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パニック障害の原因・経過と薬物療法と認知行動療法、重症度の評価尺度

目次

パニック障害の原因、経過と治療として実証されている効果の高い薬物療法、認知行動療法について解説しています。また、臨床者による面接形式の重症度評価尺度を紹介しています。

パニック障害の原因・経過

脳内神経伝達物質など
原因ははっきりと解明されていませんが、脳内神経伝達物質のセロトニンとノルアドレナリン、GAVA、グルタミン酸などのバランスが乱れることにより発症すると言われています。

パニック発作を起こす原因は、延髄呼吸中枢にある中枢性化学感受領域で二酸化炭素を感知する働きが過敏である状態が推測され、情動などをつかさどる偏桃体を中心とした大脳辺縁系にも関係しています。
ストレスを感知する偏桃体に何らかの原因で伝達物質のセロトニンが抑制されてしまい、過剰に活動してしまうととらえています。 それらに関与している自律神経を統御する脳幹部の異常にも影響し、症状を引き起こすのではないかと考えられています。  
気質要因・遺伝
繊細で神経質傾向、こだわりなどの否定感情の強い方がなりやすいと言われています。また、幼少期に虐待を受けたことや、親や家族など愛着のある人から離れる時に強い不安を感じてしまう分離不安なども発症につながるのではないかと考えられます。
一卵性双生児は二卵性双生児より2人とも障害を発生する割合が高いというデータがあります。また、障害患者の一親等以内の罹患者がいる割合は17%と高い数値になることからも遺伝要因、生理学的要因があると推定されています。  
環境
発作は最初にパニックが起きる前の数か月の間に強い不快な経験、例えば病気や家族の死など、何かしら特定できるストレスの環境が影響すると考えられています。  
発症・有病率
一生のうちに1回だけパニックを起こす割合は10%強にもおよびます。また、パニック障害は全人口の1~3%強です。男女の割合は女性が2倍以上多く罹患します。  
発症・経過
小児期や中高年の発症は少なく、発症年齢の中央値は20~24歳です。また、数年の寛解期を経て再発する場合や重度の症状が持続するのが殆どで、再発なしに完全寛解することは少ないとされます。    
合併疾患
合併疾患として、広場恐怖症は臨床ベースでは80%前後あり、経過をより悪化させます。

・広場恐怖症(臨床ベース80%前後)・大うつ病(50~60%)・社交性不安障害(15~30%)・全般性不安障害(15~30%)・外傷後ストレス障害(2~10%)・強迫性障害(10%以下)・アルコール乱用など
治療
薬物療法と認知行動療法の適切な治療を受けると、劇的に改善します。

薬物療法と認知行動療法

薬物療法

セロトニンの働きを調整するのが抗うつ薬です。セロトニンは恐怖などの情動に働きかけてパニック障害の症状を緩和させます。少量から飲み始めて効果が出るまで最低1カ月かかると思って取り組みます。ただし、最初は吐気などの副作用が気になるはずですが、数日で治まる人が多いと思ってください。少量から飲み始める理由は副作用の軽減を考慮してのことですので、抗うつ薬の増やし方には個人差が出てきます。
また、即効性のある抗不安薬は直接的にパニック発作を抑制しますが、依存性が生じますので長期間には向きません。一般的には抗うつ薬の効果が出るまで抗不安剤を併用し、効果が出る繋ぎ役をすると思ってください。

①薬物治療
種類 薬名選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI) ・パロキセチン ・フルボキサミン ・セルトラリンなど
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)も使用されることがある
ベンゾジアゼピン系抗不安剤 ・アルプラゾム ・クロナゼバム ・ロラゼバムなど三環系抗不安剤 (TCA) ・クロミプラミン ・イミプラミン ・ノルトリプチリンなど
分類基準薬 第一選択薬として即効性治療 頓服薬としてSSRIで無効の場合に 第二選択薬として
効果発現2週間~4週間数十分有効性の判定に4週間
利点・副作用は胃腸障害、眠気が主で抗コリン作用が少ない ・抗うつ、抗不安作用がある ・依存性がなく長期間服用できる・即効性があるため、パニック発作時の頓服や急速に症状を緩和する際に使用 ・副作用に胃腸障害が少ない ・併用薬剤との相互作用が少ない・SSRI開発以前から現在まで使用し続けてきた臨床研究が多く確立されている ・依存性がない
欠点・効果発現が遅い ・重症例には適さない場合があるため、複数の種類が併用される処方あり・対症療法であり、依存性がある・抗コリン、α、ヒスタミンの副作用が強い ・過量服用時の心筋伝導障害の危険性あり ・効果発現が遅い

・薬物療法は効果的に治療できる反面、副作用があります。また、薬剤中止後の発現症状があり、服用指示の厳守と急な服用中止に気をつけなければなりません。
・薬物でパニック発作が抑制されても、回避行動の症状が長期に残存する場合や発作が再発する場合もあります。

認知行動療法

②認知行動療法
パニックは不安や恐怖と感じる場面や場所に対するストレスが引き起こす脳の反応ですが、その反応を危険信号と捉え、身体と体内が察知し、筋肉の硬直、過呼吸、心拍数の上昇などにより対策をしているということになります。
これが極端に活発になることでパニック発作が起きてしまいます。この身体や体内が反応する裏には過剰に危険などの恐怖を解釈してしまう「認知」があります。

不安や恐怖は人間だけではなく、動物なども敵や恐怖の対象が身近に迫った状況や生存を脅かされるような場面では脅威を感じています。同時に生理反応として、動悸などの心悸亢進や呼吸困難などの呼吸促拍と緊張のような精神症状になり、交感神経が優位になります。

認知行動療法は心理学的療法ですが、認知機能の修正をすることで前頭葉強化の結果が生じる神経生理学的に裏付けされた療法で、 認知行動療法の治療後の偏桃体領域、海馬、視床、延髄などの「恐怖ネットワーク」と呼ばれる部位に代謝の変化が認められています。また、認知的行動療法のプログラム(エクスポージャー、リラクゼーション、呼吸訓練、認知訓練、行動実験、アクセプタンスなど)は多くの効果やメタ分析が報告され実証的に支持された療法です。
 
簡単に言えば、自分の考え方や行動のパターンによって生じてしまう不安や恐怖の悪循環に気づき、考え方や行動の幅を広げ柔軟に対処していくことにより、身体を守る防御装置の危険信号警報レベルを抑えていく心理療法です。  
 
認知行動療法のプログラム
・心理教育・安全行動と注意の検討・選択的注意の修正トレーニング ・内部感覚エクスポージャー・エクスポージャー・リラクゼーション・呼吸の再訓練 ・漸進的筋弛緩・行動実験・スキマーワークなど

パニック障害の認知行動モデル図

  1. パニック発作場面
    ・あなたは何を考えましたか
    ・あなたが考える最悪なことはどんなことですか
  2. スキーマ(深い認知)
    ・あなたが気づいているあなたの信念やルールはわかりますか
  3. 身体や気持ちにどんな変化がありますか
  4. 恐れていることが起こりそうな時にそれを防ぐために何かしますか
  5. 恐れているときにあなたの注意(考え、気持ち、身体、行動に向けられる)は何に何処に向けられていますか
  6. 恐れを防ぐための安全行動をした時に、自分の行動や身体感覚、認知(考え)に対して注意が向きますか
  7. 自分が不安になっていると気付いたときに、注意はどうなりますか
  8. 恐れや不安を防ぐための安全行動をすると何か影響がでますか
  9. 破局的な最悪なイメージ、例えば死などのイメージに気づいたときに認知(考え)はどんな変化をしますか

パニック障害重症度評価尺度

パニック障害の重症度評価尺度は臨床者が面接形式で行うパニック障害(広場恐怖が伴う場合も可能)の中核的特徴を評価する7項目の質問となっています。臨床者が患者に対して行う質問例はありますが、必須的なものではなく臨床者が問診したうえで、過去の1か月以内の評価対象とし患者に合わせながら専門的な見解で自由に質問していく形式です。この評価尺度によって患者の症状を軽症、中等症、重症というような評価の結果を求めるのではなく、むしろどのような症状があるのかを探るのが大きな視点となっています。

評価尺度の質問核7項目

  • 症状限定エピソードを含むパニック発作の頻度
  • 症状限定エピソードを含むパニック発作による不快感や苦痛
  • 予期不安の重症度 (パニック関連性の恐怖、懸念、心配)
  • 広場恐怖と回避
  • パニックに関連した感覚への恐怖と回避
  • パニック障害による職業上の機能障害
  • パニック障害による社会機能の障害

評価点数0〜4点

  • 0点:存在しない【なし】
  • 1点:時々症状がみられる【軽症】
  • 2点:しばしば症状がみられて障害があるがまだ手に負える【中等症】
  • 3点:もっぱら症状に捉われていてかなりの機能障害【重症】
  • 4点:場面に関わらず症状があり機能できない【極度の重症】

パニック障害一人でチャレンジ認知行動療法は、うつ病の認知療法・認知行動療法マニュアル(平成21年度厚生労働省こころの健康科学研究事業「精神療法の実施方法と有効性に関する研究」)から多くの内容を抜粋、参考に作成しています。

参考文献
DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル(医学書院)
標準精神医学 尾崎・三村・水野・村井編集/医学書院
板野雄二 不安障害に対する認知行動療法
厚生労働省 心の健康 認知行動療法より
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000113842.pdf
名古屋市立大学医学部精神医学講座
http://www.jscnp.org/scale/scale.pdf
パニック障害の基礎と臨床 白倉克之・山田和夫/金剛出版
パニック障害 竹内龍雄 鍬谷書店
パニック値(像)と遭遇した時の対処法 小宮山恭弘・脇英彦/じほう
パニック障害ハンドブック 治療ガイドラインと治療の実際 編集:熊野宏昭・久保木富房・貝谷久宣/医学書院

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