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毒親の概念と自己の症状回復のワークやスクリプト

目次

毒親の俗称概念を心理学的・医学的観点からの解説と毒親チェック・毒親育ちの自己感覚チェックと連鎖を断ち切る7つの問いと回復ワークシート

「毒親」とは、子どもの健全な心理的発達や自己形成に悪影響を及ぼすような養育態度や行動パターンを持つ親のことを指す俗称です。「毒親」という言葉は、主に社会的・文化的な文脈で使われる俗語であり、精神医学や心理学の正式な診断名ではありません。しかし、その背景には心理学的に明確に説明可能な行動パターンや発達への影響が含まれています。

クライエントがこの言葉を用いるときは、自己の苦しさを認知しはじめる重要な契機でもありますが、「毒親」という表現はラベル化や断絶を促すリスクがあるため、臨床では注意が必要となります。特に親子関係の再構築ではなく、自我の再構築が優先されるべきケースが多く見られます。

「毒親」とは(心理学的・精神医学的観点)

【典型的な行動特徴】

過干渉・コントロール
  • 子どもの選択(進路・交友関係・服装など)を過度に管理
  • 愛情と支配が混同されている
情緒的な否定・無視
  • 子どもの感情表現を「甘え」や「わがまま」と否定
  • 喜怒哀楽への共感が乏しい
言葉による攻撃や批判
  • 「あなたなんて生まなきゃよかった」など人格否定的な発言
  • 恒常的な侮辱や貶め(心理的虐待)
過度な依存・共依存
  • 親自身の孤独や不安を子に解消させようとする
  • 子を「自分の一部」と見なし、境界が不明確
身体的・性的虐待
  • 暴力や性的搾取を伴う場合も含まれる(これは明確に「児童虐待」)

関連する心理学的概念

概念概要
愛着障害(Attachment Disorder)安定した愛着形成が妨げられ、対人関係や情緒調整に困難を示す
境界性パーソナリティ障害(BPD)子どもの頃の不安定な家庭環境が背景になる場合がある
機能不全家族(Dysfunctional Family)健全な役割分担や感情表現ができない家庭システム
トラウマ・インフォームドケア親の養育が子どもの発達トラウマに関連していることへの理解と配慮

このページを含め、心理的な知識の情報発信と疑問をテーマに作成しています。メンタルルームでは、「生きづらさ」のカウンセリングや話し相手、愚痴聴きなどから精神疾患までメンタルの悩みや心理のご相談を対面にて3時間無料で行っています。

毒親とされる母親の特徴と父親の特徴

「毒親」という言葉は一面的に使われやすいですが、臨床的には「子どもの心身の発達を阻害するような関わり方をする親」と整理されます。ここでは、その中でもよく見られる母親・父親それぞれに多く見られる特徴を、類型別にまとめまてみます。

しかし、性別で固定しすぎないことが重要です。なぜなら、支配的な父親もいれば、支配的な母親もいるというようなこともあり、また、毒親とされる親自身が、「生きづらさ」や「未解決のトラウマ」を抱えているケースが多く見られているからです。

毒親とされる母親の特徴

毒親とされる母親の特徴

感情的支配型(情緒を人質にする)

  • 「お母さんがどれだけ我慢してきたと思うの?」
  • 子どもが自立・反論・距離を取ろうとすると情緒的に崩れる
  • 過剰に心配しつつ「あなたのため」とコントロールする

特徴: 罪悪感で子どもを縛る/自己犠牲を盾にする

自己愛型(子どもを自分の鏡にする)

  • 子どもの成果=自分の価値
  • 子どもを理想像に当てはめて“完璧さ”を求める
  • 子どもを「自分の延長線上」と見なし、独立した存在として尊重しない

特徴: 賞賛と評価には過敏だが、子どもの本音には鈍感

被害者型(哀れさでコントロール)

  • 「あんたがいるせいで私の人生は台無し」
  • 自分を常に“かわいそうな被害者”として語る
  • 子どもが幸せになると「自分だけ置いていかれる」と感じ、足を引っ張る

特徴: 自己憐憫を道具に、共依存を維持しようとする

過干渉・過保護型

  • 食事・服・進路など、すべてを「私が決めてあげる」
  • 子どもの選択を信じず、過剰に干渉する
  • 「一人じゃ何もできないでしょ」が口癖

特徴: “世話”を通じて支配し、成長を阻む

毒親とされる父親の特徴

毒親とされる父親の特徴

権威的・支配型(沈黙と怒りの圧)

  • 「黙って言うことを聞け」「父親に逆らうな」
  • 家では絶対的な存在として振る舞い、感情の表現は「怒り」だけ
  • 子どもや配偶者に対して威圧的

特徴: 子どもに“無言の恐怖”を与えるタイプ

無関心型・不在型

  • 「父親が何を考えているのか、よく分からなかった」
  • 子育てや家庭のことは“母親任せ”
  • 感情的な距離があり、存在感が希薄

特徴: 不在が“無関心”や“無責任”として機能する

モラハラ型・偽善型

  • 家庭では暴言・人格否定/外では好印象
  • 「お前のせいでダメになった」などの言葉を浴びせる
  • 家族を支配しつつ、外の世界には“理想の父”を演じる

特徴: 二面性があり、子どもが混乱する

競争至上型・成功信仰型

  • 「男は結果がすべて」「できないやつは価値がない」
  • 子どもにも競争・成果を強要し、失敗や弱さを許さない
  • 弱音=甘え、として否定する

特徴: 感情ではなく“能力”で人を見る傾向

毒親的関係の「世代間連鎖」

「毒親」とされる親自身も、過去に深い傷つきを抱えていることが多く、その背景には心理的・世代的な“連鎖”があります。この連鎖は、一個人の問題ではなく、世代を超えて繰り返される未処理の感情や関係性のパターンと捉えることが重要です。

連鎖の典型的な構造

世代
第1世代:親の親(祖父母)による支配や虐待

愛されなかった・恐怖や羞恥で育てられた

傷つきの継承(感情の伝染)

親が子どもの頃に

  • 無視された
  • 価値を否定された
  • 感情表現を禁じられた
  • 愛されなかった/愛し方を教わらなかった

こうした体験が処理されずに心の中に残ると、自分の子どもに対しても「同じ関係性のパターン」を再演することがあります。

例:「私も怒鳴られて育ったから」「私は我慢してきたのに」=傷が“正当化”され、次の世代にも引き継がれる

世代
第2世代:毒親となる親

傷を見つめず、子どもを自分の道具にして関係を操作する

感情を抑圧する文化や価値観

  • 「親に感謝しなければならない」
  • 「親は絶対である」
  • 「家族の恥を外に出してはいけない」

こうした文化的規範が、
親世代の“未熟さ”や“暴力”を正当化・隠蔽し、子どもに「本音を感じる自由」「訴える言葉」を奪ってしまいます。

世代
第3世代:その子ども(現在のクライエント)

自己否定・他者恐怖・過剰な責任感・情緒混乱など

不安や自己否定の内在化 → 支配や操作へ

親自身が持っている傷(劣等感・見捨てられ不安・価値への渇望)が、子どもに対して「自分の安心を埋める道具」として期待される形で現れます。

親の内面(傷)子への投影としての言動
自己否定「お前のせいで私はダメになった」
孤独・見捨て不安「私のそばにいなさい」「裏切るな」
無力感「あなたには無理」「誰も信じるな」

「毒親チェックリスト」

心理学的観点に基づいた「毒親チェックリスト(30項目)」です。これは臨床面接やセルフワークの補助として使えるものであり、診断ツールではなく、自分の育ちの環境を振り返るための自己理解支援ツールです。

※各項目について「はい / いいえ / わからない」で回答してください。

「毒親チェックリスト(30項目)」
【1. 感情の否定・抑圧】
1.子ども時代、怒りや悲しみを表現すると「そんなことで泣くな」「わがままだ」と言われた。
2.親に「私の感情はどうでもいいのかも」と感じたことがある。
3.家庭で感情表現(泣く・怒る・甘える)が許されない雰囲気だった。
4.感情を出すと罰や無視で返された記憶がある。
【2. コントロール・支配】
5.親の言うことに逆らうと、怒鳴られたり、無視されたりした。
6.自分の進路や友人関係を親が選び、従わないと否定された。
7.自分の夢ややりたいことを語ると「現実を見なさい」と否定された。
8.親の機嫌や都合に合わせて自分を変えるクセがついている。
【3. 条件つきの愛情】
9.「○○しないと愛されない」「いい子じゃないと見捨てられる」と感じた。
10.成績・外見・成果でしか褒められなかった。
11.失敗すると「恥ずかしい」「親の顔に泥を塗った」と言われた。
12.無条件で安心していられる感覚を家庭で得た記憶がない。
【4. 境界のあいまいさ】
13.親が自分のプライバシー(手紙・日記・スマホなど)を勝手に見た。
14.自分の秘密を他人に勝手に話されたことがある。
15.親の悩みや夫婦喧嘩を子どもに相談するような環境だった。
16.親の不満や怒りのはけ口にされたことがある。
【5. 言葉による攻撃・無価値感】
17.「お前なんていなきゃよかった」「だからダメなんだ」などと言われたことがある。
18.常に兄弟姉妹や他人と比較され、劣っていると感じていた。
19.自己肯定感が育たず、「どうせ私は…」と思いやすい。
20.今でも親の前では自分が価値のない存在に感じられる。
【6. 身体的・心理的な虐待】
21.身体的な暴力(叩く・蹴る・物を投げる等)を受けた経験がある。
22.暴力がなくても、怒鳴り声や威圧的態度が日常だった。
23.愛情と暴力が混ざり、何が正常か分からなくなっていた。
24.親の顔色ばかりうかがって過ごしていた。
【7. 親の依存・未成熟性】
25.親が自分の孤独・怒り・不安を子どもにぶつけていた。
26.親が精神的に不安定で、子どもが「親の親」のように振る舞っていた。
27.親に対して常に「申し訳なさ」「罪悪感」を感じていた。
28.親の言動によって「自分の人生が生きづらくなった」と思う。
【8. 成長後の影響】
29.人間関係において「他人の顔色を読みすぎる」「NOと言えない」傾向が強い。
30.今でも親に自分の人生を左右されている感覚がある。

評価

  • 各「はい」に対して1点を与えます。
  • 合計点を計算してください。
合計点結果の読み方(目安)
0-9点問題なし~軽度の影響
10-19点中等度の影響(見直しが有益)
20-30点強い影響が疑われる(専門的支援の対象になることが多い)

成人期に現れる毒親育ちの症状や傾向

毒親的な養育環境で育った子どもは、心の発達・自己感覚・対人関係の形成に深刻な影響を受けることがあり、成人後もその影響は長く残ることがあります。主に成人期において現れやすい心理的・行動的な「主な症状」や傾向を整理してみます。

 臨床的な共通課題(概括)

  • 愛着トラウマ(アタッチメントのゆがみ)
  • 複雑性PTSD(慢性的な否定・暴力・コントロール)
  • 自己愛の未発達(健全な“自分”の育成機会が不足)
  • 共依存傾向(他者の感情やニーズを優先しすぎる)
  • アダルトチルドレン症候群(AC傾向)

毒親育ちに起こりやすい主な症状・傾向

自分がわからない(自己同一性の混乱)
  • 自分の好み・感情・望みがよくわからない
  • 「何がしたいの?」と聞かれても答えられない
  • 他人の期待や反応に合わせて生きてしまう

原因背景:子ども時代に感情や欲求を否定・無視されたことにより、自己感覚が育ちにくかった

過度な罪悪感・自己否定感
  • 小さな失敗で「自分はダメだ」と思ってしまう
  • 頼ることや助けを求めることに「申し訳なさ」を感じる
  • 喜びや成功を感じたときに「自分だけ幸せになっていいのか」と罪悪感を抱く

原因背景:親の機嫌を取ることで自分の存在を保ってきたパターン(=機能的な愛され方

感情の抑圧・鈍麻
  • 嬉しい・悲しい・怒りなど、感情が湧いてこない
  • 他人の感情には敏感だが、自分の気持ちには鈍い
  • 「感情表現は迷惑」「泣くのは恥」と学習している

原因背景:感情を表すことで「怒られた」「無視された」経験の蓄積による防衛的な麻痺

対人関係の困難(過剰適応・孤立)
  • 他人に合わせすぎて疲弊する(“いい人”をやめられない)
  • 信頼や甘えることが難しく、親密な関係を築けない
  • 過度な警戒心または過剰な依存に偏る傾向

原因背景:安全な愛着関係の欠如や、対人関係=“傷つくもの”という学習

子どもとの関わりの難しさ
  • 自分がされたように、無意識に子どもにも厳しくしてしまう
  • 子どもの感情表現にどう対応すればよいか分からない
  • 「どう育てたらいいか分からない」と不安が強い

原因背景:養育モデルの不在(自分が肯定的に育てられた経験がない)

過剰な“役割意識”と無価値感
  • 「がんばらないと愛されない」「弱さは見せてはいけない」
  • 何かしていないと不安/休むことに罪悪感がある
  • 「存在しているだけでいい」と思えない

原因背景:親からの無条件の愛ではなく、条件付きの愛情で育った結果

自己破壊的なパターンの反復
  • 人間関係で「なぜか同じような傷を繰り返す」
  • 支配的・批判的な人と関係を持ちやすい
  • 幸せになると不安になり、自ら壊してしまう

原因背景:「不幸が当たり前」「安心すると裏切られる」という信念(コアビリーフ)

毒親育ちの自己感覚チェックリスト

毒親的な養育環境で育った人に起こりやすい「自己感覚のゆがみ」や「自己不在感」をチェックするワークシート形式のリストです。

 直感で「はい」か「いいえ」「どちらとも言えない」(自分を感じる力を確かめる30の質問)でお答えください
※点数化ではなく、自分の傾向を知る目的で使用します。

毒親育ちの自己感覚チェックリスト30問
【1. 自分の感情に関する感覚】
1.自分が今、どんな感情を抱いているのかよくわからない。
2.「怒っていいのか」「泣いていいのか」が判断できない。
3.嬉しいことがあっても、それを十分に感じられない。
4.人の感情には敏感だが、自分の感情には鈍い気がする。
5.感情を出すと人に迷惑をかけると思ってしまう。
6.感情を出すことに罪悪感や恐怖がある。
【2. 自分の欲求や好みに関する感覚】
7.食べたい物ややりたいことがすぐに浮かばない。
8.他人の希望や都合を優先してしまうことが多い。
9.「好き」「嫌い」が曖昧で、人に合わせてしまう。
10.自分の夢や目標がわからない、持ったことがない。
11.「本当はどうしたいか」と聞かれて困ることがある。
【3. 自分の身体感覚へのつながり】
12.疲れていても休むタイミングがわからない。
13.お腹が空いているかどうかに鈍いことがある。
14.体調が悪くても我慢してしまうクセがある。
15.身体的な感覚に意識が向きにくい(鈍い)。
【4. 自分の存在の価値・意味に関する感覚】
16.自分には価値がないと感じることがある。
17.頑張らないと生きている意味がない気がする。
18.誰かに必要とされていないと不安になる。
19.「ただ存在しているだけでいい」と思えない。
20.自分の人生を他人に決められてきた気がする。
【5. 対人関係における自己感覚】
21.自分の本音を見せるのが怖い
22.人と深く関わるのが苦手、または怖い。
23.相手に合わせすぎて、関係の中で自分を見失う。
24.断ったり、意見を言ったりするのがとても苦手。
25.人と話した後、「あれでよかったのか」と後悔することが多い。
【6. 自己の境界(バウンダリー)感覚】
26.人の期待に応えられないと、裏切った気になる。
27.自分と他人の気持ちや課題の境界があいまいに感じる。
28.自分の空間や時間を守ることに罪悪感がある。
29.他人が怒っていると、自分が悪いと感じてしまう。
30.自分がどこまで「自分」で、どこから「他人」かが分かりにくい。

結果の見方(点数化しない解釈)

  • 「はい」が10項目以上 → 自己感覚に揺らぎやすい傾向あり
  • 特に【感情】【存在価値】【対人関係】に多い場合 → 自他の境界が曖昧になりやすい状態
  • 「いいえ」が多くても、過剰な抑圧や鈍麻があると答えられないこともあります。

「連鎖を断ち切る7つの問い」と「回復のためのワークシート」

「毒親的な関係性の連鎖を断ち切るための7つの問い」です。
これは、気づき → 距離化 → 自分自身の回復 → 次世代への非転移という流れを意識して設計されたセルフワーク用の問いかけです。セッション記録として一問一答式で書き出すことをおすすめします。

連鎖を断ち切る7つの問い

STEP
【私は何に一番傷ついてきたか?】

《原体験の明確化》

  • どんな言葉・態度・空気が、一番心を痛めつけたか?
  • 何が一番「私らしさ」を否定されたと感じたか?

例:
「“そんなことで泣くな”と言われ、感情を否定された」
「“産まなきゃよかった”と存在を否定された」

STEP
【そのとき、本当はどんな助けがほしかった?】

《共感的想像・インナーチャイルドへのまなざし》

  • そのとき、本当は誰に、どんな言葉をかけてほしかった?
  • どんな関わりがあれば安心できただろうか?

例:
「“怖かったね”と抱きしめてほしかった」
「“あなたのままでいていい”と肯定してほしかった」

STEP
【親はどんな傷や限界を抱えていたか?】

《世代間の構造理解》

  • 親自身はどんな育ち方をし、どんな価値観に縛られていたか?
  • 「愛し方を知らなかった親」ではなかったか?

例:
「親もまた“がまんすれば愛される”と教えられていた」
「感情を表現できない家庭で育ったようだ」

STEP
【私は、親とはちがう選択ができるか?】

《主体性の再獲得》

  • 私が感じてきた「苦しさ」を、誰かに繰り返したくない。
  • そのために、どんな言動の“パターン”を変える必要があるか?

例:
「支配的になりそうなとき、“違う言い方”を選ぶ」
「他人の感情も、自分の感情も“コントロールしない”と決める」

STEP
【“境界線”を持つことで守れるものは?】

《心理的距離の構築》

  • 距離を取る・NOと言う・感情的反応をしないことで守られる自分とは?
  • 罪悪感や“親孝行”の呪縛から自由になるとは?

例:
「親の機嫌を取らなくても、私は価値ある存在だ」
「愛されないリスクより、“自分を失うリスク”の方が怖い」

STEP
【私はどんな人間関係を“新しく築きたい”か?】

《再選択と再構築》

  • 過去ではなく、未来のために人とつながるには?
  • 自分が安心できる関係の条件とは?

例:
「意見を言っても拒絶されない人」
「私の“弱さ”を受け入れてくれる人と出会いたい」

STEP
【これからの私は、何を大切にして生きたいか?】

《生き直しの核心・価値の再発見》

  • 苦しみをくぐり抜けた「私だけの価値観」は何か?
  • 連鎖を断ち切った先にある“意味”は何か?

例:
「誰にも“いないことにされない”場所をつくりたい」
「どんな小さな感情も、大切にできる人になりたい」

「回復のためのワークシート」

「毒親」的な関係によって傷ついた心を癒し、自分自身の人生を取り戻していくための心理支援として、「回復のためのワークシート」をご紹介します。

これはインナーチャイルド療法・トラウマインフォームドケア・自己受容・境界線ワークなどに基づいて構成されています。

 毒親育ちからの回復ワークシート(全5ステップ)

STEP
 自分の育ちを見つめなおす

ワーク:記憶の棚卸し

質問あなたの答え(箇条書きでOK)
子ども時代に「安心」や「嬉しい」と感じた記憶は?例:祖母と一緒にいた時間だけは穏やかだった
親から言われてつらかった言葉は?例:「お前は役に立たない」など
「本当はこうしてほしかった」と思うことは?例:話を聞いてほしかった、抱きしめてほしかった
STEP
インナーチャイルドに会いにいく

ワーク:あなたの中の“あの頃の自分”へ手紙を書く

【対象】5~10歳のころの自分
【内容】

  • 今どんな気持ちでいる?
  • どんな言葉をかけてあげたい?
  • 守ってあげたいこと、謝りたいことは?

例:
「○○ちゃんへ。ずっと我慢させてごめんね。怒ってもよかったんだよ。あなたの気持ちはちゃんと大切だよ。」

STEP
境界線(バウンダリー)を引く

ワーク:心理的な「距離地図」を描いてみる

人物物理的な距離心理的な距離今後どう関わる?
母親同居近すぎる/苦しい距離を置く(言葉で伝える)
父親離れて暮らしているよく思い出す/怒りがある距離を保ちつつ手紙で思いを整理

このステップは罪悪感を手放す練習にもつながります。

STEP
自己肯定感を育てなおす

ワーク:「私は〇〇でも、〇〇でいい」リフレーミング練習

思い込み(親に植え付けられた)新しい視点(あなたが選びなおす)
「失敗すると価値がない」「失敗しても私は挑戦した価値がある」
「我慢しないと嫌われる」「自分を大切にすることは悪くない」

ポイント:思い込みを“書き換える”のではなく、“別の視点を並べる”ことで、自我の回復を目指します。

STEP
これからの“私”のために

ワーク:安心できる場所・人・行動リスト

テーマあなたにとっての答え
安心できる場所自然のある公園、カフェ、自分の部屋
心があたたかくなる人○○さん、ペット
自分を労わる行動ゆっくりお風呂、アロマ、ヨガ、泣く
STEP
最終

「これからの私に約束したいこと」を一文で書いてみてください。

例:「私はもう、自分の気持ちを無視しない」

「インナーチャイルド・ワークシート」

「インナーチャイルド・ワークシート」は、心の中に存在する“傷ついた子ども時代の自分”に気づき、対話し、癒していくための自己内対話ワークです。

次のようなクライエントに対して非常に有効です。

  • 毒親育ちや愛着不全の傾向がある方
  • 自己否定感が強く、人間関係に困難を抱えている方
  • 過去のトラウマが未解決で現在に影響している方
  • “感情が凍ったまま”という自覚がある方

インナーチャイルド・ワークシートの目的と構成

【目的】

  • 子ども時代の傷を「見て・聴いて・理解する」
  • 自己批判的な思考や行動パターンを和らげる
  • 安全な“心の居場所”を再構築する
STEP
【出会い】インナーチャイルドのイメージ化

「あなたの中にいる“子ども時代のあなた”は、どんな姿をしていますか?」

質問あなたの答え
何歳くらい?例:6歳くらい
表情は?怯えている/さみしそう/無表情
どんな場所にいる?真っ暗な部屋/教室の隅/押し入れの中
その子が今、伝えたいことは?「誰か気づいて」「ここから出して」など
STEP
【対話】声を聴いてみる

「今、その子に話しかけるとしたら?」

書き出し例:

  • ○○ちゃん、ずっと寂しかったんだよね。
  • 怖かったのに、よくがんばったね。
  • 泣きたくても、泣けなかったんだね。

その子は何と答えてくるか、想像して「やりとり形式」で書き出してみましょう。

STEP
【ケア】安全な場所を一緒に作る

「その子にとって、安心できる居場所とはどんなところ?」

安心できる場所のイメージ木の家/あたたかい布団/光の中
誰と一緒にいたい?優しい大人/動物/ぬいぐるみ
どんな音や匂いがある?小川の音、パンの香り

安心できるイメージは「トラウマ記憶」に対するリソースになります。

STEP
【約束】これからその子にしてあげたいこと

「これから、あなたはその子をどう扱っていきますか?」

一文で書いてみてください。

  • 例:「これからは、君の声をちゃんと聴いてあげる」
  • 例:「怖かったら逃げてもいいって教えてあげる」

インナーチャイルド瞑想スクリプト

カウンセラーによる誘導やセルフワークで使える「インナーチャイルド瞑想スクリプト」です。クライエントが目を閉じて静かにイメージに入っていくよう、穏やかで肯定的な語り口で構成しています。

インナーチャイルド瞑想スクリプト(約10分・音読用)

※「……」は間をあけて語る部分です。
セッションやセルフワークにあわせて適宜アレンジ可能です。

【導入】深い呼吸と安心の確認

「では、ゆっくりと目を閉じて、
今ここにいる自分の身体に意識を向けていきましょう……」

「鼻から静かに息を吸って……
口からゆっくりと吐いていきます……」

「あなたの呼吸は、あなたを守るリズムです……
この時間は、あなたの心のためのやさしい時間です……」

「今、あなたは安全な場所にいます……
誰にも邪魔されることはありません……」

【誘導】心の中にある場所へ

「では、あなたの心の中にある場所へ、
そっと歩いていきましょう……」

「それは森の小道かもしれません……
光のさす丘の上かもしれません……
あなたの“内なる世界”にある、静かな場所です……」

「その場所には、小さなあなた――
“子どものころのあなた”が、ひとりで座っています……」

【出会い】インナーチャイルドとの出会い

「その子は何歳くらいでしょうか……
どんな服を着ていて、どんな表情をしていますか……」

「その子のそばに、静かに近づいてみましょう……」

「あなたは、その子に何か声をかけてあげてもいいです……
ただ黙ってそばに座っても構いません……」

「その子は、どんな気持ちでいるように見えますか……
何か伝えたそうなことがあるかもしれません……」

【対話】やさしい言葉を届ける

「あなたの言葉で、その子に話しかけてあげましょう……」

例:

  • 「寂しかったよね」
  • 「ひとりで、がんばってたんだね」
  • 「大丈夫、もうあなたはひとりじゃないよ」

「あなたが伝えたい思いが、ゆっくりと届いていきます……」

【癒し】安全な場所をともに作る

「今、その子と一緒に“安心できる場所”を思い描いてみましょう……」

「ふかふかの毛布…… やさしい光…… 大好きな音楽や香り……
どんなものでもかまいません……」

「その子が“安心して過ごせる場所”を、あなたの想像力でつくっていきます……」

【別れと約束】

「そろそろ、その子と今日の時間を終える準備をします……」

「最後に、その子にこう伝えてあげてください……」

例:

  • 「また、いつでも会いに来るね」
  • 「これからは、あなたをちゃんと大切にするよ」

「その子が、少しほっとした表情になっていたら……
そっと見守りながら、今ここへ戻ってきましょう……」

【帰還】現在へ戻る

「では、ゆっくりと呼吸を感じながら、
今いる部屋、椅子の感触、空気の温度に意識を戻していきます……」

「手や足の感覚が戻ってきたら……
目を開ける準備をしてみましょう……」

「おかえりなさい……
今のあなたに必要だったものが、
静かに心の中に届いています……」

目次