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義父からの虐待をエンプティチェアでセッション

目次

義父から受けた身体的虐待のトラウマをエンプティチェア技法により内面的な葛藤と向き合うことで未解決な感情に対処する

ゲシュタルト療法のエンプティチェア技法は、成人期を迎えても幼少期のトラウマや人間関係の問題に悩むクライエントに対して有効なアプローチです。

幼少期に虐待や不安定な家庭環に直面してていた経験が未解決のまま成人期に持ち越されることがあります。そのようなクライエントにエンプティチェア技法は、クライエントが内面的な葛藤や未解決の感情を具現化し、対話を通じて整理する手助けをすることで、過去の感情を再体験し、それに対処する機会を得ることができます。加え、クライエントが想像上の他者(例えば、親や親権者)と内的な対話を通じて自分の感情やニーズを明確にし、未解決の問題を外的な存在として扱うことで心理的な距離を置くことができます。これにより、過去の出来事をより客観的に捉え、解決に向けた具体的な行動が可能となります。

また、幼少期の虐待経験のトラウマが、成人期の感情や行動に影響を与えるようなケースにおいても、エンプティチェア技法を用いることでクライエントは現在の人間関係や感情の問題と過去のトラウマの関連性を認識しやすくなります。このプロセスにより、クライエントはトラウマからの解放に向けたステップを踏み出すことができるようになります。

このページを含め、心理的な知識の情報発信と疑問をテーマに作成しています。メンタルルームでは、「生きづらさ」のカウンセリングや話し相手、愚痴聴きなどから精神疾患までメンタルの悩みや心理のご相談を対面にて3時間無料で行っています。

エンプティチェア技法のセッション

小学生から義理の父親に身体的虐待を受けていました。成人を過ぎてからもトラウマが強く現れ、人間関係にも影響が及び生きづらさを感じています。

クライエントからの相談内容

私が物心ついたころを思い出すと、父親の存在はなく母親の愛情も感じたことがありませんでした。シングルマザーだと理解できるようになった小学生の低学年には、父親と名乗る男性が一緒に住むようになりましたが、私が身体への虐待を受けるようになったのは間もなくでした。それから中学卒業までネグレクトのような育て方をされてきました。そのような状態が災いして友達もできなく、いつも一人でいることが多く孤独を感じながら過ごしてきました。

 私は働きながら定時制高校を卒業しましたが、社会に出てからも他人との交流方法がわからないために人付き合いを避けることが多く、特に男性に対して恐怖感を持ってしまい過度の警戒や不信感を抱いています。そんなことから、私は愛着障害とPTSDをもっているのではないかと考えています。

 悩みは、義理の父親からの暴力の記憶が抜けなくトラウマに怯えています。夜寝ていても思い出され目が覚めることがあり、生活上で男性の大きい声を聞いただけでも恐怖感が現れ胸が苦しくなります。それと同時に、義理の父親には悔しい思いだけでなく、強い恨みが湧いてきて一人で動揺することがあります。先ずは、父親から仕打ちを受けた悪い記憶を和らげたいと思っています。

同様に母親にもトラウマが強く残っています。私を生んだ実の母親でありながら、義理の父の暴力を止めることもなく、ネグレクトのような育て方をされたことがなぜだかわかりません。母親のことを考えると胸が苦しくて張り裂けそうです。

エンプティチェア技法のポイント

  • シミュレーションの設定
    • セッション中、クライエントにはエンプティチェア(空の椅子)を使って、過去のトラウマの対象(親や他の関係者)との対話をシミュレートしてもらいます。クライエントがその椅子に向かって話しかけることで、内面的な感情を外部に表現することができます。
  • 役割の切り替え
    • クライエントが椅子に向かって自分の感情や思いを表現した後、役割を逆転させることで、相手の視点を体験することができます。これにより、過去のトラウマの状況を異なる視点から理解し、新たな洞察を得ることができます。
  • 感情の解放と整理
    • この技法を通じて、クライエントは感情の解放と整理を行います。トラウマや過去の出来事に関連する感情が表出することで、それに対する理解が深まり、自己認識が高まります。
  • アクションプランの策定
    • エンプティチェア技法のセッション後、クライエントは自分の感情や反応に基づいた具体的なアクションプランを策定します。これにより、過去のトラウマが現在の行動にどのように影響を与えているかを理解し、より健全な人間関係の構築に向けた具体的なステップを踏むことができます。

エンプティチェアのセッション-簡潔編

義理の父親とのトラウマに焦点を当てたエンプティチェア技法のステップは、既に別ページに掲載済みの母親とのトラウマとは異なるアプローチが必要となります。特に、クライエントが義理の父親に対して抱く恐怖感や恨みといった感情に直接向き合い、感情を解放することが重要です。

義理の父親に対するエンプティチェア技法は、恐怖や怒りの感情に対処し、解放するためのプロセスを踏んでいきます。セッションを通じて、クライエントは自身の感情を外在化し、整理し、そして最終的には新たな認識を形成することが目指されます。

STEP
セッションの導入と信頼関係の確認

セラピスト: 「今日は、あなたが抱えている義理の父親に対する恐怖や恨みの感情について、一緒に向き合ってみたいと思います。このセッションでは、エンプティチェア技法を使って、あなたの内面の感情を表に出し、整理していきます。まず、この方法に対してどう感じていますか?」

クライエント: 「少し怖い気もしますが、義父のことを和らげたいという気持ちが強いです。やってみたいと思います。」

セラピスト: 「そうですね、私もあなたがこのプロセスを通じて少しでも軽くなれるようサポートします。途中で辛くなったら、いつでもセッションを止めることができるので、安心してくださいね。」

STEP
エンプティチェアの説明と準備

セラピスト: 「それでは、エンプティチェア技法を始める前に、この椅子を義理の父親だと思って、その前に座ってみてください。義理の父親がそこに座っていると想像して、どんな感情が浮かんできますか?」

クライエント: 「怖いです…でも、同時に怒りも感じます。義父が私にしてきたことを思い出すと、身体が震えます。」

セラピスト: 「そうですね、その感情はとても大切です。これから、その椅子に向かって、義理の父親に言いたいこと、感じていることを自由に表現してみましょう。」

STEP
感情の外在化と表現

セラピスト: 「義理の父親がその椅子に座っていると想像して、今、伝えたいことがあれば、そのまま言葉にしてみてください。」

クライエント: 「…どうして私を傷つけたの?あなたのせいで、私は今でも怖くて仕方がないんです!夜も眠れないし、大きな男性の声を聞くと胸が苦しくなるんです…!」

セラピスト: 「その感情をそのまま出していきましょう。どんな言葉でも構いません、今感じていることをそのまま伝えてください。」

STEP
感情の深掘りと対話

セラピスト: 「もう少し深く感じてみましょう。義理のお父さんがその椅子に座っていると想像して、義理の父親に向かってどんな感情が湧いてきますか?」

クライエント: 「…あなたのことが怖かった。でも、それだけじゃない。今は怒りもある。どうして私を守ってくれなかったの?どうして私を傷つけたの?!」

セラピスト: 「その怒りの感情にもう少し向き合ってみましょう。その怒りをどう感じますか?」

クライエント: 「強い怒りを感じます。義父が私にしてきたことを思い出すと、悔しくて、許せません…。」

セラピスト: 「その怒りを抱えたまま生きることはとても苦しいですね。でも、今日はその怒りを少しずつ外に出していく機会です。次に、その怒りがどこから来るのか、もう少し探ってみましょう。」

STEP
感情の統合と整理

セラピスト: 「今、あなたが感じている恐怖や怒りを、どのように整理して受け入れることができるか、一緒に考えてみましょう。義理の父親に対する感情は、あなたの中でどういう位置づけになっていますか?」

クライエント: 「恐怖と怒りが入り混じっている感じです。でも、怒りが強くなればなるほど、恐怖が少し和らぐような気もします。」

セラピスト: 「それはとても重要な気づきです。その感情をどう扱うか考えながら、あなた自身のために少しずつ整理していきましょう。」

STEP
感情の解放と新たな認識の形成

セラピスト: 「これまで抱えてきた恐怖や怒りを今、少しでも解放してみましょう。義理の父親に向かって最後に言いたいことがあれば、言ってみてください。」

クライエント: 「…私はあなたにもう縛られない。あなたのせいで怖がることも、怒りを感じることも、もう終わりにしたい。私は自分の人生を取り戻します。」

セラピスト: 「その言葉はとても力強いですね。あなた自身がこれからどう生きていくか、新たな視点で考えてみましょう。」

STEP
セッションの締めくくりと次回の予告

セラピスト: 「今日のセッションはここで終わります。今、どんな気持ちですか?」

クライエント: 「少し軽くなった気がします。自分がこんなに怒りを感じていたことに気づけて良かったです。」

セラピスト: 「それは素晴らしい気づきです。次回は、今日の感情の整理とともに、今後どうしていきたいかをさらに深めていきましょう。少しずつ、前に進んでいけるようサポートします。」

エンプティチェアのセッション-詳細編

STEP
セッションの導入と信頼関係の確認

セラピストはクライエントの不安や恐怖に寄り添いながら、セッションの目的と方法を丁寧に説明し、クライエントが安心してプロセスに入っていけるように導きます。信頼関係を確認し、クライエントが自分のペースで感情に向き合えるような環境を整えることが、エンプティチェア技法を効果的に進めるための重要なステップです。

ステップ1: セッションの導入と信頼関係の確認

セラピスト: 「こんにちは、今日は少しお話ししたいことがあります。あなたが義理の父親に対して抱いているトラウマや恐怖感について、これまで何度か触れてきましたが、今日はそれに向き合っていくための特別な方法、エンプティチェア技法を使ってみたいと思います。これまでのお話から、その体験がどれだけ深くあなたに影響を与えてきたかを理解しています。この方法を使うことで、今抱えている感情を少しずつ解放し、整理する助けになります。」

クライエント: 「正直、義父のことを考えるのはすごく辛いです。でも、このトラウマから少しでも解放されたい気持ちもあります。」

セラピスト: 「そうですね。あなたが感じているその辛さ、そして少しでも楽になりたいという気持ちはとても大切です。今日のセッションでは、義理の父親に関する感情にしっかり向き合うことで、その感情を解放するプロセスを始めてみたいと思います。この技法を使うことに不安や疑問があれば、ぜひ教えてください。」

クライエント: 「不安はありますが、やってみたいです。これまでずっと抱えてきたこの重い気持ちから少しでも自由になりたいです。」

セラピスト: 「不安を感じるのは当然のことです。義理の父親に関する記憶は非常に辛いものだったと思います。でも、ここは安全な場所であり、あなたのペースで進めていくことができます。何か辛くなったり、嫌だなと思うことがあれば、いつでも止められることを覚えておいてくださいね。今日のセッションでは、義理の父親との過去の出来事に向き合い、その時感じた感情を一つ一つ見つめていきます。」

クライエント: 「わかりました。できる限りやってみたいと思います。」

セラピスト: 「ありがとうございます。それでは、今日のセッションでは、まずエンプティチェアという技法について簡単に説明します。この技法では、目の前に空の椅子を置き、そこに義理の父親が座っていると想像して、あなたが義理の父親に伝えたいことや感じていることをそのまま話してもらいます。義理の父親が実際にそこにいると想像することで、あなたの中にある感情を外に出しやすくなり、その結果、感情を整理する手助けになります。」

クライエント: 「ちょっと怖いけど、興味深いですね。」

セラピスト: 「最初は怖いかもしれませんが、私がサポートしますので、安心して進めていきましょう。あなたの感じていること、考えていることをそのまま表現していただくことが重要となります。このセッションを通じて、少しでもあなたの心の中が軽くなるように一緒に進めていきましょう。」

クライエント: 「ありがとうございます。少し勇気が出てきました。」

セラピスト: 「その気持ちが大事です。それでは、始めてみましょうか。もし何か不安があれば、その都度伝えてくださいね。」

STEP
エンプティチェアの説明と準備(セッション)

セラピストはクライエントにエンプティチェア技法の具体的な説明を行い、クライエントが安心して技法に取り組めるように準備を整えます。クライエントの緊張を和らげ、リラックスした状態で感情を外在化できるようサポートしながら、感情を表現することの重要性を強調します。

ステップ2: エンプティチェアの説明と準備

セラピスト: 「さて、これからエンプティチェア技法を始めていきたいと思います。先ほどお話ししたように、この技法では、目の前に空の椅子を置いて、その椅子に義理の父親が座っていると想像してみます。そこにいる義理の父親に、あなたが今まで伝えられなかったことや感じていることを率直に話してもらうことが目的です。」

クライエント: 「なんだか緊張してきました。でも、やってみます。」

セラピスト: 「緊張するのは自然なことです。まずはリラックスして、深呼吸をしてみましょう。大きく息を吸って、ゆっくり吐いてみてください。」

(クライエントは深呼吸をしてリラックスを試みる)

セラピスト: 「いいですね。その調子で続けてください。今、目の前に空の椅子を用意しました。この椅子に義理のお父さんが座っていると想像してみてください。義理の父親がどのように座っているか、表情はどんな感じか、あなたの目の前に実際にいるとしたら、どのように見えるかをありありとイメージしてみてください。」

クライエント: (しばらく黙った後)「すごく怖いです。怒った顔が浮かんできます。」

セラピスト: 「その感覚を大切にしてください。義理の父親が怒った顔をしているのが見えてきたんですね。その顔をありありとしっかりとイメージしてみましょう。そして、その義理の父親に対して、今あなたが伝えたいことや、これまでに言えなかったことを話してみましょう。最初はゆっくりで構いません。」

クライエント: 「何から言えばいいかわかりません。でも、義父に対してたくさんの怒りや恐怖があることは感じます。」

セラピスト: 「その気持ちをそのまま言葉にしてみてください。例えば、『あなたに対して私はこう感じている』というように、あなたの感情を素直に伝えてみることから始めてみましょう。言葉がうまく出てこなくても大丈夫です。感じていることをそのまま口に出してみることが大事です。」

クライエント: 「……あなたが怖い。ずっと怖かった。あなたが近くにいるだけで、私の心は凍りつくようだった。」

セラピスト: 「とてもよくできています。その調子で、今感じていることを少しずつ話していきましょう。義理の父親に伝えたいことや、あなたの中にある感情をゆっくりと外に出してみてください。」

クライエント: 「……なぜ私にあんなことをしたのか、わからない。ただ、あなたのせいで私はずっと苦しんできた。」

セラピスト: 「その感情がとても重いものだと感じます。辛い気持ちを言葉にしてくれてありがとうございます。次に、義理の父親に対して、どんな感情をもっと伝えたいと思っていたか考えてみてください。例えば、怒りや悲しみ、または他に感じている何かがあれば、それを表現してみましょう。」

クライエント: 「怒りと悲しみが入り混じっています。義父にどうしても聞いてほしいのは、『なぜ私を傷つけたのか』という問いです。」

セラピスト: 「その質問を義理の父親に向けて、今この場で直接投げかけてみましょう。そして、それに対する義理の父親の反応を想像してみてください。その反応がどのようなものであったとしても、あなたの感じたことを尊重しながら、感情を外に出していきましょう。」

クライエント: 「……どうして私を傷つけたの?どうして何も言わずに、ただただ私を苦しめ続けたの?」

セラピスト: 「素晴らしいです。今感じていることをそのまま出していくことが、このプロセスの一部です。あなたが義理の父親に対して抱いている感情や思いを、遠慮せずにそのまま表現していきましょう。」

STEP
感情の外在化と表現

セラピストがクライエントの感情を外在化し、具体的に表現するのをサポートします。クライエントは義理の父親に対する怒りや恐怖を言葉にすることで、内に抱え込んでいた感情を少しずつ外に出し、自分自身の中で整理していくことができます。セラピストはクライエントがそのプロセスに集中できるように寄り添い、感情の表現を促しながら、クライエントが安心して感情を出せる環境を提供します。

ステップ3: 感情の外在化と表現

セラピスト: 「今、まだ義理の父親が目の前の椅子に座っていると想像してみてください。先ほど、義理の父親に対して『どうして私を傷つけたの?』という問いかけをしましたね。次に、その問いかけを通して出てきた感情を、もっと具体的に言葉にしてみましょう。例えば、怒り、悲しみ、恐怖、混乱、など、どんな感情が湧き上がっているか、順番に表現してみてください。」

クライエント: 「……義父に対して感じるのは、まず最初に強い怒りです。私が何も悪いことをしていないのに、なぜあんな目に遭わなければならなかったのか……本当に腹立たしいです。」

セラピスト: 「その怒りをもう少し深く掘り下げてみましょう。具体的にどのような場面や出来事を思い出しますか?また、その時どのように感じたかを、義理の父親に直接話しかけるように言葉にしてみましょう。」

クライエント: 「小学校のとき、義父が家に帰ってきて、何も言わずに突然叩かれたことを思い出します。何も悪いことをしていないのに……。その時、私はとても混乱して、怖くて、でも何も言えませんでした。その後、義父が私を睨みつけたときの顔が忘れられません。今でもその場面が頭から離れなくて、思い出すたびに怒りがこみ上げてきます。」

セラピスト: 「その場面を思い出していると、どんな感情が特に強く感じられますか?怒り、恐怖、それとも他に何かありますか?」

クライエント: 「怒りが一番強いです。でも、同時にものすごく怖かった。その時、何もできなかった自分が悔しいし、今でもその場面がフラッシュバックするたびに怖くなります。」

セラピスト: 「その怒りと恐怖を、目の前の椅子に座っている義理の父親に向かって、直接言葉にして伝えてみましょう。例えば、『あなたがあのとき私にしたことは許せない。私はとても怖かった。』というように。」

クライエント: 「……あなたが私を叩いたあの時のこと、私は絶対に忘れない。あなたのせいで、私はずっと怖くて、不安で、どうしていいかわからなかった。私は何も悪くないのに、なぜあなたはあんなことをしたの?私はただ、普通の子どもとして過ごしたかっただけなのに……。」

セラピスト: 「よくできました。その怒りと恐怖を、言葉にすることで少しでも軽くなったように感じますか?それとも、まだ何か他に伝えたいことが残っていますか?」

クライエント: 「まだ怒りが残っています。義父に対して、『あなたのせいで私の人生がどれだけ苦しかったか』をもっと伝えたいです。」

セラピスト: 「その気持ちを正直に伝えることはとても大切です。『あなたのせいで私の人生がどれだけ苦しかったか』、その思いをそのまま義理のお父さんに向かって話してみましょう。」

クライエント: 「あなたのせいで、私はずっと苦しかった。学校でも友達ができなくて、いつも一人ぼっちで、誰も信じられなかった。あなたのせいで、私は他の人と普通に接することができない。あなたが私の人生を台無しにしたんだ……。」

セラピスト: 「その感情を全て出し切ることが、このセッションの目的です。今感じていること、言いたいことを全て出してみましょう。義理の父親がここにいると想像して、思いの丈を伝えてください。」

クライエント: 「……あなたがしたことは許せない。私は今でもその時のことを思い出して苦しんでいる。私はあなたに対して強い恨みを感じる。あなたがいなければ、私はもっと幸せだったはずだ……。」

セラピスト: 「素晴らしいです。今、義理の父親に対して感じていることをしっかりと言葉にして、外に出すことができています。このプロセスは、あなたが抱えている感情を解放するための重要な一歩です。」

STEP
感情の深掘りと対話

セラピストがクライエントの感情をさらに深掘りし、義理の父親に対する複雑な感情(怒り、恐怖、寂しさ、悲しさなど)を言葉にするのを助けます。感情を深く掘り下げることで、クライエントは自分の感情の根底にある思いや期待に気づき、それを義理の父親に向けて対話の形で表現します。これにより、内に秘めた感情を外に出し、癒しのプロセスを進めることが可能になります。

ステップ4: 感情の深掘りと対話

セラピスト: 「さっき、あなたが義理の父親に向かって感じている怒りや恐怖を言葉にしてもらいましたね。次に、その感情をもう少し深く掘り下げてみましょう。今感じている感情の根底にあるものは何か、どんな思いが隠れているのかを探っていきましょう。」

クライエント: 「……まだ、何かが胸の奥に引っかかっている感じがします。怒りは感じているんですが、それだけではないような気がして……。」

セラピスト: 「その『引っかかっている感じ』について、もう少し詳しく教えてもらえますか?どんな感情や思いがその奥にあると感じていますか?」

クライエント: 「……恐怖もありますが、それ以上に寂しさとか、見捨てられた感じが強く残っているかもしれません。義父に対して、ただ怖かっただけじゃなくて、義父に守ってもらえなかったことが悲しかったんです。」

セラピスト: 「なるほど。恐怖の背後には、義理の父親に対する期待や、守ってほしかったという思いがあったんですね。『守ってもらえなかった』という感情について、もう少し詳しく話してみましょう。義理の父親に何を期待していて、それが叶わなかったとき、どのように感じましたか?」

クライエント: 「……義父が父親の代わりになると思っていました。小学校に入ったころ、家に男性がいることがどんな感じかを期待していました。けれども、義父が私を守るどころか、逆に攻撃してきたことで、すごく裏切られた気持ちになりました。私は、義父が私を守ってくれることを心のどこかで望んでいたのに……。」

セラピスト: 「その裏切られたという気持ちを、義理の父親に向かって直接伝えてみましょう。例えば、『私はあなたに守ってほしかった。でも、あなたは私を守るどころか、私を傷つけた』というように。」

クライエント: 「……あなたが私の父親代わりになると思っていた。私はあなたに守ってほしかったのに、あなたは私を守らなかった。私を傷つけただけでなく、私を見捨てた。私はずっと寂しかった……。」

セラピスト: 「今、義理の父親にその気持ちを伝えたことで、何か新しい感情が湧いてきましたか?もしくは、今まで気づいていなかった感情が出てきたように感じますか?」

クライエント: 「……怒りや恐怖があったけれど、それ以上に『寂しさ』や『見捨てられた』という感情が強かったんだと気づきました。それに気づいたことで、少しだけ心が軽くなった気がします。」

セラピスト: 「そうですね。寂しさや見捨てられたという感情は、深く心に残りやすいものです。これらの感情を認識し、言葉にすることはとても重要です。義理の父親にその気持ちを伝えたことで、何か他に感じることがありますか?」

クライエント: 「……今は少しだけですが、『悲しさ』も出てきました。義父が私を裏切ったことで、本当に悲しかった。私はただ、愛されて守られたかっただけなのに……。」

セラピスト: 「その悲しさも、義理の父親に向けて伝えてみましょう。『私は悲しかった。あなたに愛されたかったし、守ってほしかった』という気持ちを表現してみましょう。」

クライエント: 「……私はすごく悲しかった。あなたに愛されて、守られたかったのに、あなたは私を裏切って、傷つけた。私はただ、普通の家庭で普通に過ごしたかっただけなのに……。」

セラピスト: 「よくできました。感情を深く掘り下げ、悲しさや寂しさを表現することができましたね。これらの感情を表に出すことで、少しでも心が軽くなるはずです。」

STEP
感情の統合と整理

セラピストがクライエントの感情を一つ一つ整理し、それらが過去の経験にどのように結びついているかを理解する手助けをします。感情を統合することにより、クライエントは自分の感情に対する洞察を深め、それらをどのように処理していくかを考えることができます。これにより、過去の感情に縛られずに、より自由で新しい感情や視点を取り入れる準備が整います。

ステップ5: 感情の統合と整理

セラピスト: 「これまでのセッションで、義理の父親に対して感じていた怒りや恐怖、寂しさ、悲しさといった感情を表に出してきましたね。今日は、それらの感情を統合して整理することに取り組んでいきましょう。これによって、これらの感情をどのように扱っていくかを考えるためのステップに進んでいきます。」

クライエント: 「はい。これまで話してきた感情が、すごく強いものだったと感じています。でも、どうやってこれを整理したらいいのか、まだよくわかりません……。」

セラピスト: 「感情を整理するためには、まずこれらの感情があなたにとって何を意味するのかを理解することが大切です。例えば、あなたが感じている怒りは、裏切られたという感情から来ているものだと話してくれましたね。それは、義理の父親に期待していたことが叶わなかったということを表しているのかもしれません。まずは、そのような感情を一つずつ見直してみましょう。」

クライエント: 「そうですね……。怒りは、やっぱり裏切られたっていう思いが強くあります。私は義父に守ってもらいたかったんだと思います。でも、それが叶わなくて……」

セラピスト: 「その守ってもらいたかったという期待が裏切られたとき、あなたはどんなふうに感じましたか?」

クライエント: 「すごく悲しかったです。自分が大切にされていない、見捨てられたと感じました。」

セラピスト: 「その悲しさや見捨てられたという感情を今、どのように感じていますか?その感情が今のあなたにどんな影響を与えているかを考えてみましょう。」

クライエント: 「今でも、その感情は残っていると思います。義父だけでなく、他の男性に対しても同じような恐怖や不信感を感じてしまいます。それが、自分が愛されないんじゃないかという不安に繋がっている気がします。」

セラピスト: 「その感情を認識することができましたね。次に、その感情をどのように扱っていくかを考えましょう。まず、義理の父親に対する怒りや悲しみをどのように整理していきたいと感じていますか?」

クライエント: 「怒りや悲しみを手放したいと思います。義父に対してはもう何も期待していないし、義父のせいで私の人生をこれ以上支配されるのは嫌です。でも、その感情をどうやって手放せばいいのかがわかりません。」

セラピスト: 「感情を手放すためには、それらの感情をしっかりと理解し、受け入れることが必要です。あなたの中で、怒りや悲しみが今までの人生にどんな役割を果たしてきたのかを考えてみましょう。怒りや悲しみがあなたをどう守ってきたのか、またはどう影響を与えてきたのかを理解することが、感情を統合し、整理するための第一歩です。」

クライエント: 「怒りや悲しみは、私が義父から自分を守るための防御だったのかもしれません。義父に立ち向かうことができなかった分、怒りや悲しみが私を守っていたんだと思います。でも、もうその防御は必要ないのかもしれません……。」

セラピスト: 「そうですね。今、その感情を手放す準備が整っているのかもしれません。これからは、その感情がどのようにあなたを守っていたのかを認め、それを手放すことで新しい感情や視点を取り入れることができるようになります。今は、あなた自身がどのように進んでいきたいかを考えるタイミングです。」

クライエント: 「はい、理解しました。少しずつでも、その感情を手放していきたいと思います。」

セラピスト: 「その意欲はとても大切です。感情を統合して整理するプロセスは時間がかかるかもしれませんが、一つ一つ丁寧に進めていくことで、あなた自身がこれからの人生をより軽やかに歩んでいくための道筋を見つけることができるでしょう。」

STEP
感情の解放と新たな認識の形成

クライエントが自分の感情を解放し、それを義理の父親との対話を通じて再構築していくプロセスが描かれていきます。感情の解放は、過去の痛みや怒りからの解放だけでなく、新しい理解や認識を形成することで、クライエントが前向きに生きていくための重要なステップです。

ステップ6: 感情の解放と新たな認識の形成

セラピスト: 「これまでのセッションで、あなたが義理の父親に対して感じてきた怒りや悲しみ、恐怖といった感情を整理してきましたね。今日は、その感情を解放し、新たな認識を形成することに焦点を当てていきたいと思います。どう感じていますか?」

クライエント: 「整理することで少し気持ちが軽くなった気がしますが、やはりまだ怒りや恐怖が完全には消えていない感じがします。」

セラピスト: 「その感情がまだ残っているのは自然なことです。今、残っている感情を解放するために、義理の父親と再び対話する形で、その感情を外に出してみましょう。準備はできていますか?」

クライエント: 「はい、やってみます。」

セラピスト: 「では、目の前の椅子に義理の父親が座っていると想像してください。義理の父親に向かって、今感じている怒りや恐怖、言いたいことを伝えてみましょう。」

クライエント: (義理の父親の椅子を見つめながら)「あなたが私にしてきたことを許すことはできません。私はずっとあなたに対して怒りを感じていました。なぜ私をあんなに傷つけたのか、どうして私にこんな思いをさせたのか、今でも理解できません。でも、今ここでその怒りを手放したいんです。もう、これ以上あなたのことを考えて苦しみたくないんです。」

セラピスト: 「とてもよく表現できています。今、義理の父親に対してそのように話すことで、何か感じたことはありますか?」

クライエント: 「少しだけ、軽くなった気がします。でもまだ、完全にスッキリしたわけではないです。」

セラピスト: 「その感情がまだ残っていることを認めつつ、次に進みましょう。今度は、義理の父親の立場になって、義理の父親が何を感じていたのか、または義理の父親が何を言いたかったのかを想像してみましょう。そして、その想像を声に出してみてください。」

クライエント: (深呼吸して、義理の父親の椅子に座る)「私は……お前に厳しく接しすぎたかもしれない。それは、お前を守りたかったからだ。だけど、結果的にお前を傷つけてしまったことは事実だ。謝罪することもせずに、お前を無視していたことは本当に申し訳ない。もし過去に戻れるなら、もっと違うやり方でお前と接したいと思う。」

セラピスト: 「素晴らしいですね。義理の父親の立場から言葉を紡ぎ出すことで、何か新たに気づいたことはありますか?」

クライエント: 「義父が本当に私を守りたかったのかはわかりませんが、少なくとも義父も人間で、何かに苦しんでいたのかもしれないと思います。義父がなぜあんなことをしたのか、少しだけ理解できる気がします。」

セラピスト: 「その理解はとても重要です。義理の父親の行動の背景に何があったのかを考えることで、あなた自身の中で新しい認識が生まれてきましたね。今、その新しい認識をもとに、義理の父親に対して何か感じていることがあれば、もう一度伝えてみてください。」

クライエント: (元の椅子に戻る)「あなたがなぜそんなことをしたのか、少しだけ理解できる気がします。だからといって、あなたの行動を許すわけではありません。でも、私はもうその怒りに縛られることなく生きていきたいと思います。あなたから解放されたいのです。」

セラピスト: 「その決意はとても力強いですね。今、その感情を手放し、新たな認識を持つ準備ができているように感じます。最後に、義理の父親に対して何か伝えたいことはありますか?」

クライエント: 「さよなら、そしてありがとう。もうあなたに縛られることなく、自分の人生を生きていきます。」

セラピスト: 「よくできました。今、義理の父親との関係に一つの区切りをつけ、新しいスタートを切る準備ができましたね。この感情の解放と新たな認識の形成は、これからのあなたの人生に大きなメリットとなります。」

クライエント: 「はい、少しスッキリしました。これからは、自分のために前を向いて生きていきたいです。」

セラピスト: 「その気持ちを大切にしていきましょう。今日はここまでですが、これからもこの新しい認識を基にして、自分を大切にする方法を見つけていきましょう。」

STEP
セッションの締めくくりと次回の予告

セラピストがセッションを締めくくり、クライエントがその日の気づきを持ち帰り、次のセッションに向けてどのように準備するかを明確にします。セッションを締めくくる際には、クライエントが自分のペースで感情を整理し、新たな認識を形成する時間を持てるように配慮することが重要です。また、次回のセッションの予告をすることで、クライエントに安心感を与え、継続的なサポートを感じてもらえるようにします。

ステップ7: セッションの締めくくりと次回の予告

セラピスト: 「今日はここまでのセッションを振り返ってみましょう。義理の父親との対話を通じて、どんな感情が浮かび上がってきましたか?」

クライエント: 「最初はすごく怒りが強くて、声を出すのも辛かったんです。でも、話していくうちに少しずつその怒りが和らいできて、最後には少し軽くなった気がします。義父が何を感じていたかを考えてみることで、ほんの少しですが理解しようという気持ちも生まれました。」

セラピスト: 「その感情の変化はとても重要です。義理の父親との過去を振り返り、そこに新しい理解や認識を見出すことができたのは、大きな一歩です。今日はこの経験を持ち帰って、自分自身をもう少し振り返る時間を持つと良いかもしれません。どんな風に感じていますか?」

クライエント: 「確かに、今まで閉じ込めていた感情が表に出てきて、少し落ち着いた感じがします。でもまだ完全には整理しきれていない部分もあるので、もう少し自分と向き合ってみたいです。」

セラピスト: 「その気持ちは大切ですね。今回のセッションでは、感情を解放し、新たな視点を持つことができましたが、これからもそのプロセスは続いていきます。次回のセッションでは、今日浮かび上がった感情や新たに気づいたことを深めていきたいと思いますが、どうでしょうか?」

クライエント: 「そうですね。もっと深く自分を知るために、次回も続けたいです。」

セラピスト: 「良いですね。次回は、今日感じたことをさらに整理し、特に義理の父親以外の人間関係、例えばお母さんとの関係や他の男性に対する恐怖感なども掘り下げていければと思います。それについて考えてみることに抵抗はありませんか?」

クライエント: 「少し不安ですが、必要なことだと思うので頑張ってみます。」

セラピスト: 「その勇気が大事です。焦らず、自分のペースで進めていきましょう。今日のセッションの最後に、何か気になることや質問があればお聞きしますが、どうですか?」

クライエント: 「今のところは大丈夫です。今日はたくさん話せたので、少し休んで整理したいと思います。」

セラピスト: 「それが良いですね。今日のセッションはここで終わりにしましょう。しっかりと休んで、次回のセッションに向けて自分の気持ちを整えていきましょう。お疲れさまでした。」

クライエント: 「ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。」

セラピト: 「こちらこそ、ありがとうございました。次回もお待ちしています。」

エンプティチェア技法が有効な理由のまとめ

エンプティチェア技法は、クライエントが過去のトラウマ的な経験と向き合い、その感情を安全かつ効果的に処理するための強力なツールです。義理の父親に対する未解決の感情やトラウマに直面することは困難であっても、この技法を通じて感情を整理し、新たな認識を形成することで、クライエントはトラウマを乗り越え、より良い心理的健康を実現するための一歩を踏み出すことができます。

今回のような義理の父親のトラウマに対して、エンプティチェアが有効である理由や必要とされる療法であるという理由について解説します。

感情の外在化と表現の促進

エンプティチェア技法は、クライエントが自分の内に抱えた強い感情を外在化し、表現することを可能にします。特に、義理の父親とのトラウマ的な体験に関連する感情は、長い間抑圧され、整理されていない場合が多いのです。この技法を通じて、クライエントは自分の感情を「椅子」に座る義理の父親に向けて話すことにより、言葉にできなかった感情を具体的に表現し、内面化された怒りや悲しみを解放することができます。感情を外に出すことで、それまで閉じ込められていた感情が解放され、クライエントは心理的な軽さを感じることができます。

新たな視点の獲得と認識の変化

義理の父親とのトラウマに対してエンプティチェア技法を用いることで、クライエントは新たな視点を獲得できます。トラウマの体験が過去のものであることを認識し、現在の自分と切り離して考えることで、過去の記憶に対する囚われから解放されやすくなります。また、義理の父親に対して直接話す機会を持つことで、義父の行動や態度に対する理解や、自分自身の反応を再評価することが可能になります。これにより、クライエントは過去の体験に対する新たな認識を形成し、より建設的な視点で自身の経験を整理できます。

未解決の感情の処理

義理の父親との関係に未解決の感情が残っている場合、その感情は現在の生活にも影響を与えることがあります。エンプティチェア技法は、未解決の感情を表面化させ、それに対処する機会を提供します。セッション中に義理の父親との対話をシミュレーションすることで、クライエントは過去に戻り、当時感じた感情や思考をもう一度経験し、そこで感じた未解決の感情を処理することができます。このプロセスを通じて、クライエントはトラウマからの解放感を得られる可能性が高まります。

心理的な距離を置くことで安全な環境を提供

エンプティチェア技法では、クライエントがトラウマの元凶である義理の父親に対して「直接」話すことができますが、これはセラピストの支援のもとで行われるため、実際の対面よりも安全でコントロールされた環境が提供されます。これにより、クライエントは感情を安全に表現でき、恐怖や不安を感じることなく、自分の内なる声を探求することができます。また、義理の父親の言葉や反応を想像することで、自分がどのように感じたか、または感じているかを明確にすることができます。

感情の統合と内面的な癒し

トラウマを抱えたクライエントにとって、エンプティチェア技法は感情の統合と癒しのプロセスをサポートします。義理の父親に対する怒りや悲しみ、そして時には恨みなど、複雑な感情が交錯していることが多いのです。この技法を通じて、クライエントはその感情を整理し、過去の経験を一つのまとまりとして捉え直すことができます。この統合プロセスにより、クライエントは過去のトラウマから脱却し、より健康的な自己認識と未来への希望を持つことができるようになります。

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