アレキシサイミアの発達歴と傷つき体験の把握と感情認識・表現力のアセスメントの評価と改善ワーク
アレキシサイミア(失感情症)は、自分がどのような感情を抱いているかを理解することが困難で、感情を言葉で表現することが困難で、他者に伝えることができません。また、内面的な感情に対する空想や想像力が乏しいいため、日常的に空想にふけることが少なく、思考が現実的・具体的なものに偏っています。特に自分の内面の感情に焦点を当てるよりも、外部の出来事や状況に意識が向きやすい傾向にあります。
このようにアレキシサイミアには、感情の識別困難、感情の言語化困難、空想や想像の欠如、外的出来事への過度の関心の4つの主要な特徴の側面があります。今回は、次のような28歳の女性のケースを評価してみます。
私は28歳の静岡県に住む独身男性の会社員です。皆さんが想像できないくらい幼少期に両親のしつけが厳しく、毎日のように激しい体罰もありました。教育も同様であり、膨大な学習ドリルをあずけられ、学校との往復で授業以外に友達と遊んだことがありません。そのためか中学生の時にはいじめにあってしまって、オバードーズで救急車で運ばれたことがあります。
大学生になると門限は18時から19時なりましたが、一切破ることは認めてくれませんでした。就職して一人暮らしをしていても門限チェックは収まらず、門限時間にはテレビ電話やリモートなどでアパート内にいることを確認されています。一度でも時間を破るとアパートまで訪ねてくるようになりました。
就職先では、コミュニケーションが苦手でお客様の気持ちを理解することがとても苦手でした。そんな私が接客業をしているせいかストレスがたまり疲労がピークに達している中で、上司の強い指導に耐えかねて心療内科の受診を受けたら適応障害だと診断されています。それでも休むことに対する上司や同僚の目が怖くて2日休んだだけでその後は普通に出勤しています。
そんな私には友達はいませんが、それでも初めて彼女ができました。しかし、彼女からは感情がなくロボットのようだと言われ、別れることになりました。ショックというより感情がないと言われたことが気になってネット検索で見つけたのがアレキシサイミアでした。まさしく自分はすべてあてはまることだと思いました。アレキシサイミアは病気ではないため心療内科でもお薬などを出さないということです。どのようにしたらよいでしょうか。
感情が普通と違うと感じたのは、小学生の時に絵日記をみんなで書く時間がありました。その時私は嬉しいとか楽しいとか悲しいとかがわからなくて、自分の絵や文章を同級生の絵や言葉と比較してみると輝いて見えた記憶が残っています。そのため、同級生の書いた絵日記をまねることで冷静さを保っていました。
父親は激しい感情の持ち主ですが、母親は父親に責められても淡々としていて、感情がとても鈍いと思います。遺伝なのでしょうか?
このページを含め、心理的な知識の情報発信と疑問をテーマに作成しています。メンタルルームでは、「生きづらさ」のカウンセリングや話し相手、愚痴聴きなどから精神疾患までメンタルの悩みや心理のご相談を対面にて3時間無料で行っています。
次のような5ステップ構成でアセスメントと初期支援を進めるのが効果的だと考えます。
【全体像】支援の5ステップ
- 感情認識・表現力のアセスメント(アレキシサイミア評価)
- 発達歴と傷つき体験の統合的把握(愛着・育ちの環境)
- 対人ストレスのパターンの可視化(ワーク・図式化)
- 身体感覚と感情のつながりを取り戻す(基礎的ワーク)
- 心理教育+医療連携の可能性を提示
ポイント
- 「アレキシサイミア」は診断名ではなく傾向性の名前
- 発達特性やトラウマの併存例が多いため、心療内科や精神科受診も選択肢
- カウンセリングでは「感じる練習」「自分へのやさしさ」を時間をかけて行う
- 安全感がないまま感情を開こうとすると「逆にしんどくなる」こともあるため、無理に言語化せず身体感覚から始めることが有効
- 「自分の傾向」「傷つき」「回復の道筋」がある

目的:
- アレキシサイミア傾向の程度を把握し、感情処理のスタート地点を明確にする。
使用ツール
- TAS-20 日本語版(Toronto Alexithymia Scale)
- 「基本感情 × 表現力」の8感情スケール(0〜4段階)
※TASスコアが高い場合は、「認識→表現→共有」の感情ステップの弱さがうかがえます。
アレキシサイミア・セルフチェック(30項目)
各項目について、「あてはまらない(0)」〜「非常にあてはまる(4)」の5段階でご回答ください。
番号 | 項目 |
1 | 自分の気持ちがよくわからないと感じることが多い。 |
2 | 「嬉しい」「悲しい」などの感情をうまく区別できない。 |
3 | 誰かに「今どんな気持ち?」と聞かれても答えにくい。 |
4 | イライラするけど、なぜそうなるのかがわからない。 |
5 | 感情よりも、事実や出来事に注目しがちである。 |
6 | 人の感情を読み取るのが苦手だと感じる。 |
7 | 他人の共感や気持ちに反応しにくいと言われたことがある。 |
8 | 感情を言葉にするのが苦手で、無言になってしまう。 |
9 | 気持ちを表現するのが「面倒」または「怖い」と感じる。 |
10 | 急に泣いたり怒ったりすることがあるが、自分でも理由がわからない。 |
11 | 感情を「感じる」よりも「考えて」処理する傾向がある。 |
12 | 他人が怒ったり泣いたりしていると、どう接していいか戸惑う。 |
13 | 感情を抑えるのが当たり前になっている気がする。 |
14 | 喜びや楽しさを言葉で伝えるのが難しい。 |
15 | 幼いころから、感情を表に出すことを控えてきた。 |
16 | 感情を表す語彙が少ないと感じる。 |
17 | 感情に名前をつける練習をしたことがない。 |
18 | 他人と深い感情的な会話を避けてしまう。 |
19 | 悩みを話すときも、気持ちより「状況説明」になりやすい。 |
20 | 「なんで泣いてるの?」と聞かれて答えられなかったことがある。 |
21 | 映画や音楽を聴いても、心が動かないことがある。 |
22 | 感情が「ある」のか「ない」のか自体がよくわからない。 |
23 | 自分の身体の調子と感情が結びついている感覚が少ない。 |
24 | うまく話せない感情を、無意識に飲み込んでしまうことが多い。 |
25 | 他人の表情やトーンを読み取ることに自信がない。 |
26 | 自分でも「無表情だ」と思う瞬間がある。 |
27 | 感情の「グラデーション」がなく、ただ「つらい」か「平気」しかわからない。 |
28 | 「感じる」より「考える」方が得意だ。 |
29 | 誰かに本音を話して「気持ちが楽になった」経験があまりない。 |
30 | 感情について話すことは、自分にとって「恥ずかしい」か「怖い」ことだ。 |
合計スコアの目安(0〜120点)
点数帯 | 傾向とコメント |
0〜29点 | 感情の認識・表現に大きな問題は少ない傾向。対人関係にも支障は少ない可能性が高いです。 |
30〜59点 | 一部の感情認識や表出に困難がありそうです。状況や相手によって偏りが出ることがあります。 |
60〜89点 | 感情処理のさまざまな側面に苦手さが見られます。対人関係のストレスや孤立感につながるリスクがあります。 |
90点以上 | アレキシサイミア傾向が強い可能性があります。カウンセリングや心理教育を通じて、感情の理解を少しずつ育てる支援が効果的です。必要に応じて医療的評価もご検討ください。 |
発達歴と傷つき体験の統合的把握は、アレキシサイミア傾向のあるクライエントにとって特に重要なステップです。なぜなら、「なぜ感情がわからなくなったのか」という背景に光を当てることで、自己否定や恥の感覚がやわらぎ、「自分のせいではなかったかもしれない」と感じ始められるからです。
目的
- 幼少期〜青年期における「感情との関係」「愛着・支配・トラウマ経験」を整理する
- 「感じられなかったのは、自分のせいではなかった」と体験的に納得できる材料を得る
- 後続の「感情ワーク」の基盤をつくる
導入フェーズ(安心感のある語りかけ)
カウンセラー
「今日はあなたの中の感情が、どんなふうに育ってきたかを一緒にたどってみようと思います。
うまく言葉にできなくても大丈夫です。『思い出せること』だけでかまいません。」
クライエント(頷く・沈黙)
カウンセラー
「まず、小さいころから感じたことを、どんなふうに表していたか覚えていますか?」
問いかけ①:感情と育ちの環境
カウンセラー
「たとえば、うれしいとき、悲しいとき、イライラしたとき…
小さい頃のあなたは、どんなふうに表していましたか?まわりの人は、どう反応していましたか?」
(例:感情を言っても無視された/怒鳴られた/笑われた/記憶がない)
問いかけ②:親の感情の取り扱い
カウンセラー
「ご家族の中で、特にお母さんやお父さんは、感情を出すタイプでしたか?
それとも、感情をあまり見せないタイプでしたか?」
追加フォロー(必要時)
「『嬉しい』『悲しい』を話している姿って、思い出せますか?」
問いかけ③:感情を抑えるようになったきっかけ
カウンセラー
「感情をそのまま出すのをやめたきっかけや、言わなくなった時期に思い当たることはありますか?」
(例:しつけ・怒鳴られた経験・兄弟との比較・いじめ・家庭の緊張)
問いかけ④:感情を模倣した記憶の探索
カウンセラー
「感情を真似して書いた経験があるとおっしゃっていましたよね。
そのとき、本当の気持ちと書いた言葉に、どんな違いがありましたか?」
(例:「本当はよくわからなかった」「みんなに合わせたかった」など)
問いかけ⑤:コントロール・支配の記憶
カウンセラー
「小さい頃から、ご自身の自由や感じたことが、どれくらい自分のままでいられたと感じていましたか?
たとえば『18時の門限、または19時に電話をしなきゃいけなかった』というようなことが、他にもあれば教えてください。」
問いかけ⑥:感情の孤立・共感の欠如
カウンセラー
「誰かに感情をわかってもらった経験って、覚えていますか?
そうだよねって言ってもらえた記憶があれば、それはどんな場面ですか?」
(答えがない場合は、「それがないこと自体が、大切なヒントになります」と受容)
まとめフェーズ(感情遮断の理解と共感)
カウンセラー
「今お話しいただいたことを振り返ると、感情をそのままに感じたり、表したりする環境がとても少なかったように思います。
だから、わからない、感じられないというのは、あなた自身のせいではなく、そのように育つしかなかった結果なのかもしれません。」
次への橋渡し
カウンセラー
「次のステップでは、感じる練習をしていきます。でも、無理に言葉にする必要はありません。
感じることそのものが、ゆっくり戻ってくるような体験を大切にしていきましょう。」
アレキシサイミア傾向がある方にとって特に重要な「感情がわからないまま対人関係で疲弊してしまう」というパターンに光を当てるステップです。
目的
- 「感情がわからないまま我慢 ➡反応が遅れる/爆発する ➡ 関係悪化」の無意識パターンを可視化する
- 「わからない」ままにしていた背景にあるストレス・ニーズ・恐れを言語化する
- 感情表現を支援する前段階として、関係と感情の構造を「見える化」する
①スクリプト導入(対話形式)
カウンセラー
「人とのやりとりって、疲れたりストレスがたまったりしますよね。
でも、なにが疲れたのかって、言葉にするのがとても難しいものです。」
カウンセラー
「今日は感情を言葉で表すというより、流れや関係のしくみとして見える形にしてみたいと思います。」
② 実践ワーク①:対人ストレス連鎖図(基本形)
ワーク内容
- 下のような【4コマ構造】で、自分と相手のやり取りを思い出して書き出してもらいます。
【相手の行動】➡【自分の内面の反応】➡【自分の行動】➡【相手の反応】
例:
フレーム | 内容(クライエントの例) |
相手の行動 | 「彼女に何考えてるの?と聞かれた」 |
自分の内面 | 「わからない、でも何か責められている感じがしてモヤモヤした」 |
自分の行動 | 「別にとだけ答えて沈黙した」 |
相手の反応 | 「怒ったようにため息をつかれた」 |
補足ポイント
- 感情語がなくてもOK。「なんとなく」「モヤモヤ」「よくわからない」で大丈夫。
- 「自分の内面」では、「浮かんだ思考」や「身体感覚(緊張・胃が痛いなど)」でもよい。
- 書けない場合は、「沈黙した」「言葉が浮かばなかった」なども正解。
③ 実践ワーク②:感情のズレマップ
ワーク内容:
視点 | 感情 | 言葉・行動 | ニーズ(本当はどうしたかった?) |
自分 | ??(言葉にできない) | 「別に」と言う | 本当は安心したい、否定されていないと知りたい |
相手 | 怒ってる?困ってる? | ため息・沈黙 | 気持ちをわかってもらいたいと感じているかも? |
ねらい
- 言葉にしにくい感情を、「ニーズ(本当は望んでいたこと)」から逆に探す。
- 相手の感情・行動を仮にでも整理することで、「ズレていたけど、どちらも困っていた」ことに気づける。
④ 実践ワーク③:アンガー氷山モデル
図式例:
怒り(表に出る感情)
───────────────────
氷山の下にある感情(一次感情)
・悲しみ ・心配 ・寂しさ
・不安 ・恥 ・疲れ
・混乱 ・無力感
問いかけスクリプト
カウンセラー
「イライラの下には、他にも隠れた気持ちがあることが多いです。
最近イライラした場面で、その下にある感情に心当たりはありますか?」
クライエント
「…疲れてたのかも。でも、誰にもわかってもらえなかった気がする。」
カウンセラー
「誰にもわかってもらえない疲れ…それは、とても孤独な感情かもしれませんね。」
次への橋渡し:「感情はゼロではなかった」
カウンセラー
「言葉にするのは難しくても、流れや感じていたことは確かにあったんですね。
こうやって図にすると、なかったと思っていた感情も、あったと感じられることがあります。」
カウンセラー
「次は、このあった感情を少しずつ見つけやすくしていくワークに進んでいきましょう。」
このステップで得られること
- クライエントは「自分には感情がない」のではなく、「わからなくなっていた理由があった」と認識できる。
- 感情がズレたまま伝わっていたことに気づき、関係悪化の責任を一方的に抱える苦しみがやわらぐ。
- 次の「感情スケーリング」や「身体感覚マップ」への導入がスムーズになる。
「感情がわからない・言えない」状態のクライエントに対して、言語以前の身体の気づきから感情とのつながりを育てるアプローチを行います。
アレキシサイミア傾向の方には、「感じること自体が困難」「感じたとしても言語化できない」「安全でないと感情を開けない」といった課題があり、このステップでは身体感覚を手がかりに、感情への扉を少しずつ開いていくことを目的とします。
目的:
- 言葉にできない感情を、「身体の反応」や「違和感・重さ・痛み」として手がかりにする
- 自分の内なる体験にアクセスする感覚を取り戻す
- 感情を「考えるもの」から「感じるもの」へシフトする準備段階とする
① 対話スクリプト:導入〜身体への注意を向ける
カウンセラー
「言葉にならない感情って、無理に説明しようとするとかえって苦しくなることもあります。
だから、今日は体に聞くことからはじめてみましょう。頭ではなく、体で感じるようにしてみてください。」
カウンセラー
「今この瞬間、頭・胸・お腹・手・肩・足など、どこかに重い・つまる・冷たい・熱い・ザワザワするなど、何か感じるところはありますか?」
クライエント(沈黙でもOK)
カウンセラー
「わからなければ、わからないことを感じるでOKです。感じる練習って、ゼロから始めていいんです。」
② ワーク①:今日のからだスキャンワーク
方法:
- 身体の部位(頭・首・胸・お腹・背中・手足など)に順番に注意を向けてもらう
- 次のようなスケールで記入
部位 | 感覚(自由記述) | 強さ(0〜4) | 例えやイメージ(あれば) |
胸 | ぎゅっと締めつけられる | 3 | 鉄の輪みたい |
お腹 | 空っぽ、スカスカ | 2 | 風船がしぼんだ感じ |
肩 | 重い、だるい | 4 | 石を背負ってるみたい |
カウンセラー
「たとえば、胸のあたりに鉄の輪がはまってるみたいと感じたら、それをそのままメモしていいですよ。意味づけより、感じのままを書いてみてください。」
③ ワーク②:感情語カード × 身体感覚マップ
ツール:
- 「感情語カード」(30〜50語の基本感情語から、自由に選ぶ or 指差すだけ)
- 「身体マップ」(イラスト:身体部位に色やマークを書き込める)
手順:
- 「この中に、少しだけでも近いかもと思う言葉はありますか?」(カードを渡す or 見せる)
- 感情がなくても、「体の違和感にぴったりな言葉」を選んでもらう
- 感じる部位に色・印をつける(例:胸に怒り、お腹に寂しさ)
ポイント
- 「今の気分に合う言葉は1つだけ選んでみてください」
- 「ぴったりじゃなくても、まあ近いかもでOKです
④ ワーク③:感情名をつけなくてもいい呼吸ワーク
スクリプト
カウンセラー
「今から、1分だけ息をしている自分の体に意識を向けてみましょう。
目を閉じてもいいし、開けたままでもいいです。」
カウンセラー
「呼吸が入ってくる場所、胸やお腹の動き、身体が温かくなる・冷たくなる感じ…。
何か“気づいたこと”があれば、それが感情かどうかに関係なく、心のメモ帳にメモしておきましょう。」
カウンセラー
「最後に、その1分の中で印象に残った感覚を一言で表すとしたら…どんな言葉になりますか?」
(例:ぽかぽか/重たい/やわらかい/なにもない/遠い/うずまき など)
⑤ 次への橋渡し:感情は感じ直せる
カウンセラー
「言葉にはならなくても、体の中にある何かに気づくことが、実はとても大事なことなんです。
それが、感情の種かもしれません。」
カウンセラー
「少しずつ感じる力を回復させていく中で、言葉もあとからついてくるようになります。
だから、今は名前がつかなくても感じてるという状態で大丈夫ですよ。」
このステップの到達目標
- 「自分には何も感じていないわけではない」と実感できる
- 感情=言葉という誤解から脱し、感情=身体の変化という実感を得る
- 「感情を感じても安全だ」という身体的・心理的な安全感の基礎が築かれる
アレキシサイミア傾向をもつクライエントに対して、「感情がわからないのは病気なのか?」「医療に行った方がいいのか?」という不安や混乱をやわらげながら、心理教育と医療的支援の選択肢を“安心感のある形で伝えるステップです。
このステップの目的
- アレキシサイミアという特徴を「病気」と誤解しすぎないように、安心できる心理教育を行う
- 必要な場合は、心理・医療支援の選択肢を整理し、自主的な判断を支援する
- 「支援を受けること=弱さ」ではなく、「自分を整える選択」として再定義する
① 心理教育スクリプト:アレキシサイミアとは
カウンセラー
「感情がわからないという状態は、あなたがおかしいということではありません。
アレキシサイミアは、感情の言語化や理解が難しいという傾向であり、病気そのものではありません。」
カウンセラー
「この傾向は、発達的な要因や、幼少期の感情が許されなかった経験、過去のトラウマ、あるいは気質など、さまざまな背景から育まれることが多いです。」
カウンセラー
「ですから、自分に感情がない、壊れていると心配しすぎなくて大丈夫です。
むしろ、感じにくくさせざるを得なかった自分を丁寧に見つめていくことが大切です。」
② 医療受診の検討をうながすスクリプト(希望・症状ベース)
クライエントが「医療に行くべきですか?」と聞いたときの対応例
カウンセラー
「まず、医療でしかできない支援と心理でできる支援の両方があります。
もし次のような状態がある場合は、医療のサポートも併用するとよいかもしれません。」
医療受診の検討目安(例)
- 強い不眠・食欲不振・日中の機能低下
- 過去にうつや適応障害の診断歴があり、再発傾向がある
- 過去のトラウマが繰り返しフラッシュバックする
- 希死念慮や解離症状、パニック発作などがある
- 感情のブロックが極端で、生活に大きな支障がある
カウンセラー
「もちろん、絶対に医療に行かなきゃいけないという話ではなく、もっと楽になる方法のひとつとして、選択肢を増やすというふうに考えてみてください。」
③ 心理・医療の選択肢マップ(クライエント配布用にも)
支援の種類 | 内容 | こんなときにおすすめ |
心理カウンセリング | 感情の整理、思考の癖、関係パターンの見直し | 「話しながら少しずつ整えていきたい」場合 |
精神科・心療内科 | 睡眠・抑うつ・パニックなどの症状がある場合/薬物療法が必要なとき | 「生活に影響が出ている」「どうにもつらい」 |
メンタル系セミナー・グループワーク | 同じ傾向の人と安心して学べる | 「自分だけじゃないと感じたい」「知識を増やしたい」 |
SNSやYouTubeの心理教育 | 知識のきっかけとして有効(誤情報には注意) | 「気軽に理解を深めたい」 |
④ クライエントが受け止めやすくなる表現・比喩
- 「アレキシサイミアは、心が冬眠した状態のようなもの。外の気温があたたかくなれば、少しずつ起きてきます」
- 「感情は言葉のない子どもみたいなもの。見てあげるだけで、すこし落ち着くことがあります」
- 「今は気づくアンテナが伸びていないだけで、もともとないわけではありません」
- 「医療や支援は、サポーターであって、治す場所ではありません。自分のリズムを取り戻す手助けをする人です」
⑤ 次への橋渡し:「支援を受けること=弱さ」ではない
カウンセラー
「つらさに気づいて、何か方法があるかもしれないと思えたこと自体、とても大切な一歩です。
支援を受けることは、逃げではなく、自分を大切にする選択なんです。」
カウンセラー
「私たちは、あなたがわからない自分と共に生きていけるように、いっしょに考えていきます。
必要なときは、医療と連携しながら、自分らしさを取り戻していけたらいいですね。」
このステップの効果
- 「病名探し」や「ネット検索による不安」に振り回されにくくなる
- 医療に対する恐れ・否定感が軽減される(支援が「選択肢」に変わる)
- クライエントが「どうなりたいか」に基づいた支援選択をしやすくなる
アレキシサイミア傾向のあるクライエントにとって「見つかりかけた感情」を確かな形にしていく非常に重要なプロセスです。
ステップのねらい
- 感情をわかるために、「感じる」➡「気づく」➡「広げる」➡「言葉に近づける」というプロセスをゆっくり進める
- 無理に言語化させず、色・形・動き・身体感覚・比喩など、言葉以外の表現手段も活用する
- 感情と距離をとる安全な枠を使って、感情との関係性を築いていく
おすすめワーク構成(段階的)
レベル | アプローチ | ワーク名(例) | 内容 |
初級 | ①選ぶ/なぞる | 感情ピックカード | 感情語一覧から「今の自分に近いもの」を選ぶワーク。指差しOK。 |
初級 | ②色で感じる | 色と気持ちのマッピング | 色鉛筆やマーカーで“今の気分”を色で描写。形や場所は自由。 |
中級 | ③広げる | 感情の温度と強さスケーリング | 「怒り・悲しみ・寂しさ」など、感情を10段階や色温度で表現。 |
中級 | ④距離をとる | 感情のキャラクター化 | 感情を「キャラ」や「動物」などにたとえて対話。 |
上級 | ⑤統合する | 感情日記・感情レポート | 1日の中で感じたことを3つの感情+出来事で記録。 |
ワーク①:感情ピックカード(感情を選ぶ)
- 目的:言語化以前の「感情の存在に気づく」
- 方法:30〜50語の感情語カードから、「今の自分に少し近い」「名前をつけるとしたらこれかも」という言葉を選ぶ
- カード例:「モヤモヤ」「落ち着かない」「緊張」「なにもない」「置いてきぼり」「うれしいかも」など
カウンセラー
「ぴったりじゃなくていいです。『これならまあ近いかも』という言葉、どれかありますか?」
ワーク②:色と気持ちのマッピング
- 目的:「ことばのない感情」に色・形で触れる
- 方法:白紙の人型シルエットや空白の円に、今の気分を色で塗る/形で表現する
カウンセラー
「言葉がなくても、色やカタチで表すことはできます。たとえば、このへんが黒っぽいとか、チクチクする赤でもいいんです。」
ワーク③:感情の温度と強さスケーリング
- 目的:感情を「曖昧」から「グラデーション」へ広げる
- 方法:感情リストをもとに、0〜10段階で強さを数値化
感情名 | 今の強さ(0〜10) | コメント(あれば) |
悲しさ | 4 | 胸の奥でうずく感じ |
怒り | 2 | はっきりしないけどイライラ |
安心 | 1 | ちょっと呼吸しやすくなった |
ワーク④:感情のキャラクター化(距離をとる)
- 目的:感情と自分は別物という安心感を得る
- 方法:感情を動物・人・キャラなどにたとえて会話してみる
感情 | キャラの名前 | どんな性格? | 何を言ってる? |
不安 | ねずみのフワ | 小さくてすばしこい | 「準備しておいたほうがいいかもよ」 |
怒り | 炎のライオン | すぐガオーって吠える | 「もう我慢するなよ」 |
カウンセラー
「この怒りくんは、どんなときに出てきますか?」「味方にも見えますか?」
ワーク⑤:感情レポート(統合と反復)
- 目的:感情の存在・動き・関連性を日常の流れでつかむ
- 方法:毎日の中で「何が起きたか」「どんな感情があったか」「体や行動はどうなったか」を3分で記録
出来事 | 感情(2語) | 身体の反応 | 自分の行動 |
上司に注意された | モヤモヤ、不安 | お腹が冷える | 黙ってうなずいた |
友人とLINEした | 安心、少し嬉しい | 呼吸がゆるんだ | 久しぶりに笑えた |
このSTEPの効果:
- 「感情がないのではなく、関係が薄くなっていただけ」と再定義できる
- 感情と対話する力(メタ認知)が高まり、自己理解が深まる
- 対人関係でも「感情を伝える/受け取る」土台が整いはじめる
アレキシサイミア傾向のあるクライエントが 「わかり始めた感情」を対人関係で伝える・守る・調整するための力を育てていきます。
キーワードは 《アサーション(自己表現の練習)》です。
目的
- 「感じられるようになってきた感情」を、関係の中で適切に伝える力を育てる
- 相手に流されず、自分の気持ちを大切にしながら伝える・NOと言う・お願いすることを学ぶ
- 対人場面での自己否定・怒りの爆発・回避行動のパターンから脱却する
構成(ステップ形式)
ステップ | 内容 | 主なワーク・ツール |
① | アサーションって何?(心理教育) | 3つの自己表現スタイル(非主張的・攻撃的・アサーティブ)比較シート |
② | 自分の癖を知る | 自己表現タイプ診断/過去のパターン振り返り |
③ | 「Iメッセージ」練習 | 感情 → ニーズ → リクエストの三段階表現ワーク |
④ | アサーション実践ロールプレイ | 仕事/パートナー/家族別の場面カードで練習 |
⑤ | 感情表現カードで語彙力強化 | 自分の「お願い語彙」「断る語彙」を育てるカードワーク |
① アサーションとは?(心理教育)
カウンセラー
「自己主張(アサーション)は、自分も相手も大切にする表現の仕方のことです。
怒りや我慢で表現するのではなく、感情+願いを伝えるスキルなんです。」
3つの自己表現スタイル例(配布ワークシートに記載)
スタイル | 特徴 | 相手からの印象 |
非主張的 | 感情を抑える/我慢する | 「何を考えているかわからない」 |
攻撃的 | 怒り・圧力で主張 | 「怖い・疲れる」 |
アサーティブ | 自分の気持ちを落ち着いて伝える | 「安心・信頼できる」 |
② 自分の癖を知る:自己表現タイプ診断
カウンセラー
「たとえば、いつも我慢して後から爆発してしまったり、逆に相手を優先しすぎて何も言えなかったり…。そういう“自分の癖を知ることが第一歩です。」
ワーク例:
- 「過去1ヶ月で、言いたかったのに言えなかった場面を3つ思い出す」
- 「自分の感情・言えなかったこと・理由」を書き出す
- 「その時、どんな自己表現スタイルだったか分類する」
③「Iメッセージ」練習:感情+リクエスト
カウンセラー
「“あなたが悪いではなく、私はこう感じたという伝え方がIメッセージです。
攻撃でも説得でもなく、自分を表現する方法です。」
三段階の構造(ワークシート例)
- 出来事/場面:●●さんがLINEに返信しなかった
- 自分の感情:不安になった、さみしくなった
- 自分の希望・お願い:「次は一言だけでも返信をくれるとうれしいです」
④ アサーション実践ロールプレイ
- ワークカード形式で「実際の場面」を取り上げて練習
シチュエーション例
- 同僚に仕事を押しつけられた
- パートナーに感情を聞かれてうまく答えられなかった
- 母親に「なんで電話しないの」と責められたとき
カウンセラー
「言葉にできないなら、まずそのことを伝えるところから始めて大丈夫です。
たとえば、『感情がうまく言えないけれど、大事に思ってる』というふうに。」
⑤ 感情表現カードで語彙力を育てる
- 「感情語+お願い語」「断りのフレーズ」「共感を伝える語彙」のカードセットを使い、
クライエントがよく使う語彙と、苦手な語彙の傾向を明確にします。
例:
カテゴリ | フレーズ例 |
感情を伝える | 「がっかりした」「気持ちが追いつかない」 |
断る | 「今は難しいです」「ちょっと考えたいです」 |
お願いする | 「これを手伝ってもらえると助かります」 |
共感 | 「そうだったんだね」「気持ち、少しわかる気がします」 |
クライエントに伝える言葉(スクリプト)
カウンセラー
「感じたことを、ちゃんと伝えるというのは、あなた自身を守る手段でもあります。
それはわがままではなくて、人との距離を健やかに保つための力なんです。」
カウンセラー
「アサーションの練習は、自分を裏切らないという習慣をつくるものでもあります。」
このSTEPの成果
- 感情の表現スキルが上がり、関係悪化や自己否定のスパイラルが減る
- クライエントが「NOを言えるようになった」「自分の気持ちを伝えてみた」と報告しやすくなる
- 対人関係のストレスが軽減し、「自分を大事にする感覚」が育つ
「自己表現の癖・気づきシート」
アレキシサイミア傾向や対人場面の自己主張の困難さに気づくための「自己表現の癖・気づきシート」です。クライエントのセルフワーク、カウンセリング中のメタ認知促進、またはアサーション練習前の準備に活用できます。
自己表現の癖・気づきシート
1. 最近の対人場面をふりかえる
記入例 | 自分の行動 | そのときの気持ち | 伝えた?伝えなかった? | なぜその表現を選んだ? |
Aさんに仕事を頼まれた時 | 断らず引き受けた | モヤモヤ、疲労感 | 伝えなかった | 嫌われたくなかった、断るのが怖かった |
友人に飲み会誘われた時 | 行くと言った | 面倒・疲れてた | 伝えなかった | 気まずくなりたくなかった |
気づきのポイント:自分の気持ちに気づいていたか?それを言葉にしようとしたか?どうして言えなかったか?
2. 自分の自己表現の“型”チェック(〇をつけてください)
- 相手に合わせすぎて、自分の意見を抑えてしまうことが多い
- 怒られる・嫌われるのが怖くて、言いたいことが言えない
- 急に感情があふれて、強い口調になることがある
- どんな表現をしていいのかわからず、黙ってしまうことが多い
- 相手の気持ちに配慮しすぎて、自分の本音がわからなくなる
- 無理をして相手に応じ、その後で疲れやイライラが残る
- 後から「こう言えばよかった」と思うことが多い
3. 自分の表現の癖に名前をつけてみましょう(例:「合わせすぎ屋さん」「沈黙戦士」「がまん星人」など)
あなたの表現癖の名前:_______________
名前をつけることで、自分の癖に愛着と距離感を持つことができます。
4. これからやってみたい表現の工夫(自由記述)
- 例:「まずは困ってるだけでも口に出してみたい」
- 例:「考えてから返事するねを使えるようにしたい」
【Iメッセージ作成ワークシート】
―「あなたが悪い」ではなく「私はこう感じた」を伝える練習 ―
目的:
- 感情を「攻撃」や「沈黙」でなく、相手との関係を大切にしながら伝える力を養う
- 自分の気持ち・ニーズ・お願いを、三段階構造(感情→理由→リクエスト)で整理して表現する
例: 友達が約束の時間に30分遅れてきたけれど、謝らなかった。
| □ イライラ | □ 不安 | □ がっかり | □ さみしい | □ かなしい | □ むなしい | □ 恥ずかしい | □ 無視された気がした |
記入例: がっかり、少し腹が立った
- 自分にとって、どんな意味があったから?
- どんな思いや期待があったから?
記入例: 私は、楽しみにしていたし、大切にされたいと思っていたから。
- 「次からは〇〇してほしい」
- 「こんな風にしてくれるとうれしい」
- 「〜はちょっとつらいから避けたい」など
記入例: 次は遅れるとき、連絡だけでももらえるとうれしい。
「時間に遅れたときに何も言われなかったことで、私は少しがっかりして、悲しくなりました。
楽しみにしていた分、大事にされてないように感じてしまったんだと思います。
次からは、もし遅れるときは一言LINEで知らせてもらえるとうれしいです。」
「対人場面ロールプレイカード(20シーン)」
対人場面ロールプレイカード(20シーン)
使い方
- クライエントが直面しやすいシーンを選びます。
- シート左側の「場面設定」を声に出して読み、情景をイメージしてもらいます。
- クライエント(またはカウンセラー)が『Iメッセージ』三段階(感情→理由→リクエスト)で応答を考え、実際にロールプレイ。
- 終了後、感情・身体感覚・伝わり方を振り返り、改善ポイントを記入します。
- 実際に使ったIメッセージ:_______________________________
- 伝えたときの感情・身体感覚:_______________________________
- 相手の反応:_______________________________
- うまくいった点/次回の工夫:_______________________________
「対人場面ロールプレイカード:Iメッセージ(20シーン)」 |
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Card 1 同僚が仕事を押しつける 場面設定: 終業間際、隣席の同僚から「これ今日中にお願い」と追加タスクを渡される。 アサーション練習目標: 境界線を示しつつ代替案を提案する。 |
Iメッセージ例: 「急に追加の仕事をお願いされて、ちょっと焦りと困惑を感じています。今日中に終わらせる予定の作業が詰まっているので、時間的に余裕がありません。もし明日の午前でも良いなら、しっかり対応できるのですが、どうでしょうか?」 |
Card 2 上司が進捗を責める 場面設定: 週次ミーティングで上司が高圧的な口調で「まだ終わっていないの?」と詰問する。 アサーション練習目標: 感情を共有しつつ、現状とサポートニーズを伝える。 |
Iメッセージ例: 「今の言い方に少しプレッシャーを感じてしまいました。現在ここまで進んでいるのですが、予想以上に資料集めに時間がかかっています。優先順位について少し相談できるとありがたいです。」 |
Card 3 部下が期限を守らない 場面設定: 部下が再三のリマインドにもかかわらず報告書を提出しない。 アサーション練習目標: 期待値と影響を伝え、具体的な期限を再設定する。 |
Iメッセージ例: 「報告書が提出されていないことに少し困っています。私の作業にも影響が出ていて、全体の進行が遅れてしまいそうです。改めて、明日の午前中までに提出してもらえますか?」 |
Card 4 友人が待ち合わせに遅刻 場面設定: カフェで30分待たされたが、友人は謝罪もなく談笑を始める。 アサーション練習目標: がっかり感を伝え、次回への希望を述べる。 |
Iメッセージ例: 「30分待っていて少し寂しい気持ちになりました。特に連絡もなかったので不安にもなって…。次からは遅れるときに一言もらえるとうれしいな。」 |
Card 5 パートナーが感情を求める 場面設定: 婚約者に「今どんな気持ち?」と聞かれ、答えられず沈黙してしまう。 アサーション練習目標: 感じにくさを素直に共有し、対話の仕方を提案する。 |
Iメッセージ例: 「聞かれると、うまく言葉にできずに困ってしまうことがあります。自分の気持ちに気づくのがゆっくりなんだと思います。ちょっと時間をもらってから話せると助かるな。」 |
Card 6 母親が頻繁に連絡を強要 場面設定: 毎晩の電話がないと母親から連続メッセージが届く。 アサーション練習目標: 自立の必要を説明し、頻度を交渉する。 |
Iメッセージ例: 「毎晩電話をしなきゃと思うと、少し負担に感じてしまっています。忙しい日もあるので、週に2回くらいにできるとありがたいです。」 |
Card 7 SNSで批判コメントを受ける 場面設定: 投稿に対し知人から攻撃的なコメントがつく。 アサーション練習目標: 非難せず、自分の立場と感情を示す。 |
Iメッセージ例: 「コメントを読んで少しショックでした。自分なりに真剣に考えて書いた内容だったので、もう少し穏やかに伝えてもらえるとうれしいです。」 |
Card 8 店員の対応が不適切 場面設定: レジで店員がこちらを無視して私語を続ける。 アサーション練習目標: 丁寧に不快感と要望を伝える。 |
Iメッセージ例: 「少し話しかけにくく感じてしまいました。今の状況をもう少し丁寧に対応していただけるとうれしいです。」 |
Card 9 ルームメイトが深夜に騒音 場面設定: 0時を過ぎても大音量で動画を視聴している。 アサーション練習目標: 具体的な静音時間を提案し合意形成。 |
Iメッセージ例: 「夜中に音が大きいと眠れず、翌朝がつらくなってしまいます。夜11時以降はイヤホンを使ってもらえるとうれしいです。」 |
Card 10 友人が貸した物を返さない 場面設定: 半年前に貸した本が戻ってこない。 アサーション練習目標: 要求を率直に伝えつつ関係を保つ。 |
Iメッセージ例: 「前に貸した本、実はまた読み返したくなっていて。もし手元にあれば、次に会うときに持ってきてもらえると助かるな。」 |
Card 11 上司がプライベートを詮索 場面設定: 上司が休日の過ごし方や結婚予定をしつこく尋ねる。 アサーション練習目標: プライバシーを守りつつ話題を切り替える。 |
Iメッセージ例: 「プライベートな話題にはちょっと抵抗があって…。最近読んだ本の話とか、よかったらそちらの話題にしませんか?」 |
Card 12 会議で意見を遮られる 場面設定: 発言途中で同僚に横取りされ、話が進む。 アサーション練習目標: 再度発言権を求め、意見を完結させる。 |
Iメッセージ例: 「ちょうど話していたところだったので、もう少しだけ続けさせてもらっていいですか?そのあと、そちらの意見もぜひ聞かせてください。」 |
Card 13 医師が専門用語で説明 場面設定: 診察中、専門用語が多く内容が理解できない。 アサーション練習目標: 不安と理解度を明かし、わかりやすい説明を依頼。 |
Iメッセージ例: 「説明が少し難しく感じてしまいました。申し訳ないのですが、もう少し噛み砕いて説明していただけますか?」 |
ard 14 親戚が失礼な質問 場面設定: 結婚式で親戚に年収や子どもの予定を聞かれる。 アサーション練習目標: 不快感を示しつつ話題を変更。 |
Iメッセージ例:「ちょっと答えづらい話題かも…。最近の旅行の話とか、他の話題の方が気が楽なんです。」 |
Card 15 教師が課題量を増やす 場面設定: 夜遅く追加課題が出され、睡眠時間が削られる。 アサーション練習目標: 学習負荷と健康への影響を伝え、調整を求める。 |
Iメッセージ例: 「最近睡眠時間がかなり減ってきて、体調も少し不安定です。課題の量について、相談できる時間をいただけますか?」 |
Card 16 部活動で先輩が無理な要求 場面設定: 休日に強制的な追加練習を指示される。 アサーション練習目標: 自己の予定と限界を説明し、代替参加案を提示。 |
Iメッセージ例: 「その日は家の用事があって、練習に出るのが難しそうです。代わりに前日の夕方に自主練をして、報告でもよろしいでしょうか?」 |
ard 17 列への割り込み 場面設定: バス停で後ろの人が前に割り込む。 アサーション練習目標: 落ち着いて順番を主張。 |
Iメッセージ例: 「すみません、並んでいたので、後ろにお願いできますか?」 |
Card 18 オンラインゲームで暴言 場面設定: チームメイトが失敗を責めるチャットを連投。 アサーション練習目標: ルール違反を指摘し、協力姿勢を促す。 |
Iメッセージ例: 「連続で責められると、ちょっと萎縮してしまいます。次は一緒に作戦立てて、うまくいかせたいです。」 |
Card 19 カスタマーサービスで長時間待たされる 場面設定: サポート窓口に30分以上保留にされる。 アサーション練習目標: 待機時間と感情を共有し、対応改善を要求。 |
Iメッセージ例: 「長く待っている間に少し不安になってしまいました。次からは大体の待ち時間を教えてもらえるとうれしいです。」 |
Card 20 カフェで隣席が大声 場面設定: 作業中、隣のテーブルが電話で大声を出し続ける。 アサーション練習目標: 丁寧に静音をお願いし、必要なら店員に相談。 |
Iメッセージ例: 「すみません、お話し中に声をかけてしまって恐縮なのですが……お電話の声が少し大きく聞こえていて、集中が難しくなってしまっていて。もう少し声をひそめていただけると、とてもありがたいです。」 |
振り返りメモ欄(各カード共通)
- 実際に使ったIメッセージ:_______________________________
- 伝えたときの感情・身体感覚:_______________________________
- 相手の反応:_______________________________
- うまくいった点/次回の工夫:_______________________________