
性的マゾヒズム障害/性的サディズム障害
サディズムは他者に身体的苦痛や屈辱を与えることで性的興奮を得ることですが、時には被害者に深刻な身体的や精神的苦痛を与えることもあります。行為は性行為に際して縛る、叩くなど様々な身体に苦痛を与えたり、拘束や罵倒、性的支配や辱めることで性的興奮を強めるために行います。逆に苦痛を受けることを愛好する人をマゾヒズムと呼びます。これは18歳以前にその傾向があり、継続していることが障害の対象となります。また、マゾヒズムの人の30%はサディズムを行う願望を抱いています。
性的マゾヒズム障害
性的マゾヒズム(Sexual Masochism Disorder)は、他人から身体的または心理的な苦痛を受けることによって性的興奮を得る障害です。DSM-5(精神障害の診断および統計マニュアル 第5版)によると、次のような特徴があります。
性的マゾヒズム障害の概要と特徴
- 性的興奮の対象
-
- 身体的または心理的な苦痛、屈辱、苦悩を受けることによって性的興奮を得ます。
- これには、縛られる、殴られる、罵られる、侮辱されるなどの行為が含まれます。
- 持続期間
-
- 少なくとも6カ月以上にわたり、苦痛や屈辱を受ける行為やそのファンタジーによって強い性的興奮を感じる持続的なパターンが見られます。
- 行動パターン
-
- 他人から苦痛や屈辱を受ける行為が、性的活動の一部として繰り返し行われます。
- これらの行為は、性的満足の重要な要素となっています。
- 苦痛や機能障害
-
- この行動や欲求が、個人にとって顕著な苦痛や社会的、職業的、その他の重要な機能領域において障害を引き起こす場合に診断されます。
- 同意と法的問題
-
- 性的マゾヒズムの行為が同意の下で行われる場合、法的な問題は発生しませんが、同意がない場合や過度な行為が行われる場合は、法的問題となることがあります。
- 共存する他のパラフィリア
-
- 性的マゾヒズムを持つ人は、他のパラフィリア障害(例:性的サディズム、異性装障害)を同時に持つこともあります。
性的マゾヒズムの心理的および感情的側面
自我の心理的安定機制に関係するマゾヒズム
マゾヒズムを理解するには、その心理的背景や自我の安定機制に関する側面を考察することが重要です。性的マゾヒズムは、他者からの苦痛や屈辱を受けることで性的興奮を得る現象ですが、これは単なる性的嗜好の問題にとどまらず、個人の心理的安定や自我の調整に深く関わることがあります。
自我の心理的安定機制とマゾヒズム
- マゾヒズムにおいては、コントロールを他者に委ねることが重要な要素となります。日常生活での責任やストレスから解放されるために、支配される立場に立つことが心理的な安定感をもたらすことがあります。
- このコントロールの放棄は、日常生活で過度に自分をコントロールしようとする人にとって、解放感や安心感を与えるメカニズムとして機能します。
- 苦痛や屈辱を受けることで、日常のストレスや不安を解放する手段としてマゾヒズム的な行為を用いることがあります。痛みや屈辱を経験することで、心身の緊張を解放し、心理的なバランスを回復することができます。
- この過程は、ストレスの解消やリラックスを促進する一種のカタルシス(浄化作用)として機能します。
- 一部のマゾヒストにとって、苦痛や屈辱を受けることが自己評価や自尊心の一部として組み込まれることがあります。過去のトラウマや自己否定的な感情を持つ人々が、他者からの攻撃を通じて自己の価値を確認しようとすることがあります。
- このような行動は、無意識のうちに自己の価値を確かめ、心理的な安定を図るためのメカニズムとなります。
- マゾヒズム的な行為は、深い罪悪感や恥の感情を処理する方法として現れることがあります。自分自身を罰することで、内在する罪悪感を和らげようとすることがあります。
- このような行動は、自己の罪悪感を認識し、それを受け入れる手段として機能します。
- 幼少期の虐待やトラウマが性的マゾヒズムに影響を与えることがあります。過去の痛みや苦痛を再現することで、その経験を心理的に統合しようと試みることがあります。
- これにより、過去のトラウマを現在の経験と結びつけ、心理的な統合を図ることができます。
- マゾヒズムにおいて、依存的な関係が形成されることがあります。支配者との親密な関係を通じて、心理的な安定感を得ることができます。
- この依存関係は、親密さや安心感を追求する手段として機能します。
マゾヒズムの原因や要因
マゾヒズムやサディズムの原因や要因は複雑であり、個々によって異なります。これらの性的な嗜好や傾向は、様々な要因によって影響を受ける可能性がありますが、一般的には次のような要因が挙げられます。
- 心理的要因
過去の経験や精神的な側面が影響を与えていることがあります。例えば、過去のトラウマ、心的な構造、または特定の経験の影響などです。 - 性的な好奇心
一部の人は、自らに対する性的な好奇心や探求心がマゾヒズムを引き起こしています。新しい経験や感覚を追求することが、この嗜好の背後にある要因となることがあります。

好ましい被虐嗜好マゾヒズム
マゾヒズムは、性的な快感や満足を得るために、自らが痛みや屈辱にさらされることを好む嗜好の一形態です。これは広く BDSM(ボンデージ・ディシプリン・サディズム・マゾヒズム)の一部として知られています。マゾヒズムは、19世紀にオーストリアの小説家であるレオポルト・フォン・ザッハー=マゾッホにちなんで名付けられました。
マゾヒズムの特徴的な側面は次のようになります。
- 痛みの快楽
マゾヒストは、身体的な痛みや精神的な苦痛を経験することで快楽を感じています。これは一般的に、安全で合意のある状況で行われるものです。 - 支配と服従
マゾヒストは、性的な関係やシーンでパートナーに支配されることを好みます。これには、パートナーがリードし、コントロールすることになります。 - フェティッシュ
マゾヒストは、特定の物や行為に対するフェティッシュを持つことがあります。これは革製品、縄、あるいは特定の行為などになります。 - 合意と安全性
マゾヒズムは、合意と安全性が非常に重要です。参加者は事前にルールや限界を話し合い、合意のもとに行動します。セーフワード(安全な単語)の使用も一般的です。 - 心理的な側面
マゾヒズムは単に身体的な快楽だけでなく、心理的な側面も含まれます。屈辱感や征服感なども該当します。
性的マゾヒズムのセルフチェックリスト
性的マゾヒズム障害に関する自己評価・セルフチェックリストです。これらの質問は、個人が自身の行動や感情を評価するのに役立ちます。各質問に対して、「はい」または「いいえ」で答えてください。
次の質問に「はい」が多い場合、性的マゾヒズムの可能性があるかもしれません。ただし、自己評価はあくまで参考情報であり、正確な診断や治療を受けるためには専門の心理カウンセラーや医療専門家の支援が必要です。
№ | 性的マゾヒズムの自己評価・セルフチェックリスト |
---|---|
1. | 他者から身体的な苦痛を受けることで性的興奮を感じたことがありますか? |
2. | 他者から心理的な屈辱を受けることで性的興奮を感じたことがありますか? |
3. | 過去6カ月以上にわたり、苦痛や屈辱を受ける行為やそのファンタジーによって強い性的興奮を感じていますか? |
4. | 性的行為の一部として他者からの苦痛を積極的に求めたことがありますか? |
5. | 性的興奮を得るために自らを傷つけることが必要だと感じることがありますか? |
6. | 他者からの苦痛や屈辱を受けることで安心感や解放感を感じることがありますか? |
7. | 他者からの苦痛や屈辱を受けることで日常のストレスが軽減されると感じることがありますか? |
8. | 苦痛を受ける行為が性的満足を得るために欠かせないと感じていますか? |
9. | 苦痛や屈辱を受けることに対して罪悪感や恥ずかしさを感じることがありますか? |
10. | 他者に自分のマゾヒズム的な欲求を伝えることに対して不安や恐れを感じることがありますか? |
11. | 他者からの苦痛や屈辱を受けることで自分自身の価値を確認することがありますか? |
12. | 苦痛や屈辱を受ける行為が原因で社会的関係や仕事に悪影響を及ぼすことがありますか? |
13. | 苦痛や屈辱を受ける行為が原因で法的な問題やトラブルに巻き込まれたことがありますか? |
14. | 苦痛や屈辱を受ける行為が家族やパートナーとの関係を悪化させたことがありますか? |
15. | 苦痛を受ける行為を行うために特定の時間や場所を確保していますか? |
16. | 苦痛を受ける行為が原因で精神的な健康に悪影響を及ぼしていると感じますか? |
17. | 苦痛を受ける行為が倫理的に問題があると感じることがありますか? |
18. | 苦痛を受ける行為が日常の活動や義務を避ける理由になることがありますか? |
19. | 苦痛を受ける行為が他の重要な活動や関心事を妨げることがありますか? |
20. | 苦痛を受ける行為が過剰に高まることがありますか? |
21. | 他者からの苦痛を受ける行為が原因で孤立感や疎外感を感じることがありますか? |
22. | 他者からの苦痛を受ける行為に対して、専門家の助けを求めたいと考えていますか? |
23. | 過去に他者からの苦痛を受ける行為が原因で身体的な怪我を負ったことがありますか? |
24. | 他者からの苦痛を受ける行為が原因で性的活動に依存していると感じますか? |
25. | 他者からの苦痛を受ける行為が原因で自己評価や自尊心に影響を及ぼしていると感じますか? |

性的サディズム障害
性的サディズム(Sexual Sadism Disorder)は、他人に対して身体的または精神的な苦痛を与えることで性的興奮を得る障害です。DSM-5(精神障害の診断および統計マニュアル 第5版)によると、次のような特徴があります。
性的サディズム障害の概要と特徴
- 性的興奮の対象
-
- 他人に対して苦痛を与えること、すなわち身体的な痛みや心理的な苦痛を引き起こす行為によって性的興奮を得ます。
- この行動は、同意のない相手に対して行われることも多くなります。
- 持続期間
-
- 少なくとも6カ月以上にわたり、他人に苦痛を与える行為やそのファンタジーによって強い性的興奮を感じる持続的なパターンが見られます。
- 行動パターン
-
- 縛り付ける、殴る、傷つけるなど、身体的な苦痛を与える行為。
- 相手を侮辱したり、心理的に苦しめたりする行為。
- 相手が同意しない場合や、行為が強制的に行われる場合に問題となります。
- 苦痛や機能障害
-
- この行動や欲求が、個人にとって顕著な苦痛や社会的、職業的、その他の重要な機能領域において障害を引き起こす場合に診断されます。
- 同意のない相手に対して行われる場合は、犯罪行為となります。
- 法的および倫理的問題
-
- 他人に対して無断で苦痛を与える行為は法的に処罰されることが多く、性的サディズムの人は法的問題や社会的排除に直面することがあります。
- 共存する他のパラフィリア
-
- 性的サディズムを持つ人は、他のパラフィリア障害(例:性的マゾヒズム、窃視障害)を同時に持つこともあります。
- 心理療法
-
- 認知行動療法(CBT)は、性的サディズムに対して効果的です。CBTでは、性的興奮に対する思考パターンを再評価し、より適応的な行動を学びます。
- 行動療法の一環として、サディズム的な行動を引き起こす状況を避けるための対策を学ぶことです。
- 薬物療法
-
- 性的衝動を抑えるために、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)や抗アンドロゲン薬が用いられることがあります。
- サポートグループ
-
同じような経験を持つ人々とのサポートグループは、感情的なサポートを提供し、孤立感を軽減することができます。
サディズムの心理的および感情的側面
性的サディズムを理解するためには、その心理的な感情や行動の原理を深く探ることが重要です。次に、サディズムの心理的側面について詳しく説明します。
サディズムの心理的および感情的側面
- サディズムにおける主要な要素の一つは、他者に対する支配欲求や権力欲求です。サディズムを持つ人々は、他人に苦痛を与えることで自分が支配的な立場に立つことに強い満足感や興奮を感じます。
- この支配感は、自己評価や自尊心の向上につながることがあります。自分が他人をコントロールしているという感覚が、心理的な優位性を感じさせます。
- サディズム的な行為は、サディストにとって感情的な解放の手段となることがあります。怒り、フラストレーション、ストレスなどの感情が他人への攻撃的な行動を通じて解放されます。
- これは、感情の抑圧や管理が難しい場合に特に顕著で、攻撃的な行動を通じて、これらの感情が発散されることがあります。
- サディズムにおける性的興奮は、他人に苦痛を与える行為そのものから生じます。これは、苦痛を与えるという行動が性的な快感と強く結びついているためです。
- この関連性は、幼少期の経験や過去のトラウマ、性的発達の過程で形成されることがあります。
- サディズム的な行動は、過去に自分自身が被害を受けた経験に対する同一化や反発の結果であることがあります。被害者としての自分を他者に投影し、その痛みや苦しみを他人に転嫁することで心理的なバランスを保とうとする場合があります。
- このプロセスは無意識のうちに行われることが多く、自己の過去のトラウマや抑圧された感情に深く関わっています。
- サディズムを持つ人々は、他人の苦しみや痛みに対する共感が乏しいことが多いとしています。共感の欠如は、他人に対する攻撃的な行動を行う際の罪悪感や内的な葛藤を減少させます。
- この共感の欠如は、幼少期の養育環境や社会的な経験によって形成されることがあります。
- サディズム的な行動は、自己防衛の一形態として現れることもあります。他人を攻撃することで、自分自身が攻撃されるリスクを減少させようとする心理的なメカニズムです。
- これは、他人との関係において安全性や安定性を感じることが難しい場合に特に顕著です。
サディズムの原因や要因
- 支配欲とコントロール欲
サディストは、他者を支配しコントロールすることに快楽を感じています。これは一般的に、支配的な性格やコントロールへの欲求から生まれることがあります。 - 心理的要因
サディズムもまた、個々の心理的な側面が影響を与えています。他者を支配することで感じる権力や征服感が、サディストにとって魅力的であると感じています。 - 性的な好奇心
サディストも、性的な好奇心や新しい経験を求める欲求からこの嗜好を発展させることがあります。
好ましいサディズム
サディズムは、他者に痛みや苦痛を与えることで快楽を得る嗜好を指します。この概念は、18世紀にフランスの作家であるマルキ・ド・サド(Marquis de Sade)に由来しています。
サディズムの特徴的な側面は次のようになります。
- 他者に対する支配欲と快楽
サディストは、他者を支配し、痛みや苦痛を与えることに喜びや快楽を感じる傾向があります。これは性的な文脈だけでなく、非性的な文脈でも存在します。 - 身体的な苦痛の喜び
サディストは、身体的な苦痛や屈辱に喜びを感じます。これはパートナーに対して行う行為や、時には自らが受けることもあります。 - 合意と安全性
サディズムもまた、合意と安全性が重要です。関与する全ての者は、行為が合意の上で行われ、安全な状況であることを確認する必要があります。セーフワードや合意のルールが設けられることが一般的です。 - 心理的な側面
サディズムは、単に身体的な行為だけでなく、心理的な側面も対象となります。他者を支配することで得られる征服感や権力感が重要な要素となります。
マゾヒズムもサディズムも重要なのは、行為が全て合意の上で行われることです。セーフ、サイン、ストップなどの合図が尊重され、パートナーシップが信頼に基づいていることが重要です。
BDSMの中で、サディストとマゾヒストが出会い、互いに満足できる形で活動します。これらの行為は合意のもとに行われるべきであり、参加者同士のコミュニケーションや信頼が不可欠です。 BDSMは多様性を含む性的な表現の一環であり、それぞれの個人が安全かつ合意の範囲内で行うことが重要です。
性的サディズムのセルフチェックリスト
性的サディズム障害に関する自己評価・セルフチェックリストです。これらの質問は、個人が自身の行動や感情を評価するのに役立ちます。各質問に対して、「はい」または「いいえ」で答えてください。
次の質問に「はい」が多い場合、性的サディズムの可能性があるかもしれません。ただし、自己評価はあくまで参考情報であり、正確な診断や治療を受けるためには専門の心理カウンセラーや医療専門家の支援が必要です。
№ | 性的サディズムの自己評価・セルフチェックリスト |
---|---|
1. | 他人に身体的な苦痛を与えることで性的興奮を感じたことがありますか? |
2. | 他人を侮辱することで性的満足を得たことがありますか? |
3. | 過去6カ月以上にわたり、他人に苦痛を与える行為やそのファンタジーによって強い性的興奮を感じていますか? |
4. | 他人に対して無断で身体的な攻撃を行ったことがありますか? |
5. | 他人の同意なしに苦痛を与えることに快感を感じますか? |
6. | 苦痛を与える行為が性的活動の一部として常に含まれていますか? |
7. | 他人に対して支配的な立場に立つことで性的興奮を感じますか? |
8. | 自分が他人をコントロールしていると感じるときに強い満足感を得ますか? |
9. | 他人に対して攻撃的な行為を繰り返し行うことで性的満足を得ていますか? |
10. | 他人に対する攻撃的な行為が原因で罪悪感や恥ずかしさを感じることがありますか? |
11. | 他人に対して攻撃的な行為が原因で社会的関係や仕事に悪影響を及ぼすことがありますか? |
12. | 他人に対する攻撃的な行為をやめたいと考えたことがありますが、やめられないと感じますか? |
13. | 他人に対する攻撃的な行為が原因で法的な問題やトラブルに巻き込まれたことがありますか? |
14. | 他人に対する攻撃的な行為が家族やパートナーとの関係を悪化させたことがありますか? |
15. | 攻撃的な行為を行うために特定の時間や場所を確保していますか? |
16. | 他人に対する攻撃的な行為がストレスの解消や精神的な安らぎをもたらすことがありますか? |
17. | 他人に対する攻撃的な行為が原因で孤立感や疎外感を感じることがありますか? |
18. | 他人に対する攻撃的な行為が原因で精神的な健康に悪影響を及ぼしていると感じますか? |
19. | 他人に対する攻撃的な行為が倫理的に問題があると感じることがありますか? |
20. | 他人に対する攻撃的な行為が日常の活動や義務を避ける理由になることがありますか? |
21. | 他人に対する攻撃的な行為が自分自身や他人に害を及ぼす可能性があると感じることがありますか? |
22. | 他人に対する攻撃的な行為が他の重要な活動や関心事を妨げることがありますか? |
23. | 他人に対する攻撃的な行為が過剰に高まることがありますか? |
24. | 他人に対する攻撃的な行為が原因で法的な問題を避けるための対策を考えたことがありますか? |
25. | 他人に対する攻撃的な行為に対して、専門家の助けを求めたいと考えていますか? |

その他のパラフィリア障害
性的興奮のために、卑猥な電話をかける、陰部に針を通す、首を絞める、糞尿愛好症のように尿を飲む、便を塗る、また、手や足を欠損している肢体や身体障害者の他、動物との性行為に興奮する、死体に欲情する死体性愛症などのパラフィリア障害が知られています。
パラフィリアやフェティシズムの類型は100以上に分類されています。
- 異物肛門虐愛:アノレクタル
- 小便愛:ウロフィリア
- 浣腸愛:クリスマフィリア
- 窒息性愛:ハイポクシフィリア
- 四肢欠損愛:アクロトモフィリア
- 身体障害性愛:アベイショフィリア
- 奇形性愛:ディスモーフォフィリア
- 病症性愛:ノソフィリア
- 妊婦性愛:メイシオフェリア
- 幼児行動性愛:オートネピオフィリア
- 強姦性愛:バイストフィリア
これらの障害は異常な性的嗜好や行動を含み、その嗜好や行動が一部では倫理的、社会的、法的に許容されない場合に分類されます。5つの代表的なパラフィリア障害とその概要、特徴を紹介します。
ネクロフィリア障害(Necrophilic Disorder)
ネクロフィリア障害は、死体に対する性的興奮や衝動を特徴とします。
- 性的興奮
- 死体に対する持続的で強い性的ファンタジーや衝動を感じます。
- 行動
- 実際に死体と性的な行為を行います。
- 倫理的・法的問題
- この行動は倫理的にも法的にも重大な問題を引き起こし、法的処罰の対象となります。
ゾーオフィリア障害(Zoophilic Disorder)
ゾーオフィリア障害は、動物に対する性的興奮や衝動を特徴とします。
- 性的興奮
- 動物に対する持続的で強い性的ファンタジーや衝動を感じます。
- 行動
- 実際に動物と性的な行為を試みます。
- 倫理的・法的問題
- この行動は倫理的にも法的にも問題があり、動物虐待とみなされることがあります。
クロニフィリア障害(Chronophilic Disorders)
クロニフィリア障害は、特定の年齢層の個人に対する性的興奮を特徴とします。ペドフィリア(小児に対する性的興奮)はクロニフィリアの一種です。
- 特定の年齢層
- 特定の年齢層(例:思春期前、中年期、高齢期)の個人に対する性的興奮やファンタジーを持ちます。
- 持続的な衝動
- この性的興奮が持続的であり、日常生活に影響を与えることがあります。
- 行動
- 実際に特定の年齢層の個人との性的行為を試みることがあります。
コプロフィリア障害(Coprophilic Disorder)
コプロフィリア障害は、糞便に対する性的興奮を特徴とします。
- 性的興奮
- 糞便に触れることやそれを使用する行為に対して強い性的興奮を感じます。
- 行動
- 実際に糞便を使った性的行為を行います。
- 衛生的・健康的リスク
- この行動は衛生的にも健康的にもリスクを伴います。
コプロフィリア・セルフチェックリスト(25問)
コプロフィリアとは、糞便に関連する行為に性的興奮を感じる嗜好のことを指します。本セルフチェックリストは、ご自身の嗜好の特徴や影響を理解するためのものです。診断を目的とするものではなく、自己理解や専門家への相談の参考としてご利用ください。以下の25の質問に、「はい(2点)」「どちらでもない(1点)」「いいえ(0点)」で回答してください。
№ | コプロフィリア・セルフチェックリスト(25問) |
---|---|
嗜好の自覚と性的興奮の程度 | |
1. | 糞便に関連する性的嗜好があると自覚している。 |
2. | 糞便のにおいや感触を意識すると性的興奮を感じることがある。 |
3. | 性的な空想の中で、糞便に関連するシチュエーションを思い浮かべることが多い。 |
4. | 実際に糞便を使用した性的行為を試したことがある。 |
5. | 糞便を使った行為なしでは性的興奮を得ることが難しいと感じることがある。 |
嗜好による生活・人間関係への影響 | |
6. | パートナーに糞便に関する性的嗜好について話したことがある。 |
7. | 嗜好が原因でパートナーや他人との関係に困難を感じたことがある。 |
8. | 糞便嗜好に対する社会的な偏見や否定的な意見が気になり、ストレスを感じることがある。 |
9. | 嗜好の影響で、通常の性的関係に満足できないことがある。 |
10. | これまでの恋愛や性的関係で、糞便嗜好のために問題が生じたことがある。 |
衝動のコントロールと強迫性 | |
11. | 糞便を用いた性的行為をしたいという衝動を抑えられないと感じることがある。 |
12. | 糞便に関連する性的行為を求める頻度が増えてきていると感じる。 |
13. | 一度性的行為を行うと、より強い刺激を求めるようになる傾向がある。 |
14. | 性的興奮を得るために、常に新しい方法を探すことがある。 |
15. | 糞便嗜好に関する行動を控えようとしても、考えが頭から離れないことがある。 |
安全性と健康リスク | |
16. | 糞便に関連する行為が健康リスクを伴う可能性があると認識している。 |
17. | 感染症のリスクを減らすための衛生管理を徹底している。 |
18. | 健康への悪影響があるにもかかわらず、行為を続けてしまうことがある。 |
19. | 行為の後に後悔や不快感を感じることがある。 |
20. | 行為をする際、他者への影響(倫理的・衛生的観点)を考慮している。 |
自己受容と精神的負担 | |
21. | 自分の嗜好に罪悪感や嫌悪感を抱くことがある。 |
22. | 嗜好を持つ自分を受け入れることができている。 |
23. | 社会的な偏見や否定的な見解によって、自己評価が低くなることがある。 |
24. | セラピストや専門家に相談したことがある、または相談を考えたことがある。 |
25. | この嗜好が自分の人生にどのような影響を与えるかを、深く考えたことがある。 |
評価・スコアリング
合計得点を計算し、以下の基準に従って評価してください。
- このチェックリストは、自己理解を深めるためのものです。点数が高いほど、嗜好が強く、生活や精神面への影響が大きい可能性があります。
- 「罪悪感を感じる」「コントロールが難しい」「社会生活に支障がある」といった項目が多い場合は、専門家への相談を検討してみてください。
- 性的嗜好自体は多様であり、倫理的・健康的な配慮をすれば必ずしも問題視されるものではありません。しかし、嗜好が強迫的になったり、生活に悪影響を及ぼしている場合は、対処法を考えることが重要です。
合計点数 | 評価 | 解説 |
0~15点 | 低い傾向 | 糞便嗜好は軽度で、性的興奮の一要素として持っているが、強い影響はない。自己受容度も高く、コントロールできている可能性がある。 |
16~30点 | 中程度の傾向 | 糞便嗜好が性的興奮において重要な役割を持ち、時折、衝動や強迫的な思考が生じる可能性がある。自分の嗜好との向き合い方を考える段階。 |
31~45点 | 高い傾向 | 糞便嗜好が強く、衝動のコントロールが難しくなっている。日常生活や人間関係への影響が出ている可能性がある。専門家への相談が推奨される。 |
46~50点 | 非常に高い傾向 | 嗜好が強迫的で、コントロールが難しく、生活の質に大きく影響を及ぼしている可能性がある。衛生管理や倫理的な側面も考慮し、精神的・身体的リスクを最小限にするために、専門的な支援を検討することを推奨。 |
尿道フィリア障害(Urophilic Disorder)
尿道フィリア障害は、尿道に異物を挿入する性的行為により性的快感を得るパラフィリア、または性的興奮を特徴とします。
- 性的興奮
- 尿道に異物を挿入することで得られる苦痛と快感を伴う性的行為や尿に触れることやそれを使用する行為に対して強い性的興奮を感じます。
- 行動
- 実際に尿道に異物を挿入する行為や尿を使った性的行為を行います。
- 衛生的・健康的リスク
- この行動は衛生的にも健康的にもリスクを伴います。
尿道フィリア・セルフチェックリスト(25問)
尿道フィリア(Urethral Play)は、尿道への刺激を用いた性的興奮を伴う嗜好を指します。このセルフチェックリストは、個人の嗜好の理解や影響を把握するためのものであり、診断を目的とするものではありません。自己評価や専門家への相談の参考としてご利用ください。以下の25の質問に、「はい(2点)」「どちらでもない(1点)」「いいえ(0点)」で回答してください。
№ | 尿道フィリア・セルフチェックリスト(25問) |
---|---|
嗜好の自覚と性的興奮の程度 | |
1. | 尿道を刺激する行為(尿道挿入、尿道拡張など)に興味がある。 |
2. | 過去に尿道プレイを試したことがある。 |
3. | 尿道への刺激を想像すると性的興奮を感じることがある。 |
4. | 通常の性的行為では満足できず、尿道プレイを取り入れたいと感じることがある。 |
5. | 性的空想やオナニーの際に、尿道プレイを想像することが多い。 |
生活・人間関係への影響 | |
6. | パートナーに尿道フィリアの嗜好について話したことがある。 |
7. | 嗜好が原因でパートナーや他人との関係に困難を感じたことがある。 |
8. | 自分の嗜好を隠すことにストレスを感じることがある。 |
9. | 尿道フィリアの影響で、通常の性的関係に満足できないことがある。 |
10. | これまでの恋愛や性的関係で、尿道フィリアのために問題が生じたことがある。 |
衝動のコントロールと強迫性 | |
11. | 尿道プレイをしたいという衝動を抑えられないと感じることがある。 |
12. | 一度行為をすると、より強い刺激を求める傾向がある。 |
13. | 性的興奮を得るために、常に新しい方法や道具を試したくなることがある。 |
14. | 尿道への刺激なしでは、性的満足を得られないと感じることがある。 |
15. | 自分の嗜好について強い罪悪感や自己嫌悪を抱くことがある。 |
安全性と健康リスク | |
16. | 尿道プレイが健康リスクを伴う可能性があると認識している。 |
17. | 感染症のリスクを減らすための衛生管理を徹底している。 |
18. | 健康リスクがあると分かっていても、行為を続けてしまうことがある。 |
19. | 尿道プレイ後に痛みや違和感を感じることがある。 |
20. | 医師や専門家に相談したことがある、または相談を検討したことがある。 |
自己受容と精神的負担 | |
21. | 自分の嗜好を受け入れることができている。 |
22. | 社会的な偏見や否定的な意見によって、自己評価が低くなることがある。 |
23. | 尿道プレイをすることで、精神的に満たされた感覚を得ることがある。 |
24. | 嗜好を誰にも相談できず、一人で抱え込んでいると感じることがある。 |
25. | この嗜好が自分の人生にどのような影響を与えるかを深く考えたことがある。 |
評価・スコアリング
合計得点を計算し、以下の基準に従って評価してください。
- 自己理解を深めるためのツール として利用し、嗜好の強さや生活・精神面への影響を把握してください。
- 点数が高いほど、嗜好が強く、生活や健康に影響を与える可能性 があります。
- 「衝動を抑えられない」「通常の性的関係に満足できない」「健康リスクがあってもやめられない」といった項目が多い場合は、専門家への相談を検討 してみてください。
- 尿道プレイは適切な衛生管理と安全対策が重要 です。感染症や尿道損傷のリスクを理解し、安全に行う方法を学ぶことが推奨されます。
- 性的嗜好自体は多様であり、個人の自由ですが、日常生活や精神的健康に悪影響を及ぼす場合は、適切な対処が必要 です。
合計点数 | 評価 | 解説 |
0~15点 | 低い傾向 | 尿道フィリアの嗜好は軽度で、性的興奮の一要素として持っているが、強い影響はない。自己受容度も高く、コントロールできている可能性がある。 |
16~30点 | 中程度の傾向 | 尿道プレイが性的興奮において重要な役割を持ち、時折、衝動や強迫的な思考が生じる可能性がある。健康リスクやパートナーとの関係を考慮しながら、自分の嗜好と向き合う段階。 |
31~45点 | 高い傾向 | 尿道プレイの嗜好が強く、衝動のコントロールが難しくなっている。日常生活や人間関係への影響が出ている可能性がある。専門家への相談が推奨される。 |
46~50点 | 非常に高い傾向 | 嗜好が強迫的で、コントロールが難しく、生活の質に大きく影響を及ぼしている可能性がある。衛生管理や健康リスクを最小限にするために、専門的な支援を検討することが推奨。 |

原因や要因
パラフィリア障害は心理ストレスや環境因子によって、一時的に生じたものではありません。原因は明確ではありませんが、精神分析的な理論では、幼少期の性的発達の過程での経験や性的虐待などが関連しているとされています。また、一部の研究では遺伝的な要因が関与している可能性があることも示唆されています。
発症率はパラフィリア障害群の種類によって異なりますが、成人男性の1%〜6%がフェティシズム障害や性的サディズムなどの思考を持っていると報告されています。また、多くの人々はパラフィリア障害群を自覚しないまま長年症状を持ち続けることがあります。
一般的に性的嗜好に関する症状が最も顕著になるのは、10代から30代とされています。年齢とともにパラフィリア障害群の症状が衰退するとされています。これは、年齢による性的興奮の低下や、社会的な制約による影響が考えられています。
男女比率については明確な統計はありませんが、一般的に男性に多く女性は比較的少ないとされていますが、女性にもパラフィリア障害群の症状があることが知られており、サディズムやマゾヒズム、持続性性喚起症候群などが報告されています。
パラフィリア(マゾヒズム)の基本メカニズム
パラフィリアは、特定の対象や行動に対して性的興奮を感じる「学習」と「条件付け」の影響を強く受ける」 ことが知られています。パラフィリアは「快感の学習と条件付け」により強化されやすい ため、エスカレーションを防ぐには 認知行動療法や性的嗜好管理のアプローチ が有効です。
性的マゾヒズム(Sexual Masochism)
痛み・屈辱・支配を受けることによって性的興奮を得るパラフィリア。
- 形成メカニズム
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- 幼少期の羞恥・支配経験
- 例)厳格な親による体罰・羞恥体験(裸で立たされる、暴言を浴びせられる)
- これが「快感」と結びつくと、マゾヒズムとして定着
- 支配=愛情の学習
- 幼少期に「虐待=愛の形」として学習すると、苦痛が快感になる
- 例)DV被害者が加害者に愛着を持つ(ストックホルム症候群)
- 性的興奮の条件付け
- 思春期の自慰行為が「羞恥・痛み」と結びつく
- 「普通の性行為」では満足できなくなり、より強い羞恥や苦痛を求める
- 幼少期の羞恥・支配経験
- 強迫観念との関係
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- 「痛みを感じないと性的興奮が得られない」という 強迫的欲求 になる
- 一般的な性行為では興奮せず、よりエスカレートするリスク がある
- パートナーとの関係に支障をきたす 可能性(合意なしのプレイや暴力依存)
コプロフィリア(Coprophilia:糞便嗜好)
糞便の視覚・臭い・感触・摂取に対する性的興奮 を特徴とするパラフィリア。
- 形成メカニズム
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- 幼少期のトイレトレーニングと羞恥
- 幼少期に 排泄を強く叱責された経験(排泄=恥)
- 逆に 親が過度に寛容だった場合 も、排泄を「特別なもの」として認識する
- 屈辱感と快感の関連付け
- 糞便が「汚いもの」という羞恥と結びつき、興奮を誘発
- 例)羞恥プレイ・奴隷的な支配/被支配関係と結びつく
- 性的興奮の条件付け
- 思春期の自慰行為と糞便の関連(匂いや映像刺激)
- ポルノ・フェチサイトなどで強化される
- 幼少期のトイレトレーニングと羞恥
- 強迫観念との関係
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- 排泄を性的興奮の必須条件とし、通常の性行為に満足できなくなる
- 過激な行為(摂取・排泄プレイ)がエスカレートするリスク
- 社会的なタブー意識が強く、 孤独や罪悪感を伴う ことが多い
尿道フィリア(Urethral Play)
尿道に異物を挿入することにより性的快感を得るパラフィリア。
- 形成メカニズム
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- 幼少期の医療・排泄経験
- 幼少期に カテーテル・診察などで尿道刺激を経験
- これが「異常快感」として記憶される
- 強迫的な探索行動
- 思春期に自慰行為の際、尿道に指や異物を挿入し興奮する
- 「もっと強い刺激を求める」ことで、異物挿入がエスカレート
- 痛みと快感の混同
- 尿道刺激は痛みと快感が同時に生じやすく、快感と混同されやすい
- これが「性的マゾヒズム」と結びつくことも
- 幼少期の医療・排泄経験
- 強迫観念との関係
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- 通常の性行為に満足できず、尿道プレイをしないと性的興奮を得られない
- 異物挿入のリスク(感染症・尿道損傷) が高い
- より強い刺激を求める傾向(エスカレーション)
治療法
本人の苦痛度合は個人差がありますが、パラフィリア障害群に苦しんでいる人は、性的指向が一般的には受け入れられないために、自己嫌悪や罪悪感、孤独感、抑うつ、不安などの精神的苦痛を経験していて治療を望むケースもあります。
パラフィリア障害群は治療の対象となる可能性があり、治療には、認知行動療法、精神療法、薬物療法、およびグループセラピーなどがあります。治療はパラフィリア障害群に苦しむ人々が、自分や他人に害を与えることなく、より健康的で満足のいく性的関係を持てる支援をすることを目的としています。
認知行動療法
認知行動療法(CBT)は、パラフィリア障害群に対して有効な治療法の一つです。CBTでは、性的興奮に対する思考パターンを再評価し、より適応的な行動を学びます。
- 評価
治療者はクライエントの症状や性的嗜好を評価します。評価には症状の程度、症状の発症に至る経緯、パラフィリア嗜好の強度や頻度、パートナーや社会との関係に与える影響などです。 - 目標設定
クライエントと治療者は治療の目標を設定を検討します。目標とは患者が望む性的嗜好の変更、不適切な性的嗜好に関連するストレスや苦痛の軽減、または法的な問題の回避などです。 - 問題解決と認知再構築
治療者はクライエンと共に、問題解決と認知再構築の方法を探ります。患者が抱える誤った思考パターンを特定し、それらを正しい思考に置き換えることで、クライエントの性的嗜好に対する認識を変えます。また、対人関係や人間関係のスキルの改善を目指し、コミュニケーション技術や対人能力のトレーニングを行うこともあります。 - 暴露療法
クライエントが不適切な性的嗜好に焦点を当て、それに関連するストレスを減らすためのテクニックです。例えば、クライエントが子供に対する性的嗜好を抱いている場合、治療者は安全な環境の中で子供の映像や画像を見せることでクライエントの欲求や感情を軽減させます。 - 応用行動分析
クライエントの性的嗜好に対する行動を詳しく分析することで、その背後にある欲求や感情を理解することを目指します。そして、代替行動やストレス管理の方法を提案することで、患者が望む行動の変化を促します。 - ストレス管理
不適切な性的嗜好に関連するストレスを減らすためのテクニックです。患者は、リラクゼーション技術、呼吸法、マインドフルネス、ストレッチングなどを学び、ストレスをコントロールする方法を身につけます。 - 対人スキルのトレーニング
不適切な性的嗜好に関連する対人スキルの不足を補うためのテクニックです。治療者は、コミュニケーション技術、人間関係スキル、対人能力のトレーニングを提供し、クライエントの対人関係を改善することを目指します。
薬物療法
薬物療法は抗不安薬や抗うつ薬、衝動を抑える非定型抗精神病薬などを用いります。
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、パラフィリア障害群の治療に用いられる薬剤の一つです。SSRIは、セロトニン神経系に作用して、セロトニンの放出を促進し、脳内のセロトニン濃度を増加させることで、性的欲求や衝動を抑制する効果があります。また、SSRIは、うつ病や不安障害などの精神障害の治療にも用いられます。
アンドロゲン(男性ホルモン)を抑制する薬剤も、パラフィリア障害群の治療に用いられます。アンドロゲンは、男性の性的欲求や性的興奮を刺激するホルモンであり、アンドロゲンの過剰分泌が、パラフィリア障害群の症状を引き起こす原因となるともいわれています。
薬物療法の選択には、副作用や禁忌症、相互作用などのリスクもあります。そのため、薬物療法は症状や体質に合わせて慎重に行う必要があります。治療の効果や副作用の把握には、定期的な診察や血液検査が必要となります。

ICD-11では性的機能障害と性的健康に関する広範なカテゴリー
ICD-11では、パラフィリアに関する独立した診断カテゴリーは削除されました。理由としては、パラフィリア障害の偏見や差別のリスクを最小限に抑え、人間らしさや性自認に関する人権を尊重するためとされています。代わりに、ICD-11では、性的機能障害と性的健康に関する広範なカテゴリーが設定されています。このカテゴリーには、性的欲求や行動に関する問題が含まれますが、それぞれの問題に対して独立した診断が付与されるわけではありません。
ICD-11では、性的健康に関するカテゴリーがより包括的になり、性的機能障害、性的欲求や好みの問題、性的偏見や差別、性的虐待や暴力などの問題が統合されています。このアプローチは、性的健康を総合的かつポジティブな観点から捉え、性的機能障害やパラフィリアなどの病的な問題にだけ焦点を当てるのではなく、性的健康の維持や促進を目的としています。
ただし、ICD-11では、性的行動が他者に害を及ぼす場合や、人間や動物に対する性的嗜好が強すぎる場合など、性的行動に関する問題については、別途診断が付与されることがあります。例えば、「性的嗜好障害」という診断があり、人間や動物に対する強い性的嗜好がある場合などに適用されます。
性的嗜好障害は、ICD-11の性的健康に関するカテゴリーの中で、異常な性的嗜好がある場合に診断される状態です。異常な性的嗜好とは、一般的な性的興奮の対象でない、他者に害を及ぼす、または個人に深刻な苦痛を与える性的嗜好のことを指します。
性的嗜好障害には、いくつかのサブタイプがあります。代表的なものには、次のようなものがあります。
- 性的嗜好障害-人間対象型(人間が関与する性的嗜好障害)
- 性的偏見や性的差別、性的暴力などの問題を含む人間対象型の異常な性的嗜好について診断されます。
- 性的嗜好障害-非人間対象型(人間以外の物体を含む性的嗜好障害)
- 動物や物体、非生物的なものなどの対象に対して異常な性的嗜好がある場合に診断されます。
- 性的嗜好障害-自己対象型(自己が関与する性的嗜好障害)
- 自身の身体に対する異常な性的嗜好がある場合に診断されます。
これらのサブタイプは、異常な性的嗜好の対象が異なるものの、基本的な症状は今までと変わりません。具体的には、性的嗜好に関する深刻な苦痛やストレス、異常な性的嗜好による他者への害、自己イメージや社会的関係に対する影響などとなります。
性的嗜好障害の診断には、心理学的、医学的、または法的な問題がある場合にのみ付与されます。異常な性的嗜好が個人的な範囲内でのみ存在する場合は、性的嗜好障害とは見なされません。ただし、異常な性的嗜好が個人的な範囲内で存在していても、個人的な苦痛やストレスがある場合には、それが他の問題の原因である可能性があります。
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DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル 高橋三郎・大野裕監修/2021医学書院標準精神 尾崎紀夫・三村將・水野雅文・村井俊哉/医学書院