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夫婦のカサンドラ症候群はアレキシサイミア傾向の夫が原因

目次

夫婦のカサンドラ症候群はアレキシサイミアやASD、統合失調質パーソナリティ症傾向の夫が原因なのか。セルフチェックとワークシートで診断

夫婦間のカサンドラ症候群は、パートナーが自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)、パーソナリティ障害、アレキシサイミア、感情調節障害、アルコール依存症のように、コミュニケーションや情緒的な相互関係が困難なパートナーの存在によって、もう一方のパートナーが心的ストレス、不安障害、またはうつ病、適応障害などの症状を経験する状態を指します。また、パートナー間以外にも相手が特定の精神的な障害を持っていなくとも、コミュニケーションや感情的な相互作用に課題があるさまざまな人間関係で発生する可能性があります。これは、一方が情緒的にサポートや理解を求めながらも、相手がそれに応えられないことから生じるストレスの関連から起こることです。

今回のセラピーでは、夫婦間の男性がアレキシサイミアや自閉症スペクトラム障害、統合失調質(シゾイド)パーソナリティ障害の傾向(グレーゾーン)の特徴が浮かび上がっていて、夫婦間のコミュニケーションが全く取れなく、カサンドラ症候群の状態にあります。

結婚して10年がたちます。私は37歳で子供はいません。職業はIT関連の外資系に勤めています。
結婚前には障害傾向や感情交流の困難に気付かなく、夫の特性が不明瞭でした。きっと、お付き合い中には、魅力的な側面に焦点が当てられ、理解がまだ不完全であったと思います。結婚後には一緒にいる時間が長くなり、夫の本来の自分をさらけ出すことが増え、障害の疑いや失感情傾向などの課題が浮かび上がったことなのだと思います。

夫は感情が希薄で理攻め、私に関わる物事や人間関係にも無関心で単独行動を好みます。特に他者への共感性、思いやりが著しく低く、自分で決めたことを計画通りにすることばかりで、そこから外れることをとても嫌います。また家庭内での会話が極端に少なく、人との交流や共有体験などを嫌います。

夕飯をいつもを用意するのですが、夫はスーパーから自分の好きなお惣菜を買ってきて、自分の部屋で晩酌をしています。もちろん買い物や旅行に一緒に出掛けることはなく、自分一人でできる趣味的なことをしているようです。家庭のことは一切しません。私の望むのは、話し相手になって欲しいとか、優しい言葉を期待するとかではなく、せめて意思が通じるようになることを望むだけです。言葉が通じないと夫婦生活は成り立たないと感じています。現在は、まったく見ず知らずの他人と同居しているような感じです。できることなら、離婚をして楽になりたいと考えています。

このページを含め、心理的な知識の情報発信と疑問をテーマに作成しています。メンタルルームでは、「生きづらさ」のカウンセリングや話し相手、愚痴聴きなどから精神疾患までメンタルの悩みや心理のご相談を対面にて3時間無料で行っています。

夫婦のカサンドラ症状のセルフチェック

このケースは、カサンドラ症候群(Cassandra Syndrome)に典型的な特徴を備えており、配偶者の情緒的な孤独と、「共感の断絶」からくる慢性的なストレス、さらには離婚に至らない「関係の継続」による葛藤が複雑に絡んでいます。

まずは、カサンドラ症候群セルフチェックリスト(男女別・各30問)で評価することから始めてみます。
両者の心理状態は異なる特性を持つため、それぞれに焦点を当てた質問項目とした自己評価です。

このチェックリストは、診断ではなく気づきのためのツールです。
特に「男性用」は、批判や指摘を受け入れにくい方に向けて、自己理解の入り口となるよう工夫しています。

【女性用】カサンドラ症候群セルフチェックリスト

【女性用】カサンドラ症候群セルフチェックリスト(配偶者が共感性に乏しいと感じる女性向け)です。

「はい」「いいえ」で答えてください。過去3ヶ月〜6ヶ月の実感に基づいてご回答ください。

【女性用】カサンドラ症候群セルフチェックリスト
1.配偶者に気持ちを話しても、共感やねぎらいを得られないと感じる
2.家庭内で会話が少なく、孤独を感じることが多い
3.自分が「透明人間」や「空気のような存在」に思えることがある
4.配偶者が何を考えているのか全くわからない
5.こちらの感情を説明しても、無視・否定・論破されることが多い
6.日常のちょっとした共有(風景・食事・出来事)に共鳴してくれない
7.家族のイベントや記念日への関心が著しく薄い
8.相手と一緒にいても安心やぬくもりを感じられない
9.「私が悪いのだろうか」と頻繁に自分を責めてしまう
10.日々、無力感や虚しさを感じている
11.感情の起伏を抑え、自分の感情を感じづらくなってきた
12.心療内科やカウンセリングを考えたことがある
13.夜眠れなかったり、心身の疲労感が取れない
14.周囲には「理想的な夫婦」と思われていて、誰にも相談できない
15.夫の態度が冷たくても、反応がないことにもう慣れてしまった
16.離婚や別居を考えたことがある
17.相手の前で自然に笑ったり、涙を流すことが減った
18.言葉にならない怒り・悲しみを日常的に感じる
19.「この人は病気では?」と疑ったことがある
20.自分が壊れてしまいそうな不安がある
21.「普通の夫婦関係」がどういうものか分からなくなっている
22.相手の世界には自分が入れてもらえない感じがする
23.性的・身体的接触も「義務的」または完全に失われている
24.相手の機嫌や予定に合わせる生活が習慣化している
25.共感や思いやりのない「理詰めの指摘」に追い詰められる
26.「こんなことで傷つく自分が悪い」と思ってしまう
27.会話よりも沈黙の方が多く、話すことを諦めるようになった
28.自分の人生を生きていない気がする
29.相手と接しているときに呼吸が浅くなる/緊張する
30.相手が感情をもたないロボットのように感じられることがある

評価

  • 各「はい」に対して1点を与えます。
  • 合計点を計算してください。
合計点 解釈
0-14点「部分的な関係性の困難があり、継続的な支援が望ましい」
15-19点「心理的負担が大きく、慢性的な共感欠如に起因する問題が疑われる」
20-30点「カサンドラ症候群の可能性が高い」

【男性用】カサンドラ相手チェックリスト

【男性用】カサンドラ相手チェックリスト(共感性を指摘される男性向け)です。
※このリストは、「指摘を受けた方が自己理解と気づきを深める」ためのものです。

「はい」「いいえ」で答えてください。過去3ヶ月〜6ヶ月の実感に基づいてご回答ください。

【男性用】カサンドラ相手チェックリスト
1.感情を表現することに意味を感じない
2.誰かの感情に共鳴するのが難しい
3.目標や計画を実行することが生活の中心である
4.他人の話が長いとイライラする
5.家族との会話は必要最低限でいいと思っている
6.人と雑談や感情の話をするのが苦手
7.相手の気持ちを聞いても「それで何がしたいのか?」と考える
8.予定が崩れると強いストレスを感じる
9.一人で行動するのが気楽だと感じる
10.相手の表情やトーンを読むのが苦手
11.人間関係の摩擦は「論理的に対処」すべきだと考える
12.配偶者が話してくる「感情の共有」に意味を感じない
13.「冷たい」と言われるが理由がわからない
14.子供の頃から人と深く関わることを避けてきた
15.感情よりも事実や数字に強く関心がある
16.自分が悪者扱いされるのが納得いかない
17.配偶者が泣いていても、どうしていいかわからない
18.相手が話す「不安」「寂しさ」などの感情に困惑する
19.心配や気遣いが「過剰」に思える
20.感情のやり取りが面倒に感じられる
21.愛情表現は行動(お金や家事)で十分と思っている
22.表情や言葉の裏を読むことが苦手
23.急に距離を取られると理由がわからず戸惑う
24.自分に原因があるとは思えない
25.「普通にしているだけなのに」と思うことが多い
26.相手の「傷ついた」という言葉に実感が湧かない
27.長年の関係が冷え込んでも特に不満はない
28.感情を扱う場面(映画、会話)が苦痛に感じられる
29.カウンセリングには必要性をあまり感じない
30.配偶者の不満を「感情の問題」として片づけている

評価

  • 各「はい」に対して1点を与えます。
  • 合計点を計算してください。
合計点 解釈
0-14点「相互理解のズレがあり、感情領域のワークが有効と考えられる」
15-19点「共感理解の難しさに気づいていない可能性があり、気づきのサポートが必要」
20-30点「共感性の特異性や認知的偏りが強く、対人関係で誤解を招きやすい可能性」

夫婦対話セッション用ワークシート

カサンドラ症候群に悩むご夫婦のために、感情のすれ違いを見つめ、共に歩むための夫婦対話セッション用ワークシートです。

対話のコツ(セッション中に口頭でも案内)

  • 正しさや理屈ではなく、「感じたこと」に焦点をあてましょう。
  • 相手を変えることより、自分の気づきに意識を向けましょう。
  • 途中で感情が湧いてきたら、それは大事なサインです。

このワークシートは、1回で答えを出すためのものではなく、対話の“入り口”をつくるための補助資料です。

STEP
いまの自分の状態を確認してみましょう(個別記入)

それぞれ、ご自身の状態を記入してください。
※このステップは「見てもらうため」でなく「気づくため」です。

  • 最近よく感じる気持ち(3つまで):
    • 例)孤独/怒り/疲れ/不安/無感情/無関心/平穏 など
    • 配偶者:
    • ご本人:
  • 配偶者に対して、普段は言葉にしないけれど本当は伝えたいこと:
    • 配偶者:
    • ご本人:
  • 「こうしてほしい」「こうしてくれたら助かる」こと:
    • 配偶者:
    • ご本人:
STEP
共にいる時間について(共同記入)

次の問いに一緒に話し合いながら、可能な範囲で記入してみてください。

  • 一緒にいて「穏やかだ」「心が動いた」と思える瞬間はありますか?
     
  • 逆に、距離やズレを感じる場面はどんなときですか?
     
  • 最近、一緒に何かをして「少し楽しかった」「ほっとした」と思えた体験はありましたか?
STEP
理解のための視点を変える(各自記入 → 共有)

Q1. 相手が「あなたの気持ちをわかっていない」と感じるとき、あなたは何を一番求めていますか?

(選択 or 自由記述)

  • ☐ 話を遮らず最後まで聴いてほしい
  • ☐ 否定せずに受け止めてほしい
  • ☐ 共感の言葉や表情がほしい
  • ☐ 解決策よりもまず感情に反応してほしい
  • ☐ そばに静かにいてくれるだけでよい
  • ☐ その他:_________________

Q2. 相手が「感情的だ」「話しがちだ」「無関心だ」と感じたとき、あなたはどう反応しがちですか?

(記述)

  • _____________________________

Q3. あなた自身、相手からどんな「気遣い」や「理解」があると感じたときに、関係が楽になりますか?

  • _____________________________
STEP
これからについて話し合う(共同記入)
  • 「この1週間、お互いにできそうなこと」を1つずつ提案してみましょう。
    • 配偶者から:__________________
    • ご本人から:__________________
  • 無理のない範囲で、やってみたい“共有行動”はありますか?
    • ☐ 一緒に散歩する
    • ☐ 昔好きだった音楽を一緒に聴く
    • ☐ 食事中はスマホを見ないで会話してみる
    • ☐ 家族の昔話をしてみる
    • ☐ その他:__________________
STEP
最後に

お互いに、「ありがとう」「ごめんなさい」「伝えたいこと」 を一言ずつ記入してみましょう。

  • 配偶者より:______________________
  • ご本人より:______________________

継続セッション用ステップアップシート

夫婦の関係の修復ではなく、“理解”と“共存”の歩みを目的に、段階的に深める形のバージョンです。カサンドラ症候群に悩むご夫婦のための継続セッション用ステップアップシート(全3回構成)です。

この3回のセッションを通じて大切にする原則

  • 相手を「変えよう」としすぎない
  • 自分の“感じていること”を見捨てない
  • 「共有しきれないこと」があるのも夫婦の自然な形
セッション回主な目的使用ワークのキーワード
第1回感情と言葉の「ずれ」に気づく感情トレース/非共感エピソードの言語化
第2回相手の内的世界を想像する想像対話/仮の共感体験/感情マップ共有
第3回「分かち合い方」の再設計境界線・共有線ワーク/未来意図の宣言
第回
感情の“非共有”に気づくワーク

STEP 1:最近、印象に残った出来事をそれぞれ記述

  • ご本人の出来事(例:散歩中に道を間違えた)
     →
  • 配偶者の出来事(例:買い物中に声をかけられた)
     →

STEP 2:それぞれの「感じ方」のトレース

質問ご本人   配偶者
その時、どんな感情がありましたか?
その感情を、相手に伝えましたか?  
伝えたとき、どう受け取られたと思いますか?

STEP 3:すれ違いのパターンを発見する

「相手に気持ちを伝えても、◯◯のように返された/返した」という経験は?

第回
“理解されない”を超える仮想対話ワーク

STEP 1:お互いに「わかってほしい気持ち」を1つだけ選ぶ

  • ☐ 寂しい
  • ☐ 理屈じゃない悲しみ
  • ☐ 共感してほしい
  • ☐ 無関心ではないと知りたい
  • ☐ 話を聴いてほしい
  • ☐ 理解できないかもしれないが、否定しないでほしい

それぞれ選んだ感情:

  • ご本人→
  • 配偶者→

STEP 2:相手の立場になって「想像で答えてみる」対話形式

お題ご本人が配偶者の役になり答える配偶者がご本人の役になり答える
「私が感じていたのは、こんなことなんだよ」
「その時、私はこう返せばよかったのかも」

※これは演技ではなく、「仮の共感体験」を使った練習です。

第回
“ふたりの未来地図”を描くワーク

STEP 1:「共にする」「分ける」の再設計

領域一緒にやると良いことあえて別々にすること
家事
趣味・余暇
心のケア
他者との関係

STEP 2:「お互いの安心の条件」を言語化する

配偶者が感じる“安心”とは?ご本人が感じる“安心”とは?


STEP 3:最後に、お互いに“未来への一言”を書く

  • 配偶者から本人へ:
  • 本人から配偶者へ:

マインドフル対話誘導ワーク(夫婦向け)

「音声ガイド付きワーク:マインドフル対話誘導(夫婦向け)」の原稿案を3種類です。
どれもご自宅で使える音声読み上げや対面セッションでの誘導に使えるように構成されています。

【1】五感から「今ここ」に戻るペアワーク(約5分)

対象:

・会話がかみ合わないと感じるとき
・言葉での衝突が続いた直後
・話し始める前の「準備」として

音声原稿例(セラピストまたはご本人が読み上げる):

それでは、2人とも静かに椅子に腰掛けてみましょう。

目を閉じても、開けたままでも構いません。
今、この部屋の「音」に注意を向けてみましょう。

時計の音、空調の音、相手の呼吸の音……どんな音が聞こえますか?

次に、身体の感覚に意識を向けてみましょう。
足の裏が床に触れている感覚。
背中が椅子に支えられている感覚。

そして、呼吸に意識を向けます。
吸って……(3秒)
吐いて……(3秒)

今から30秒だけ、言葉を使わずに、相手の存在を感じてみましょう。

あなたの隣にいるこの人は、
同じ時間を生きている「別の世界」を持った存在です。

それを、ただ感じるだけでかまいません。

【2】“感情の温度”を伝える非言語ワーク(約7分)

対象:

・気持ちを言葉でうまく伝えられないとき
・共感がすれ違っているとき
・本人がアレキシサイミア傾向にあるとき

音声原稿例:

では今から、互いの「こころの温度」に耳を澄ませてみましょう。

目を閉じて、自分の胸のあたりに手を当ててみます。

今の気持ちは、暖かいですか? 冷たいですか?

それは、何色ですか?
それは、どんな形をしていますか?

自分の“今の気持ち”を、色や形や温度でイメージしてみましょう。

次に、そのイメージを一言で言ってみます。

たとえば「うすいグレーの霧」「乾いた石のような冷たさ」など。

相手に対しては、この“比喩の言葉”だけを伝えてみましょう。

_________ ←(互いに一言ずつ伝える)

受け取った側は、ただ黙ってそれを聞くだけで構いません。
「なるほど」や「分かる」などの反応はいりません。
ただ、相手の“こころの色”を、少しだけ感じてみてください。

【3】未来の安心に触れるイメージワーク(約8分)

対象:

・将来像が見えず不安なとき
・関係の「方向性」を再構築したいとき
・分かり合えなくても“共にいる”感覚を思い出すとき

音声原稿例:

では、目を閉じて、未来のある一日を思い描いてみましょう。

それは、1年後でも5年後でも構いません。

二人が、一緒に過ごしているある日の午後。

どこにいますか?
何をしていますか?

言葉を交わしていなくても、
そこに「安心」や「静かなつながり」はありますか?

その情景の中で、あなたはどんな顔をしていますか?
相手は、どんな表情でそこにいますか?

その風景を、今だけ心に浮かべてみましょう。

それが現実になるかどうかではなく、
「自分が望む関係のかたち」を知るための時間です。

ゆっくりと目を開けたら、そのイメージの中で見えた「キーワード」を一つ、相手に伝えてみましょう。

例:「並んで座る」「静けさ」「笑ってる」「隣にいる」など。

失感情症ASDシゾイド傾向簡易セルフチェック

【1】アレキシサイミア(失感情症)セルフチェックリスト(30問)

次の設問に「はい」「いいえ」で答えてください。

アレキシサイミア(失感情症)セルフチェックリスト
1.自分の気持ちがよく分からないことがある
2.うれしいのか悲しいのか、自分で判断がつかないときがある
3.感情を言葉にするのが苦手だ
4.「どう感じているの?」と聞かれて困る
5.他人の感情に共感しにくい
6.物語や映画を見ても感動しにくい
7.体調不良に気づきにくい
8.感情ではなく、事実や論理で話す方が得意
9.感情表現を恥ずかしいと感じる
10.過去を思い出しても感情より事実ばかり浮かぶ
11.泣いたり怒ったりすることが少ない
12.笑顔や涙を見ると戸惑う
13.感情に振り回される人を見ると疲れる
14.感情を整理するより行動で解決したくなる
15.「心の中」が空っぽに感じることがある
16.話しているとよく「冷たい」と言われる
17.感情の区別(怒り・悲しみなど)がつきにくい
18.自分にとって重要な場面でも感情が出てこない
19.他人の感情の理由を理解しにくい
20.感情よりもルールや正しさを優先する
21.物事に過度に冷静または論理的に反応する
22.気持ちを問われると「特にない」と答えがち
23.自分の感情があっても無視することが多い
24.感情を表に出すのが不快だと感じる
25.言葉にしようとしても「何となく」としか言えない
26.自分の気持ちに責任を持つのが怖い
27.感情が薄い人間だと思っている
28.自分の心にアクセスできない感じがする
29.感情を意識するよりも考える方が自然だ
30.他人の感情よりも状況を判断する方が得意

評価

  • 各「はい」に対して1点を与えます。
  • 合計点を計算してください。
合計点傾向評価
0-9点低い傾向感情に気づきやすく、表現や理解も十分ある傾向。
10-19点やや高めの傾向感情面にやや困難を抱える可能性あり。対話・気づきワークで改善の余地あり。
20-30点高い傾向(要留意)アレキシサイミア傾向が強く、感情の同定・共有に著しい困難を抱える可能性。共感性や対人感情へのアクセスのトレーニングが必要。

【2】自閉症スペクトラム傾向(ASD)セルフチェックリスト(30問)

次の設問に「はい」「いいえ」で答えてください。

自閉症スペクトラム傾向(ASD)セルフチェックリスト
1.一人の時間が心地よいと感じる
2.人の気持ちを察するのが苦手だ
3.何気ない会話が苦痛に感じる
4.相手の表情の意味が分からないときがある
5.冗談や皮肉が理解しづらい
6.同じ話を何度も繰り返してしまうことがある
7.興味のある分野には非常に集中できる
8.予定外の出来事が起こると混乱する
9.人の多い場所が疲れる
10.話すより聞く方が苦手
11.目を合わせて話すのが苦手
12.相手の感情の変化に気づきにくい
13.独特のこだわりがある(順序、時間、手順など)
14.感覚過敏(音・光・匂い・手触りなど)を感じやすい
15.自分のルールが崩れるとイライラしやすい
16.話の切り替えが苦手で、ひとつの話を続けがち
17.対人距離が近すぎるまたは遠すぎると言われる
18.相手にどう思われているか想像しづらい
19.無意識のうちに相手を不快にさせていると指摘される
20.感情を顔に出すのが苦手
21.グループより個人行動が楽
22.同時に複数の情報処理をするのが苦手
23.決まったやり方や順序が変わると不安になる
24.相手の話が長いと集中できなくなる
25.対話よりもひとりで考える方が得意
26.抽象的な言葉や表現が分かりづらい
27.話を聞きながら自分の興味に移ってしまうことがある
28.特定の興味対象に深くのめり込む
29.人の気分に「巻き込まれる」のが苦手
30.予定やスケジュールを正確に守らないと不安になる

評価

  • 各「はい」に対して1点を与えます。
  • 合計点を計算してください。
合計点傾向評価
0-9点傾向なし〜ごく軽度ASD傾向は見られにくいが一部困難はあるかもしれない。
10-19点中等度の傾向社会性・柔軟性にやや難しさあり。支援や対人スキルトレーニングが有効。
20-30点高い傾向(要専門的評価)発達特性としてのASD傾向が強く、日常生活・対人関係で顕著な影響の可能性あり。正式な診断・評価を要検討。

【3】統合失調質(シゾイド)パーソナリティ傾向チェックリスト(30問)

次の設問に「はい」「いいえ」で答えてください。

統合失調質(シゾイド)パーソナリティ傾向チェックリスト
1.一人でいることを好む
2.他人と親密になることに興味がない
3.恋愛や性的な関係に関心が乏しい
4.家族との関係にも強い感情を抱かない
5.褒められてもあまり嬉しくない
6.批判されてもあまり気にしない
7.人と話すより、一人で考え事をしていたい
8.他人の感情に関心が持てない
9.交友関係を広げたいと思わない
10.パーティーや集まりを避ける
11.小さい頃から空想するのが好きだった
12.周囲から「無口」「冷たい」と言われる
13.仕事でもあまり他人と関わりたくない
14.感情を外に出すことがほとんどない
15.親密さに不安や恐れを感じる
16.相談を受けても反応に困る
17.自分の気持ちを言葉にするのが苦手
18.一緒にいなくても孤独を感じることがない
19.強い感情体験(喜怒哀楽)がほとんどない
20.他人の世話をしたいとは思わない
21.「誰かと分かち合いたい」と思うことがない
22.心を許す、ということがよく分からない
23.未来の人間関係に期待しない
24.他人との距離を詰められると居心地が悪い
25.自分の内面世界が豊かだと感じる
26.親しい人に話しても心が動かない
27.周囲から見て何を考えているか分からないと言われる
28.自分の感情が希薄だと感じる
29.目立たず静かに生活したい
30.他人との関係が面倒に感じる

評価

  • 各「はい」に対して1点を与えます。
  • 合計点を計算してください。
合計点傾向評価
0-9点傾向なしまたは軽度対人関係への関心もあり、他者とのつながりに意味を感じている
10-19点中程度の傾向内向性・共感性の乏しさがあるが、関係を築く力も残っている
20-30点高い傾向(要注意)シゾイド傾向が強く、対人関係からの離脱や感情的結びつきの回避傾向が著明。精神科・心理士による包括的な評価が推奨される。

段階的・構造的アプローチ

感情の認識や表出が乏しい男性クライエントに対するセラピーは、次のような段階的・構造的アプローチが有効です。

これはとくにアレキシサイミア傾向自閉スペクトラム的特性、またはシゾイドパーソナリティ傾向を持つ男性クライエントに対応するための設計です。

STEP
「安心・予測可能」をつくる

「安全」と「枠」の確保

  • 目的:セラピーに「安心・予測可能・論理的」な空間があると感じてもらう
  • ポイント
    • セッションの目的や構造を明確化する(毎回のテーマ・時間配分など)
    • 感情よりもまず「観察された事実」「パターン」「困っている状況」から入る
    • 抽象的な質問を避け、「最近起こったこと」を具体的に問う
  • :「最近の1週間で気になった出来事はありますか?」

目的:構造的な枠組みを明示し、見通しを持たせる

セラピスト:
「今日の時間の使い方ですが、ざっくりこんなふうに進めてみたいと思っています。
まずは最近の出来事や感じたことを少し振り返ってから、そこに出てきたことを整理して、
気になった点や今後の見通しを少し一緒に考えていけたらと。
もちろん、無理に話したくないことは話さなくて大丈夫です。」

「今日は、何か特に話しておきたいことや気になってること、ありますか?」

「安心・予測可能」をつくる

内容記入欄・チェック
今日のセッションの目的□ 話を整理する □ 最近の困りごとを明確にする □ 他(    )
セッション構成の確認(時間配分など)□ 説明済み □ 不要
取り上げたい話題(あれば)_____________________________________________________
STEP
「反応」や「身体」から入る

「感情」ではなく「反応」や「身体」を手がかりにする

  • 目的:感情という言語に頼らず、反応・行動・身体からアクセスする
  • 技法
    • 「そのとき身体に何か変化はありましたか?」
    • 「その時、顔の表情や声のトーンはどうでしたか?」
    • 「他の人だったらどんな気持ちになりそうですか?」
  • ツール例
    • 感情語一覧表(言葉が思いつかない場合に選ばせる)
    • 身体スキャン(マインドフルネス誘導)
    • 感情顔スケール(表情絵カード)

目的:感情ではなく、出来事や身体反応からアクセス

セラピスト:
「ここ最近、ちょっと印象に残ってる出来事ってありましたか? 
どんなに小さなことでも、なんとなく頭に残ってるようなことがあれば教えてください。」

(例:家でのやりとり、テレビ、移動中のことなど)

「そのとき、ご自身の体の感覚や動きに変化はありましたか?
例えば、息が詰まるような感じがしたとか、手が冷たくなったとか、逆に何も感じなかった、でも大丈夫です。」

「声の感じや、表情とか、普段と違うところってありました?」

「反応」や「身体」から入る(感情に触れすぎない)

  • 直近1週間で印象に残った出来事は?
  • そのときの身体の変化・感覚は? | □ 緊張 □汗をかく □手が震える □なし □その他
  • 顔の表情や声のトーンは? | □ 無表情 □強ばる □暗くなる □変化なし □その他
  • 他人だったら、どんな気持ちになりそう?
STEP
「状況 − 反応 − 意味」で構造化する

「状況−反応−意味」の三段階で整理

  • 目的:言語化の練習として「意味づけ」にフォーカスする
  • フレーム例
    1. 【状況】何が起きた?(客観的事実)
    2. 【反応】自分はどう反応した?(行動・身体・思考)
    3. 【意味】なぜそうなったと思う?(予測・推測・記憶)
  • 誘導例:「その出来事は、あなたにとってどんな意味を持ったと思いますか?」

目的:事実・行動・内的認知を3層に分けて把握する

セラピスト:
「今のお話を、少し整理してみましょうか。」

「まず、“何があったか”(状況)から振り返ってみましょう。
 その時、誰がいて、何が起きたか、なるべくそのまま教えてください。」

「次に、“そのとき自分がどう動いたか”(反応)。
 言葉でも態度でも、何か覚えてることがあれば。」

「最後に、“なぜそう動いたか”(意味)を考えてみましょうか。
 自分で『こうした方がいい』と感じた理由って、何だったと思いますか?」

「状況 − 反応 − 意味」で構造化する

  • 【状況】何が起きた?(事実)
  • 【反応】自分はどう動いた?どう振る舞った?
  •  【意味】なぜそうしたと思う?
STEP
間接的に感情へアクセス(比喩・他者視点)

「他者視点」や「比喩」で感情に近づく

  • 目的:間接的な方法で感情の認知を広げる
  • 技法例
    • 「その場面を映画で見ていたら、登場人物はどんな気持ちに見えますか?」
    • 「その時の自分は、たとえるならどんな動物・天気・風景でしたか?」

「怒っていたとしたら、どんな怒りだったと思いますか?(例:爆発系・静かな圧力系など)」

目的:直接的な感情語を使わず、たとえや他人視点を活用する

セラピスト:
「もし、誰か別の人が今の場面にいたとしたら、その人はどんな気持ちになると思いますか?」

「映画のワンシーンとして描かれるとしたら、どんなシーンになりそうですか?
 たとえば、怒ってるシーン、悲しいシーン、無表情なシーンなど、どれが近そうですか?」

「この出来事を“動物”とか“天気”にたとえるとしたら、何が浮かびますか?
 たとえば、“静かな冬の海”とか、“鉄のカメレオン”とか、そんな感じでもOKです。」

  • セラピスト:
    「もし、誰か別の人が今の場面にいたとしたら、その人はどんな気持ちになると思いますか?」
  • ② 映画で描くなら、どんなシーンになりそう? □ 怒り系 □悲しみ系 □無感情系 □混乱系 □その他
  •  ③ たとえるなら?(動物/天気/色/風景など)たとえ:
STEP
感情語のトレーニング(表出支援)

「感情語」を使う練習と肯定的フィードバック

  • 目的:感情表現の苦手さを「訓練課題」として明確化する
  • 支援方法
    • 曖昧な言い方(「モヤモヤ」「なんとなく」)を明確化するよう援助
    • 出てきた感情語を「言えたこと」に対して肯定的にフィードバック
    • 「感情日記」や「1日1感情」ワークの宿題化も有効

目的:感情語との接点をつくり、少しずつ内在化する

セラピスト:
「今の出来事に近い気持ちを、いくつかの“ことば”から選んでみましょうか。
 一覧からでも、思いつくものでもかまいません。」

(例:淡々、困惑、緊張、イライラ、無感情、なんとなく嫌、…)

「その言葉を、自分の言葉に置きかえるとしたら、どんな表現になりますか?
 “なんとなく気持ち悪い感じ”とか、“引っかかるけど言えない”とかでも大丈夫です。」

「今日のセッションを通して、一番“近かった気持ち”って、なんだったと思いますか?」

感情語のトレーニング(表出支援)

  • この出来事に近い感情語を以下から選んでください(複数可)
  •  □ 淡々 □驚き □怒り □不安 □困惑 □緊張 □冷静 □嫌気 □疲れ □無感情 □焦り □その他
  •  自分なりの言葉に直すなら?
  • 今日のセッションで一番近い「感情」は? | □ なんとなく分かった □まだ分からない □無理せず考えてみる
STEP
自己理解・反復・次回へのヒント

自己理解・自己定義への接続

  • 目的:感情や行動のパターンを通して「自分とは誰か」を考える支援
  • 問い例
    • 「こういう時、あなたらしさって何だと思いますか?」
    • 「似たような場面、過去にもありましたか?」
    • 「自分にとって大切にしたい反応ってどれでしょう?」

目的:学びの整理・繰り返し・継続意欲の促進

セラピスト:
「今日は、“こんなときにこう反応する”っていう、ご自身のパターンが少し見えてきた気がします。」

「同じような場面がまたあったとしたら、今回と違う対応をしてみたいと思いますか?
 それとも、今のままでもよいと思いますか?」

「次回ももし続けるとしたら、どんなテーマで考えてみたいですか?
 また、“気づきの記録”のようなミニワークを、試してみるのもアリだと思っています。」

自己理解・反復・次回へのヒント

  • 今回気づいた「自分の反応パターン」
  • 今後、似た場面で意識したいこと/避けたいこと
  • 次回話したい・検討したいこと | □ 感情をもう少し掘る □ 身体反応の傾向 □ 日常場面の再整理 □その他
STEP
ミニ記録用:次回までにやってみる宿題(任意)
  • □ 1日1つ、気になった出来事を「状況−反応−意味」でメモ
  • □ 感情語リストから「今日の感情」を1つ選んで日記形式で記録
  • □ 身体スキャンや五感マインドフルネス(音声ガイド使用も可)

感情の認識が著しく乏しいクライエント向け

クライエント用 練習カード形式(全40枚)

使用例・提案形式(セラピスト用)

● セッション中に:

  • 「今の気分に近いカードを選んでもらえますか?」
  • 「この中に“わかる感じ”があるとしたら、どれが近いですか?」
  • 「“その時の気持ち”に一番近い天気/動物/状態を選ぶと?」

● セルフワーク用として:

  • 1日1枚ランダムに引いて「今日はこれに近いかどうか考える」
  • 過去の記憶にリンクする比喩カードを探すワーク
  • 感情語カードと比喩カードをペアで選び、結びつきを話す・書く

① 感情語カード(全20枚)

▶「なんとなく」に名前をつけるためのサポート
▶ 初級(身体感覚/曖昧な語)→ 中級(情動語)→ 上級(複合感情)で段階設計

【感情語カード|初級:身体感覚に近い表現】

  1. もやもやする
  2. そわそわする
  3. どんよりする
  4. ぴりぴりしている
  5. ずーんと重たい感じがする

【感情語カード|中級:情動に近い語彙】

  1. イライラする
  2. 不安な気がする
  3. 気が引ける
  4. 空しい気がする
  5. うまく言えないけど納得できない

【感情語カード|中級〜上級:関係性に関わる感情】

  1. わかってもらえない感じ
  2. 押しつけられている気がする
  3. 期待されすぎて苦しい
  4. 自分が見られていない感じ
  5. 傍観者になってしまう

【感情語カード|上級:複合感情・深層反応】

  1. わかってほしいけど話したくない
  2. 傷つきたくないから距離を取る
  3. 自分でもよくわからないけど嫌だった
  4. なぜか腹が立ってしまう
  5. 何も感じないことが不安になる

② 比喩カード(全20枚)

▶ 感情語を使わずに「様子」や「空気感」を表す練習
▶ 抽象イメージの力を借りて、間接的に情動にアクセス

【比喩カード|天気・自然】

  1. 曇った空の下にいる感じ
  2. 冬の風のように冷たい
  3. 湿気がまとわりつくような気分
  4. 雷が落ちる直前の静けさ
  5. 霧の中を歩いている感じ

【比喩カード|動物・生き物】

  1. カメのように殻にこもっている
  2. ハリネズミのようにとげとげしい
  3. カモフラージュしたカメレオン
  4. 気配を消した猫のように動けない
  5. 荒れた海にいるクラゲのよう

【比喩カード|物・質感・状態】

  1. 鉄板のように冷たくて硬い
  2. ゴムのように伸びきった感じ
  3. 無音のテレビを見ている感じ
  4. 割れたガラスが散らばっている部屋
  5. ペンキが乾いていない壁のように不安定

【比喩カード|空間・シーン】

  1. 窓のない部屋にいる気分
  2. 誰もいない駅のホーム
  3. 会話が凍りついている食卓
  4. 照明が落ちた舞台の裏側
  5. ずっと待っているけど順番が来ない
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