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ゲシュタルト療法のエンプティチェア

目次

創始者パールズのゲシュタルト療法と体験的技法のエンプティチェアのアプローチを詳しく紹介

フレデリック・パールズ(1893-1970 Frederick Salomon Perls)は精神分析医であり、通称フリッツ・パールズ(Fritz Perls)と呼ばれていて、ゲシュタルト療法の創始者として知られる人物です。ゲシュタルト療法は、妻でありゲシュタルト心理学者であるローラ・パールズと文学評論家の編集者ポールグットマンらによって創られた心理療法です。1951年には「ゲシュタルトセラピー」を発刊し、その後1952年にゲシュタルト療法研究所を創設してゲシュタルト療法の名称で広められていきました。

ゲシュタルト療法は、ゲシュタルト心理学の理念をもとにしていますが、パールズは、ゲシュタルト心理学の考え方を独自の治療アプローチに取り入れ、その理論と実践を組み合わせてゲシュタルト療法を確立しています。アプローチは、個人の過去の欲求である未解決な問題、経験が今ここ(現在)に影響を与えているという考え方で、「今ここの気づきの体験・実習」を通して自己成長を目指す療法であり、ゲシュタルト心理学とは弁別され、主に心理療法の領域にあります。

フリッツ・パールズは、ゲシュタルト心理学の原理である「形」「全体」「完了」「統合」を基に、意識に現れていない内面の自己の体験に焦点を当てた治療アプローチです。アプローチは「感覚・感情・欲求の探索」、「葛藤や未完了の明確化」、「反映と洞察の促進、展開」、「完了、変容、統合」、「現実への接続」につながるゲシュタルト療法を創始しました。この療法は、クライアントがその瞬間に起こっている感情や体験に焦点を当て、その体験を探求して個人の成長や変容を促すことを目的としています。

ゲシュタルト療法は、人間の心理的な問題や課題にアプローチするための体験的な心理療法です。ゲシュタルト療法は、ゲシュタルト心理学の原則に基づいており、人間の経験を全体として捉えることを重視します。この療法の目的は、クライアントが現在の「今ここ」の経験に焦点を当て、自己の内面を探求し、自己の統合と成長を促進することです。

ただし、ゲシュタルト療法において、ファシリテーター(セラピストやカウンセラー)の個性は非常に重要であり、クライアントとの関係や対話を中心に据えながら、クライアントの内面的なプロセスを探求し、気づきを促すことを目指しています。そのため、ファシリテーターの個性やスタイルがセッションの進行や効果に影響を与えます。

ゲシュタルト療法の理論や技法は、柔軟性を持ち、様々なアプローチやスタイルを取り入れることができるため、「標準的なゲシュタルト療法」という統一されたスタイルや技法、手法は存在しません。ゲシュタルト療法の基本的な原則や理念を共有しつつも、ファシリテーターは自身の知識や経験、個性とクライアントのニーズや状況に応じて、独自のアプローチを取ることが一般的です。

したがって、ゲシュタルト療法は、ファシリテーターが自らのスタイルや個性を活かし、クライアントとの関係を通じて創造的にアプローチすることが重要であり、マニュアルで統一された「定型のゲシュタルト療法」というものではありません。それぞれのファシリテーターが独自のアプローチを持ち、クライアントとの関係の中でその独自性を発揮することがゲシュタルト療法の特徴の一つです。

  • 「ここと今」への焦点
    パールズは、クライアントが「今、ここで」に注意を向け、その瞬間の体験や感情を探求することの重要性を強調しました。過去や未来の出来事よりも、現在の状況に焦点を当てることが人間の成長や癒しにつながると考えています。
  • 対話的なアプローチ
    ゲシュタルト療法では、クライアントとセラピストとの間で対話的な関係を重視していて、クライアントとの関係を尊重し、クライアントの内面の体験や感情を受け入れることの重要性を強調しています。
  • 体験の再構築と意味づけ
    パールズは、クライアントがその瞬間の体験を探求し、それに意味を与えることが成長や癒しにつながると考えていて、クライアントが自己の体験を再構築し、それに新たな意味を見出すための支援をすることで、内面的な変容を促すことを目指しています。
  • フィギュアとグラウンドの理解の応用
    パールズは、ゲシュタルト心理学のフィギュアとグラウンドの概念を治療プロセスに応用していて、クライアントの問題や感情を「フィギュア」として捉え、それがどのようにその人の生活の「グラウンド」から浮かび上がっているかを理解しようとしています。
  • アウェアネスの促進
    パールズは、ゲシュタルト療法においてクライアントのアウェアネス(自己認識や気づき)を促進することを重視していて、クライアントのその瞬間「今、ここで」の経験に焦点を当て、自己理解を深めるために今を生きることの重要性を強調しています。
  • 「こころの魔術師」の概念
    パールズは、クライアントの問題を解決するのではなく、それを受け入れ、変容のプロセスを導く「こころの魔術師」としての治療者の役割を強調していて、クライアントの内なるリソースを引き出し、自己発見と成長を促しています。
  • 非言語的アプローチの活用
    パールズは、ゲシュタルト療法において言葉だけでなく、身体感覚、感情、行動などの非言語的な要素を重視していて、クライアントの体験全体を理解するために、言葉だけでなく身体的な反応や表現も注視しています。

ゲシュタルト療法の効果やメリット

ゲシュタルト療法の効果やメリットは、その特徴的なアプローチによってもたらされますが、ゲシュタルト療法はクライアントが自己の内面を探求し、成長し、より充実した人生を築く手助けをする効果的な心理療法として広く認められています。その主な効果やメリットをいくつか挙げて解説します。

  • 統合と成長の促進
    • ゲシュタルト療法は、クライアントが「今、ここで」の経験に焦点を当て、自己の内面を探求することを重視しています。このプロセスにより、クライアントは自己の内面の断片を統合し、より全体的な自己理解を得ることができます。その結果、クライアントは成長し、より充実した人生を築くことができます。
  • 自己受容と自己表現の促進
    • ゲシュタルト療法は、クライアントが自己の内面を受容し、自己表現を促進することを支援します。クライアントは、セラピストとの対話や実践的な活動を通じて、自己の感情や思考を表現し、受容するプロセスを体験します。これにより、クライアントは自己をより良く理解し、自己の表現力を向上させることができます。
  • 現在中心のアプローチによるストレス軽減
    • ゲシュタルト療法は、過去や未来ではなく、「今、ここで」の経験に焦点を当てることを重視します。この現在中心のアプローチにより、クライアントは過去のトラウマや未来への不安に囚われることなく、現在のストレスや課題に対処することができます。これにより、クライアントは心身のリラックスや安定を促進し、ストレスの軽減に役立ちます。
  • 対話と実践的な学び
    • ゲシュタルト療法は、セラピストとの対話や実践的な活動を通じて、クライアントが自己の内面を探求し、成長することを促進します。クライアントは、実際の体験や自己表現を通じて学び、新たな行動の選択肢を見つけることができます。このプロセスにより、クライアントは自己の力を発揮し、変容することができます。

ゲシュタルト療法のエンプティチェアの技法

ゲシュタルト療法の技法において基本となるエンプティチェアを解説します。「エンプティチェア」とは、空いている椅子のことを指し、クライアントが自己や他者、または過去・現在・未来の人物や対象との内面的な対話や対話的な交流を行うための手法です。これにより、過去の自我状態、現在の自我状態、未来の自我状態のトップドック(理性や制御、規範、責任感など)、またはアンダードック(感情や欲求、創造性など)の対立に気付くことで、心理統合ができるものとされています。

エンプティチェアを簡潔に解説

STEP
セッションの開始

セッションの開始は、クライアントとセラピストの間で信頼と安全な環境を構築するための重要なステップです。セラピストはクライアントのニーズや状態に適切に対応し、セッションが効果的かつ意味のあるものになるように配慮します。

STEP
テーマの選択

テーマは、対象人物や生活上の課題、問題、障害などになります。例えば、心の迷い、苦痛、葛藤や昔から悩んでいること、気になること、そして課題や問題の答えや解決策を求めているようなことです。セラピストはクライアントが提示したテーマテーマに関連する思い出や感情を探求したりしながら、さらに掘り下げ、セッションで取り組むべき具体的な課題や目標が明確にします。

STEP
エンプティチェアの設置

クライエント自身の椅子とセッションの場に空いている椅子を用意し、それを「エンプティチェア」と呼ぶことを伝え、この椅子はクライアントがテーマを促進するために、自己や他者、または過去や未来の人や対象との内面的な対話を行うための椅子(場所)として準備されていることを説明します。

STEP
内面的な対話

内面的な対話の目的は、クライアントが自己理解を深め、自分の内面的な状態や体験により良い理解を得ることです。感覚、感情、欲求の探求を通じて、クライアントは自己の内面をより豊かに理解し、セラピーの目標に向けて進展します。セラピストはクライアントの探求を支援し、安全な環境を提供して、深い内面的な洞察が得られるように助けます。

STEP
困難の明確化、そして反映と洞察

反映と洞察は、セラピストとクライアントが共同で行う対話や体験を通じて得られる重要な成果となります。セラピストは、クライアントの内面的な経験を反映し、その反映を通じて洞察を促し、クライアントが自己理解を深め、問題を解決、完了し、成長するのを支援するための重要な技法です。

STEP
展開・変容

展開と変容は、クライアントが自己の内面的な状態や体験を探求し、それをより深く理解し、心理的統合を促進するプロセスです。この段階では、クライアントが自己の内面的な要素を受け入れ、より良い調和を見出すことを目指します。

STEP
修了と振り返り

修了と振り返りのプロセスは、クライアントがセッションでの経験を現実の生活に統合し、成長と変容を維持するのに役立ちます。セラピストはクライアントがセッションでの学びを持続させるための支援を提供し、クライアントがセラピーの経験を積極的に現実に活用することを促します。

ゲシュタルト療法/エンプティチェア技法

エンプティチェアを詳細に解説

STEP
セッションの開始

セッションの開始は、クライアントとセラピストの間で信頼と安全な環境を構築するための重要なステップです。セラピストは、クライアントに空いている椅子を示し、それを「エンプティチェア」と呼ぶことを確認します。この椅子は、クライアントが特定の人や自分自身、対象を想起し、その人や対象との対話を行うための場所として用意されます。ゲシュタルト療法におけるセッションの開始は、クライアントとセラピストが安全で信頼できる関係を築くための重要なステップです。

STEP
接触と関係の構築


セラピストはセッションの冒頭で、クライアントがリラックスし、安心感を得られるように環境を整えます。これには、セラピストの安定した姿勢や明るい表情、落ち着いた雰囲気の部屋などを提供します。クライアントが初めての場合であれば、セラピストは自己紹介を行い、療法の進め方やルールを説明します

STEP
セッションの目的や目標の準備

クライアントとセラピストは、セッションで取り組むテーマや目標を明確化に結び付ける準備段階として、クライアントがセッションで何を達成したいのか、何に焦点を当てたいのかを間接的に柔らかく触れていきます。

STEP
クライアントの現在の状態の理解

セラピストは、クライアントの現在の状態や感情に注意を払います。クライアントがセッションに臨む際の心理的、感情的な状態を理解し、適切なサポートを提供します。

STEP
セッションの進行に関する説明

セラピストは、セッションの進行やゲシュタルト療法の基本的なプロセスについてクライアントに説明します。これにはセラピストとクライアントが共同で取り組むアプローチや技法の概要、セッションのルールや構造についての説明となります。

STEP
クライアントの期待や懸念の探求

セラピストはクライアントの期待や懸念に対して理解を示し、適切な対処方法を提供します。クライアントがセッションに対して持つ期待や不安を明らかにし、それらに対するセラピストのアプローチを理解することが重要です。

セッションの開始は、クライアントとセラピストの間で信頼と安全な環境を構築するための重要なステップです。セラピストはクライアントのニーズや状態に適切に対応し、セッションが効果的かつ意味のあるものになるように配慮します。

STEP
テーマの選択

クライアントは、セラピストとの対話を通じて、エンプティチェアの体験の中で内面的な対話を行うためのテーマや問題を選択します。テーマには、感情、欲求、人間関係、過去の経験など、クライアントが焦点を当てたいと感じる領域を選択します。

STEP
クライアントの安定化

クライアントがセラピストとの接触を確立し、セラピストに対して安心感や信頼感を感じられるように配慮します。セラピストはクライアントに対して共感的で受容的な姿勢を示し、クライアントが自分自身を安全に表現できる環境を提供します。

STEP
クライアントの現在の状態の把握

セラピストはクライアントの現在の状態や感情を把握するために、オープンな質問や非言語的なサインを観察します。クライアントの言葉や体の動き、表情などから、セッションにどのような気持ちで臨んでいるかを理解します。

STEP
テーマの選択

テーマの選択は、セラピストとクライアントがセッションで取り組む主題や焦点を決定するプロセスです。クライアントが自発的にテーマを提示する場合もありますが、そうでない場合はセラピストがクライアントと協力してテーマを見つけ出します。この段階では、クライアントがセラピストにどのような問題や関心事を持っているかを探求し、それをセッションの焦点とするための基盤を築きます。

STEP
テーマの明確化

セラピストはクライアントが提示したテーマをさらに掘り下げ、明確化します。この段階で、セラピストはクライアントに対して質問を投げかけたり、そのテーマに関連する思い出や感情を探求したりします。これにより、セラピストとクライアントがセッションで取り組むべき具体的な課題や目標が明確になります。

STEP
共同作業の確立

テーマの選択プロセスを通じて、セラピストとクライアントは共同作業を確立します。クライアントがテーマを自ら選択した場合でも、セラピストはクライアントの探求をサポートし、セッションでの成長と変容を促進します。

テーマの選択はセッションの開始段階で重要なプロセスです。クライアントが自らの問題や関心事に焦点を当てることで、セラピストとの共同作業が展開され、より意味のあるセラピーのプロセスが進行します。テーマは、対象人物や生活上の課題、問題、障害などになります。例えば、心の迷い、苦痛、葛藤や昔から悩んでいること、気になること、そして課題や問題の答えや解決策を求めているようなことです。

STEP
エンプティチェアの設置

セラピストは、クライエント自身の椅子とセッションの場に空いている椅子を用意し、それを「エンプティチェア」と呼ぶことを伝え、この椅子はクライアントがテーマを促進するために、他者や自分自身、または過去や未来の人や対象との内面的な対話を行うための椅子(場所)として準備されていることを説明します。

STEP
物理的な配置

エンプティチェアは、セラピストの椅子とクライアントの椅子の間に置かれます。通常、セラピストの椅子と平行またはわずかに斜めに配置されます。これにより、クライアントはエンプティチェアに向かって対話することができ、その存在感を感じながら自己探求を行うことができます。また、セラピストがクライアントとの対話が自然で直接的なものとなるように配置されます。

STEP
エンプティチェアの象徴性

エンプティチェアは、クライアントが自分自身やその他の人物、あるいはクライアントの内面的な状態や感情を象徴するために使用されます。クライアントはエンプティチェアを通じて、内面的な対話や探求を行い、自己理解を深めることができます。

STEP
自由な利用

クライアントはセッション中にエンプティチェアを自由に利用することができます。クライアントが特定の部分や感情を表現したいと感じたときに、エンプティチェアに向かって話すことができます。また、エンプティチェアに座ることで、クライアントはその対象や部分、相手や自分の感情をより具体的に感じ取ることができます。

STEP
感情や思考の表現

クライアントは、エンプティチェアに座りながら、内面的な対話を通じて自己の感情や思考を表現します。クライアントは、その対象や人物に向けて感情や思考を語り、その内面的な対話を外部化します。このプロセスにより、クライアントは自己の内面をより深く探求し、理解することができます。

STEP
セラピストの観察と介入

セラピストはエンプティチェアを通じてクライアントの内面的な状態や感情を観察します。クライアントがエンプティチェアに向かって話す際には、セラピストはクライアントの言葉や表情、体の動きなどを注意深く観察し、クライアントの内面的なプロセスを理解しようとします。セラピストは適切なタイミングで介入し、クライアントが自己探求を深められるようにサポートします。

エンプティチェアの設置は、クライアントがセラピーのプロセスに積極的に参加し、内面的な探求を行うための重要な要素です。エンプティチェアはクライアントが自己理解を深め、心理的変容を促進するための有力なツールとして活用されます。

STEP
内面的な対話

クライアントは、エンプティチェアに座り、その椅子を特定の人や対象、もしくは、もう一人の自分自身としてイメージします。クライアントは、その人や対象との対話を模倣し、その人や対象に向けて感情や思考を表現します。セラピストは、クライアントがその対話を通じて自己の内面を探求し、洞察を得ることを支援します。
内面的な対話は、ゲシュタルト療法において重要なプロセスです。この段階では、クライアントが自分の内面的な状態や体験にアクセスし、それらを探求します。具体的には、感覚的なレベル、感情的なレベル、欲求的なレベルでの探索が行われます。

STEP
感覚的な探索

クライアントは自分の身体感覚に注意を払い、感じていることを探求します。セラピストがクライアントに質問を投げかけたり、指導したりすることで、クライアントは自分の身体感覚により注意を向けることができます。たとえば、クライアントが感じる緊張やリラックス、身体的な不快感などが探求されます。

STEP
感情的な探索

クライアントは自分の感情について探求します。セラピストはクライアントの言葉や非言語的なサインを観察し、感情を引き出すために質問を投げかけます。クライアントは感情の種類や強度、発生原因などについて探求し、それらを受け入れることや表現することを促されます。

STEP
欲求的な探索

クライアントは自分の欲求やニーズなどの思考について探求します。セラピストはクライアントに対して、自分の欲求やニーズを理解し、それらを満たす方法を探求するよう促します。クライアントは自分の欲求やニーズがどのように満たされるか、またそれがどのように関係や行動に影響を与えるかを考えます。

STEP
クライアントの指定

セラピストは、セッションの進行に従って、クライアントにエンプティチェアに座ることを促します。クライアントは自発的にエンプティチェアに座り、内面的な対話や表現を行います。時には、クライアントがエンプティチェアに座ることに抵抗を感じる場合もありますが、セラピストはその抵抗を受容し、探求することを支援します。

STEP
対象の設定

クライアントは、エンプティチェアに座りながら、その椅子に対して特定の対象や人物を想像します。これは、自己や他者、過去や未来のある人や対象など、さまざまなものに焦点を当てることができます。クライアントは、その対象や人物との対話や交流を模倣し、内面的な対話を行います。

STEP
感情や思考の表現

クライアントは、エンプティチェアに座りながら、内面的な対話を通じて自己の感情や思考を表現します。クライアントは、その対象や人物に向けて感情や思考を語り、その内面的な対話を外部化します。このプロセスにより、クライアントは自己の内面をより深く探求し、理解することができます。

内面的な対話の目的は、クライアントが自己理解を深め、自分の内面的な状態や体験により良い理解を得ることです。感覚、感情、欲求(思考)の探求を通じて、クライアントは自己の内面をより豊かに理解し、セラピーの目標に向けて進展します。セラピストはクライアントの探求を支援し、安全な環境を提供して、深い内面的な洞察が得られるように助けます。

STEP
困難の明確化、そして反映と洞察

セラピストは、クライアントがエンプティチェアとの対話を通じて得た洞察や発見を反映します。クライアントの言葉や感情に対して共感し、理解を示します。また、セラピストは、クライアントがその対話から得た洞察を深めるための質問や提案を行うことがあります。
ゲシュタルト療法における反映と洞察は、クライアントが内面的な体験や感情、欲求に気付き、それを理解するための重要なプロセスです。この段階では、セラピストがクライアントの言動や感情に対して注意深く反応し、それをクライアント自身に示し、新たな洞察を促します。

STEP
葛藤状態や未完了体験の明確化

セラピストはクライアントが抱える葛藤状態や未完了の体験を明確化します。これには、否定的な思考が創り出した現実とは違う過去のトラウマやトップドックとアンダードック、または過去と現在の自我の対立が引き起こす葛藤による難しい関係、特に現在の困難な状況などになります。セラピストはクライアントが自らの葛藤や未解決の体験に向き合い、それを理解し完了することを支援します。このプロセスは、クライアントが過去の経験や現在の状況に対処するための洞察を得るのに役立ちます。

STEP
強めの感情や欲求の反映

セラピストはクライアントが表現する感情や欲求(思考)に注意を払い、それを反映します。たとえば、クライアントが怒りを感じている場合、セラピストはその感情を受け止め、それをクライアントに示します。このような反映を通じて、クライアントは自分の感情や欲求をより明確に認識し、それに対処するための可能性を探求します。

  • 反映 (Reflection)
    • 反映は、セラピストがクライアントの言葉や感情、行動を受け取り、それをクライアントに返すプロセスです。セラピストは、クライアントがセッションで表現した内容を言葉や非言語的な手段で反映し、クライアントにその内容を理解したことを示します。例えば、「あなたは今、とても怒っているように見えますね」といった言葉でクライアントの感情を反映することです。
    • 反映により、クライアントは自己の内面の感情や思考を客観的に見ることができ、自己の理解を深めることができます。また、セラピストの受容的な態度により、クライアントは安心感を得て自己の内面を表現しやすくなります。
STEP
反映と共感の提供

セラピストはクライアントの感情や体験を反映し、同時に共感を示します。これにより、クライアントは自分の内面的な状態が受け入れられ、理解されていることを感じることができます。この安心感や受容感は、クライアントが自己を探求し、成長するための基盤となります。

STEP
洞察の促進

反映と洞察は、クライアントが自己理解を深め、新たな洞察を得るためのプロセスです。セラピストはクライアントの言動や感情に対して注意深く反応し、それに基づいてクライアントが自己の内面的な状態をより深く理解するのを支援します。このプロセスは、クライアントが自己成長や変容を実現するための基盤となります。

  • 洞察 (Insight)
    • 洞察は、クライアントがセラピストとの対話やセッションの体験を通じて得た新たな理解や気づきのことを指します。クライアントが自己の内面を探求し、そこから得た洞察は、自己の行動や感情、関係性に関する新たな理解や解釈として現れます。
    • 洞察は、クライアントが自己の内面のパターンや課題を理解し、それに対処するための新たな視点やアプローチを見つけるのを支援します。洞察が得られると、クライアントは自己の成長や変容に向けて新たな方向性を見出し、行動を変えることができるようになります。

反映と洞察は、ゲシュタルト療法におけるセラピストの役割の一部であり、クライアントが自己理解を深め、問題を解決、完了し、成長するのを支援するための重要な技法です。
反映と洞察は、セラピストとクライアントが共同で行う対話や体験を通じて得られる重要な成果です。セラピストは、クライアントの内面的な経験を反映し、その反映を通じて洞察を促し、クライアントが自己の内面を理解し、完了、成長するのを支援します。

STEP
展開・解放(解除)・変容

ゲシュタルト療法における展開と変容は、クライアントが自己の内面的な状態や体験を探求し、それをより深く理解し、心理的統合を促進するプロセスです。この段階では、クライアントが自己の内面的な要素を受け入れ、より良い調和を見出すことを目指します。

STEP
欲求と感情の展開

クライアントは自己の欲求(思考)や感情を探求し、それらを展開させます。セラピストはクライアントが表現する欲求や感情に関心を向け、それらを受け入れ、探求することを支援します。クライアントが自己の欲求や感情を展開させることで、それらがより明確になり、理解が深まります。

  • クライエントの欲求や感情は、エンプティチェア技法により、気づきや表現を通して展開(解放)されても別の欲求や感情が5層1核の階層性、例えば、ミルフィーユや地層の層のように構成されていて残っています。それらの層を一つひとつ解除や解放を行ない、核心的な層に迫るまでワークを続けると、クライエントは欲求や感情を豊かに経験し、それらを受容し感覚的に「腑に落ちる」ところにたどり着きます。ここで深い展開と変容を得ることができます。
STEP
心理的統合の促進

クライアントが自己の欲求や感情を「玉ねぎの皮むき」のように展開させることで、心理的な統合が促進されます。玉ねぎの皮の一枚目、2枚目を剥くのはとても大変ですが、それ以後はやわらかくなってきます。これは、クライアントが内面的な葛藤や矛盾を受け入れ、調和させるプロセスでもあります。そのうえで、セラピストはクライアントが葛藤や矛盾に直面したときに、それを受け入れ、受容するようサポートします。この受け入れ受容するワークを「心身の統合」ワークと呼んでいます。クライアントが自己の内面的な要素を受け入れ、統合することで、より健全な心理的状態が促進されます。

STEP
新たな洞察と成長の促進

展開と変容のプロセスを通じて、クライアントは新たな洞察を得ることができます。自己の内面的な要素を探求し、受容し、統合することで、クライアントは自己理解を深め、成長することができます。セラピストはクライアントが新たな洞察を得るのを支援し、最終的に現実の生活に活かすための方法を探求します。

展開と変容のプロセスは、クライアントが自己の内面的な要素を探求し、受け入れ、統合することで、心理的な成長と健全な調和を促進する重要な段階です。セラピストはクライアントの探求を支援し、新たな洞察と成長が生じるように導きます。

STEP
修了と振り返り

ゲシュタルト療法におけるセッションの修了と振り返りは、セラピーの終了段階であり、クライアントがセラピーの経験を統合し、現実の生活に持ち込むプロセスです。

STEP
現実に接続・統合

セッションが終了する前に、セラピストはクライアントがセッションで得た洞察や成果を現実の生活にどのように持ち込むかを促します。クライアントはセラピストと共に、セッションでの学びや気づきを具体的な行動や変化に結びつける方法を考えます。このプロセスは、セッションでの洞察や成果がクライアントの日常生活に実際に適用されるようにするための重要な段階です。

STEP
ワークの修了

セッションの終了がワークの修了となりますが、セッションで取り組んだ特定のテーマや目標に対する進行状況や成果の振り返りとなります。セラピストはクライアントに対して、セッションでの進行状況や成果を振り返り、今後の成長や発展に向けたポジティブな方向性を強調します。

STEP
感謝と振り返り

セッションの終了時に、クライアントとセラピストは共にセッションでの経験を振り返り、感謝の気持ちを表します。クライアントはセラピストに対して感謝の言葉を述べ、セラピストもクライアントの成長と努力を称賛します。この段階では、クライアントとセラピストの間に信頼と共感が深まり、セラピーの経験がより意味のあるものとなります。

修了と振り返りのプロセスは、クライアントがセッションでの経験を現実の生活に統合し、成長と変容を維持するのに役立ちます。セラピストはクライアントがセッションでの学びを持続させるための支援を提供し、クライアントがセラピーの経験を積極的に活用することを促します。

エンプティチェアでの気づきワーク

エンプティチェアでは、クライエントの気づきの体験などを深めることで、様々な気づきを焦点化させるための展開として次のような質問をすることがあります。

  • 「気づいていることを、さらに感じてください」
  • 「気づいていることを、さらに大きく表現してください」
  • 「何か、見えるものはありますか?」
  • 「その感覚は、身体のどの部分から発していますか?」
  • 「身体のその部位は何を話していますか?」
  • 「主格の相手はどんな洋服を着ていますか、何か持ち物で気づくことはありますか?」
  • 「特定の出来事が起こりましたか?何が起こりましたか?」
  • 「場所や部屋の様子など所や部屋の様子など何か見えるものや気づいたものはありますか?」
  • 「遠くから聞こえる音でも構いません。何か聞こえるものはありますか?」
  • 「場所の匂い、部屋の匂い、汗のにおいなど、何かの匂いはしますか?」
  • 「身体の外側に感じるものはありますか?」
  • 「相手はどんな言葉を言っていますか?」
  • 「相手は何に対して怒っていますか?」
  • 「出来事が起きた結果、自分や周りはどのようになりましたか?」
  • 「出来事でいま感じている苦しいこと、不快なこと、最悪なことは何ですか?」
  • 「その時、伝えられなかった言葉はありますか?」
  • 「実際に伝えられなかった言葉を発してみて、イメージは変わりましたか?」
  • 「その時、表現できなかった感情はありますか?」
  • 「その時、感情を表現していたら、状況に変化はありましたか?」
  • 「出来事が起き始めた時に、あなたはどんな行動をしましたか?何もできませんでしたか?」
  • 「その時、取れなかった行動はありますか?」
  • 「その時、取れなかった行動をとれる余裕がありましたか?」
  • 「この状況をもう一度やり直せるとしたら、どんなことができそうですか?」
  • 「その時、後悔していることはありますか?」
  • 「その時の後悔を客観的に判断したら後悔になりますか?」
  • 「この出来事はあなたが被害者ですか?」
  • 「この出来事はあなた以外に被害者はいますか?」
  • 「この出来事が起きたことは、相手(他者)とあなたとの力関係の差はあると思いますか?」
  • 「この出来事はあなた(他者)に原因はあると思いますか?」
  • 「この出来事は回避することができたのですか?」
  • 「この出来事は以前より、継続していた出来事ですか?」
  • 「この出来事の最中に助けて欲しかった人はいますか?」
  • 「自分に対し悲しみ、哀れ、恥、罪など感じていますか?」
  • 「「私は価値がない」「私は愛されてるに値しない」などあなたは何を感じていますか?」
  • 「この出来事から、あなたはどういう人間だと考えていますか?」
  • 「そのことで自分のことをどう思っていますか?」
  • 「その考えや思いがその通りである事実や根拠はありますか?」
  • 「そう考えることのメリットはありますか?」
  • 「そう考えるとき、最悪どんなことになる可能性がありますか?」
  • 「最悪や奇跡ではなく、現実にはどんなことになりそうですか?」
  • 「他の人なら、この状況に対してどんなことをすると思いますか?」
  • 「もし、自分にとって大事な人がこの状況に晒されていたら何と言ってあげたいですか?」
  • 「この状況下に直面している自分に対して、もう一人の自分がいるとして客観的にどんなことを言ってあげたいですか?」

というように質問していくことがあります。このことで、気づきの感情や欲求が解放されて変容がさらに促進されていきます。

「私は今、ここにいる・ある」気づきのマインドフルネス

「私は今、ここにいる」意識ワーク

ゲシュタルト療法では、「私は今、ここにいる・ある」ことに焦点を当てます。過去や未来に捉われるのではなく、クライアントが現在の状況や体験、感情に焦点を当て、その感情や体験を受容し理解することが重要です。この「今、私はここにいる・ある」気づきのマインドフルネス・ワークの実践がエンプティチェアをスムーズに進めるためのトレーニングともなります。

私、自分自身は毎日、数回の入れ代わりで複数の自我状態(キャラ)を演じています。例えば、「仕事での自分自身」「友人との自分自身」「家族との自分自身」「恋人との自分自身」「一人での自分自身」「趣味での自分自身」「酒場での自分自身」というように、状況により違う人格が出現し、多重人格が存在しているように明確にキャラクターを変えて活動しています。この社会の中での七変化している副作用として、心にコンフリクトや苦痛をもたらしてしまっている可能性もあります。

そこで、ゲシュタルト療法では、自分の意識や感覚、感情や思考が瞬間的に「私は今、ここにいる・ある」ことを気づくことが、自分自身の意識の偏りにも気づくことになります。このことで、エンプティチェア技法の心理的統合へのプロセスを促進できることにつながるということになります。

このマインドフルネス・ワーク「気づきの3つの領域」とは、体の感覚の内側領域・外側領域・中間領域の3つの領域に分けて、それぞれの領域が感じている、意識、認識していることは何なのか、と掘り下げることで深い気づきをもたらすためのゲシュタルト療法をもとにしたワークです

内部領域(内側)

肉体の内側で感じる感覚や感情世界

内部領域は、皮膚の内側に焦点を当てた領域です。これは、心臓の鼓動、呼吸、血流、体温、興奮などと内的な感覚と感情と情動の領域であり、内部の心理的プロセスに関する気づきです。

  • 「私は今、お腹が減っていることに気づいています」
  • 「私は今、とてもイライラしていることに気付いています」
  • 「私は今、首の痛みがあることに気づいています」
  • 「私は今、目の奥が重くなっていることに気づいています」
  • 「私は今、呼吸が浅くなっていることに気づいています」
  • 「私は今、とても興奮していることに気付いています」
  • 「私は今、胸のあたりにモヤモヤしたものを感じていることにきづいています」
  • 「私は今、緊張していることに気づいています」
  • 「私は今、心臓の鼓動を感じていることに気づいています」
  • 「私は今、落ち着かない感覚を感じていることに気づいています」
  • 「私は今、トイレが近くなっていることに気付いています」
  • 「私は今、座っているお尻の位置がずれていることに気付いています」
外部領域(外側)

肉体の外側、特に五感で認識・感じている外部世界

外部領域は、皮膚の外の世界で身体的な感覚や外界の刺激に焦点を当てた領域です。これは周囲の環境や身体的な感覚、外部の刺激に関する気づきです。例えば、目の前や周りの環境、外部に実在している物質、それらを直接知覚する五感の領域です。

  • 「私は今、部屋で音楽が聴いていることに気づいています」
  • 「私は今、あなたの声がしていることに、気づいています」
  • 「私は今、お花のいい匂いがしていることに気づいています」
  • 「私は今、パソコンの画面を見ていることに気づいています」
  • 「私は今、外の風で髪がなびいていることに気付いています」
  • 「私は今、救急車のサイレンが鳴っていることに気付いています」
  • 「私は今、人が通り過ぎていくのを目で追いかけていることに気付いています」
  • 「私は今、子どもの会話に耳を傾けていることに気付いています」
  • 「私は今、床についている足が冷たいということに気付いています」
  • 「私は今、閉じた目の中でオレンジ色の光が浮かんで見えていることに気付いています」
  • 「私は今、背中に汗をかいていることに気づいています」
中間領域(思考)

思考や判断、空想の行き交う頭の中

中間領域は、外部と内部の領域の間に位置し、思考や観念、言葉の意識的なプロセスに焦点を当てた領域です。これは、自己の考えや信念、解釈、判断の気づきです。自己の思考パターンや信念の影響を受け入れています。

  • 「私は今、明日のプロジェクトの行方を考えていることに気づいています」
  • 「私は今、明日の休日に何をするかを考えていることに気づいています」
  • 「私は今、夕飯のメニューはハンバーグにしようと考えていることに気づいています」
  • 「私は今、昨日彼女にきつく言いすぎたなと考えていることに気づいています」
  • 「私は今、亡くなってしまった母の優しさを空想していることに気付いています」
  • 「私は今、今日中に水道光熱費の支払をしなければならないことに気付いています」
  • 「私は今、同僚から届いたメールの意味は嫌われているということに気付いています」
  • 「私は今、昇進試験の不合格を悔やんで自信を無くしているということに気付いています」
  • 「私は今、体形が気になってダイエットしなければならないと考えていることに気付いています」
  • 「私は今、今朝見た夢の光景を思い出していることに気付いています」
  • 「私は今、小学生の時にいじめられていた光景を浮かべていることに気付いています」
  • 「私は今、亡くなってしまった母の優しさを空想していることに気付いています」
  • 「私は今、中学時代の校舎が見えていることに気付いています」
  • 「私は今、大好きだった歌が聞こえてきていることに気付いています」

「私は今、ここにいる・ある」気づきのマインドフルネスのワーク

  1. 椅子や地べたに座った姿勢でも、ベットなどに仰向けに寝た姿勢など無理のない楽な姿勢をとります。
  2. 目を閉じ(目を開ける)自分のペースで呼吸を続けます。
  3. セラピスト:自分自身の身体の内側で感じる感覚や感情に意識を向けてください。
  4. セラピスト:自分の身体の内側で感じている心臓の鼓動、呼吸、興奮やイライラ感、怒り、ウキウキ感、嬉しさなどや、今、体の内側で体験していること、気づいていること、起こっていることは何かありますか?意識を向けて感じてください。
  5. クライエント:お腹が減っています。
  6. セラピスト:お腹が減っていますに、「私は今、」と「いることに気付いています」を加え、「私は今、お腹が減っていることに気づいています」と言葉で気づきを話してください。
  7. セラピスト:最初ですから繰り返します。「私は今、お腹が減っていることに気づいています」と気づきを向けてください。それではどうぞ!
  8. クライエント:「私は今、お腹が減っていることに気づいています」。
  9. このことで、「私は今、ここにいる・ある」ことに強く気付きを得たはずです。しかし、気づきには何の評価もしません。
  10. 同じように2分程度、内側の感覚を広げ、その他の内側で感じる気づくことを焦点化し、「私は今、○○〇いる・あることに気づいています」を繰り返していきます。
  11. 同じようにセラピストとクライエントが外側と中間領域も引き続きセッションを繰り返していきます。「私は今、ここにいる・ある」を感じていくだけでも、意識の変容が活性化されます。また、このセッションを繰り返すことは、感情や欲求にアクセスすることで必要とするヒントや答えが感情や欲求の中から見つけ出すことができるからです。

エクササイズ終了後、振り返りの中で、それらの回答(気づき)が、3つの中のどの領域に多く分布しているかをお互いに見ていきます。人によって、ある領域が多かったり、ある種の傾向性があったりと、自分の癖やパターンが見えてきます。ゲシュタルト療法では、このパターンの偏りが、心の可動域をせばめたり、体験を阻害したりと能力を制限していると考えます。この阻害や制限を、ワーク(セッション)などを通して、心の可動域が広がるようにします。

「今、ここに注意を向ける」気づきのマインドフルネスのワーク

  1. 呼吸に注意を向ける
    • “今、ゆっくりと深呼吸してみてください。吸うときに鼻から空気が入り、吐くときに口から出る感覚を感じてください。”
    • “呼吸を意識して、体が膨らむときと縮むときの違いに気づいてみてください。”
    • “その後は自分が楽な呼吸を続けてください。”
  2. 身体の感覚に注意を向ける
    • “体のどこかに緊張や痛みを感じている場所がありますか?その部分の感覚を観察してみてください。”
    • “体の一部に気持ちのよい感覚がある場合、それを感じることができますか?どんな感覚ですか?”
    • ”感じたら、⒈の呼吸や身体感覚に戻ります。”
  3. 外部の刺激に注意を向ける
    • “部屋の中で目に入る色や光、影を見つめてみてください。それらの色や形に注意を向けます。”
    • “部屋の中で聞こえる音に注意を向けてください。それらの音がどこから来ているか、どのような音なのかに気づいてみてください。”
    • ”感じたら、⒈の呼吸や身体感覚に戻ります。”
  4. 感情に注意を向ける
    • “今、何か特定の感情を感じていますか?例えば、イライラ感や悲しみ、ワクワク感や嬉しさなどになります。その感情がどのように体の中で感じられるかに注意を向けてみてください。”
    • “感情が表面に出ている場合、どのような表情や身体の動きがありますか?それらのサインに注意を向けてください。”
    • ”感じたら、⒈の呼吸や身体感覚に戻ります。”
  5. 思考に注意を向ける
    • “今、頭の中に浮かんでくる思考や声がありますか?例えば、昨日失敗したことや明日の仕事のことなどです。それらの思考や声に気づいて、ただ観察してください。”
    • “思考が流れるのを観察することができますか?どのようなパターンやテーマがあるかに気づいてみてください。”
    • ”感じたら、⒈の呼吸や身体感覚に戻ります。”

これらの具体的な指示や質問を通じて、セラピストはクライアントが内部、外部、および中間の領域に注意を向けるよう促し、そこに現れる体験や感情に気づくことを支援します。セラピストはクライアントがそれらの体験を受け入れ、観察することを奨励し、自己理解を深めるための基盤を提供します。その後は、感情も思考も受け流すこともできるように呼吸に戻り、今ここに集中していきます。

マインドフルネスのワークは、内部、外部、そして中間の領域に気づきを向けることで、クライアントが自己理解を深め、現実との接続を強化し、受容することで自己の内外の統合を促進することを目的としています。
また、ゲシュタルト療法を行うことは、これらの領域をバランスよく探求することが重要であり、クライアントが自己の気づきを深め、成長や変化を促進するのに役立ちます。

  • 『ゲシュタルト療法の基礎』
    • 著者: レネ・カウフマン、ジョセフ・Z・フィンケルスタイン、J.ゲルバーグ
    • 出版社: シンクロニシティー出版
  • 『ゲシュタルト療法入門』
    • 著者: ゲーリー・Y・ペイン
    • 出版社: 星和書店
  • 『ゲシュタルト療法の実際』
    • 著者: フリッツ・パールズ、ポール・フェッダー、マイケル・マーフィー
    • 出版社: 北大路書房
  • 『ゲシュタルトセラピー入門―人間理解のためのアプローチ』
    • 著者: ペトラ・ティーマー
    • 出版社: 星和書店
  • 『ゲシュタルト療法の実践と理論』
    • 著者: ブラウン・エリソン
    • 出版社: 星和書店
  • “Gestalt Therapy: Excitement and Growth in the Human Personality”
    • 著者: フリッツ・パールズ
    • 出版社: Souvenir Press Ltd.
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