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パラフィリア障害群-実際の無料心理相談例を徹底検証➀

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フェチやキンクはまだ良いが、性的倒錯や性嗜好異常、性嗜好障害と呼ばれるのは嫌だ!切実な悩みのパラフィリア障害の概念を徹底検証する-1弾!

2023年の年明けとともに、3時間無料対面カウンセリングに予約が入りました。予約シートには、パラフィリア障害で困っているということでした。私はパラフィリア障害のカウンセリングは初めてのことでしたが、最悪は犯罪につながることもあり、また以前にパラフィリア障害の知り合いと長く接触していた経験がありましたので引き受けることにしました。
心理相談を受け付けた結果、SUDS(興奮・苦痛の主観的評価点数)の不安階層の高順にみると➀露出障害、➁窃触障害、③窃視障害、➃フェティシズム障害と複数の類型に興奮する感情がありました。
今回はパラフィリア障害について解説します。

パラフィリア障害群(性嗜好障害)は、特殊で様々な対象や行為、空想に起因して性的興奮や衝動を引き起こす障害です。これは普通ではない異常な性的嗜好や欲求がある状態であり、その性的嗜好や欲求が、倫理的、社会的、法的に許容されない場合に、パラフィリア障害群として分類されます。

DSM-5(精神障害の診断および統計マニュアル)によると、パラフィリア障害群は、一般的に、自己または他者に対して、長期間(6カ月以上)継続して、反復的かつ強い異常な性的刺激が必要な欲求として定義されます。また、同一人物に複数のパラフィリア障害がみられることも多いとされています。
ICD-11(国際疾患分類)では、パラフィリア障害は偏見や差別のリスクを最小限に抑え、人間らしさや性自認に関する人権を尊重するために、性的嗜好に関するカテゴリーが削除されています。

パラフィリア障害群は、性行動の対象や性的興奮が生じる方法によって分類されており、代表的なのは次の類型です。1つずつ詳しくみていきます。

  • 小児性愛障害
  • 異性装障害
  • 露出障害
  • フェティシズム障害
  • 窃視障害
  • 窃触障害
  • 性的サディズム/マゾヒズム障害

小児性愛障害

小児を性欲の対象として魅了する特徴を持っています。男性が女児を対象とすることが大多数ですが、女性が男児を対象にすることも、同性が対象となることもあります。DSM-5では、障害者が13歳以上であり対象者は5歳以上若いとされていて、一般的には思春期以前の少女です。行為は身体をなでる、触る、接吻、抱擁、性器をいじる、性交となります。
小児に強く性的興奮を抱く例と、成人を対象にできない経験や環境化の下で小児に欲求が向けられる場合があります。
小児愛障害は法的にも倫理的にも許容される範囲ではなく、被害者に深刻な心理的苦痛を与えることになりますので治療を必要とします。

異性装障害

性的興奮を得るために異性の洋服を着用します。衣服の他には化粧品やプロテーゼの使用などもあります。
多くは異性の下着や着衣などで、自慰や性交に際して興奮を引き起こすために行われます。危惧されることは下着の窃盗などが行われることです。
異性装障害は窃盗や倫理的な問題を引き起こさなければ、犯罪とはみなされません。

露出障害

人前で自分の性器を露出することを好む性的嗜好です。露出した相手を襲うようなことでも性交を望む気持ちもありません。自らの性器を見せびらかし、相手の注意を引き付けて空想することで性的興奮を得ています。公衆の面前や見知らぬ相手を対象として反復的に行われています。
露出障害は、一般的に法的にも許容されないために犯罪として処罰されます。

フェティシズム障害

フェテッシュ主義とも言われ、性欲喚起、性的魅了のために物品や素材に対しての性的嗜好となります。人が身につける靴、パンスト、下着、レーザー、ゴム、毛皮、プラスチック、靴下など、人体の延長物として見ることができます。このように特殊な質感に興奮し、性的興奮を強めることにも使われていて、性交の相手にも身につけてもらうこともあります。これは思春期に始まり継続します。
フェティシズム障害は、窃盗などで法的問題が引き起こされることもあります。また、パートナーに対して好ましくない性的嗜好であれば、パートナーとの関係に影響を与えてしまいます。

窃視障害

性的興奮を得るために、他者に気付かれないように他者をのぞき見する傾向があります。傾向には他者の裸や性器、衣服を脱ぐ動作、性行為などをのぞき見することが繰り返されます。性行為が目的ではなく、見ることや見る行為が性的魅了の最終目的となります。
盗撮などの行動が高くなりますので、法的問題を引き起こすことが多くなります。

窃触障害

公共の場や混雑している電車やバスなどの乗り物の中で性的刺激を求めて、身体を触ったり撫でたりする行為を繰り返します。この行為に対する空想や衝動的に行動することが性的興奮をもたらしています。
痴漢などで検挙されるケースも多くなっているだけでなく、対象者の精神的苦痛を伴う行為ですので治療を必要とします。

性的サディズム/マゾヒズム

サディズムは他者に身体的苦痛や屈辱を与えることで性的興奮を得ることですが、時には被害者に深刻な身体的や精神的苦痛を与えることもあります。行為は性行為に際して縛る、叩くなど様々な身体に苦痛を与えたり、拘束や罵倒、性的支配や辱めることで性的興奮を強めるために行います。逆に苦痛を受けることを愛好する人をマゾヒズムと呼びます。これは18歳以前にその傾向があり、継続していることが障害の対象となります。また、マゾヒズムの人の30%はサディズムを行う願望を抱いています。

好ましい被虐嗜好マゾヒズム

マゾヒズムは、性的な快感や満足を得るために、自らが痛みや屈辱にさらされることを好む嗜好の一形態です。これは広く BDSM(ボンデージ・ディシプリン・サディズム・マゾヒズム)の一部として知られています。マゾヒズムは、19世紀にオーストリアの小説家であるレオポルト・フォン・ザッハー=マゾッホにちなんで名付けられました。
マゾヒズムの特徴的な側面は次のようになります。

  1. 痛みの快楽
    マゾヒストは、身体的な痛みや精神的な苦痛を経験することで快楽を感じています。これは一般的に、安全で合意のある状況で行われるものです。
  2. 支配と服従
    マゾヒストは、性的な関係やシーンでパートナーに支配されることを好みます。これには、パートナーがリードし、コントロールすることになります。
  3. フェティッシュ
    マゾヒストは、特定の物や行為に対するフェティッシュを持つことがあります。これは革製品、縄、あるいは特定の行為などになります。
  4. 合意と安全性
    マゾヒズムは、合意と安全性が非常に重要です。参加者は事前にルールや限界を話し合い、合意のもとに行動します。セーフワード(安全な単語)の使用も一般的です。
  5. 心理的な側面
    マゾヒズムは単に身体的な快楽だけでなく、心理的な側面も含まれます。屈辱感や征服感なども該当します。

好ましいサディズム

サディズムは、他者に痛みや苦痛を与えることで快楽を得る嗜好を指します。この概念は、18世紀にフランスの作家であるマルキ・ド・サド(Marquis de Sade)に由来しています。
サディズムの特徴的な側面は次のようになります。

  1. 他者に対する支配欲と快楽
    サディストは、他者を支配し、痛みや苦痛を与えることに喜びや快楽を感じる傾向があります。これは性的な文脈だけでなく、非性的な文脈でも存在します。
  2. 身体的な苦痛の喜び
    サディストは、身体的な苦痛や屈辱に喜びを感じます。これはパートナーに対して行う行為や、時には自らが受けることもあります。
  3. 合意と安全性
    サディズムもまた、合意と安全性が重要です。関与する全ての者は、行為が合意の上で行われ、安全な状況であることを確認する必要があります。セーフワードや合意のルールが設けられることが一般的です。
  4. 心理的な側面
    サディズムは、単に身体的な行為だけでなく、心理的な側面も該当しす。他者を支配することで得られる征服感や権力感が重要な要素となります。

マゾヒズムもサディズムも重要なのは、行為が全て合意の上で行われることです。セーフ、サイン、ストップなどの合図が尊重され、パートナーシップが信頼に基づいていることが重要です。
BDSMの中で、サディストとマゾヒストが出会い、互いに満足できる形で活動します。これらの行為は合意のもとに行われるべきであり、参加者同士のコミュニケーションや信頼が不可欠です。 BDSMは多様性を含む性的な表現の一環であり、それぞれの個人が安全かつ合意の範囲内で行うことが重要です。

マゾヒズムの原因や要因

マゾヒズムやサディズムの原因や要因は複雑であり、各個々によって異なります。これらの性的な嗜好や傾向は、様々な要因によって影響を受ける可能性がありますが、一般的には次のような要因が挙げられます。

  1. 心理的要因
    過去の経験や精神的な側面が影響を与えていることがあります。例えば、過去のトラウマ、心的な構造、または特定の経験の影響などです。
  2. 性的な好奇心
    一部の人は、自らに対する性的な好奇心や探求心がマゾヒズムを引き起こしています。新しい経験や感覚を追求することが、この嗜好の背後にある要因となることがあります。

サディズムの原因や要因

  1. 支配欲とコントロール欲
    サディストは、他者を支配しコントロールすることに快楽を感じています。これは一般的に、支配的な性格やコントロールへの欲求から生まれることがあります。
  2. 心理的要因
    サディズムもまた、個々の心理的な側面が影響を与えています。他者を支配することで感じる権力や征服感が、サディストにとって魅力的であると感じています。
  3. 性的な好奇心
    サディストも、性的な好奇心や新しい経験を求める欲求からこの嗜好を発展させることがあります。

その他のパラフィリア障害

性的興奮のために、卑猥な電話をかける、陰部に針を通す、首を絞める、糞尿愛好症のように尿を飲む、便を塗る、また、手や足を欠損している肢体や身体障害者の他、動物との性行為に興奮する、死体に欲情する死体性愛症などのパラフィリア障害が知られています。

原因や要因

パラフィリア障害は心理ストレスや環境因子によって、一時的に生じたものではありません。原因は明確ではありませんが、精神分析的な理論では、幼少期の性的発達の過程での経験や性的虐待などが関連しているとされています。また、一部の研究では遺伝的な要因が関与している可能性があることも示唆されています。

発症率はパラフィリア障害群の種類によって異なりますが、成人男性の1%〜6%がフェティシズム障害や性的サディズムなどの思考を持っていると報告されています。また、多くの人々はパラフィリア障害群を自覚しないまま長年症状を持ち続けることがあります。

一般的に性的嗜好に関する症状が最も顕著になるのは、10代から30代とされています。年齢とともにパラフィリア障害群の症状が衰退するとされています。これは、年齢による性的興奮の低下や、社会的な制約による影響が考えられています。
男女比率については明確な統計はありませんが、一般的に男性に多く女性は比較的少ないとされていますが、女性にもパラフィリア障害群の症状があることが知られており、サディズムやマゾヒズム、持続性性喚起症候群などが報告されています。

治療法

本人の苦痛度合は個人差がありますが、パラフィリア障害群に苦しんでいる人は、性的指向が一般的には受け入れられないために、自己嫌悪や罪悪感、孤独感、抑うつ、不安などの精神的苦痛を経験していて治療を望むケースもあります。
パラフィリア障害群は治療の対象となる可能性があり、治療には、認知行動療法、精神療法、薬物療法、およびグループセラピーなどがあります。治療はパラフィリア障害群に苦しむ人々が、自分や他人に害を与えることなく、より健康的で満足のいく性的関係を持てる支援をすることを目的としています。

認知行動療法

  • 評価
    治療者はクライエントの症状や性的嗜好を評価します。評価には症状の程度、症状の発症に至る経緯、パラフィリア嗜好の強度や頻度、パートナーや社会との関係に与える影響などです。
  • 目標設定
    クライエントと治療者は治療の目標を設定を検討します。目標とは患者が望む性的嗜好の変更、不適切な性的嗜好に関連するストレスや苦痛の軽減、または法的な問題の回避などです。
  • 問題解決と認知再構築
    治療者はクライエンと共に、問題解決と認知再構築の方法を探ります。患者が抱える誤った思考パターンを特定し、それらを正しい思考に置き換えることで、クライエントの性的嗜好に対する認識を変えます。また、対人関係や人間関係のスキルの改善を目指し、コミュニケーション技術や対人能力のトレーニングを行うこともあります。
  • 暴露療法
    クライエントが不適切な性的嗜好に焦点を当て、それに関連するストレスを減らすためのテクニックです。例えば、クライエントが子供に対する性的嗜好を抱いている場合、治療者は安全な環境の中で子供の映像や画像を見せることでクライエントの欲求や感情を軽減させます。
  • 応用行動分析
    クライエントの性的嗜好に対する行動を詳しく分析することで、その背後にある欲求や感情を理解することを目指します。そして、代替行動やストレス管理の方法を提案することで、患者が望む行動の変化を促します。
  • ストレス管理
    不適切な性的嗜好に関連するストレスを減らすためのテクニックです。患者は、リラクゼーション技術、呼吸法、マインドフルネス、ストレッチングなどを学び、ストレスをコントロールする方法を身につけます。
  • 対人スキルのトレーニング
    不適切な性的嗜好に関連する対人スキルの不足を補うためのテクニックです。治療者は、コミュニケーション技術、人間関係スキル、対人能力のトレーニングを提供し、クライエントの対人関係を改善することを目指します。

薬物療法

薬物療法は抗不安薬や抗うつ薬、衝動を抑える非定型抗精神病薬などを用いります。
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、パラフィリア障害群の治療に用いられる薬剤の一つです。SSRIは、セロトニン神経系に作用して、セロトニンの放出を促進し、脳内のセロトニン濃度を増加させることで、性的欲求や衝動を抑制する効果があります。また、SSRIは、うつ病や不安障害などの精神障害の治療にも用いられます。

アンドロゲン(男性ホルモン)を抑制する薬剤も、パラフィリア障害群の治療に用いられます。アンドロゲンは、男性の性的欲求や性的興奮を刺激するホルモンであり、アンドロゲンの過剰分泌が、パラフィリア障害群の症状を引き起こす原因となるともいわれています。

薬物療法の選択には、副作用や禁忌症、相互作用などのリスクもあります。そのため、薬物療法は症状や体質に合わせて慎重に行う必要があります。治療の効果や副作用の把握には、定期的な診察や血液検査が必要となります。

ICD-11では性的機能障害と性的健康に関する広範なカテゴリー

ICD-11では、パラフィリアに関する独立した診断カテゴリーは削除されました。理由としては、パラフィリア障害の偏見や差別のリスクを最小限に抑え、人間らしさや性自認に関する人権を尊重するためとされています。代わりに、ICD-11では、性的機能障害と性的健康に関する広範なカテゴリーが設定されています。このカテゴリーには、性的欲求や行動に関する問題が含まれますが、それぞれの問題に対して独立した診断が付与されるわけではありません。

ICD-11では、性的健康に関するカテゴリーがより包括的になり、性的機能障害、性的欲求や好みの問題、性的偏見や差別、性的虐待や暴力などの問題が統合されています。このアプローチは、性的健康を総合的かつポジティブな観点から捉え、性的機能障害やパラフィリアなどの病的な問題にだけ焦点を当てるのではなく、性的健康の維持や促進を目的としています。

ただし、ICD-11では、性的行動が他者に害を及ぼす場合や、人間や動物に対する性的嗜好が強すぎる場合など、性的行動に関する問題については、別途診断が付与されることがあります。例えば、「性的嗜好障害」という診断があり、人間や動物に対する強い性的嗜好がある場合などに適用されます。

性的嗜好障害は、ICD-11の性的健康に関するカテゴリーの中で、異常な性的嗜好がある場合に診断される状態です。異常な性的嗜好とは、一般的な性的興奮の対象でない、他者に害を及ぼす、または個人に深刻な苦痛を与える性的嗜好のことを指します。

性的嗜好障害には、いくつかのサブタイプがあります。代表的なものには、次のようなものがあります。

  • 性的嗜好障害-人間対象型(人間が関与する性的嗜好障害)
    • 性的偏見や性的差別、性的暴力などの問題を含む人間対象型の異常な性的嗜好について診断されます。
  • 性的嗜好障害-非人間対象型(人間以外の物体を含む性的嗜好障害)
    • 動物や物体、非生物的なものなどの対象に対して異常な性的嗜好がある場合に診断されます。
  • 性的嗜好障害-自己対象型(自己が関与する性的嗜好障害)
    • 自身の身体に対する異常な性的嗜好がある場合に診断されます。

これらのサブタイプは、異常な性的嗜好の対象が異なるものの、基本的な症状は今までと変わりません。具体的には、性的嗜好に関する深刻な苦痛やストレス、異常な性的嗜好による他者への害、自己イメージや社会的関係に対する影響などとなります。

性的嗜好障害の診断には、心理学的、医学的、または法的な問題がある場合にのみ付与されます。異常な性的嗜好が個人的な範囲内でのみ存在する場合は、性的嗜好障害とは見なされません。ただし、異常な性的嗜好が個人的な範囲内で存在していても、個人的な苦痛やストレスがある場合には、それが他の問題の原因である可能性があります。

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DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル 高橋三郎・大野裕監修/2021医学書院標準精神 尾崎紀夫・三村將・水野雅文・村井俊哉/医学書院

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