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回避的対人スタイル/パフォーマンス不安へのセラピー

目次

回避的対人スタイル・パフォーマンス不安・自律神経系のストレス反応などが複合的に絡んだクライエントへのセルフチェックとセラピー

実際の相談例をもとに、対人不安や自己評価の課題、過去の体験に根差した対人場面への恐怖やストレス反応を抱えており、回避的対人スタイル・パフォーマンス不安・自律神経系のストレス反応などが複合的に絡んでいるセラピーのステップを紹介します。

「回避的対人スタイル」「パフォーマンス不安」「自律神経系のストレス反応」の3つが複合して存在する場合、心身のさまざまな症状が連鎖的・慢性的に引き起こされる傾向があります。まず、「回避的対人スタイル」により、人間関係において拒絶や否定への強い恐れが生じ、他者との距離を取りがちになります。これは一時的には安心感を得られるものの、長期的には孤立感や自尊感情の低下につながり、対人関係の機会そのものを減らしてしまいます。

さらに、仕事や学業など評価を伴う場面で「パフォーマンス不安」が高まると、「失敗したらどうしよう」「変に見られたら終わりだ」などの思考に支配され、過剰な緊張や自己否定感を引き起こします。その結果、思考が白くなる、言葉が出ない、手足が震えるといったパフォーマンス低下が現れ、「やっぱり自分はダメだ」といった否定的なスキーマが強化されていきます。

こうした心理的プレッシャーに反応して、交感神経優位の「自律神経系のストレス反応」が生じると、動悸、息苦しさ、胃腸の不調、倦怠感、不眠などの身体症状が顕在化します。特にこのストレス反応は、外的な危機ではなく「人の目」「評価」「対人場面」など内的なストレス源に繰り返し起動されるため、慢性化しやすく、自律神経失調や不安障害、うつ状態へと発展するリスクもあります。

この3要素が組み合わさることで、「人と関わりたいのに関われない」また、「人との関わりを避けたいのに避けられない」、「頑張りたいのに緊張でできない」、「緊張のせいで心身ともに疲れ切っている」といった、矛盾した内的葛藤と不全感に悩まされるようになり、自己肯定感がさらに低下していくという悪循環を形成します。これに対処するには、認知・感情・身体の3つの側面にアプローチしながら、少しずつ安心を積み上げる治療的支援が求められます。

このページを含め、心理的な知識の情報発信と疑問をテーマに作成しています。メンタルルームでは、「生きづらさ」のカウンセリングや話し相手、愚痴聴きなどから精神疾患までメンタルの悩みや心理のご相談を対面にて3時間無料で行っています。

回避的対人スタイル(Avoidant Interpersonal Style)

概要

  • 対人関係で「傷つきたくない」「評価されたくない」という強い気持ちから、人との関わりを最小限に抑える傾向のこと。
  • 表面上は「人見知り」「控えめ」ですが、内心では強い不安や恐れ、孤立感を抱えていることが多くなります。

よく見られる特徴

  • 人との距離感をうまくつかめない(近づきたいが怖い)
  • 対人場面を避ける(会話を避ける、雑談が苦手)
  • 評価されることや批判されることを極端に恐れる
  • 拒絶される不安(Rejection Sensitivity)が高い
  • 過去の人間関係のトラウマが背景にある場合も

心理的な動き

「本当はつながりたいけど、傷つきたくない ➡ だから避ける ➡ でも孤独でつらい」

パフォーマンス不安(Performance Anxiety)

概要

  • 「うまくやらなければ」「失敗できない」と過度に自分にプレッシャーをかけてしまう心理状態
  • 仕事・スポーツ・発表など、評価される状況における不安で、緊張・身体のこわばり・思考の停止などが生じます。

よくある考え方(認知の歪み)

  • 「失敗=自分の価値がない」
  • 「人は失敗した自分を軽蔑する」
  • 「ミスしたらすべて終わり」

よくある身体的症状

  • 手足の震え、声の震え、冷や汗
  • 呼吸の浅さ・過呼吸
  • 筋肉のこわばり
  • 思考が白くなる・言葉が出てこない

特に注意したいこと

  • 本人の努力や才能とは関係なく、「不安による緊張」そのものがパフォーマンスを下げてしまうという悪循環が起こる。
自律神経系のストレス反応(Autonomic Nervous System Stress Response)

概要

  • ストレスや不安にさらされたとき、脳の「扁桃体(恐怖中枢)」が反応し、自律神経が交感神経優位になって身体に様々な変化を起こします。

交感神経の反応(戦う or 逃げるモード)

  • 心拍数増加
  • 筋肉緊張
  • 呼吸が浅くなる
  • 汗をかく
  • 手足の震え・冷え・しびれ
  • 胃腸の不快感(下痢・吐き気)

副交感神経の働き(回復・リラックスモード)

  • 呼吸が深くなる
  • 胃腸が動く
  • 筋肉の弛緩
  • 心拍が安定

なぜ「ストレス反応」がつらくなるのか

  • 本来は一時的な「危険回避」のための反応が、「想像の不安」「人間関係の不快」でも同じように発動してしまう
  • 身体が“敵はいないのに戦闘モード”に入りっぱなしになる → 疲労・集中力低下・抑うつ感へ

33歳の男性からの相談内容(集約)

私は33歳の男性ですが、仕事は会員制のバーテンダーをしております。様々な環境の変化に伴ってお客様の接客に嫌悪感を抱くようになっています。特にお客様との長く続く関係に抵抗感があり、向き合いたくないと感じるようになっています。バーテンダーとしては失格です。以前は天職だとも思うことがありました。
ひとつの要因として挙げられることは、職場環境の変化に加え、ストレスを話せる彼女との別れが響いているのかと思います。
ぜひとも、このような心の状態から脱却し、以前のようにお客様のお話を喜んで聴きながら、相手を優先する真摯な会話で居心地の良いサロンを運営していきたいと思っています。

幼少の頃は、特に兄弟と家で過ごすことが多く、友達との付き合いはほとんどなかったと思います。また、中学生の頃には周りを意識しすぎて、一挙手一投足がみられているようで、体が固まり行動がともなわないことが多く、場面緘黙とも言えるような状況もありました。高校は排球部に所属しましたが、先輩や先生のプレッシャーを強く感じることから、特に試合に入ると失敗ばかりが頭に浮かび、自律神経のストレスのようになり、自己嫌悪ばかり感じていました。

生活においても対人恐怖なのか不安感なのか、人混みの場所や状況を避けたり、特定の安全性をとったりする行動が見られます。また、公共の交通機関を利用しないことが多くなりました。

このままでは、自尊心を持てなく肯定感もなく沈んでいく気がしています。以前のように仕事に打ち込めるようになりたいと思っています。

セラピーのステップ(例:12ステップの構成)

STEP
関係性の構築と安心の場の形成
  • クライエントの「語る力」や「表現する力」に焦点を当てながら、安全なセラピー空間を確保。
  • 感情の言語化サポート(例:不快の中にある“嫌さ”“怖さ”“疲れ”などを丁寧に扱う)
STEP
テーマの明確化と目標の共有
  • 「お客様と真摯に関係を築けるようになりたい」という願いを主軸に据え、どのような関係性を理想としているかを具体化。
  • 「安心」「自信」「疲弊しない関係」などのキーワードを明確にする。
STEP
現在の状態のアセスメント(セルフチェック含む)
  • 回避的対人傾向
  • 社会的評価に対する不安
  • 自律神経の過敏性
  • 過去の体験(トラウマ・羞恥体験)の影響
  • セルフチェック表は後述
STEP
心理教育(psychoeducation)
  • 不安の正体と仕組み、ストレスによる身体反応の理解
  • 「他人の目が怖い」→ 認知的歪みのパターン紹介(例:「自意識過剰バイアス」など)
STEP
過去の体験の再訪・意味づけの再構築
  • 排球での自己嫌悪/教室での凝固体験など
  • 記憶の「情動」を分離して再構成するアプローチ(例:イメージワーク、ナラティブ、EMDR等)
STEP
認知の修正(CBT的介入)
  • 「受け入れたくないお客様=何を投影しているのか?」
  • 「真面目に関係を築こうとすること」自体が“過度な負担”になっていないか。
STEP
身体感覚と自己調整のトレーニング
  • 自律神経への働きかけ(呼吸法・漸進的筋弛緩法・マインドフルネス)
  • 「硬直」のトラウマ的反応を緩めていく
STEP
対人スキル・境界設定の再構築
  • 「人との距離感」「役割」「対応できるラインの明確化」
  • 無理に親密にならない距離感の練習(ソーシャルスキルトレーニング)
STEP
段階的暴露と安全な接触体験
  • 拒否感や避けたくなる状況に対して、「安全で段階的に関わる練習」(例:一部業務の再現、ロールプレイ)
STEP
自己肯定感の再育成
  • 自分を許す/価値を認める/出来ていることへの着目
  • 「できたこと日記」「成功体験の記録」
STEP
感情調整・ストレス対応力の強化
  • イラショナルビリーフ(例:「失敗したら終わり」)の修正
  • 感情を否定せずに共にいられる練習
STEP
振り返りと今後の展望
  • 成長した部分の自覚
  • 安心して関われる関係構築の実感確認と継続の方針

ステップ3⃣:回避傾向・対人不安チェックリスト(40項目)

次の各項目について、過去6ヶ月以内のご自身の状態をふりかえり、0点:まったく当てはまらない、1点:少し当てはまる、2点:かなり当てはまる、3点:非常によく当てはまるの、4つの評価基準で項目の質問に当てはまる程度に応じて番号を選んでください。

回避傾向・対人不安チェックリスト(40項目)
回避傾向(1〜20)
1.人と目を合わせるのが苦手だと感じる。
2.自分から話しかけることに強い抵抗がある。
3.知らない人が多い場では、できるだけ目立たないようにする。
4.会話中に沈黙が怖くて、話を避けたくなる。
5.相手の反応が気になりすぎて話せなくなる。
6.自分が変に見られていないかと常に気にしてしまう。
7.人前で失敗するのが怖くて行動を控える。
8.他人の目があると、行動がぎこちなくなる。
9.過去の失敗がよみがえって、また同じことを避けてしまう。
10.電話やメールの返信を後回しにしがちである。
11.自分の意見を主張することを避けてしまう。
12.初対面の人と会う約束を断ってしまうことが多い。
13.会議や集まりで意見を求められると動揺する。
14.自分から誘った後、断られるのが怖くて後悔することがある。
15.人混みや密室のような環境を避けたくなる。
16.予定があるだけで不安になり、キャンセルしてしまうことがある。
17.グループ活動よりも、一人での行動を強く選びたくなる。
18.親しい人にも、自分の気持ちを隠すことがある。
19.自分の考えや感情を言語化するのが難しい。
20.失敗を恐れて、新しい挑戦を避けてしまう。
対人不安(21〜40)
21.他人と話した後、「あの時変なこと言ったかも」と反芻してしまう。
22.人に評価される状況が苦手だ。
23.他人のちょっとした表情や態度が気になってしまう。
24.過剰に「嫌われているのでは」と感じることがある。
25.自分が他人にどう見られているかが気になって仕方ない。
26.面接や面談、対面でのやり取りで緊張しすぎる。
27.人前で発言すると、声が震えたり動悸がする。
28.他人と比較して自分が劣っていると感じがちだ。
29.会話の内容よりも、失敗しないことばかり考えてしまう。
30.知人に偶然会うと、避けようとすることがある。
31.他人との関係において「見捨てられるのでは」と不安になる。
32.親しくなっても、距離を保とうとする傾向がある。
33.知らない人の集まりに行くと、体調に変化が出る(頭痛・胃痛など)。
34.他人の感情を読み取ろうとしすぎて疲れる。
35.会話中、相手の反応に一喜一憂してしまう。
36.相手を不快にさせてしまったのではと何度も気になる。
37.対人関係でのミスを引きずりやすい。
38.親しい相手とでも言いたいことが言えず、後悔する。
39.仕事でお客様との関係構築に強いストレスを感じる。
40.人間関係の中で「心から安心できる」と思える瞬間が少ない。

評価方法と判定基準

  • 各項目の点数を合計(最大120点)し、下記の基準で判定します。
  • 目安として、回避傾向スコア(1~20)と、対人不安スコア(21~40)を別々に合計することも推奨されます。
合計点判定解説
0-39点低い傾向回避や対人不安はあまり強くありません。生活上の困難も比較的少ない可能性があります。
40-69点中程度回避や不安傾向が一定みられます。場面によってはストレスを感じやすい状態です。
70-89点やや高め対人関係において強い緊張やストレス、回避行動が目立ち、生活や仕事に影響があるかもしれません。支援やセルフケアが必要な可能性があります。
90-120点高い傾向対人関係への不安や回避行動が著しく、苦痛や社会的機能の制限が強く出ている可能性があります。専門的な心理支援・治療的介入が有効と考えられます。

ステップ4⃣:心理教育

STEP
【不安の正体と仕組み】の説明

目的:

クライエントが「なぜこんなに不安になるのか」「身体がなぜ反応するのか」を理解し、自分を責める思考から距離をとれるようにします。

セラピストの説明例:

「あなたの感じている不安や身体の反応は、“壊れている”とか“弱い”から起きているわけではありません。不安とはもともと、命を守るために私たちの脳がつくった“警報装置”なんです。」

「たとえば昔の人が野生動物に出会ったとき、体が震えたり、心臓がドキドキしたり、逃げたくなったりする反応はすごく大切でしたよね。これは“戦うか逃げるか(fight or flight)”という反応で、今でも人間に備わっています。」

  • 不安=思考パターン感情+身体反応
  • ストレス → 脳の扁桃体が反応 → 自律神経が活性化
  • 結果:動悸、発汗、震え、筋肉のこわばり、過呼吸、逃げたい気持ち etc.
STEP
【ストレスによる身体反応】の例示

「あなたが電車に乗る時や、人前に出る時に起きている“体が固まる感覚”や“心拍の上昇”は、自律神経が“今は危険!”と判断して反応している結果です。」

「でも、実際には“危険な野生動物”がいるわけではありません。ただ、脳が“昔のつらい体験”や“プレッシャー”を引き金に、過去の記憶と結びつけて誤作動している可能性があるんです。」

STEP
「他人の目が怖い」→ 認知的歪みの理解

目的:

他人の評価が怖くて避けたくなる気持ちを「性格の問題」ではなく、「思考のクセ」だと気づいてもらいます。

セラピストの説明例:

「人前に出たり、他人と関わる場面で、『変に思われる』『何か言われてるかも』という考えが浮かんできたことはありますか?」

「このような“自分はどう見られているか”への不安は、自意識過剰バイアスと呼ばれる認知的な歪みの一種です。」

よくある認知の歪みと「他人の目が怖い」関連バイアス

認知の歪み名内容クライエントに当てはまりやすい例
自意識過剰バイアス周囲が常に自分を見ていて評価していると感じる「自分だけが浮いてるかも」「変に思われてる」
読心バイアス相手の心を読んだように「きっとこう思われてる」と決めつける「あの人、私のこと嫌ってるに違いない」
全か無か思考失敗=全否定という極端な評価「うまく話せない=自分はダメな人間だ」
感情的決めつけ感情をそのまま現実の証拠とみなす「不安だから、絶対にうまくいかない」

セラピストの補足:

「こうした“考え方のクセ”は誰にでもありますが、ストレスが強くなると特に目立ちやすくなります。今のあなたの不安も、“思考のレンズがゆがんでいる”ことで強く感じてしまっているのかもしれません。」

「これからのセッションで、その“ゆがんだレンズ”を一緒に調整していけたらと思います。」

「あなたが感じている“拒否感”や“不安”は、とても自然で、しかも今までたくさんのことを乗り越えてきた証でもあります。不安は悪者ではなく、守ろうとするあなたの一部。その仕組みを一緒に理解して、少しずつ安心して関わっていける方法を見つけていきましょう。」

今後取り組むこと

タイトル:不安と付き合うために

  • 自分の反応に名前をつける(例:「今、心拍が上がってるな」)
  • 自動思考の記録シート
  • 呼吸法・身体のリラクセーション
  • 代替思考の練習
  • 少しずつの暴露と行動実験

「今の自分を否定せずに、ただ理解することからはじめる」

ステップ6⃣:認知の修正 ― セラピストとクライエントのセッション例

ステップ6:認知の修正(CBT的介入)」における、セラピストとクライエントの対話形式のセッションの例です。これは回避傾向・対人不安をテーマにしたCBT文脈でのものです。セラピストは共感・探索・介入・フィードバックの流れを意識しつつ、クライエントの自動思考に働きかけます。

セラピストとクライエントの対話(認知の修正パート)

セッション状況

  • テーマ:会議で発言できなかった自分への自己批判と思考のクセの見直し
  • クライエント:33歳男性、職場の対人関係に強い緊張を感じ、発言を回避することが多い
  • 主訴:「また黙ってしまった。私は役に立たない人間だと思われている」
STEP
感情と状況の確認

セラピスト(S)
「前回、会議で発言できなかったことがすごく引っかかっていると話されていましたね。その時のことを少し振り返ってもいいですか?」

クライエント(C)
「はい…。言いたいことはあったんですけど、みんながスラスラ意見を言っていて、私は黙ってしまいました。終わったあと、『やっぱり私はダメなんだ』って自己嫌悪になりました。」

STEP
自動思考の特定

S:「“私はダメなんだ”という思いが強かったんですね。その時、心の中で自分にどんな言葉をかけていたと思いますか?」

C:「…“なんでまた何も言えなかったの?”、“こんなんじゃ信用されない”…って、そんな言葉が浮かびました。」

S:「なるほど。そうした思考を、私たちは“自動思考”と呼びます。刺激に反応して瞬時に浮かんでくる考えですね。これが気分や行動に大きく影響するんです。」

STEP
認知の再検討(現実検証)

S:「そのとき“信用されない”と思ったようですが、事実として誰かからそう言われましたか?」

C:「…いえ、誰からも何も言われてません。」

S:「もし、他の同僚が黙っていたら、あなたは“信用できない人”だと思いますか?」

C:「いいえ…全然。むしろ、聞き役に回ってくれたのかなと思います。」

S:「その視点、すごく大事ですね。自分にだけ厳しい評価をしているのかもしれませんね。」

STEP
認知の修正と新しい思考の構築

S:「では、“また黙ってしまった → 私は信用されない”という思考に対して、もう少しバランスのとれた別の考え方があるとすれば、どんなふうに言い換えられそうですか?」

C:「…うーん、“今回は言えなかったけど、次回はタイミングを見て話してみよう”とか…?」

S:「いいですね。それは“努力中の自分を認める”という新しい視点です。今までのように“全部うまくやらないとダメ”という完璧思考ではなく、少しずつでOKという許可を自分に与えていますね。」

STEP
フィードバックとホームワーク提案

S:「今日は、自分を責める思考がどこから来て、どんな代替思考を持てるかを考えました。この“認知の修正”は繰り返すことで効果が出てきます。」

C:「確かに、いつも“またダメだった”って思って終わっていたけど、視点を変えると違う風に見える気がしました。」

S:「次回までに、また会議など不安な場面があったら、今日のように“自動思考→現実検証→代替思考”のプロセスをメモに取ってきてもらえますか?」

C:「はい、やってみます。」

まとめ:ステップ6のポイント

ステップ内容目的
① 状況の確認エピソードを再構成感情と自動思考の関連を明確にする
② 自動思考の特定頭に浮かぶ批判的な言葉を探す自分の思考パターンに気づく
③ 現実検証エビデンスや他者視点で検証認知の偏りに気づく
④ 認知の修正バランスの取れた思考へ再構成気分の改善・行動の変化へ
⑤ 実践とホームワーク記録・振り返りを継続習慣化・汎用性の拡大

自動思考記録シート」と「代替思考練習ワーク」のテンプレート

テンプレート①:自動思考記録シート(Automatic Thought Record)

日時・状況いつ?どこで?何があった?
感情(点数つき)感じた感情とその強さ(0~100)
自動思考(心の中の言葉)そのとき頭に浮かんだ考え
認知の歪み全か無か、一般化、読心など
反証・現実検証それは本当?証拠や例外は?
バランスのとれた思考(代替思考)より現実的で思いやりのある考え
感情の変化(再評価)感情の再評価(0~100)

記入例:

日時・状況4/25 14:00 職場の会議で発言できなかった
感情(点数つき)不安90、恥80、自己嫌悪85
自動思考(心の中の言葉)「私は役立たずだ」「皆に変に思われてる」
認知の歪み一般化、読心、自己関連づけ
反証・現実検証他にも黙っていた人がいた。上司は何も否定していない。
バランスのとれた思考(代替思考)「今回は話せなかったけど、準備して次は言えるかも」
感情の変化(再評価)不安60、恥40、自己嫌悪30

テンプレート②:代替思考練習ワーク(Reframing Thought Practice)

ステップ内容記入例
① 状況を簡潔に書く発言できなかった場面など、悩んだ出来事を記述会議で意見を言えなかった
② 自動思考そのときに心の中で浮かんだ言葉・評価「また黙った、私ってダメな人間だ」
③ 感情感じた感情とその強さ(0~100)恥80、自己嫌悪90、不安75
④ 認知の歪みに気づく「全か無か」「読心」「ラベリング」などラベリング、読心、一般化
⑤ 反証を探す事実・他の見方・例外を探す上司も発言を否定していなかった。他にも発言していない人がいた。
⑥ 代替思考を考える優しく現実的な考え・自己への励まし「今日言えなかったのは残念だけど、聞く姿勢は取れていた。次に挑戦すればいい」
⑦ 感情の再評価代替思考をもとに感情を再評価(0~100)恥40、自己嫌悪30、不安35

認知の歪みリスト(参考)

歪みの名称説明
全か無か思考「完璧じゃなければ失敗」と極端な思考になる
過度の一般化1回の出来事をすべてに広げてしまう
心の読みすぎ(読心)相手の考えを決めつける
先読み(予測)未来をネガティブに決めつける
ラベリング自分や他者に極端なレッテルを貼る
感情的決めつけ感情を根拠に事実を判断する
すべき思考「○○すべき」で自分を縛る
拡大・過小評価自分の失敗を誇張し、成功を過小評価する
自己関連づけ何でも自分のせいと考える
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