対人関係の回避と羨望の葛藤は生きづらさの混乱と自己嫌悪を招いているが、幼少期の課題とトラウマの持続的構造からAVPDやC-PTSD的を仮設する
次のクライエントのケースは、18歳女性・大学生の深い対人困難と自己感覚の混乱に関するもので、人関係の回避・警戒的と羨望・自己嫌悪の混乱は幼少期の愛着の課題とトラウマの持続的影響での統合失調質症(シゾイド)パーソナリティ障害や複雑性心的外傷後ストレス障害(C-PTSD)的構造や不適応的スキーマの形成など複数の心理的要因が絡んでいる印象を受けます。
私は群馬県に住む大学生で18歳の女子です。父は無口でコミュニケーションがなく自営をしていましたが、収入が少なかった割には、仕事しているのかほとんど家にいませんでした。
母は収入のために仕事を掛け持ちで頑張っていましたが、私には過保護でべったりでした。
両親がほとんど不在で兄弟もいなかったために会話することもなく、小学生の頃は公園に一人でボーとしていたり家でゲームにのめり込んでいました。小学校では活発な振りをしていたのか、数人の友達のリーダ的そんざいっだったと記憶しています。
中学生になると、攻撃まではされないものの、あなたのような人には友達ができないないでしょ。と廊下でバカにされたことに深い衝撃を受けて心からピリピリとと音が聞こえた記憶があります。しかも輪をかけたのが小学生の頃には普通に会話をして築き上げた同級生も離れていき、人を信用することができないばかりか、苦しみばかりではなく、憎しみや恐怖も感じられるようになりました。今でも人付き合いのメリットよりも、他人に打ちのめされることを避ける思考が強くあります。
しかし、家に帰ってもだれもいないことから文化部に所属して毎日顔をしていましたが、誰も私のことを意識するどころか蚊帳の外(仲間外れ的対象)だったことがトラウマとなっています。
下校では毎度当然のように、周りに仲間外れにされていないことをアピールするために数人の後をついていくことで精一杯でした。少し離れて歩いていたので出くわす人々に悟られていたのかもしれません。このことは強く心に刻まれていて、いま考えても羞恥心が強迫的に蘇ります。
高校に入ると、貶められたり利用されたりするのが怖くて、他人を見ることも振り向くこともできないようなロボット的な動きになっていたと思います。せめて中学生の時に友達がいて会話でもできていたらこんな風にはならなかったのかもしれないと、今でも後悔ばかりしています。兄貴がいるとか、両親が普通であればとか、何度も考えてしまいます。
小学生の頃は話ができた同級生はなぜ、私を相手にしなくなったのか?中学生の部活の輪に入れてくれなかったのか?帰り道の集団に入れなかった自分のみじめさや裏切られた気持ちがトラウマとなり、5年近く前のことが何度も何度も夢に出てきます。
現在は、友達は一人もいません。必要がないとも思いますが、居た方がよいのかとも思うときもあります。
大きな現在の悩みは、中高生の集団に出会うと道を変えてでもすれ違うことはしません。電車の中で出くわすと音楽のボリュームを上げて、下を向いて一切顔をあげません。また、大学生の集団やカップルにも反応します。楽しそうに話しているとか、幸せそうな人々を見ることができません。そんな人々に出会ってしまうと、すっぱいものが食べたくなります。味の濃いものやとても辛い食べ物の刺激が欲しくなります。いつものことなので、刺激の強い飴やガムを離さず持ち歩いていますが、虚しいです。
とにかく頭の中は、中学生、高校生の頃のトラウマ、そして幸せそうな人々を避ける、直視できない。しかしながら、友達の存在の欲求、羨望と拒絶、回避のアンビバレント、葛藤、混乱を感じています。大学の通学にも他者が怖くてドキドキしながら必死に通っていますが、そう長くは続かないかもしれません。現在、かろうじて会話ができるのは母親、次に父親位でその他はだれもいません。
生きている意味が分かりません。
このページを含め、心理的な知識の情報発信と疑問をテーマに作成しています。メンタルルームでは、「生きづらさ」のカウンセリングや話し相手、愚痴聴きなどから精神疾患までメンタルの悩みや心理のご相談を対面にて3時間無料で行っています。
全体印象と背景因子の整理(初見仮説)
現在の主訴・症状
- 対人関係における極度の不安・嫌悪・混乱(回避的・警戒的)
- 孤独感と「幸せな他者」への過敏な反応(羨望 × 自己嫌悪)
- 自己理解の混乱:「自分がどうしたいのか/どうしたくないのか」さえも曖昧
- 解離的傾向(夢・記憶・視界のゆがみなど)
- トラウマの持続的影響(中学期:仲間外れ・羞恥・権力支配・喪失)
- 自己スキーマの形成不全(無力・否定・不信)
- 幼少期の過干渉の母/不在の父/一人っ子孤立の愛着ベースの課題(感情調整困難)
- 発達的課題(アレキシサイミア傾向の確認も視野に)
- 回避性パーソナリティやC-PTSD的な構造を仮説的に考慮

実際のカウンセリングのステップ
「ステップ0:信頼関係の種まきと外在化」について、関わり方のポイントを詳しく解説します。
項目 | 内容 |
目的 | 「語ってもいい場」「感情や感覚をそのまま出していい体験」を提供する |
目標 | 評価や分析ではなく、「共に在る」「わかろうとする」姿勢を伝える |
支援する主領域 | 安心の感覚・自己の気持ちの外在化・言語化準備・防衛の尊重 |
避けたいこと | 無理なポジティブ変換、過去の掘り下げすぎ、アドバイス、解決誘導、評価の含み |
クライエントの警戒・回避傾向が強いことを踏まえて、まずはコントロール感の回復を大事にします。
スクリプト例
「ここで話すことは、全部あなたのペースで大丈夫です。
いま思いつかなくても、うまく言葉にならなくても、なんでもOKです。」
「たくさん話してもいいし、少しだけ話してくれても、どちらでもかまいません。」
自分の感情を直接語るのが困難な場合もあるので、「何が起きるか」「その時、体や行動にどう出るか」から聴いていきます。
問いかけ例
- 「最近、道を変えたくなるくらいしんどかった場面って、どんな感じでしたか?」
- 「そのときって、身体のどこかが反応したりしますか?たとえば胸が苦しくなるとか、肩が上がるとか。」
- 「その感覚って、どんな音楽でごまかせたりするんでしょうね?」
言葉かけ
「それは、すごくつらいですね……。
人が見てる気がするという感覚って、誰にも伝えにくいものですよね。」
「友達が欲しい/いらない/よくわからない」など、相反する感情や思考が同居していることを、壊れているとせず当然のこととして肯定します。
スクリプト例
「友達が欲しいって思ったかと思えば、いらないって思うこともある。
それって、心が分裂してるとかじゃなくて、むしろ、あなたがちゃんと傷を知ってる証拠だと思います。」
初回の終わりでは「治す」ではなく「一緒に見ていける」ことを明確にします。
スクリプト例
「すぐに何かを変えることよりも、自分をそのまま感じていてもいいという感覚をつかんでもらえるような時間にしたいと思います。」
「あなたがこれまで心の安全を感じられる場所がなかったなら、
ここでは少しずつ、その練習ができたらいいなと思っています。」
【ワーク①】「しんどさマップ」~何がしんどい?どう対処してきた?~
セクション | 質問例 | 記入例 |
きっかけ | どんな場面でしんどくなる? | カップルを見ると、胸がもやもやして、歩けなくなる |
感覚 | どこに、どんな感覚がくる? | 首の後ろが熱くなる、背中がこわばる |
思考 | どんな考えが浮かぶ? | 「どうせ自分はダメ」「全部うそっぽい」 |
対処 | それをどうごまかした? | すっぱいものを食べる、イヤホンで音楽 |
目的:感情を直接語れない人でも「状況・身体・行動」から入って外在化可能になります。
【ワーク②】「ほんとうは、こんなふうに思ってた」ノート
使い方:クライエントが「普段、人に言えないけど思ってること」を断片的に書くワークです。
書き出し例 |
本当は…「どうせ信じても裏切られる」と思っている |
昔、あのとき誰かに「大丈夫?」って言ってほしかった |
怒りたかったのに、笑ってごまかしていた |
自分のせいにしてきたけど、ほんとはあの子がひどかったと思ってる |
目的:防衛や抑圧されている感情を少しずつ取り戻す準備になります。
ゴールイメージ
- 「あ、自分はここで話していいんだ」と感じられる
- 「否定されない」「焦らされない」「評価されない」ことを身体で体験
- 「いまの自分をそのまま認識できる感覚の芽生え」
ステップ1の目的と概要
項目 | 内容 |
目的 | 「感じてはいけない感情」「混乱する思い」を外に出せるようにすること |
ねらい | 防衛の役割を尊重しつつ、感情・信念・行動の関連性を理解可能なモデルとして見せる |
主な変化 | なぜそうなるのかわからない➡自分なりの意味やパターンがあると見えてくる |
進行の構成モデル(ステップ1)
セクション | 内容 | 例 |
① 感情への入り口 | 感情の気配や波を丁寧に拾う | 「それって、急にくる感じ?それとも、じわじわですか?」 |
② 防衛の気づき | 感情を感じないようにする自分の反応を探る | 「そういうとき、どんなふうにその気持ちをやり過ごしてますか?」 |
③ 役割の再認識 | 防衛・混乱の意味を尊重する | 「いまの、わからない思いも、たぶん心が守ってくれてるんですよね。」 |
④ 感情×行動×信念を整理 | 感情を「物語」ではなく「構造」として整理する | ワーク:感情の三角図/反応マップなど |
「最近どんなときに、なんかしんどいなって思いますか?」
「しんどくなる直前って、何かありますか?音とか人の表情とか…」
➡感情に名前をつけるのではなく、予兆や身体反応に注目します。
「そういうとき、無意識に何かを避けようとしてる自分っていませんか?」
「たとえば、そのとき急にスマホ見たくなったり、すっぱいものを食べたくなったりするのは、どんな役割があるんでしょうね?」
➡「防衛=悪」ではなく、「防衛=味方だった」と伝えるのがカギです。
「今の友達が欲しいもわからないって状態は、本当に混乱してるってよりも、傷つきたくないっていう優しい気持ちでもあるのかもしれないですよね。」
「この3つって、いつも同時に動いてる気がしませんか?」
- 感情(例:嫌悪・焦り・羞恥)
- 行動(例:視線を避ける、音楽を聴く、辛い物を食べる)
- 信念(例:「自分はいつか捨てられる」「楽しそうな人は嘘っぽい」)
【ワーク①】「感情トリガー × 対処行動 × 背景信念」マップ
感情トリガー(出来事) | 感じたこと | 無意識にした行動 | その裏にある信念(仮) |
カップルを見た | 嫌悪/うらやましさ | イヤホンで音楽、道を変える | 「ああいう人たちは幸せそうで、自分には縁がない」 |
仲良さげな同世代を見た | 胸がざわつく/不安 | 急にスマホを開く | 「自分はいつも輪の外にいる」 |
昔の同級生の夢を見た | 怒り、悔しさ | 布団を叩く、落ち込む | 「自分は大事にされなかった/バカにされてきた」 |
感情を客観視し、行動の背景にある「信念」に自然と近づくことができます。
【ワーク②】「私の“防衛反応カタログ”」
自分がどんな方法で感情を遠ざけたり、鈍らせたりしてきたかを一覧にします。
感情 | 避けるためにしてきたこと | それが守ってくれたものは? |
怒り | 笑ってごまかす、すぐ話題を変える | 「人に嫌われないように」「衝突しないように」 |
悲しみ | 疲れるまでゲーム、部屋にこもる | 「弱さを見せたくない」「1人の方が安心」 |
羨望・嫉妬 | 「あんなやつらはうそくさい」と見下す | 「負けたくない」「本当はうらやましいけど苦しい」 |
防衛を否定せず、ありがとうと言えるような視点が生まれます。
ステップ1のゴール
- 感情や防衛が「自分でも説明できるようになる」
- 「嫌な気持ち=自分がダメ」ではなく、「その背景に理由がある」と理解
- 無意識の行動(道を変える・音楽を聴く・食べる)が「自分を守る知恵」として見直される
過去の記憶をただの傷としてではなく、現在の自分にどう影響しているかという視点で捉え直すことが目的です。語られる記憶そのものより、「どんな意味を背負わせてきたか」をクライエントと一緒に整理していきます。
ステップ2の全体像
項目 | 内容 |
目的 | トラウマ記憶を凍った過去から、理解可能な物語に変える |
主なアプローチ | 感情記憶・イメージ・信念の分離と再統合、メタ視点での自己理解 |
期待される変化 | 「思い出す=痛い」から「意味がある経験だったかもしれない」への転換 |
注意点 | 無理に「感謝」「許す」に導かない。感情を再び“生きなおす”リスクを避け、安全確保が前提。 |
このクライエントの文脈におけるトラウマとは?
過去の記述より、以下のようなエピソードが「凍った記憶」として存在しているように見受けられます。
記憶の断片 | 感情・信念の構造 |
中学期:友人が離れていった/演じた自分が残った | 「どうせ人は離れる」「本当の自分は受け入れられない」 |
廊下で「友達いるの?」と侮辱された | 「自分は孤立している」「人に見られるのが怖い」「人は怖い」 |
部活をやめたくてもやめられなかった | 「自分の希望は無視される」「居場所がない」「何をしても同じ」 |
仲間の輪に入れず、後ろを歩いていた | 「自分は見られている存在」「恥ずかしい存在」「排除されるのが当たり前」 |
同級生に踏みつけられる夢を5年間見続けている | 「支配されたままの感覚」「無力感が今も続いている」 |
- 目的:記憶をそのまま再生ではなく、距離を取って眺める構えをつくる
- 導入例
「無理に思い出さなくて大丈夫です。でも、時々ふっと浮かぶあの場面って、
もしかしたら、今も何か大事なことを伝えようとしているのかもしれませんね。」
- 目的:言語化されずにいた感情を記号にしてコントロール感を得る
- 方法例
- 「タイトルをつけるとしたら、どんな名前にしますか?」
- 「あの場面を一枚の絵にするとしたら、何が描かれていますか?」
- 「集団の後ろを歩く、あの帰り道を何色で塗りたいですか?」
- 目的:「当時の自分」と「今の自分」を対話させ、意味の再編を行う
- 方法:インナーチャイルド対話、ナラティブ再語り、イメージワークなど
- 例スクリプト
「もし、今のあなたがあの時のあなたに声をかけられるとしたら、何を言ってあげたいですか?」
「7人の輪のうしろにいた自分を横から見ているとき、どんなことを感じますか?」
- 目的:出来事そのものではなく、それを乗り越えてきた自分の力に気づく
- 例スクリプト
「あの時、あなたはどうやって持ちこたえていたと思いますか?」
「もし他の誰かがあの状況を経験したとしたら、同じように苦しんだと思いますか?」
【ワーク①】「記憶のタイトルノート」
過去の記憶にタイトルとイメージを与えて、語る準備を整えるワーク
記憶場面 | タイトル | イメージ化/色・形 | 今の自分からその記憶へ一言 |
廊下で侮辱された場面 | 「誰にも守られなかった日」 | 濁った鏡・灰色 | 「あれは、あなたのせいじゃない」 |
後ろから歩いた帰り道 | 「見られてる恐怖の一本道」 | 細くて曲がった通学路・赤い影 | 「その孤独、ほんとによく耐えたね」 |
【ワーク②】「過去の自分との対話シート」
年齢/時期 | 当時の気持ち | 今の自分からの声かけ |
中学生:友達が離れていった頃 | 「嫌われたくなくて頑張ったけど…誰も信じられなかった」 | 「その頑張りすぎる癖は、今もあるかもしれないね。でももう一人じゃないよ」 |
中学生:部活で居場所がなかった頃 | 「やめたいって言ったら、余計に孤立しそうで怖かった」 | 「本当はやめたいって言える人になりたかったんだね」 |
夢の再体験に関する関わり
「夢の中で踏みつけられるっていうのは、自分でも気づいていない無力感がまだ心の奥にあるのかもしれませんね。でも、頻度が減ったということは、少しずつその記憶に心が近づけるようになってきてる証拠かもしれません。」
ステップ2のゴール
- トラウマ的な記憶=自分の痛みの履歴であり、現在の反応に繋がっていることに気づく
- 感情・信念・記憶を分離し、「その時の自分を理解できる大人の自分」を育てる
- 記憶を語れるようになることで、「凍った過去」が現在に役立つ知恵へと変化する
過去を「理解しただけ」にとどめず、今の自分にどんな信念・反応パターンが根づいているかに気づき、「本当にこのままでいいか?」を問い直していくフェーズです。
目的とねらい
項目 | 内容 |
目的 | 再構成された記憶をもとに、「今の自分を形づくっている信念」や「行動パターン(クセ)」を明確にする |
ねらい | 自分を縛ってきた無意識のルール(生き方の方程式)を見直し、「もう役目を終えたもの」を手放すこと |
変化 | 「気づいてなかった自動思考」→「これは昔のルールかもしれない」「変えられるかも」へ |
このクライエントにおける「信念・クセ」の例
過去の体験 | 今の信念のクセ | 行動・対人関係のパターン |
廊下でバカにされた/輪に入れなかった | 「自分は笑われる側」「目立つと排除される」 | 注目されないようにふるまう/話しかけない |
仲良かった人が離れていった | 「人はどうせ離れる」「親しくなると終わる」 | 深い関係を築かない/誘われても警戒する |
自分の気持ちを出せなかった家庭環境 | 「本音を出すと迷惑」「優しさは損する」 | 自己開示を避ける/本音を言わず察してほしいと思う |
「いつも自分が悪いような気がする」体験の蓄積 | 「自分には魅力がない」「好かれるはずがない」 | 関係が浅い段階で“諦める/接近より回避を選びがち |
ステップ3の進行構成(例)
セクション | 内容 |
① 信念を言葉にする | 自分にしみついていた「無意識のルール」「自動思考」「誤った前提」に気づく |
② 生き方のクセをマッピング | 「感情→信念→行動」の循環パターンを図解し、自分の選びがちな選択肢を明確にする |
③ 新しい信念の試着 | 「それ以外の考え方・ふるまい方はあるか?」を柔軟に試してみるステップ |
④ 自己肯定・自己選択へ | 「もう役目を終えた信念」と「これから選びたい生き方」を区別し、次の行動選択の準備を整える |
「どうせ捨てられるって、よく思うって言ってましたよね。それって、どんな場面でそう感じることが多いですか?」
「自分には価値がないかもっていうのは、自分がそう思ってるというより、そう思わされてきたのかもしれませんね。」
「たとえば、誰かと関わる➡警戒する➡話しかけない➡孤立する➡やっぱり自分は…っていう流れが反射的に起きている感じがしますよね。でも、どこかでそのパターンに選択を加えることってできるんでしょうか?」
「もし、人は離れるじゃなくて、人は関係の中で変わるものって考えるとしたら、何か少し違うふるまいができそうですか?」
「どうせうまくいかないって言いたくなる気持ちもあるけど、少なくとも1人の人と、何か新しい関係が築けるかもしれないっていう仮説はどうでしょう?」
「今までその考え方は、自分を守る盾だったと思うんです。でも今は、少しずつその盾を置いてみることもできるかもしれませんね。」
「これからのあなたが、どんな人間関係を築いてみたいかっていう問いを一緒に考えてみませんか?」
【ワーク①】「私を縛ってきた信念の棚おろし」
自分を支配していた信念・ルールを可視化して、「まだ必要かどうか?」を見極める
信じてきたこと | それはいつ、どうして身についた? | 今も必要? | もし手放したら? |
人は離れていく | 中学のとき、信じていた人が急に変わった | △ | 少しずつ距離を縮められるかも |
自分を出すと迷惑がられる | 母に否定されたり、気を遣ってばかりだった | ✕ | 本音でつながれる人とだけ関われるかも |
嫌われたくないから合わせるべき | 友達に好かれるには演じなきゃと思っていた | ✕ | 本来の自分に合う人を大切にできるかも |
【ワーク②】「生き方のクセ・パターンマップ」
感情・信念・行動のパターンを見える化し、どこに選択の余地があるか考える
きっかけ:友達同士が楽しそうにしているのを見た
⇓
感情:うらやましい、同時に嫌悪・孤独
⇓
自動思考:「どうせ自分は関われない」「ああいう人たちは嘘くさい」
⇓
行動:道を変える/音楽を聴いて感情を遮断
⇓
結果:「やっぱり自分は1人」➡感情強化・孤立感定着
➡「うらやましい」をキャッチした時点で「自分も仲間がほしいって思ってるかも」と認めることで、別の行動選択(たとえば話しかける、話せる人に近づくなど)につながる。
ステップ3のゴール
見えてくること | クライエントの中で起きる変化 |
自分を縛っていた自動思考・信念の正体 | 「自分はダメだから孤立してる」ではなく、「信じ込んでいた枠が狭かったのかもしれない」と思える |
行動パターンの背景にある感情の選択 | 「孤立しかない」から「怖いけど近づいてみようかな」へ |
生き方の再選択のための土台ができる | 「これから、どんな人間関係を築いていきたいか?」を主体的に描けるようになる |
ステップの目的
項目 | 内容 |
目的 | 自分に染みついた「回避」「孤立」などのパターンから、別の行動を試して実感を得ること |
基本姿勢 | うまくいくことより、「やってみてどうだった?」を振り返る行動実験のようなスタンスで行う |
ねらい | 「避けたい」「怖い」と感じていた場面に対し、別のふるまいを選んだ自分を体験的に知る |
留意点 | 無理な挑戦ではなく、小さな成功体験からスタートする。結果が不完全でも「やったこと」が最重要。 |
クライエントにおける適応例
次のような避けパターンがあることから、それを「ちょっとだけ崩してみる」行動が目標になります。
回避行動 | 背景の思い込み | 試してみる行動の例 |
人がいるカフェや電車でイヤホンをして目を合わせない | 「見られたら怖い」「変に思われる」 | 1分間だけイヤホンを外し、周囲を観察してみる |
話しかけられても返事が短い | 「自分から話してもどうせ続かない」 | 「今日暑いですね」など終わってもOKの短い声かけを試す |
友達関係が続かないから作らない | 「どうせ壊れる」「しんどいだけ」 | 「5分だけ一緒に話す」「共通の趣味の話題だけに絞る」などスモールステップを計画する |
- 声かけ例
- 例
- 大学のカフェで目線を下げすぎずに座る
- あいさつされたら「返す+1語」話してみる
- 自分の興味があるサークルのWebページを開いてみる(参加まではしない)
「前だったら避けてたようなことを、ほんの少しだけ変えてみるって、どうでしょう?」
「1ミリ違うふるまいでいいです。うまくいくかは考えなくてOKです」
- 重要なのは結果でなく体験
- 例スクリプト
「やってみた時、どんな気持ちが起きましたか?」
「実際、相手の反応はどうでしたか?それは予想通り?予想外?」
- 意識する視点
- どんな「自動思考」が出てきた?
- 身体の反応は?(心拍・緊張・視線の位置など)
- 終わった後、どう自分に声をかけていた?
- スクリプト例
「今回のやり方、ちょうどよかったですか? それとももう少しこうしたいってありますか?」
「同じことをまたやるか、少し変えてもう一度やるか、選んでみましょう」
- 次の挑戦案の一例
- 「誰かと3分間話す(以前は1分)」
- 「イヤホンをつけたままだけど、視線は隠さず前を見る」
- 「会話中に“質問”を1つ返す」など
【ワーク①】「行動実験ログシート」
試してみた行動 → 感情・思考 → 実感や振り返りを記録するワーク
日時 | 試してみたこと | 直前の気持ち | 相手の反応/状況 | 終わった後の気づき |
7/10 | カフェでイヤホンを外して3分過ごした | ドキドキ、不安 | 誰もこちらを気にしていない感じだった | 「案外見られてるって思い込みだったかも」 |
7/12 | 隣の席の人に「こんにちは」って言った | 恥ずかしさ、汗をかいた | 一瞬驚いたあと「こんにちは」と返してくれた | 「怖くて逃げたい気持ちもあったけど、無事終わった」 |
【ワーク②】「行動前後のスモールチェンジ記録」
試したこと | やる前の気持ち | やった直後 | 1時間後 | 自分にかけた言葉 |
道を変えずに歩いてみた | うんざり・不安 | 胸がドキドキ | ちょっと誇らしい | 「今までの自分より半歩前に出た。すごい。」 |
成功の定義:やったこと自体が成功
- 重要なのは「変えたこと」ではなく「変えようとした自分」
- クライエントの中に「選べる自分」が育ってくるプロセスが鍵
「避けなかった自分がいたってこと、それだけでもすごいことですよね。
少しずつ、それでも大丈夫だった経験が心の安全圏を広げていきます。」
ステップ4のゴール
達成したいこと | 意味する変化 |
避けなかった体験の積み重ね | 「やってみたら意外と大丈夫だった」「人は必ずしも攻撃してこない」と体験的に気づく |
新しいふるまいが選択できた | 「自分は選べる」「怖いけど関わりたいという気持ちもある」と、意欲を言語化できるようになる |
結果がどうであれ、実験してOK”という姿勢 | 「失敗してもいい。やってみたこと自体が価値」と自己容認力が育つ |
このステップの意味
「傷ついた自己」だけでもなく、「うまくやっている自己」だけでもない、さまざまな自分を統合し、意味づけ直した物語を描き直すフェーズです。
これまでのプロセスで見えてきた
- 傷つき体験とそこに生まれた感情
- 無意識に続けていた信念・行動パターン
- 小さな行動実験と変化を振り返りながら、「これからどんな自分でありたいか」を言語化・物語化していきます。
目的とねらい
項目 | 内容 |
目的 | 自分のこれまでとこれからを一つの自己物語としてまとめ、「統合的な自己感」をつかむこと |
ねらい | 「過去=ダメだった自分」ではなく、そこから育ってきた自分として肯定的に再構成する |
転換点 | 被害者・孤独な語り ➡ 成長者・選択者としての語り(「私は選べるようになった」) |
クライエントにありがちな「語りの変容」例
カウンセリング初期の語り | ステップ5での語りの変化 |
「人間関係なんてうまくいかない。自分には価値がない」 | 「信じてきたことに縛られてた。でも、違うふるまいもできると気づいた」 |
「傷ついたせいで、自分はこうなってしまった」 | 「傷ついたからこそ、人の痛みや距離感にも敏感になれた」 |
「誰にも話せないし、どうせ分かってもらえない」 | 「ちゃんと話してみたら、少し通じることもあると思えた」 |
ステップ5の構成と支援内容
セクション | 内容 |
① 【振り返り】これまでの物語の歩み | トラウマ・信念・回避行動・挑戦・感情・再構成された理解を一貫してふり返る |
② 【再物語化】自分の物語を書き直す | 「他人に話せる」レベルで、自分の人生の意味とつながりを語れるようになる |
③ 【再選択】これからどんな自分でいたいか | 自分の信念・価値・行動指針を意志ある自己として再設定する |
④ 【象徴化】ことば・イメージ・比喩化 | 物語を「象徴(例:比喩・タイトル・絵など)」に変え、統合感覚を内面に定着させる |
「ここまで、たくさんのことを気づいてきましたよね。いちど、あなたの言葉で変わったこと・変わらなかったことをまとめてみませんか?」
「最初は友達が怖いって感じでしたが、今は関わってみようかなという言葉が出てきました。そこにどんな気持ちの変化がありましたか?」
「あなたの人生を第1章〜第3章くらいに分けてみると、どういう章立てになりそうですか?」
「これまでを、他の人に語るとしたら、自分はどういう人間だったと説明したいですか?」
「今のあなたが、今後も持ち続けたい価値観ってどんなものでしょう?」
「孤独でもいいと、ひとりぼっちは違うの違いに気づいたあなたが、どんな人との関係を築いていきたいと思っていますか?」
「ここまでの自分を、ひとつの絵にするとしたらどんな風景になりそうですか?」
「あなたの人生の物語にタイトルをつけるとしたら、何になりますか?」
【ワーク①】「これまでの自分史マップ」
時期 | 起きたこと | 自分の信念・感情 | 今の見方・意味づけの変化 |
小学生 | 家に1人でゲームをしていた | 「これでいいのか?」 | 「本当は寂しかったんだ。つながりを求めていた」 |
中学生 | 人間関係が崩れた/からかわれた | 「人を信じると傷つく」 | 「あれは、自分が悪かったわけじゃなかった。状況の問題だった」 |
大学生(初期) | 友人ができずイヤホン生活 | 「もう誰とも関わらない方がいい」 | 「怖くても、少しずつ試してよかった。関係の温度にも幅がある」 |
【ワーク②】「これからの自分への手紙」
未来の自分にあてて「どんな人間でいてほしいか」「何を大切にしてほしいか」を書く
親愛なる未来の自分へ
あのときは、本当に苦しかったね。
でも今、少しずつ前を向けるようになってきた。
これからも人間関係で戸惑うことはあるかもしれない。
でも、「どうせ自分は…」じゃなくて、
「どんなふうに関わりたいか?」を自分に聞いてあげてほしい。
あなたには、“選び直せる力”がある。
焦らず、自分のペースで育っていこう。
今の自分より
【ワーク③】「私の物語のタイトルと象徴」
自分物語のタイトル | 理由・込めた意味 |
「静かな種まき」 | 人には見えなくても、自分の内側で確かに何かが育っていた |
「イヤホンを外した日」 | 音で塞いでいた世界に、少しずつ耳を開いていった日々の象徴 |
「仮面を脱いで、素の顔で立つ」 | 無理に笑うことをやめて、ありのままの自分でも人と向き合えるようになった |
ステップ5のゴール
統合の完成度 | クライエントの気づき・状態の変化 |
自己物語の再構成ができる | 「昔の自分にも意味があった」「あの時の自分は守っていた」と理解できる |
新しい価値を言語化できる | 「自分はつながりと本音を大事にしたい」「丁寧に人と関係を作りたい」など |
未来志向に立てる | 「まだ模索中だけど、次に進んでみたい」「誰かと関係を築いていくことを試してみたい」 |
~過去の傷と、今の自分をつなぎ直すために~
統合ワークの目的(このクライエント向けに特化)
課題特性 | 統合ワークのねらい |
長期にわたるトラウマ的対人経験(中学以降) | 被害的・孤立的な語りに偏らず、「守ろうとした自分」を理解し直す |
自己認識の低下(魅力・自己像の崩壊) | 「本当の自分」を諦めたままにせず、回復的に語り直す |
家族関係(過干渉の母・仕事中心的父・両親不在感)の内在化 | 「家族の影響で壊れた」ではなく、「そこから距離をとって育ってきた」ことへの視点転換 |
感情の凍結・混乱(イヤホン、味覚刺激、自動的な回避) | 感情との距離を少しずつ詰め、自分の感情を語る言葉を取り戻す |
目的: 凍結された記憶や語れなかった体験に、今の自分から言葉を与える
素材: 中学時代の記憶や夢、部活、帰り道の風景などの断片をもとに行う
ワーク内容(書き出し式)
- 今も繰り返し夢に見るあの場所、あの時間に、当時の自分がいたとします。
- 今のあなたが、その時の自分に向けて話しかける」文章を書いてみましょう。
例えば
「あの日、ひとりで7人の後ろを歩いていた君へ。
その時は、恥ずかしい、見られたくないって思ってたよね。でも、今の僕からすると…」
補助例(選択式にしてもOK)
- あのとき本当は言いたかったけど言えなかった言葉は?
- あの夢の中の「支配的な人」に言いたい一言は?
- あの時の本当の感情を、今の言葉で表現すると?
目的: 押し込めてきた自己価値・信念の萌芽を見つけ直す
方法: 記憶の中にある自分らしさの欠片を、比喩(たとえ)で表現するワーク
ワーク内容(記入式+対話)
- 小学校の頃、クライエントは「笑いかけたり、話しかけたり」していたと語っています。
- その頃の自分を「もし自然物にたとえるなら?」と問いかけます。
比喩ガイド例(選ばせても/考えさせてもよい)
- つぼみの花 → まだ開いてなかったけど、開花の予兆があった
- 小さな焚き火 → 近づけば温かいけど、時々風で消えそうになる
- 透明な氷 → 冷たく見えても、中に澄んだ水(気持ち)があった
「あなたという人は、○○のようだった。なぜなら…」という文章にして仕上げる
目的: 自己物語を一文に収め、自分の歩みを統合して表現する
方法: 今までの歩みを振り返った上で、人生の“章立て”を考え、タイトルをつける
ワーク内容(語り+記述)
- 人生の「第1章〜第3章」の章立てを考える(例:子ども時代/中学生以降/大学とこれから)
- 各章にタイトルをつける(例:「仮面をかぶった僕」「凍った声」「ひとりの声を聴く」など)
- そのうえで、全体の物語にタイトルをつける
例:
- 「見えない声を育てる物語」
- 「イヤホンの中の僕から、歩き出す僕へ」
- 「人に嫌われたと思った僕が、人を嫌いになりすぎていた話」
- 「見られている不安の中に、見つめてほしかった気持ちがいた」
この統合ワークの最終目的
到達したい状態 | クライエントが得るもの |
「傷ついた経験が、今の自分に意味を与えている」ことの体感 | 自己否定からの脱却と、物語の主役としての自己の再発見 |
「人を避けることが、選んできた行動 だった」ことへの自己理解 | 無意識の防衛を、選び直す余地のある自分の力としてとらえ直せる |
「これからの自分をどう生きたいか」を自分の言葉で語れる | 未来に対する主導権の回復。「関わる」「試す」などの選択が、自分発で起きる |
クライエントに適したセルフチェック項目群(構造案)
目的
- 自分の傾向や傷つきやすさ、信念を「見える化」し、他人軸ではなく自己理解の土台をつくる
- 「病名」ではなく、「傾向・パターン・防衛・感情」に気づき、変化の起点とする
構造(6カテゴリ・全48項目)
カテゴリ番号 | カテゴリ名 | 主な内容やねらい |
① | 対人場面での不安と回避傾向 | 恐れ/距離のとり方/視線・会話の困難さなど |
② | トラウマ記憶と再体験 | フラッシュバック・夢・記憶の侵入・過覚醒など |
③ | 感情認識と表出の困難 | 「感じているのに言葉にできない」「混乱してしまう」など |
④ | 自己像のゆらぎと信念 | 自分の価値・恥・他者イメージなどの認知的スキーマ |
⑤ | 家族関係と育ちの影響 | 過干渉/不在/言語化されない家族文化による影響の残存 |
⑥ | 希死念慮・生きづらさ感 | 孤立・空虚感・死にたいという感情の背景 |
チェック形式
- 各項目:「はい/どちらともいえない/いいえ」
- 合計スコア化はせず、カテゴリごとの「傾向分布」を読み解くスタイル
№ | 「わたしの心と関係の傾向を知る48の問い」 |
---|---|
① 対人場面での不安と回避傾向(全8項目) | |
1. | 街中や公共の場で、同年代のグループを見ると強い不安や嫌悪を感じることがある |
2. | 誰かと一緒にいると「自分が浮いている」と感じることが多い |
3. | 視線を合わせるのが怖くて、つい目を逸らしてしまう |
4. | 初対面の人と話す前に頭が真っ白になり、体が動かなくなる |
5. | 自分が話しかけたら迷惑だろうと思い、関係が始まらない |
6. | 何を話せば正解かがわからず、雑談が苦手に感じる |
7. | SNSやチャットなど「間接的なやりとり」のほうが安心できる |
8. | 「友達がほしい」と思っても、どう関わればいいのかわからない |
② トラウマ記憶と再体験(全8項目) | |
9. | 今もはっきりと思い出す「つらかった場面」がある |
10. | 中学校や思春期の一部の出来事を思い出すと、心や体に変化が起きる |
11. | 繰り返し見る悪夢や、不快な夢の傾向がある |
12. | 当時のことを思い出すと、呼吸が浅くなったり、視界が歪んだりしたことがある |
13. | 自分が仲間外れにされたり、誰かに支配される夢を見ることがある |
14. | 特定の音・場所・集団などが、過去のつらい場面を連想させる |
15. | 当時の「自分の無力さ」や「言えなかったこと」が、今も心に残っている |
16. | 「なんであのとき……」という悔しさ・後悔が今でもふと湧き上がる |
③ 感情認識と表出の困難(全8項目) | |
17. | つらさや怒りを感じても、それを表現する言葉が浮かばないことが多い |
18. | 気づくと何も感じない“無”のような状態になっていることがある |
19. | ひとりのときにだけ、涙が出たり怒りが湧いたりすることがある |
20. | ふとしたときに「わたし、なんでこんなに嫌な気分なんだろう」と混乱する |
21. | 音楽や食べ物など「感覚的な刺激」でしか気持ちが動かないときがある |
22. | 「感情を出すと面倒なことになる」と感じて、抑え込む癖がある |
23. | 他人に話してもわかってもらえないだろう、と思って感情を引っ込めてしまう |
24. | 喜び・安心・感謝などポジティブな感情を感じにくくなっている気がする |
④ 自己像のゆらぎと信念(全8項目) | |
25. | 昔よりも自分のことがわからなくなった気がする |
26. | 他人からの評価や態度に、過剰に左右されてしまう |
27. | 「どうせ自分なんて必要とされない」と思ってしまうときがある |
28. | 「人間関係は最終的に壊れるものだ」とどこかで思ってしまっている |
29. | 人に頼ることが甘えや弱さのように感じてしまう |
30. | 「無理して作ったキャラ」がいつのまにか自分のベースになっていた |
31. | 人に合わせすぎて、自分の本音がわからなくなる |
32. | 自分の感情や存在がなかったことにされているような感覚がある |
⑤ 家族関係と育ちの影響(全8項目) | |
33. | 家族との会話は表面的で、「本音」を語れた記憶が少ない |
34. | 子どもの頃、寂しさを感じても誰にも言えなかった |
35. | 親の価値観(仕事中心、過保護、期待など)が今も無意識に影響している気がする |
36. | 過干渉や否定的な言葉が多く、「見守られた」感覚が薄い |
37. | 自分の気持ちよりも、親や周囲の期待を優先するように育った |
38. | 家にいると空気の重さや緊張感を感じていた記憶がある |
39. | 「自分は家族に感情をわかってもらえなかった」と感じている |
40. | 自分の育ちが人付き合いや価値観に影響していると感じることがある |
⑥ 希死念慮・生きづらさ感(全8項目) | |
41. | 「死にたい」というより、「消えたい」「いなくなりたい」と思うことがある |
42. | 1人でいるときに、強い孤独感や空虚感に襲われることがある |
43. | 眠っている間だけが安心できるような感覚になるときがある |
44. | 他人の幸せそうな姿を見て、なぜか苦しくなることがある |
45. | 「生きていて何になるんだろう」と考えることがある |
46. | 誰かに「大切にされた」と感じた記憶があまり思い出せない |
47. | 自分を責める言葉(例:「何してんの」「ダメだな」)が無意識に頭の中で再生される |
48. | 本当は「誰かに見つけてほしい」と思っていたことがある |
評価:活用方法と次のステップ
- カテゴリごとの「はい」の数をカウント
- 高スコアカテゴリを中心に、次のような支援計画が立てられます。
高スコアカテゴリ | 示唆される重点支援領域 | 支援アプローチ例 |
---|---|---|
①対人不安 | 社会不安・視線恐怖・関係性構築の困難 ・対人場面での不安と回避傾向 | 回避行動の段階的解除/安心な人とのロールプレイなど 恐れ/距離のとり方/視線・会話の困難さなど |
① 対人場面での不安と回避傾向 高めのスコア: 人との関わりに対して恐れとあきらめの混在した感情が見られます。回避は「弱さ」ではなく、「傷つきを避けようとした賢明な防衛」として理解し直すことが必要です。 支援の視点: 対人刺激の段階化・安全な他者との練習・感情の名づけ練習など。 | ||
②トラウマ記憶 | 未完のトラウマ処理/再体験/過覚醒 ・トラウマ記憶と再体験 | ナラティブワーク/夢の統合/外在化技法 ・フラッシュバック・夢・記憶の侵入・過覚醒など |
② トラウマ記憶と再体験 高めのスコア: 未消化の記憶が現在の自己像・関係に影響している可能性があります。再体験があるなら、その「未完の出来事」に言葉と意味を与えるナラティブ作業が効果的です。 支援の視点: 安全な枠組みの中での語り直し(ステップ2)/夢や象徴の活用も有効。 | ||
③感情の混乱 | アレキシサイミア傾向/情動抑制 ・感情認識と表出の困難 | 感情語学習/身体スキャン/内的気づき強化 ・「感じているのに言葉にできない」「混乱してしまう」など |
③ 感情認識と表出の困難 高めのスコア: アレキシサイミア傾向(感情の識別・表現困難)も示唆されます。これは「感情を切ることで身を守ってきた歴史」でもあります。 支援の視点: 身体感覚から感情を捉える/“感情語”の学習/マインドフルネスによる自己観察など。 | ||
④自己像のゆらぎ | 自己否定/スキーマの偏り/役割人格の形成 ・自己像のゆらぎと信念 | 信念修正ワーク/「無理な自分」との対話 ・自分の価値・恥・他者イメージなどの認知的スキーマ |
④ 自己像のゆらぎと信念 高めのスコア: 「自分=価値がない」「人間関係=損なうもの」という自己スキーマが形成されている可能性。過去の語り直しと、自己信念の更新作業が必要です。 支援の視点: 過去の役に立った信念の再評価 → 「今は手放せる信念」の見極め。 | ||
⑤家族の影響 | 家族内トラウマ/親の価値観の内在化 ・家族関係と育ちの影響 | 内的親の外在化/再選択ワーク ・過干渉/不在/言語化されない家族文化による影響の残存 |
⑤ 家族関係と育ちの影響 高めのスコア: 親からの距離感の不安定さ(過干渉・不在)に起因する“内在化された家族”が、自分への視線・他者への不信を強めているかもしれません。 支援の視点: 内的家族イメージとの対話/親の声の区別化(外在化)など。 | ||
⑥希死念慮 | 生きる意味の喪失/空虚感/共感の欠如体験 ・希死念慮・生きづらさ感 | ロゴセラピー的支援/意味の探索対話 ・孤立・空虚感・死にたいという感情の背景 |
⑥ 希死念慮・生きづらさ感 高めのスコア: 「死にたい=終わらせたい」のではなく、「生き方が見えない」という叫びとして理解する必要があります。意味づけ・価値観の再発見と関係の修復が重要です。 支援の視点: ロゴセラピー的介入(意味の問い)/「他者と共にいる価値」の再構成支援。 |