カップル・夫婦のナラティブセラピーを1日5時間集中セッション(無料3時間と有料の2時間)でお互いの気持ちを確かめ合い未来の創造ができた!
ナラティブ・セラピーは、自分自身や子供、家族、他人の関係について物語を作成(言語化)し、その物語に基づいて自己認識を構築することです。自分達、二人の関係に関する物語を共有し、問題の解決や成長の過程を物語として表現します。
これにより、自分達の経験を言語化し、問題についてより深く理解する手助けを受けます。
ナラティブ・セラピーにおける「物語の活用・物語の共有」は、自分たちの関係や個々の経験に新たな視点を見出し、ポジティブな変化を促すための重要なプロセスです。物語(ナラティブ)を作成は、単に過去の出来事を語るだけでなく、物語として言語化しながら「どのように経験してきたか」「どのような意味があるのか」を再解釈し、自己認識や関係性の見直しを図る方法です。このプロセスを通じて、カップルが現在の関係に影響を与えている価値観や信念を理解し、望ましい未来へと進むための土台を築きます。
【1】例えば(イメージしやすく)
「人の人生は“物語(ストーリー)”のようなものだと考えます。
ある出来事が起きたとき、どう語るかによって、その人の感じ方や意味づけは大きく変わってきます。
例えば、“失敗ばかりの人生”という物語があるとしたら、同じ経験でも、全部“ダメな自分の証拠”として語られてしまうことが多くなります。
しかし、その物語の枠組みを変えて、“何度も立ち上がってきた強い人”という語りにすると、同じ出来事が“チャレンジしてきた証”に変わります。
ナラティブ・セラピーは、今まであなた達が“どんな物語の中にいたか”に注目して、その物語を書き換えていくプロセスです。」
【2】問題との“距離”を取るアプローチ(外在化)
「今抱えている問題、例えば不安や怒りが、“あなたそのもの”ではなく、“あなたの外にあるもの”だとしたらどうですか。
ナラティブ・セラピーでは、問題=本人とは考えません。例えば、“私はダメな人”ではなく、“ダメだと感じさせる『声』や『ストーリー』がある”という見方をします。
その声はどこから来たのか? どういうときに強くなるのか? 逆に、どんなときにその声が小さくなるのか?…
そういったことを一緒に見つけていくことで、あなた達が“問題に振り回される側”から“選択できる側”になっていきます。」
【3】クライエントの主体性・可能性を強調(希望を持てる視点)
「ナラティブ・セラピーでは、“人は自分の人生を語り直す力を持っている”という考え方を大切にしています。
今までの経験の中には、つらいことやうまくいかなかったこともあると思います。
でも、どんな人生にも、“その人らしい強さや乗り越えてきた力”が必ずあります。
私たちは一緒に、あなた達、あなたの物語を丁寧にたどり直しながら、“あなたにとって意味のある言葉”で、新しい物語を紡いでいきます。
それは“過去を変える”のではなく、“過去に新しい意味を与える”作業です。そしてその意味が、これからの人生の力になります。」
要するに、あなたの人生は、あなたが語る「物語(ストーリー)」です。
ナラティブ・セラピーでは、「人は自分の語り(ナラティブ)によって、自分自身や問題、他人との関係を形づくっている」と考えます。
セラピーでは、あなた達、あなたがこれまで語ってきた「人生の物語」を一緒に見つめ直し、必要に応じて“物語を書き換える”お手伝いをします。
それによって、あなたの中にある「生きる力」や「希望の糸口」が見えてくるかもしれません。
“あなたが今の問題そのものではない”という視点から、問題との関係性を変えることができます。
過去を否定するのではなく、「どんな意味を与えるか」「どんな価値として受け止めるか」を、一緒に探っていくセラピーです。

ナラティブ・セラピーの意義
物語を言語化することで、あなた達は過去の経験や現在の問題を新たな視点で捉え、相互理解と信頼を深めることができます。このアプローチは、ただ問題を解決するのではなく、お互いがどのような価値観を共有し、どんな関係を築いていきたいかを再確認するためのプロセスとなります。また、物語が共有されることで、「私たちはこうした課題を共に乗り越えられる」「この関係において自分たちにはこうした力がある」といった自己肯定感と関係の絆が強まることが期待されます。
ナラティブ・セラピーは、単なる問題解決手法ではなく、カップルが一緒に作り上げる「物語」を通じて新たな未来への一歩を踏み出せるよう促進するアプローチと言えます。
ポジティブな過去の記憶を呼び起こし、関係の本質的な価値や意味を再確認する。
「問題は人ではない(The person is not the problem, the problem is the problem)」という立場を明確に示し、自己非難や関係の固定化された見方から距離を取る。
過去の出来事や現在の経験に新たな視点や意味を与えることで、自分や関係性を再定義し、望ましい未来に向かう道筋を見出すことを目的とする。
(re-authoring the shared story)」
~カップルの共同の物語を編み直す~
二人の関係性に影を落とした「問題中心の物語」から脱却し、二人がともに「望ましい関係」を描き直すための、新しい意味づけとストーリーの共有を行う段階
このステップでは、「私とあなた」ではなく「私たちの関係」に焦点を移す。
(A small scaffolding of hope for the future)」
~「どんな思い出として関係を終えるか/残すか」~
関係が「続くか終わるか」にかかわらず、お互いに 「意味ある物語を持ち帰る」こと がこの段階の目的です。
- 「終わる=失敗」「継続=成功」ではなく、
- 「そこに確かに意味があった」と感じられる体験として統合する。

ナラティブ・セラピーの具体的なセッション
私は東京在住の35歳の男性です。彼女は取引先の受付をしていて、飲食店で偶然に出会ったことがきっかけとなりお付き合いをすることになりました。交際期間は3年ですので、結婚も視野に入れて将来のことも考えていました。ところが、私は、数カ月前に社内の女性とデートを匂わせる内容のメールを彼女に見られてしまいました。ただし、相手とは交際もデートもしていませんし、浮気もしていません。その3か月後にさらに深いメールを見られました。これはデートする前に未遂に終わりましたが、信用して貰えない状況です。
現在は一緒に暮らしていますが、二人の間は以前よりもテンションが低い状態です。そのことと関係はないのですが、彼女が北海道の実家の都合で来月に帰省することになりました。彼女は帰省もするのでちょうどよい機会であり、冷却期間だと思ってくださいと言っています。彼女のその言葉の背景には別れるという意味も含まれていると思います。しかし、私は彼女のことがとても好きで、絶対に別れられません。帰省も迫っているので、カウンセリングは1回だけしか受けられません。
今回のカップルカウンセリングに最低限の希望があります。彼女は帰省してしまうので、お付き合いをしていたことに対しても好印象を残したいし、評価の高い思いが残るようにして欲しいと願っています。
ナラティブ・セラピーにおいて「関係の起源と歴史物語の形成」は、パートナー間に存在する肯定的なつながりや記憶を再発見し、関係性の“土台”を再構築するための重要なステップになります。次に、具体的なセッションの流れと質問例を交えてご紹介いたします。
今回は、下記の3時間無料カップルセラーピーをご利用になりました。カップルカウンセリングの内容は「インテンシブ・カップルセッション」ではなく、二人の歴史を物語化する「ナラティブ・セラピー」の選択をしています。

しかし、無料の3時間ではセッションを終了することができなく、有料メンタルカウンセリングの2時間(3,000円)を延長することで、カップルカウンセリングを集中5時間の1回で涙あり、笑いありの感動物語を共有の末、お互いの価値観や考え方、気持ちが理解できて完了することができました。
目的: ポジティブな過去の記憶を呼び起こし、関係の本質的な価値や意味を再確認する
タイミング: 信頼関係がある程度形成されているセッションの初期または中盤に適しています。
【登場人物】
- カウンセラー:C
- クライエント(男性):M(35歳)
- クライエント(女性):H(33歳)

カウンセラーの自己紹介とセッションの目的の確認
カウンセラー:「こんにちは。今日はお二人の関係についてお話をする時間をいただきました。私は〇〇です。お二人が多少なりとも納得できる形で、今の関係について整理し、より良い未来への価値観や人生の選択が整理できるようにお手伝いしたいと思います。」
カウンセラー:「そのために、私の役割は裁判官(ジャッジ)ではなく、お二人の気持ちを整理し、より深く理解し合えるようサポートするファシリテーター役をさせていただきます。」
カウンセラー:「お二人にお願いしたいことがいくつかあります。お互いに話をしている間は、途中で遮らずに最後まで聞くことを意識してください。また、批判や責めるような言葉ではなく、自分がどう感じたのか(Iメッセージ)を話すようにしましょう。」
カウンセラー:「まず、今回カウンセリングを受けようと思った理由を簡単に教えてください。」
カウンセラー:今回は、お二人の経験を再解釈し、価値観や信念を理解し合い、今後のお二人の関係性だけではなく、お互いが望ましい未来へと進む創造ができる時間になれば幸いだと思っています。
カウンセラー:本日はナラティブ・セラピーを行いたいと思いますが、独自性がありますので、感覚を掴めるように解説書を作成していますので、読み合わせをしていきます。
1⃣【相手の尊敬できる部分・好きな部分を再確認するチェックリストを作成します。】
セッション導入
C:
「今日はお二人の『出会い』や『関係のはじまり』にまつわるエピソードをお聞きしたいと思っています。今の悩みから少し離れて、“なぜ一緒にいたいと思ったのか”や“関係がどんなふうに築かれてきたのか”を一緒に思い出してみましょう」
質問例:
- 「初めて出会ったとき、相手のどんなところに目がいきましたか?」
- 「そのとき、自分の中にどんな気持ちが湧いてきましたか?」
- 「その場面を映画のワンシーンのように描写すると、どんなふうになりますか?」
M:
「彼女の笑顔が印象的で、受付にいるのに本当に親しみやすくて…“なんか、また来たくなるな”って思ったのを覚えてます。」
H:
「初めて話しかけられた時、緊張してたけど、すごく丁寧で…まるでドラマのワンシーンみたいだったかも(笑)」
C:
「その“また来たくなる感じ”や“ドラマのワンシーン”のような出会い、今聞いても素敵ですね。当時の“ときめき”や“つながり感”が今にも残っているようです。」
質問例:
- 「お付き合いを始めた頃、どんな瞬間に『この人と一緒にいたい』と思いましたか?」
- 「相手のどんな価値観や行動が、自分の心に響いたと思いますか?」
- 「2人で過ごした中で、“これは自分たちらしい”と思えた出来事は?」
M:
「彼女が忙しいのに、僕の体調を気遣ってくれて…。それがすごく心に残っています。」
H:
「彼は、言葉よりも行動で示してくれるタイプで。疲れてるとき、無理に話しかけずにそっとコーヒー置いてくれたりして…なんか、わたしのペースを大切にしてくれる人だなって思いました。」
C:
「お互いの価値観や“やさしさの伝え方”が自然と合っていたんですね。その“小さなやり取り”の中に、関係の大切な種が育っていたんだと思います。」
カウンセラー:
「今お話しいただいたエピソードから、“お二人らしさ”が感じられます。たとえば、“思いやり”“自然体”“安心感”というような言葉が浮かびますね。
このキーワードを、2人の関係の“物語のタイトル”にするとしたら、どんなタイトルになりますか?」
例:
- 「そっと寄り添うふたり」
- 「ふつうの毎日が、宝物」
- 「静かな信頼の物語」
カウンセラー提案:
「今のお話をまとめて、“二人の関係のはじまりの物語”として一文にしてみませんか?これが、お二人の“関係の原点”の記録になります。」
物語例:
「偶然の出会いから始まった私たちの関係は、言葉よりも心のやり取りを大切にする“静かなやさしさ”で育まれてきた。大切な日常の中に、私たちらしい信頼が確かに存在していた。」
目的 | 効果 |
● ポジティブな記憶を再発見する | → 関係への感謝と愛着を再確認できる |
● 関係の意味づけを再構築する | → 自分たちらしい価値観や“絆”を言語化できる |
● 今の問題から一歩引く視点を持つ | → 問題中心の会話から、関係中心の対話へ |
「問題の外在化」は、ナラティブ・セラピーにおいて非常に重要な入り口であり、「問題は人ではない(The person is not the problem, the problem is the problem)」という立場を明確に示すことで、当事者の自己非難や関係の固定化された見方から距離を取らせる効果があります。
2⃣【カップルセラピーの評価セルフチェック作成します。】
【登場人物】
- カウンセラー:C
- クライエント(男性):M(35歳)
C:
今日、あなたがこの場に来てくださったのは、彼女との関係でとても重要な出来事があり、それをどう捉え直すかを一緒に考えるためですね。少し、その出来事について、あなたの言葉で話してもらえますか?
M:
はい…。彼女に、社内の女性との軽いやりとりを見られてしまったんです。まだ何もしていなかったけど、浮気みたいに思われても仕方ない内容だったと思います。
C:
その出来事は、あなたにとっては「軽い」と感じていたものが、結果として彼女にとっては「信頼を揺るがすもの」となってしまった、ということですね。
あなたの経験を“問題”として見たとき、それにはどんな名前をつけられそうでしょうか?どんな言葉が合いますか?
M:
うーん……たぶん「誘惑に負けかけた自分」みたいな…。でも、実際には何もしていないんです。
C:
ありがとうございます。「誘惑に負けかけた自分」とおっしゃいましたね。少し視点を変えてみましょう。
その“誘惑”は、あなたの中でどういうふうに現れてきたのでしょうか?どんなときに近づいてくる存在でしたか?
M:
たぶん、仕事でうまくいっていなくて、ちょっと気持ちが不安定だったんだと思います。優しくされたときに、「この人と話したら楽かも」と思ってしまった。自分ではそのとき、彼女としっかり向き合えてなかった気がします。
C:
なるほど。「誘惑」は、あなたが不安定で疲れていた時期に、そっと入ってきたような存在だったのですね。
その「誘惑」は、あなたの中のどんな部分を揺さぶってきたと思いますか?
M:
たぶん…逃げたい気持ちとか、自分が認められたい気持ちですかね。
C:
そうですね。では、“誘惑”は“あなた”そのものではなく、「逃げたい気持ち」や「承認されたい気持ち」が、あなたの中で十分に扱われないまま、“外から来たような出来事”として表れてしまったのかもしれませんね。
この“誘惑”という出来事は、あなたと彼女の関係にどのような影響を与えたと感じていますか?
M:
信頼を壊しました。家の中も以前のように明るくないし、何をしても彼女が警戒してるような感じがします。
C:
“誘惑”という問題は、あなたが大切にしていた「信頼」や「一緒にいる安心感」に傷をつけたのですね。
C:
でも、今日あなたがここに来ていること自体が、“誘惑”に負けたまま終わらせたくない、という気持ちの現れではないでしょうか?
M:
……はい。正直、あのときの自分を本当に後悔していますし、彼女に信じてほしいんです。戻れるなら戻りたい。
C:
あなたは“誘惑”という問題に負けた人ではなく、それと向き合い、彼女との関係を守ろうとする人なのだと私は思います。
【ステップ①のポイント整理】
観点 | 具体的なセラピストの工夫 |
問題の外在化 | 「誘惑」や「不安定な時期に入り込んだ出来事」としてラベリングする |
クライエントの責任から距離を取る | 「あなた自身ではなく、“問題”が関係に入り込んだ」構図を提案 |
問題の影響を明確にする | 「信頼」「安心感」にどう影響したかを言語化 |
クライエントの価値を引き出す | 「信頼を守りたい」「後悔している」という感情を価値として再定義 |
このようなステップを経ることで、クライエント自身が自分を「関係を壊した人」ではなく「関係を大切にしたいと願う人」として再認識できるようになり、次のステップ(物語の再構築)への準備が整います。
物語の再構築(Re-authoring)」は、ナラティブ・セラピーにおける中心的なプロセスであり、過去の出来事や現在の経験に新たな視点や意味を与えることで、クライエントが自分や関係性を再定義し、望ましい未来に向かう道筋を見出すことを目的とします。
【セッション前提】
クライエントMは、「誘惑」という問題が、自分の弱さや承認欲求が満たされない状況の中で現れたものだと理解し、自分自身や彼女を傷つけたことに後悔と責任を感じています。
ナラティブ・セラピーの次の段階では、この出来事を「単なる過ち」ではなく、「成長や価値に繋がる物語」として再解釈していく作業に入ります。

C:
前回、“誘惑”という問題が、あなたの中の「疲れ」や「承認欲求」に作用していたということを一緒に探りましたね。
今日は、そこから少し視点を変えて、この出来事があなたに教えてくれたこと、気づかせてくれたことについて話してみませんか?
M:
…はい。たぶん、自分がいかに彼女の存在に甘えていたか、どれだけ頼りにしていたかに気づいたと思います。
彼女がいるのが当たり前だと、無意識に思っていたんですよね。
C:
「甘えていた」「当たり前だと思っていた」ということに気づかせてくれた出来事だったんですね。
この気づきは、あなたにとってどんな意味を持つと思いますか?
M:
…自分が本当に守りたいものに気づいた気がします。失って初めて…ってよく言いますけど、そうならないうちに気づけたのは、ある意味よかったのかもしれません。
C:
なるほど。「気づいたこと」が、これからあなたの関係性にどう生かされると感じますか?
M:
ちゃんと向き合うこと、自分の弱さや不安も、彼女に隠さずに伝えていくことですかね。
逃げずに、信頼を築き直す努力をしたいです。
C:
それは、あなたが「逃げない選択」をする人である、という物語に繋がっていきますね。
今回の出来事を、もし“試練”と名付けるなら、それはあなたに何を試してきたと思いますか?
M:
信頼の重さ…と、自分がその信頼にふさわしい人間かどうかってことですね。
C:
その試練に対して、あなたは今、どんなふうに応えようとしていますか?
M:
ちゃんと彼女と話したいし、誠実に向き合いたいです。例え彼女が離れてしまっても、後悔しないように。
C:
では、あなたは「信頼を壊した男」ではなく、
「信頼の大切さに気づき、それを取り戻す責任を引き受けた男性」として物語を紡ぎなおそうとしているんですね。
M:
…そうありたいです。彼女にも、そういう自分を少しでも見せたいです。
C:
それは「償い」だけでなく、「再出発」としてのメッセージでもあるように感じます。
その新しい物語を、彼女にどう伝えていきたいですか?
【ステップ②のポイント整理】
観点 | 内容 | セラピストの工夫 |
出来事の再解釈 | 「誘惑=過ち」ではなく「気づき・成長のきっかけ」として位置づける | “何を教えてくれた出来事か?”と問いかける |
価値や信念の再発見 | 「逃げない」「向き合う」「信頼を大切にする」といった価値観を言語化 | クライエントの語りを拡張してリフレーミングする |
自己像の再構築 | 「過ちを犯した人」→「責任を引き受け再出発しようとする人」へ | クライエントの行動の意味に焦点を当てる |
関係性の見直し | 過去の関係を悔やむのではなく、今後に向けた新しい関係像を描く | 「これからどう関わっていきたいか」に話を向ける |
次のような問いかけをラストにするのも効果的です。
- 「もし、彼女に今の気持ちを伝えるなら、どんな言葉から始めたいですか?」
- 「今回の気づきを、どうすれば彼女に“届く形”で表現できますか?」
- 「彼女にとっても“物語の一部”として受け取ってもらうには、何が必要でしょうか?」
目的
- 二人の関係性に影を落とした「問題中心の物語」から脱却し、
- 二人がともに「望ましい関係」を描き直すための、新しい意味づけとストーリーの共有を行う段階です。
3⃣【カップル関係における価値観・思考・心理スタイルの違いセルフチェックを作成します。】
このステップでは、「私とあなた」ではなく「私たちの関係」に焦点を移します。
前提設定:
- 彼女(H)は、彼(M)のメールの件で深く傷つき、信頼が揺らいでいる。
- 彼(M)は、自分の過ちを認め、関係を修復したいと強く願っている。
- カウンセリングは1回限りで、彼女は来月に帰省予定。
ステップ③の流れとセッションポイント:
段階 | 内容 | 目的 |
① 振り返りの共有 | 過去の関係の良かった時期、信頼があった場面を思い出す | ポジティブな“共有経験”の掘り起こし |
② それぞれの気づきを伝える | 再構築された個人の物語を共有し合う | 相互理解と共感の促進 |
③ 関係性の意味を再定義する | 二人にとっての「危機」や「転機」に意味を与える | 危機→成長のチャンスへ |
④ これからの関係性を共同で描く | 「今後どうありたいか」「どう築いていくか」を言語化 | 未来志向の共同作業 |
カウンセラー(C):
今日は、「お二人の関係」を振り返りながら、今後に向けての“物語”を一緒に見つめていきたいと思います。
まずは、付き合ってきた中で「この瞬間はよかった」と思える場面を、それぞれお話しいただけますか?
彼(M):
初めて一緒に旅行したときのことが印象に残ってます。電車に乗ってる間、彼女がずっと笑ってて…あの時、“自分は必要とされてるんだ”って思えたんですよね。
彼女(H):
…あの時は確かに楽しかった。私は…彼の優しい一面をたくさん見られた時期だったと思います。
C:
その「優しさ」や「安心感」が、お二人の関係の“核”にあったのかもしれませんね。
この経験から、お二人の関係にはもともとどんな価値があったと思いますか?
M:
僕は…彼女がいなかったら、自分の弱さに気づけなかったと思う。
今回のことは絶対に取り返しのつかないことかもしれないけど、でも、このまま終わりたくない。
自分にとって“彼女との時間”が、どれだけ大切だったか分かったから。
H:
…信じられない、って気持ちはまだあるけど、
正直、彼がここまで真剣に自分のことを考えてくれてたっていうのは…知らなかった。
私は、ただの“傷ついた人”じゃなくて、ちゃんと選ばれていたのかな…って少し思いました。
C:
今、お互いの“内側”の気持ちを伝え合えたことで、お二人の物語が少し書き変わったように感じます。
この「揺れた関係」から、何を大切にしたいと再確認できましたか?
M:
今回のことは、自分の未熟さや誠実さのなさを知った機会でした。
でも、もし乗り越えられたら…“信頼を再び築いたカップル”になれるかもしれない。
H:
…私も、“傷つけられた人”だけじゃなく、“もう一度信じる選択ができた人”になれるのかな。
そう思えるようになったら、関係は変わるかもしれません。
C:
とても素敵な気づきですね。
では最後に、“これから”のお二人の関係を、たとえば物語のタイトルのように表すとしたら、どんな言葉になりますか?
M:
…「揺らいでも、向き合える二人」。
H:
私は…「もう一度、手を取り直せる関係」。
C:
どちらも、過去を否定せずに、未来に希望をもたせる言葉ですね。
このセッションのあと、お二人でこの物語を“どう続けていくか”を、大切に育てていってくださいね。
【セッションのまとめ】
項目 | 内容 |
過去の良い記憶を掘り起こす | 信頼・安心・笑顔のエピソードを再確認 |
個々の気づきを共有 | 自己認識の変化を相手と共有し、共感を促す |
危機に意味を与える | 単なる喪失ではなく、「成長」「試練」「再出発」へ |
未来に焦点を当てる | 「これからの関係性」を共に言語化し、関係の再定義へ |
~どんな思い出として関係を終えるか・残すか~
目的
関係が「続くか終わるか」にかかわらず、お互いに 「意味ある物語を持ち帰る」こと がこの段階の目的です。
- 「終わる=失敗」ではなく、
- 「そこに確かに意味があった」と感じられる体験として統合する。
別れの際にも “自分たちには確かに愛や価値があった” と再確認できると、その後の人生の足場(リソース)になるのです。
適用されるケース:
- 関係の終わりが見えている(別れを決意している)
- 一時的な別居や距離をとる選択をした
- 修復を目指したが、うまくいかなかった
など、“結果が出たあと”や“答えが出ないままの分岐点”でも使えるセッションです。
ステップ④の進め方:構造とポイント
段階 | 内容 | 目的 |
① 振り返り | 「この関係で得たもの・失ったものは何か?」 | 自分の人生にとっての意味づけ |
② 感謝・敬意の表現 | 「あなたといたからこそ気づけたこと」 | 相手の存在の肯定と自尊感情の回復 |
③ 思い出の整理 | 「どんな思い出としてこの関係を残したいか」 | 認知的・感情的な完了(closure) |
④ 未来への足場づくり | 「この経験をどう活かしたいか」 | 希望への転換、ナラティブの継続性の確保 |
前提設定:
- 彼女(H)は帰省を前に、彼(M)との別れを視野に入れている。
- セラピーは事実上、最後のカップル・セッション。
カウンセラー(C):
お二人にとって、ここでの対話はひとつの区切りとなるかもしれません。
今日は、もし「これで一区切り」だとしても、心に残る大切なものを探していく時間にしたいと思っています。
C:
この関係のなかで、自分自身について気づいたこと、成長できたと感じることはありますか?
彼(M):
僕は…本音を出すことの大切さを学びました。
ずっと、強がってばかりで、“自分を見せないことが男らしさ”だと思ってたけど、
彼女には、それじゃ伝わらないってわかった。気づけてよかった。
彼女(H):
私は…「自分がちゃんと愛されたいと思っていた」ってことに気づけました。
ずっと、誰かに合わせるのが当たり前だったけど、それだけじゃダメなんだって。
この関係がなければ、気づけなかったと思います。
C:
今ここで、相手に伝えておきたい「ありがとう」や「敬意の気持ち」があれば、伝えてみてください。
H:
…ありがとう。あなたが、いつも私の仕事の愚痴をちゃんと聞いてくれたこと、本当に救われてました。
言葉にしなかったけど、すごく嬉しかったんだよ。
M:
こっちこそ、ありがとう。僕に対して一番正直でいてくれたのは、君だったと思う。
君のまっすぐさに何度も助けられた。
C:
関係が続くかどうかにかかわらず、
この関係を「どんな思い出」として心に残したいですか?
H:
…「あの人といたときの私は、ちゃんと自分であろうとしてた」って思い出せるようにしたいかな。
M:
僕は、「誰かを大切にすることを、本気で考えた時間だった」って言える思い出にしたい。
C:
この関係の経験をもとに、これからの自分にどんな一歩を残していきたいと思いますか?
M:
本音で人と向き合うってこと、怖くても逃げないようにしたい。
きっと、次の人に対しても。
H:
私は…“自分が本当に求めているもの”に嘘をつかずに、ちゃんとそれを大切にしたいです。
それが、この経験でいちばん学べたことかもしれません。
C:
お二人の言葉から、確かに「痛み」も「成長」も伝わってきました。
ここでの経験が、お互いの人生の中にあたたかく残り続けますように。
たとえ離れたとしても、「よい意味での記憶」として残る物語でありますように。
まとめ:ステップ④のエッセンス
視点 | 内容 |
内省 | この関係を通じて「自分を知る」経験 |
敬意 | 相手との関係性に“感謝”と“リスペクト”を残す |
物語化 | 関係の終わりも「人生の一章」として意味づけ |
希望 | 「この経験が未来の自分を支えてくれる」と感じる |
カップルが「どのような未来を目指すのか」を具体的に考え、合意を形成するフェーズです。お互いの立場や価値観を踏まえた上で、今後どのような方向性が最も双方にとって望ましいのかを具体的に検討します。感情の整理が進んだ状態で、現実的な選択肢を話し合い、もし修復を目指す場合の具体的な行動計画も立てます。
現状の希望と将来の方向性を双方から明確にする
具体的な行動計画(冷却期間中の連絡方法、対話の再開計画、信頼再構築のルール)を策定する
カウンセラー(セラピスト)は、カップルが希望や価値観を共有しながら、現実的な未来の可能性を探るサポートをします。
- 複数の選択肢(関係継続、冷却期間、友好的な別れ)の中から、お互いが受け入れやすい中間案を検討
- 否定的な思考ではなく「可能性」に焦点を当てる
- それぞれの価値観・目標・人生の優先順位を明確にする
- 関係を修復できたとして、1年後にはどんな関係を築いて いるか
- どんな条件が揃えば、お互いが安心して一緒に過ごせると思うか
- 別々の道を選んだ場合、それぞれの人生はどのように変わるか
- 具体的な行動計画(冷却期間中の連絡方法、対話の再開計画、信頼再構築のルール)を策定する
- カウンセラーは、希望や価値観に基づき未来を具体的にイメージさせる。
- 選択肢を広げ、現実的な未来のシナリオを検討する。
- 具体的な行動計画を立て、試験的な取り組みを設計する。
- カップルの主体性を尊重しながら、実践と振り返りのサイクルを作る。
セッションの開始
カウンセラーの役割:
- セッションで検討した関係の選択肢について振り返る。
- 「話し合った選択肢について、お二人の気持ちはどうですか?」と確認する。
- 現時点での各自の希望や不安を言語化するよう促す。

カウンセラーの役割:
- 未来の可能性について、具体的に想像できるような質問を投げかける。
- 否定的な思考ではなく「可能性」に焦点を当てるよう導く。
- それぞれの価値観・目標・人生の優先順位を明確にする。
カウンセラーの問いかけ例:
- 「もし関係を修復できたとして、1年後にはどんな関係を築いていたいですか?」そのためにステップとしてできることはありますか?
- 「どんな条件が揃えば、お互いが安心して一緒に過ごせると思いますか?」
- 「別々の道を選んだ場合、それぞれの人生はどのように変わるでしょうか?」
カウンセラーの役割:
- カップルが現実的に取り組める行動計画を立てるサポートをする。
- お互いの期待や役割分担を明確にする。
- 必要に応じて「試験的な期間」を設ける提案をする。
カウンセラーの問いかけ例:
- 「この行動プランについて、どちらかにとって負担が大きすぎる点はありませんか?」
- 「このプランを試す期間をどのくらいに設定しますか?」
- 「進捗を確認するための方法はありますか?」
目標 | 具体的な行動 | 期間 |
信頼を回復する | 毎週1回、感情を整理して話し合う時間を持つ | 3ヶ月後から継続 |
コミュニケーションを改善する | 感謝を伝える習慣を作る(1日1回ポジティブなことを伝える) | 1日目から継続 |
再び親密な関係を築く | 3カ月に1回、二人で楽しめる活動をする(デート、趣味など) | 1年後 |
手紙に託す | 「未来の手紙」または「別れの物語」記録シートを利用し、相手と交換する | 1か月後・3か月後・1年後 |
彼女が帰省してしまうという背景があるため、この再構築された“二人の物語”を「言葉に残す」=手紙、共有ノート、音声メッセージなどの形にして残すことが効果的です。
このセッションを通じて形成された「共有された希望」を、彼女が帰省先でも思い出せるような形にしておくと、別れに傾いた気持ちをやわらげる可能性もあります。
《未来への手紙》フォーマット
未来への手紙》フォーマットは、関係の継続・再構築を希望する場合にも、別れを前提とする場合にも使用可能となります。
目的
「今この瞬間から未来へ」自分がどんな関係性を築いていきたいか、あるいはこの経験から何を学び、どう人生を進めていくのかを“未来の自分”に手紙として語りかけることで、希望・目標・新しい物語を意識化します。
活用のポイント
- 書いたあと、封筒に入れて「〇ヶ月後に読む」
- パートナーに渡す
- 「もう一人の私へ」の手紙として応用
《未来への手紙》
宛先:未来の私へ(3ヶ月後・1年後の自分を想定して)
親愛なる未来の私へ
最近、私はある大切な関係について深く向き合う時間を持ちました。その中で、私は次のようなことを感じたり、学んだりしました。
- 私がこの関係の中で大切にしていたこと:
→(例:安心感、信頼、寄り添い、笑い合える時間)
- 私がつらかったこと・傷ついたこと:
→(例:誤解されることが多かった、自分の気持ちが伝わらなかった)
- でも、その中で気づけたこと・成長したこと:
→(例:自分はもっと本音を大切にしたい、感情を抑えすぎていた)
- これから私が大事にしたい関係性のあり方:
→(例:誠実であること、気持ちを言葉で伝えること、タイミングを逃さないこと
どうか、このときの気持ちを忘れずに、未来の私はこの経験を力に変えて歩んでいてほしい。
__年__月__日
(今の私より)
《別れの物語》記録シート
目的
「終わりの整理=喪失」ではなく、
「意味のある完了=人生の一章」として再定義するために。
“別れ=失敗”ではなく、“完結した物語”として心に刻む。
《別れの物語》– 私たちの関係を振り返って –
- 出会いの始まり:
→(いつ、どこで、どんな印象だったか) - 一番幸せだったと感じる出来事:
→(二人で笑い合えた日・忘れられない旅行・誕生日など)
- 大切にしていたこと・共に築いてきたもの:
→(信頼、生活、ルール、習慣、目標)
- 関係が揺らいだと感じたきっかけ:
→(出来事・すれ違い・価値観の違いなど)
- それでも別れずに続けていた理由:
→(愛情・思いやり・情・惰性)
- 相手に対して、今伝えたい感謝の気持ち:
→(ありがとう、よく頑張ってくれたね、支えてくれて感謝)
- 自分が学んだこと/気づいたこと:
→(恋愛観、自己理解、人と関わる姿勢)
- この経験を、これからどう人生に活かすか:
→(次の関係で大切にしたいこと、自分をより大切にする姿勢)
- この物語を一言で表すとしたら?
→(例:「学びの旅」「忘れたくない優しさの物語」など)
- この関係があってよかったと思える瞬間は?
→(心に残っている言葉や時間)
記入後:
- パートナーと共有してもいいし、あくまで自己整理のためでも良い。また、1ヶ月後や3ヶ月後に再確認の機会を設けてもよい
活用のポイント:
- 「別れの物語」は、“未完了感(未練・怒り)”を和らげるための補助としても使える。