自殺願望者の原因や要因のデータ67の内容と自殺のサイン72例に加え、支援者の言葉の適否41例と支援者が実践で必要とする評価方法や方向性の知識
「自殺の背景」には、失業、多重債務、事業不振などの経済問題や身体、精神的な健康問題、夫婦関係や子育て、介護などの家庭問題、また、職場の人間関係やいじめなどの学校問題である原因や要因に加え、その人の性格傾向、家族の状況、死生観など様々な危険因子が複雑に関係しています。
自殺はこれらの様々な原因や要因、危険因子が絡み合い、心理的に追い込まれた末の結果と言えます。このように解決が困難なケースとそれほど具体的な理由がないにも関わらずとも、小さな要因が重なり合って慢性的に気分が落ち込み、死を意識するようなケースもあります。
自殺を図った人の精神状態は、様々な悩みの要因により心理的に追い込まれ、うつ病や不安障害などの精神疾患が現れ、正常な判断を行うことができない状態となっていることが明らかです。このような自殺に至る前の精神症状に対する適切なサポートで自殺を防ぐことができる社会が望ましいと考えます。しかしながら、精神疾患への偏見や医療サポートの利用に対する抵抗感が存在し、問題を深刻化させています。特に、年齢別に自殺の多かった40〜59歳の中高年男性は、自殺の要因を抱えやすいだけでなく、相談することへの抵抗感から問題が深刻化しているものと思われます。
確かに、「自殺」という死に直結する深刻な問題は、簡単に誰にでも相談できるものではありません。既に自殺を意識しているということは、心理的視野狭窄に陥り解決策も考えられなくなっています。そのうえ、自殺によって家族が悲しむ、人に迷惑をかけるなど重大なことが見えなくなり、自殺だけに捉われ追い込まれている状態なのです。
当事者は精神的症状として不眠や過度なアルコール摂取、原因不明の体調不良を起こしているかもしれません。さらに判断力が低下し、イライラや焦燥感が伴い不可解な行動を示すなど、自殺の危険を示唆するサインを発していることがあります。この自殺へのサインを家族や職場の人などが早めに気づき、真剣に耳を傾けることができれば自殺の予防につなげられます。
実は自殺を考えている人も、心の中では、「生きたい」という気持ちがあります。「死にたい、死んで楽になりたい」と「生きたい、助けて欲しい、苦しみを止めて欲しい」という両極端の気持ちが振り子のようにゆっくり、また時には激しく揺れ動き続けています。
そして、もう一度、生きる勇気を与えて欲しいと、特定の人を選んで救いを求めることがあります。
こんな時に、救いを求められた支援者が取らなければならない知識を学んでおくことがとても重要なこととなります。
このページを含め、心理的な知識の情報発信と疑問をテーマに作成しています。メンタルルームでは、「生きづらさ」のカウンセリングや話し相手、愚痴聴きなどから精神疾患までメンタルの悩みや心理のご相談を対面にて3時間無料で行っています。
- 警察庁統計データ年度別自殺の状況:令和5.4.3.2年度調査
自殺の原 因 ・要因・ 動 機 別データ
令和2022年中における自殺の概要
令和4年の自殺者の原因・動機が明らかなもの(重複あり)のうち、個々の要因別にみると、その原因・動機が「健康問題」にあるものが12,774人で最も多く、次いで「家庭 問題」(4,775人)、「経済・生活問題」(4,697人)、「勤務問題」(2,968人)の順となっています。その中でも健康問題の精神疾患者は7,723人で、自殺者総数21,881人の35%をしめています。特にうつ病は4,598人に達し、いかに精神的サポートが重要かが浮かび上がります。
- 警察庁統計データ年度別自殺の状況:令和5.4.3.2年度調査
- 自殺の多くは多様かつ複合的な原因及び背景を有しており、様々な要因が連鎖する中で起きています。
注)令和4年に自殺統計原票を改正し、遺書等の生前の言動を裏付ける資料の他、家族等の証言から考えられる原因・動機も含め、自殺者一人につき4つまで計上することとしたため、原因・動機特定者数と原因・動機数の和が一致するとは限りません。
- 健康問題
-
- 病気の悩み (悪性新生物、てんかん、その他の身体の病気)
- 重篤な病気や身体的な不調による苦痛が、心理的な負担を増加させ、これが自殺への動機となることがあります。
- 病気の悩み (うつ病、統合失調症、アルコール依存症、薬物乱用、摂食障害、その他の精神疾患)
- 精神疾患や依存症などの健康問題が、日常生活や社会的なつながりに影響を与え、これが自殺への要因となることがあります。
- 病気の悩み (悪性新生物、てんかん、その他の身体の病気)
- 家庭問題
-
- 夫婦関係の不和 (DV、不倫・浮気)
- 家庭内の暴力や不倫・浮気などの問題が、精神的苦痛や孤立感を引き起こし、これが自殺に関連する要因となります。
- 親子関係の不和
- 親子関係の不和やしつけ、叱責によって家庭内の環境が不安定になり、これが苦痛をもたらし自殺の要因となります。
- 家族の死亡
- 家族の死亡は喪失体験として強いストレスを引き起こし、それが自殺へと繋がる可能性があります。
- 夫婦関係の不和 (DV、不倫・浮気)
- 経済・生活問題
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- 事業不振、失業、倒産、生活苦、多重債務
- 経済的な問題や生活の困難が、個人や家族に精神的な圧力をかけ、これが自殺の要因となります。
- 事業不振、失業、倒産、生活苦、多重債務
- 勤務問題
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- 職場の人間関係 (上司とのトラブル、その他)
- 職場での人間関係の悪化が、ストレスや孤立感を引き起こし、これが自殺への要因となります。
- 職場の人間関係 (上司とのトラブル、その他)
- 交際問題
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- 失恋、不倫・浮気、結婚に関する悩み、DV被害、ストーカー行為
- 恋愛や結婚に関する問題が、精神的な苦痛や危機感を引き起こし、これが自殺の要因となります。
- 失恋、不倫・浮気、結婚に関する悩み、DV被害、ストーカー行為
- 学校問題
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- 学業不振、入試に関する悩み、いじめ、学友との不和、教師との人間関係
- 学業や人間関係の問題が、学生や若者にストレスをもたらし、これが自殺につながります。
- 学業不振、入試に関する悩み、いじめ、学友との不和、教師との人間関係
- その他の問題
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- 犯罪被害、犯罪発覚等、SNS・インターネット上のトラブルなどからの孤独感
- 性的少数者であることの悩み・被差別や近隣との関係、後追い自殺、家族・同居人・交際相手以外からの虐待・暴力被害、居人・交際相手以外からの虐待・暴力被害の精神的苦痛や孤独感から自殺につながります。
- 犯罪被害、犯罪発覚等、SNS・インターネット上のトラブルなどからの孤独感
自殺の原 因 ・要因・ 動 機 別データの詳細
病気の悩み (悪性新生物) 、病気の悩み (てんかん) 、病気の悩み (その他の 身体の病気)病気の悩み・影響 (うつ病) 、病気の悩み・影響 (統合失調症) 、病気の悩み・影響 (アルコール依存 症) 、病気の悩み・影響 (薬物乱用) 、病気の悩み・影響 (摂食障害) 、病気の悩み・影響 (その他の 精神疾患) 、身体障害の悩み 、認知機能 低下、その他
健康問題に関する統計から見られるように、様々な病気や精神疾患は自殺に対する重要な要因となります。適切なサポートや治療がなされない場合に自殺のリスクを増加させる可能性があります。
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- 病気の悩み(悪性新生物)
悪性新生物(がん)との闘病は、身体的・精神的な負担が非常に大きくなります。がんの診断や治療は患者に深い絶望感や無力感をもたらし、これが自殺の原因となることがあります。 - 病気の悩み(てんかん)
てんかんの患者は、発作や治療の影響により日常生活に制約を受けることがあります。これにより、うつ病や不安障害が発症し、自殺のリスクが増加する可能性があります。 - 病気の悩み(その他の身体の病気)
他の身体の病気も苦痛や不安をもたらすことがあります。慢性的な疾患や痛みにより、生活の質が低下し、これが自殺の要因となることがあります。 - 病気の悩み・影響(うつ病)
うつ病は自殺のリスクを高める主要な精神疾患の一つです。深い絶望感や無気力感に苦しみ、これが自殺念慮や行動に繋がることがあります。 - 病気の悩み・影響(統合失調症)
統合失調症は、現実感覚や認識に障害をもたらす病気であり、これが自殺の要因となることがあります。現実との乖離感を経験し、それが絶望感を引き起こすことがあります。 - 病気の悩み・影響(アルコール依存症)
アルコール依存症は精神的な不安や抑うつを引き起こし、社会的孤立や身体の損傷が自殺の原因となることがあります。 - 病気の悩み・影響(薬物乱用)
薬物乱用も精神的な不調や社会的問題を引き起こし、これが自殺の原因となることがあります。 - 病気の悩み・影響(摂食障害)
摂食障害は身体イメージへの歪んだ認識や恐怖が絡み合い、これが自殺念慮を引き起こすことがあります。 - 病気の悩み・影響(その他の精神疾患)
他の精神疾患も自殺のリスクを高める可能性があります。具体的な症状や影響により、絶望感や孤立感を経験しやすくなります。 - 身体障害の悩み
身体障害により、生活の質が低下し、社会とのつながりが希薄化することがあり、これが自殺の要因となります。 - 認知機能低下の悩み
認知機能の低下は、本人や周囲の人々に大きな負担を与え、これが自殺の原因となることがあります。
夫婦関係の不和 (DV) (不倫・浮気) 、 親子関係の不和 家族の死亡 家族の将来の悲観介護・看病疲れ 子育ての悩み 家族からのしつ け・叱責 家族・同居人から の身体的虐待家族・同居人から の心理的虐待 ・ネグレクト 、その他
家庭問題は、自殺の原因や動機の一つとして非常に重要です。家庭内の不和やストレスは、個人の心理的な負担を増加させ、自殺のリスクを高める可能性があります。家族や関係者は、家庭内の問題を認識し、適切な支援や介入を行うことが重要です。
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- 夫婦関係の不和(DV、不倫・浮気)
過度な摩擦や暴力的な関係は、心理的な苦痛を引き起こし、自殺の原因となる可能性があります。特に、DV(家庭内暴力)は、被害者が絶望感や無力感を感じ、自殺を考えることにつながります。 - 親子関係の不和
親子関係の不和や摩擦は、子供や親に精神的な負担を与え、自殺のリスクを高めることがあります。親子関係の不和は、子供の自尊心や安全な環境感にも影響を与え、自殺念慮や行動へつながる可能性があります。 - 家族の死亡
家族の死亡は、深い悲しみや喪失感を引き起こし、自殺のリスクを高めることがあります。特に、親や配偶者など、家族との絆が強い場合、その喪失はより深刻な心理的負担となります。 - 介護・看病疲れ
家族の介護や看病は、身体的・精神的な負担が大きくなることがあります。長期間の介護や看病によるストレスは、ケアギバー(介護者)のメンタルヘルスを脅かし、自殺のリスクを高める可能性があります。 - 子育ての悩み
子育てに関するストレスや悩みは、親の心理的負担を増加させ、自殺のリスクを高めることがあります。特に、子供の問題行動や発達障害に関する悩みは、親のストレスを増大させる要因となります。 - 家族からのしつけ・叱責
過度なしつけや叱責は、子供や配偶者に対する心理的な負担を増加させ、自殺のリスクを高めることがあります。特に、虐待的なしつけや叱責は、被害者の自尊心や心理的健康を損なう可能性があります。 - 家族・同居人からの身体的虐待・心理的虐待・ネグレクト
家族や同居人からの虐待やネグレクトは、被害者の心理的な苦痛を増加させ、自殺のリスクを高める可能性があります。被害者は、絶望感や無力感を感じ、自殺を考えることがあります。
- 令和4年に自殺統計原票を改正し、遺書等の生前の言動を裏付ける資料の他、家族等の証言から考えられる原因・動機も含め、自殺者一人につき4つまで計上することとしたため、原因・動機特定者数と原因・動機数の和が一致するとは限りません。
事業不振 、失業 、倒産 、就職失敗 、生活苦 、負債 (多重債務) 、負債 (連帯保証債務) 、負債 (ギャンブル他) 、借金の取り立て苦 、奨学金の返済苦 、自殺による 保険金支給、その他
経済・生活問題に関する統計から見られるように、様々な事業や生活の困難が自殺に関連しています。れらの経済・生活問題は、精神的・経済的な負担をもたらし、心理的な健康に悪影響を与えることがあります。
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- 事業不振
経営や事業の不振は経済的な負担やストレスを引き起こし、これが自殺の要因となることがあります。事業不振により借金が膨れ上がり、経済的な不安が強まります。 - 失業
失業は生計の喪失や経済的な苦境をもたらし、これが自殺のリスクを増加させることがあります。失業に伴う絶望感や無力感が自殺念慮を引き起こすことがあります。 - 倒産
事業の倒産は事業主や従業員にとって大きなストレスとなり、これが自殺の危険性を高めることがあります。経済的な打撃や社会的なプレッシャーが影響します。 - 就職失敗
就職の難易度や成功しない場合、経済的な不安や将来への絶望感を抱く可能性があり、これが自殺の原因となります。 - 生活苦
経済的な苦境や生活の厳しさは、自殺につながる重要な要因となります。基本的なニーズが満たされない状況が絶望感を引き起こします。 - 負債(多重債務)
多重債務により経済的な重圧がかかり、債務返済のストレスが自殺の原因となることがあります。 - 負債(連帯保証債務)
他者による連帯保証債務は、経済的な危機が広がり、自殺につながる可能性があります。 - 負債(ギャンブル他)
ギャンブルや他の娯楽による借金は、経済的な逼迫感やストレスが高まり、これが自殺の原因となることがあります。 - 借金の取り立て苦
借金の取り立てによるストレスや苦痛が、絶望感を増加させ、自殺のリスクが高まることがあります。 - 奨学金の返済苦
学費や奨学金の返済困難は、経済的な重圧や将来への不安を引き起こし、自殺念慮を生むことがあります。 - 自殺による保険金支給
保険金支給が動機となることがあり、これが自殺の原因となる場合があります。
職場の人間関係 (上司との トラブル) 、職場の人間関係 (その他) 、職場環境の変化 (役割・地位の 変化等) 、職場環境の変化 (その他) 、仕事疲れ (長時間労働) 、仕事疲れ (その他) 、解雇・雇い止め 、取引先との トラブル 、仕事の失敗 、過重な ノルマ・ノルマの 不達成 、性別による差別、その他
勤務問題に関する統計から見られるように、職場のストレスや人間関係、仕事環境の変化などが自殺に影響を与えることがあります。これらの問題に対する職場内のサポートやメンタルヘルスプログラムが、従業員の心理的な健康を保つために重要です。
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- 職場の人間関係(上司とのトラブル)
上司とのトラブルは、仕事への不満や精神的な負担を引き起こし、自殺の原因となります。職場での対人関係の困難が重要な要素となります。 - 職場の人間関係(その他)
同僚や他の関係者との人間関係のトラブルも、職場環境のストレスを増加させ、自殺の危険性を高めることがあります。 - 職場環境の変化(役割・地位の変化等)
役割や地位の変化がストレスや不安を引き起こし、これが自殺念慮を生む可能性があります。特に職場での変化に対する適応が難しい場合が影響します。 - 職場環境の変化(その他)
その他の職場環境の変化も、適応困難さやストレスの原因となり、自殺リスクを増加させる可能性があります。 - 仕事疲れ(長時間労働)
長時間の労働は過労や疲労感を引き起こし、心理的な不調や自殺念慮が生まれる可能性があります。 - 仕事疲れ(その他)
その他の仕事に関する疲労も、心理的な負担を増加させ、自殺の要因となります。 - 解雇・雇い止め
仕事を失ったことが経済的なストレスを生み、自殺のリスクを増加させることがあります。 - 取引先とのトラブル
取引先との問題が業務に影響を与え、これが職場でのストレスや不安を引き起こし、自殺リスクを高める可能性があります。 - 仕事の失敗
仕事における失敗や達成できない目標が自己価値感を低下させ、これが自殺の要因となることがあります。 - 過重なノルマ・ノルマの不達成
過度な業績要求やノルマにより、ストレスが増加し、自殺のリスクが高まる可能性があります。 - 性別による差別
性別による差別が職場で起きると、不平等感や絶望感が生まれ、これが自殺念慮を引き起こす可能性があります。
失恋 、不倫・浮気 、結婚に関する悩み 、交際相手からの 暴力 (DV被害 、ストーカー行為等、その他
交際問題において、自殺に関して捉えられる要因は様々です。これらの問題に直面すると、感情的な苦痛や心理的なストレスにさらされる可能性があります。適切なサポートやカウンセリングが必要であり、個々の事例に応じた支援が提供されることが重要です。また、社会的な支援体制の整備も重要で、被害者が適切なリソースにアクセスできるようにすることが自殺予防の一環となります。
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- 失恋
失恋は感情的な痛みを伴い、これが深刻な絶望感や孤立感を引き起こすことがあります。対人関係の喪失や不安定さは、自殺のリスクを高める可能性があります。 - 不倫・浮気
不倫や浮気により発生する信頼の喪失や精神的な苦痛が、自殺の原因となることがあります。関係が崩壊することで精神的な不安が生じ、それが自殺念慮に繋がることがあります。 - 結婚に関する悩み
結婚に関する問題や悩みが重くのしかかると、家庭内でのストレスが増加し、これが自殺の危険性を高めることがあります。 - 交際相手からの暴力(DV被害、ストーカー行為等)
暴力行為やストーカー行為は被害者にとって脅威となり、深刻な心理的なダメージを与える可能性があります。被害者は逃れられない状況に置かれ、これが自殺の要因となることがあります。
学業不振 、入試に関する悩み 、進路に関する悩み (入試以外) 、いじめ 、学友との不和 (いじめ以外) 、教師との 人間関係 、性別による差別、その他
学校問題に関する統計で示された要因は、自殺に関するリスクを理解する上で重要な示唆となります。これらの要因は相互に関連し合い、総合的なアプローチが必要です。学校や支援機関が早期に介入し、個々の生徒のニーズに対応できるサポート体制が整えられることが重要です。
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- 学業不振
- 学業不振は個人のストレスや心理的な負担を増加させ、自尊心や将来への不安感を引き起こす可能性があります。これが続くと、自殺のリスクが上昇する可能性があります。
- 入試に関する悩み
- 入試の不安や圧力は非常に大きなストレス要因となり、精神的な負担を引き起こすことがあります。入試結果による失敗や期待に応えられない不安が、自殺リスクを高める要因となります。
- 進路に関する悩み(入試以外)
- 進路に関する不安や迷いは将来に対する不安感を生む可能性があります。将来への見通しが立たない状態が、自殺の要因となることがあります。
- いじめ
- いじめは心理的な苦痛を引き起こし、被害者が無力感や孤立感を強く感じることがあります。これが慢性的に続くと、自殺の危険性が高まります。
- 学友との不和(いじめ以外)
- 対人関係のトラブルは心の健康に影響を与え、社会的な孤立感や精神的な負担を増加させる可能性があります。
- 教師との人間関係
- 生徒と教師との信頼関係が悪化すると、生徒は支援を得られないと感じ、絶望感が増大する可能性があります。
- 性別による差別
- 性別による差別や偏見は個人のアイデンティティに対する影響を与え、自己受容感を低下させることがあります。これが自殺の危険性を高めることがあります。
犯罪被害 、犯罪発覚等 、SNS・インター ネット上の トラブル 、性的少数者である ことの悩み・ 被差別 、孤独感 、近隣との関係 、後追い自殺 、家族・同居人・ 交際相手 以外からの 虐待・暴力被害、その他
「その他」の統計における自殺に関連する要因や動機は複雑に絡み合い、個々のケースによって影響が生じる可能性があります。自殺予防においては、これらの要因を理解し、個別のサポートや対策が必要です。
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- 犯罪被害、犯罪発覚等
- 犯罪被害や発覚による法的な問題が、精神的な負担を引き起こし、これが自殺の要因となることがあります。
- SNS・インターネット上のトラブル
- ソーシャルメディアやインターネット上のトラブルが、オンラインでの孤立感やいじめに繋がり、これが自殺の要因となることがあります。
- 性的少数者であることの悩み・被差別
- 性的少数者であることによる社会的な差別や偏見が、心理的な負担を引き起こし、これが自殺の要因となることがあります。
- 孤独感
- 孤独感が強まると、人は精神的な苦痛を感じることがあり、これが自殺の要因となります。
- 近隣との関係
- 近隣との問題やトラブルが、ストレスや孤立感を引き起こし、これが自殺の要因となることがあります。
- 後追い自殺
- 身近な人が自殺した場合、その影響で寂しさや孤独感が増し、自殺することがあります(後追い自殺)。
- 家族・同居人・交際相手以外からの虐待・暴力被害
- 家族や同居人、交際相手以外からの虐待や暴力被害が、心理的な苦痛を引き起こし、これが自殺の要因となることがあります。
自殺の危険因子
自殺に関連する要因は多岐にわたり、個人的要因と社会的要因が複雑に絡み合っています。自殺において原因を一つだけ取り上げるのではなく、複数の要因が重なっていることを理解することが重要です。
また、次のようなSAD PERSONSスケールに含まれる危険因子と含まれない危険因子も重要な要因となります。
- 性格傾向
個人の性格や心理的特性が自殺に影響を与えることがあります。これには、抑うつ的傾向、孤立感、対人関係の苦手意識などが該当します。 - 環境
社会的な環境が大きな要因となります。例えば、経済的な問題、仕事の不安定性、社会的孤立、いじめ、差別などが該当します。 - 精神障害
アルコール依存症、うつ病、双極性障害、統合失調症、妄想性障害、パーソナリティ障害、認知症、適応障害、不安障害などの精神的な健康状態が、自殺リスクを増加させる要因となります。 - 生物学的要因
生物学的な要因も関与しており、脳化学の不均衡や神経伝達物質の異常が自殺の原因となることがあります。 - 家族歴・遺伝
家族内での自殺や精神疾患の歴史が、遺伝的な要因として影響を受けることがあります。 - 自殺未遂歴
過去に自殺未遂がある場合、将来の自殺リスクが高まります。追跡調査によれば、自殺未遂者の中で一定期間内に自殺する割合が高いことが示されています。 - 喪失体験
重大な喪失体験(例:親、兄弟、パートナー、友人の死)は、自殺リスクに影響を与える可能性があります。 - 被虐待歴
過去の虐待経験は、心理的な負担を増大させることにつながり、自殺リスクを高める可能性があります。 - 事故傾性
事故傾性が高い場合、自己を守るための適切な措置を取らない傾向があり、これが自殺リスクに結びつくことがあります。
- 厚生労働省自殺の統計では、令和4年に自殺統計原票を改正したことにより、令和4年の勤務者と自営業者の比較は当方で計算していますので、数字のズレが生じる場合があります。
自殺を考える心理・サイン
自殺を考えた際の関連要素に当てはまる絶望感、孤立感、悲嘆、焦燥感、強い苦痛感、無価値観、怒り、否認、諦め、先の見通しが立たない、という心理を解説します。
- 絶望感 (Despair)
- 絶望感は未来に対する希望がないと感じる状態であり、問題や苦痛が解決不可能であるという信念が支配的で、絶望感から抜け出す手段を見いだせなくなります。
- 孤立感 (Isolation)
- 孤立感は他者とのつながりが希薄であると感じ、孤独を強く意識する状態です。社会的な孤立や支えが不足していることが原因となります。
- 悲嘆 (Grief)
- 悲嘆は喪失や失意によって引き起こされる感情であり、失われたものへの深い悲しみが心を支配します。喪失感が心に大きな影響を与え、対処が難しい状態となります。
- 焦燥感 (Agitation)
- 焦燥感は不安や興奮が高まり、落ち着きがない状態です。焦燥感が増すと冷静な判断が難しくなり、衝動的な行動のリスクが高まります。
- 強い苦痛感 (Intense Pain)
- 強い苦痛感は身体的・精神的な苦しみが極めて強い状態を指します。この苦痛が持続することで、自己価値感や「生」への意欲が低下します。
- 無価値観 (Feelings of Worthlessness)
- 無価値観は自分に対する否定的な評価が強くなり、自分自身を無価値だと感じる状態です。自尊心が低下し、生きる価値を見いだせなくなります。
- 怒り (Anger)
- 怒りは不満や苦痛に対する感情の一形態であり、他者や自らに対して怒りを抱えています。怒りが制御できなくなると危険な状態となります。
- 否認 (Denial)
- 否認は現実から逃避し、問題や苦痛を認めない状態です。現実逃避が長期間続くと、適切なサポートが得られないまま問題が悪化する可能性があります。
- 諦め (Hopelessness)
- 諦めは未来に対する希望が完全に失われ、問題に対する積極的な対処意欲が低下した状態であり、希望を見いだせなくなります。
- 先の見通しが立たない (Perceived Hopelessness)
- 未来への見通しが立たないと感じることで、不安や焦り希望を失い、些細なことでも死を考えるトリガーとなってしまいます。
自殺のサイン・状況サイン72例
自殺願望者は「死にたい」「生きたい」と、振り子のように心が揺れ動いています。そして普段と違う顕著な言動の変化で、家族や職場関係、友人などにいくつもの自殺のサインを出すことで、自身の心に気づいて欲しいのかもしれません。また、自殺の危険因子をいくつか持ち合わせている人なら、些細なサインでもトリガーとなることを示しています。
自殺サインの状況的例
状況的サイン | 状況・内容 |
---|---|
感情の不安定さ | 突然の感情の変化;涙ぐんだり、不機嫌で怒りっぽくなったりする |
孤立と無関心 | 友人や知人との付き合いが減少し、一人でいることが多くなる |
絶望感と無価値感 | 深刻な絶望感や孤独感、自責感、無価値感に襲われる |
仕事や家事の低下 | 仕事や家事の能率が低下し、ミスが増える |
感謝の言葉 | 状況にそぐわない感謝の言葉、「お世話になりました」といった発言 |
異常な振る舞い | 明るく振る舞ったり、突然泣いたり、イライラしたりする異常な振る舞い |
自己評価の変化 | 自分を責めたり、自信をなくした話しぶりや態度が見られる |
身なりへの無頓着 | 身なりに無関心であるかのように見える |
睡眠の問題 | 眠れない日が増えるなどの変化が見られる |
身体的な不調の訴え | 身体的な不調を訴え、病気を苦にしているように見える |
社交の回避 | 周囲との交流を避けるようになる |
自殺への言及 | 自殺をほのめかしたり、はっきりと話す |
計画と手段の用意 | 自殺の計画を立てたり、手段を用意する |
うつ病の症状 | 長期にわたる気分の低下や無気力感、興味の喪失などが見られる |
原因不明の身体の不調 | 慢性的な身体的な痛みや不調が続く場合がある |
酒量が増す | 飲酒量が急激に増加する場合がある |
投げやりな態度 | 以前の関心事や活動への興味が薄れ、投げやりな態度が見られる |
急に仕事の負担増加 | 仕事や学業の負担が急激に増え、ストレスが蓄積される |
職場や家族から孤立 | 社交的な活動が減少し、友人や家族から孤立する |
重要価値のものを失う | 重要な人間関係や仕事、健康、財産などを失う |
重病にかかる | 重篤な病気が見つかり、絶望感が増す |
自殺を口にする | 直接的または間接的に自殺について話す |
自殺未遂歴 | 過去に自殺未遂を起こしたことがある |
感情の変化 | 長期にわたる悲しみ、無気力感、興味の喪失、劣等感、絶望感など |
行動の変化 | 無関心、孤立、社交的な活動の減少、慢性的な怠惰感、飲酒や薬物の乱用 |
身体的変化 | 眠りの変化(過眠または不眠)、食欲の変化、体重の急激な増減 |
言動の変化 | 自殺に関する言葉やジェスチャー、死や絶望に関するテーマが頻繁に出る |
社会的変化 | 仕事や学業の関係の問題や悩み、孤立、友人や家族からの距離 |
自己評価の変化 | 過度な自己評価の低下、罪悪感、無価値感 |
リソースの減少 | 経済的な問題、家庭や友人のサポートの減少 |
自己傷害の兆候 | 自傷行為、過剰な危険行動、自殺未遂 |
事前の警告 | 自殺に関する意図を示唆する発言や手紙 |
自殺サインの具体的例
自殺のサインは非常に複雑で個人差が大きいため、具体的なチェックリストを提供することは難しいですが、一般的なサインや兆候の一覧を次に示します。これらはあくまで参考として捉え、具体的な状況においては専門家やサポート機関に相談することが重要です。
自殺サインの具体的一例 |
---|
1. 感情が不安定で、突然に涙ぐんだり落ち着かなくなる |
2. 最近、友人や知人との付き合いは少なくなり、一人でいることが多くなった |
3. 仕事や家事の能率が低下していて、溜息やミスが増えている |
4. 「今までありがとう」や「お世話になりました」など状況にそぐわない感謝が告げられる |
5. これまで抑うつ気味だったのに、不自然なくらい明るく振るまっている |
5. 突然泣き出したり、怒りを爆発させるなど、感情が不安定になる |
6. 自分を責めたり、自信がなさそうな態度や焦燥感が漂っている |
7. 現実にはありえないような妄想的確信を抱いている |
8. 最近はもっぱら交際を避けるようになり、ひきこもりがちになっている |
9. ここ最近で急に性格が変わったように見える |
10. 体重が減少してきているのがはっきりとわかる |
11. 今まで打ち込んできた趣味やスポーツなどしなくなっている |
12. 実在しない声が聞こえているのか、耳を抑えたり独り言を言う |
13. 自分は生きていても周りに迷惑をかけるばかりだと自分を責めている |
14. 周囲から差し伸べられる気づかいや優しさなどに拒絶する態度がある |
15. 常に薬を常備していて、何かの病気を苦にしているようだ |
16. 今までは見たこともないような投げやりな態度が目立っている |
17. 興奮した直後、落ち込んだり、大げさに笑ったり気分の変わりやすい傾向がある |
18. 興奮気味で混乱しているのか会話の内容がまとまらないことが見受けられる |
19. 極端に食欲がなく、見るからに痩せてきているのが目立つ |
20. 自分の将来に希望が持てない、絶望的で生きている意味がないという言葉を吐く |
21. 度々、職場を無断欠勤したり、断りもなく早退している |
22. 飲み会に参加しなくなったばかりではなく、周囲との交流を避けているように見える |
23. 洋服や髪型など、身なりに気を遣わなくなっている |
24. 寝不足が続いているのか、明らかに顔の表情が悪く、仕事への集中力もない |
25. 疲れたとか、呼吸が苦しいとか、さまざまな身体的不調を訴えることが多い |
26. 自殺の計画を立てているなど、自殺についてはっきりと話してくる |
27. これまでゲームに関心が強かったが、やめていて興味がないようだ |
28. 皆の前では大食いを見せているのに、隠れて嘔吐をしている |
29. 急に痩せてきているのに活動性は高くなっているようだ |
30. 感情表出が乏しくなり、仕事の業績も急に落ちている |
31. 高価な物や大切な物の整理や譲渡するなどで身の回りの整理をしているようだ |
32. 近親者か知人の死を経験したからなのか、交際が減り引きこもりがちになっている |
33. 多量の飲酒をするようになり、食欲は極端に減っている |
34. 夜の街に繰り出し、金遣いが荒くなった |
35. お世話になった方への手紙を送り始め、周りにも感謝の言葉をかけている |
36. 「死」にまつわる発言が目立ち、自殺をほのめかすことがある |
37. 周囲に無関心になったと思えば、突如、明るく振る舞う |
38. 性的逸脱行為に及んでいる |
39. 例えば、糖尿病、高血圧のために服用していた薬をやめている |
40. 免疫抑制剤や人工透析のような重大な医療行為をしない |
自殺の危険因子と危険度の評価方法
自殺の危険因子とは何か
自殺の危険因子は、自殺者と一般の人を比較した際に、自殺者の頻繁に見られる要因です。自殺に関わる支援者は、これらの危険因子について十分に理解しておく必要があります。一般的に、自殺の心理と自殺の危険因子は異なります。自殺の心理は「死にたい気持ち」が揺れ動く変動的な状態ですが、自殺の危険因子は個々が持つ基礎的な要因です。
SAD PERSONSスケール
SAD PERSONSスケールは、自殺の危険度を評価するためのスケールです。次にスケールの要素を示します。
タイトル | SAD PERSONSスケール(危険度の評価方法) |
---|---|
S | 性別(Sex) |
男性の方が女性よりも自殺率が高い傾向があるため、性別の違いに注意が必要です。 | |
A | 年齢(Age) |
20歳未満や45歳以上の若年者や中高年に注意が必要です。 | |
D | うつ状態(Depression) |
うつ病や双極性障害などのうつ状態に注意が必要です。 | |
P | 自殺未遂歴(Previous attempt) |
自殺未遂歴は、自殺の最も重要な予測因子です。 | |
E | アルコール乱用(Ethanol abuse) |
アルコールや他の薬物の乱用による自殺リスクが高まります。 | |
R | 合理的思考の欠如(Rational thinking loss) |
幻覚や妄想、精神病状態などが自殺リスクを高めます。 | |
S | 社会的援助の欠如(Social support deficit) |
社会的な孤立や経済的な問題が自殺リスクを高めます。 | |
O | 自殺に向けた組織的な計画(Organized plan) |
具体的な自殺計画がある場合、リスクが高まります。 | |
N | 配偶者の不在(No spouse) |
配偶者がいない状況は自殺リスクを高める要因となります。 | |
S | 身体疾患(Sickness) |
重篤な身体疾患や苦痛を感じる状態が自殺リスクを高めます。 |
自殺の危険に基づく危険度の評価
自殺の危険度を評価する際に次の大きな要因が考慮されます。
- 自殺未遂歴
過去に自殺未遂がある場合、将来の自殺リスクが高まります。追跡調査によれば、自殺未遂者の中で一定期間内に自殺する割合が高いことが示されています。 - 精神疾患・病態
さまざまな精神疾患や病態が自殺と関連しています。例えば、アルコール依存症、うつ病、双極性障害、統合失調症、妄想性障害、パーソナリティ障害、認知症、適応障害、不安障害などが挙げられます。これらの疾患や病態を含め、評価シートを用いて危険度を評価します。
SAD PERSONSスケールに含まれない危険因子
SAD PERSONSスケールに含まれていませんが、自殺リスクを評価する上で考慮すべき要因も存在します。その例を示します。
- 自殺の家族歴
遺伝的な要因も考慮に入れるべきです。家族に自殺者がいる場合、自殺リスクが上昇する可能性があります。 - 喪失体験
重大な喪失体験(例:親、兄弟、友人の死)は、自殺リスクに影響を与える可能性があります。 - 被虐待歴
過去の虐待経験は、心理的な負担を増大させ、自殺リスクを高める可能性があります。 - 事故傾性
事故傾性が高い場合、自己を守るための適切な措置を取らない傾向があり、これが自殺リスクに結びつくことがあります。
自殺の危険性が高い人への支援者実践知識と良い言葉・悪い言葉41例は2ページ目をご覧ください。