
臨床的に使われやすいツボ
精神疾患・精神症状(不安、興奮、過覚醒、緊張、パニック、抑うつ傾向など)をもつ方に対して、
「興奮を抑える/落ち着く/リラックスを促す」目的で臨床的に使われやすいツボを、
①ツボ名/②期待される効果(神経・心理の観点)/③場所の3点で整理した一覧です。
※前提として、ここでのツボは「症状を抑え込む」「治す」ためではなく、神経系を安全側に戻す“補助的手段”です。
精神的な興奮・不安・緊張を和らげる代表的なツボですが、強刺激は避け、軽い接触・呼吸と併用することが原則です。

- 百会(ひゃくえ)
-
期待される効果
- 中枢神経の鎮静
- 思考過多・不安・抑うつ感の緩和
- 「頭が休まる」感覚の促進
- 自律神経バランスの調整
- 気分の安定と集中力のアップ
全身の経絡の流れの司令塔であり、100種類の感情が集まっているとも言われています。
向いている状態
- 不安障害、抑うつ、不眠、過覚醒、解離前兆
- 中枢性感作・睡眠障害・疲労感への間接的支援
場所
- 頭のてっぺん(両耳の上端を結んだ線と正中線の交点)
押し方・マサージ方法
- 呼吸調整法を行いながら、人差し指と中指の腹を重ねて頭頂に向かって垂直に程よい加減で押すか、百会の周りを円を描くように3分から5分程度マッサージします。
百会(ひゃくえ)は、頭のてっぺん付近、頭の中央線上にあるツボです。 イラストの赤い点が、その位置の目安です。
探すときは、次の2本の線をイメージしてください。
- 左右の耳のいちばん高いところを、頭の表面に沿って結んだ線
- 眉間から頭のてっぺんへ伸ばした、頭の中央を通る線
この2本が交わるところが、百会の目安になります。鍼灸では「GV20」とも呼ばれます。
「つむじの場所」とは必ずしも一致しません。 髪の流れよりも、耳と頭の中央線を手がかりにすると分かりやすくなります。
ご自身で確かめる際は、指の腹をそっと当てる程度から始め、痛みが出るほど強く押さないでください。

- 合谷(ごうこく)
-
- 期待される効果
- 鎮痛作用(下行性疼痛抑制系の活性化)
- ストレス緩和
- 首こり
- 場所
- 親指と人差し指の骨が合流するくぼみ
※強刺激になりやすいので非常に軽くが原則
合谷(ごうこく)
※刺激が強くなりやすいので特にやさしく
期待されること
・全身の痛みの「音量」を下げる補助
・緊張の緩和場所
・親指と人差し指の骨の間のくぼみやり方(10〜20秒)
・触れるだけ
・押さない
・「ここに手を置いている」感覚だけ合谷(ごうこく)は、手の甲側にある、親指と人差し指の骨の間のツボです。 左右どちらの手にもあり、イラストの赤い点が位置の目安です。
探すときは、次のようにすると分かりやすくなります。
- 手の甲を、ご自分の方に向けます。
- 親指と人差し指を軽く寄せます。
- 2本の指の間で、筋肉が盛り上がるところの頂点付近を探します。位置が分かったら、手の力を抜いてください。
指の間の薄い「水かき」の縁よりも手首寄りで、人差し指につながる手の甲の骨の、親指側にあります。鍼灸では「LI4」とも呼ばれます。
確かめる際は指の腹でそっと触れ、痛むほど強く押さないでください。なお、妊娠中は合谷への指圧を控えてください。 傷や腫れがある場所も刺激を避けます。

- 期待される効果
- 内関(ないかん)
-
期待される効果
- 自律神経(特に迷走神経系)調整
- 動悸、不安、パニック症状の軽減
- 身体症状を伴う不安の緩和
「内」は内臓、「関」は出入り口を表していて、内臓機能(特に消化器系)の症状に有効です。
向いている状態
- パニック、不安発作、緊張性吐き気、過呼吸傾向
場所
- 手首の内側しわから指3本分ひじ側、2本の腱(真ん中あたり)の間
押し方・マサージ方法
- 呼吸調整法を行いながら、程よい加減で親指の腹を使って、ゆっくりと5秒間押して3秒止めます。これを3回から5回程度繰り返します。
手のひら側の手首のしわから、指3本分ほどひじへ進んだ、2本の腱の間が目安です。イラストの赤い点で示しています。
探すときは、次のようにしてください。
- 手のひらを上に向けます。
- 反対の手の人差し指・中指・薬指をそろえ、その3本の幅を手首のしわからひじ側へ当てます。
- 3本分進んだ位置で、腕の中央付近を縦に走る2本の腱の間を、そっと確かめます。
「指3本分」は指の長さではなく、そろえた指の幅です。図の距離は目安として、ご自身の指で確かめてください。触れる際は強く押し込まず、痛みやしびれが出たらやめてください。

- 神門(しんもん)
-
期待される効果
- 情動の鎮静
- 精神状態の安定
- イライラ、焦燥感、不眠の緩和
- 心が「静かになる」感覚
東洋医学では精神的な「心」『心は脈、脈は神(意識)』にかかわる問題に効果
向いている状態
- 不眠、不安、抑うつ、情緒不安定
場所
- 手首内側しわの上のくぼみで小指側
押し方・マサージ方法
- 呼吸と合わせながら、ある程度強い加減で親指の腹を使って、ゆっくりと20回から30回程度押すを繰り返します。
神門(しんもん)は、手のひら側の手首のしわ上にある、小指側のくぼみのツボです。 左右どちらの手首にもあり、イラストの赤い点が目安です。鍼灸では「HT7」と呼ばれます。
探すときは、次のようにしてください。
- 手のひらを上に向け、手首を軽く曲げてしわを確認します。
- そのしわを、中央から小指側へそっとたどります。
- 小指側にある腱の、少し親指寄り(手首の中央寄り)のくぼみが神門です。
ここでいう「しわの上」は、しわの線上という意味です。先ほどの内関のように、ひじ側へ指3本分進む必要はありません。
確かめる際は、指の腹でそっと触れてください。強く押し込まず、痛みやしびれが出たらやめてください。

- 労宮(ろうきゅう)
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期待される効果
- 急な興奮・怒りのクールダウン
- 身体的緊張の緩和
- グラウンディング補助
- 交感神経の興奮を抑え、副交感神経を優位にする
心の健康にかかわる「心包経」の経絡に属し、心のエネルギーを調整
向いている状態
- 怒り、興奮、パニック前兆、衝動性
場所
- 手のひら中央(軽く握ったとき中指が当たる位置)
- 手のひらの中央よりやや上で、中指と薬指の間
押し方・マサージ方法
- 呼吸調整法と合わせながら、ある程度強い加減で親指の腹を使って、5秒押してゆっくりと離すを5回から10回程度押すを繰り返します。
労宮(ろうきゅう)は、手のひらの中央付近にあるツボで、軽く握ったときに中指の先が当たるあたりが目安です。 左右どちらの手にもあり、鍼灸では「PC8」と呼ばれます。
位置について、1点補足します。今回確認した位置の定義は、人差し指と中指につながる骨の間で、中指側の骨のすぐ親指寄りです。ご記載の「中指と薬指の間」とは異なるため、イラストはこの定義に合わせています。
探すときは、次のようにしてください。
- 手の力を抜き、指を軽く曲げて握ります。
- 中指の先が手のひらに触れる位置を確かめます。
- 手を開き、そのあたりを反対の手の指の腹でそっと触れます。
握り方によって指先の当たる場所は変わるため、あくまで目安です。爪を押しつけたり、痛むほど強く押したりしないでください。

- 太衝(たいしょう)
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期待される効果
- 情動の高ぶりを鎮める
- イライラ・不安の緩和
- 自律神経のバランス調整
- 緊張緩和
- 肝臓、肉体・精神疲労
- 月経前症候群(PMS)
頭にたまっている過剰なエネルギーを下に調整(肝臓を通る経絡)
向いている状態
- 怒り、不安、緊張、情動の揺れが大きい場合
場所
- 足の甲、親指と人差し指の骨が交わる間のくぼみ
押し方・マサージ方法
- 呼吸調整法と合わせながら、強く気持ち良い加減で親指の腹を使って、5秒押してゆっくりと離すを5回程度押すを繰り返します。
太衝(たいしょう)は、足の甲で、親指と人差し指につながる2本の骨の間にあるツボです。 左右どちらの足にもあり、イラストの赤い点が目安です。鍼灸では「LR3」と呼ばれます。
探すときは、次のようにしてください。
- 足の力を抜き、親指と人差し指の間に、手の指の腹を当てます。
- 2本の骨の間を、足首の方向へゆっくりたどります。
- 骨の間が狭くなり、指が止まるあたりの、少し足指寄りのくぼみが太衝の目安です。
「骨が交わるところ」という表現は、2本の骨が近づく、その手前のくぼみと考えると分かりやすくなります。足指の付け根の水かきよりも、足首寄りにあります。
確かめる際は強く押し込まず、痛みやしびれが出たらやめてください。

- 三陰交(さんいんこう)
-
期待される効果
- 全身の緊張緩和
- 睡眠の質向上
- 身体感覚を通した安心感
- 冷え・血流改善
- 女性のホルモンバランス調整(生理痛、生理不順・PMS・更年期障害)
「肝臓・脾臓・腎臓」の3つの「陰」の経絡が交わっている
向いている状態
- 不眠、不安、抑うつ、身体化症状
- 睡眠障害、女性の症状変動への補助
場所
- 内くるぶしから指4本分上、すね骨の後縁(脛の骨「脛骨」の内側で圧を感じる
押し方・マサージ方法
- 呼吸調整法と合わせながら、ある程度強い加減で親指の腹を使って、5秒押してゆっくりと離すを10回程度繰り返します。
三陰交(さんいんこう)は、内くるぶしから指4本分ほどひざ側へ進んだ、すねの骨(脛骨)のすぐ後ろにあるツボです。 左右どちらの脚にもあり、鍼灸では「SP6」と呼ばれます。
探すときは、次のようにしてください。
- 座って脚の力を抜き、内くるぶしの最も出っ張ったところを確認します。
- ご自身の人差し指・中指・薬指・小指をそろえ、4本の幅を使って、そこからひざ側へ測ります。
- その高さで、すねの骨の内側をそっと触れ、骨の縁を越えたすぐ後ろ、ふくらはぎ側のくぼみを探します。正式には、内くるぶしの上方3寸、脛骨内側縁の後方とされています。
イラストの赤い点が目安です。「指4本分」は指の長さではなく、そろえた4本の指の幅を指します。圧痛の強さで場所を決めず、骨との位置関係を手がかりにしてください。
触れる際は強く押し込まず、痛みやしびれが出たらやめてください。妊娠中は、自己判断で三陰交を強く刺激せず、担当医や鍼灸師に確認してください。

- 足三里(あしさんり)
-
期待される効果
- 神経疲労の回復補助
- 体力・回復感の底上げ
- 安定感の回復
- 免疫・自律神経調整
- 胃腸を整える
全身の調子をを整える「万能のツボ」とされる
向いている状態
- 慢性疲労、抑うつ、意欲低下
- 活動耐性低下への支援
場所
- 膝のお皿の下外側から指4本分下ですねの外側のくぼみ
押し方・マサージ方法
- 呼吸調整法と合わせながら、ある程度強い加減で両方の親指の腹を重ねて、5秒押してゆっくりと離して(5秒休む)を両方の足を10回程度繰り返します。
足三里(あしさんり)は、膝のお皿のすぐ下・外側のくぼみから、指4本分ほど下がった、すねの骨の少し外側にあるツボです。 左右どちらの脚にもあり、鍼灸では「ST36」と呼ばれます。
探すときは、次のようにしてください。
- 椅子に座り、膝を軽く曲げて脚の力を抜きます。
- 膝のお皿のすぐ下で、中央の腱の外側(足の小指側)にあるくぼみを探します。図の青緑の点が測り始める位置です。
- そこから、ご自身の人差し指・中指・薬指・小指をそろえた幅で、指4本分、足首側へ測ります。
- その高さで、すねの骨の前縁から指1本幅ほど外側にある部分が目安です。図の赤い点に当たります。
測り始める場所は、膝のお皿の中央や上端ではなく、そのすぐ下・外側のくぼみです。「指4本分」は目安として、骨との位置関係も確かめてください。
触れる際は指の腹を使い、痛むほど強く押さず、しびれが出たらやめてください。

- 湧泉(ゆうせん)
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- 湧泉(ゆうせん)
- 自律神経の乱れ
- 足裏の中央よりやや上、足の指を曲げたときにできるくぼみの位置
湧泉(ゆうせん)は、足裏の中央より足指寄りにある、足の指を軽く曲げるとできるくぼみのツボです。 左右どちらの足にもあり、鍼灸では「KI1」と呼ばれます。イラストの赤い点が位置の目安です。
探すときは、次のようにしてください。
- 座った状態で、足裏が見えるように足を支えます。
- 足の指を、軽く「グー」を作るように曲げます。
- 足指の付け根のふくらみより、少しかかと側にできるくぼみを探します。人差し指と中指につながる2本の骨の間に当たります。
「中央よりやや上」の「上」は、足指の方向と考えると分かりやすくなります。土踏まずの中央よりも、足指寄りです。
位置が分かったら足の力を抜き、指の腹でそっと触れてください。痛むほど強く押さず、傷や腫れがある部分は避けてください。

- 湧泉(ゆうせん)
- 然谷(ねんこく)
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- 然谷(ねんこく)
- 自律神経の乱れ
- 足の内側、土踏まずのあたり。足の親指の付け根のふくらみの骨をかかとに向って指でたどり、その骨の終わりにあるくぼんだ部分
然谷(ねんこく)は、足の内側にある「舟状骨(しゅうじょうこつ)」の出っ張りの、すぐ下のくぼみにあるツボです。 左右どちらの足にもあり、鍼灸では「KI2」と呼ばれます。イラストの赤い点が目安です。
探すときは、次のようにしてください。
- 座って足の力を抜き、足の内側を見ます。
- 内くるぶしより足指側・下方で、土踏まずの上あたりにある骨の出っ張りを探します。これが舟状骨の出っ張りです。
- その出っ張りから、足裏の方向へ少し下がったくぼみが然谷の目安です。
ご記載の「親指の付け根からかかとへたどる」方法に、舟状骨の出っ張りを確認する手順を加えると、場所を取り違えにくくなります。図の青緑の点が骨の目印、そのすぐ下の赤い点が然谷です。
指の腹でそっと確かめ、骨を強く押したり、痛む場所を繰り返し刺激したりしないでください。

- 然谷(ねんこく)


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