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LGBTQQIAAPPO2SとSOGIの知識と理解

目次

LGBTQカミングアウト可否判断・手術を望む/望まない・手術前トランスジェンダーのための心理教育シート・決めなくていい期間用シート・否定的反応(家族・社会)への心理教育のワークができる。

LGBTQ+の人々が社会に存在することは、特別なことではなく当たり前と認め、差別や偏見を撤廃する社会的な動きが進んでいます。近年、LGBTQ+の人々が抱える問題についての認識が高まり、世界的には同性婚や性別違和(性同一性障害)の性別適合手術の医療費の公的負担など法的保護や社会的な支援が進んでいます。
また、SNSやインターネットの普及により、LGBTQ+の人々が自分を表現する場が広がったことも一因となって、社会に浸透するようになりました。さらに、自分を表現することが許容される社会への変化に伴い、LGBTQ+に関する情報や知識を広く共有することが求められるようになってきて、LGBTQ+に関する話題がより一般的になり、最近では、LGBTQQIAAPPO2Sの性的指向や性自認を表す用語も使われるようになっています。ここまで進んでいて、マジョリティの人々も理解を深めることができるようになっています。

このページを含め、心理的な知識の情報発信と疑問をテーマに作成しています。メンタルルームでは、「生きづらさ」のカウンセリングや話し相手、愚痴聴きなどから精神疾患までメンタルの悩みや心理のご相談を対面にて3時間無料で行っています。

「L・G・B・T・Q・+」の用語解説

LGBTQ+とは、性的指向や性自認に関する多様性を含む、性的マイノリティに属する人々のコミュニティを指しますが、ここでは17用語について詳しく説明します。
これらの用語は、LGBTQ+またはLGBTQIAの多様性を表すものの一部であり、個人によってその定義や解釈が異なり正確に当てはまるものではありません。また、下記以外にも性的指向や性自認の違いによる広い多様性や変化があり、LGBTQ+のコミュニティに属する人々は、自分を認識する自己決定権があるため、自分の性的指向や性自認を自由に表現しています。しかし、最近では「LGBTQQIAAPPO2S」で表すようにもなっています。

LGBTを表現する際によく使われる表現は次の通りです。

レズビアン(Lesbian)
女性同士が恋愛や性的な関係を持つことを自己認識する人を指します。LGBTQ+の中で「L」に該当します。
女性同性愛者のことを指し、女性同士のロマンティックな愛情や性的な魅力を感じる人を表します。レズビアンは同性的指向の一つの存在です。

定義
女性であり、主に女性に対して恋愛的・情緒的・性的な惹かれを感じる人を指します。
性別:女性(多くの場合、出生時女性または自認が女性)
性指向:同性(女性)への指向
よくある誤解
「男性嫌い」ではありません
「必ず性的関係を望む」わけではありません(無性愛的レズビアンも存在します)
臨床上のポイント
家族・職場での不可視化(存在を認められない)が心理的ストレス源になりやすい
異性愛規範の中で「将来像が描けない」という喪失感が語られることがある
ゲイ(Gay)
男性同士が恋愛や性的な関係を持つことを自己認識する人を指します。LGBTQ+の中で「G」に該当します。
男性同性愛者のことを指し、男性同士のロマンティックな愛情や性的な魅力を感じる人を表します。ゲイは同性的指向の一つの存在です。

定義
男性であり、男性に対して恋愛的・情緒的・性的な惹かれを感じる人を指します。
性別:男性(出生時男性、または自認が男性)
性指向:同性(男性)への指向
※近年は、性別を限定せず「同性に惹かれる人」の総称として使われることもありますが、臨床では本人の自己定義を尊重します。
よくある誤解
「女性的である」「特定の行動様式を持つ」わけではありません。
性指向と性役割(男らしさ・女らしさ)は無関係です。
臨床上のポイント
思春期における自己否定・内在化された同性愛嫌悪がテーマになりやすい
カミングアウト経験の有無が心理的安全性に大きく影響する
バイセクシャル(Bisexual)
同性、あるいは性自認が異なる人との恋愛や性的な関係を持つことを自己認識する人を指します。LGBTQ+の中で「B」に該当します。
異性と同性に対して、ロマンティックな愛情や性的な魅力を感じることができる人を指します。

定義
「男性と女性(複数の性別)」に限らず、恋愛的・情緒的・性的な惹かれを感じる可能性がある人を指します。
対象は「男性と女性」に限らず、性別の多様性を含む場合もあります。
よくある誤解
「どちらかに決められない人」ではありません。
「必ず同時に複数人を好きになる」わけでもありません。
臨床上のポイント
異性愛者・同性愛者の双方から理解されにくい孤立感
「自分は本当にバイなのか」というアイデンティティ揺らぎが生じやすい
トランスジェンダー(Transgender)
生まれたときに割り当てられた性別と自己認識する性別が一致しない人を指します。厳密には性同一障害とは異なり、性別越境といわれLGBTQ+の中で「T」に該当します。
生まれつきの体の性別と異なる性自認を持つ人々を指すことや、生まれたときの体の性別と異なる性別に属することを自己認識する人を表します。トランスジェンダーには、異性装をするクロスドレッサーや、外見や性格を変えるドラァグクイーンなども含まれます。
・身体的性は男性、性自認は女性「MtF」であるケース
・身体的性は女性、性自認は男性「FtM」であるケース
上記のケースは、身体的性と性自認が不一致であり、外科的手術を望んでいるか、または終えているセクシャリティのことです。

定義
出生時に割り当てられた性別と、自分が認識している性自認が一致しない人を指します。
性自認:自分が「どの性であると感じているか」
身体的特徴・性的指向とは別の概念
よくある誤解
「必ず手術やホルモン治療を望む」わけではありません。
トランスジェンダーであることは精神疾患ではありません
臨床上のポイント
性別違和(ジェンダー・ディスフォリア)の有無と程度は個人差が大きい
医療・家族・社会制度との摩擦が慢性的ストレスになりやすい
クィア(Queer)
性的指向や性自認が一般的な範疇に当てはまらない人々を指し、自己認識する人がクィアを認めるかは個人によって異なります。LGBTQ+の中で「Q」に該当します。

定義:規範からの逸脱・包括的自己定義
性的指向・性自認・性表現が、社会的な異性愛規範や男女二元論に当てはまらないことを包括的に示す自己称です。
固定的なラベルを避けたい人が用いることも多く、「あえて定義しない」立場を含みます。
よくある誤解
侮辱語だと思われがちですが、現在は当事者による肯定的・政治的な再定義として使われています。
ただし、本人が使っていない場合に第三者が用いるのは不適切なことがあります。
臨床上のポイント
アイデンティティを厳密に言語化すること自体が負担になっているケースがある
「まだ決めなくてよい」「揺れていてよい」という余白の承認が重要
用語使用は必ず本人の自己表現に合わせる
クエスチョニング(Questioning)
自分の性的指向や性自認について決められなく、迷っている人を指します。LGBTQ+の中で「Q」に該当することもあります。

定義:探索プロセス
自分の性的指向や性自認について、探索中・検討中の状態を指します。特定の到達点を前提としません。
よくある誤解
「混乱している」「未熟である」わけではありません。
一時的な段階とは限らず、長期にわたる探究の場合もあります。
臨床上のポイント
答えを急がせる関わりは逆効果
周囲からのラベリング圧(「結局どっち?」)が心理的負担になりやすい
カウンセリングでは探索プロセス自体を尊重する姿勢が不可欠
インターセックス(Intersex)
身体的性において男性と女性の両方の性別を有しています。LGBTQIAの中で「I」に該当することもあります。性分化疾患(DSD)と呼ぶこともありますが、解剖学上において、先天的に男性、女性と異なる性器や染色体、ホルモンのいずれか、または複合的に異なっている状態の総称を指しています。そのため、LGBTの表現には適切でないといわれてもいます。

定義:身体的性の多様性
出生時の身体的性の特徴(染色体・ホルモン・外性器・内性器など)が、典型的な「男性/女性」の区分に当てはまらない状態を指します。これは性指向や性自認とは別の概念です。
よくある誤解
トランスジェンダーと同義ではありません。
必ず医療的介入が必要というわけではありません。
臨床上のポイント
幼少期の非同意医療処置によるトラウマが存在する場合がある
自身の身体情報を「後から知らされた」ことによる信頼喪失・怒り
医療史と心理的影響を慎重に分けて聴取する必要があります。
アセクシャル(Asexual)
性的な魅力や欲求を持たないことを自己認識する人を指します。LGBTQIAの中で「A」に該当することもあります。

定義:性的指向(惹かれの有無)
他者に対して性的惹かれ(性的欲求)をほとんど、または全く感じない性的指向です。これは禁欲やトラウマ反応とは区別されます。
よくある誤解
「恋愛感情がない」とは限りません。
「性機能に問題がある」「病理的状態」ではありません。
臨床上のポイント
恋愛的指向(ロマンティック指向)との分離理解が重要
パートナー関係における期待のズレが主訴になることがある
無理に「原因」を探さず、自己理解として尊重する姿勢が基本
Aロマンティック:アロマンティック(Aromantic / Aro)
恋愛に興味を持たないことを自己認識する人を指します。LGBTQIAの中で「A」に該当することもあります。

定義恋愛的惹かれ/ほぼない 性的惹かれ/人により異なる 関係性の前提/不要
*他者に対して恋愛的惹かれをほとんど、または全く感じない人を指します。
重要な補足
「人を好きにならない」「愛がない」という意味ではありません。
友情・家族愛・信頼・ケア・深い情緒的つながりは十分に感じ得ます。
性的指向とは独立しており、
アロマンティック × 異性愛
アロマンティック × 同性愛
アロマンティック × 無性愛
など、組み合わせは多様です。
臨床的誤解例
抑うつ・愛着障害・回避性人格との混同
→ 本人が苦痛を感じていない場合、病理化は不適切
デミロマンティック(Demiromantic)
恋愛に対してある程度の感情を持つが、深い感情は持たないことを自己認識する人を指します。

定義恋愛的惹かれ/信頼後に生じる 性的惹かれ/人により異なる 関係性の前提/情緒的絆
強い情緒的な信頼関係が形成された後にのみ、恋愛的惹かれが生じる人のことを示します。
特徴
初対面・外見・雰囲気では恋愛感情が生じない
「友人 → 長期的関係 → 恋愛感情が芽生える」ケースが多い
よくある混同
慎重な性格/トラウマ回避
→ ただしデミロマンティックは安定時でも一貫した特性として現れます。
デミセクシャル(Demisexual)
特定の条件が揃わないと性的な魅力や欲求を持たないことを自己認識する人を指します。

定義恋愛的惹かれ/人により異なる 性的惹かれ/信頼後に生じる 関係性の前提/情緒的絆
情緒的な絆が形成された後にのみ、性的惹かれを感じる人を示します。
ポイント
性的欲求がゼロではない
ただし「関係性が先・性的惹かれは後」
臨床での注意点
性嫌悪症・性機能障害・トラウマ反応との区別が重要
→ 本人が「自然な自分の在り方」と感じているかが判断軸
グレイロマンティック(Grayromantic / Greyromantic)
恋愛には興味があるが、その程度は強くないことを自己認識する人を指します。

定義恋愛的惹かれ/まれ・弱い 性的惹かれ/人により異なる 関係性の前提/条件付き
*恋愛的惹かれをまれに、弱く、条件付きで感じる人を示します。
特徴
人生で数回だけ恋愛感情を持った
恋愛感情の強度が低く、持続しにくい
自分でも「恋なのか分からない」感覚を持ちやすい
位置づけ
アロマンティックとロマンティックの連続体(スペクトラム)上の中間
グレイセクシャル(Graysexual / Gray-Asexual)
性的な魅力や欲求があるが、その程度は強くないことを自己認識する人を指します。

定義:性的惹かれの頻度・中間的スペクトラム
性的惹かれを感じることが「まれ」「弱い」「条件限定的」である性的指向を指します。アセクシャル(無性愛)と非アセクシャル(性的惹かれが比較的明確)の中間的スペクトラムに位置づけられます。
よくある誤解
「気分屋」「年齢や環境の一時的変化」ではありません。
性欲の有無や頻度と完全一致する概念ではありません
臨床上の留意点
「自分はどちら側なのか」という自己疑念が長期化しやすい
パートナーとの期待値の不一致が主訴になりやすい
ラベル確定を急がず、スペクトラム理解を支援することが有効
ロスロマンティック(Lithromantic / Akoiromantic)
恋愛に対してロマンティックな感情を持たないことを自己認識する人を指します。

定義:恋愛感情と相互性
恋愛感情を抱くことはあるが、その感情が相手から返されることを望まない、または返されると不快・負担を感じるロマンティック指向です。恋愛感情の「有無」と「相互性への欲求」を分けて捉える概念です。
よくある誤解
「恋愛ができない」「人を好きになれない」わけではありません。
愛着障害や回避型愛着と自動的に同一視できるものではありません
臨床上の留意点
相手から好意を向けられた瞬間に距離を取りたくなる体験が語られやすい
「冷たい」「身勝手」と自己否定されやすい構造がある
病理化せず、関係の快適距離の特性として理解することが重要
リスセクシャル(Lithsexual / Akiosexual)
性的な魅力や欲求を持たないことを自己認識する人を指します。

定義:性的惹かれと相互性
性的惹かれを感じることはあるが、その惹かれが相手から返されることを望まない、または返されると不快になる性的指向です。ロスロマンティックの「性的指向版」と理解すると整理しやすい概念です。
よくある誤解
性的トラウマや性的嫌悪の結果と必ずしも一致しません
性欲がないわけでも、性的空想を持たないわけでもありません。
臨床上の留意点
「求められると急に無理になる」という体験が中心テーマになりやすい
パートナー関係での誤解・摩擦が生じやすい
安易な原因探索より、主観的な快・不快の境界理解が優先されます
Xジェンダー:エックスジェンダー(X-gender)ノンバイナリー
男性と女性の二元的な性別分類に当てはまらない、あるいは自己の性別を特定しない人々を指します。Xジェンダーはトランスジェンダーの一部であり、性自認において男女二元論の男性または女性に当てはまらない人を指します。

定義:性自認
自分の性自認が「男性」「女性」のどちらにも完全には当てはまらないと感じる人が、日本を中心に用いてきた性自認の表現です。国際的にはノンバイナリーと重なる概念ですが、日本文化文脈で発達した用語という特徴があります。
よくある誤解
「性別がわからない状態」ではありません。
必ずしも中性・無性を意味するわけでもありません。
臨床上の留意点
日本社会の制度(二元的性別)との摩擦が慢性的ストレスになりやすい
「どちらかを選ばせられる」経験による疲弊
用語の選択は本人の自己表現を尊重することが必須
パンセクシャル(Pansexual)
性的指向の一つで、男性、女性、トランスジェンダーの人々に対して、性的魅力や感情を持つことができる人を指します。パンセクシャルはバイセクシャルと似ていますが、バイセクシャルは男性と女性に対してのみ性的魅力や感情を持つことができる人を指すのに対して、パンセクシャルは男性、女性、トランスジェンダーを含めた全ての性別に対して性的魅力や感情を持つことができる人を指します。

定義:性的/恋愛的指向
相手の性別や性自認に関わらず、恋愛的・性的な惹かれを感じる可能性がある性的指向です。惹かれの焦点が「性別」ではなく、「人そのもの」に向かうと説明されることがあります。
よくある誤解
「誰にでも惹かれる」わけではありません。
バイセクシュアルと完全に同義ではありません(本人の自己定義が重要)。
臨床上の留意点
周囲から軽視・誤解されやすく、アイデンティティの不可視化が起きやすい
「節操がない」といった偏見を内面化している場合がある
価値観・関係性の軸を丁寧に言語化する支援が有効

LGBTQQIAAPPO2Sの表現・マップ

最近では、LGBTQQIAAPPO2Sの性的指向や性自認を表す用語も使われるようになっています。それぞれの文字は次のように表現しています。

以下に LGBTQQIAAPPO2S の全体マップ(臨床家用・実務整理版) を提示しますが、臨床で混同しないための構造理解マップとして設計しています。

LGBTQQIAAPPO2S
L:
レズビアン
女性同士の性的魅力や感情的な関わりを持つ女性を指します。
G:
ゲイ
通常、男性同士の性的魅力や感情的な関わりを持つ男性を指しますが、時には広義で同性愛者を指す場合もあります。
B:
バイセクシュアル
男性と女性の両方に性的魅力や感情的な関わりを持つ人を指します。
T:
トランスジェンダー
自己の性自認が生まれたときの生物学的性別と異なると感じる人を指します。性別の違いを感じています。
Q:
クエスチョニング
自分の性的指向や性自認について不確かさや疑問を抱えている人々を指します。
Q:
クィア
かつては侮蔑的な意味で使われた言葉でしたが、多くの人が肯定的な意味で使い、多様性や性的指向、性自認の多様性を包括的に表す言葉として使用しています。
I:
インターセックス
生物学的に、一般的な男性または女性の定義に合致しない性的特徴を持つ人々を指します。これは染色体、生殖器、ホルモンレベルなどで表れます。
A:
エーセクシュアル
性的な魅力や欲求が極めて少ないか全くない人々を指します。性的指向のスペクトラムにおいて、性的吸引や関心が乏しいことを特徴とします。
A:
アロマンティック
恋愛的な魅力や欲求が極めて少ないか全くない人々を指します。恋愛関係に対する興味や関心が乏しいことを特徴とします。
P:
ポリアモリー
(Polyamory)
一度に複数のパートナーシップを持つことを肯定する関係形態を指します。

定義:関係構造・合意モデル
関係者全員の同意と透明性のもとで、複数の恋愛関係を同時に築く関係志向/関係構造を指します。
性的指向ではなく、関係のあり方に関する概念です。
よくある誤解
浮気や不誠実さと同義ではありません。
必ず性的関係を複数持つという意味でもありません。
臨床上の留意点
嫉妬・境界・合意の再交渉が中心テーマになりやすい
社会規範とのズレによるスティグマ内在化
問題の所在を「構造」ではなくコミュニケーション過程として扱う視点が重要
P:
パンセクシュアル
性的魅力や感情的な関わりを、性別や性自認によらずに感じることができる人々を指します。「全性愛」であり、相手のセックスやジェンダーを意識していません。
O:
オムニセクシュアル
(Omnisexual)
性的魅力や感情的な関わりを、性別や性自認によらずに感じることができる人々を指します。「全性愛」ですが、相手のセックスやジェンダーを意識しています。例えば、男性・女性らしい容姿を意識しているなどのような場合も該当します。

定義:性的指向(性別認識あり)
あらゆる性別・性自認の人に惹かれる可能性がある性的指向で、
その際に相手の性別を明確に認識・考慮する点が、パンセクシュアルとの主な違いとして語られます。
よくある誤解
「パンセクシュアルと全く同じ」ではありません。
「誰にでも惹かれる」という意味ではありません。
臨床上の留意点
用語差異の説明を求められること自体が負担になることがある。
自己定義の尊重が最優先(違いを説明できなくてもよい)。
周囲からの軽視により、自己表現を控える傾向が生じやすい。
2スピリット
(Two-Spirit / 2S)
Two-Spiritは北アメリカの先住民の文化や信仰体系に由来しており、コミュニティにおける性や性自認に関連する伝統的な概念です。身体的性別は男性、または女性ですが、それとは異なる性質やアイデンティティを尊重する文化的な視点で、男性と女性の性的な特性を兼ね備えていて、性別の二元論の超越、またはジェンダーの両方を結集した人々を表すのに使用されます。

定義:文化的・精神的ジェンダー
北米先住民(ネイティブ・アメリカン)文化に由来する包括的概念で、精神的・社会的・文化的役割として、複数のジェンダー的要素を併せ持つ存在を指します。
※ 性的指向や性自認の一般用語ではなく、文化固有のアイデンティティです。
よくある誤解
ノンバイナリーやトランスジェンダーの別名ではありません。先住民以外が安易に自己ラベルとして用いることは文化的盗用となる可能性があります。
臨床上の留意点
植民地主義・文化抑圧の歴史的トラウマと結びつく場合がある用語の使用可否は文化的背景の確認が必須
「理解すること」と「自分が使うこと」を区別する姿勢が重要

LGBTQQIAAPPO2S:全体マップ【臨床家用・構造整理版】

整理
押さえるべき大原則(臨床の軸)

LGBTQQIAAPPO2S は「一つの軸」ではありません。少なくとも次の 5つの独立した次元 から構成されます。

  1. 生物学的性(身体)
  2. 性自認(ジェンダー・アイデンティティ)
  3. 性表現(ジェンダー・エクスプレッション)
  4. 性的指向(セクシュアリティ)
  5. 恋愛指向(ロマンティック指向)
  6. 関係構造・文化的文脈(※拡張軸)

臨床での混乱の9割は、「別軸のものを同一軸として扱うこと」 から生じます。

整理
LGBTQQIAAPPO2S を「軸別」に分解する

【A】性自認(Gender Identity の軸)

用語概要
T トランスジェンダー出生時割当性別と性自認が一致しない
Xジェンダー男女どちらにも完全に当てはまらない(日本的文脈)
ノンバイナリー男女二元に収まらない
2S 2スピリット先住民文化に基づく霊的・文化的ジェンダー

性的指向とは完全に別軸

【B】身体的性の多様性(Sex Characteristics)

用語概要
I インターセックス染色体・性腺・外性器などが典型的男女区分に当てはまらない

※ 医療トラウマ・非同意処置の有無は重要な臨床評価点

【C】性的指向(Sexual Orientation)

用語概要
L レズビアン女性→女性への惹かれ
G ゲイ男性→男性への惹かれ
B バイセクシュアル複数性別への惹かれ
P パンセクシュアル性別に関わらず惹かれる
O オムニセクシュアル全性別に惹かれる(性別認識あり)
A アセクシュアル性的惹かれがほぼ/全くない
グレイセクシュアル惹かれが稀・弱い・条件的
リスセクシュアル惹かれはあるが相互性を望まない

【D】恋愛指向(Romantic Orientation)

用語概要
アロマンティック恋愛的惹かれをほぼ感じない
ロスロマンティック惹かれはあるが返されると負担
デミロマンティック深い関係後に恋愛感情が生じる
グレイロマンティック恋愛感情が稀・曖昧

※ 性的指向と必ずしも一致しない

【E】関係構造・関係志向(Relationship Orientation)

用語概要
P ポリアモリー合意のある複数恋愛関係
モノガミー一対一関係
ソロポリ自立性重視の関係構造

※ これは「嗜好」ではなく関係設計モデル

【F】包括・探索・政治的自己定義

用語概要
Q クィア規範外全般を含む包括的自己称
Q クエスチョニング探索・検討中の状態
整理
LGBTQQIAAPPO2S を一望する【統合マップ】

身体 ── I

  

性自認 ── T / X / NB / 2S

  

性表現 ── 男性性・女性性・中性・流動

  

性的指向 ── L G B P O A Gray Lith

  

恋愛指向 ── Romantic / Aro / Lith / Demi / Gray

  

関係構造 ── Mono / Poly / Solo

※どの層も独立しており、自由に組み合わさる

整理
臨床で必須の視点(チェックリスト)
  1. □ 今扱っているのは どの軸か
  2. □ 無意識に別軸を混ぜていないか
  3. □ 「治す・決める・修正する」前提になっていないか
  4. □ クライエントの自己定義を尊重しているか
  5. □ ラベル不使用も選択肢として認めているか
整理
臨床家としての安全な言語姿勢
  • 「それは〇〇ですか?」ではなく
    「どんな感じと表現するのが一番近いですか?」
  • 「普通は…」を使わない
  • 探索段階を未熟・不安定と見なさない
整理
このマップの使い道(実務)
  • 初回面接での構造整理
  • カップル・家族面接でのズレの可視化
  • 自己否定・病理化の解除
  • クライエント配布用資料の原型

トランスジェンダーのセルフチェックリスト

トランスジェンダー(Transgender)の自己評価のためのセルフチェックリストは、性同一性やジェンダーに関する感情や経験を理解するのに役立ちます。次に30問のセルフチェックリストを示します。各質問に対して、各質問に対して、「はい」か「いいえ」で回答してください。

重要な前提

  • このチェックは「診断」や「確定ラベリング」のためのものではありません
  • 自己理解・語りの整理のための“仮の地図”です。
  • 「どれにも当てはまらない」「今は答えられない」も有効な結果です。
  • 回答は変化してよい(人生のある一時点の状態を映すもの)。
トランスジェンダーのセルフチェックリスト30問
1.自分の性別に違和感を感じることが多い。
2. 自分が本来の性別とは異なる性別であると感じる。
3.子供の頃から現在の性別に違和感を覚えていた。
4.自分の体の性別的特徴に不快感を持っている。
5. 性別に関する考えや悩みが日常生活に影響を与えている。
6.他人が自分を本来の性別で見てくれると感じると嬉しい。
7.自分の性別を隠すために行動を変えることがある。
8.自分の性別を表現することが困難だと感じる。
9. 性別に関する悩みが精神的なストレスを引き起こす。
10.現在の性別に違和感があり、別の性別になりたいと思うことがある。
11. 自分の性別を他人に理解してもらうのが難しいと感じる。
12.自分の性別を表現するために服装や外見を変えることがある。
13.他人が自分の性別について正しく認識していないと感じることが多い。
14.自分の性別について他人に説明するのが難しいと感じる。
15.自分の性別に違和感を感じることで、社会的な場面を避けることがある。
16.性別に関する悩みが自尊心に影響を与える。
17.自分の性別についての考えが日常生活の大部分を占める。
18.自分の性別を理解してくれるコミュニティやサポートグループを探している。
19.他人から自分の性別を否定されることが恐怖である。
20.自分の性別を認めることが精神的な解放感をもたらすと感じる。
21.性別に関するカウンセリングや支援を受けたいと考えている。
22.自分の性別に違和感を感じることで、家族や友人との関係が影響を受けている。
23.性別を変更することについて真剣に考えたことがある。
24.自分の性別について話すときに不安や恐怖を感じることがある。
25.自分の性別を正しく表現することができると感じる瞬間がある。
26.自分の性別についての悩みが職場や学校でのパフォーマンスに影響を与える。
27.性別を変更するための医療や手術について考えたことがある。
28.自分の性別に対する他人の反応が気になる。
29.自分の性別を正しく認識してもらうことが、幸せや満足感に繋がると感じる。
30.自分の性別に関する悩みや不安を共有できる信頼できる人がいる。
トランスジェンダーのセルフチェックリスト30問

このセルフチェックリストを通じて、自分の性同一性やジェンダーに関する感情を振り返り、必要であれば専門家の助けを求めることを検討してください。ジェンダーに関する悩みや疑問は非常に個人的で複雑なものであり、専門的なサポートやカウンセリングを受けることで、自分自身の理解を深め、適切なサポートを得ることができます。

LGBTQ+セルフチェックリスト: 自己理解のための探索版(臨床家設計)

回答方法

以下の各項目について、もっとも近いものを選んでください。

  • 0:まったく当てはまらない
  • 1:あまり当てはまらない
  • 2:どちらとも言えない
  • 3:やや当てはまる
  • 4:とても当てはまる

※無理に答えなくても構いません。

重要な前提

  • このチェックは「診断」や「確定ラベリング」のためのものではありません
  • 自己理解・語りの整理のための“仮の地図”です。
  • 「どれにも当てはまらない」「今は答えられない」も有効な結果です。
  • 回答は変化してよい(人生のある一時点の状態を映すもの)。
LGBTQ+セルフチェックリスト 自己理解のための探索版
A.性的惹かれ(Sexual Orientation)
1.特定の性別の人に、性的な魅力を感じることがある
2.複数の性別の人に惹かれることがある
3.相手の性別より「その人自身」に惹かれることが多い
4.性的な惹かれを感じることは、あまりない
5.性的惹かれは、特定の条件や関係性ができた後に生じやすい
B.恋愛的惹かれ(Romantic Orientation)
6.誰かを「恋愛的に好きになる」感覚がある
7.恋愛感情はあるが、相手から返されると負担を感じやすい
8.恋愛感情そのものを、あまり経験しない
9.深い信頼関係ができてから恋愛感情が生じる
10.恋愛感情の有無や形は、人によって大きく違ってよいと思う
C.性自認(Gender Identity)
11.自分は「男性」「女性」のどちらかだと自然に感じる
12.「男性」「女性」のどちらにも完全には当てはまらない感覚がある
13.出生時に割り当てられた性別と、自分の感覚にズレを感じる
14.性別について考えること自体に違和感や疲れを感じる
15.性別は固定ではなく、流動的でもよいと思う
D.身体と性の感覚(Sex Characteristics への意識)
16.自分の身体的な性の特徴について、説明しづらさがある
17.医療や周囲から「普通の性別」に当てはめられた経験がある
18.身体の性について、長く誰にも話せなかったことがある
E.関係性・関係構造(Relationship Orientation)
19.一対一の恋愛関係だけが自然だとは感じない
20.複数の人と、誠実な合意のもとで関係を築くことも可能だと思う
21.恋愛やパートナーがいなくても、人生は十分に成り立つと感じる
F.探索・包括的自己認識(Exploration/comprehensive selfの認識)
22.今も自分のセクシュアリティや性のあり方を考えている
23.はっきりしたラベルを決めることに抵抗がある
24.「クィア」という言葉に、どこかしっくりくる感覚がある
25.今はまだ分からない、という状態を認めたい

簡易的な読み取りガイド(※確定しない)

  • 4が多い項目の領域
     → 今の自己理解で「近さ」を感じている軸
  • 2が多い領域
     → 探索中・揺れ・保留が自然なテーマ
  • 0〜1が多い領域
     → 今は重要度が低い、または関心外

複数領域が同時に高くなることは自然です。

専門家用:項目別の臨床的聴き取り意図解説

先に提示した LGBTQ+セルフチェックリスト(探索版)について、専門家用:項目別の臨床的聴き取り意図解説をまとめまています。

本資料は、「分類」や「判定」を目的とせずクライエントの語りを深め、自己否定や病理化を防ぐための面接補助資料として設計しています。

LGBTQ+セルフチェックリスト項目別・臨床的聴き取り意図解説

項目解説
A.性的惹かれ(Sexual Orientation)

1. 特定の性別の人に、性的な魅力を感じることがある

意図

  • 性的惹かれの「存在感」を把握する
  • 異性愛規範に基づく自己検閲の有無を探る

聴き取り視点

  • 「いつ頃から」「どの程度明確か」
  • 抑圧・否認・後付け合理化の兆候がないか
項目解説
2. 複数の性別の人に惹かれることがある

意図

  • バイ/パン/オムニ的体験の可能性
  • 惹かれの“幅”の自己認識

聴き取り視点

  • 同時性か、時期による変化か
  • 「迷い」として語られていないか
項目解説
3. 相手の性別より「その人自身」に惹かれることが多い

意図

  • 性別非中心型の惹かれ(パン/オムニ的感覚)
  • 価値観・人格志向の強さ

注意点

  • 「性別を見ていない=進んでいる」と価値づけない
  • 本人の意味づけを優先
項目解説
4. 性的な惹かれを感じることは、あまりない

意図

  • アセクシャル/グレイセクシャルの可能性
  • 性的惹かれと性欲の分離理解

鑑別視点

  • 抑うつ・トラウマ・薬剤影響との区別
  • 「困っているかどうか」が重要
項目解説
5. 性的惹かれは、特定の条件や関係性ができた後に生じやすい

意図

  • デミセクシャル的傾向
  • 安全・信頼との連動性

臨床的留意

  • 愛着理論と短絡的に結びつけない
  • 「遅い」「重い」と自己否定していないか
項目解説
B.恋愛的惹かれ(Romantic Orientation)

6. 誰かを「恋愛的に好きになる」感覚がある

意図

  • 恋愛感情の有無の自己認識
  • 社会的期待との差の確認
項目解説
7. 恋愛感情はあるが、相手から返されると負担を感じやすい

意図

  • ロスロマンティック的体験
  • 相互性への違和感

注意点

  • 回避型愛着と即断しない
  • 主観的な「快・不快」の尊重
項目解説
8. 恋愛感情そのものを、あまり経験しない

意図

  • アロマンティック傾向
  • 恋愛規範による自己疑念の有無
項目解説
9. 深い信頼関係ができてから恋愛感情が生じる

意図

  • デミロマンティック的傾向
  • 情緒的安全性の重要度
項目解説
10. 恋愛感情の有無や形は、人によって大きく違ってよいと思う

意図

  • 規範からの心理的距離
  • 自己肯定・他者肯定の基盤
項目解説
C.性自認(Gender Identity)

11. 自分は「男性」「女性」のどちらかだと自然に感じる

意図

  • シスジェンダー的安定感の確認
  • 問題がない=検討不要、ではない点に注意
項目解説
12. 「男性」「女性」のどちらにも完全には当てはまらない感覚がある

意図

  • Xジェンダー/ノンバイナリーの可能性
  • 言語化困難の有無
項目解説
13. 出生時に割り当てられた性別と、自分の感覚にズレを感じる

意図

  • トランスジェンダー的体験
  • 性別違和の強度確認

重要

  • 医療移行の意向を即座に結びつけない
項目解説
14. 性別について考えること自体に違和感や疲れを感じる

意図

  • ジェンダー疲労
  • 社会制度ストレス
項目解説
15. 性別は固定ではなく、流動的でもよいと思う

意図

  • ジェンダーフルイド的理解
  • 規範からの心理的解放度
項目解説
D.身体と性の感覚

16. 自分の身体的な性の特徴について、説明しづらさがある

意図

  • インターセックス体験の可能性
  • 身体語りへの抵抗
項目解説
17. 医療や周囲から「普通の性別」に当てはめられた経験がある

意図

  • 医療的・家族的圧力の確認
  • トラウマ評価の入口
項目解説
18. 身体の性について、長く誰にも話せなかったことがある

意図

  • 秘密保持体験
  • 恥・恐怖・孤立感
項目解説
E.関係性・関係構造

19. 一対一の恋愛関係だけが自然だとは感じない

意図

  • 規範的モノガミーからの距離
  • 関係観の多様性
項目解説
20. 複数の人と、誠実な合意のもとで関係を築くことも可能だと思う

意図

  • ポリアモリー的理解
  • 合意・境界意識の成熟度
項目解説
21. 恋愛やパートナーがいなくても、人生は十分に成り立つと感じる

意図

  • 非恋愛中心人生観
  • 自立・孤立の鑑別
項目解説
F.探索・包括的自己認識

意図

  • クエスチョニング段階
  • 探索疲労の有無
項目解説
23. はっきりしたラベルを決めることに抵抗がある

意図

  • クィア的自己認識
  • ラベリング被害歴の可能性
項目解説
24. 「クィア」という言葉に、どこかしっくりくる感覚がある

意図

  • 規範外自己肯定の芽
  • 政治性より心理的安心感を重視
項目解説
25. 今はまだ分からない、という状態を認めたい

意図

  • 不確定耐性
  • セラピー的成熟度の指標

総合的な読み取りのコツ(専門家向け)

  • 高得点=確定ではない
  • 注目すべきは
    • 強く反応した項目
    • 答えにくかった項目
    • 感情が動いた項目
  • 「どのラベルか」より
    「どの体験が生きづらさ/安心につながっているか」

SOGI(性的指向と性自認)とは

「SOGI」(ソジ)とは、Sexual Orientation and Gender Identity(性的指向と性自認)の略語で、LGBTQ+の人々が抱える性的指向や性自認に関する問題を包括的に扱う用語です。
LGBTQ+の人々が直面する差別や偏見は、性的指向と性自認が異なることによるものが多いため、SOGIという用語で人々が抱える問題を包括的に扱うために用いられています。
SOGIには、性的指向や性自認に対する理解の欠如による偏見や差別、家族や友人、職場や学校でのカミングアウトの困難さ、性的指向や性自認によるヘイトクライムや暴力など、さまざまな問題が含まれます。

SOGIに関する啓蒙活動や法制度の整備が進むことで、LGBTQ+の人々が自分を自由に表現し、安心して生きられる社会が実現することを目指しています。

性自認

法律上の性別と性自認については国や地域によって異なりますが、一般的に法律上の性別は、出生時の生殖器の形態に基づいて決定されます。つまり、生まれた時に医師が確認した性器の形状によって男性か女性かを判断し、法律上の性別としています。もう少し詳しく言うと、身体的特徴の他に、染色体、遺伝子、性ホルモンの影響によって決定されます。

一方、性自認は、個人が自分をどのように認識するかということで、自分が男性、女性、あるいはどちらでもないと感じるかということです。性自認と法律上の性別が一致しない場合に、個人は法律上の性別によって扱われるため性自認が認められなく心の葛藤ばかりではなく、社会から差別や不平な扱いを受けることにつながってきました。

近年は多くの国や地域で、性自認に基づく性別の選択が認められるようになっていて、法律上の性別を変更する手続きが設けられたり、公的な証明書や文書で性別を変更できるようになったりしています。また、一部の国では、性自認に基づいて法律上の性別を選択できるようになってきていますが、まだ多くの国や地域で性自認に基づく法的な保護が不十分であるため、個人の人権を守るために改善が必要とされています。

性別意識・性別同一性と指定された性別・性別役割

性別意識・性別同一性
・主観的認識として、自分がどちらの性別がふさわしいか、どうあるべきかという意識
指定された性別・性別役割
・性別に関連して社会から指定された役割、生物学的性別がその形成に大きく影響する

性的指向(異性・同性・両性・無性愛)とは

性的指向(性的方向)とは、個人がどのような性別の人に興味を持つかを表す概念であり、自己が捉えている性的魅力や欲求に対する向き合い方の傾向です。

異性愛
(ヘテロセクシュアル)
異性に対して性的魅力や欲求を感じる人を指す
同性愛
(ホモセクシュアル)
同性に対して性的魅力や欲求を感じる人を指す
両性愛
(バイセクシュアル)
異性と同性の両方に対して性的魅力や欲求を感じる人を指す
無性愛
(アセクシュアル)
性的魅力や欲求を感じない人を指す
SOGI
性的指向(性的方向)

性的指向は個人にとって自然であり健康的であると考えられていますので、性的指向に基づく差別や偏見は、人権の侵害とされています。
一方で、性的指向は個人差が大きく、同じ性的指向でも性的魅力の対象や欲求の強さについては人によって異なるだけではなく、性的指向は時として変化することもあります。

性的指向についての理解は、性的マイノリティの権利を尊重し、偏見や差別をなくすために重要です。

性表現

性表現は性的マイノリティの方々にとって、外部からの偏見や差別を受けることがあるため、その自由を制限されることがあります。性表現の自由は人権の一つであり、性的マイノリティの権利を尊重し偏見や差別をなくすために重要です。

性表現

性表現とは、個人が自分を性的に表現する方法のことを指します。個人の性表現には、身体的な特徴や外見、服装、言葉遣い、行動、または性的行為などが含まれます。

性表現には、社会的期待や性別役割に従って男性らしい行動や女性らしい行動といったステレオタイプが存在することがありますが、性表現は個人によって異なるため、社会的期待やステレオタイプに捉われず自分の思うがままに表現できることが期待されます。

18歳未満の性違和感の検討(拮抗薬療法)

性別違和感(Gender Identity Disorder, GID)に対する治療の一環として、18歳未満の患者で性別違和感を軽減するために行われる治療として、脳下垂体からのゴナドトロピンを抑制する方法について解説します。この治療は通常「ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)拮抗薬療法」と呼ばれます。

治療の目的

主な目的は、患者が性別違和感を軽減し、十分な時間をかけて性同一性を確認することです。この治療を受けることで、二次性徴の発現を一時的に遅らせ、患者が将来的に(例えば、性別適合手術を行うかどうかなど)検討する時間を確保します。この治療を中止すれば、二次性徴は再開されますので安心です。

ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)拮抗薬とは

GnRH拮抗薬は、脳下垂体から放出されるゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の作用を抑制する薬です。GnRHは性腺に対して刺激を与え、性ホルモンの分泌を引き起こします。この治療法では、このGnRHの作用を一時的に抑制し、性ホルモンの分泌を制御します。

治療の進行
  1. 評価と診断
    まず、患者は心理的な評価と性同一性障害(Gender Dysphoria)の診断を受けます。
  2. 家族との協力
    家族のサポートが重要であり、治療の成功において協力が得られるようにします。
  3. 医師の管理
    医師がGnRH拮抗薬の投与を管理し、患者の健康状態をモニタリングします。
注意点とリスク
  1. この治療は一時的なものであり、患者が治療を中断すれば、通常は性ホルモンの分泌が再開されます。
  2. 未成年者における性同一性に関する重要な意思決定は慎重に検討されるべきであり、家族や専門医のサポートが必要です。
継続的なサポート

心理療法やサポートグループへの参加が推奨され、患者が性同一性に関する感情や認識を探る手助けとなります。

この治療法は、性同一性に関する意思決定を患者にゆっくりと時間を与え、十分なサポートが提供される中で行われるべきです。医師、心理療法士、家族などが緊密に連携し、患者の個々の状況に合わせたアプローチが求められます。

次ページは、カミングアウト可否判断・「手術を望む/望まない」手術前トランスジェンダーのための心理教育シート・決めなくていい期間用シート否定的反応(家族・社会)への心理教育のワークができます。

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