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カップル・夫婦カウンセリングのセックスセラピー

目次

カップル・夫婦カウンセリングの中の性的な悩みや心理的困難を理解・尊重するセックスセラピー

カップルや夫婦へのセックスセラピー(sex therapy) は、心理的・医学的要因が絡む性的な悩みや困難を、安全で尊重的な枠組みで扱う専門的な心理療法の一領域です。

現実には、夫婦関係・パートナーシップにとって「性」は避けて通れない領域です。性的な悩みに触れられないとクライエントは「自分たちの本当の悩みを理解してもらえなかった」と感じ、逆に心の距離が広がってしまうこともあります。

大切なのは、セラピストが“性”を特別視せず、関係の一部として自然に扱えるかどうかです。

セックスセラピーの定義や概要とは、セラピストが性を「パートナーシップ」「自己理解」「身体と心の健康」の一部として扱い、性的な機能・欲求・行動・親密性に関する悩みを、心理的アプローチを通して改善・調整することを目的としたカウンセリングや心理療法のことを指します。多くの場合、安全・合意・尊重を基本ルールとして進めています。

セラピストにとって重要なのは、性を特別なことではなく、夫婦関係や自己理解の一部として扱う姿勢となります。そして、性そのものを義務や葛藤から解放し、安心・楽しみ・親密性として再構築することであり、「できる行為になること」よりも、「安全で満足できる性の体験を築くこと」が大切となります。

対象となる悩み
  • 性欲の不一致(性欲が強い/弱い)
  • 性行為への恐怖・嫌悪感
  • 勃起障害・早漏・遅漏などの性的機能不全
  • 性交痛や膣の痙攣(医学的要因を除外しつつ心理的支援)
  • 不倫や浮気による性的な不信感
  • セックスレス(長期に性交がない関係)
  • スキンシップや親密性の不足
アプローチ方法
  • 心理教育:性に関する正しい知識の提供(多くの人は教育不足)
  • 行動課題:段階的スキンシップ練習(いきなり性交ではなく、手をつなぐ→ハグ→キス…と段階的に)
  • コミュニケーション改善:欲求や拒否を安心して伝える「Iメッセージ」練習
  • カップルワーク:合意ルールづくり、期待と不安のチェック、価値観のすり合わせ
  • 必要に応じて、医学的治療(泌尿器科・婦人科)と併用することもある

このページを含め、心理的な知識の情報発信と疑問をテーマに作成しています。メンタルルームでは、「生きづらさ」のカウンセリングや話し相手、愚痴聴きなどから精神疾患までメンタルの悩みや心理のご相談を対面にて3時間無料で行っています。

セックスレスへのセラピーの流れ

実際、カップルカウンセリングの現場では「セックスレス」が頻出するテーマで、しかもクライエントにとっては言葉にしにくい領域です。
セラピーでは「なぜレスになっているか」を責めるのではなく、背景を整理し、小さな再接近のステップを作るのが基本になります。

セックスレスのセラピー

  • 「なぜできないか」よりも「どうすれば安心して近づけるか」を整理すること。
  • 性行為そのものよりも、安全・尊重・段階的なスキンシップを優先すること。
  • 失敗や拒否も「練習の一部」として扱うこと。
STEP
背景の理解(原因を整理)

セックスレスは「性欲の問題」だけでなく、複数の要因が重なっています。最初は「原因探し」ではなく「全体像の地図化」を一緒に行います。

  • 心理的要因:不安・怒り・恥・過去のトラウマ
  • 関係要因:夫婦間の溝、対立、信頼低下
  • 身体的要因:更年期、ホルモン変化、持病、疲労
  • 生活要因:仕事・家事・介護・子育てによる時間や余裕の欠如
STEP
安全と尊重の枠組みを作る
  • 強要や義務感を排除するルールづくり(合意・尊重・中止の権利=セーフワード)
  • 性に入る前の日常スキンシップを再導入(手をつなぐ・一緒にお茶を飲む・軽い会話など)
  • 拒否の意味づけを整理:「あなたを嫌いだから」ではなく「その時の状態だから」
STEP
感情の外在化と翻訳
  • 相手の拒否=自分の否定ではない、と翻訳して伝える。
  • 「したくない」=「安心できていない」「疲れている」など、背景を言葉にする練習。
STEP
段階的スキンシップの再導入(行動課題)

セックスセラピーの定番で、段階的アプローチをとります。これは、途中で止めてもよい、失敗してもよいとルール化して安心を確保します。

  • ステップ1:非性的スキンシップ(手を握る・ハグ)
  • ステップ2:感覚フォーカス(体を触れ合うが性交しない)
  • ステップ3:性的スキンシップ(キス・愛撫などを互いに確認)
  • ステップ4:性交渉(合意があれば再開)
STEP
性に関する価値観・期待の調整
  • 「性は愛情の証」なのか、「健康の一部」なのか、「不要でも関係は成り立つ」なのか。
  • 価値観マップやチェックリストを用いて整理し、お互いの理解を広げる。
STEP
 未来設計
  • 「週に1回は10分話す」「月に1回は一緒に外出する」など、生活全体から親密さを再構築。
  • 性を「義務」ではなく「関係を深める選択肢のひとつ」と位置づける。

「性のことは話しづらいテーマですが、実は多くのご夫婦が悩む部分です。ここでは行為そのものではなく、安心と尊重のあり方として整理してみましょう。」「レスという言葉の裏には、本当はどうつながりたいかという願いが隠れています。」

カップルカウンセリングで扱える範囲

セックスセラピーや夫婦の性の問題については、関係修復や相互理解には欠かせないテーマであり、心理カウンセリングの延長線上としてご相談いただけます。

扱える範囲
  • 性にまつわる 心理的側面(羞恥心・拒否感・欲求の差・スキンシップ不安)
  • コミュニケーションの工夫(「断り方」「誘い方」「合意の確認」)
  • 安心感と尊重の枠組み(セーフワード・境界の合意・ペースの調整)
  • 身体的健康や医学的問題に関しては、必要に応じて医療(泌尿器科・婦人科)に橋渡し
扱えない範囲
  • 性的な描写を伴うガイドラインや実演的な内容
  • 倫理的に逸脱する具体的行為の指示:
    これらは守秘義務を持つ専門医や認定セックスセラピストの領域になります。
実際にできること(ワークシートやチェックリスト例)
  • 性に関する期待と不安チェックリスト(10〜20項目)
  • 触れ方・近づき方に関する安心度マップ(色分けで「OK/要相談/NG」)
  • 性生活における価値観マップ(親密性/健康/楽しみ/義務感/回避の動機など)
  • 「安全な性の合意ルール」契約シート(怒鳴らない・強要しない・途中でやめてもいい など)

性に関する期待と不安チェックリスト

性に関する期待と不安チェックリスト【男女別10問】の目的は、性生活に関する相互の期待と不安を整理し、安心して話し合う土台をつくる。

記入方法

  • 各項目について「はい/いいえ/どちらとも言えない」で答えてください。
  • コメント欄に具体的な内容や感情を記入できます。
  • 結果はパートナーと共有し、重なりや違いを確認します。

男性用(10問)

No質問回答コメント
1性生活を通して愛情を実感したい
2性的なスキンシップが少ないと不安になる
3自分から誘うと断られるのではと不安がある
4性欲の強さや頻度に差があると戸惑う
5パートナーの体調や気分をもっと知りたい
6性生活にマンネリを感じている
7パートナーからの拒否を個人否定と感じやすい
8性生活について率直に話し合うのが難しい
9性以外のスキンシップ(手をつなぐ等)も大事だ
10性に関する不安や悩みを共有できる場が欲しい

女性用(10問)

No質問回答コメント
1性生活で大切なのは安心感と尊重だ
2性的な要求を一方的にされると怖さや拒否感がある
3相手の誘いを断ると関係が悪化するのではと不安になる
4性欲や頻度の差にストレスを感じる
5自分の体調や気分を理解してほしい
6性生活に楽しみや新鮮さを求めている
7性について話すのは恥ずかしくて難しい
8性生活よりも日常のスキンシップを重視したい
9相手からの配慮や優しさがないと不安になる
10性の話題を安心して共有できる場が欲しい

安心・尊重ベースの性に関する合意ルールシート

安心・尊重ベースの性に関する合意ルールシートの目的は、性に関する関わりを「安心・尊重・合意」を基盤に整え、お互いが安全に親密さを築けるルールを明文化する。

記入方法

  • 各項目を確認し、2人で「合意する/要調整」をチェックしてください。
  • 必要に応じてコメント欄に具体的な工夫や希望を書き込みます。
  • 最後に署名をして「2人の合意書」とします。

基本ルール

No項目合意する要調整コメント
1性的な関係は常に お互いの合意 に基づく
2暴力・強要・威圧はゼロ である
3途中で「やめたい」と言ったら 即中止する
4セーフワード(合図の言葉)を決めておく
5相手の体調や気分を尊重する
6性の話題を安心できる場でのみ共有する

スキンシップ・親密性に関するルール

No項目合意する要調整コメント
7性行為以外のスキンシップ(手をつなぐ等)も大切にする
8スキンシップや性行為は「誘い方・断り方」を尊重する
9拒否は「関係否定」ではなく「その時の状態」と理解する
10月1回など「話し合いの場」を設けて確認する

自由追加ルール

  • □ ______________________________
  • □ ______________________________

署名欄

  • 夫(署名):_______________________
  • 妻(署名):_______________________
  • セラピスト:_______________________
  • 日付:__年__月__日

性に関する合意ルールシートのステップ

STEP
導入(安心づくり)
  • 「今日は性に関するお話を少し扱います。といっても、テクニックや具体的な行為の話ではなく、安心して向き合えるルールづくりが目的です。」
  • 「性のことは話しにくさがありますが、実は尊重や信頼の部分が大きいんです。ですから、このシートを通して安心の約束を一緒に確認しましょう。」
STEP
実施(合意ルールの確認)
  • 「ここに基本ルールが書いてあります。お二人がこれは大事だと思えるものにチェックを入れてください。必要なら要調整でも構いません。」
  • 「特に大事なのは、途中でやめたいといったら即中止という点です。これは性だけではなく、日常の会話やスキンシップにも共通します。」
  • 「自由欄には、ご夫婦だからこそのルールを追加できます。たとえば体調の悪い日はあらかじめ伝えるとか、スキンシップは必ず日常から始めるなどです。」
STEP
まとめ(合意と署名)
  • 「チェックが入った項目は、お二人の新しいルールになります。
     署名をしていただくのは、約束を守りますという安心のしるしです。」
  • 「この紙はお互いの安心のための契約です。守れたら信頼が深まり、守れなかったらもう一度確認すれば大丈夫。失敗はやり直す機会として扱いましょう。」

「拒否は、あなたが嫌いではなく、その時の状態です。」「誘うことも断ることも、安心してできる関係が良い関係の証です。」「性の話題は夫婦の赤信号ではなく、緑信号に変えられるテーマです。」

性に関する価値観マップ

性に関する価値観マップの目的は、性生活をどのように捉えているかを整理し、価値観の違いや共通点を見える化する。

記入方法

  • 下記の価値観カテゴリについて、それぞれ「大切にしている/あまり重視していない/どちらとも言えない」に○をつけてください。
  • コメント欄に、自分の考えやエピソードを書き込みます。
  • 2人の回答を比較し、共通点と相違点を話し合います。

価値観カテゴリ

Noカテゴリ大切にしているあまり重視していないどちらとも言えないコメント
1愛情・親密性(つながりを感じたい)
2信頼・安心感(尊重・合意を確認したい)
3楽しみ・遊び心(ワクワク・新鮮さを求めたい)
4健康・リラックス(ストレス解消・体調改善)
5自己表現(自分らしさ・魅力を伝えたい)
6パートナーへの貢献(相手を喜ばせたい)
7夫婦の義務・役割(夫婦として当然のこと)
8子孫・生殖(妊娠・家族形成の目的)
9社会的イメージ(世間体・夫婦像を守るため)
10回避・防衛(不安・罪悪感の回避)

ふりかえり

  • 共通して「大切にしている」部分 → 夫婦の強み
  • 共通して「重視していない」部分 → 話題にしなくてもよい領域
  • 意見が分かれる部分 → 話し合いが必要な課題

まとめ欄

  • 共通点:__________________________
  • 相違点:__________________________
  • 次に話し合いたいテーマ:__________________

性に関する価値観マップの導入のステップ

STEP
導入(安心の枠組みづくり)
  • 「今日は性の具体的なことを話すのではなく、性をどんなふうに捉えているかを整理してみます。」
  • 「価値観が違うからといって、どちらが正しいという話ではありません。違いを理解して、歩み寄るきっかけにするのが目的です。」
  • 「答えにくい項目は、どちらとも言えないで大丈夫です。」
STEP
実施(ワークの進め方)
  1. ワークシートを配布し、それぞれ個別に記入してもらう(10分程度)。
    • 例:「大切にしている/あまり重視していない/どちらとも言えない」に○をつけ、コメント欄に補足を書いてください。」
  2. 記入後、2人の回答を照らし合わせる。
    • セラピストが表に共通点・相違点を板書して見える化。
  3. 差が大きい部分については「どうしてその考え方になったのか?」を丁寧に聴く。
STEP
 ふりかえり(気づきを整理)
  • 「共通して、大切にしている部分は、お二人の強みです。」
  • 「意見が分かれた部分は、これからの歩み寄りの課題になります。」
  • 「大切にしていない部分は、無理に話題にしなくてもよい領域です。」
STEP
まとめ(未来に活かす)
  • 「今日の結果をもとに、次に話し合いたいテーマを1つ選んでみましょう。」
  • 「性に関する価値観は、年齢や体調によっても変化します。定期的に確認すると安心です。」
  • 「違いは悪いことではなく、どう尊重するかを考える材料です。」

「あなたにとって性は、愛情の証に近いですか?それとも健康や安心に近いですか?」
「ご夫婦で、ここは同じとわかったことは、関係の安心材料になりますね。」
「相違点は溝ではなく、選択肢と考えてもいいかもしれません。」

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