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離婚時の法律改正(2026年4月1日)の解説

目次

離婚時の法律改正(2026年4月1日)月2万円の法定養育費・養育費回収強化・共同親権・親子交流・財産分与請求期間とルールの解説

2026年の離婚に関する法律改正とは

2026年4月から、離婚後の親子関係や養育に関する法律が大きく変わりました。これまでは、離婚すると父親か母親のどちらか一方だけが親権者になる「単独親権」が原則でした。しかし改正後は、父母が協力できる場合には、離婚後も二人で親権を持つ「共同親権」を選ぶことができるようになりました。

ただし、これは「どんな場合でも共同親権にしなければならない」という意味ではありません。

家庭内暴力(DV)や虐待がある場合、あるいは父母の対立が激しく、子どもの安全や安心が損なわれる可能性がある場合には、これまでどおり単独親権が選ばれることがあります。つまり、法律が重視しているのは「父親の権利」でも「母親の権利」でもなく、「子どもにとって何が最も良いか」という視点です。

また、養育費についても大きな変更がありました。

これまでは養育費の取り決めをしないまま離婚してしまうと、実際には養育費を受け取れなくなるケースが少なくありませんでした。しかし改正後は、養育費を決めていなかった場合でも、法律上の最低限の養育費(法定養育費)を請求できるようになりました。

さらに、養育費を支払わない親に対しては、従来よりも回収しやすい仕組みが整えられています。

これは、「養育費は元配偶者のためのお金ではなく、子どもの生活費である」という考え方がより強く反映された結果です。

親子交流(面会交流)についても考え方が変わっています。

これまでは、「会わせるべきか」「会わせないべきか」という親同士の対立になりやすい面がありました。
しかし改正後は、「子どもが父母の両方との関係を安全に保つことは、子どもの成長にとってどのような意味があるのか」という視点が重視されるようになっています。

もちろん、暴力や虐待などがある場合には、安全が最優先されます。

今回の法律改正全体を一言で表現すると、「離婚したら親子関係が終わる」という考え方から、「離婚しても親子関係は続く」という考え方への転換と言うことができます。

夫婦は離婚によって他人になることでもあります。しかし、子どもにとっては父親も母親も一生の親です。

今回の改正は、「離婚後も子どもが安心ができて育つために、大人がどのように責任を分かち合うか」を社会全体で考える方向へ進んだ法律だと言えます。

今回の法律改正は、父親を有利にするためでも、母親を有利にするためでもありません。一番大きなテーマは「子どもの利益」です。離婚すると夫婦関係は終わるのかもしれませんが、親子関係は終わりません。
そのため、

  • 離婚後も父母が協力できる場合には共同親権を選べるようになったこと
  • 養育費を受け取りやすくしたこと
  • 親子交流を支援する仕組みを強化したこと

が今回の改正の中心です。

一方で、DVや虐待など安全上の問題がある場合には、子どもと被害者を守るために単独親権も維持されます。つまり今回の改正は、「親のための法律」ではなく、「子どものための法律」に近づいた改正だと考えると理解しやすいと思います。

私どもは、「離婚を考えているクライエント様に、どのように分かりやすく説明するか」という視点で伝えるかを重要視しています。
法律は条文だけ読むと難しいものですが、心理カウンセリングの現場では、「この制度は何のために作られたのか」「クライエントの人生にどう関係するのか」まで翻訳することで有効な知識となります。

今回の改正民法についても、親権、養育費、面会交流、財産分与など個別に見ると複雑ですが、全体を貫いている考え方は意外とシンプルです。それは、「離婚によって夫婦関係は終わることがあっても、子どもの生活や親子関係は終わらない」という考え方です。

そのため、

  • 共同親権という選択肢
  • 養育費回収の強化
  • 法定養育費
  • 親子交流の重視
  • 子どもの意見尊重

が一つの流れとしてつながっています。

これまで数多くの離婚や別居、熟年離婚、カサンドラ症候群、高葛藤夫婦のご相談に向き合ってきましたが、今回の改正は単なる法律知識ではなく、心理教育やクライエント支援に直接結びつく内容になると思います。

「法律で何ができるのか」「その制度がクライエント様の安心や選択にどう役立つのか」を整理して伝える役割がとても大きいのだと思っています。

離婚問題では、不安や恐怖から「もう終わりだ」「何も守れない」「子どもを失うかもしれない」と感じている方も少なくありません。

そのようなときに、「実はこういう制度がありますよ」「養育費にはこういう保護がありますよ」「親権は親の勝ち負けではなく、子どもの利益で決まりますよ」と伝えられるだけでも、クライエント様の視野が広がることがあると感じています。

離婚に関する2026年改正民法の整理

離婚後の親子関係・養育に関する大改正であり、今回の改正は一言で言うと、「離婚した夫婦のための法律」から「離婚後の子どものための法律」へという方向性の改正です。

法改正
改正の柱①

離婚後共同親権の導入

これまで

  • 父親単独親権
  • 母親単独親権

のどちらかしか選べませんでした。

2026年4月以降は

  • 父親単独親権
  • 母親単独親権
  • 共同親権

から選択できます。

父母が合意する場合

協議離婚で「共同親権にしよう」と合意できれば共同親権が成立します。

合意できない場合

家庭裁判所が判断します。

判断基準は「子どもの利益(Best Interests of the Child)」です。

DV・虐待の場合

家庭裁判所は

  • DV
  • 子ども虐待
  • 安全上の重大リスク

が認められる場合、共同親権ではなく単独親権を選択します。

法改正
改正の柱②

法定養育費の創設

これまで養育費の取り決めがない場合、事実上受け取れないケースがありました。

改正後は、離婚時に養育費を決めていなくても法定養育費を請求できます。

金額

子ども1人:月額2万円が基本です。

ただし、これは最低保障です。本来の養育費額ではありません。

法改正
改正の柱③

養育費回収の強化

今回の改正で非常に重要な部分です。

養育費の先取特権

養育費には、先取特権が認められました。

つまり、一般の借金より優先的に回収しやすくなりました。

強制執行の強化

従来よりも

  • 給与
  • 預金

への差押えがしやすくなりました。

養育費不払い対策が大幅に強化されています。

法改正
改正の柱④

離婚後も父母双方に養育責任

改正法の考え方は、「親権がある人だけが親」ではありません。

親権の有無にかかわらず、父母双方が子どもの養育責任を負います。

心理教育的に言うと

従来、親権を失ったからもう親ではないという誤解がありました。

改正後は、離婚しても父親・母親であることは変わらないという考え方がより明確になっています。

法改正
改正の柱⑤

親子交流(面会交流)の重視

離婚後の面会交流は親の権利ではなく、子どもの利益のためという位置づけが強化されました。

家庭裁判所の関与強化

親子交流について家庭裁判所がより積極的に関与し、試行的交流なども活用できるようになっています。

法改正
改正の柱⑥

子どもの意見尊重

今回の改正全体を貫く理念です。

家庭裁判所は

  • 子どもの意思
  • 子どもの生活状況
  • 子どもの安全

を重視します。

以前との違い

以前は、「父母の争い」が中心でした。

今後は、「子どもの利益」が中心になります。

法改正
改正の柱⑦

財産分与請求期間の延長

従来の離婚後2年以内から改正後は、離婚後5年以内になりました。

実務上の意味

DVやモラハラの被害者は、離婚直後に財産整理できないことがあります。

5年間の猶予ができたことで、落ち着いてから請求しやすくなりました。

法改正
改正の柱⑧

既に離婚した人への影響

重要です。

2026年以前に離婚した人でも、家庭裁判所に申し立てることで共同親権への変更を求めることが可能です。

法改正
カウンセリング的まとめ

今回の改正をクライエント様向けに一言で説明するなら、2026年からは、離婚しても父母が協力して子どもを育てることを法律が後押しする仕組みに変わりました。

ただし、DVや虐待など安全上の問題がある場合は、子どもの利益を最優先して単独親権が選ばれます。

また、養育費についても、最低保障制度や回収制度が整備され、子どもの生活を守る仕組みが強化されました。

臨床的には、今回の改正は「親の権利の改正」ではなく、「離婚後も子どもの生活・安全・親子関係を守るための改正」として理解すると全体像が非常によく見えてきます。

「法定養育費

2026年4月1日施行の改正民法により、離婚時に養育費の取り決めをしていなかった場合でも、子どもと同居して養育している親は、相手方に対して「法定養育費」を請求できるようになりました。

法定養育費の額は、子ども1人につき月額2万円です。ただし、「養育費の標準額」ではなく、「最低限の暫定的保障」という位置づけです。

改正前はどうだったのか

改正前は、

  • 協議
  • 調停
  • 審判

などで養育費額を決めなければ、実際には養育費請求が難しい状況でした。そのため、「離婚したが養育費を決めていない」「相手が話し合いに応じない」というケースでは、数か月から1年以上、養育費がゼロになることもありました。

改正後はどうなるのか

例えば、

  • 2026年5月に離婚
  • 子ども1人
  • 養育費の取り決めなし

という場合、子どもを主として養育している親は、離婚の日から相手方へ月2万円の法定養育費を請求できます。

ポイント
重要な誤解①

「2026年4月1日以前の離婚」にも適用されるのか

これは原則として適用されません。法定養育費制度は、2026年4月1日以降に離婚したケースが対象です。

したがって、2025年以前に離婚した方が「今から月2万円を請求できる」という制度ではありません。

ポイント
重要な誤解②

自動的に振り込まれるわけではない

法定養育費は「当然にもらえるお金」ではなく、請求権が発生する制度です。

そのため、

  • 相手へ請求する
  • 支払われない場合は執行手続を検討する

必要があります。

ポイント
重要な誤解③

月2万円が養育費の相場ではない

ここはカウンセリング現場でも誤解が多くなりそうです。

法定養育費の2万円は、「最低限の仮の金額」です。

例えば、

父親年収600万円
母親年収100万円
子ども1人

というケースなら、一般的な養育費算定表では4万円~8万円程度になることも珍しくありません。

その場合、本来の養育費を

  • 協議
  • 調停
  • 審判

で別途決めることになります。

つまり、法定養育費2万円は「養育費が決まるまでのつなぎ」なのです。

ポイント
カウンセリング現場で特に重要な視点

離婚を考えている方の中には、「養育費を決めないと離婚できない」と思っている方もいます。そのケースでは、今回の改正によって、最低限の生活保障を確保しながら離婚できる道筋ができました。

しかし一方で、月2万円だけでは

  • 食費
  • 学用品
  • 習い事
  • 医療費
  • 高校・大学進学費用

を考えると到底十分ではありません。

そのため、クライエント様は「法定養育費は最低保障であり、本来の養育費は別にきちんと決めた方がよい制度である」と理解するのが最も正確だと思います。

ポイント
さらに今回の改正で見逃されがちなポイント

法定養育費だけでなく、養育費の取り決め文書があれば、従来よりも差押えがしやすくなりました。また家庭裁判所が収入情報の開示を命じやすくなり、養育費回収の実効性強化も図られています。これは実務上かなり大きな改正です。

先取特権+差押え手続の簡略化

これまでは「養育費を払わない人」が有利になってしまうことがありました。
今回の改正は、「養育費は子どもの生活費なのだから、もっと回収しやすくしよう」という考え方です。

そのため、

  • 取り決めがなくても最低額を請求できる
  • 払わなければ差押えしやすくなる
  • 他の借金より優先して回収できる

実務的には、「法定養育費(月2万円)」よりも、むしろ「先取特権+差押え手続の簡略化」の方がインパクトは大きいと評価する弁護士も少なくありません。
特に離婚を検討しているクライエント様にとっては、「養育費は約束だけではなく、以前より回収しやすい権利になった」ということが安心材料になると思います。

このことは「養育費を優先的に受け取れるようになった」というよりも、「養育費を回収するための強制力が大幅に強化された」と理解すると正確です。

今回の改正には実は二つの柱があります。

法定養育費(月2万円)

取り決めがなくても、

  • 子1人 月2万円
  • 子2人 月4万円

を請求できる制度です。これは「権利の発生」の話です。

養育費の先取特権

こちらは「回収方法」の話です。

今回の改正で養育費債権には「先取特権」が認められました。
先取特権とは簡単に言うと、子どもの生活費だから、普通の借金より優先して回収させようという制度です。

改正前

例えば父親が

  • 養育費未払い
  • 消費者金融にも借金
  • クレジットカードの滞納

をしていた場合、

まずは

  • 公正証書
  • 調停調書
  • 審判書
  • 判決

などの「債務名義」を取らなければ差押えができませんでした。

ここで多くの方が諦めていました。

改正後

父母間で作成した養育費の合意書などがあれば、公正証書がなくても、差押え手続に進みやすくなりました。

つまり、「払ってくれないから調停を起こして、その後に強制執行する」という長い手続を短縮できるようになったのです。

特に注目している点

実は法務省資料を見ると、先取特権が認められる範囲は子ども1人あたり月額8万円までとされています。

ここが非常に大きいです。

例えば、養育費を月6万円と取り決めていた場合、その6万円について先取特権が働きます。

つまり、相手の給与や預金に対して、一般債権者より優先して回収できる可能性があります。

共同親権の導入

報道などでは「共同親権が導入された」とだけ説明されることが多く、実際の制度設計はもう少し複雑ですので、離婚相談やカップルカウンセリングの場面で説明するように整理してみます。

一言で説明するなら、「2026年からは離婚後も父母が一緒に親権を持つことが選べるようになりました。ただし、DVや虐待、強い対立がある場合には、子どもの安全を優先して単独親権が選ばれることがあります。最終的な基準は『親の希望』ではなく『子どもの利益』です。」

まず何が変わったのか

これまで日本では、離婚後の親権は必ず父か母のどちらか一方でした。そのため、離婚届には「親権者欄」があり、父か母のどちらかを選ばなければ離婚できませんでした。

しかし2026年4月1日からは、離婚後の親権について

  • 単独親権
  • 共同親権

のどちらも選択できるようになりました。つまり、離婚したからといって必ず片方の親が親権を失う制度ではなくなったのです。

ポイント
共同親権とは何か

共同親権への誤解

共同親権とは、「子どもを半分ずつ育てる制度」ではありません。また、「子どもが父母の家を行ったり来たりする制度」でもありません。

共同親権とは、簡単に言えば、子どもの重要事項について父母が共同で決定する権利と責任を持つ制度です。

例えば、

  • 進学
  • 転校
  • 医療
  • パスポート取得
  • 長期海外移住

などの重要事項です。

ポイント
日常生活はどうなるのか

共同親権であっても、通常は子どもはどちらか一方の家で生活します。

そのため、

  • 今日の夕食
  • 学校の連絡帳
  • 習い事の送り迎え
  • 風邪薬を飲ませる

などの日常的事項は、子どもと一緒に暮らしている親が決定できます。毎回元配偶者の許可が必要になるわけではありません。

ポイント
父母が合意している場合

父母双方が「共同親権がよい」と合意している場合は、共同親権を選択できます。

逆に、双方が「単独親権がよい」と合意している場合は、従来どおり単独親権も可能です。

つまり、共同親権は義務ではありません。選択肢が増えたということです。

ポイント
合意できない場合

ここが大きな変更点です。

父母が

  • 単独親権か
  • 共同親権か

で合意できない場合、家庭裁判所が判断します。

その際の基準は、「子どもの利益(Best Interests of the Child)」です。

これは欧米諸国でも中心となる考え方です。

ポイント
家庭裁判所は何を見るのか

家庭裁判所は、父母の希望ではなく、子どもの利益を中心に考えます。

例えば、

  • 子どもとの関係性
  • 養育実績
  • 父母の協力可能性
  • 子どもの意向
  • 安全性

などです。

つまり、「父が親権を欲しがっている」「母が反対している」だけでは決まりません。

ポイント
DV・虐待の場合

ここが相談現場では最も重要です。

改正法は明確に、DVや虐待がある場合には共同親権を選択しない方向を示しています。

例えば、

  • 身体的DV
  • 精神的DV
  • 子どもへの虐待
  • 子どもへの重大な心理的支配

などが認められる場合です。

そのようなケースでは、共同親権にすると、加害者が親権を利用して被害者を支配し続ける危険があります。そのため、家庭裁判所は単独親権を選択する可能性が高くなります。

ポイント
高葛藤夫婦はどうなるのか

実務家の間で最も議論されている部分です。

共同親権は、最低限の協力関係が前提です。

例えば、

  • 顔を見るだけで激しい口論になる
  • 連絡すると罵倒が始まる
  • 相手への恐怖が強い
  • 子どもを通じた支配が続いている

場合には、共同親権が子どもの利益にならないことがあります。

そのため、単にDVがなくても、強い対立状態で共同意思決定が不可能と判断されれば、単独親権が選ばれる可能性があります。

ポイント
現場で誤解されやすい点

離婚相談では、次の誤解が増えています。

「共同親権になったから元夫(元妻)とずっと一緒に関わらなければならない」これは正確ではありません。

共同親権は、「離婚後も父母双方が子どもの親である」という考え方を制度化したものです。

しかし、安全が脅かされるケースまで共同親権を強制する制度ではありません。

ポイント
臨床的に見ると

離婚後の親権問題で最も重要なのは、父母の権利ではなく、子どもの心理的安全です。

特に日頃対応しているケースでは、

  • カサンドラ症候群
  • モラルハラスメント
  • ガスライティング
  • 境界性パーソナリティ傾向
  • 被害・加害が複雑に絡む高葛藤夫婦

では、「共同親権だから良い」「単独親権だから悪い」という単純な話にはなりません。

家庭裁判所も基本的には、「父母の希望」よりも「子どもの安全・安定・発達に何が有利か」

という観点から判断する制度になっています。

離婚相談の実務的な法改正とは

回の2026年4月1日施行の改正は、「共同親権」と「法定養育費」だけではありません。離婚に関わる心理としては、むしろ次の改正の方が実務的影響が大きいかもしれません。

重要点
財産分与請求期間の延長

これまで離婚後の財産分与請求は2年以内でした。

改正後は5年以内に延長されました。

なぜ重要なのか

臨床現場では

  • DV
  • モラハラ
  • ガスライティング
  • 精神的不安定

の影響で、離婚直後は財産のことを考える余裕がない方が少なくありません。

しかし従来は2年を超えると請求できなくなるケースがありました。

今回の改正で落ち着いてから財産整理がしやすくなりました。

重要点
財産分与「2分の1ルール」の明確化

実務では、以前から婚姻期間中に形成した共有財産は概ね半分ずつという運用でした。

今回の改正では、その考え方がより明確化されています。

相談事例で考えると

例えば

  • 20年間婚姻
  • 専業主婦
  • 夫名義の預金
  • 夫名義の不動産

であっても、原則として夫だけの財産とは考えません。

夫婦が共同で形成した財産として評価されます。

これは以前も同様でしたが、法律上の整理がより明確になったと言えます。

重要点
親子交流(面会交流)の見直し

従来は「会わせるか会わせないか」という議論になりやすかったのですが、

改正後は、子どもの利益のための親子交流という考え方が強調されています。

試行的面会交流

家庭裁判所が関与して、試験的に交流を実施する制度も整備されています。

ただし

DV、虐待、連れ去りリスクなどがある場合は、交流を制限したり認めなかったりする判断も可能です。

重要点
祖父母等との交流が考慮される

報道ではあまり取り上げられていませんが、親子交流の議論の中で祖父母などの重要な親族との関係も考慮される方向になっています。

重要点
子どもの意見尊重が明文化

今回の改正の根底にあるのはここです。

父母の権利ではなく、子どもの権利と利益を中心に考えるという方向性です。

具体的には、

父母は

  • 子どもの意見を聞く
  • 子どもの人格を尊重する
  • 子どもの利益を優先する

ことが明文化されました。

重要点
親の責務の明確化

改正前は「親権者が責任を負う」という色合いが強かったのですが、改正後は親権の有無にかかわらず父母双方に養育責任があることが明確化されました。

カウンセリング現場で言うと

離婚後に「親権を取られたから親ではない」「養育費だけ払えばいい」という考え方は通りにくくなります。

親権がなくても父母としての責任は続く、という考え方が明確になりました。

重要点
離婚届の様式変更

2026年4月以降は、

離婚届に

  • 単独親権か
  • 共同親権か

を記載する欄が設けられています。

重要点
カウンセラーとして最も重要な変化

私が今回の改正を一言でまとめるなら、「夫婦中心の法律から、子ども中心の法律へ一歩進んだ改正」だと思います。

共同親権が注目されていますが、法律全体を見ると

  • 子どもの利益
  • 子どもの意見
  • 養育費の確保
  • 親子交流
  • 離婚後も続く父母の責任

を重視する方向へ大きく舵を切っています。

今後は、「親権を取る・取られる」ではなく、「離婚後に子どもの利益をどう守るか」という視点が非常に重要になってくると思います。これは今回の改正全体を貫く基本思想でもあります。

ADR(裁判外紛争解決手続き)

離婚相談を受けていると、「弁護士に相談したいけれど費用が高い」「裁判は怖い」「調停まで行くほどではない」「まずは第三者に話を整理してもらいたい」という方は少なくありません。

そのようなときに ADR(Alternative Dispute Resolution:裁判外紛争解決手続) を知っておくと安心です。

ADRとは何か

ADRとは、裁判所を使わずに第三者が間に入り、話し合いによって問題解決を目指す制度です。

簡単に言えば、「裁判と当事者だけの話し合いの中間」のようなものです。

例えば、夫婦が

  • 離婚するかどうか
  • 養育費
  • 面会交流
  • 財産分与
  • 慰謝料

について対立しているとします。

当事者同士では話にならない。

しかし裁判まで行きたくない。

その間に入るのがADRです。

ADRの種類

実はADRにはいくつか種類があります。

  • 民間ADR
  • 弁護士会
  • 司法書士会
  • NPO
  • 認証ADR機関

などが運営しています。離婚問題では最も利用される形です。

行政型ADR

消費者問題

労働問題

医療問題

などで利用されます。

家事ADR

離婚

養育費

面会交流

親族間紛争

などに対応しています。

離婚ADRの流れ

一般的には

  • 申し込み
  • 相手方へ参加打診
  • 面談
  • 双方の話を聞く
  • 合意形成
  • 合意書作成

という流れです。

家庭裁判所の調停との違い

家庭裁判所調停

家庭裁判所で行う

調停委員が担当

法的手続

不成立なら審判や裁判へ進む

ADR

民間機関で行う

比較的柔軟

心理的負担が少ない

話し合い重視

つまり、調停より柔らかい場です。

ADRの大きな利点

① 費用が安い

弁護士へ依頼すると、数十万円から数百万円になることがあります。

ADRは、数万円程度で済むことが多いです。

② 心理的負担が少ない

裁判所は緊張します。

しかしADRは、会議室、オンラインなど柔らかい雰囲気で行われます。

③ 感情面も扱いやすい

裁判は、権利義務、証拠、法律が中心です。

しかし離婚では

  • 悲しみ
  • 怒り
  • 裏切り
  • 不安

が大きな問題になります。

ADRでは比較的感情面も扱えます。

④ 関係維持がしやすい

子どもがいる夫婦の場合、離婚しても関係は続きます。

ADRは「勝ち負け」ではなく、「今後どうするか」を考える場です。

⑤ 非公開

裁判と異なり、プライバシーが守られます。

ADRの欠点

① 相手が参加しないと始まらない

最大の欠点です。

相手が「出ません」と言えば終了です。

強制力はありません。

② 強制執行できない

ADRで合意しても、そのままでは判決、調停調書のような強制力はありません。

そのため重要事項は、公正証書化、調停化を検討します。

③ DV案件には不向き

DV、モラハラ、支配関係、ストーカー行為がある場合、ADRは慎重であるべきです。

なぜなら、形式上は話し合いでも、実際には被害者が萎縮してしまうからです。

④ 法律判断は弱い

ADR担当者によっては、法律専門家ではありません。

そのため、厳密な法的判断が必要な場合は、弁護士や裁判所が適しています。

臨床現場で考えると

ADRが向いているケース

  • 離婚を迷っている
  • 感情的対立が強い
  • 子どものために関係を残したい
  • 養育費や面会交流を話し合いたい
  • 弁護士費用が厳しい

ADRが向いていないケース

  • DV
  • 虐待
  • 強いモラハラ
  • ストーカー
  • 財産隠し
  • 虚偽申告
  • 重度人格障害による高葛藤
心理カウンセラーとして

実はADRは、法律とカウンセリングの中間に位置する制度です。

裁判のように勝敗を決めるのではなく、当事者が納得できる合意形成を目指します。

そのため、

  • 離婚を迷う夫婦
  • 熟年離婚
  • カサンドラ症候群
  • 裏切り後の再構築か離婚かの選択
  • 養育費や面会交流で悩むケース

では、いきなり裁判や調停ではなく、ADRが有効な「橋渡し」になることがあります。

ただし、DV・虐待・強い支配関係がある場合は、ADRよりもまず安全確保と法的保護を優先するべきです。

ADRとは、裁判をする前に第三者の支援を受けながら話し合いで解決を目指す制度です。費用が比較的安く、感情的な対立を整理しながら合意を目指せる利点があります。ただし、相手が参加しなければ利用できず、DVや強い支配関係がある場合には適さないことがあります。

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