裏切りへの信頼再学習セッションBetrayal Trauma Therapy & Repairの心理教育とセッションを初公開
裏切られ体験は、一瞬の出来事のように感じられますが、こころの仕組みから見ると二つの段階で生まれます。まず、人は相手を信じ、理想化し、「この人はわかってくれるはず」「大切にしてくれるはず」とポジティブに感じる時期があります。これは弱さではなく、関係をつくるために自然に働く心の力です。その後、相手の言動がその期待と食い違ったとき、傷つきや失望が起こり、「裏切られた」という意味づけが生まれます。最初から敵だと思っていた人から傷つけられても、人は通常それを裏切りとは感じません。裏切りは、信頼があった証でもあるのです。
親密な関係では、相手と自分が一体のように感じられ、良いか悪いかの二分法で相手を見やすくなります。この融合的な理解は必ず現実の複雑さとぶつかり、破綻しますが、それは失敗ではなく、人間関係がより現実的な形へ成長する通過点です。また「守ってくれるはず」「わかってくれるはず」という甘えの願いが強いほど、期待が裏切られたときの痛みも大きくなります。繊細さや認知の特性によって相手の多面性をとらえにくい人ほど、想定外の出来事を裏切りとして体験しやすいこともあります。
心理療法の中でも同じことが起こります。クライエントの心の中の理想化されたセラピストと、現実のセラピストは一致しません。そのずれに出会うことは治療の失敗ではなく、心の分裂を統合へ向かわせる大切な過程です。裏切られ体験を乗り越えるとは、「良い相手も傷つけた相手も同じ一人の人である」と理解できることです。白か黒かではなく、人の複雑さを受け入れる力が育つとき、体験は被害の物語から学びの物語へと変わります。完全に安全な他者はいませんが、十分に安全な関係はつくれます。裏切りの痛みは、あなたの心が再び人とつながるための、新しい理解への入口でもあるのです。
このページを含め、心理的な知識の情報発信と疑問をテーマに作成しています。メンタルルームでは、「生きづらさ」のカウンセリングや話し相手、愚痴聴きなどから精神疾患までメンタルの悩みや心理のご相談を対面にて3時間無料で行っています。
クライエント向け心理教育
「裏切られ体験」を理解し、こころを再統合する10ステップ
はじめに:目的
- 「あなたが弱いから裏切られた」のではなく、心の仕組みとして起こりやすい現象を理解する
- 被害者―加害者の固定化から離れ、体験の意味を再構成する
- 関係そのものを“人間的な複雑さ”として受け取れる力を育てる
ポイント
- 裏切りは一瞬で起こる出来事ではなく、
①相手をポジティブに感じる時期
②その理解が崩れる時期
という二段階で生まれる。
伝え方
- 「最初から敵だと思っていた人から傷つけられても、人は“裏切られた”とは感じにくい」
- つまり裏切りは、信頼・期待・思い込みがあった証でもある。
ワーク
- 出会い~問題までの時系列を2色ペンで分けて書く
- 青:期待・安心・理想
- 赤:違和感・傷つき
ポイント
- 人は相手の全体像ではなく、「自分に必要な部分」を見て関係をつくる。
- それは未熟さではなく、人間の認知の自然な性質。
伝える
- 「あなたは騙されやすかった」のではなく、“希望に向かって心を開いていた”だけ。
ポイント
- 近い関係ほど
- 相手=自分
- 白か黒か
の二分法が働きやすい。
- この融合は必ずいつか破綻する。
理解の軸
- 破綻=失敗ではなく、現実の人間関係へ降りていく通過儀礼。
ポイント
- 甘えとは依存ではなく、「守られるはず」「わかってくれるはず」という安全への願い。
問い
- あなたは何を“守られるはず”だと思っていたか
- それは誰から学んだ期待か
ポイント
- 繊細さ・純粋さ・ASD的特性では、相手の多面性を読み取りにくく、想定外=裏切りになりやすい。
非病理化メッセージ
- これは欠点ではなく心の使い方のタイプ。
ポイント
- 表か裏かを絶えず確かめる心は、過去の不安から生まれる。
ワーク
- 「私は、本当は何を恐れていたのか」
- 「裏切りがなければ何を失うと思っていたか」
ポイント
- セラピストも理想像と現実像がずれる。
- それは失敗ではなく、治療の中心テーマ。
大切な説明
- 心の中のセラピストと実際のセラピストは違う。
- その差に出会うことが成長の入口。
目標体験
「あのセラピストも、このセラピストも同じ人」
「良い相手も、傷つけた相手も同じ人」
意味
- 白/黒ではなく、多層的な他者像を持てること。
視点転換
- 被害の物語 → 学習の物語
- 失敗の関係 → 人間理解の訓練場
質問
- この体験はあなたに何を教えたか
- どんな“見る力”が育ったか
到達点
- 完全に安全な他者はいない
- しかし“十分に安全な関係”はつくれる
約束
- 疑いと信頼は同居できる
- 失望しても関係は続けられる
セラピストの核メッセージ
- 裏切りは悪ではなく「理解の更新」
- 分裂は未熟さではなく防衛
- 理想化は愛の始まり
- 失望は現実への着地
- 統合は人間観の成熟
裏切られ体験とは
①信じた心
②予想外の現実
が出会ったときに起こる“意味づけの危機”です。
それは弱さの証ではなく、人を大切に思った証でもあります。
治療は「誰が悪いか」ではなく、「あなたの心がどう再び安全になるか」を探します。
専門家向け補足注釈付き版
裏切られ体験は、突然の出来事のように見えますが、こころの仕組みからは二段階で理解できます。第一に、人は相手を信じ、理想化し、「この人はわかってくれるはず」とポジティブに感じる準備の時期を通ります。これは依存や弱さではなく、関係を結ぶための自然な働きです。第二に、その理解と異なる現実に出会ったとき、傷つきや失望が生じ、「裏切られた」という意味づけが起こります。信頼がなければ裏切りは成立しません。
親密な関係ほど相手と自分を一体のように感じ、良いか悪いかで見やすくなります。この融合的理解はやがて現実の複雑さとぶつかりますが、それは失敗ではなく関係が成熟する通過点です。また「守られるはず」という甘えの願いが強いほど痛みも大きくなります。繊細さや認知の特性により相手の多面性をつかみにくい人は、想定外を裏切りとして体験しやすくなります。
心理療法でも、心の中の理想化されたセラピストと現実のセラピストは一致しません。そのずれに出会うことは治療の核心であり、心の分裂を統合へ向かわせる契機です。裏切られ体験の乗り越えとは、「良い相手も傷つけた相手も同じ一人である」と理解できることです。完全に安全な他者はいませんが、十分に安全な関係はつくれます。
専門家向け補足注釈
【臨床注】
・第1段階=理想化・同一視・期待の構築
・第2段階=期待違反の現実化と被害的意味づけ
この枠組みは、外傷的出来事の有無よりも「内的表象の崩壊」に焦点を当てる点で、Betrayal Trauma Repair と親和的。加害事実の相対化にならないよう、出来事水準と意味づけ水準を分けて扱うことが必須。
【臨床注】
融合的関係はBPD水準だけでなく、愛着不安・C-PTSDでも頻出。二分法は未熟な認知ではなく不安調整の防衛として説明する。破綻は「発達的必然」と再枠づけし、恥スキーマを刺激しない言語化を選ぶ。
【臨床注】
「甘え=退行」ではなく安全希求システムとして再定義。依存批判的文脈を避け、トラウマ理論の“保護希求”へ接続すると受容が高い。
【臨床注】
裏切り感は心の読みの困難+社会的文脈の解釈偏りから増幅。病理化せず、意味づけスタイルの差異として扱う。具体的事実と意図推測を分離する訓練が有効。
【臨床注】
陽性転移下では“理想化→現実遭遇”が避けられない。これを治療的失望(optimal disillusionment)として予告的に共有することが予防因子。セラピスト側の自己開示は最小限にしつつ、ずれの共同検討を。
【臨床注】
・善悪の同時保持
・失望しても関係を継続
・動機の多層理解
これらをアセスメント指標に。解釈は「分裂の指摘」より体験の並置から。
【臨床注】
実際の虐待・搾取がある場合、本モデルは責任転嫁に転化し得る。安全確保と事実検証を最優先にした上で適用。
裏切られ体験・事例検討チェックリスト(専門家用)
臨床家がケースを安全かつ立体的に検討するためのチェックリストです。評価ではなく「思考の地図」として使う設計であり、セッション前後の振り返り・カンファレンス資料の両方に適合します。
| A.出来事水準の確認(事実と意味づけの分離) | |
|---|---|
| 1. | 具体的に“何が起こった”と語られているか |
| 2. | それは行為レベルの事実か、解釈か |
| 3. | 身体的・法的リスクは存在するか |
| 4. | 継続的加害か、単回の破綻か |
| 5. | 第三者から見た別記述はあるか |
| 6. | 安全確保が最優先のケースではないか |
判定ポイント
- 事実検証を飛ばして心理化していないか
- 責任転嫁モデルになっていないか
| B.第1段階:理想化・融合のアセスメント | |
|---|---|
| 7. | 出会い期の語りはどの程度理想化的か |
| 8. | 「この人なら」という特権化があるか |
| 9. | 自己と相手の境界は曖昧か |
| 10. | 二分法的表現(最高/最悪)が目立つか |
| 11. | 甘え期待の内容は何か |
| 12. | 親子・過去関係の再演はあるか |
臨床着眼
- 理想化=病理と断定せず、防衛機能を読む
- 愛着不安・C-PTSDとの連結を検討
| C.第2段階:破綻と意味づけ | |
|---|---|
| 13. | 期待違反の“トリガー出来事”は何か |
| 14. | 失望→怒り→恨みの連鎖はあるか |
| 15. | 被害者位置の固定化が起きているか |
| 16. | 「裏/本音」探索の強迫性はあるか |
| 17. | 自己非難と他罰の振り子はどうか |
| 18. | 身体反応(不眠・解離・過覚醒)は? |
| D.認知特性・発達背景 | |
|---|---|
| 19. | ASD的な心の理論の困難は? |
| 20. | 社会的文脈読みの弱さは? |
| 21. | トラウマ歴・ACEは? |
| 22. | 恥スキーマの強度 |
| 23. | 見捨てられスキーマ |
| 24. | 依存/自立の両極化 |
| E.治療関係の並行過程 | |
|---|---|
| 25. | セラピストへの理想化の程度 |
| 26. | 失望兆候は出ているか |
| 27. | 転移の言語化は可能か |
| 28. | セラピストの逆転移(救済欲・防衛)は? |
| 29. | “必然的裏切り”の予告は共有済みか |
| 30. | 境界設定は一貫しているか |
| F.統合指標 | |
|---|---|
| 31. | 善悪の同時保持が可能か |
| 32. | 相手の多動機理解が出始めたか |
| 33. | 感情と言語の距離は縮まったか |
| 34. | 失望後も対話が維持できるか |
| 35. | 自己物語の再構成が進むか |
| G.介入選択 | |
|---|---|
| 36. | いま必要なのは安全化か洞察か |
| 37. | 感情調整スキルは十分か |
| 38. | 事実検証の外部資源は? |
| 39. | 家族・法的支援の必要 |
| 40. | カップル介入の適否 |
| H.リスク評価 | |
|---|---|
| 41. | 自傷・他害リスク |
| 42. | ストーキング化 |
| 43. | 経済的搾取 |
| 44. | 依存関係の強化 |
| 45. | セラピスト巻き込み |
| I.進行モニタ | |
|---|---|
| 46. | 言語の極端さの減少 |
| 47. | 身体症状の変化 |
| 48. | 治療関係の安定 |
| 49. | 生活機能の回復 |
| 50. | 希望語りの出現 |
| 使い方ガイド |
|---|
| 1)初期(1–3回) |
| A・B・Hを中心 |
| 安全確認を最優先 |
| 理想化を否定せず記述 |
| 2)中期 |
| C・D・Eを中心 |
| 転移の共同検討 |
| 認知特性への調整 |
| 3)後期 |
| F・Iを中心 |
| 統合語りの構築 |
| 関係再設計 |
| 判定の落とし穴 |
| 事実否認型の“心理化暴力” |
| 甘え批判による恥の強化 |
| ASD特性の病理化 |
| セラピストの救済転移 |
| カップル暴力の見逃し |
| 簡易記録フォーマット |
| 事実: |
| 意味づけ: |
| 理想化要素: |
| 破綻点: |
| 認知特性: |
| 転移/逆転移: |
| 介入方針: |
| リスク: |
「カップル版」「個人版」2系統評価表
同じ理論枠を共有しつつ「カップル版」「個人版」に分岐した2系統評価表です。
Ⅰ.カップル版 評価表
| A.関係ダイナミクス(初期評価) | |
|---|---|
| 1. | 裏切りの“共通事実”がどこまで合意されているか |
| 2. | 期待の非対称性(理想化の温度差) |
| 3. | 融合度:二人で一つ感覚の強さ |
| 4. | 二分法的会話(天使/悪魔) |
| 5. | 役割固定(被害者/加害者) |
| 6. | 甘え期待の衝突内容 |
| 7. | 依存‐自立の揺れ |
| 8. | 権力勾配(経済・年齢・性別) |
| 9. | 第三者巻き込み |
| 10. | 子どもへの影響 |
判定軸
- 関係修復適応/個別安全化優先
- 事実検証フェーズの必要度
| B.相互心理過程 | |
|---|---|
| 11. | 失望のトリガー共有 |
| 12. | 感情の鏡映能力 |
| 13. | 相手の多動機理解 |
| 14. | 罪悪感と恨みの非対称 |
| 15. | 謝罪の機能性 |
| 16. | 再発防止の現実性 |
| 17. | 境界合意の有無 |
| 18. | 愛着スタイルの相補性 |
| 19. | ASD特性の相互影響 |
| 20. | トラウマの並行過程 |
| C.治療関係(トライアングル) | |
|---|---|
| 21. | セラピストへの理想化の偏り |
| 22. | どちらかの取り込み |
| 23. | 逆転移(守りたさ・裁き) |
| 24. | 必然的裏切りの予告共有 |
| 25. | 共同課題化の程度 |
| D.介入選択 | |
|---|---|
| 26. | 安全化→対話→洞察の順序 |
| 27. | 事実合意ワークの適否 |
| 28. | 感情調整スキル導入 |
| 29. | ASD向け明確化 |
| 30. | カップル継続/個別分離 |
| E.リスク | |
|---|---|
| 31. | 暴力・威圧 |
| 32. | 経済的搾取 |
| 33. | ストーキング化 |
| 34. | 子ども安全 |
| 35. | セラピスト操作 |
| F.回復指標 | |
|---|---|
| 36. | 白黒語の減少 |
| 37. | 失望後の対話 |
| 38. | 境界遵守 |
| 39. | 未来合意 |
| 40. | 物語の再統合 |
カップル版 判定ガイド
- 25点以下:安全化優先・同席保留
- 26–60点:段階的対話モデル
- 61点以上:再統合フェーズ
Ⅱ.個人版 評価表
| A.主観世界 | |
|---|---|
| 1. | 裏切りの意味づけ様式 |
| 2. | 理想化の強度 |
| 3. | 融合欲求 |
| 4. | 二分法語 |
| 5. | 恥スキーマ |
| 6. | 見捨て不安 |
| 7. | 甘え期待 |
| 8. | 自己非難 |
| 9. | 身体症状 |
| 10. | 安全資源 |
| B.認知特性 | |
|---|---|
| 11. | ASD傾向 |
| 12. | 心の理論 |
| 13. | 文脈読み |
| 14. | 反芻 |
| 15. | 現実検討 |
| C.発達背景 | |
|---|---|
| 16. | ACE |
| 17. | 養育像 |
| 18. | 初期裏切り |
| 19. | 愛着型 |
| 20. | 境界学習 |
| D.治療関係 | |
|---|---|
| 21. | セラピスト理想化 |
| 22. | 失望兆候 |
| 23. | 転移言語化 |
| 24. | 逆転移感情 |
| 25. | 境界理解 |
| E.統合プロセス | |
|---|---|
| 26. | 善悪同時保持 |
| 27. | 多動機理解 |
| 28. | 自己物語変化 |
| 29. | 感情言語化 |
| 30. | 行動選択 |
| F.リスク | |
|---|---|
| 31. | 自傷 |
| 32. | 他害 |
| 33. | 依存化 |
| 34. | 法的問題 |
| 35. | 孤立 |
| G.回復指標 | |
|---|---|
| 36. | 極端語減 |
| 37. | 身体改善 |
| 38. | 生活機能 |
| 39. | 希望語 |
| 40. | 対人再設計 |
個人版 判定
- 〜20:安定化・感情調整
- 21–50:洞察+スキル
- 51〜:再物語化
- Ⅲ.2系統の使い分けフローチャート
-
- 暴力・搾取あり → 個人版+安全計画
- 事実合意困難 → 個人先行
- 子ども影響大 → カップル+家族視点
- ASD併存 → 個人明確化→カップル
- Ⅳ.記録テンプレ
-
カップル
- 共通事実:
- 非対称期待:
- 境界:
- 介入段階:
個人
- 意味づけ:
- スキーマ:
- 認知特性:
- 目標:
- Ⅴ.臨床上の赤旗
-
- 加害の心理化
- 甘え批判
- 取り込み同盟
- ASD病理化
- 子ども三角化
裏切られ体験・面接用質問リスト
面接でそのまま使える質問リストです。カップル面接・個人面接の両方で使えるよう、フェーズ別・目的別に分けています。質問はすべて「評価ではなく共同探索」のトーンで統一しています。
| 裏切られ体験・面接用質問リスト(カップル/個人 共通フレーム) | |
|---|---|
| Ⅰ.安全化フェーズ:事実と意味づけの分離 | |
| 1. | 「今日は、何が一番つらくて来られましたか」 |
| 2. | 「出来事として“起きたこと”を、まず一緒に整理してもいいですか」 |
| 3. | 「その出来事を、あなたはどんな言葉で説明していますか」 |
| 4. | 「それは事実の説明ですか、気持ちの説明ですか」 |
| 5. | 「体はどんな反応を覚えましたか(睡眠・食欲・緊張)」 |
| 6. | 「いまも続いている危険はありますか」 |
| 7. | 「ここで話すペースは安全ですか」 |
| Ⅱ.第1段階の探索:理想化と期待 | |
| 8. | 「出会った頃、相手をどんな人だと感じていましたか」 |
| 9. | 「この人なら大丈夫と思えた瞬間は?」 |
| 10. | 「どんな未来を一緒に思い描いていましたか」 |
| 11. | 「あなたにとって“守られるはず”と思っていたことは?」 |
| 12. | 「その期待は、誰との関係に似ていますか」 |
| 13. | 「相手と自分の境目が薄く感じた場面は?」 |
| Ⅲ.第2段階の探索:破綻点 | |
| 14. | 「流れが変わったのは、どの出来事から?」 |
| 15. | 「最初の違和感はどんな小さなものでしたか」 |
| 16. | 「その時、怒り・悲しみ・恐れのどれが近い?」 |
| 17. | 「“裏切り”という言葉に込めた意味は?」 |
| 18. | 「失ったと感じたものは何ですか」 |
| Ⅳ.甘えと願いの言語化 | |
| 19. | 「本当は何をわかってほしかった?」 |
| 20. | 「守られたかったのは、どの部分?」 |
| 21. | 「頼ってはいけないと感じる気持ちは?」 |
| 22. | 「甘えという言葉に、どんな印象がありますか」 |
| Ⅴ.認知特性への配慮 | |
| 23. | 「相手の気持ちを読むのが難しいと感じますか」 |
| 24. | 「言葉通りに受け取ってしまうことは?」 |
| 25. | 「状況の“裏”を考えすぎて疲れることは?」 |
| 26. | 「説明がはっきりしている方が安心しますか」 |
| Ⅵ.治療関係の並行過程 | |
| 27. | 「私に対して、どんな期待がありますか」 |
| 28. | 「がっかりしそうな予感はありますか」 |
| 29. | 「ここでも裏切りが起こるとしたら、どんな形?」 |
| 30. | 「それを一緒に扱える関係でいたいですか」 |
| Ⅶ.統合に向けて | |
| 31. | 「相手の中の“良い面と難しい面”を同時に語れますか」 |
| 32. | 「白か黒か以外の色は見えますか」 |
| 33. | 「この体験から学んだことは?」 |
| 34. | 「次の関係で大切にしたい境界は?」 |
| Ⅷ.カップル同席用 追加質問 | |
| 35. | 「お二人で合意できる“事実”はどこまで?」 |
| 36. | 「謝罪で伝わった部分/伝わらない部分」 |
| 37. | 「再発防止の具体行動は?」 |
| 38. | 「子どもや周囲への影響」 |
| 39. | 「今日の対話で安全だった瞬間」 |
| Ⅸ.個人面接用 追加質問 | |
| 40. | 「自己非難が強くなる瞬間は?」 |
| 41. | 「恨みと未練の割合」 |
| 42. | 「一人の時間の安全感」 |
| 43. | 「体の声が伝えること」 |
| 44. | 「物語をどう書き換えたい?」 |
使い方ガイド
- 初回:1–7・8–15
- 中期:16–30
- 後期:31–44
- カップル:35–39を毎回
裏切られ体験 面接質問《ねらい解説版》
先の面接用質問44項目に、臨床的ねらい・想定反応・介入ポイントを付した《ねらい解説版》です。研修・スーパービジョン資料として使える水準となっています。
Ⅰ.安全化フェーズ
- ねらい:主訴の焦点化・優先度確認
- 着眼:感情語か出来事語か
- 介入:感情優位なら調整から
- ねらい:事実/意味づけの分離
- 着眼:断定語・推測語
- 介入:二列ノート化
- ねらい:物語スタイル把握
- 着眼:極端語・被害語
- 介入:言い換え提案
- ねらい:メンタライジング促進
- 介入:両方OKと保証
- ねらい:トラウマ評価
- 介入:安定化技法導入
- ねらい:倫理的最優先
- 介入:安全計画
- ねらい:主体感回復
Ⅱ.理想化と期待
- ねらい:第1段階の可視化
- 着眼:理想化語
- ねらい:甘えの核発見
- ねらい:喪失対象特定
- ねらい:安全希求の翻訳
- 介入:依存批判を避ける
- ねらい:再演仮説
- ねらい:融合度評価
Ⅲ.破綻点
- ねらい:トリガー同定
- ねらい:早期サイン教育
- ねらい:一次感情へ
- ねらい:語の多義化
- ねらい:喪の作業
Ⅳ.甘え
- ねらい:甘え=安全希求へ再定義
- 着眼:恥スキーマ
- 介入:肯定語で保護
Ⅴ.認知特性
- ねらい:ASD的影響の非病理評価
- 介入:事実/意図の分離訓練
Ⅵ.治療関係
- ねらい:陽性転移の予測
- ねらい:必然的裏切りの予告
- ねらい:安全契約
- ねらい:同盟強化
Ⅶ.統合
- ねらい:分裂の緩和
- ねらい:認知柔軟
- ねらい:物語転換
- ねらい:未来設計
Ⅷ.カップル
- ねらい:責任転嫁回避
- ねらい:修復指標
- ねらい:行動契約
- ねらい:三角化防止
- ねらい:資源化
Ⅸ.個人
- ねらい:自己物語再構成
- 介入:身体→感情→意味の順
判定アルゴリズム
- 身体過覚醒強 → 安定化優先
- 事実不一致強 → 検証フェーズ
- 理想化強 → 予告的失望
- ASD併存 → 明示化
- 暴力あり → 同席中止
Betrayal Trauma Therapy & Repair《実践ステップ》
一般のクライエント個人が対象であることを前提に、専門用語をできるだけやさしく翻訳しつつ、臨床的にはBetrayal Trauma Therapy & Repair の核心を外さない《実践ステップ》をまとめています。
個人向け「Betrayal Trauma Repair」心理療法ステップ
裏切られ体験から“再び人とつながれる心”へ
全体の考え方
- 目的は「相手を許させること」ではなく、あなたの心の安全を取り戻すこと
- 裏切り=あなたの弱さではなく、信じる力があった証
- 治療の道すじ
1)安全化 → 2)意味のほどき → 3)統合 → 4)再設計
セッションの進み方(目安)
| 期 | 中心課題 |
| 1–2回 | 安定化・事実整理 |
| 3–4回 | 理想化と破綻の理解 |
| 5–6回 | 甘えと認知の再構成 |
| 7–8回 | 統合・未来設計 |
- 0.導入―安全の約束
「今日は、あなたが経験した“裏切られた感じ”を、責めるためではなく、あなたの心を守るために一緒にほどいていきます。
ここでの目的は、相手を無理に許すことでも、あなたの感じ方を直すことでもありません。
まずは、あなたの心がもう一度安全に呼吸できる場所をつくることです。」
「話したくないところは、いつでも止めてください。ゆっくりで大丈夫です。」
「いま、体はどんな感じがしていますか。
胸のあたり、のど、肩……どこか強く反応している場所はありますか。」
「理解は、落ち着いてからで十分です。
まずは“ここにいても大丈夫”という感覚を一緒につくりましょう。」
(短い呼吸誘導)
ねらい
- まず“今のあなた”を守る
- 体と心の過覚醒を下げる
すること
- 睡眠・食事・呼吸の3点の点検
- トリガー場面の特定
- 緊張が下がる短い方法づくり
- 4–6呼吸
- 足裏感覚
- 安全な人リスト
メッセージ
「理解は、落ち着いてからで大丈夫」
「これから、出来事そのものと、あなたの心に浮かんだ意味を、そっと分けてみます。
どちらも大切ですが、同じ箱に入っていると心は混乱しやすいからです。」
「たとえば――“返信がなかった”は出来事。
“私は大切にされていない”は意味づけ。
あなたの場合は、どんなふうに分けられそうでしょう。」
ねらい
- 出来事そのものと
「裏切られた」という解釈を分ける
すること
- 二列ノート
- 左:起きたこと
- 右:頭に浮かんだ意味
気づきの例
- 事実:返信がなかった
- 意味:大切にされていない
「裏切りという言葉が生まれる前に、あなたには“信じていた時間”がありました。」
「その時間を、失敗として扱いたくありません。あれは、あなたが人を大切にしようとした時間です。」
「その頃、あなたはどんな未来を見ていましたか。何を守られるはずだと思っていましたか。」
ねらい
- 第1段階=理想化の時期を否定しない
- そこにあった願いを尊重
問い
- 何を信じたかった?
- どんな未来を見ていた?
- 守られたかった部分は?
再枠づけ
「あなたは騙された人ではなく、大切にしようとした人」
「流れが変わった境目を、責めずに見てみましょう。最初の小さな違和感は、どんなものでしたか。」
「驚きでしたか。悲しみでしたか。それとも怒りに近かったでしょうか。」
破綻点をやさしくたどる
ねらい
- 心が壊れた“境目”を理解
すること
- 最初の違和感
- 小さなサイン
- 感情の順序(驚き→悲しみ→怒り)
「ここでは“甘え”を弱さとは考えません。それは“安全を求める心”という意味に近いものです。」
「あなたが本当にわかってほしかったのは、どんな部分でしたか。守ってほしかったのは、どんなあなたでしたか。」
ねらい
- 甘え=依存ではなく
安全への願いと理解
問い
- わかってほしかったのは?
- 受け止めてほしかったのは?
「人は、近い相手ほど“良い人か悪い人か”で見やすくなります。でも本当の人間は、たいてい一色ではありません。」
「同じ人の中に、安心した場面と、傷ついた場面を、今日は一緒に並べてみてもいいですか。」
ねらい
- 「良い人/悪い人」から
複雑な一人の人へ
ワーク
- 同じ人の中の
・安心した場面
・傷ついた場面
を並べて置く
「ここで大切なことがあります。このカウンセリングでも、もしかしたら私は、あなたの期待と違う私になる瞬間があるかもしれません。」
「それは失敗というより、心が現実の人間関係に近づく、大切な通り道です。もし“あれ?”と感じたら、一緒に言葉にしましょう。」
「あなたの物語を、少しだけ書き直してみます。」
「これまでは“私は裏切られ続ける人”だったかもしれない。」
「でもこれからは“境界を学び始めた人”“自分を守ろうとした人”という言葉も、隣に置けるでしょうか。」
ねらい
- 被害の物語→成長の物語
例
- 以前
「私は裏切られ続ける人」 - これから
「境界を学び始めた人」
「完全に安全な他者はいません。でも“十分に安全な関係”はつくれます。」
「そのために、あなたが大切にしたい境界は何でしょう。早めに気づきたいサインは?」
ねらい
- 完全な安全はない
- でも十分に安全な関係は可能
つくるもの
- 境界3つ
- 早期サイン
- 助けの求め方
「今日わかったことは、あなたの弱さではなく、あなたの心の仕組みでした。」
「信じた心は間違いではありません。あなたは再び、人とつながれる人です。」
「次回は、この気づきを、あなたの日常の場面に一緒に下ろしていきましょう。」
カップル・夫婦の Betrayal Trauma Therapy & Repair の実践
カップル・夫婦を対象とした Betrayal Trauma Repair の実践ステップです。
個人版とは目的が少し異なり、
- 「どちらが悪いか」を決める場ではない
- しかし加害の事実を曖昧にもしない
- 安全 → 事実共有 → 感情修復 → 再発防止 → 未来設計
カップル・夫婦向けBetrayal Trauma Repair 10ステップ
治療の大原則(最初に共有)
- 暴力・威圧・搾取が現在もある場合は安全確保が最優先
- 修復は「忘れること」ではなく理解できる形にすること
- 責任の非対称は曖昧にしない
- しかし人格否定の場にはしない
- 子どもの安全を常に上位に置く
- 0.オープニング:枠づくり
T
「今日は、どちらが悪いかを決める場ではありません。でも“何もなかったこと”にする場でもありません。
目的は一つです。お二人が、もう一度安全に対話できる形をつくることです。」
「そのために5つだけ約束をお願いします。
- 途中で遮らない
- 侮辱の言葉を使わない
- つらくなったら手を上げて休む
- 証拠合戦にしない
- 子どもを盾にしない
守れそうでしょうか。」
進行モデル(3時間例)
- 安全枠+事実床(60分)
- 被害の語り(40分)
- 責任と言語化(40分)
- 再発防止(30分)
- 未来設計(30分)
T
「いま、体の緊張は10点満点でいくつですか。6以上なら、まず下げてから進みます。」
(短い呼吸誘導)
目的
- 心と体が戦闘モードのままでは修復は進まない
具体
- ルール5つ
- 遮らない
- 侮辱語を使わない
- 退席の合図を認める
- 過去の証拠合戦をしない
- 子どもを引き合いに出さない
到達サイン
- 同席しても過覚醒が下がる
T
「最初に、三つに分けます。
A:お二人が合意できる“起きたこと”
B:解釈が違うところ
C:それぞれの気持ち
今日はAから始めます。」
T→双方へ
「“合意できる事実”だけ、短く教えてください。」
(ホワイトボードに記載)
T
「ここにあるのは“誰が正しいか”ではなく、同じ床に立つための地図です。」
目的
- 体験の土台をそろえる
作業
- 三層に分ける
- A:合意できる事実
- B:解釈が違う部分
- C:感情
ポイント
- 「どちらが正しいか」ではなく
「何が起きたかの共通言語」
T
「ここで大切な心理の話を短くします。
裏切りは二段階で起こります。
①信じていた時間
②期待と違う現実
信じていたからこそ、痛みが大きくなる。
これは“弱さ”ではなく、関係の自然な力学です。」
伝える核心
- 裏切りは二段階で生まれる
- 信頼・理想化の時期
- 期待違反の時期
- 信じていたからこそ痛む
- 融合が強いほど落差が大きい
目的
- 悪者探しから“心の仕組み”へ
T(被害を感じている側へ)
「ここからは、あなたの体験を途切れずに話す時間です。説明しなくて大丈夫。感じたまま教えてください。」
T(もう一方へ)
「いまは“直す役”ではなく、受け取る役をお願いします。うなずくだけで十分です。」
問い
- 「何が一番つらかったですか」
- 「そのとき何を失いましたか」
- 「怖くなったのはどんなこと?」
T(まとめ)
「これは攻撃ではなく、傷の説明です。」
目的
- 傷の承認 without 尋問
進め方
- 体験を“語り切る時間”
- 加害側は説明でなく受け取る役
キーワード
「何が起きたか」
「何を失ったか」
「何が怖くなったか」
T(加害側へ)
「弁解ではなく、三つだけお願いします。」
- 何が起きたと認めるか
- 相手にどんな影響を与えたか
- 自分の責任はどこか
モデル文を提示
「あなたが感じた〇〇は、私の行動の結果でした。それは言い訳できません。私は〇〇の責任を引き受けます。」
T
「完璧な言葉でなくていい。
本気の温度を見ています。」
目的
- 曖昧な謝罪を超える
3要素
- 事実の承認
- 影響の理解
- 行動の責任
注意
- 言い訳→再トラウマ
- しかし人格断罪もしない
T
「“甘え”を今日はこう訳します。守られたいという安全の願い。」
双方へ
- 「本当は何をわかってほしかった?」
- 「どこを守ってほしかった?」
T
「ここが、お二人の“未翻訳の願い”です。」
目的
- 依存論争から安全希求へ
問い
- 互いに
- 何を守ってほしかった?
- 何をわかってほしかった?
効果
- 被害/加害の硬直緩和
T
「同じ人の中に、二つを並べます。」
- 安心した場面
- 傷ついた場面
「どちらも本当、という見方に少しだけ近づけますか。」
目的
- 「良い人/悪い人」から
「傷を持つ二人」へ
ワーク
- 同じ相手の
- 安心した場面
- 傷ついた場面
を並置
T
「感情ではなく、行動の約束を4つ。」
例
- 24時間以内に短い連絡
- 声を荒げたら中断
- 第三者ルール
必須4点
- 早期サイン
- 境界ルール
- 退避手順
- 透明性の仕組み
行動レベルで合意
T
「信頼は気持ちではなく、経験の積み直しです。小さな約束から始めます。」
目的
- 感情ではなく“経験の積み直し”
小さな約束
- 48時間ルール
- 予告と連絡
- 修復対話の型
T
「今日、ここにあったのは裁判ではなく、修復の実験でした。」
「失望しても対話できる関係――それがお二人の新しい目標です。」
「次回は、今日の約束が現実でどう動いたかを一緒に見ます。」
確認
- 続ける/離れるの選択の自由
- 子ども中心視点
- 個人の尊厳
到達像
失望しても対話できる関係
裏切り体験後の再発防止合意書(テンプレ)
カップル・夫婦セッションでそのまま使える《再発防止合意書テンプレ》です。
・責任の非対称を曖昧にしない
・罰ではなく行動契約
・子ども・安全・透明性を中心
という方針で構成しています。必要に応じて空欄を埋めるだけで運用できます。
裏切り体験後の再発防止合意書(テンプレ)
作成日:__年__月__日
当事者A:________
当事者B:________
立会人:________(任意)
1.この合意書の目的
私たちは、
- どちらが勝つかを決めるためではなく
- 互いの安全と尊厳を守るために
以下の約束を行動レベルで共有します。
この合意は「罰」ではなく、信頼を再学習するための地図です。
2.事実の共有(合意できている範囲)
私たちの間で起きたこととして、次の点を事実として確認します。
- ________________
- ________________
- ________________
※解釈が異なる点は別紙に保留
3.影響の確認
上記の出来事によって、次の影響が生じたことを共有します。
- 心理的影響:__________
- 生活上の影響:_________
- 子ども・家族への影響:_____
4.責任の言語化(必要に応じ非対称)
【行為を行った側の確認】
私は次の点について責任を引き受けます。
- ________________
- ________________
言い訳ではなく、行動の結果として認めます。
5.早期サイン(イエローランプ)
再発に近づく兆候として、私たちは次を共有します。
- 声のトーンが上がる
- 連絡が途絶える
- 秘密・隠し事が増える
- __________
これらが出たら次の手順に移ります。
6.境界ルール(レッドライン)
絶対に越えない線
- 侮辱・暴言を使わない
- 身体的威圧をしない
- 子どもを味方に引き込まない
- 経済的・性的な強要をしない
- ____________
7.退避手順(エスケーププラン)
対話が危険水準になった場合
- 合図:____
- いったん離れる時間:__分
- 連絡再開の方法:____
- 仲介先:____
8.透明性の約束
信頼再学習のため、次を実行します。
- 予定の事前共有
- 連絡は原則__時間以内
- 説明を求められたら落ち着いて応答
- __________
9.修復対話の型
問題が起きたら、次の順で話します。
- 事実
- 影響
- 責任
- これからの行動
10.子ども・家族の保護
- 子どもの前での対立回避
- 相談相手の共有
- 面前DVにならない配慮
- __________
11.フォローアップ
- 見直し頻度:月__回
- セッション継続:有・無
- 緊急連絡先:____
12.署名
この合意は強制ではなく、
互いの安全と尊厳のための約束として交わします。
当事者A:________
当事者B:________
立会人:________
日付:_________
付属:運用ガイド
1)作成の順序
- 事実共有 → 2. 影響 → 3. 行動
※感情の議論から始めない
2)避ける表現
- 罰・監視・服従
- 曖昧な努力目標
- 「二度としない」だけの誓い
3)危険時は無効
- 暴力継続
- ストーキング
- 経済搾取
→ 個別支援へ切替
修復対話カード(Betrayal Trauma Therapy 版)
カップルセッションで“感情の衝突を会話の型に変換”するための 《修復対話カード》です。
使い方(セラピストからの説明)
- 机にカードを順番に並べる
- 発言はカードの順だけ
- 相手は途中で遮らない
- 1枚につき2~3分以内
- 感情が6/10を超えたら休止カードへ
Aセット|語りのカード(被害側から)
「起きたこと」
- 私に起きたのは____
- これは解釈でなく出来事です
目的:事実の床づくり
「私への影響」
- 心:____
- 生活:____
- 安心感:____
目的:被害の可視化
「失ったもの」
- 信頼
- 未来
- 安全
- ____
目的:喪の言語化
「本当は」
- わかってほしかったのは__
- 守ってほしかったのは__
目的:甘えの翻訳
Bセット|受け取りカード(加害側)
「認めます」
- それは起きました
- あなたがそう感じたことは事実です
目的:否認の停止
「あなたへの影響」
- あなたを__にした
- あなたの__を壊した
目的:共感の焦点化
「私の責任」
- 私がしたのは__
- 言い訳にしません
目的:非対称の明確化
「これから」
- 私は__をする
- __はしない
目的:行動契約
Cセット|共同カード
「越えない線」
- 侮辱しない
- 脅さない
- 子どもを巻き込まない
- ____
「危険サイン」
- 声が上がったら休止
- 20分離れる
- 再開は__時
「見える化」
- 連絡は__時間以内
- 予定共有
- ____
「私たちの目標」
- 失望しても話せる
- 安全な家
- ____
Dセット|セーフティカード
止カード:いまは止めます
- 水を飲む
- 深呼吸
- 次は__分後
危険カード
安全が最優先
- 暴力・威圧が出たら中止
- 個別面接へ
進行モデル(20分ミニ対話)
- ①→②→③→④
- ⑤→⑥→⑦→⑧
- ⑨→⑩→⑪
- ⑫で着地
セラピスト
- 「いまはカードの言葉だけで」
- 「説明より“受け取り”を」
- 「評価でなく順番」
修復対話カード〈子ども配慮版〉
夫婦の修復」と「子どもの安全・心理発達」を同時に守るための 《修復対話カード・子ども配慮版》 です。
家庭臨床の原則――子どもは調停者にしない・責任を背負わせない・安心基地を壊さない――を中心に設計しています。
修復対話カード〈子ども配慮版〉Betrayal Trauma Repair for Parents
使い方の3原則
- 子どもの前では実施しない
- 子どもを「味方」や「証人」にしない
- すべての言葉は“親の責任の言葉”で
Aセット|子どもを守る語り(被害側)
「家庭で起きたこと」
- 子どもの前で起きたこと:__
- 子どもが聞いた可能性:__
- 子どもが見た可能性:__
目的:子ども視点の可視化
「子どもへの影響」
- 不安:__
- 生活リズム:__
- 安心感:__
親の感情より先に子どもの安全を置く
「これは子どもの責任ではない」
- 子どもは原因ではない
- 子どもが直す問題ではない
三角化の防止
「親として守りたいこと」
- 安心して眠れる家
- 親を心配させない生活
- ____
Bセット|加害側・責任カード
「子どもへの影響を認めます」
- あの出来事は子どもを__にした
- 私の行動の結果です
「親としての行動」
- 子どもの前では__しない
- 怒りは子どもに向けない
- ____
「子どもへの言葉」
- 事実を短く
- 非難を入れない
- 大人の責任で
例文を後述
Cセット|家庭ルール
- 声を荒げない
- 物に当たらない
- 退避場所:__
- 合図:__
- 学校行事の協力
- 連絡帳の共有
- 医療・安全の優先
「子どもがいる時は」
- 対話は停止
- 別室へ
- 後で大人だけで
Dセット|子どもへの説明テンプレ
低学年向け
「これは大人の問題で、あなたのせいじゃない。パパとママが直すから大丈夫。」
高学年向け
「家で起きたことは、大人の責任。あなたは心配しなくていい。」
思春期向け
「あなたを巻き込まない方法で、大人同士で話し合う。」
- 祖父母
- 学校SC
- ____
子どもに“味方の複数化”
進行モデル(子ども配慮)
- ①→②で影響確認
- ⑤→⑥で責任
- ⑧→⑩で安全設計
- ⑪で子どもへの統一メッセージ
セラピスト
- 「いまの言葉は“夫婦”の言葉?“親”の言葉?」
- 「その表現、子どもが聞いたらどう感じる?」
- 「子どもを守る言い方に翻訳しましょう」
付属:統一メッセージ文
「大人同士の問題は大人が直します。あなたのせいではありません。あなたは安心して子どもでいていい。」
信頼再学習セッション(Betrayal Trauma Repair)
次のご夫婦のケースは、カップル間の「話し合い」や「会話のアサーショントレーニング」などのコミュニケーションの訓練ではなく、Betrayal Trauma Repairでは「神経系の再訓練」として設計されます。
クライエント相談内容・要点整理(事実と訴えのみ)
1.家族・基本情報
- 夫婦+子どもの3人家族
- 結婚12年目
- 長男10歳
- 現在も栃木県で同居中
- 妻は現在セーブしながら就労
2.現在の夫婦関係
- 妻は夫に強い嫌悪を感じている
- 会話は最低限で、主にメールでやり取り
- 寝室は別
- 姿を見ることや見られることも苦痛
- 離婚を何度も申し出たが夫が拒否
- 子どもの希望もあり別居もできていない
- 離婚したい気持ちと関係を良くしたい気持ちの両方がある
3.現在の妻の心身の状態
- 自己肯定感の低下(「醜い」「老けた」「汚い」などの自己評価)
- 抑うつ的な状態
- 認知機能・ワーキングメモリの低下感
- 無力感
- 寂しさ・イライラ・トラウマ反応
- PTSDの既往あり
4.最大の出来事(不貞の発覚)
- 夫の約4年間にわたる不倫が発覚
- 風俗など金銭が絡む関係も頻繁
- 発覚後、一時的に関係が改善し性生活も回復
- その後、夫の配慮に欠ける行動で再び悪化
- 現在まで関係は悪化し続けている
5.不貞が始まった時期と理由(夫の説明)
- 開始:妊娠・出産時期
- 理由とされているもの
- 妻の態度が強い
- 妊娠・育児で夫婦生活がなかった
- 借金による強いストレス
6.妻が特に許せないと感じている点
- 妊娠・出産・育児と借金で苦しい時期に、夫が外で恋愛していたこと
- 妻には否定的な言葉をかけ、不倫相手には肯定的な言葉をかけていたこと
- 女性関係を「友達」と偽っていたこと
7.現在の夫の姿勢
- 妻を愛している
- 婚姻関係を続けたい
- 家族を大切にしたい
- 妻が許してくれるかどうか分からず苦しんでいる
- 家事育児は発覚後かなり担うようになった
8.妻が自分の問題として認識していること
- 夫に怒鳴ってしまう
- 理詰めで責めてしまう
- 無視・冷たい態度・苛立った接し方をしている
- それが夫婦関係を悪化させていると自覚している
9.子どもとの関係
- 夫婦の口論を子どもが見聞きしている
- 子どもは夫の不貞をある程度理解してしまった
- 別居の話を子どもにしたことがある
- 親子関係にも問題が継続している
次の90分 × 10回 完全進行10回は、日本ではほぼ行われていないレベルのトラウマ修復型夫婦療法です。これができれば、この夫婦は「過去の関係」ではなく「新しい関係」を生きられます。
全体構造
| 回 | フェーズ | 核心 |
| 1 | 安全の一貫性 | ルールが守られる |
| 目的は「話し合いの勝敗」ではなく、“言ったことが守られる”という予測可能性を、妻の神経系に体験として入れることです。奥様の神経が『ここは安全かもしれない』と感じるための土台を作ります。」「信頼は“気持ち”ではなく“予測可能性”から回復します。予測可能性とは、小さい約束が、毎回守られることです。「この回の成果は、感情が変わることではなく、『言ったことが守られた』という事実が1つ増えることです。」 | ||
| 2 | 予測可能性 | 不安が減る |
| 「不安が起きないようにする」のではなく、「裏切りトラウマの不安は、出来事そのものより『何が起きているか分からない空白』で増幅します。」 不安が起きても“予測できる枠”の中で収まるようにすることです。裏切りトラウマにおいて、妻の神経系が最も苦手なのは「突然」「曖昧」「空白」です。「だから今日は、空白をゼロにするのではなく、空白に“枠と情報”を入れることをします。」 | ||
| 3 | 透明性 | 隠し事が消える |
| 「透明性は、検査ではなく“神経の安心装置”です。 “全部話す”のではなく、“何が起きているか分かる状態”を作ります。」「裏切りは“行為”だけでなく『見えない状態で何かが起きていた』ことがトラウマになります。」「だから透明性の目的は 『疑うため』ではなく『今ここで何が起きているかを見える化にする』ことです。」 | ||
| 4 | 応答性 | 放置されない |
| 応答性は、透明性で「見える」ようになった関係を、“つながり”に変換する回です。『助けを求めたら返ってくる』という体験を作ります。」目的は「優しくする」ではなく、呼びかけに反応が返ってくる予測可能な回路を作ることです。 相手の神経に『ここにいるよ』と返事をすることです。」「妻の不安は、正論で消えません。“返事”でしか鎮まりません。」 | ||
| 5 | 共感 | わかってもらえる |
| 共感は、ここまでで作った「安全・予測・透明・応答」を土台に、はじめて “情緒的つながり” を回復させる回です。ただしこのケースでは、夫にASD/ADHD傾向が濃い想定のため、共感を「心で感じろ」ではなく 技法として実装します。共感とは、同意でも許しでもなく、相手の内側を正確に映すことです。」「共感の失敗の多くは、優しさ不足ではなく“精度不足”です。」「奥様が欲しいのは『反省』よりも『分かってもらえた』という体験です。」 | ||
| 6 | 修復 | ミスが直る |
| 裏切りトラウマの妻にとって「ミス」は即「また同じになる」の引き金です。 したがって、ここでは “ミスの後の手順”をプロトコル化します。「トラウマの神経系は、ミスが起きると『また終わる』に飛びます。」「修復は謝罪の上手さではなく、①すぐ止める ②影響を認める ③次の行動を変えることの3点」です。「修復は『大丈夫』と言うことではなく、大丈夫にする行動を入れて更新することです。」 | ||
| 7 | 境界 | 再発が止まる |
| 「“疑う・疑われる”の話ではありません。“再発を止める構造”を作ります。 境界は罰ではなく、家族の安全装置です。」「“二度と起きない”は、反省で達成されません。 反省は忘れます。誘惑は波があります。だから境界は“仕組み”にします。」「奥様が欲しいのは“安心の情報”で、ご主人が必要なのは“迷わない手順”です。」 | ||
| 8 | 身体的安心 | 緊張が下がる |
| 身体的安心は、これまで構築した「行動・情報・応答・共感・境界」を、妻の身体(自律神経)レベルで“安全”として再学習させる回です。 ここで初めて、「理屈ではなく、体が楽になる」変化が起き始めます。「裏切りトラウマは“思い出”ではなく“身体の記憶”です。」「安全は、説明ではなく、声・距離・動き・タイミングで回復します。」 | ||
| 9 | 統合 | 全体再学習 |
| 統合は、これまでの1〜8回で作った「安全の部品」を、日常の“ひとつの運用体系”にまとめ、再学習を固定化する回です。ここでの統合とは、感情的に一体になることではなく、安全・透明性・応答性・共感・修復・境界・身体的安心が、同じ手順で自動運用される状態を作ることです。 | ||
| 10 | 未来 | 継続設計 |
| 未来は、修復の最終回というより、「この家族がこれからどう運用して生きるか」を決める設計回です。 ここで重要なのは、情緒の高揚で「やり直す」と決めるのではなく、実績(データ)と体験(身体)を材料に、冷静に“継続可能性”を判定し、継続設計に落とすことです。 | ||

