3時間無料対面カウンセリングを行っています。無料カウンセリング予約フォームでお申し込みください。ボタン

社交不安症の原因に対する治療薬と診断スケール評価テスト

目次

社交不安症の生物学的体質に基づいた治療薬は1〜2週間で効果があり、緊張や興奮の緩和ができるパフォーマンス前の頓服薬があります。また、現在の不安症の診断スケールテストで自己の重症度の評価ができます。

社交不安症の生物学的体質の原因

社交不安症の人は、不安や恐怖の反応を起こす脳の部位「偏桃体」が過活動となり、恐怖や不安を強く感じ対人恐怖が起こります。その不安や恐怖を和らげる役目である脳内の神経伝達物「セロトニン」の調整がうまくいかず、十分な量のセロトニンが放出されず低下していると考えられます。また、線条体の部位でのドパミンD2受容体とドパミントランスポータの結合低下の問題も報告されています。どちらにも治療薬として選択的セロトニン再取り込み阻害薬SSRIが改善させます。

社交不安症の治療薬

治療薬はセロトニン神経系の調節異常を改善していくSSRI選択的セロトニン再取り込み阻害薬を基準薬とします。加え、緊張や不安場面でパフォーマンスを抑えるベンゾジアゼピン系の頓服薬、動悸や発汗を抑えるβ遮断の頓服薬が使用されます。
抗不安薬を使用すると、不安感が収まるだけではなく動悸や過呼吸、赤面、発汗などの身体反応も抑えられます。治療効果は5割以上の方が改善される効果の高い治療薬となります。

薬名・SSRI 選択的セロトニン 再取り込み阻害薬
・SNRI選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬
ベンゾジアゼピン系抗不安薬β遮断薬(ブロッカー)
αβ遮断薬(ブロッカー)
分類基準薬頓服薬頓服薬
作用神経伝達物セロトニンの不足量を増し、セロトニンのバランスを保つ作用、その結果抑制ニューロンからGABAの放出も高まり偏桃体の過活動を抑える中枢神経を抑制させて緊張状態を緩和し、不安を軽減・消失させる作用交感神経のβ受容体の興奮を遮断し、心臓関係の緊張場面特有の動悸や発汗を抑える作用
特徴・一般的に1~2週間後に効果が現れ始め、3~6〜12週間で症状が改善する
・SSRIは開始直後に不安が一時的に増悪することもありますので、ベンゾジアゼピン系抗不安薬との併用が勧められる
・パフォーマンス直前に頓服で用いる(30分から1時間で効果)
・SSRIの効果が現れるまでの期間を併用して使用する。ただし、長期投与の中断は離脱症状などに注意が必要、そのため短期の投与が望ましい
・パフォーマンス直前に頓服で用いる
・即効性、長時間作用、ぜんそくの方用、妊娠や授乳中の方用などタイプが様々ある
・SSRI(パロキセチン・セルトラリン・エスシタロプラム・フルボキサミン)
・SNRI(ベンラファキシン)
・短時間型(エチゾラム)・中時間型(ロラゼパム・アルプラゾラム)・長時間型(ロフラゼプ酸エチル・クロナゼパム)・超長時間型まで4種ある・βブロッカー(カルテオロール)
・αβブロッカー(アロチノロール)
抗不安薬を処方しても手の震えなどが収まらない場合には、てんかん薬を使用する場合があります。

M.I.N.I.社交不安障害診断

人前で話したり、人前や他人と食事をしたり、誰かに見られている場面で字を書いたりなどの社会的状況に対する恐怖について5項目が「はい」の場合、社交不安障害(SAD)の可能性があります。

質問:人前で話したり、人前や他人と食事をしたり、誰かに見られている場面で字を書いたりなどの社会的状況に対する恐怖について回答
➊この一ヵ月間に、人から見られたり、注目を浴びたりすることに恐怖やとまどいを感じたり、恥をかきそうな状況を恐れたりしましたか?はいいいえ
❷その恐怖は、自分でも怖がりすぎているような普通とは違っている、常軌を逸していると感じていますか?はいいいえ
❸その状況は、わざわざ避けるとか、じっと我慢しなければならないほど怖いものですか?はいいいえ
❹その恐怖により、あなたの通常の仕事や社会生活が妨げられているとか、それにより著しい苦痛を感じていますか?はいいいえ
M.I.N.I. 社交不安障害診断―精神疾患簡易構造化面接法, P32, 星和書店より抜粋

社交不安障害の認知行動療法ワークはセラピーによるアドバイスが効果的であるため、治療用ワークブックは3時間無料カウンセリング希望者のみに無料で配布していますので、web上での心理テストや診断・評価・認知行動療法ワークの詳しい内容は省略させていただいている部分があります。
よって、webでは次のようにテスト・診断・評価・療法ワークの一部分や項目だけを掲載しています。

社交不安症の評価スケール

最近、あなたが感じていた様子「人前で電話をかける」~「強引なセールスマンの誘いに抵抗する」までの24項目を質問しますので、最もよく当てはまる番号を、項目ごとに1つだけ選んで記入する方式です。

社交状況恐怖感/不安感
0:全く感じない
1:少しは感じる
2:はっきりと感じる
3:非常に強く感じる
回避(避ける)
0:全く回避しない
1:回避する (確立1/3以下)
2:回避する (確率1/2程度)
3:回避する (確率2/3以上)
スクロールできます
P人前で電話をかける
P少人数のグループ活動に参加する
P公共の場所で食事をする
全48項目の質問です。
スクロールできます
S店に品物を返品する
Sパーティーを主催する
S強引なセールスマンの誘いに抵抗する

◆評価の目安

24項目の質問について、0~3の4段階の評価し合算した得点によって、以下の4段階で重症度の評価を行います。(総得点0~144点)

社交不安症の評価スケール
LSAS-J:Liebowitz Social Anxiety Scale 日本語版
独立行政法人 国立指針・神経医療研究センター
http://www.tufs.ac.jp/documents/institutions/facility/hoken/hokesen171_scale.pdf

約30点境界域  
50~70点中等度  
80~90点さらに症状が顕著…苦痛を感じるだけでなく、実際に社交面や仕事などの日常生活に障害が認められる
95~100点以上重度…働くことができない、会社に行けないなど社会的機能を果たすことができなくなり、活動能力が極めて低下した状態に陥っている

参考web
Stein MB&Stein DJ、厚生労働省認知行動療法マニュアルより
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000113841.pdf
参考文献
こころの医学事典/日本評論
不安障害診療のすべて:塩入俊樹・松永寿人/医学書院
DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル 高橋三郎・大野裕監修/医学書院標準精神 尾崎紀夫・三村將・水野雅文・村井俊哉/医学書院
カプラン臨床精神医学テキスト:監修 井上令一/メディカルサイエンスインターナショナル
M.I.N.I. 社交不安障害診断―精神疾患簡易構造化面接法, P32, 星和書店より抜粋

目次