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緊張や不安など負の感情をポーズ一発で克服する方法

目次

緊張・怒り・不安など負の心を特有のポーズやルーティンで冷静・自信・やる気など望ましい状態に操作、コントロールする感情を催眠のようにあやつるアンカリング技法がある

スポーツ界では、試合前に行う習慣や勝負の直前に行うポーズなどルーティンを使い、メンタル面を強化し集中力を深める選手がたくさんいます。これは集中モードに入り常に最高のパフォーマンスを引き出すためのものです。
私たちも特定の音楽を聴いたときに遠い過去の記憶が昨日のことのように蘇ることや、梅干しを見るだけで酸っぱい感覚になり唾液が出てしまいます。このように何かの刺激がトリガー(引き金)となり、特定の反応が起きるような体験は誰でも経験しています。
その反応を引き起こすポーズを利用して、望ましい心の状態に変身する技法にアンカリングがあります。

アンカー・アンカリング

私たちの心理状態は視覚・聴覚・体感覚といった五感の刺激がトリガーとなり、特定の反応を引き起こします。この五感の刺激で反応を引き起こすことを「アンカー」と呼びます。アンカーは「碇」という意味で、船が碇を下すのと同じようにアンカーの刺激で自分の心の反応が固定されるということです。この固定は碇を下すように感情をつなぎ止めておき、いつでも引き出せるようにということです。
通常は操作することなくとも強力な感情が伴う体験によって刺激となり、反応は自然的に心理状態として現れるものです。しかし、「パブロフの犬」の事例のように、意図的に五感的、心理的操作によって特定の反応をつくりだす「アンカリング」があります。アンカリングは自分の心に反応を引き起こす体感覚スイッチを作り、意識的にスイッチオンの操作で集中力や自信、平常心、気分を高めることができる魔法のような手法です。

視覚アンカー
「目に見える情景の体験」
状況映像・写真・顔・マーク・絵・景色などの記憶です。

聴覚アンカー
「耳に聞こえる音の体験」
状況音・音楽・言葉、外部音、内部対話などの記憶です。

体感覚アンカー
「触覚・嗅覚・味覚の体験」
状況体感覚・身体的接触・しぐさ・香り・味などの記憶です。

空間的アンカー
「視覚や体感覚も含む体験」
状況空間・部屋、狭隘・閉所、所定の席などの記憶です。

効果的なアンカリングのポイント

アンカリングのタイミングはアソシエイトの反応状態がピークに達する直前にします。

トリガーは通常生活の中では行わないようなしぐさやポーズなど独特なものを設定します。

トリガーは相手や周りの状況の変化でも他者に不審に思われないようなポーズにします。

過去の具体的な体験、経験から最強に肯定的な感情が生まれるシチュエーションを選択します。

普段にはない動作
普通の暮らしの中では行うことがないような動作・トリガー(アンカー)を設定します。
例えば、首を回す・万歳をする・手を合わせる・コーヒーを飲むなどでは、意図しないときにアンカリングが発動してしまいます。

繰りかえすことができる
複雑すぎて簡単に再現するのが難しいとアンカリングが活用しにくくなります。いくつかのトリガーを利用するアンカーの連鎖手法もありますので、例えば、首を回して手を握って背伸びをしてなどでは相当な覚悟が必要です。

シチュエーションに左右されない
ラジオ体操の一部のようなトリガーだと周りからの目も気になるし、自分でも気が引けます。アンカーは人前で行うことが多いと予測されますので、意識されない動作を選択するのが最適となります。

望ましい状態になるリソースアンカー

「リソースアンカー」は肯定的なリソースを呼び起こし、望ましい状態になるためのアンカーのことです。リソースアンカーはいつでもやる気や自信を持てるためのものです。

1⃣ 過去の体験の中から、自分が最強に肯定的な感情を抱いたシーン(今回は自信がテーマ)を思い浮かべます。
例えば、「あきらめかけていた難しい仕事を達成した」「難関の試験に合格できて自信満々だった」「学生時代に大衆の前で堂々と発表できた」「幼いころに親や先生に大きく褒められた」「友達、仲間が自分を囲んで称賛をしている」ような場面などです。
自分にとっては忘れられないどころか、思い出せば昨日のことのように自信に満ち溢れ、笑顔になれるシーンなどです。そのシーンは時々思い出すような体験です。その時の自分に戻って、見えている光景や周りにいる人、聞こえる音や匂い、体に感じる感触など、あたかも再現、追体験しているかのように思い浮かべてアソシエートします。深く強くありありと蘇るようになってきたら2⃣に進みます。

リソースとは、自分が今まで築き上げたスキル、体験、経験、価値観、信念、人間関係、財産などの資質や資源のことです。

アソシエートとは、思い浮かべる出来事や状況の体験の中に催眠のように入り込んでいて、その時の感情が今起きているように浮かび上がってきている状態のことです。

2⃣ 1⃣のアソシエートが深く強くありありと蘇りアンカーできたら、アンカリングを設定します。
望ましい状態を呼び覚ます体感覚のスイッチの設定です。先ずはアンカーとなるトリガー(刺激)を決めますが、普段生活では行わないポーズやしぐさにします。
ここでは例として、左手で右手(利き手)首を強くつかむというしぐさにしてみます。この右腕を左手で強くつかむというしぐさでスイッチがオンとなる設定をします。
さらにスイッチオンと同時に「自信」という言葉を心の中で発することでアンカーが強くさせます。
今回は例として、プレゼンをする前に不安の波が寄せてきている状態だとします。1⃣の肯定的な体験をアソシエイトしながら、肯定的記憶の感情「自信」のシーンがピークに達する直前でアンカー(右手首を左手で強くつかむと同時に)心で「自信!」という言葉を強めに発することでスイッチをオンにします。スイッチオンと同時に1⃣のアソシエートシーンも強く思い起こされます。

例として、「プレゼンする」という不安反応の状態に対するアンカリング

1⃣の不安を打ち消せるくらいの肯定的な感情のシーンをアソシエイトします。この記憶シーンが最もピークに達する前で2⃣の(右手首を左手で強くつかむと同時に心で「自信」と言葉を強めに発する)アンカリングの操作を行います。
アンカリングのタイミングは肯定的な「自信」という望ましい状態がピークを過ぎて下降してしまうのを防ぐこともありますが、スイッチオンで最強の望ましい記憶シーンを発火させるための操作です。

3⃣ 一呼吸です。深呼吸をして、入り込んでいる状態から一度抜け出て中立(ブレークステート)になるようにします。
4⃣ アンカーを強化するために、1⃣、2⃣、3⃣を繰り返します。この繰り返しでアンカリングが自分のものとなり、アンカーが強化されていつでもスイッチオンで再現できるようになります。要するに自信に満ちた心でプレゼンに臨むことができるようになるということです。

最強のアンカーは、チェイニングアンカー(アンカーの連鎖)です。

一つのアンカーでは対応できないような「望ましくない度」が強い状況もあります。
個人差はありますが、先ほどのプレゼンの不安を例にとると、不安の前に「緊張」を強く感じる人も、周りが気になることが優位に立ち集中できない人もいます。こんな強敵な状況には、一つのリソースアンカー「自信」だけでは望ましくない感情が交互に襲ってくる流れには対応できません。「自信」が最強のアンカーだと思っていても、強敵な状況下では心理の状態に合わせた補助のアンカーが必要な場合もあります。
そこで、「チェイニングアンカー」(アンカーの連鎖)を用いり、数種類のアンカーをチェインのように鎖でつないでアンカーを連鎖反応させ、より心理の状態に合わせて自然に望ましい状態に変化を引き起こさせる方法です。
正義の味方アンカーマンが数人いるということです。

1⃣ プレゼンに緊張している
落ち着いている望ましい状態をアソシエイトします。
緊張しているということは未来を感じているからです。実際にプレゼンもしていないのに、みんなの前で「失敗するかも」「成功させたい」という両極端の未来を見ているからです。今までに落ち着いて言動できたシーンをアソシエイトするのですが、どうしても思い浮かばない場合は事前にシーンを作っておくこともできます。プレゼン発想や作成内容には個々の限界があります。ただし、第一印象、声のトーン、会話のスピード、抑揚、強調などはプレゼンに装飾的貢献ができます。そして、これは練習でカバーできます。この練習内容はプレゼンを穏便にこなす術でもあります。この術を仲間の前で練習し、称賛を受けるシーンを作ります。これをアソシエイトする方法です。
・「落ち着いている」のアンカリングを、ここでは例として両膝を強くつかむにします。言葉は「落ち着き!」です。

2⃣ 集中できない
集中している望ましい状態をアソシエイトします。
集中できていないということは緊張しているや自信がないということばかりではなく、周りの慣れない雰囲気や景色、他者が気になるからです。これにプレゼンという大役を担わなければならないプレッシャーが加わるからです。今までの体験から集中できた方法や大衆の中で集中できて成功してきたことをアソシエイトするのですが、どうしても思い浮かばない場合は事前にシーンを作っておくこともできます。注意訓練法などの瞑想や音に対するマインドフルネスを経験することです。その瞑想の今を集中できる効果で、実際に大勢の人込みの中でも集中できたシーンをアソシエイトすることもできます。
・「集中」のアンカリングは、ここでは例として両手で両肩を強くつかむにします。言葉は「集中!」です。

3⃣ プレゼンに自信がない
自信、やる気に溢れたリソースアンカーは前項で行っています。右手首を左手でつかみ「自信!」と言葉を発するアンカリングでした。
4⃣ アンカリングの事前準備は終わりました。ここからはプレゼン前の本番です。1⃣のアンカリングで「落ち着き」のアンカーをスイッチオン・発火させます。最強のピークに達したらブレークステートします。
5⃣ 呼吸して、入り込んでいる状態から抜け出て中立になるブレークステートします。

6⃣ 2⃣のアンカリングで「集中」のアンカーをスイッチオン・発火させます。最強ピークに達したらブレークステートします。
7⃣ 呼吸して、入り込んでいる状態から抜け出て中立になるブレークステートします。
8⃣ 3⃣のアンカリングで「自信」のアンカーをスイッチオン・発火させます。最強ピークに達したらブレークステートします。
9⃣ 呼吸して、入り込んでいる状態から抜け出て中立になるブレークステートします。
🔟「落ち着き」「集中」「自信」のアンカーを感情が流れる順番に連鎖させることで、より強力に望ましい状態に再現できます。さらに1⃣〜9⃣を繰り返すことで最上強化します。
正義の味方青レンジャーに赤レンジャー、桃レンジャーが加わりました。

いざというときの様々な状況を想定してどんな時にも対応できるように、様々なアンカリングでできたアンカーを備えておくことも一つの方法です。

アンカリングのまとめ

アンカリング(Anchoring)は、NLP(神経言語プログラミング)における重要な技法の一つです。アンカリングは、特定の感情や状態をトリガーするための条件付けのプロセスです。
具体的には、特定の刺激(アンカー)と特定の状態との関連付けを行い、その後にアンカーが再びトリガーされることで、関連付けられた状態が再現されるという原理に基づいています。

次に、アンカリングの手法やステップをまとめます。

  • 状態の選択
    • アンカリングを行う前に、トリガーしたい特定の状態を明確にします。例えば、リラックスした状態や自信に満ちた状態などです。
  • アンカーの選択
    • トリガーとなるアンカーを選択します。アンカーは、視覚的な刺激(例: 特定の手のジェスチャー)、聴覚的な刺激(例: 特定の音楽)、触覚的な刺激(例: 特定の触れ方)、嗅覚的な刺激(例: 特定の香り)、味覚的な刺激(例: 特定の味)など、五感を使ったものが一般的です。
  • 関連付けの準備
    • アンカーを使用して状態をトリガーする前に、関連付けの準備を行います。クライエントが選んだ状態を深く体験し、感じることで、状態の表出を最大化します。
  • アンカーの設定
    • 状態のピーク時にアンカーをトリガーします。アンカーと状態との関連付けを強化するために、アンカーを設定するタイミングや方法に注意を払います。例えば、リラックスした状態をトリガーするために、クライエントが深いリラックス状態に達したときにアンカーをトリガーします。
  • アンカーの再トリガー
    • アンカーを再びトリガーすることで、関連付けられた状態を再現します。アンカーと状態との関連付けを強化するために、複数回のアンカリングを行うことをします。アンカーが再トリガーされるたびに、関連付けられた状態が再現されるようになります。
  • アンカーのテスト
    • アンカーが適切に設定されているかを確認するために、アンカーをテストします。アンカーをトリガーした際に、関連付けられた状態が再現されるかどうかを確認します。もし再現されない場合は、アンカーの設定や関連付けの強化を調整することができます。

アンカリングは、個人のパフォーマンスの向上や、感情の管理、自己信念の強化など、さまざまな目的に利用されます。例えば、アンカリングは、公演やスポーツのパフォーマンスにおいて、自信や集中力を高めるために使われることがあります。また、ストレスや不安の緩和、自己モチベーションの向上、状況への適応力の強化などにも応用されます。

アンカリングの成功には、関連付けられた状態を深く体験することや、トリガーとなるアンカーを明確にすることが重要です。また、アンカーを設定する際には、状態のピーク時や最も強烈な体験を選ぶことが効果的です。

ただし、アンカリングは個人の経験や感じ方によって異なる効果をもたらす場合があります。したがって、アンカリングを行う際には、個人のニーズや目標に合わせたアプローチを取ることが重要です。また、専門的な指導やトレーニングを受けることで、より効果的なアンカリングを行うことができます。

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