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DSD性分化疾患の性的マイノリティの矛盾点

目次

性分化疾患(DSD)/個々の性の様々な発達(DSDs)の概要と医学的・社会的位置の解説に加え、LGBT表現や性的マイノリティに混同される表現への矛盾点と見解

DSD(性分化疾患)Disorders of sex deve lopment は、胎児期の性分化の過程で染色体、性腺(ホルモン)、遺伝子、そして胎児の生育環境の相互作用によって制御され、これらの要素が正常に機能されなかった結果、性器やその他の性徴が通常の男性または女性のものとは異なる個体の状態を指す一般的な用語です。要するに、「卵巣または精巣や性器の発育において非典型的な状態である」と言えます。これは、胎児期や新生児期の性分化の過程で何らかの異常が生じた結果、生殖器やその他の性徴が一致しない状態を指します。

DSDは40種類以上のタイプに分類され、例えば、男性の染色体パターン(XY)を持ちながら外性器が女性的なものを持つ人や女性の染色体パターン(XX)を持ちながら外性器が男性的なものを持つ人、異なる性腺が同じ個体に存在する状態、女性型の染色体と男性型の染色体(XYY)が混在していることもあります。その他にも、内性器や性ホルモンの異常な分泌によって生じるDSDもあります。

Disorders of sex deve lopment は、性の発達の違いの略語であり、最近ではDSDsの用語で「個々の性の様々な発達のプロセス」をより包括的なアプローチで多様性を尊重することを意味しています。このことは、性分化疾患が異常や障害として扱われるのではなく、性の多様性や個々の発達における微妙な違いを示唆しています。また、この用語は、性に関する伝統的な二元論の枠組みを超え、性別という概念が多様であり、単純な男性と女性の二分法には収まりきれないことをも示唆しています。

日本における患者数は6500人に1人、国際的には出生4500人に1人と推定されていますが、広義では、二次性徴の異常も含まれることがあります。

  • DSDの患者推定数は、難病情報センター:内分泌患者分野;性分化疾患(平成24年度)より引用

今回、DSD(性分化疾患)を取り上げた理由の中に、別ページのLGBTQ+/SOGI、またはLGBTQIAPKの中にインターセックスという呼称があります。Iは、DSDの意味も含まれていますが、DSDはあくまでも身体の発達の違いを指すことで、性自認や性的指向の問題と混同されがちで矛盾もしています。そのため、LGBT的な表現には適切ではないと疑問や違和感を持つ方も多いと思いますので、DSDを少しでも理解できるように解説していきます。ただし、専門分野ではないために誤解を招く表現や情報に注意をお願いします。

各、性分化

一般的に「性」と言えば、男性または女性ということになりますが、性を大きく分類すると「生物学的性」「性自認」「性指向」の3つの組み合わせで構成されています。また、「性分化」に焦点を合わせると「遺伝性の性」「生殖腺の性」「表現の性」と3要素からなります。要するに3分類と3要素からの視点が必要なことになります。
そこで「性分化疾患」に焦点を合わせると、出産後にDSDと判明した場合、医師が社会的な性を決定しなければなりません。ここで診療の難しさ、医療現場の苦悩が大いに出てきます。例えば、「法律上の性」はもちろんのこと、「脳の性分化(性自認)」まで考えなければなりません。そこで、染色体、性腺、内性器、外性器、脳の性分化と社会的性と精神心理的な性について解説します。

染色体による性分化

染色体による性分化は、一般的に染色体は46本(22対44本の常染色体)で、男性はXY染色体パターンを持ち、女性はXX染色体パターンを持ちます。この染色体の構成は受精卵が形成される際に決定され、その後の発生過程で体の性徴の形成に影響を与えます。

染色体による性分化は通常はっきりしていますが、染色体異常により異なる結果が生じることがあります。例えば、XO染色体パターン(染色体45本・ターナー症候群)やXYY染色体パターン(染色体47本・クラインフェルター症候群)、XXX染色体パターン(染色体47本・表現型に異常はありません)XXXXY染色体パターン(染色体49本・クラインフェルター症候群亜型)などがあり、これらは一般的な男性または女性の性徴とは異なる状態を引き起こします。

  • 男性的な染色体パターン(XY)
    • XY染色体パターンを持つ個体は通常、男性として発育します。XY染色体は男性性を決定する遺伝子を持っており、男性の性器と性徴の発達を促進します。
  • 女性的な染色体パターン(XX)
    • XX染色体パターンを持つ個体は通常、女性として発育します。XX染色体は女性性を決定する遺伝子を持っており、女性の性器と性徴の発達を促進します。

医師や専門家は、染色体検査を行い、患者の染色体構成を確認して、適切な性分化を決定する際の重要な情報を提供します。しかし、染色体だけでなく、ホルモンレベルや身体の形態など、他の要素も考慮されます。

性腺の性分化

性腺の性分化は、胎児の発生過程において、初期的には共通の原基から始まりますが、後に男性の精巣と女性の卵巣に分化します。性腺の分化は主に遺伝子、ホルモン、そしてその他の発生過程に関与する因子によって制御されます。

  • 男性の精巣
    • 男性の胎児では、Y染色体に存在するSRY遺伝子によって促進され精巣の分化が始まります。SRY遺伝子は精巣の発達を促進する男性性決定因子で、精巣はテストステロンやその他の男性ホルモンの分泌を通じて男性の性徴の形成を促進し、精巣は精子の生産を行います。
  • 女性の卵巣
    • 女性の胎児では、精巣の分化を促進する男性性決定因子が存在しないため、共通の性腺原基が卵巣に発達します。卵巣は女性ホルモンであるエストロゲンの主要な生産元であり、卵子の成熟と排卵を促進し、卵巣は女性の性徴の発達を促します。

性腺の性分化は複雑なプロセスであり、様々な遺伝子やホルモンの相互作用によって制御されます。異常な発生や機能の変化は、DSDやその他の性分化疾患の原因となることがありますので、医師や専門家は、性腺の発生と機能について正確な評価を行い、適切な治療や支援を提供する役割を果たさなければなりません。

内性器の性分化

内性器の性分化は、男性と女性の間で異なる器官が形成される過程を指します。これらの内性器は、尿道、膀胱、そして生殖器系となります。

内性器の性分化は、胎児の発生過程の初期に始まり、胎児期の中盤から後半にかけて進行します。性ホルモンの適切な分泌と受容性が必要であり、これらの過程に異常がある場合、DSDやその他の性分化疾患が生じる可能性があります。

  • 男性の内性器
    • 男性の内性器は、男性ホルモンであるテストステロンの影響を受けて形成されます。テストステロンは精巣から分泌され、男性の性徴や内性器の形成に重要な役割を果たします。
    • 前立腺、精嚢、および尿道前立腺部は、テストステロンの影響を受けて発達します。これらの内性器は男性の生殖系と尿道系を構成し、精子を運ぶための管や分泌物を生成します。
  • 女性の内性器
    • 女性の内性器は、男性ホルモンの影響を受けない胎児の基本的な原始器官から発達します。エストロゲンとプロゲステロンといった女性ホルモンは、卵巣から分泌され、女性の性徴や内性器の形成に影響を与えます。
    • 子宮、卵管、および膣は、女性の胎児の内性器の主要な構成要素です。これらの内性器は、受精卵の受け入れや胎児の成長、そして出産時の役割を果たします。

外性器の性分化

外性器の性分化は、男性と女性の間で異なる外部性器が形成される過程を指します。これらの外性器は、男性器と女性器として知られています。

外性器の性分化は、胎児期の初期に始まり、胎児期の中盤から後半にかけて進行します。性ホルモンの適切な分泌と受容性が必要であり、これらの過程に異常がある場合、DSDやその他の性分化疾患が生じる可能性があります。

  • 男性の外性器
    • 男性の外性器は、男性ホルモンであるテストステロンの影響を受けて形成されます。胎児期におけるテストステロンの作用により、男性の外性器は男性器として発達します。
    • 男性の外性器には陰茎、精索、および陰嚢となります。陰茎は尿道と共に尿や精子を体外に排泄する役割を果たし、精索は陰茎を支える組織です。陰嚢は睾丸(精巣)を保護し、精子の生産に必要な温度を維持します。
  • 女性の外性器
    • 女性の外性器は、男性ホルモンの影響を受けない胎児の基本的な原始器官から発達します。女性の外性器は、胎児期に特定の遺伝子やホルモンの作用によって形成されます。
    • 女性の外性器には陰核、陰唇、および膣となります。陰核は女性の性的快感を与える組織であり、陰唇は陰核や膣を保護する役割を果たします。膣は子宮口から外部に続く管であり、受精卵や生殖細胞を受け入れる役割を果たします。

脳の性分化

脳の性分化は、胎児期および幼少期における脳の発達過程で性的な特徴が形成される過程を指します。これは、性ホルモンや遺伝子、その他の因子によって制御されます。

脳の性分化は複雑なプロセスであり、性ホルモンや遺伝子の影響によって決定されるのですが、性ホルモンの適切な分泌や受容性が重要であり、これらの過程に異常がある場合、性分化疾患や性別に関連する健康問題が生じる可能性があります。

  • 性ホルモンの影響
    • 性ホルモンは胎児期や幼少期の脳の発達に重要な影響を与えます。男性ホルモンであるテストステロンと女性ホルモンであるエストロゲンは、脳の特定の領域や神経回路の発達に関与します。
    • 男性胎児は、精巣から分泌されるテストステロンによって脳が男性的な特徴を持つように影響されます。一方、女性胎児は、卵巣から分泌されるエストロゲンによって女性的な特徴を持つように影響されます。
  • 性ホルモン受容体の存在
    • 脳内には性ホルモン受容体が存在し、性ホルモンが脳の特定の領域に結合して影響を与えます。これにより、性ホルモンは脳の神経伝達物質の放出やシナプスの形成など、脳の機能に影響を与えます。
  • 性分化の影響
    • 脳の性分化は、性的指向、性的アイデンティティ、そして性差に関連する行動や特性に影響を与える可能性があります。これは、個人の性別に関する感情や行動パターン、性的関心の形成に影響を与えることになります。
  • 研究と理解
    • 性分化の脳のメカニズムはまだ完全には理解されていませんが、今後の研究により、性的指向や性別に関連する健康上の問題や疾患に対する理解と治療法が向上する可能性があります。

社会的な性(戸籍・法律上の性)

社会的な性、または法律上の性とは、個人が社会的に認識され、法律上の文書や記録に基づいて性別を特定する方法のことですが、一般的に、出生証明書や戸籍、パスポートなどの公的文書に記載された性別が、その個人の法律上の性とみなされます。

社会的な性は、個人が社会的に認識され、法的な文書に基づいて性別を特定する方法であり、この性別の指定は、個人の社会的なアイデンティティや権利、法的な地位に影響を与える重要な要素です。

  • 出生時の性別の記録
    • 出生時に、医師が新生児の生殖器の外観に基づいて性別を指定することで、保護者が出生証明書や戸籍に記録できます。この性別の記録はその後、個人の社会的な性として広く使用されます。
  • 法的な文書への性別の記載
    • 社会的な性は、法的文書や記録に記載された性別に基づいて特定されます。例えばがあります。
  • 性別の変更
    • 一部の個人は、自らの性別に不一致感を持ち、法的な性別を変更するために性別適合手術などの医療処置を受けることを選択し、法的手続きをする場合があります。
  • 社会的な認識と扱い
    • 社会的な性は、個人が社会的な文脈で認識され、性別に基づいて扱われる方法を指していて、名前や言葉使い、男性・女性のメージ、性別に基づく身分証明書の提示など、日常生活のさまざまな側面に影響を与えます。

精神・心理的な性(ジェンダー・心の性)

精神・心理的な性、またはジェンダー・アイデンティティとは、自己の性別や性に対する内的な感覚や認識を指し、外部の生物学的性や社会的な性とは異なり、自己の内面的な感覚やアイデンティティに基づいて形成される性の側面です。

精神・心理的な性、すなわちジェンダー・アイデンティティは、自己の内面的な経験や感情に基づいて形成される性の側面であり、性別や社会的な性とは異なる概念です。

  • ジェンダー・アイデンティティ
    • ジェンダー・アイデンティティは、自分自身を男性、女性、あるいはその他のジェンダーとして認識する内的な感覚です。ジェンダー・アイデンティティは、自己の内面的な経験や感情に基づいて形成され、性別とは一致しないことがあります。
  • 性的指向とは異なる
    • ジェンダー・アイデンティティは、性的指向とは異なる概念です。性的指向は、他の人との性的魅力や関心の方向性を表し、ジェンダー・アイデンティティは、自己の性別に対する内的な感覚や認識を表します。
  • ジェンダー・ダイスフィア(性別の不一致)
    • ジェンダー・ダイスフィアとは、個人のジェンダー・アイデンティティが、生物学的な性別とは異なる場合を指します。つまり、生まれた性別とは異なるジェンダー・アイデンティティを持つことを表します。
  • ジェンダーに関する多様性
    • ジェンダーには多様性があり、男性や女性といった伝統的な二元的な分類だけでなく、非バイナリー、ジェンダークイア、ジェンダーフルイドなど、さまざまなジェンダー・アイデンティティが存在します。
  • ジェンダーの社会的な構築
    • ジェンダーは社会的に構築された概念であり、文化や社会の期待や役割によって形成されます。ジェンダー・アイデンティティは個人の内面的な経験に基づいて形成されますが、社会的な環境や文化的な要因にも影響を受けます。

DSDの臨床的アプローチと診断

性分化疾患(DSD)の診断は複雑であり、多くの場合、多職種の医療チームによる総合的なアプローチが必要です。性分化疾患の診断は、個々の症例に応じて異なりますので、総合的なアプローチと多職種のチームワークが重要であり、治療とサポートは、診断の確立に続いて行われ、患者のニーズに合わせてカスタマイズされなければなりません。

性腺や性分化疾患の臨床的アプローチ

  • 外性器検査と初期評価
    • 外性器検査では、外性器、性腺の表現型を身体所見(陰茎または陰核の状態、尿道口の開閉部位、陰嚢または陰唇の状態、膣の状態、Prader分類評価)を視診、触診、メジャー、オルキドメーターで確実に評価する必要があります。
    • 急性副腎不全や急性腎不全の合併を確認します。
    • 初期評価では、家族歴や妊娠中の母親の健康状態など、病歴の収集も重要です。
  • 血液検査
    • 血液検査は、性ホルモンレベル、性ホルモン結合グロブリン、性ホルモン代謝産物、および腎機能などの生化学的指標を評価します。
    • 特定のDSDの疑いがある場合、遺伝子検査も実施されます。
  • 画像診断
    • 膀胱尿道造影、膣造影、腹部超音波検査やMRIなどの画像診断手法が使用され、内部性器の形態や位置を評価します。これにより、精巣や卵巣、子宮などの器官の異常を検出することができます。
  • 内分泌学的評価
    • ホルモン刺激テストやGnRH刺激テストなどの内分泌学的評価が行われ、性腺の機能や性ホルモンの分泌パターンを評価します。
    • これらのテストは、性分化疾患の種類や原因を特定するのに役立ちます。
  • 外科的検査
    • 内性器や性腺の評価は確定的な評価のため、尿道鏡、膀胱鏡や腹腔鏡、性腺生検が実施されます。
  • 組織学的評価
    • 診断の確定、予後の予測などには、必要に応じて組織学的評価が行われます。染色体解析や分子遺伝学的検査などになります。
  • 総合的な評価と診断
    • 上記の結果を総合的に評価し、DSDの診断を確立します。このプロセスでは、フローチャートの診断アルゴリズムを使用します。これには、多職種の医療チームが協力することで適切な判断を行うことができます。

性腺摘除を考慮するケース

DSDの症状や合併症によっては、性腺摘除(卵巣摘除または精巣摘除)が必要となる場合があります。

  • 悪性腫瘍の存在
    • DSDに関連する性腺では、卵巣や精巣の腫瘍が発生することがあります。これらの腫瘍は悪性である場合があり、速やかな摘除が必要となります。
  • 性腺の機能不全
    • 一部のDSDでは、性腺が正常に機能せず、性ホルモンの産生や生殖機能に影響を与えることがあります。このような場合、性腺摘除が治療の一部として検討されることがあります。
  • 性ホルモンの異常分泌
    • DSDに関連する性腺では、異常な性ホルモンの分泌が見られることがあります。このような異常なホルモン分泌は、身体や生殖器の発達に影響を与える可能性があります。
  • 生殖機能の欠如
    • 一部のDSDでは、性腺が存在しないか、正常に発達していない場合があります。このような場合、性腺摘除は生殖機能の欠如に対処するために行われることがあります。

DSDの予後の性自認の予測

小児期において将来の性同一性(性自認)を正確に予測することは難しいとされています。性同一性は個人の経験や自己認識に深く関わるため、生物学的な特徴や診断に基づいて将来の性同一性を予測することは困難です。しかし、一部の性分化疾患では、特定の要因や指標を基にして性同一性の適応に関するリスクの高さや低さをある程度予測することが可能と言われています。

例えば、染色体異常に関連する疾患では、性分化に影響を与える染色体のパターン(XX、XY、その他)を考慮することができます。また、一部のDSDでは特定の遺伝子変異が関与しており、これらの変異の種類や重要性を評価することで、性同一性の適応に関するリスクを判断することができる場合があります。さらに、生殖器の形態やホルモンレベルなどの身体的特徴も、性同一性の適応に関連する要因として考慮されます。例えば、外性器の形態が明確であるかどうか、ホルモンレベルが適切にバランスしているかどうかなどが重要です。

ただし、これらの要因や指標はあくまで予測の一助となるものであり、確定的なものではありません。個々の症例において、性同一性の適応に関するリスクを正確に予測するためには、総合的なアセスメントが必要とされます。医師や専門家との相談を通じて、最善のアプローチを見つけることが重要です。

性別違和のリスクが高いとされるDSDや性別違和のリスクが低いとされるDSDについて一般的な傾向を示すことは可能ですが、個々の症例によって異なるため、一概には言えません。ただし、一部の疾患では、一般的な傾向が見られることがあります。「性分化疾患の診断と治療」作成:日本小児内分泌会 性分化・副腎疾患委員会と厚生労働科学研究費難治性疾患克服研究会事業性分化異常に関する研究班の「初期対応についての手引き」をご覧ください。

  • DSD に起こる性別違和の頻度は 8.5〜20%と報告されていて、女性として生活している先天性副腎皮質過形成(CAH)に起こる性別違和の頻度は、一般女性の頻度が 0.005%であるのに対して、CAH では 5.2 %と報告されています。「性分化疾患の診断と治療」引用

LGBTQIAPKへの矛盾

DSDは性的マイノリティに属するかは疑問視すると思いますが、LGBTQIAPKの中にI:インターセックスという呼称があります。Iは、DSDのことですが、あくまでも身体の発達の違いを指すことで性自認や性的指向の問題と混同されがちで、矛盾もしています。

DSD(性分化疾患)とLGBTQIAPK(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クエスチョニング、インターセックス、エイセクシュアル、パンセクシュアル、ケープル)は、それぞれ異なる概念です。

よって、DSDとLGBTQIAPKは混同されるべきではないと考えます。DSDは生物学的な性別に関連するものであり、LGBTQIAPKは性的指向や性自認に関連するものです。これらの概念を区別し、適切な理解と支援を提供することが重要です。ここでいくつかの矛盾点を示します。

  1. DSDは身体の発達の違いを指す
    • DSDは、生殖器や内部性器の発達に関する身体的な異常や違いを指します。これは、生理学的な性別に関するものであり、個々の性自認や性的指向とは直接関係ありません。
  2. LGBTQIAPKは性自認や性的指向に関連する
    • 一方、LGBTQIAPKは、性的指向や性自認、ジェンダー表現など、個々が自己を認識し、表現する方法に関連する概念です。これらは、身体的な生理学的特性とは直接関係がありません。
  3. DSDとLGBTQIAPKは別個の概念である
    • DSDは生物学的な性別に関するものであり、遺伝子やホルモンの影響によって生じる身体の発達の違いを指します。一方、LGBTQIAPKは、個々の性的指向や性自認に関するものであり、生物学的な性別とは異なります。
  4. DSDとLGBTQIAPKはそれぞれ独自の問題を抱えている
    • DSDは、身体的な発達の違いによって様々な健康上の問題を引き起こすことがあります。一方、LGBTQIAPKは、社会的な偏見や差別、家族や社会との関係に関連する問題を抱えることがあります。

LGBTQIAPK

LGBTQIAPKの用語は、個々の性的指向や性自認を説明するために使用されます。それぞれが自分自身を理解し、他の人々との関係を形成する上で重要な役割を果たします。

  • レズビアン(Lesbian)
    • レズビアンとは、女性が女性とロマンチックな関係や性的な関係を持つことを指します。一般的に、女性同性愛者を指す言葉として使用されます。言い換えれば、女性が女性を愛する性的指向を持つことを示します。
  • ゲイ(Gay)
    • ゲイとは、男性が男性とロマンチックな関係や性的な関係を持つことを指します。一般的に、男性同性愛者を指す言葉として使用されます。言い換えれば、男性が男性を愛する性的指向を持つことを示します。
  • バイセクシュアル(Bisexual)
    • バイセクシュアルとは、異性愛と同性愛の両方に魅力を感じる性的指向を持つ人を指します。バイセクシュアルの人は、男性や女性と関係を持つことがあります。
  • トランスジェンダー(Transgender)
    • トランスジェンダーとは、自己の性自認やジェンダー表現が、出生時に割り当てられた生理学的な性と一致しない人々を指します。トランスジェンダーの人は、自己の性別アイデンティティに応じて、社会的な性別役割や身体的な性別特徴を変更することがあります。
  • クエスチョニング(Questioning)
    • クエスチョニングとは、自己の性的指向や性自認についてまだ明確に決めていない人を指します。現在も自分自身の性的指向や性自認について探求し、理解しようとしています。
  • インターセックス(Intersex)
    • インターセックスとは、生物学的な性別が一般的な男性または女性の定義に収まらない人を指します。性分化疾患であり、染色体、生殖器、ホルモンなどの身体的な特徴において、男性と女性の間にさまざまな程度の混合または変異を示しています。DSDは一般よりも高い確率で性別違和・性自認や性的指向の違和を感じている人がいることは確かなことですが、性的マイノリティと混同してはなりません。
  • アセクシャル(Asexual)
    • アセクシャルとは、性的な魅力や欲求がほとんどまたはまったくない人を指します。現在において性的な活動や関係には興味がないことが一般的です。
  • パンセクシャル(Pansexual)
    • パンセクシャルとは、他の人の性別や性自認に関係なく、個々の人格や魅力に惹かれる性的指向を持つ人を指します。
  • キンキー(Kinky)
    • キンキーとは、異常な性的嗜好や性的興奮を求める傾向がある人を指します。これには、ボンデージ、サディズム、マゾヒズム、フェティッシュなどの異常な性的関心や行動があります。

DSD悩みに対するアプローチ

DSD(性分化疾患)を持つ人々は、さまざまな精神的な悩みや困難に直面しています。

  • ジェンダー・アイデンティティやセクシュアル・アイデンティティの不安
    • DSDを持つ人は、自己の性的アイデンティティやジェンダー・アイデンティティについての混乱や不安を経験します。社会的なジェンダーの期待や身体的な特徴との不一致によるストレスもあります。
    • このような場合、ジェンダー・セラピーなどの専門的な精神療法が役立つことがあります。ジェンダー・セラピーは、自己のジェンダー・アイデンティティを探求し、受け入れるプロセスをサポートすることを目的としています。
  • 身体的な外見や性器の問題に関するストレス
    • DSDを持つ人は、身体的な外見や性器に関する不満やコンプレックスを抱いています。社会的なジェンダーの期待や自己イメージに対する不安が生じることがあります。
    • このような場合、カウンセリングや心理療法が役立つことがあります。心理療法は、身体的な外見や性器に関する問題に焦点を当て、受け入れや自己肯定感を促進することができます。
  • 家族や社会からの差別や偏見によるストレス
    • DSDを持つ人は、家族や社会からの差別や偏見に直面することもあります。これにより、孤立感やうつ病、不安などの精神的な問題が引き起こされる可能性があります。
    • このような場合、サポートグループや心理社会的な支援が役立つことがあります。サポートグループは、同じような経験を共有する他の人々とのつながりを提供し、相互サポートや共感を促進することができます。

性別判断と性別違和についてのまとめ

DSD(性分化疾患)における合併症の一つとして、性別違和が起こるケースがあります。これは、生殖器や性腺だけでなく、脳においても性差が生じることによるものです。従来、性の決定には主に外性器の形成度が重視されており、外性器の手術が性別の決定に大きな影響を与えると考えられていました。しかし、近年の研究や理解の進展により、性別違和が外性器の状態だけではなく、脳や社会的な要因にも影響されることが明らかになっています。

従来、DSDの治療においては、外科手術が主なアプローチであり、外性器の形態を男性または女性に合わせることが行われてきました。しかし、社会的性の自認は外性器の形態だけでなく、脳や個人の経験にも影響されることが理解されるようになりました。そのため、個々のDSDの症例ごとに、染色体性-DSD、46,XY-DSD、46,XX-DSDの核型の3つに分類し、社会的性を検討しています。

また、現代の医学技術の進歩により、外科手術も向上しており、性器の形態を変更することが可能となっています。しかし、手術を行うか否か、どのような手術を行うかは、個々の性自認やニーズ、生活状況に合わせて慎重に検討されるべきです。性器の形態を性自認に合わせて変更することで、生活の質や心理的な健康にプラスの影響を与えることが期待されます。

ただし、ここで問題となるのは戸籍法です。戸籍法では出生から原則14日以内の届け出を必要とし、性分化疾患に対する医師の証明書の添付により追完はできますが、記録は残ります。また、戸籍における性の変更も医学的事由がある際に家庭裁判所で認められることで変更ができることにはなっています。このDSDにとっての障壁には、戸籍法で男女の性の選択と登録が義務づけられているからです。また、社会生活の条件として男女の性を選択することが欠かせず、中間の性といった社会通念はまだ形成されていません。加え、一般的な人に対して性同一特例法の「性同一障害の性別の取り扱いの特例に関する法律」の中の『性別変更の生殖不能手術』も現段階では不要とはされていません。今後、性分化疾患の方だけではなく「性別違和」を感じている多くの方々に柔軟に対応できる国になることを心から望んでいます。

総括すると、DSDにおける治療アプローチは、外科手術だけでなく、個々の症例に合わせて脳や社会的な要因も考慮し、性自認に配慮したアプローチが求められています。性器の形態だけでなく、性別違和や社会的な適応にも焦点を当てることで、生活の質や心理的な健康を向上させることができるようになります。

また、DSDsの呼称は「個々の性の様々な発達のプロセス」を包括的なアプローチで多様性を尊重することの意味が含まれています。このことは、性分化疾患が異常や障害としてではなく、個々の発達における微妙な違いであり、性に関する二元論の枠組みを超え、性別という概念や性は多様であり、単純な男性と女性の二分法には収まりきれないことを示唆しています。

性分化疾患の原因や症状

DSDの原因

性分化疾患(DSD)は、さまざまな原因によって引き起こされる複雑な状態です。一般的な原因としては、遺伝子の変異、ホルモンの異常、胎児期の発達の異常などが挙げられます。

DSDの疫学については、一般的な統計データは複雑であり、地域や人口集団によって異なりますが、一般に言えることは、DSDは比較的まれな疾患であり、その頻度は疾患の種類や定義によっても異なります。一部のDSDは出生時に明らかになる場合がありますが、後天的な形で診断されることもあります。

DSDの疫学研究は、診断の基準や方法の統一、データの収集と解釈の改善を通じて進行中です。これにより、DSDに関する理解が深まり、適切な診断、治療、およびサポートが提供されることが期待されています。

  • 遺伝子の変異
    • 遺伝子の変異がDSDの主な原因の一つです。これには、性染色体の異常、性ホルモン受容体の変異(アンドロゲン不応症)、性分化に関与する遺伝子の変異などになります。
  • ホルモンの異常
    • 胎児期の性分化には、適切なホルモンのバランスが必要です。ホルモンの分泌や受容体の機能に異常がある場合、外性器の発達や性ホルモンの効果が妨げられ、DSDが引き起こされることがあります。
  • 胎児期の発達の異常
    • 胎児期に生殖器の発達に影響を与える外部要因や内部要因が異常な場合、DSDが発生することがあります。これには、胎児の遺伝子やホルモンの異常、胎児期の環境要因などがあります。
染色体異常性分化疾患DSD
45,X:ターナー症候群
ターナー症候群は、女性性別染色体パターン(XX)に欠失や異常がある染色体異常です。一般的には、45,Xと表記されますが、他のX染色体の異常も含まれます。(2000〜2500出生に1人)
主な特徴には、身長の短さ、性器の発育不全(性器の異常や無発達)、特殊な外観的特徴(首部の膨らみ、広い胸骨、低い耳)、生殖機能の低下、心臓や腎臓などの先天性異常があります。
他にも、学習障害や社会的な適応の困難、骨の健康に関する問題、不妊などが関連していますが、早期の診断と適切な医療・支援の提供によって、ターナー症候群の症状の管理や生活の質の向上が可能です。
47,XXY:クラインフェルター症候群
クラインフェルター症候群は、男性性別染色体パターン(XY)に加え、余分なX染色体が存在する染色体異常です。典型的には、47,XXYであり、少数としてモザイクタイプ46,XYと表記されます。(500〜1000出生に1人)
主な特徴には、性器の発達不全(睾丸の小ささや精巣の機能低下)、身体的な特徴の一部である胸の大きさの増加、学習障害や言語発達の遅れ、精神的な問題(自己価値感の低下、不安、抑うつなど)が含まれます。
他にも、精子形成の問題による不妊、骨密度の低下、心臓病や糖尿病のリスクの増加などの健康上の問題が関連しています。
45,X/46,XY:混合性性腺異形成症、卵精巣性DSD
混合性性腺異形成症
混合性性腺異型成症は、異なる性腺が同じ個体に存在する状態を指します。つまり、卵巣と精巣、または卵巣と睾丸が同時に存在することがあります。
主な身体的な特徴には、男性的な外性器と女性的な乳房の発達が同時に見られることがあり、内部の性器も男性的な精巣と女性的な卵巣が同時に存在することがあります。
混合性性腺異型成症の治療は、個々の症状や患者のニーズに応じて異なり、ホルモン療法や手術が考慮されることがありますが、その効果や適応は個別の状況によって異なります。
卵精巣性性化症候群
卵精巣性性化症候群は、染色体が男性性(XY)でありながら、外性器が女性的な形態を示す疾患です。つまり、遺伝的には男性として生まれながら、外見的には女性に性器が形成されます。
卵精巣性(ovotesticular)DSDは、生殖器系が卵巣組織と精巣組織の両方を持つ状態を指し、生殖器の発達過程での異常によって引き起こされます。この状態では、陰嚢内に卵巣組織と精巣組織が共存することがあります。また、一部の場合では、卵巣と精巣が組織レベルで混在しており、両方の生殖器組織が同じ器官内に見られることもあります。
46,XX/46,XYキメラ卵精巣性DSD
46,XXキメラの場合、一方の細胞集団は通常の46,XX染色体構成を持ち、もう一方の細胞集団は異なる染色体異常を持つことがあります。例えば、モザイク状の46,XX/47,XXYであることがあります。これは、通常の女性型の染色体と男性型の染色体(XYY)が混在していることを示しています。
46,XXキメラの個体は、生物学的には女性として発育することが一般的ですが、外見や生殖器の発達に異常がある場合があります。これは、異なる染色体構成を持つ細胞が異なる組織に影響を与える可能性があるためです。したがって、46,XXキメラの個体は通常、性分化疾患のスペクトラム内でさまざまな症状を示します。
46,XY性分化疾患DSD
スワイヤー症候群
スワイヤー症候群(完全型性腺異形成)は、通常の男性染色体パターン(XY)を持ちながら、外見的には女性的な性器が形成されます。
主な身体的特徴には、生まれたときから外性器が女性的であり、通常の男性の性器の発育が不全であることで、内部の性器も卵巣が形成されますが、思春期の遅れで発見され女性ホルモンの補充を行うこともあります。
アンドロゲン不応症
アンドロゲン受容体遺伝子異常のため、男性化障害を呈します。アンドロゲン作用が障害され外性器が完全女性型から ambiguous genitaliaを示します。46,XYの個体に発症し、完全型ではアンドロゲン作用がないため、男性内・外性器が発達せず、AMHが分泌されるため子宮も分化しません。外性器は完全女性型で無月経が主訴で医療機関を受診します。
5α-還元酵素欠損症
5α-還元酵素欠損症は、体内でテストステロンが正常に変換されず、ジヒドロテストステロンDHTが過剰に蓄積される状態で胎生期の男性か障害をおこします。主な特徴には、外性器の不完全な発達、包皮の閉鎖、尿路異常などです。しかし、思春期にはテストステロンが分泌され男性の二次性徴が生じることで多くの性自認は男性と言われています。
17β-HSD(17β-Hydroxysteroid dehydrogenase)欠損症
17β-HSD酵素の欠損によって引き起こされる一種のDSDです。この酵素は、性ホルモンであるテストステロンをジヒドロテストステロンに変換する役割を果たします。この欠損により、体内でのテストステロンの適切な変換が妨げられ、男性型の性器の形成が妨げられます。結果として、外部性器は女性的な外見を示し、男性の性器は内部に残存することがあります。
これらの状態は、性分化の複雑な過程におけるさまざまな段階での異常によって引き起こされるため、患者の外部性器や内部性器の発達に異常が生じます。治療法は患者の症状や希望に応じて異なりますが、外科的手術やホルモン療法などが選択肢として考慮されることがあります。
Leydig細胞無形成(Leydig Cell Aplasia)
睾丸のLeydig細胞の形成が不全または欠如する疾患です。Leydig細胞は、睾丸内の間質組織に存在し、テストステロンという男性ホルモンを産生します。Leydig細胞の欠如により、男性ホルモンの産生が不足し、性器の正常な発達や第二次性徴の出現が妨げられ、男性不妊の原因となることがあります。治療法としては、外部からのホルモン補充療法が行われることがありますが、完全に治癒することは難しい場合があります。
尿道下裂
尿道下裂は、男性の尿道が正常に形成されない先天性の状態です。通常、尿道は陰茎の先端から開口し、尿を排泄しますが、尿道下裂の場合、尿道の開口が陰茎の下部に位置するか、陰嚢の間に位置することがあります。
主な特徴には、尿道の開口位置の異常により、尿が正常に排泄されない可能性があります。尿道下裂の重症度によっては、尿漏れや排尿障害、性交痛などの問題が生じることがあります。
尿道下裂の治療は、症状や重症度に応じて異なりますが、手術的な修正が必要な場合があります。
精巣形成不全
精巣形成不全は、男性の性器が形成される過程で精巣が十分に発達しない状態を指します。この状態では、精巣が小さく、精子を産生する能力が低下しています。
主な特徴には、睾丸の発育不全により、精子形成の問題や男性ホルモンの産生不足が起こり、不妊や性的な発育の遅れなどが生じる可能性があります。
精巣形成不全は、遺伝的要因、ホルモンバランスの異常、環境要因など様々な原因によって引き起こされます。
46,XX性分化疾患DSD(女性仮性半陰陽)
Testicular DSD
睾丸や精巣の生殖器系存在し男性的な外見を示しますが、内部的には卵巣組織や女性的な構造が存在しています。治療法は、患者の症状や希望に応じて異なりますが、外科的手術やホルモン療法などが選択肢として考慮されることがあります。
21-水酸化酵素欠損症
副腎皮質でコレステロールからコルチゾールを合成する際に重要な酵素です。この酵素の機能が低下または欠損している状態であり、副腎皮質がコルチゾールを効率的に合成できなくなります。結果として、アドレナル・ハイポプラジア(副腎皮質機能不全)や副腎危機の症状が現れます。また、過剰なアンドロゲンが生産されるため、外性器の形成や性分化にも影響を与えます。
11β-水酸化酵素欠損症
コルチゾンをコルチゾールに変換する際に重要な酵素です。11β-水酸化酵素欠損症は、この酵素の機能が低下または欠損している状態であり、コルチゾンの代謝が妨げられます。その結果、副腎皮質からのコルチゾールの産生が低下し、副腎皮質機能不全の症状が現れます。また、副腎が過剰なアンドロゲンを産生するため、性分化にも影響を及ぼします。
胎児胎盤性アンドロゲン過剰(アロマターゼ欠損症)
アロマターゼ欠損症
アロマターゼ酵素の欠損によって引き起こされる希少な劣性遺伝性疾患です。アロマターゼ酵素は、テストステロンをエストラジオールに変換する役割を果たします。この酵素の欠損により、テストステロンがエストラジオールに適切に変換されなくなり、結果として、男性の第二次性徴が不完全なまま残り、乳房の発達や生殖器の形態異常のまま女性的な特徴が強調されます。治療法としては、ホルモン補充療法が用いられることがありますが、症状の程度に応じて異なります。
胎児や胎盤においてアロマターゼ酵素が不足している状態を指します。アロマターゼ酵素は、テストステロンやアンドロステンジオンなどの男性ホルモンをエストラジオールなどの女性ホルモンに変換する際に重要な役割を果たします。この欠損により、胎児や胎盤から過剰な男性ホルモンが分泌され、女性胎児の外性器の形成に影響を与えることがあります。結果として、外陰部の異常形成やクリトリスの肥大などの症状が現れます。また、過剰な体毛、男性型の脱毛、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の症状、不規則な月経周期、不妊、深い声などがともないます。
卵巣形成不全
卵巣形成不全は、女性の性器が形成される過程で卵巣が十分に発達しない状態を指します。この状態では、卵巣が小さく、十分な性ホルモンを産生する能力が低下しています。
主な特徴には、性器の発育が不全で外陰部や内性器の発育が遅れ、月経の異常や不規則な生理周期、不妊などの問題が発生します。
卵巣形成不全は、染色体異常、遺伝的要因、脳下垂体や卵巣の機能異常、環境要因などがあります。
46,XY・46,XXDSD共通の疾患
Denys-Drash症候群
性器の発達異常、およびウィルムス腫(腎芽腫)と呼ばれる腎臓腫瘍のリスクが高まる状態を特徴とします。この症候群は、WT1遺伝子の変異によって引き起こされ、通常は染色体11p13上に位置しています。WT1遺伝子は、腎臓と性器の発達に重要な役割を果たします。Denys-Drash 症候群の特徴は、男性の性器が不完全な形態を示し、片方または両方の睾丸が奇形を起こすことがあります。また、腎臓の機能障害や腫瘍のリスクも高まります。
Frasier症候群
WT1遺伝子の変異によって引き起こされる先天性の疾患であり、Denys-Drash症候群と関連しています。Frasier症候群は、典型的には性器の発達異常、性分化疾患、および腎臓の疾患を特徴とします。Denys-Drash症候群と異なり、Frasier 症候群ではウィルムス腫のリスクは低いとされています。
WAGR症候群
ウィルムス腫(腎芽腫)、先天性副腎皮質過形成、先天性網膜色素変性、および知的障害を特徴とする疾患です。この症候群の名前は、これらの症状を表す各頭文字から取られています。WAGR症候群は、11番染色体の短腕の欠失または変異によって引き起こされることが一般的です。WT1遺伝子の欠失も関連しており、Denys-Drash 症候群とも関連しています。この症候群では、ウィルムス腫は腎臓の先天性異常の中でも最も一般的なものであり、その他の症状も共通して見られることがあります。
Kallmann症候群
先天性の性分化異常であり、主に嗅覚と性腺機能の異常を特徴とし、性腺からのホルモンの不足が、第二次性徴の発現を阻害します。多くの場合、嗅覚の発達が不十分であり、嗅覚障害が見られます。Kallmann症候群は、X染色体に関連する遺伝子の変異によって引き起こされることがありますが、その他の原因も関与する可能性があります。治療には、ホルモン補充療法が一般的に用いられます。
複合型下垂体機能低下症
下垂体が正常に機能せず、それによって生じるさまざまなホルモン不足症の総称です。この疾患は、下垂体に損傷があるか、下垂体に影響を与える他の疾患が原因となります。その結果、甲状腺刺激ホルモン(TSH
)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、成長ホルモン(GH)、性腺刺激ホルモン(LH、FSH)など、下垂体からのホルモンの分泌が減少します。症状は患者によって異なりますが、成長障害、性腺機能低下、甲状腺機能低下、副腎機能低下などが見られることがあります。治療には、不足しているホルモンの補充療法が行われることが一般的です。
  • “Intersex: A Memoir” by Aaron Devor (著者: Aaron Devor、発行社: Vanderbilt University Press)
  • “Intersexuality and Identity: The Contested Self” by Sharon E. Preves (著者: Sharon E. Preves、発行社: Rutgers University Press)
  • “Understanding Differences: The History of Intersex” by Alice Dreger (著者: Alice Dreger、発行社: Harvard University Press)
  • “Intersex Matters: Biomedical Embodiment, Gender Regulation, and Transnational Activism” by Georgiann Davis (著者: Georgiann Davis、発行社: New York University Press)
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