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AUDアルコール使用障害の自己回復プログラム

目次

AUD(アルコール使用障害)の回復が一人でできる減酒プログラム完全版とアルコール依存症との違い

アルコール使用障害(Alcohol Use Disorder:AUD)は、飲酒行動のコントロール喪失を中核とし、身体・心理・社会機能に持続的障害をもたらす症候群である。DSM-5では従来の「アルコール依存」「アルコール乱用」の二分法を廃し、11基準による重症度スペクトラム(軽度2–3項目、中等度4–5項目、重度6項目以上)として再構成された。ICD-11も同様に、使用パターン・有害結果・依存特徴を統合的に評価する枠組みを採用している。

臨床的特徴は、①コントロール障害(量・頻度の制御不能、減量失敗、渇望)、②社会機能障害(役割遂行の破綻、対人葛藤、活動の縮小)、③身体依存関連(耐性増大、離脱症状、危険使用)に大別される。とくに渇望は前頭前野の実行機能低下と線条体報酬回路の過活動の相互作用により説明され、情動ストレス下で顕著に増強される。

病態機序は多層的である。神経生物学的には、アルコールの反復曝露が中脳辺縁ドーパミン系を感作し、扁桃体・島皮質・前帯状皮質のネットワークを介して情動駆動型行動を固定化する。慢性化ではGABA・グルタミン酸系の不均衡、HPA軸過活動、神経炎症が加わり、離脱期の不安・不眠・自律神経症状を惹起する。心理学的には自己治療仮説が重要で、不安・抑うつ・トラウマ関連症状の緩和手段として条件づけられる例が多い。社会的要因(家族歴、職業文化、孤立、貧困)は発症・維持・再発に強く関与する。

評価では、量的指標のみならず機能障害と動機づけ段階の把握が不可欠である。AUDIT等のスクリーニング、飲酒日誌、チェーン分析によるトリガー同定、併存精神疾患の鑑別(うつ、不安、PTSD、発達特性、パーソナリティ障害)を行う。身体合併症(肝障害、膵炎、末梢神経障害、認知機能低下)と離脱リスクの評価は医療連携の判断軸となる。

介入は重症度と目標に応じた段階的統合モデルが推奨される。重度・離脱リスク例では医学的管理と薬物療法(抗渇望薬、離脱治療)が第一選択となる。心理社会的治療では、動機づけ面接により両価性を扱い、認知行動療法でトリガー連鎖と代替行動を再学習する。近年は減酒を目標としたハームリダクション、感情調整訓練、マインドフルネス、家族介入(CRAFT等)の有効性が報告されている。再発は病態の一部として位置づけ、早期警告サインの同定と「戻り方計画」を中心に据えることが重要である。

臨床上の要点は、AUDを道徳的問題ではなく慢性再発性の健康状態として理解する姿勢である。恥とスティグマは治療忌避を強めるため、協働的関係の構築が予後を左右する。トラウマ・感情処理困難・社会的孤立といった背景因子に並行して介入し、医療・心理・社会資源を横断した多職種連携により、生活機能の回復とQOL向上を目指すことが専門家の役割である。

アルコール使用障害(AUD)とは

アルコール使用障害(Alcohol Use Disorder:AUD)とは、飲酒量や頻度を自分でコントロールすることが難しくなり、心身の健康や仕事・家庭などの生活に持続的な支障が生じている状態を指します。以前は「アルコール依存症」「アルコール乱用」と分けて呼ばれていましたが、現在は軽度から重度までを一つの連続体としてとらえるAUDという概念が国際標準になっています。

AUDの中心的な特徴は三つあります。第一にコントロールの障害で、予定より多く飲んでしまう、減らそうとしても続かない、強い飲酒欲求(渇望)が生じるなどです。第二に社会・生活への影響で、仕事の能率低下や遅刻、人間関係の悪化、金銭問題などが起こります。第三に身体的変化で、耐性の増加や離脱症状、不眠、震え、発汗などがみられることがあります。これらの組み合わせによって軽度・中等度・重度に分けて評価されます。

発症には複数の要因が関わります。アルコールは脳の報酬系に作用し、一時的に不安や緊張を和らげるため「自己治療」のように学習されやすくなります。ストレス、うつや不安障害、トラウマ体験、孤立、家族歴、職場文化など心理社会的要因も大きく影響します。そのためAUDは意志の弱さではなく、脳・心・環境が絡み合った健康問題として理解することが重要です。

回復の方法は一つではありません。重度で離脱症状が強い場合は医療的治療が優先されますが、軽度~中等度では減酒を目標にした支援も有効です。動機づけ面接や認知行動療法、感情ケア、家族支援、自助グループなどを組み合わせ、再発を「失敗」ではなく学習として扱う姿勢が大切です。早期に気づき、安心できる相談先につながることで、生活の安定と健康の回復は十分に可能です。AUDは治らない烙印ではなく、回復への道がある状態なのです。

このページを含め、心理的な知識の情報発信と疑問をテーマに作成しています。メンタルルームでは、「生きづらさ」のカウンセリングや話し相手、愚痴聴きなどから精神疾患までメンタルの悩みや心理のご相談を対面にて3時間無料で行っています。

アルコール使用障害(AUD)とアルコール依存症

アルコール使用障害(Alcohol Use Disorder:AUD)とアルコール依存症は、同じ現象を異なる理論的枠組みから捉えた概念です。従来の「アルコール依存症」は、主に身体依存・耐性・離脱を中心にした医学モデルに基づき、依存か否かを二分的に判断する発想で用いられてきました。一方、現在の国際標準となっているAUDは、飲酒に伴う問題を軽度から重度までの連続体(スペクトラム)として評価し、コントロール障害・生活機能障害・身体変化を統合的に扱う点が大きく異なります。

アルコール依存症の概念では、手指振戦や発汗、不眠などの離脱症状、耐性の増大、飲酒中心の生活といった身体的・行動的依存像が診断の中核でした。そのため、明確な身体依存が出現した段階で初めて「病気」とみなされ、早期の危険飲酒や心理社会的問題は診断枠外になりやすかったのに対し、AUDでは予定より多く飲む、減らそうとして失敗する、強い渇望が生じるといったコントロールの障害や、仕事・家庭への影響、危険な状況での使用なども同等に評価されるようになりました。身体依存はAUDの重度領域の一要素と位置づけられ、診断の必須条件ではないとされています。

また、臨床的な含意も大きく、依存症モデルは「断酒を唯一のゴール」とする傾向が強かったのですが、AUDモデルでは重症度と個別状況に応じて減酒・ハームリダクション・段階的回復を選択できるようになっています。軽度~中等度では早期介入が可能となり、スティグマの軽減や治療アクセスの向上につながるようになりました。また、AUDはうつ・不安・PTSDなどの併存症や社会的要因を重視するため、心理療法や家族支援を含む多面的介入が標準となります。

まとめれば、アルコール依存症は歴史的に確立した臨床像を示す「重度側の典型名」であり、AUDはその前段階から重度までを包含する包括的かつ連続的な診断枠組みとなります。現在の実務ではAUDが公式用語として用いられ、従来の依存症と呼ばれた状態はAUDの重度に相当すると理解するのが適切であるようです。

1.結論から:両者は「ほぼ同じ現象を、異なる枠組みで呼んだもの」

観点アルコール依存症アルコール使用障害(AUD)
背景旧来の医学・社会モデルDSM-5 以降の精神医学モデル
分類「依存」「乱用」などを別枠軽度~重度の連続体(スペクトラム)
焦点身体依存・離脱行動・コントロール障害・生活機能
介入断酒中心減酒・回復支援など多様

現在の国際標準では「アルコール使用障害(AUD)」が公式用語で、「アルコール依存症」はその重度側の表現・歴史的呼称に近い位置づけです。

「いま国際的には“アルコール使用障害=AUD”と呼びまが、その中の重い側が、昔から言われてきた“依存症”に近い位置です。

アルコール使用障害(AUD)とアルコール依存症(クライエント向け)

よく「アルコール依存症」と「アルコール使用障害(AUD)」という言葉を耳にしますが、これはまったく別の病気というより、同じ問題を“見方を変えて呼んだもの”に近い関係です。

比較
いちばん大きな違い

アルコール依存症(昔からの言い方)

  • 体がアルコールに強く頼っている状態
  • 震え・不眠・離脱などが中心
  • 「依存か・依存でないか」の二択で考えやすい

アルコール使用障害=AUD(今の国際的な言い方)

  • 軽い段階から重い段階までの“グラデーション”
  • 量・コントロール・生活への影響をまとめて見る
  • 早めの段階でも相談しやすい
比較
イメージで言うと
  • 依存症 =「病気の“最終段階の名前”」
  • AUD =「0~100までの地図」

たとえば、まだ体の震えはなくても
・予定より多く飲んでしまう
・減らそうとしても続かない
・仕事や家族に影響が出ている
という状態も、AUDでは大切なサインとして扱います。

比較
なぜ名前が変わったの?

以前は「依存症」と聞くと「意志が弱い」「もう手遅れ」と思われやすく、相談しにくいという問題がありました。

AUDという考え方では、

  • 早い段階から支援できる
  • 減酒という選択もできる
  • 失敗してもやり直せる

という、回復しやすい見方になっています。

比較
あなたにとって大切なこと

どちらの言葉でも、意味は同じです。あなたが弱いのではなく、体と心と環境が作った“状態”だということ。

そして、

  • 減らす
  • 休む日をつくる
  • 医療やカウンセリングを使う
    など、いくつもの道があります。
比較
ひと言でまとめると
  • 依存症:重い側の呼び名
  • AUD:軽い~重いまでを含む新しい呼び名
  • どちらも“治せる・整えられる状態”

あなたの今の位置を一緒に確かめて、いちばん無理のない方法を選ぶことができます。

2.概念の違いをもう少し臨床的に

① アルコール依存症(従来)

  • 身体依存
  • 耐性の増大
  • 離脱症状
  • 飲酒中心の生活

→「身体に縛られてやめられない病気」というイメージが強い。

② アルコール使用障害(AUD)

DSM-5では11項目で評価し、軽度(2–3)/中等度(4–5)/重度(6以上)に分けます。

主な視点

  • コントロール障害
  • 社会・対人関係の問題
  • 危険な状況での使用
  • 渇望(craving)
  • 耐性・離脱

→ 身体面だけでなく、
「生活・関係・行動の破綻」を総合的に見る。

3.現場での理解のポイント

旧モデル(依存症)

「断酒できなければ治らない」クライエントとの対話 → 意味と文脈で選ぶ

AUDモデル

「回復には段階があり、減酒・ハームリダクションも選択肢」診断・記録・専門家間 → AUDを主語

この違いが支援姿勢に大きく影響します。

目安

場面推奨
初回面接AUD
早期~中等度AUD
明確な身体依存AUD+「重度=従来の依存症像」
医療連携文書AUD(重症度併記)
自助グループ文脈依存症という言葉も尊重
4.例で比較

例A:毎晩3~4杯、仕事は維持

  • 依存症:診断されにくい
  • AUD:軽度~中等度に該当

例B:離脱・手の震え

  • 依存症:典型
  • AUD:重度

→ AUDの方が早期発見・予防的介入が可能。

① スティグマの違い

  • 依存症 → 烙印・自己否定を強めやすい
  • AUD → 状態像・回復可能性を開く

② 介入の幅

  • 依存症モデル:断酒中心
  • AUDモデル:減酒・段階的介入が可能

③ 早期介入

「まだ依存症ではない」人も救える。

5.臨床でよく使う説明(比喩)

依存症=「最終段階の名称」
AUD=「グラデーション全体の地図」

でも“依存症”を捨てる必要はない

次の3条件では併用が自然

1.身体依存が明確

  • 離脱
  • 早朝飲酒
  • 震え
    →「医学的にはAUDの重度、従来でいう依存症に近い状態」

2.本人がその言葉で理解している

3.自助グループ文化

AUD(アルコール使用障害:Alcohol Use Disorder)概要

1.定義(現在の国際標準)

AUDとは、「アルコール摂取のコントロールが困難になり、身体・心理・社会生活に持続的な障害を生じている状態」を指します。

  • DSM-5 / ICD-11 で採用
  • アルコール「依存」「乱用」を一本化
  • 連続体モデル(スペクトラム)

2.診断の核となる3領域

コントロール障害社会機能の障害身体・神経学的変化
予定より多く・長く飲む
減らそうとして失敗
強い渇望(craving)
仕事・家庭・人間関係の悪化
重要な役割の放棄
飲酒中心の生活
耐性の形成
離脱症状
危険な状況での飲酒
2–3:軽度/4–5:中等度/6以上:重度

3.発症メカニズム(統合モデル)

神経生物学心理要因社会要因
・ドーパミン報酬系の変容
・前頭前野の抑制機能低下
・扁桃体の過敏化
・ストレス系(HPA軸)の暴走
・不安・抑うつの自己治療
・トラウマ回避
・アレキシサイミア
・不適応スキーマ
・家族歴
・職場文化
・孤立
・経済的ストレス

4.典型的な臨床像

初期進行期重度
・飲酒量増加
・記憶の抜け
・二日酔い常態化
・罪悪感と反復
・コントロール喪失
・仕事ミス
・家族摩擦
・隠れ飲み
・離脱
・身体合併症
・社会的破綻

5.合併しやすい状態

  • うつ病・不安障害
  • PTSD / C-PTSD
  • 発達特性
  • パーソナリティ障害
  • 睡眠障害

→ 双方向性が非常に強い

6.治療の柱(現代的アプローチ)

 医学的心理療法社会的
・離脱管理
・抗渇望薬
・睡眠・不安治療
・CBT
・動機づけ面接
・トラウマ焦点
・スキーマ療法
・自助グループ
・家族支援
・生活再建

7.重要な臨床視点

  • 断酒一択ではない
  • ハームリダクション
  • 再発=失敗ではない
  • 「恥モデル」から「回復モデル」へ

8.危険サイン(要医療)

  • 手指振戦
  • 発汗・不眠
  • けいれん既往
  • せん妄

9.カウンセラー視点の要点

  1. 動機は揺れる
  2. 物質+心+関係の三層
  3. 家族は第二の患者
  4. トラウマの裏面

AUDセルフチェックリスト(40問)

独自設計の《AUDセルフチェック40問+解釈ガイド》 です。DSM-5の11基準・動機づけ面接・ハームリダクションの視点を統合しています。

次の質問に、0=まったくない 1=ときどき 2=しばしば 3=ほぼいつも の番号でお答えください。

質問回答
A.コントロール領域(1–12)
1.飲み始めると予定より多くなる
2.「今日は少しだけ」が守れない
3.飲酒量を減らす試みが続かない
4.飲む時間を中心に予定を組む
5.飲酒への強い欲求が急に出る
6.ストレスがあると飲まずにいられない
7.飲酒を隠したことがある
8.翌朝後悔しても繰り返す
9.飲まない日が不安
10.飲酒の言い訳を考える
11.在庫がないと落ち着かない
12.「もう一杯」が止まらない
B.生活機能(13–22)
13.仕事の能率が下がった
14.遅刻・欠勤が増えた
15.家族から注意された
16.人間関係が悪化
17.趣味が減った
18.金銭トラブル
19.約束を破った
20.飲酒中心の休日
21.記憶の抜け
22.健康診断の悪化
C.危険・身体(23–32)
23.二日酔い常態化
24.手の震え
25.発汗・不眠
26.吐き気
27.朝酒
28.運転前後の飲酒
29.けが・事故
30.薬と併用
31.耐性増加
32.離脱様症状
D.心理背景(33–40)
33.不安を鎮めるため
34.孤独感対処
35.怒りの回避
36.眠るため
37.過去のつらさ忘却
38.感情が分からない
39.自己否定感
40.飲まない自分が想像できない

採点と解釈

1.総合重症度

合計目安
0–19リスク低~要注意
20–39軽度AUD疑い
40–69中等度AUD
70以上重度AUD・医療優先

2.領域別読み取り

Aが高い=コントロール障害型渇望主導
行動契約・刺激統制が有効
Bが高い=生活破綻型家族介入
社会資源
Dが高い=自己治療型トラウマ・不安治療併走

3.危険サイン(1つでも該当→医療)

  • 24,25,27,31,32
  • 事故歴(29)
  • 朝酒(27)

AUDの回復が一人でできる減酒プログラム完全版

動機づけ面接・CBT・ハームリダクション・トラウマ配慮を統合した《減酒プログラム6回》です。

STEP
現在地の可視化

①臨床的ねらい → ②構造 → ③逐語進行例 → ④評価ポイント → ⑤注意点の順で、そのまま実施できるレベルまで落とし込みます。

STEP
この回の位置づけ(極めて重要)

この第1回は、「減酒できるかどうか」を決める回ではありません。

目的はただ一つ:「責められずに、自分の飲酒を“外から眺められる状態”をつくる」

ここが成立しないと、
・否認
・反発
・形だけの同意
が必ず起こります。

STEP
臨床的ねらい(セラピスト側の意識)

表の目標

  • 飲酒の全体像を地図化する
  • 危険度を冷静に共有する

裏の目標(重要)

  • 恥・罪悪感を治療同盟に変換
  • 「やめさせられる場」→「作戦会議」
STEP
セッション全体構造
フェーズ時間目的
導入10分安全・同盟形成
可視化①25分飲酒構造の把握
可視化②20分心身・関係への影響
意味づけ20分自己治療理解
クロージング15分宿題・安心
STEP
逐語進行ガイド(詳細)

① 導入|安全化(最重要)

必ず最初に伝える一文

「今日は“やめるかどうか”を決める回ではありません。まずは、今どこにいるのかを一緒に地図にする回です。」

セラピストの立ち位置

  • 教えない
  • 評価しない
  • 正解を出さない

NG

  • 「それは多いですね」
  • 「普通は…」

② 可視化①|飲酒行動マップ(25分)

A.量・頻度・時間

質問例(淡々と)

  • 「1週間を振り返ると、飲む日は何日くらいですか」
  • 「1回あたり、何杯くらいになりますか」
  • 「飲み始める時間帯は?」

驚かない顔が最重要

B.飲酒の“型”を言語化

以下を図で書き出します(ホワイトボード推奨)

[時間帯]→[きっかけ]→[飲酒]→[その後]

質問例:

  • 「飲み始める直前、何が起きていますか」
  • 「飲んだ直後、何が変わりますか」
  • 「翌日、どんな影響がありますか」

③ 可視化②|身体・生活・関係(20分)

身体

  • 睡眠
  • 二日酔い
  • 震え・発汗
  • 体調不良

確認フレーズ

「安全のために確認させてください」→ 医療評価の“予告線”を引く

生活

  • 仕事への影響
  • ミス・集中力
  • 金銭

関係

  • 家族の反応
  • 隠す/嘘
  • 口論

重要
ここで 責任追及をしない→ あくまで「影響の観察」

④ 意味づけ|自己治療としての飲酒(20分)

ここが 減酒の分岐点 です。

核となる一言

「これを見て、飲酒は“問題行動”というより“役割を担っている行動”にも見えますね」

掘り下げ質問

  • 「飲んでいる間、何から離れられていますか」
  • 「飲まないと、どんな感じになりますか」
  • 「一番楽になる瞬間は?」

飲酒の機能を言語化(不安緩和/孤独回避/感情遮断 など)

⑤ クロージング|安心と次につなぐ(15分)

宿題の出し方(重要)

✕「記録してください」
〇「次回、地図をもう少し詳しくするために“観察”をお願いしたいです」

宿題内容

  • 1週間飲酒日誌(量・時間・気分)
  • 「飲みたくなった瞬間」だけメモ
STEP
この回で評価するポイント(診断ではない)

観察指標

  • 否認の強さ
  • 恥の出方
  • 語れるか/語れないか
  • 感情言語の有無

セラピスト内メモ

  • 身体依存疑い
  • 医療連携必要度
  • 家族巻き込みタイミング
STEP
この回で絶対に避けること

1.断酒・減酒を迫る
2.AUDラベル貼り
3.「それは危険」連発
4.家族の言葉を盾にする

信頼が壊れます

STEP
この回がうまくいったサイン
  • クライエントが
  • 「そう考えたことなかった」と言う
  • 宿題を「やってみます」と言う
  • 飲酒を“話題にできた”だけで安堵が見える
STEP
第2回|トリガー分析

減酒プログラムの中核である「飲酒の自動回路」を分解し、次回以降の介入(減酒設計・感情ケア・関係介入)の土台を作る回です。

STEP
この回の目的(1文で)

「飲酒は意志ではなく“パターン”なので、パターンを見える形にして、介入点を作る。」

到達目標

  1. トリガーを「内的/外的」に分類できる
  2. 自分の“飲酒チェーン”を1本以上書ける
  3. 介入ポイント(止める場所)を2つ以上見つける
  4. 次回までの「実験課題」を設定できる
STEP
セッション構造(時間配分)
フェーズ時間目的
導入・前回の宿題確認10分観察の定着/責めない
トリガーの地図化20分内外トリガー整理
チェーン分析(ABC+連鎖)30分自動回路の可視化
介入スキル導入(即効)20分“20分の波”に対応
次回までの実験設計10分具体的行動に落とす
STEP
逐語進行ガイド

1) 導入・宿題確認(10分)

立ち上げの言葉

「記録が完璧でなくて大丈夫です。今日は“データ集め”ではなく、飲酒が起きる“仕組み”を見つける回です。」

宿題の確認ポイント(3点のみ)

  • 飲酒が多かった日(最大2日)
  • 飲まなかった/減らせた日(1日)
  • 飲みたくなったが踏みとどまれた瞬間(あれば)

狙い:成功要因も必ず拾う(自己効力感)。

2) トリガーの地図化

ホワイトボードか紙に、まず2分類を作ります。

A.外的トリガー(状況)

  • 場所:家・居酒屋・コンビニ
  • 時間:帰宅直後/寝る前/休日の昼
  • 人:特定の相手/一人の時
  • 物:酒の在庫/SNS/テレビ
  • 行動:風呂の前後/食後/喫煙

質問例:

  • 「飲み始める“場所”はだいたい決まっていますか」
  • 「時間帯は?」
  • 「何が目に入った瞬間が多いですか」

B.内的トリガー(状態)

  • 身体:疲労、空腹、痛み、だるさ
  • 感情:不安、孤独、怒り、虚しさ
  • 認知:『今日くらいは』、『自分はダメだ』
  • 生理:睡眠不足、緊張、ソワソワ

質問例:

  • 「飲みたくなる直前の体の状態は?」
  • 「気分を一言で言うなら?」
  • 「その時、頭に浮かぶ決まり文句はありますか」

臨床ポイント
ここで「感情語」が出ない場合は、身体感覚語(重い、張る、落ち着かない)で拾い、後に感情ラベリングへつなぎます。

3) チェーン分析(ABC+連鎖)

この回の中心です。“一番典型的な1回”を扱います。

3-1.ABC(短く)

  • A:きっかけ(出来事・状況)
  • B:考え(意味づけ、セルフトーク)
  • C:結果(感情・行動)

3-2.連鎖(Chain)に拡張

以下のテンプレに沿って、時系列で埋めます。

飲酒チェーン(例の枠)

  1. 直前の状況(どこで/何をしていた)
  2. 身体(疲労、緊張、空腹など)
  3. 感情(不安、虚しさ、怒り等)
  4. 頭の言葉(許可の言葉・諦めの言葉)
  5. 最初の一口(どこで入手、何を選ぶ)
  6. 2杯目への移行点(何が起きると加速するか)
  7. その後(食事、SNS、連絡、就寝)
  8. 翌日(後悔、体調、家族反応、仕事)

進行の逐語(例)

「“飲酒”だけを止めようとすると難しいです。
飲酒はチェーンの一部なので、チェーンのどこか1つを変えれば結果が変わります。
まず、典型的な1日を一緒に再生してみましょう。」

コツ

  • 「2杯目に入る瞬間」を必ず特定する
  • 「買うまで」と「買った後」で分ける(介入点が増える)

4) 介入ポイントの特定(Stop Points)

チェーン上に「止めやすい場所」をマークします。
一般に止めやすい順は以下です。

  1. 購入・注文前(最強)
  2. 帰宅直後(ルーティン置換)
  3. 1杯目の前(遅延・代替)
  4. 2杯目の前(切替儀式)
  5. 飲んだ後(ダメージコントロール)

質問例:

  • 「一番現実的に変えられそうなのはどこですか」
  • 「負担が最も小さいのはどこですか」

5) 即効スキル

減酒は“意思”より“波の処理”です。第2回で波対応を必ず1つ持ち帰らせます。

スキルA:衝動波(Urge Surfing)20分モデル

  • 衝動は平均20分でピークアウト
  • 「波が来た→乗る→引く」の観察

逐語:

「衝動は命令ではなく現象です。20分だけ“持ちこたえる実験”をしてみましょう。」

スキルB:5分遅延+代替行動(Delay & Replace)

  • まず5分先延ばし
  • その間に代替行動を固定(シャワー、散歩、温飲、歯磨き等)

スキルC:HALTチェック

  • Hungry / Angry / Lonely / Tired
    該当があれば、先に身体・情緒を満たす。

スキルD:刺激統制(環境)

  • 家に在庫を置かない
  • 帰宅導線から酒売場を外す
  • 代替飲料を定位置に

6) 次回までの「実験設計」(10分)

宿題は“禁止”ではなく“実験”です。
成功しやすい小ささで1つに絞ります。

実験の例(どれか1つ)

  • 「購入前に5分遅延を1回だけやる」
  • 「帰宅後すぐ風呂→飲酒の順を入れ替える」
  • 「1杯目をノンアルに置換してから判断」
  • 「2杯目の前に水と軽食を必ず入れる」
  • 「飲酒予定日を先に“計画”する(衝動飲み→計画飲みへ)」

記録は最低限:

  • 実験した/しない
  • 衝動の強さ0–10
  • 結果(量・気分・睡眠)
STEP
セラピストの評価ポイント(臨床メモ)

1) どのタイプの飲酒か

  • 報酬型(楽しみ・習慣)
  • 不安緩和型(自己治療)
  • 感情遮断型(麻痺)
  • 怒り解放型(脱抑制)
  • 社交型(同調圧)
  • 離脱回避型(身体依存)

2) 医療連携の再チェック

  • 朝酒、震え、発汗、不眠、けいれん歴
  • 中止で強い身体症状が出そうなら医療優先
STEP
よくある難所と対応

「トリガーが分からない」

→ 感情ではなく身体感覚から入る

「飲みたくなる時、体はどんな感じですか」

「全部ストレス」

→ ストレスを分解(疲労/孤独/怒り/空虚)
→ それぞれに別スキルを当てる

「減らせる気がしない」

→ 量ではなくタイミングの介入

「まず“1杯目までの距離”を伸ばしましょう」

STEP
第2回が成功したサイン
  • チェーンが1本書けた
  • 「2杯目スイッチ」が言語化された
  • 介入点が2つ見つかった
  • 小さな実験が決まった
STEP
減酒設計

「分析→行動化」へ転換する実践の要です。ここで無理な目標を立てると離脱・失敗感が強まり、逆に“恥の再強化”が起こります。以下、安全・現実的・継続可能を軸に詳細化します。

STEP
この回の核心

「理想の飲み方」ではなく今の生活で実行できる飲み方の設計図” を作る。

3つの原則

  1. 小ささ(Small)
  2. 具体(Specific)
  3. 選択(Choice)
STEP
セッション構造
フェーズ時間内容
導入10分実験の振り返り
目標設定25分量・日数・場面
技術導入25分ペース管理
環境設計20分刺激統制
合意形成10分契約化
STEP
逐語進行

1) 導入

「前回の実験は“成功か失敗か”ではなく、あなたの回路を教えてくれるデータです」

確認3点

  • できたこと
  • 難しかった場面
  • 予想外

T
「今日は“やめるかどうかを決める日”ではなく、
《今の生活で一番現実的な飲み方の設計》をする日です。
無理な理想ではなく、続けられる作戦を一緒に作りましょう。」

T
「まず前回の実験を、成功・失敗ではなく“発見”として見ますね。」

質問

  1. やってみて一番楽だったこと
  2. 難しかった瞬間
  3. 予想外だったこと

受容コメント例

  • 「それは大事なデータですね」
  • 「意思ではなく仕組みの問題だと分かります」

今日のゴール提示

T
「今日のゴールは3つです。

1.安全な“上限”を決める
2.飲み方のルールを3つ決める
3.失敗しても戻れる計画を作る」

2) 目標設定

現在地の確認

T
「いまの平均を一度そのまま書きますね。」

  • 週の飲酒日:
  • 1日平均:
  • 最大:
  • 時間帯:

T
「ここから“7割できそう”な小さな変化を探します。」

A.3層目標モデル

  1. 安全目標
  • 離脱リスク回避
  • 事故防止

T
「最初は“安全の線”を引きます。健康と事故を守る線です。」

提案フレーズ

  • 「空腹飲みはしない」
  • 「運転前後はゼロ」
  • 「薬との併用は医師相談」
  • 「体調不良日はノンアル」

確認

「これは守れそうですか?」

  1. 量的目標
  • 週○日
  • 1日○杯
  • 上限○杯

T
「いきなり半分ではなく、《今より20%だけ安全側》にします。」

一緒に計算

  • 現状:
  • 新上限:
  • 休肝日:週○日

T
「これは“契約”ではなく“実験値”です。」

  1. 質的目標
  • 衝動飲み→計画飲み
  • 空腹飲みゼロ
  • 2杯目前に必ず水

B.SMART化

質問例

  • 「今の生活で“7割できそう”は?」
  • 「最も楽な変更は?」

推奨の初期設定(例)

  • 休肝日:週2
  • 1日上限:現状−20%
  • 2杯目前に水+軽食
  • ノンアル先行

3) 技術

ペース飲み

  • 1杯60–90分
  • 小グラス
  • 水1:酒1
  • 食事先行

T
「アルコールは“速さ”で酔いが決まります。」

  • 1杯60–90分
  • チェイサー
  • 濃度を下げる

ミニ練習

「2杯目の前に何をしますか?」

T
「量より大事なのは“飲み方の質”です。」

一緒に3つ選ぶ

1.ノンアル先行
2.2杯目前に水
3.90分ルール
4.小グラス
5.食事先
6.遅延5分

T
「どれが一番やりやすいですか?」

切替儀式

  • 2杯目チェック
  • 10分遅延
  • 体温上げ

T
「あなたのチェーンで一番の分岐はここでしたね。」

  • 帰宅直後
  • 1杯目後
  • コンビニ前

介入案を一緒に作成

代替報酬

  • 甘味
  • 炭酸
  • 風呂
  • 会話

T
「飲酒が担っていた役割を、別の方法で」

  • 緊張→風呂
  • 孤独→通話
  • 眠り→温飲
  • 退屈→動画+炭酸

4) 環境設計

  • 在庫ゼロ
  • 導線変更
  • 買い物時間
  • 家族共有

T
「意思より環境が8割です。」

刺激統制

  • 在庫を置かない
  • 買う場所を限定
  • ノンアル常備

T
「家族は監視役ではなく“協力者”」

伝え方の例文を一緒に作る「責めないで、合図だけください」

失敗計画(10分)

T
「うまくいかない日は必ず来ます。その日の“戻り方”を先に決めます。」

  • 量が超えたら水2杯
  • 翌日はノンアル
  • 自己批判しない

5) 合意(10分)

「これは治療契約ではなく“実験契約”です」

本日のプラン読み上げ

T
「今日の設計を声にしますね。」

1.上限:
2.休肝日:
3.ルール3つ:
4.緊急対応:

「これでいけそうですか?」

STEP
テンプレ
曜日目標ルール
代替
1杯水先
2杯90分
2杯
2杯
1杯
STEP
危険対応
  • 朝酒
  • 震え
  • 不眠
    → 医療連携
STEP
失敗の再定義

「再発ではなくデータ」

T
「うまくいかない日は必ず来ます。
その日の“戻り方”を先に決めます。」

  • 量が超えたら水2杯
  • 翌日はノンアル
  • 自己批判しない
STEP
宿題
  • プラン実行
  • 衝動0–10
  • 睡眠

本日のプラン読み上げ

T
「今日の設計を声にしますね。」

1.上限:
2.休肝日:
3.ルール3つ:
4.緊急対応: 「これでいけそうですか?

STEP
クロージング

T
「これは“あなたを縛る計画”ではなく“あなたを守る設計図”です。」

T
「次回は、飲酒の奥にある感情を安全に扱います。」

STEP
感情ケア

これまでの「行動レベルの減酒」から一歩踏み込み、飲酒の“燃料”になっている感情・身体状態を安全に扱う回です。ここを飛ばすと、どんなに良い減酒設計も再発しやすくなります。

STEP
この回の核心

飲酒は「感情を静める即効薬」「感覚を鈍らせるスイッチ」になっていることが多いため、その役割をより安全な方法に置き換えるのが第4回。

到達目標

  1. 自分の“飲酒を呼ぶ感情”を3つ言語化
  2. 身体感覚→感情→行動の順を理解
  3. 代替スキルを2つ獲得
  4. 恥・自己批判を下げる
STEP
理論的土台
  • AUDの多くは自己治療型飲酒
  • 不安・孤独・怒り・空虚の“麻酔”
  • アレキシサイミア併存が高率
  • トラウマ反応の回避行動

→ だから「飲むな」ではなく「別の鎮め方」

STEP
セッション構造
フェーズ時間内容
導入10分減酒振り返り
感情地図20分ラベリング
身体ワーク20分体感覚
代替スキル25分実装
統合15分生活化
STEP
逐語進行

1.導入

T
「ここまでで“飲み方”はかなり整いました。
今日は、飲酒の下にある《感情の層》を扱います。飲みたくなる自分を責める回ではありません。」

質問

  • 減酒で楽になった点
  • 逆に出てきたつらさ

T
「今日は“飲み方の話”から一歩進んで、《飲酒の下にある感情》を扱います。
目的は、つらさを責めることではなく、飲酒の代わりになる“安全な方法”を増やすことです。」

T
「まず、前回のプランをやってみてどうでしたか。」

質問

  1. うまくいった場面
  2. つらかった瞬間
  3. 飲みたくなった強さ(0–10)

応答例

  • 「それは大事な発見ですね」
  • 「意思の問題ではなく仕組みの反応ですね」

2.感情の地図化

2-1 身体から入る

T
「いきなり感情名が出なくて大丈夫。まず体から教えてください。」

  • 胸の重さ
  • ざわつき
  • だるさ
  • のどの詰まり

2-2 感情ラベリング

候補カード方式

  • 不安
  • 孤独
  • 怒り
  • 罪悪感
  • 空虚
  • さみしさ

T
「この中で一番近いのは?」

3.身体ワーク(20分)

3-1 3分グラウンディング

  1. 足裏
  2. 呼吸
  3. 視覚3つ

T
「安全な範囲で、1分だけ体験します。」

グラウンディング

1.足裏を感じる
2.呼吸を3回
3.見える物を3つ

T
「いまの強さは0–10で?」

→ 変化を言語化

T
「いきなり感情名を出すのは難しいので、
まず“体の感じ”から教えてください。」

身体質問

  • 胸のあたりは?
  • お腹は?
  • 肩・首は?
  • 体温は?

T
「その感じに一番近い言葉はどれでしょう。」

(感情カードを並べる)

  • 不安
  • 孤独
  • 怒り
  • さみしさ
  • 罪悪感
  • 空虚
  • いら立ち

T
「今日は“正解探し”ではなく“近い言葉探し”です。」

3-2 感情の波モデル

T
「感情は命令ではなく“波”」

  • 0–10スケール
  • 20分減衰

T
「感情は命令ではなく《波》です。平均20分で形が変わります。」

図を描きながら

1.きっかけ
2.身体の変化
3.感情のピーク
4.行動(飲酒)
5.一時的な静まり

T
「飲酒は“消す”のではなく“ふたをする”役目をしてきました。」

4.代替スキル実装

A.不安型

  • 4-7-8呼吸
  • 温かい飲み物
  • 予期不安メモ

B.孤独型

  • 10分通話
  • メッセージ定型
  • 場所移動・コンビニでなく散歩

C.怒り型

  • 90秒ルール
  • 体を動かす
  • 書き出し

D.空虚型

  • 微報酬リスト・甘味+炭酸
  • 5分行動
  • 感覚刺激

選択

「一番効きそうなのを2つ」

T
「この中で、今日からできそうなものを2つ選びましょう。」

5.恥と自己批判(重要)(15分)

T
「“また飲んだ自分はダメ”が次の飲酒を呼びます。」

コンパッション文

「あなたは弱いのではなく、まだ道具が足りなかっただけ」

6.宿題

  • 感情0–10
  • 身体サイン
  • スキル1つ実行

恥と自己批判の扱い(15分)

T
「多くの人は、飲んだ後に
“またダメだ”という声が出ます。
その声自体が次の飲酒を呼びます。」

置き換え文

「今日は道具が足りなかっただけ」
「体が助けを求めていた」

T
「この言い方、少し試せますか。」

生活への組み込み

T
「次の1週間は、
“飲まない”ではなく
“感情の手当てを1回”が目標です。」

宿題

  • 感情0–10
  • 身体サイン
  • スキル1回
  • 結果メモ

クロージング

T
「今日は、あなたの中にあった“つらさ”を初めて言葉にしました。これは回復の大きな一歩です。」

T
「次回は、人との関係の中で起きるトリガーを扱います。」

STEP
臨床上の注意

1.深掘り禁止ライン

  • 具体トラウマ想起
  • 家族加害の詳細
    → 第4回では安定優先

2.医療連携

  • うつ重度
  • 希死念慮
  • 不眠悪化
STEP
成功サイン
  • 感情名が増える
  • 「飲みたい=不安だ」
  • 代替を1回実行
STEP
関係の修復

これまでの第1~4回(可視化→トリガー→減酒設計→感情ケア)を踏まえて、人間関係の再構築と境界づくりに焦点を当てた構成です。

0.事前準備

  • これまでの飲酒チェーン図
  • 感情メモ
  • 家族・対人トリガー一覧
  • コミュニケーション練習カード
  • 必要なら同席者ガイド
STEP
導入

T
「ここまでで、飲み方・感情・体の扱い方がかなり整ってきました。
今日は《人との関係》を扱います。
多くの方にとって、飲酒が一番強くなるのは“対人の場面”だからです。」

T
「目的は三つです。
1.飲酒を悪化させる関係パターンを知る
2.守る境界線をつくる
3.安心を増やすつながりを育てる」

質問(振り返り)

  • 最近、対人場面で飲みたくなった瞬間は?
  • 逆に“飲まなくて済んだ関係”は?
STEP
関係トリガーの地図

T
「まず“人との関係の地図”を描きます。」

2-1 3つのゾーン

1.赤ゾーン(危険)

  • 強く勧める人
  • 批判的な人
  • 感情が荒れる場

2.黄ゾーン(注意)

  • 断りにくい相手
  • 習慣化した飲み仲間

3.緑ゾーン(支え)

  • 話せる人
  • 安心できる場

T
「名前ではなく“役割”で書きましょう。」

STEP
境界線づくり

T
「回復では“良い人になること”より“安全な人になること”が大切です。」

3-1 境界の3種類

  • 量の境界(今日は1杯まで)
  • 場の境界(1次会だけ)
  • 心の境界(批判は受け取らない)

3-2 断りの型(練習)

T:モデル文

1.シンプル型

「今日はここまでにします」

2.理由最小型

「体調で控えています」

3.提案型

「お茶ならご一緒します」

ロールプレイ

Tが誘う役 → Cが断る
→ 2往復のみ、短く。

「断れない」

T
「性格ではなく“スキル不足”として練習します」

STEP
家族・近い関係の修復

T
「家族は監視役ではなく“チーム”にします。」

4-1 伝え方テンプレ

「いま減酒に取り組んでいます。責める言葉より、合図だけもらえると助かります。
もし飲みすぎた日も、翌日また戻ります。」

4-2 聞く側のお願い

  • 評価しない
  • 量を数えない
  • 努力を一言認める

T
「この言葉、使えそうですか?」

STEP
孤立の手当て

T
「飲酒が埋めていたのは、
多くの場合“孤立”です。」

5-1 つながりの最小単位

  • 週1の短い会話
  • 店員との一言
  • オンライン1枠

5-2 支援リスト作成

  • 話せる人
  • 行ける場所
  • 相談先
STEP
関係チェーンの書き換え

T
「対人チェーンを1本だけ書き直します。」


誘われる → 断れない → 飲酒

誘われる → 短い断り → お茶 → 早帰宅

STEP
宿題設定

T
「次の1週間の“小さな挑戦”です。」

どれか1つ

  • 断り文を1回使う
  • 1次会まで
  • 緑ゾーンの人に連絡
  • 家族へ一言共有
STEP
クロージング

T
「飲酒の回復は“関係の再学習”です。
あなたは一人で戦う段階を超えました。」

T
「次回は、万が一の再発に備える
《戻り方の設計》をします。」

STEP
再発予防

これまでの流れ(可視化→トリガー→減酒設計→感情ケア→関係修復)を統合し、「戻り方の設計」を中心に据えた最終回です。

第6回|再発予防《完全逐語台本》

0.事前準備

  • 6回のまとめシート
  • チェーン分析図
  • 感情スキル一覧
  • 連絡先リスト
  • 医療連携基準表
STEP
導入

T
「今日は“ゴールの日”ではなく《転んでも戻れる仕組み》を作る日です。
回復では、再発は失敗ではなく“データ”です。」

T
「まず、この6回で起きた変化を一緒に見ます。」

振り返り質問

  • 一番役立ったこと
  • 難しかった場面
  • 変わった感覚
STEP
再発の地図

T
「再発には“前触れ”があります。」

3段階モデル

1.静かなサイン

  • 睡眠悪化
  • イライラ
  • 予定崩れ

2.黄色サイン

  • 先延ばし
  • 言い訳
  • 孤立

3.赤サイン

  • 衝動強
  • 在庫購入
  • 朝酒

T
「あなたの個人サインを書きましょう。」

STEP
戻り方プラン

T
「大切なのは“飲まない誓い”より“飲んだ後の戻り方”です。」

3-1 当日プラン

  • 水2杯
  • 食事
  • それ以上買わない
  • メッセ1通

3-2 翌日プラン

  • ノンアル
  • 睡眠優先
  • 自己批判しない

3-3 72時間プラン

  • 誰かに共有
  • スキル再開
  • 医療相談基準
STEP
高リスク場面の台本

T
「一番起きやすい場面を1つだけ」

例:

  • 飲み会
  • 連休
  • 家族衝突

対処カード作成

1.事前
2.その場
3.後処理

STEP
支援ネット

T
「回復はチームスポーツ」

  • 相談先
  • 家族合図
  • 自助
  • 医療
STEP
価値との接続

T
「なぜ減酒したいのか」

  • 健康
  • 家族
  • 仕事
  • 自由

「飲まない自分=大切な方向へ」

STEP
卒業設計

T
「これからは“自己セッション”です」

  • 月1チェック
  • 目標見直し
  • 受診基準
STEP
クロージング

T
「あなたは6回で“飲酒に支配されない技術”を手にしました。転んでも、もう戻り道があります。」

T
「必要な時はいつでも再スタートできます。」

6つのステップで戻れる地図

AUD回復が一人でできる減酒プログラム完全版の6回の内容を“セッション記憶”のままにせず、クライエントが自宅で繰り返し参照できる冊子に落とし込むことは、再発予防に大きな意味があります。

このノートは、あなたを縛るためではなく、守るための地図です。減酒の道では、うまくいく日も、戻ってしまう日もあります。
ただし、どちらも大切なデータです。再発は失敗ではなく、学習です。

はじめに

  • 断酒強制ではない
  • 再発はデータ
  • あなたは弱くない
STEP
現在地の地図

1.わたしの飲酒マップ

  • いつ飲む?
  • どこで?
  • 何杯?
  • その後どうなる?

2.影響の輪

身体/仕事/家族/気持ち

危険サイン(あれば医療へ)

  • 手の震え
  • 朝酒
  • 強い不眠
  • けいれん

ワーク

  • 1週間記録表
STEP
トリガーのしくみ

内側

不安・孤独・怒り・空虚・疲労

外側

場所・人・時間・在庫

わたしのチェーン

きっかけ → 体 → 気持ち → 考え → 飲酒 → その後

止めやすい場所に〇を

ワーク

  • わたしのチェーン
STEP
減酒設計

わたしの目標

  • 休肝日:
  • 上限:
  • ルール3つ:

1.
2.
3.

コツ

  • ノンアル先行
  • 水1:酒1
  • 90分ルール

ワーク

  • 週間プラン
STEP
感情ケア

感情は波

0──5──10
ピークは過ぎる

代替スキル

  • 呼吸
  • 温飲
  • 散歩
  • 通話

やさしい言葉

「今日は道具が足りなかっただけ」

ワーク

  • 感情0–10
STEP
関係の修復

ゾーン

赤/黄/緑

断り文

「今日はここまでにします」

家族へ

「責めずに合図をください」

STEP
再発予防

前触れ

  • 睡眠
  • イライラ
  • 孤立

戻り方

当日:水2杯・買わない
翌日:ノンアル・休む
72時間:共有

わたしの価値

  •  
  •  
  •  
STEP
おわりに

あなたはもう、“飲酒に支配されない方法”を知っています。
必要な時は、このノートに戻ってください。

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