここ」(現在の環境)と「今」(現在の感情や体験)に焦点を当てることが重要です。過去や未来ではなく、現在の状況を受け入れることで、自己の理解と成長が促進されます。
クライアントのリソースや能力を強調し活用することで、問題解決に向かうことがゲシュタルト療法の特徴です。クライアントの内在する力を引き出し、肯定的な変化をもたらすことが目標です。
ゲシュタルト療法では、感情を受容し、それを表現することが重要です。クライアントは自分の感情を率直に表現して受け入れることで、内面の葛藤を解決し、統合された自己像を築くことができます。
クライアントの意識を増進させ、自己の内面をより深く理解するために、様々な技法や演習が用いられます。これには、マインドフルネス、視覚化、フォーカシングなどが使用されます。
ゲシュタルト療法では、クライアントが新しい行動や視点を実験することを奨励しています。実際の体験を通じて学び、成長することで、問題解決への道が開かれます。
ゲシュタルト療法の介入技法は、クライアントの内面のプロセスや感情を探求し、自己理解や成長を促進するための手法です。クライアントが自己の内面を探求し、現在や過去の経験とのつながりを理解し、成長や変容を促進するのを支援するために、セラピストはクライアントのプロセスをリードし、安全な環境を提供しながら、洞察と自己理解の探求を支援します。これらの技法は、クライアントが現在の経験をより深く理解し、過去の経験や無意識の要素とのつながりを探求するのを支援します。
- エンプティチェア技法
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クライアントが空の椅子(エンプティチェア)を使って自己との対話を探求します。椅子を他者や自己の象徴と見なし、その存在との対話を通じて内面を探求します。
- シャトル技法
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クライアントがカウンセリングルームの空間内などで異なる場所や位置に移動し、その感覚、体験を通じて内面の対立や感情を探求します。移動や位置の変化を通じて、異なる視点や感情にアクセスします。
- ホットシート技法
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クライアントがホットシートと呼ばれる特定の場所に座り、自己や他者、グループなどとの対話を通じて内面を探求します。セラピストが対話をリードし、クライアントが内面のプロセスを体験します。
- ファンタジートリップ技法
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クライアントがイメージやファンタジーの世界に導かれ、そこでの体験を通じて内面の深層を探求します。セラピストがクライアントを導き、クライアントがファンタジーの世界での体験を通じて洞察を得るのを支援します。
- ボディワーク
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クライアントの身体的な感覚や反応を通じて内面のプロセスを探求し、感情や認識を表現します。セラピストが身体的な接触や動きを通じてクライアントの内面を探求し、洞察を促します。
- 夢のワーク
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クライアントの夢を通じて無意識のプロセスや深層心理を探求し、洞察や自己理解を促進します。セラピストがクライアントの夢を解釈し、夢の象徴や意味を探求します。
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- ゲシュタルトの歴史と先駆者の理論
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エンプティチェア技法
プティチェア技法は、クライアントが自己との対話や内なる対立を探求するための有力な手法です。技法は、クライアントが自己との対話を通じて内面を探求し、洞察や成長を促進する手助けができます。セラピストは、クライアントが自己の内面に深く入り込み、それを受け入れ、変容するのを支援します。
セラピストは、セッションの中で空の椅子を用意します。この椅子は「エンプティチェア」と呼ばれ、クライアントが他者や自己との内面対話を行うための象徴的な存在です。
- ファシリテーター(セラピスト)
“今日のセッションでは、エンプティチェアを使って自己との対話を探求していきます。この椅子をエンプティチェアと呼びます。クライアントが自己や他者との対話を行うための安全な場所です。” - (セラピストが椅子を用意し、クライアントとの椅子と向かい合うように配置します)
クライアントは、エンプティチェアを他者や自己の象徴として使い、その椅子に向かって対話を開始します。例えば、過去の自分、未来の自分、親やパートナー、友人、あるいは抽象的な概念や感情などとの対話が行われます。
- ファシリテーター
“今、対象者がエンプティチェアに座っています。どんな気持ちや思いが湧いてきますか?” - クライアント
“エンプティチェアに座ると、自分と向き合っているような気持ちになります。少し緊張もしますが、興味深い体験です。”
クライアントは、エンプティチェアに向かって話すことで、異なる役割や視点に入り込むことができます。例えば、クライアントはエンプティチェアに向かって自分自身の感情や考えを表現する一方で、その後にエンプティチェアに座って、対象者の視点から自分自身を見つめ直すこともできます。
- ファシリテーター
“エンプティチェアに座りながら、自分の感情や考えを椅子に向かって表現してみてください。その後、椅子に座って、自分自身との対話を続けてみてください。” - (クライアントがエンプティチェアに座り、自分の感情や思いを椅子に向かって表現し、その後に椅子に座って自己との対話を続ける)
セラピストは、クライアントがエンプティチェアとの対話を通じて表現した感情や思考、内なる対立などを観察し、その意味や背景を探求します。セラピストは、クライアントの言葉や表情、身体的な反応を注意深く観察し、それらを元に洞察を得ます。
- ファシリテーター
“エンプティチェアとの対話を通じて、何か新しい気づきや感情が浮かんできましたか?” - クライアント
“エンプティチェアに向かって話すことで、自分の内面にある感情や矛盾に気づくことができました。自分の中にある対立や不安をより明確に感じることができました。”
エンプティチェアとの対話を通じて、クライアントは自己の内面を深く探求し、感情や気づきを得ることができます。セラピストは、クライアントが自己の内面に気づき、それを受け入れるための安全な空間を提供します。
- ファシリテーター
“その対立や不安について、どんな気づきや感情がありますか?それらをさらに探求してみましょう。” - クライアント
“自分の中にある対立や不安に向き合うことで、成長や変容が生じるかもしれないという気づきがあります。”
セラピストは、セッションの最後にクライアントとエンプティチェアとの対話を統合し、得られた洞察や気づきを振り返ります。クライアントがエンプティチェアとの対話から得たものを実生活に適用する方法についても共に考え、成長や変容のプロセスをサポートします。
- ファシリテーター
“今日のセッションで得た気づきや感情は貴重ですね。次回のセッションまで、その対立や不安に向き合いながら、成長や変容のプロセスを続けていってください。” - クライアント
“ありがとうございます。今日のセッションで本当に深い気づきを得ることができました。次回も楽しみにしています。”
エンプティチェア技法におけるファシリテーターとクライアントのダイアログの簡潔な具体例です。セラピストはクライアントが自己との内面対話を通じて洞察を得るのを支援し、成長や変容を促進します。
シャトル技法
シャトル技法は、クライアントが自己と他者の間を行ったり来たりすることを促進し、内面の対話や葛藤を解決する手助けとなります。次のステップを通じて、クライアントが自己と他者の間の葛藤を解決し、統合された自己像を構築するのを支援します。
最初に、セラピストはクライアントとの信頼関係を築き、安全で受容的な環境を提供します。クライアントが自己を表現し、感情を探求するための安心感が重要となります。
- ファシリテーター(セラピスト)
“今日ここにいることに感謝します。私たちはあなたの感情や体験を尊重し、受け入れます。あなたが安心して自己を表現できる空間を提供したいと思います。” - クライアント
“ありがとうございます。私は本当に安心しています。”
セラピストは、クライアントに自己と他者の間の対話や葛藤を探求するよう促します。クライアントが内なる対話を発見し、それをセラピストと共有することで、感情や認識の深層を理解し、解決の糸口を見つけることができます。
- ファシリテーター
“今、あなたの内なる対話や感情に関してどのようなことが起こっていると感じますか?” - クライアント
“私は自分と他者の間で矛盾しています。自分の気持ちを抑えて、他人に合わせようとする自分と、本当の自分を表現したいと思う自分とが戦っています。”
シャトル技法では、クライアントが自己と他者の役割を切り替えながら、内面の葛藤を探求します。例えば、クライアントは自己と他者の視点を交互に表現し、それぞれの感情やニーズを探求します。
- ファシリテーター
“今、自己と他者の役割を切り替えながら、あなたの感情や考えについて考えてみてください。” - クライアント
“自己の側にいると、怒りや不安を感じます。他者の側にいると、理解されることを望んでいますが、同時に自己を失いたくないとも感じます。”
シャトル技法では、物理的な動きや位置の変化が重要な役割を果たします。クライアントは、実際に部屋の中を移動したり、シンボリックな位置の変化を体験することで、内なる対話や葛藤を表現します。
- ファシリテーター
“今、自分の気持ちや考えを表現するために、部屋の中を自由に移動してみてください。どの位置が今の気持ちをよりよく表現できると感じますか?” - クライアント
(部屋を移動し、特定の場所で停止して考える) “ここが、私が自分を表現したい場所です。”
セラピストは、クライアントの意識を増進させ、内面のプロセスに注意を向けるよう促します。クライアントが自己と他者の間を行ったり来たりする過程で、感情や思考に意識を向け、それらを受け入れさせることが重要です。
- ファシリテーター
“今、その場所にいるとどのような感情や思考が湧いてきますか?” - クライアント
“ここにいると、自分らしさを感じます。同時に、他者との関係における緊張や不安も感じます。”
最終的に、シャトル技法の目標は、クライアントが内なる葛藤を解決し、統合された自己像を築くことです。クライアントが自己と他者の間を行ったり来たりしながら、内なる対話を探求し、成長の道を開拓していきます。
- ファシリテーター
“今、自己と他者の間で感じている葛藤や矛盾に向き合い、それらを統合するための方法を見つけることができるでしょうか?” - クライアント
“自分の気持ちや欲求を正直に表現し、同時に他者との関係を大切にするバランスを取ることが重要だと思います。”
これらのダイアログは、セラピストが物理的な動きや位置の変化が重要な役割を果たすようにクライアントを導き、内なる対話や感情の探求を促す過程を示しています。それぞれのステップで、クライアントが自己を理解し、成長するための道筋を見つけることが目指されています。
ホットシート技法
ホットシート技法は、ゲシュタルト療法の一つのアプローチであり、グループによって開始します。次のステップを通じてクライアントが感情や体験を表現し、それに対して直接的な対話や反応を行うことで、自己理解と成長を促進します。
セラピストは、クライアントと共に、取り組むべきテーマや解決すべき問題を特定します。クライアントの関心やニーズに基づいて、具体的なテーマを設定します。
- ファシリテーター(セラピスト)
“今日のセッションで取り組むべきテーマや解決すべき問題は何だと感じますか?” - クライアント
“私のコミュニケーションの問題について考えてみたいと思います。特に、パートナーとのコミュニケーションがうまくいかないと感じています。”
クライアントは、ホットシートと呼ばれる椅子に座り、自己の感情や体験を自由に表現します。セラピストは、クライアントが自己を表現するのを支援し、受容します。
- ファシリテーター
“ホットシートに座り、今、自分が感じていることや思っていることを自由に表現してみてください。” - クライアント
(ホットシートに座りながら) “私はパートナーとのコミュニケーションで不安やイライラを感じています。パートナーと話し合うときに、自分の気持ちや思いをうまく伝えられないことがあります。”
クライアントが感情や体験を表現すると、セラピストや他のグループメンバーからの直接的な反応や対話が行われます。セラピストは、クライアントの表現に共感し、理解を示しながら、適切なフィードバックや質問を行います。
- ファシリテーター
“あなたの感情や経験に共感します。他のグループメンバーや私たちと共有してもらえますか?” - グループメンバー
“私も同じような経験があります。コミュニケーションが上手くいかないときにどうすればいいか考えてみましょう。” - クライアント
“ありがとう。そのアドバイスを聞いてみたいです。”
ホットシート技法では、クライアントが自己と他者の間の内なる対話を探求することが重要です。クライアントは、自己の内なる声や異なる側面との対話を模倣し、それに対して反応や洞察を得ます。
- ファシリテーター
“今、自己と他者の間での内なる対話を模倣してみてください。自分の気持ちやパートナーとの関係について内なる声を聞いてみてください。” - クライアント
(内なる対話を模倣しながら) “私は自分の気持ちを正直に伝えるべきだと思うけど、パートナーがどう感じるか心配です。でも、このままでは関係が悪化するかもしれません。”
クライアントは、必要に応じてホットシートから外に出て、セラピストや他のグループメンバーのディスカッションに入ることができます。このようにして、クライアントは自己と他者の視点を切り替えながら、より深い理解を得ることができます。
- ファシリテーター
“今、ホットシートから外に出て、パートナーの立場になってみてください。パートナーがどのように感じるか考えてみましょう。” - クライアント
(パートナーの立場になって考えながら) “パートナーは私の気持ちを理解してくれるかもしれません。でも、私がどう感じているか知らないと、関係を改善するのは難しいでしょう。”
最終的に、ホットシート技法の目標は、クライアントが感情や体験を受け入れ、統合された自己像を築くことです。クライアントは、自己と他者の間の対話や対立を解決し、成長と自己の発展を促進します。
- ファシリテーター
“今、自己と他者の間での対話や葛藤を解決するための方法を考えてみましょう。自分の気持ちを正直に伝えることで、関係を改善することができるかもしれませんね。” - クライアント
“そうですね。もっと率直にコミュニケーションを取ることが重要だと思います。”
これらのダイアログは、セラピストがグループの中にクライアントを導き、自己と対象者の感情や体験を表現し、対話や内なる対話を探求する過程を示しています。それぞれのステップで、クライアントが自己理解と成長を促進するための道筋を見つけることが目指されています。
ファンタジートリップ技法
ファンタジートリップ技法は、次のステップを通じて、クライアントが想像力を使うことで自己の内面を探求し、自己理解や洞察、成長を促進することを目的としています。セラピストは、クライアントが安心して快適な場所などの舞台でファンタジーに没頭し、内面の世界を深く理解するのを支援します。
セラピストは、クライアントをリラックスさせるための環境を整えます。静かな場所や快適な姿勢を提供し、深い呼吸やマインドフルネスの練習を通じて、クライアントがリラックスして自己への意識を高めるよう促します。
- ファシリテーター(セラピスト)
“今、目を閉じて深呼吸をして、心身をリラックスさせてください。ゆっくりと息を吐き出して、心地よい安らぎを感じてください。” - クライアント
(深呼吸をしてリラックスし始める)
セラピストは、クライアントがファンタジーを体験するための舞台を設定します。これは、安全で快適な場所や環境であり、クライアントが自己の内面に没入しやすい状況を作り出します。
- ファシリテーター
“今、あなたは美しい森の中にいます。目の前には緑の木々と色鮮やかな花々が広がり、心地よい風がそよぎます。どんな音や香りが聞こえてきますか?” - クライアント
“鳥のさえずりや木々のざわめきが聞こえてきます。花の香りも漂っています。”
セラピストは、クライアントにファンタジーの物語やシナリオを提示します。この物語は、クライアントが自己の内面を探求するための出発点となります。例えば、森や海辺の散歩、空想上の旅などです。
- ファシリテーター
“あなたは森の中を散歩しています。その道には、あなたの心に思い描く様々な場所での出来事が待っています。どんな場所での出来事があなたの興味を引きますか?” - クライアント
“私は小川のほとりに行ってみたいです。水の音や波紋を感じたいです。”
クライアントは、ファンタジーの中で感情や体験を自由に探求します。セラピストは、クライアントが体験する感情や出来事に注意を払い、それに関する質問を行ったり、深く掘り下げたりします。
- ファシリテーター
“小川のほとりに立っていると、どんな感情が湧いてきますか?” - クライアント
“安らぎや喜びを感じます。水の流れや自然の美しさに心が洗われるようです。”
ファンタジートリップの途中で、クライアントは自己との内なる対話や気づきを体験することがあります。セラピストは、クライアントが感じたことや思ったことに対してフィードバックを提供し、洞察や理解を深めるのを支援します。
- ファシリテーター
“その安らぎや喜びについて、どんな気づきがありますか?” - クライアント
“私は自然の中で本当の自分を感じます。日常生活では忘れていた感覚や思い出が蘇ってきます。”
ファンタジートリップが終わった後、セラピストはクライアントをリラックスさせ、体験を統合するための時間を提供します。クライアントがファンタジーの中で得た洞察や気づきを実際の生活に取り入れる方法について話し合うこともあります。
- ファシリテーター
“ファンタジーが終わりました。目を開けて、周囲の環境に戻ってください。今、その森の中で感じたことや気づいたことを共有してみましょう。” - クライアント
“そのファンタジーの中で、自分の内なる平穏や喜びを感じました。日常生活でも、自然の美しさや安らぎをもっと感じるようにしたいと思います。”
これらのダイアログは、セラピストがクライアントを導き、ファンタジーを通じて自己の内面を探求し、洞察や成長を促進する過程を示しています。それぞれのステップで、クライアントが安心してファンタジーに没頭し、内面の世界を深く理解するのを支援します。
夢のワーク
夢のワークは、夢を通じてクライアントの内面を探求し、深層心理の洞察や自己理解を促進する方法です。クライアントが夢から得た洞察を日常生活に活かす方法をセラピストと共に探求し、内面の探求と発展をサポートします。
クライアントは、最近見た夢で思い出せる夢を選定し、再体験します。夢のシーン、登場人物、感情、色、動きなどの要素をセラピストにできるだけ具体的に伝えます。セラピストは、クライアントが夢を再生するのを助け、夢の詳細を共有するための安全な環境を提供します。
- ファシリテーター(セラピスト)
“今日のセッションで、最近見た夢について話してみましょう。覚えている夢の内容や感情をできるだけ詳細に教えてください。” - クライアント
“昨夜、私は海岸で波に乗っている夢を見ました。波がとても高く、私は興奮と同時に恐れを感じていました。”
セラピストは、クライアントが夢で体験したシンボルや象徴に焦点を当てます。これらのシンボルや象徴は、クライアントの無意識的な願望や恐れ、過去の経験、現在の課題などを反映する場合があります。セラピストは、クライアントと共に夢の意味や解釈を探求し、深層心理の洞察を得るのを支援します。
- ファシリテーター
“海や波は、一般的に夢の中でどのような意味を持つと思いますか?” - クライアント
“多くの人々が言うように、海は無意識や感情の象徴であり、波は感情の変化や人生の波乱を表すのかもしれません。”
クライアントが夢で感じた感情や体験を探求します。夢の中での感情や体験は、クライアントの内面の状態や無意識のプロセスを反映する場合があります。セラピストは、クライアントが夢で感じた感情や体験について深く掘り下げ、それらがクライアントの日常生活や心理的な課題と関連しているかどうかを探求します。
- ファシリテーター
“夢の中で感じた興奮や恐れについて、日常生活や現在の状況とどのように関連付けることができると思いますか?” - クライアント
“実際には、私は新しい挑戦に直面していて、それに対する興奮と同時に不安を感じています。夢がそれを反映しているのかもしれません。”
セラピストとクライアントは、夢のエピソードを再構築し、夢の場面や登場人物との対話を模倣します。このプロセスは、夢の中での体験をより深く理解し、その意味を明確にするのに役立ちます。セラピストは、クライアントが夢の中での体験を再生し、その影響をより深く探求するのを支援します。
- ファシリテーター
“もう一度夢を思い出し、その場面を再構築してみてください。海岸に立っていると、どのような感情や体験がありますか?” - クライアント
(目を閉じ、夢の中での状況を再現し、感情や体験を体験しながら語る)
最後に、セラピストは、夢の意味や洞察を統合し、クライアントが夢から得た洞察や気づきを強調します。夢のワークの目標は、クライアントが自己の内面を理解し、成長や変容を促進することです。セラピストは、クライアントが夢から得た洞察を実生活に適用する方法を共に考え、夢を通じて得られた深層心理の理解を促進します。
- ファシリテーター
“夢の中での興奮や恐れは、新しい挑戦に対するあなたの感情と関連しているようですね。この洞察を活かすと、どのように行動しますか?” - クライアント
“この洞察を持って、新しい挑戦に立ち向かう勇気を持ちたいと思います。また、不安に立ち向かう方法を考えることができるかもしれません。”
これらのダイアログは、セラピストがクライアントを導き、夢を通じて自己理解や成長を促進する過程を示しています。それぞれのステップで、クライアントが夢の中での体験や感情を探求し、それが日常生活や内面の状態とどのように関連しているかを理解するのを支援します。
ボディワーク
ボディワークは、次のステップにより、クライアントの身体的な感覚や身体の反応を通じて、感情や深層心理のプロセスや無意識の要素にアクセスし、自己理解や癒すための道筋を見出すのを支援します。
セラピストは、クライアントとの信頼関係を構築し、安全な環境を提供します。クライアントがリラックスできるよう、快適な姿勢や環境を整えます。そして、必要に応じてクライアントとの身体的な接触を確立します(例:握手、肩の軽いタッチなど)。
- ファシリテーター(セラピスト)
“今日のセッションでは、リラックスすることで自己の内面を探求していきましょう。まずは、目を閉じて深呼吸をして、身体の感覚に集中してみてください。” - クライアント
(目を閉じて深呼吸をし、身体の感覚に注意を向ける)
セラピストは、クライアントに身体の感覚や気づきに焦点を当てます。クライアントに、身体の部位や感覚に注意を払い、その感覚を探求するよう促します。例えば、呼吸、筋肉の緊張、身体の重さや軽さなどに焦点を当てます。
- ファシリテーター
“今、あなたの身体のどこかに特別な感覚や痛み、緊張を感じていますか?” - クライアント
“はい、私の胸のあたりに緊張を感じます。重苦しい感じがあります。”
セラピストは、クライアントが身体的な感情や感覚を表現しやすいように促します。クライアントが身体の感覚や動きを通じて感じる感情やエネルギーを自由に表現できるよう、安全な空間を提供します。そして、クライアントが表現した感情や感覚に関して、意味や解釈を探求します。
- ファシリテーター
“その胸の緊張に対して何か言葉やイメージが浮かんできますか?” - クライアント
“私は最近、仕事のストレスや人間関係の問題で心が重いと感じています。この緊張はそれに関連しているかもしれません。”
セラピストは、クライアントが身体的な反応や緊張を解放するための技法やアプローチを提供します。深い呼吸、リラックス法、身体の動きやストレッチ、マッサージなどの方法を使用して、クライアントが身体的なストレスや緊張を解放し、リラックスできるようサポートします。
- ファシリテーター
“その緊張を解放するために、深呼吸をしながら、ゆっくりと胸を広げてみてください。息を吐きながら、緊張を身体から放出していくイメージを持ってみてください。” - クライアント
(深呼吸をしながら胸を広げ、緊張を感じながらも少しずつ解放されていくのを感じる)
セラピストは、身体の感覚や反応に隠されたメッセージや意味を探求します。クライアントの身体的な感覚や動きが、無意識のプロセスや感情の表現とどのように関連しているかを理解し、その意味や解釈を探求します。
- ファシリテーター
“その緊張が解放されると、何か新しい気づきや感情が浮かんできましたか?” - クライアント
“はい、緊張が解放されると、心が軽くなり、気持ちが落ち着いてきました。仕事や人間関係の問題に対する新しい視点や解決策が見えてきました。”
最後に、セラピストはセッションを統合し、クライアントが体験した感情や気づきを総括します。セラピストは、クライアントがセッションから得た洞察や気づきを実生活に適用する方法を共に考え、自己理解や成長の促進をサポートします。
- ファシリテーター
“今日のセッションで、その緊張や重苦しさを解放し、新しい気づきや解決策を見つけることができましたね。次回のセッションまで、その気づきや解決策を実践してみてください。” - クライアント
“ありがとうございます。このセッションで本当に心が軽くなりました。次回も楽しみにしています。”
ボディワークにおけるファシリテーターとクライアントのダイアログの具体例です。セラピストはクライアントの身体的な感覚や感情に焦点を当て、それらを探求し、解放し、統合するのを支援します。
- “Gestalt Therapy: Excitement and Growth in the Human Personality”
- 著者: Frederick S. Perls, Ralph F. Hefferline, Paul Goodman
- 出版社: Souvenir Press
- “Gestalt Therapy: Perspectives and Applications”
- 著者: Edwin C. Nevis
- 出版社: Gardner Press
- “The Gestalt Therapy Book: A Holistic Guide to the Theory, Principles, and Techniques of Gestalt Therapy”
- 著者: Joel Latner
- 出版社: Perigee Trade
- “Gestalt Therapy: History, Theory, and Practice”
- 著者: Ansel Woldt, Sarah M. Toman
- 出版社: SAGE Publications, Inc