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小児性愛障害の概要・治療と被害防止策

目次

小児性愛障害(ペドフィリア)は、避けることが困難な小児に対する性被害ですが、子どもに触れる職業に就かせない日本版DBS制度(仮)とアベルテストも検討される可能性はあるのか⁉

小児性愛障害は、一般的に依存症の一種でペドフィリアとして知られています。これは、小児を性的満足の対象とするパラフィリア障害群です。

小児性障害者や小児性愛者は小児を性欲の対象として魅了する特徴を持っていて、男性が女児を対象とすることが大多数ですが、女性が男児を対象にすることも、同性が対象となることもあります。DSM-5では、障害者が16歳以上であり対象者は5歳以上若いこととされていて、13歳未満の子供に対する性的興味、幻想、または行動が常時、または反復して存在する場合に診断されます。性的行為は身体をなでる、触る、接吻、抱擁、性器をいじる、性交などとなります。

小児性愛障害を広義に見ると小児に対してのみ性的嗜好を感じる純粋型、小児愛者でありながら成人にも魅力を感じている非純粋型、中には小児愛者の子供や身内の小児のみに性的嗜好を感じる近親相姦型もいます。また、もともと小児に強く性的興奮を抱いている例と、成人を対象にできない経験や環境化の下で小児に欲求が向けられてきたケースもあります。さらに、性的欲求によって性加害を行う「接近型」とストレス発散や気晴らしのための性加害を行う「回避型」に分けられます。

小児愛障害の加害者は法的にも倫理的にも許容される範囲ではなく、被害者に深刻な心理的苦痛を与えることになります。加害者の治療はもちろんのこと、被害者の保護とサポート、そして小児愛者が小児に触れられない環境を整備することに加え、安全と回復を促進するために、包括的なアプローチを必要としています。

法務省犯罪白書平成27年版:13歳未満小児への性犯罪加害者の婚姻別統計より抜粋
定義

小児性愛障害は、DSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル)やICD-10(国際疾病分類第10版)などの医学的診断基準で定義されています。これは、成人が常にまたは反復して、13歳未満の子供に対する性的興味、幻想、または行動が存在する場合に診断されます。

ICD-11(国際疾病分類第11版)では、小児性愛障害は「性的嗜好の障害」の一部として扱われています。

  • 性的嗜好の定義
    • 性的嗜好の障害の分類では、「性的嗜好」として、個人の性的興味や性的欲求の対象となるものが定義されています。ペドフィリアは、性的嗜好の一つであり、未成年者が性的興奮の対象となる状態を指します。
  • 診断基準
    ICD-11では、小児性愛障害(ペドフィリア)の診断には以下の基準が適用されます。
    • 成人の性的嗜好が、常にまたは反復して、13歳未満の子供に対する性的な興味、幻想、または行動を含む場合。
    • この性的嗜好が個人の健康、社会的機能、または他の重要な活動に有害な影響を与える場合。
性的興奮と性的行動

ペドフィリアの人は、未成年者に対する性的な興奮や欲求を感じています。これは、ポルノグラフィーやオンラインでの相互作用など、様々な方法で現れる可能性があり、一部の人は、これらの欲求を行動に移す可能性があります。

  • 性的空想や欲求
    • 未成年者に対する性的な空想や欲求を持つ傾向があります。これは、子供に対する性的なイメージやファンタジー、性的な幻想などがあります。
  • 性的衝動の反復
    • 性的な興奮や衝動が反復することがあり、子供に対する強い性的な興奮が現われ、その興奮を解消するために性的な行動に及ぶことがあります。
  • 性的行動
    • 一部には、性的な衝動を実際の行動に移すことがあります。これは、子供に対する性的な接触、性的な関係の試み、または子供を性的な目的で利用しようとする試みがあります。
  • 社会的機能の阻害
    • 性的嗜好は、年齢相応の異性との対人関係を阻害する可能性があり、異性との健康な関係を築くことが難しくなる場合があります。また、社会的隔離や孤立、対人関係の不安などの問題が生じることがあります。
  • ストレスや苦痛
    • 性的な嗜好や行動は、本人にストレスや苦痛をもたらします。自己嫌悪や罪悪感、抑うつ、不安などの心理的な問題が生じることがあります。
リスク要因

ペドフィリアの原因には、遺伝的、神経生物学的、心理社会的な要因が相互に絡み合って影響を与えると考えられています。また、子供時代の性的虐待やトラウマなどの過去の経験もリスクを高める要因となる可能性があります。

  • 生物学的要因
    • 生物学的要因は、遺伝子の影響や脳の構造・機能の異常などで、一部の研究では、ペドフィリアと特定の遺伝子の関連性が示唆されていますが、まだ明確な証拠はありません。また、脳の異常や神経化学的な変化が、性的嗜好に影響を与える可能性もあります。
  • 環境的要因
    • 過去の性的虐待やトラウマ、家庭環境の不安定さ、親からの適切な性教育の不足など、環境的要因もペドフィリアの原因として考えられます。子供時代に性的虐待を受けた経験が、将来的なペドフィリアの発症リスクを高める可能性があります。
  • 心理社会的要因
    • 個人の性的発達や性的アイデンティティの形成に関する問題、人間関係の困難さ、自尊心の低さ、または社会的孤立感などの心理社会的な要因も、ペドフィリアの原因として考えられます。また、性的嗜好が適切に処理されず、健全な性的関係が形成されなかった場合にも、ペドフィリアが発生する可能性があります。
一般的な傾向と社会的影響

ペドフィリアは、個人だけでなく、家族や社会全体にも深刻な影響を与える可能性があります。被害者の身体的、感情的、および心理的な苦痛や、家族や社会の信頼の喪失などにつながります。一般的な傾向は次の点が挙げられます。

  • 男性の多さ
    • ペドフィリアの発生率は男性が女性よりも高い傾向がありますが、女性によるペドフィリアや同性に対するペドフィリアも存在します。
  • 年齢層
    • ペドフィリアは、主に青年期から成人期にかけて現れる傾向がありますが、年齢に関する明確なパターンはありません。
  • 環境の影響
    • 社会的および文化的な要因、特に性的虐待が広く見られる環境では、ペドフィリアの発生率が高まる傾向があります。
  • 報告されるケースの不足
    • ペドフィリアの人は公表しないため、治療をすることがなく、診断もされていない場合があります。そのため、正確な疫学データを得ることが困難です。
治療とサポート

小児性愛障害の治療は難しいものですが、心理療法や薬物療法などのアプローチが使用されます。また、支援グループや精神医学専門家との協力が重要です。治療の目標は、被害者に対するリスクを最小限に抑え、個人の性的興奮や行動を管理することです。
しかし、自らがペドフィリアであることに気づかず、あるいは自らの行動が子供に害を与えているという認識がない加害者が存在する可能性があります。これは、いくつかの理由によるものです。

  • 自己正当化
    • 一部の加害者は、自分の行動を正当化しようとします。子供に性的な関心を持つことや、性的行動を行うことが自然であり、子供にとっては健康な性教育であると考えることがあります。このような自己正当化のプロセスにより、加害者は自分の行動を正当化し、実際の被害の重大性を無視することがあります。
  • 誤った信念
    • 一部の加害者は、自らの行動が子供に害を与えていないと信じ込んでいる場合があります。子供が自らの行動に同意していると考え、それを許容されるものと捉えています。また、加害者は子供に対する愛情や関心を抱いているだけではなく、子どもからも好意を持たれていると感じ、それが行動の正当化につながることがあります。
  • 認知の歪み
    • 加害者は認知の歪みを持っており、自らの行動や動機を誤解している場合があります。自分の行動を合理化し、性的な欲求や衝動をコントロールできているものとして捉えています。

これらの要因により、一部のペドフィリアの加害者は、自らの行動が子供に害を与えていないという誤った信念を持ち、その結果、被害者に対する深刻な影響を無視する傾向があります。このような状況には、教育、啓発、治療などの介入が重要であり、加害者には自らの行動や考え方を見直し、被害者に対する責任を理解し、適切な支援を受けることが必要です。

再犯率が高い理由

小児性愛障害を予防するためには、教育や啓発が重要となります。子供や若者には、身体的な危険や性的搾取に関する教育が必要とし、早期介入や心理社会的な支援など、リスクの高い個人や状況に対する適切な対応も重要です。
ペドフィリアの性犯罪の再犯率が高いとされる理由には、いくつかの要因が考えられます。

  • 性的指向の固定性
    • ペドフィリアは一般的に、その性的指向が固定されていると考えられています。つまり、ペドフィリアの性的興奮や欲求は、時間の経過にもかかわらず、治療を受けなければ大きく変化することがありません。そのため、ペドフィリアの加害者は再び性的な行動に及ぶ可能性が高いとされます。
  • 社会的制約の欠如
    • 社会的な制約や道徳的な規範を無視して、再び性的な行動に及ぶことがあります。自己制御や倫理的な判断力が不足していることがあり、その結果、再犯のリスクが高まる可能性があります。
  • 性的な欲求の不満
    • 性的な欲求や衝動に対処する方法として、再び性的な行動に及ぶことがあります。特に治療や支援が不十分な場合、加害者は性的な衝動をコントロールすることが難しくなり、再犯の可能性が高まります。
  • 再犯のサイクル
    • 一部の加害者は、性的な行動に対する逮捕や処罰を経験した後も、再び同様の行動に戻る傾向があります。このような再犯のサイクルは、加害者が自己変革や再犯防止の取り組みを十分に行わない場合に起こりやすくなります。
法務省犯罪白書平成27年版:13歳未満に対する性犯罪加害者の年齢別より抜粋

性犯罪を受けた被害者の精神状態

ペドフィリアの性犯罪を受けた被害者である子供の精神的な影響は、被害者の個々の状況や体験によって異なりますが、被害者の回復や治療には、専門家による心理的な支援や治療が重要です。安全な環境や支援システムの提供、そして被害者の声を尊重し、ニーズに応じた適切なケアが必要です。

  • トラウマ
    • ペドフィリアの性犯罪は、被害者に深刻なトラウマを引き起こす可能性があります。性的な暴力や虐待は、被害者の心理的・感情的な安全性に大きな影響を与えてしまいます。被害者は、トラウマ後ストレス障害(PTSD)や不安、うつ、自己価値感の低下などの症状を経験する可能性があります。
  • 罪悪感や恥辱
    • 被害者は、自分が被害者であることに対する罪悪感や恥辱を感じることがあります。加害者によって犯された性的な行為は、被害者の自己責任感や恥辱感を抱かせることがあり、精神的な苦痛を増大させる要因となります。
  • 不安と恐怖
    • 被害者は、将来にわたって安全や安心を感じることが難しくなることがあります。再び同じような被害を受けることへの不安や恐怖を抱くことがあり、このような感情は日常生活や人間関係に深刻な影響を与える可能性があります。
  • 信頼の喪失
    • 被害者は、加害者や社会全体に対する信頼を喪失することがあります。大人や他人が信頼できないと感じる場合もあり、被害者は信頼関係の形成や維持に困難を抱えることがあります。また、社会的なサポートや支援を求めることにも抵抗感を抱く可能性があります。

被害者のサポート

ペドフィリアの性犯罪の被害者である子供のサポートには様々なアプローチがありますが、被害者のニーズや状況に応じて異なります。重要なのは、被害者が安全で支えられた環境でのサポートを受けられることであり、専門家や支援システムがそのニーズに適切に対応することが重要です。一般的なサポートの形態をいくつか挙げます。

  • 心理的支援
    • 被害者は、トラウマや心理的な苦痛を経験しています。心理療法やカウンセリングを通じて、被害者は自分の体験や感情を処理し、回復のプロセスをたどる支援をしていきます。専門家が被害者に安全な場所でのサポートを提供し、感情や体験を理解しながら適切な方法で対処するためのツールを提供します。
  • 法的支援
    • 被害者とその家族は、法的なアドバイスや支援を必要とする場合があります。被害者は、加害者に対する法的手続きや司法プロセスに関する情報やサポートを受けることができます。また、被害者が法的な権利を理解し、自己を守るための措置を取れる支援をすることも重要です。
  • 医療的支援
    • 被害者は、性的な暴力や虐待による身体的な損傷や健康問題を抱えることがあります。医療専門家は、被害者に対して適切な医療処置や健康管理を提供し、身体的な回復を支援します。また、性感染症の検査や治療、妊娠の管理なども重要な側面です。
  • 教育と啓発
    • 被害者やその家族は、自己を守るための情報やリソースを提供されることが重要です。性的な暴力や虐待に関する教育や啓発活動を通じて、被害者やその家族は、自己を守る方法や支援を受ける方法を理解し、危険な状況から身を守ることができます。
  • 社会的支援
    • 被害者とその家族は、社会的な支援やリソースを受けることが重要です。被害者は、友人や家族、信頼できる専門化との関係を通じて、安心感や支援を得ることができます。また、地域や地域社会の支援システムや団体も、被害者とその家族に支援を提供する重要な役割を果たします。

ペドフィリアの治療

ペドフィリアを含む性的嗜好の治療には、薬物療法が一部のケースで使用されます。しかし、薬物療法は完全な治療法ではなく、一般的には行動療法やカウンセリングと組み合わせて使用されます。

薬物療法のアプローチ

  • 性的欲求抑制剤
    • セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの抗うつ薬は、性的欲求を抑制する効果があると報告されています。これらの薬物は、性的な欲求や衝動を軽減することで、ペドフィリアの加害者が再犯を防ぐのに役立つ場合があります。
  • 性的違和感を減少させる薬物
    • テストステロンを減少させる筋注や放出ホルモン拮抗薬は性欲を低下させる効果があります。また、抗アンドロゲン薬などの薬物は、性的な違和感を減少させる効果があります。これらの薬物は、性的な興奮や衝動を軽減することができ、ペドフィリアの加害者が性的な行動に及ぶリスクを低減するのに役立ちます。
  • 不安や抑うつを軽減する薬物
    • 不安や抑うつなどの精神的な症状を軽減する薬物も、ペドフィリアの治療に役立つ場合があります。これらの薬物は、加害者が精神的な健康状態を改善し、再犯を防ぐことを期待します。

認知行動療法

ペドフィリアに対する認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy、CBT)は、加害者が性的な嗜好や行動を変えるための効果的なアプローチの一つです。

STEP
評価と目標設定

最初のステップでは、加害者と治療者が関係性を築き、加害者の性的嗜好や加害行動に関する理解を深めます。治療者は、加害者の現在の問題や目標を評価し、治療計画を立てるために個別のニーズを特定します。

STEP
認知再構成
  • CBTでは、加害者の誤った信念や思考パターンを認識し、再構築することが重要です。加害者は、自らの性的な欲求や行動に対する誤った信念や合理化を識別し、現実的な考え方や価値観を獲得することを学びます。
  • 性的な欲求や衝動に対する誤った信念や合理化を再構築することは、性的欲求管理の重要な要素です。加害者は、性的な衝動や欲求を正確に認識し、そのような衝動に対する誤った信念に挑み、変更することを学びます。これにより、加害者は性的な行動に対する誤った合理化や自己承諾を減少させることができます。
STEP
性的欲求管理
  • 加害者は、性的な欲求を認識し、それに対処するための戦略を開発します。このステップでは、加害者は性的な興奮や衝動を管理する技術を学び、適切な対処方法を習得します。リラックス法や誘発された想像法などの技術が使用されます。
  • リラクセーション技法は、加害者が性的な欲求や衝動に直面した際に、身体的な緊張を緩和し、冷静さを取り戻すのに役立ちます。深呼吸、プログレッシブ・マッスル・リラクセーション(PMR)、マインドフルネスなどの技法が使用されます。
  • 想像法は、加害者が性的な欲求や衝動に対処するための有用な手法です。想像法では、加害者は性的なシナリオを想像し、その場面での自己コントロールや適切な対処法を練習します。このプロセスを通じて、加害者は自己制御のスキルを強化し、性的な行動を回避する能力を向上させます。
    また、マスターベーションをする際には小児への欲求の想像ではなく、成人への欲求を感じるシチュエーションだけにします。
  • さらなる具体的な方法は、小児への中性刺激・小児接触刺激・逸脱した小児への不正性行為の嫌悪・小児への衝動抑制への報酬・同意相手との性行為の報酬を繰り返す刺激に対するマスターベーションを行う直接アプローチです。小児への嫌悪による性刺激を減少させ、同意相手との性行為への生理的反応を維持させ馴化を促す療法です。
STEP
代替行動の開発
  • CBTでは、加害者に対して性的な行動の代替となる健全な行動を開発することが重要です。加害者は、他の興味や趣味を見つけ、その活動を楽しむことで性的な欲求や行動をリダイレクトする方法を学びます。
  • 代替行動の一つとして、加害者や患者は健全な趣味や活動を開発することが推奨されます。例えば、スポーツ、アート、音楽、読書などの趣味を見つけることで、性的な欲求や衝動をリダイレクトし、健全な時間の過ごし方を促進します。
  • 対人関係の強化も代替行動の一つとして有効です。加害者や患者は、家族や友人との関係を深めることで、孤独感や孤立感を減少させ、健全な社会的なつながりを促進します。また、コミュニティや支援グループへの参加も、対人関係の強化に役立ちます。
STEP
リラプス予防
  • 最後のステップでは、治療者は加害者がリラプス(再発)するリスクを評価し、そのリスクを管理するための戦略を開発します。加害者はリラプスの早期警告サインを認識し、それに対処するためのスキルを獲得します。
  • 性的な欲求や衝動に対処するための適切な対処法を学習することも重要です。加害者は、性的な欲求が高まるシチュエーションと高まった場合にどのように行動すべきかを学び、健全な対処法を獲得します。これには、性的な欲求をリダイレクトする健全な活動や趣味の開発、対人関係の強化なども重要となります。
  • 自己向上や教育の追求も代替行動として有益です。加害者や患者は、自己啓発書の読書、セミナーへの参加、スキルや知識の習得などを通じて、自己成長や発展を促進します。また、新しい職業スキルを獲得することも、自己向上の一環として有効です。

自助グループなどの取り組み

ペドフィリアや性依存症などの性的な問題に対する自助グループやサポートグループは、加害者や患者が支え合い、相互サポートを提供し、改善を促進するためのリソースです。自助グループやサポートグループは、加害者や患者が治療やリカバリーのプロセスに参加し、健康的な性的行動や関係を築くための手段を提供することが目的です。加害者や患者が他の人々とつながり、助けを求めることで、治療の成功や回復の可能性が高まります。

  • 性依存症匿名家族グループ(S-Anon・SA)
    • S-AnonまたはSAは、性依存症や性中毒に苦しむ人々のための家族グループです。S-AnonやSAでは、家族やパートナーが性依存症に関連する問題に直面している場合、お互いの経験や感情を共有し、支え合うことができます。
  • セックスアディクト匿名会(SCA)
    • SCAは、性依存症や性中毒に苦しむ人々のための自助グループです。SCAでは、メンバーがお互いの体験を共有し、サポートを提供し、性的な行動や欲求を管理するための手段を学びます。
  • ペドフィリア向け治療グループ
    • 一部の地域では、ペドフィリアや性的な嗜好に関する問題を抱える人々のための専門の治療グループが設立されています。これらのグループでは、加害者が自らの問題に向き合い、治療やリカバリーのプロセスに参加することができます。
  • オンラインサポートコミュニティ
    • オンライン上には、性依存症やペドフィリアに関連する問題を持つ人々が集まるサポートコミュニティやフォーラムがあります。これらのコミュニティでは、匿名で他の人々と交流し、経験を共有し、支え合うことができます。

DBS制度の概略

イギリス、ドイツ、フランスなどには犯罪歴照会制度 があります。日本でもイギリスのDBSチェック制度を参考に、日本版DBS導入の検討をしています。大きな括りでイギリスのDBSの概要を見てみます。

イギリスの犯罪歴照会制度は、主に「DBS(Disclosure and Barring Service)チェック」として知られています。この制度は、個人が特定の職種や役職に応募する際に、その人の犯罪歴や過去の警察記録を確認するために使用されます。

DBSチェックには、主に3つの種類があります。

  1. 基本DBSチェック(Basic DBS Check)
    過去の警察記録を含む、最も基本的なレベルのチェックです。主に一般的な職種やボランティア活動に適しています。
  2. 標準DBSチェック(Standard DBS Check)
    基本的なチェックに加えて、未成年者や保護対象者との接触がある職種向けに、過去の有罪判決や警察の警告、注意書きなどが該当します。
  3. 増強DBSチェック(Enhanced DBS Check)
    最も詳細なチェックで、子供や脆弱な人々と接触する職種に求められます。過去の犯罪歴や警告だけでなく、地元の警察やその他の機関が提供した情報も含まれます。

これらのチェックは、雇用主や組織が個人の適格性を判断するために使用されます。特に子供や脆弱な人々と接触する職種では、安全性を確保するためにDBSチェックが必須とされています。

日本版DBS導入の問題点

日本でも日本版DBS制度を検討していますが、DBS制度の問題点もあります。例えば、小児愛障害(ペドフィリア)者を子供に関わる職業に就かせないために犯罪歴紹介制度を使用することは、職業の選択の自由を奪うことや個人情報保護法により刑罰に関する情報の公開問題となることもあります。DBS制度の設計や運用方法について慎重な検討が必要であり、個人のプライバシーと権利の保護、差別の防止、公正な評価の確保などが重要な要素となります。

  • 個人情報の保護
    DBS制度は、個人の過去の犯罪歴や警察記録を含む非常に敏感な情報を取り扱います。この情報の取り扱いには慎重さが求められますが、情報公開の制限や漏洩のリスクの可能性もあります。
  • 職業の選択の自由への影響
    DBS制度が厳格に適用される場合、一部は特定の職業に就くことを制限される可能性があります。これは、個人の過去の犯罪歴や警察記録が、将来の職業選択に影響を与えることを意味します。この点については、過去の行為と将来の可能性をどのようにバランスさせるかの検討が必要となります
  • 差別や偏見のリスク
    DBS制度が不十分に運用されると、特定の人が不当に差別されたり偏見を受けたりするリスクがあります。例えば、特定の国民やグループ、社会的立場において、より頻繁にチェックされる可能性があります。
  • 過去の犯罪歴と現在のリスクの関連性の問題
    過去の犯罪歴があることと、その個人が将来的に犯罪を犯す可能性があるかどうかの関連性は明確ではありません。したがって、過去の犯罪歴だけに基づいて個人を評価することは、正確なリスク評価を行う上で十分ではありません。

政府は、2024年3月19日に子どもと接する職場に就く対象者の性犯罪歴の確認制度「日本版DBS」の法案として、「子供性暴力防止法案」を閣議決議しています。柱として犯罪の執行終了から20年、罰金刑以下は10年の犯罪歴の照会ができるようになります。今回の法案は学校や保育園だけではなく、民間の事業者にも一定の条件を満たせば前科を確認できる「認定制度」の対象となります。政府は、国会審議で成立した場合は、公布後2年半以内に施行する予定だということです。
さらに、2024年5月23日、衆議院本会議で全会一致で可決され、参議院に送られました。法案内容として、不同意性交罪や児童ポルノ禁止法違反などを「特定性犯罪」として明示することになりました。また、付加として特定犯罪の確認対象をベビーシッターや家庭教師の個人事業主も対象とし、範囲も下着窃盗やストーカー行為などにも拡大することとしています。

法務省犯罪白書平成27年版:小児性犯罪の前科状況より抜粋

犯罪歴の確認されないペドフィリア

犯罪歴紹介制度(DBSなど)は過去の犯罪歴がある人々を対象としており、犯罪歴のない人はその対象外となります。例えば、今まで逮捕されず(発覚せず)に今でも罪を犯している人や、ペドフィリアの障害を持っていることを気づかず子どもに触れる職業を選択することもあります。このように初犯の可能性もある場合、この制度だけでは対処しきれない問題があります。

ペドフィリアの場合、その障害によって子供に害を与えるリスクがあることは事実です。ただし、犯罪歴がない人に関しては、このような制度だけではその人のリスクを特定するのは難しいと言えます。一方で、隠されたペドフィリアの障害を持つ人が子供に関わる職業に就くことを防ぐために、適切なサポートや監視が必要であるとも言えます。

重要なのは、単に過去の犯罪歴をチェックするだけでなく、リスクを評価し、それに応じた対策を講じることです。これには、適切な専門家による評価や、職業に就く個人への適切なサポートやトレーニング、監視システムの設置などと社会全体での啓発活動や教育も重要です。特に子供に関わる職業に従事する人は、子供を保護し、安全を確保するための最善の方法について正確な情報と指導を提供されるべきです。

  • リスク評価の強化
    DBS制度に加えて、職業や活動の性質に応じたリスク評価を行うことが重要です。これにより、犯罪歴がない人でも、その職業や活動に関連したリスクを評価し、必要に応じて追加の対策を講じることができます。
  • 予防教育と啓発活動
    犯罪を予防するために、広範な啓発活動や予防教育を行うことが重要です。特に、子供に関わる職業に従事する人には、子供の安全や保護に関するトレーニングや教育を提供することが効果的です。
  • 監視と報告体制の強化
    職場や活動現場での監視体制を強化し、異常な行動や疑わしい事象が発生した場合には、速やかに報告する仕組みを整えることが重要です。これにより、初犯の可能性がある人を早期に発見し、対処することができます。
  • 社会的支援の提供
    初犯の可能性がある人に対しては、犯罪を行う前に適切な支援を提供することも重要です。心理的な支援やカウンセリング、再就職支援などを通じることで犯罪に走ることを防ぐことができます。

アベルテストの効力

アメリカ合衆国などで使用されているアベルテスト(Able Test)は教職員や児童福祉関連の職種に応募する際に行われる、性的な性向や性的虐待の傾向を評価するための心理学的な評価テストです。日本版DBSに加え、犯罪歴が判明されないペドフィリアの障害者にこのようなテストを行うことも考えられます。

アベルテスト(Abel Assessment for Sexual Interest)は、性的指向や性的興味、性的虐待の傾向などを評価するための心理学的な評価テストです。アベルテストの内容や特徴について解説します。

  • テストの目的
    アベルテストは、主に性的指向や性的興味、性的虐待の傾向を評価することを目的としています。特に、子供に対する性的興味や傾向を評価する場合に使用されます。
  • テストの形式
    アベルテストは、通常、インタビュー形式やコンピューターを介した質問形式で行われます。被験者には、数百の質問が提示され、これに答えることで性的指向や興味を評価します。
    • アベルテストは通常、1対1のインタビュー形式で行われます。被験者と専門家(通常は心理学者や臨床心理士)との間で行われる個別の面談です。被験者はインタビュアーの質問に対して直接回答する形式です。
  • 質問内容
    質問内容は多岐にわたり、性的興味や性的嗜好、性的行動に関するさまざまな側面に焦点を当てます。特に、子供に関する質問が多く、被験者の子供に対する性的興味や関心を評価します。
    • 時間は、テストの内容や被験者の回答によって異なりますが、一般的には数時間かかります。アベルテストは非常に詳細で広範な質問が含まれており、被験者の性的指向や性的興味、性的虐待の傾向を包括的に評価するために時間が必要です。
  • 反応の記録と解釈
    被験者の回答は記録され、それらのデータを分析して性的指向や性的興味、性的虐待の傾向を評価します。偽って答えることが困難なように、テストは質問数が増える仕組みが使用されます。
  • 倫理的な配慮
    アベルテストの使用にあたっては、倫理的な配慮が重要です。特に、被験者のプライバシーや個人情報の保護、テスト結果の適切な取り扱いなどが重要な考慮事項となります。

アベルテストや他の心理学的な評価テストを使用して、性的な性向や性的虐待の傾向を評価することは、犯罪予防や子供の安全確保の観点から重要な取り組みです。ただし、これらのテストを使用する際にはいくつかの考慮すべき点があります。

  • 個人の権利とプライバシー
    心理学的な評価は個人のプライバシーと権利を尊重する必要があります。そのため、テストの使用や結果の取り扱いには慎重さが求められます。
  • 診断の正確性と信頼性
    心理学的な評価テストは診断の正確性と信頼性が重要です。テストが正確に性的虐待の傾向を評価できることが必要です。
  • 適切な使用と解釈
    テストの結果を適切に解釈し、適切な措置を講じることが重要です。ただし、テストの結果だけで決定を下すのではなく、他の情報や要因も考慮する必要があります。
  • 倫理的な配慮
    テストの使用にあたっては倫理的な配慮が必要です。特に、テスト結果に基づいて人々の権利や自由を制限する場合は、その正当性や公正性を確保することが不可欠です。

日本版DBS制度において、アベルテストや他の心理学的な評価テストを使用することが検討される場合、上記の点に留意して適切な運用が行われることが重要です。これにより、犯罪予防や子供の安全確保に効果的に貢献できる可能性があります。

法務省犯罪白書令和5年版:13歳未満性被害者認知件数より抜粋

小児性愛障害(パラフィリア)を意識した取り組みの「まとめ」

小児性愛障害(パラフィリア)とは、成人(幼児や小児に対して5歳以上年長の者)の性的嗜好が、常にまたは反復して、13歳未満の子供に対する性的な興味、幻想を抱き、または行動を伴うこととされています。
また、小児性愛障害を広義に見ると小児に対してのみ性的嗜好を感じる純粋型、小児愛者である既婚者にも見られるように成人にも魅力を感じる非純粋型、中には自身の子供や身内にのみ性的嗜好を感じる近親相姦型もいます。

小児性愛障害の治療は難しく、薬剤療法や認知行動療法が有効とされています。ただし、現実は小児愛障害の認識が低い人が多く、嗜好を認めていたとしても自ら治療を望む方は少ないのが現状です。そのために、小児愛障害者の経過として薬物やアルコールなどの物質依存やうつ病、不安症群、強迫症群などの依存症が発生することで発覚しないケースもあり、再犯率も高くなっているのが現状です。

強制わいせつや強制性交など、小児性犯罪において13歳未満の子どもの性犯罪の認知件数は、年間で900件以上に及びます。法務省の令和5年版犯罪白書によると、令和4年において13歳未満の被害者の認知数は、強制わいせつは769人、強制性交などは216人、略取・誘拐及び人身売買は120人で合計1105人に上ります。
そのうえ、小児に対する性犯罪は、小児本人が犯罪に巻き込まれているという認識がない場合も多く、実際の犯罪数は計り知れないことが予測されます。中には、犯罪後数年経過することで心的外傷後ストレス障害(PTSD)を抱えて発覚するケースも少なくないと言われています。

このような現状に対して、被害者が13歳未満であっても小児性犯罪の法定刑があるわけではなく、強制わいせつ罪刑法176条にあたり、懲役6月以上10年以下となり、成人に対しての刑と同じです。幼児や小児に対する性犯罪の場合、精神的ダメージは大きく、性犯罪を受けた子供は自分で処理できる能力がないことが懸念されます。

性犯罪の再犯を防止するためには、矯正施設や保護観察所で行う「性犯罪者処遇プログラム」があり、グループワークやカウンセリングも含まれていて、再犯率の低下も認められています。ただし、プログラムの実施時期や受講期間の問題点も報告されています。

小児性愛者は、世界的に共通していて一般人口の約5%が対象となっていて、子どもが好きだということから教育や保育など子供に関連する職種に就く傾向が強くなります。就職は加害の障害とは差別化することが必要ですが、子どもへの性的嗜好を持っていることからリスクは高くなることは確かなことです。このことからも、先ほどの再犯を防ぐための「性犯罪者処遇プログラム」と犯罪歴紹介制度の「日本版DBS制度」の確立や初犯を防止の対策として「アルベルトテスト」の使用なども視野に入れた取り組みが早急に必要になると考えます。

  • 書籍名: “Understanding and Addressing Adult Sexual Attraction to Children: A Study of Paedophiles in Contemporary Society” 著者: Sarah D. Goode 出版社: Routledge 出版年: 2009年
  • 書籍名: “Pedophilia and Sexual Offending Against Children: Theory, Assessment, and Intervention” 著者: Michael C. Seto 出版社: American Psychological Association (APA) 出版年: 2008年
  • 書籍名: “Understanding Child Sexual Abuse: Perspectives from the Caribbean” 著者: Sandra Reid 出版社: Ian Randle Publishers 出版年: 2017年
  • 書籍名: “Understanding and Preventing Child Sexual Abuse: Critical Summaries of 500 Key Studies” 著者: Jill D. Sharkey 出版社: Routledge 出版年: 2018年
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