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認知の歪み、偏りのバイアスパターン43例と心理用語

目次

認知の歪みは、物事の捉え方に歪みや偏りがあるということです。代表的な認知のアンバランス(非合理的)な認知バイアスと知っておきたい心理用語を表にしています。

私たちは、生活するうえでストレスからは免れらません。そのストレスには問題となる出来事、状況(ストレッサー)があるからですが、ストレッサーは変えられるものではありません。私たちは出来事や状況を主観的に捉えているのですが、通常は無意識や意識的に適応的判断をしています。ただ、幼少期の体験で備わった特徴的な反応の偏りが判断として生じ、非適応的な認知的評価(考え方の癖)をする場合もあります。
例えば、問題となる出来事を「問題が起きた原因を自らに責任や落ち度があると考えること」と認識するか、「問題が起きた原因を自分以外にあると考えること」では真逆になります。
ネガティブな認知が癖になってしまうことで、知らずに極端な考え方に捉われてしまったり、自分の認知の極端な部分を気づかずに自分を苦しめ、振り回されてしまいます。

 問題の出来事や状況への対処や受け止め方は、ストレスへのコーピング(対処)ができているかどうかでも、負担を感じる(ストレス反応)、負担は感じない(快活な気分)であるかが決まります。ストレス反応が強く負担を感じる認知では自分の能力を十分に発揮することができず、快活な気分や健康的な生活は難しくなります。
そこで、精神療法などによって前向きで楽観的な適応的認知評価に改められるような改善が必要となります。

 しかし、多くの人が持っている「認知のかたより(認知のアンバランス)」と呼ばれる非機能的、不適応的な考え方のパターンがありますので、認知バイアス表のを見て自分に当てはめてみることは役立つことかもしれません。

図のように嫌な出来事や状況は起きてしまっていることなので変えられません。しかし、認知は変えられその結果行動も感情もが変わることができます。

このページを含め、心理的な知識の情報発信と疑問をテーマに作成しています。メンタルルームでは、「生きづらさ」のカウンセリングや話し相手、愚痴聴きなどから精神疾患までメンタルの悩みや心理のご相談を対面にて3時間無料で行っています。

認知の歪みと感情との大まかな関係(認知バイアス)(認知の偏り)

全か無か思考(二文法思考・白黒思考)
「正か誤か」「善か悪か」などのように両極端な解釈や判断でしか受け取れない。
完璧でなければ納得できず、自分の行いを振り返って少しでも満足できなければ、「これは失敗だ」と全否定してしまう。
自責思考(自己関連づけ)
問題が起きた原因を自らに責任や落ち度があると考えるこで、他責であったとしても問題が起きた際に原因が自分を取り巻く関連や関係にあると考え自己責任にする。
良くないことが起きると自分の責任にしてしまうので、罪悪感に悩まされたり他人の目が気になってしまう。
破局化思考
一つのミスを取り返しの付かない決定的な破滅と考える。
「すべき」思考
何かやろうとするときに「~するべき」「~するべきでない」と固定的な考え方をする。
「すべき」に縛られて生活が窮屈になったり、自分や他人の失敗を許せずにプレッシャーや怒りを感じやすくなってしまう。
「他人に弱音を吐くべきでない」と考えて、辛いことがあっても誰にも言えず我慢してしまい、自身の限界値を超えてしまう。
感情的決めつけ
自分の感情を根拠に真実の証明や決めつけをしてしまう。
完璧主義思考
ひとつの妥協も許さない、例えば100点以外は0点と同じだと考える。
結論の飛躍
心の読みすぎ:他人の断片的な行動や言葉でその人はこういう人だと決めつけてしまう。
先読みの誤り:根拠もない誰にもわからない先のことや将来のことを断言してしまう。
情動的推論
過去の自分の経験や出来事などを踏まえて、他者が抱く情動(喜び、悲しみ、怒り、恐れなど)を推論する。
選択的抽象化(心のフィルター)
物事全体の中から悪い部分の方にだけに目が行ってしまい、良い部分は除外して物事を捉える。
悪い面の無視(色メガネ思考)
ポジティブな要素を過度に強調し、否定的な要素を軽視することがあります。これにより、バランスの取れていない評価が生じることがあります。
ポジティブな色メガネを通して物事を見るので、何事もポジティブに見えてしまうこと。
過度の一般化
過去にあった嫌だった事、まずいなと感じた事がまた起きるような危機的な心の状態。
わずかな根拠をもとに「いつもこうなる」「みんなそうなんだ」とすべてのことを当てはめてしまう。
過大評価と過小評価(虫メガネ思考)
物事を実際よりも高く見積もったり、低く見積もったりと現実とずれた評価をすること。
悪いことには虫メガネを近づけてみるので大きく見えて、良いことは離してみるので小さく見えてしまう。
自分の短所や失敗を実際より大袈裟に考えて、上手くいったことは「こんなの当たり前だ」と過小評価してしまうこと。
ラベリング(レッテル貼り)
人や特定の事象に対してたいした意味や根拠もないのに否定的に判断し、極端なラベル(レッテル)を張って相手を動かし影響を及ぼす。そのラベリングから浮かぶイメージに振り回されて、冷静な判断ができなくなってしまう。
推理の飛躍(恣意的推論)(結論の飛躍)
正当な証拠もないのにガティブな結論を自分勝手に導き出す。
良くない結果を先読みしたり、相手の顔色からその人の考えを深読みしてしまう。
マイナス思考(プラスの否定)
 プラスの出来事であっても否定してマイナスに考える。良いことが受け止められなく、逆に悪いことが起きそうだと考える。
敵意帰属バイアス
自己肯定感の低さから、他者の言動を悪意や敵意があると感じてしまう心理傾向であり、被害妄想的認知から実際にはない敵意を感じ取ってしまう。

ここからは、バイアス例が重複するものもありますが、バイアス名が異なりますので挙げておきます。

パーソナライゼーション(個人化)
自分自身に対する責任や評価を、実際よりも大きく見積もってしまう認知の歪み。
例)友達が会いに来なかったのは自分のことが嫌いだからだと思い込んでしまう。
予測の誤り
未来についての予測を、現実とは乖離したものにしてしまう認知の歪み。
例)未来のことを考えると、必ず何か悪いことが起こると予測してしまう。
マグニファイ(誇張)
問題や懸念事項を過剰に大きく見積もってしまう認知の歪み。
例)試験に落ちたことが、将来において全てを台無しにしてしまうと思ってしまう。
フィルタリング
特定の出来事や情報を選択的に取り上げ、他の情報を無視してしまう認知の歪み。
例)失敗や批判的なコメントだけを選んで気にしてしまい、自分にとってのポジティブな出来事を見逃してしまう。
マインドリーディング(心を読む)
他人の思考や感情を自分の予測だけで判断してしまう認知の歪み。
例)人が自分を見て笑ったとき、自分のことをバカにされていると勝手に決めつけてしまう。
オーバージェネラライゼーション
個別の出来事を普遍的な事実や真理として解釈してしまう認知の歪み。
例)「私はいつも失敗する。」という考え方が、一度の失敗を全体的なパターンとして認識していることを示しています。
二極思考
事物や人物を「良いもの」「悪いもの」の2つに分けて考え、中間的な見方ができない。
例)「この仕事は完璧でなければならない。完璧でなければ、私は失敗者だ」と考えることがある。
フィルタリング
良い事柄を無視して、悪い事柄だけに注目する。
例)「いい一日だったけど、昼食に食べた料理が不味かったから、今日は最悪の一日だった」と考えることがある。
必然性の誤謬
何かが起こったら、それが必ず起こると思い込む。
例)「今回のデートもきっと失敗するだろう。私はいつもこんなことで悩まされているから」と考えることがある。
感情的推論
感情に基づいた判断をし、事実や証拠を無視する。
例)「彼女が私にメールを返信しなかった。だから、私は彼女にとって価値がない存在なんだろう」と考えることがある。
過剰な汎化
過去の一つの出来事から全体を判断してしまう傾向。
例)失敗したことがあると「自分は何をやっても失敗する」と考えてしまう。
漂白
悪い出来事や状況を良いものとして認識する傾向。
例)虐待やいじめを「自分を鍛えるための良い経験だった」と考えてしまう。
心理学的逆転
自分が目指すことと反対の行動をとってしまう傾向。
例)健康的な食生活を目指しているのに、ついついジャンクフードを食べてしまう。
妄想的解釈
現実的でない、超自然的な解釈をする傾向。
例)自分の願い事が叶うように祈るだけで実現すると信じる
必然的思考
あらゆることを全て白か黒か、良いか悪いかの二分法で考える傾向。
例)一度でも失敗すると「自分はいつも失敗する人間だ」と考えてしまう。
自己関連づけバイアス
他人の意向に従わなければ人間関係が維持できないと信じ、他人の要求を自分の責任として捉える。
選択的抽出
自分が従わないことで問題が生じる可能性にだけ集中し、自己主張のメリットを無視する。
自己卑下バイアス
自分の意見やニーズを軽視し、他者のニーズを優先する傾向。
自己中心的バイアス
他人の問題を自分が解決しなければならないと感じ、責任を負いすぎる。
快楽追求バイアス
今の快楽を優先し、将来の利益や長期的な結果を考慮しない。
未来予測のバイアス
自己抑制が続かないと考え、「努力しても無駄だ」と極端に思い込む。
自己同一視の喪失
他人の価値観やニーズと自分のものを混同し、自分らしさを見失う。
無力感バイアス
自分には能力がないと感じ、自己解決能力を信じられない。

一般的な認知バイアスの主要な数例

確証バイアス(Confirmation Bias)
このバイアスでは、既存の信念や仮説を裏付ける情報に注意を向け、それを強調し、反対の情報を無視または軽視する傾向があります。この結果、バランスの取れていない情報処理が生じ、偏った判断がなされることがあります。
選択的注意バイアス(Selective Attention Bias)
自分の信念や興味に関連する情報に対して、他の情報よりも注意を向ける傾向があります。このため、重要な情報を見落とすことがあります。
過度の決断(Overconfidence Bias
このバイアスでは、自分の判断力や能力を過大評価し、過度に自信を持つ傾向があります。これが誤った判断や意思決定につながることがあります。
群集心理バイアス(Herd Mentality Bias)
他者の行動や意見に影響を受けやすく、群衆の中での一致や一貫性を追求する傾向があります。これが群集行動やブームを生むことがあります。
可用性ヒューリスティックス(Availability Heuristic)
思い出しやすい情報や出来事を評価の基準として使用しやすい傾向があります。これが過去の経験に基づかない誤った判断を導くことがあります。
損失回避バイアス(Loss Aversion Bias)
損失を回避することを好み、同じ価値の利益よりも損失を避けようとする傾向があります。これが冒険を避け、安定性を求めることにつながります。
後知恵バイアス(Hindsight Bias)
出来事が発生した後、その結果が予測可能であったと考える傾向を指します。人は自分の過去の予測や判断を過小評価し、事後の知識によって過去の判断を再評価することがあります。
正常性バイアス(Normalcy Bias)
異常な状況や危機が発生した際に、それが自分に影響を及ぼさないと考え、適切な対応を取らない傾向を指します。普段の生活や日常が続くという安心感に依存し、異常事態を過小評価しがちです。
生存者バイアス(Survivorship Bias)
成功や生存に至った事例のみを観察・分析することで、成功の確率や要因を過大に評価するバイアスです。失敗や脱落の事例が無視されるため、全体像を正確に理解することが難しくなります。
非対称な洞察の錯覚(Illusion of Asymmetric Insight)
他者についての理解や洞察が自分の方が深く、他者は自分について十分に理解していないと信じる認知バイアスです。自分の洞察力や理解力を過大評価し、他者の理解力を過小評価する傾向があります。
自己奉仕バイアス(Self-Serving Bias)
成功を内部要因(自身の努力や能力)に帰属させ、失敗を外部要因(環境や他人のせい)に帰属させる傾向を指します。これにより、自分のイメージや自尊心を守ることができます。
投影バイアス(Projection Bias)
自分の感情や信念を他人も共有していると誤って思い込む認知バイアスです。人は自分の現在の状態や思考が他人にも共通していると考え、それに基づいて他人の行動や反応を推測します。
アンカリング(Anchoring Bias)
最初に提示された情報(アンカー)が、その後の判断や意思決定の基準となり、その影響から抜け出せない現象を指します。初めに得た情報が過大評価され、それ以降の情報や選択肢が正しく評価されにくくなります。

以上のように、認知の歪みや偏りのバイアスパターンには様々な種類があります。これらを理解することで、自分自身の思考パターンを客観的に見つめ直し、より健康的な考え方や判断力を身につけることができます。
バイアスパターンが長期的に続くと、認知的歪みやマイナス思考につながり、うつ病や不安障害の発症リスクを高めることがあります。

知っておきたい心理用語については2⃣ページ目をご覧ください。

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