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LGBTQ+とSOGIの知識と理解

目次

LGBTQ+に関する法律関係

日本においてLGBTQ+に関する法律や地域独自の法律、規定は一部ですが次のようになっています。

  • 同性婚について
    日本では、同性婚が認められていません。一方で、同性カップルに対して「パートナーシップ宣誓制度」という制度があり、自己申告で婚姻関係に相当するパートナーシップ関係を公的に認定することができます。
  • パワハラ防止について
    2019年に「職場における性的な嫌がらせの防止等に関する法律」が施行され、性的な嫌がらせやセクシャル・ハラスメントに対する取り締まりを強化し、職場における性的な嫌がらせを防止することを目的としています。
  • 性転換での戸籍法について
    日本では、性別適合手術を受けた場合(他の4つの条件がある)に限り、戸籍上の性別を変更することができます。ただし、手術を受けたことが証明された場合でも、20歳未満の場合は親権者の同意が必要とされます。
  • 社会保険について
    社会保険制度は、法律上は性別に関わらず適用されます。ただし、同性カップルに関しては、パートナーシップ宣誓制度に基づく扶養親族として認められる場合がありますが、現実は難しいものとなっています。
  • 賃貸する場合について
    賃貸物件を提供する側が、性的マイノリティであることを理由に契約を拒否することは法律で禁止されています。また、都道府県や市区町村によっては、性的マイノリティをサポートするための取り組みが行われています。ただし、日本においてはLGBTQ+に対する偏見や差別が残存しており、法律や制度の改善が求められています。

性別再適合手術

性別違和症の治療のために行われる手術のことを指します。性別違和症とは、自分の生まれつきの性別に対して違和感を持つ症状であり、性別適合手術はその症状を緩和するために行われます。ただし、性別適合手術は大きな決断のうえで決定しなければなりません。
成人期の患者がホルモン療法を行っても満足が得られない場合は、性別再適合手術(MtFは精巣切除と造膣術、FtMは子宮・卵巣摘出術、尿道延長術、陰茎形成術)を望むならば、臨床倫理的審査を得ることが必要となります。

日本において性別適合手術により性別変更を認められた件数について具体的な数字は公表されていません。ただし、性別適合手術だけでなく、ホルモン療法や精神医療なども含めると毎年数百件から数千件程度とされていますが、正確な数字は不明です。
また、性別適合手術においてトラブルが発生することも否定できません。手術後に合併症が生じたり、手術後の経過が思わしくなくなる場合があるだけでなく、手術前に十分な検討やカウンセリングが行われていなかったために、手術後に後悔する人もいますので、性別適合手術を行う前には十分な情報収集やカウンセリングが必要です。

※平成16年7月の特例法の施行から現在までに、1万人を超えて人々が性別変更審
判を受けるに至っています。

MtF(Male to Female)男性から女性

・精巣(睾丸)術、陰茎切除術、陰核形成術、外陰部形成術
・造膣術は戸籍変更には問われません。(陰茎反転法・S字結腸法・腹膜膣形成術PPV法・医師個人が行う独自の形成方法)

FtM(Female to male)女性から男性

・乳房切除術(胸オペ)は戸籍変更には問われません。
・卵巣摘出術、子宮摘出術(腹部切開・腹腔鏡・膣式)尿道延長術、膣閉鎖術
・陰茎形成術は戸籍変更には問われません。

世界で初めての性別適合手術

エイナル・モーゲンス・ヴィーグナー(リリー・エルベ)は、(1882 Einar Wegener)として生まれました。彼女は1920年代初頭に、トランスジェンダーの女性としてのアイデンティティに気づき、1930年ベルリンで睾丸摘出手術を受けています。1931年には、ドイツの性別適合手術の専門医によって陰茎の切除と卵巣の移植手術を受けますが、卵巣が体に合わず、その後5回の移植手術を受けています。しかし、3か月後48歳で施術の拒否反応が重く亡くなっています。2015年には「リリーのすべてThe Danish Girl」というタイトルで映画化されています。

日本で初めての性別適合手術

ニューハーフタレントでカルーセル麻紀、本名:平原麻紀は1942年に北海道釧路市で平原徹男として生まれています。1963には、芸能界でデビューをし25歳には歌手デビューをしています。
1973年にモロッコで性別適合手術を受け、その後2004年10月の性同一性障害特例法の施行により性別の変更が認められ、戸籍上も女性(続柄は二女)としています。

リリーエルベの手術から90年以上、カルーセル麻紀性別適合手術から50年の時が経ち、現在の性別適合手術の技術があるものだと思っています。国や時も違えど、社会や文化にも負けず、想像もできない苦しい思いや命を懸けてもMtFの自認や表現の意志を持ち、生涯を掛け身体と性別の一致を求めたことには発する言葉もありません。筆者は「偉大だ」!と何度も叫んでいます。


性同一性障害特例法

性同一性障害特例法とは、平成15年法律第111号で「性同一障害者の性別の取り扱いの特例に関する法律」で定めています。

趣旨

趣旨は、性同一性障害者に関する法令上の性別の取り扱いの特例について定めるものとしている。

定義

性同一障害者とは、生物学的には性別が明らかであるにもかかわらず、心理的にはそれとは別の性別であるとの持続的な確信を持ち、かつ、自己身体的および社会的に他の性別に適合させようとする意志を有するものであって、そのことについてその診断を的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師の一般的に認められている医学的知見に基づいて行う診断が一致しているものをいう。

性別の取り扱いの変更の審判

家庭裁判所は、性同一性障害者であって次の各号のいずれにも該当するものについて、そのものの請求により、性別の取り扱いの変更の審判をすることができる。

  • 18歳以上であること
  • 現に婚姻をしていないこと
  • 現に未成年の子がいないこと
  • 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること(違憲と判断)
  • その身体にについて他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること

性別変更には上記の5つの条件が必要となっていましたが、2023年10月25日の最高裁では、④の性別変更の生殖不能手術は違憲と判断しています。これは、生殖不能手術を受けていないマイノリティが性別変更を望んだ場合は、他の4つの要件を満たしていれば性別変更を認めることが可能となるということです。今後の展開が気になるところです。

「性別変更の生殖不能手術」は、違憲

2023年10月25日の最高裁で「性別変更の生殖不能手術を必要とする」は、違憲で無効と裁判官15人全員一致の判断をしています。

性別変更の条件として、性同一性障害特例法の要件である生殖機能を不能にする手術は、個人の尊重を定めた憲法13条に反して特例法は違憲であると最高裁が判断を下されました。
最高裁が法令を違憲とするのは12例目ですが、生殖不能手術を受けていないマイノリティが性別変更を望んだ場合は、他の4つの要件を満たしていれば性別変更を認められる可能性が見えます。このことからもマイノリティの性別変更の権利に関して、国会は早急に特例法の見直しが迫られることになります。
なお、性別変更に際し変更後の性別の性器の外観に似せる要件は残り「適合手術は必要」に変わりがありません。ただし、「適合手術は不必要」の判断に裁判官3人が賛成していることからも、今後の展開が気になります。

※特例法の制定当時、法令上の性別の取扱いを変更するための手続を設けている国の大多数は、生殖能力の喪失を上記の変更のための要件としていましたが、その後、生殖能力の喪失を要件とすることについて、2014年(平成26年)に世界保健機関等が反対する旨の共同声明を発し年(平成29年)に欧州人権裁判所が欧州人権条約に違反する旨の判決をしたことなどから、現在では、欧米諸国を中心に、生殖能力の喪失を要件としない国が増加し、相当数に及んでいます。

男性から女性へ性別変更後の出生を父と認める

2024年6月21日現在、女性の同性カップルAさん(40歳代)とBさん(30歳代)の長女は5歳、次女は3歳です。Aさんは性同一性障害特例法に基づいて男性から女性へと性別変更しています。子供はいずれもAさんの凍結保存していた精子から生まれています。長女はAさんが戸籍上は男性だった2018年に生まれた子供です。しかし、次女はAさんが男性へ性別変更した後、凍結精子で生まれました。

認知を巡る司法判断は次の通りです。

出生時Aさん性別変更前(男性)性別変更後(女性)
裁判判決長女(2018年出生)次女(2020年出生)
一審(2022年2月)認知認めず認知認めず
二審(2022年8月)認知認める認知認めず
最高裁(2024年6月21日)認知認める

長女はAさんを父として認める司法判断が高裁段階で確定し、上告審では、女性へと性別変更後に生まれた次女間でも父子関係が認められると判断しています。

判決の主なポイントは次のようになります。

  • 法律上の親子は血縁上の親子関係に基礎を置く
    生物化学的にも生活実態としても親子関係が存在するのに法的性別によって異なることにはならない。
  • 未成年の子供が認知を求めている
    それを法的性別を理由に妨げるのは子供の福祉に反している
  • 法的性別が女性
    父子関係の形成が妨げられる根拠はない
  • 性別変更
    未成年の子供がいないことを要件とする性同一性障害特例法の規定を改正するべきだ
  • 家族法
    最高裁は、現行法が前提とする男女二元論との整合性よりも、子どもの利益を重く見るべきだ

男性から女性への手術なしで性別変更認める

2024年7月10日:高裁は男性から女性へ戸籍上の性別変更には外観を似せるための手術が必要だとう言う法律は、「過剰な制約を課していることから憲法違反の疑いがあると言わざるを得ない」と指摘し、手術なしでの性別変更を認めるとしました。
高等裁判所の審理決定では、事実上の性同一性障害特例法の生殖機能をなくし、性別変更後の性別に似た性器の外観を備えるための手術をすることが要件の一つとされていましたが、性別変更のための外観の要件であるように体を傷つけて手術をするか、手術をしないことで性自認に従った法的な利益を受ける権利を放棄するかの二者択一を迫る過剰な制約を課することになると言うものです。
また、当事者はホルモン治療で女性的な体になっていることから、他者の目に触れた場合にも特段の疑問を感じない状態であることから、手術なしでも外観の要件は満たされているという考えを示しています。

性同一性障害の用語は性別違和へ、そして精神疾患から外される

性同一性障害(Gender Identity Disorder, GID)は、一般的に性別違和(Gender dysphoria,GI)とも呼ばれ、自分の性別と一致しないという苦痛や不快感を伴う精神障害の一種です。日本では「性別不合」としています。

GIDは、生まれつきの生理的性別とは異なる性別のアイデンティティを持っている人々に影響を与えます。つまり、生理的には男性である人が女性として自分を認識(MtF)、または女性である人が男性(FtM)として自分を認識することを指しています。MtFは3万人に1人、FtMは10万人に1人といわれています。
しかし、現在ではGIDという用語は病気としての捉え方に対する批判が強まっているため、国際的には「性別違和」と呼ばれることが多くなっています。このことは2013年に発表されたDSM-5では性別違和と捉えなおすことになりましたが、2018年ICD-11では、精神疾患から外されることになっています。
また、治療についても、一般的には医師によるホルモン療法や性転換手術などが提供されますが、これについても、必要な医療ケアの一環として行われることが推奨されています。ただし、性別違和を持つ人々が自分を受け入れ、社会的に認められるための支援やアクセスも重要であり、多様な性別アイデンティティを尊重する文化的な変化が求められています。

※日本では2019年(令和元年)5月に承認された第11回改訂版において、性同一性障害は「性の健康に関する状態」に分類されるようになり、それに伴い名称が「性同一性障害」から「性別不合」に変更されています。

性別違和の診断

性別違和(性別不合)の診断は、自己の性別意識が生物学的性別や指定された性別と食い違っていて、それが葛藤や混乱を生じさせている原因となっていることが確認されることです。そのうえで➀医師によって性器の異常を吟味します。➁染色体異常の検査をします。③性ホルモン検査を必要とします。この段階で心の性と身体の性が一致していなければ診断されます。さらに青年期以降、もしくは成人期の性別違和か小児期の違和かに注目をします。成人期の違和の場合は小児期から苦しみが続いていたことが確認されることが多くなります。また、小児期早期のものは強い苦悩とは言えないけれど不登校や抑うつ、不安の訴えがあります。

性別違和は精神疾患から除外

ICD-11において、性別違和(性別不合)の診断は、精神疾患から外され、性別違和症という用語も用いられなくなりました。これは、性的指向や性別の自己認識が、人間の多様性の一つであり、精神疾患として扱うべきではないという見解からです。

性別違和とは、自分の性別と体の性別が一致していないと感じる状態を指します。従来の性別違和症という用語は、これが病気であるという見解に基づいていましたが、ICD-11では、個人の自己決定権を重視し、性的指向や性別の自己認識が人間の多様性の一つであることを認めたうえで、病気としての診断を廃止しました。

ICD-11では、性別違和に関する診断は、性別の変更に関する医療上の必要性がある場合にのみ、性別の変更と関連する診断として行われます。これにより、性別違和に苦しむ人々が、自分らしい生き方を追求することが容易になり、偏見や差別に対する社会的認識も変化することが期待されています。

LGBTQ+の割合の統計

厚生労働省が実施した調査(「性的マイノリティに関する調査」)によれば、日本におけるLGBTQ+の割合は、性的マイノリティに属する人が7.6%、性自認に違和感を持っている人が1.0%であると報告されています。

世界的には、LGBTQ+の割合に関する統計は限られていますが、国連や世界保健機関などの組織が行った調査や推計によれば、LGBTQ+の割合は約5%〜10%程度とされています。
ただし、LGBTQ+の割合については、調査方法や回答者のプライバシー保護などの問題から正確な統計が得られません。理由としては、LGBTQ+の人々の中にも自分だと認識していない人や、周囲にカミングアウトをしない人などがいるため、実際の割合よりも低く推定されている可能性があります。

LGBTQ+の困難や苦痛を経験する場面

  • 幼少期
    子どもたちは、同じような性的指向を持つ友達がいなかったり、家族から拒絶されたり、仲間外れやいじめ、差別を受けたりすることがあります。また、学校などの教育機関では、性的指向について正確な情報やサポートが提供されていません。ただし、精神科医療機関に12歳以前に紹介される男児10%、女児5%に別の性別になりたいという願望はあるものの、成人期に向かうにつれて多くは消褪します。
  • 学生時代
    学校においては、同性愛者やトランスジェンダーの人々は、いじめや差別、無視、攻撃などの被害を受けることがあります。また、スポーツや性別による制服など学校生活の様々な面で、性的指向や性自認に合わない制限や不便が生じることがあります。
  • 職場
    職場において、同僚や上司からの差別や嫌がらせパワーハラスメントを受けることがあります。また、福利厚生、保険など不利な扱いを受けることがあります。
  • 社会
    社会全体での差別や偏見、ステレオタイプ、嫌がらせ、暴力の被害に遭うことがあります。例えば、同性愛者やトランスジェンダーの人々は、街や飲食店、公共の場などと所を構わず性的指向や性自認に基づく差別や嫌がらせを受けることがあります。
  • 性別治療の病院
    医療現場において性的指向や性自認に基づく差別や偏見、不適切な対応を受けることがあります。例えば、トランスジェンダーの人々は、医療現場での性別の変更手術やホルモン治療について、適切な情報やサポートが提供されていない場合があります。
  • 職場における差別
    LGBTQ+の人々が職場で差別を受けることもあります。例えば、同性愛者やトランスジェンダーの人々が上司や同僚から不当な扱いを受けたり、パートナーについてのプライバシーを侵害されたりすることがあります。また、雇用においても性的指向や性自認に基づく差別が問題となっています。
  • 医療機関での偏見
    同性愛者やトランスジェンダーの人々が医療機関からの偏見で、適切な医療を受けられなかったり医療従事者から不適切な対応を受けたりすることがあります。
  • 公共の場での差別
    同性カップルが手をつないだりキスをしたりすると周囲から差別的な言動をされたり、トイレや更衣室などでトランスジェンダーの人が公共の場で差別を受けることもあります。
  • 家族からの拒絶や虐待
    家族から拒絶や虐待を受けることもあり、同性愛者やトランスジェンダーの人々が家族から受ける心理的な苦痛や身体的な暴力が問題となっています。

これらはあくまでも一例であり、LGBTQ+の人々が直面する問題は多岐にわたると言えます。これらの困難や苦痛は、日常的に直面するものであり社会がより多様で包括的になるためには、さまざまな分野での理解や支援が必要となります。そのため、LGBTQ+の人々が安心して生活できる社会を作るためには、差別や偏見を根本的になくすことが必要です。

LGBTQ+の改善に必要な国民の行動や政治、法律は

次のような対策を実行することで、LGBTQ+に対する偏見や差別を減らし理解を深めることにつながると考えています。LGBTQ+が差別や偏見を感じずに生きることができる社会を実現するために、個人の意識改革や、政治や法律、教育、メディア、企業、職場の改善が必要になります。

  • 法律の改善
    同性婚やパートナーシップ制度の導入、性的指向や性自認に基づく差別の禁止、性的少数者へのヘイトスピーチや暴力行為の罰則化などが必要です。
    • 地方公共団体においては、平成25年に、東京都文京区で性自認等を理由とする差別的な取扱いその他の性別に起因する人権侵害を行ってはならない旨の条項を含む条例が制定されて以降、相当数の地方公共団体の条例において同趣旨の条項が設けられています。
      さらに、一般社団法人日本経済団体連合会は、平成29年、企業において、性同一性障害を有する者を含むいわゆるLGBTへの適切な理解を促し、その存在を受容することに向けた取組を行っていくことが急務である旨の提言をしたほか、令和2年以降、一部の女子大学において法的性別は男性であるが心理的な性別は女性である学生が受け入れられるなどしています。
  • 教育の改善
    学校でのLGBTQ+についての啓蒙教育や、教育現場での差別・いじめの防止策の充実が必要です。
    • ※法務省が、平成16年以降、性同一性障害を理由とする 偏見等の解消を掲げて人権啓発活動を行い、文部科学省は、平成22年以降、学校 教育の現場において性同一性障害を有する児童生徒の心情等に十分配慮した対応が されるよう、各教育委員会等にその旨を要請する通知を発出したり、教職員向けの マニュアルの作成、配布を行ったりしています。
    • 令和5年6月には、性的指向及びジェンダーアイ デンティティの多様性に寛容な社会の実現に資することを目的として、「性的指向 及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法 律」が制定されています。
  • メディアの改善
    メディアでのLGBTQ+のポジティブな描写や、差別的な表現や描写の排除が必要です。
  • 企業や職場の改善
    LGBTQ+の従業員が働きやすい職場環境を整備すること、セクシャルマイノリティの方々が安心して働けるような取り組みが必要です。
    • ※厚生労働省も、平成28年、労働者 を募集する際の採用選考の基準において性的マイノリティを排除しないよう事業主 に求めるなどの取組をしてきています。
  • 個人の意識改革
    LGBTQ+に対する偏見や差別を排除し、相手の人権を尊重するような意識改革が必要です。自己啓発や、周囲の人々との対話・交流を通じて、LGBTQ+に対する理解を深めることが求められます。

LGBTQ+に関する「まとめ」

LGBTQ+は、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クィアなど、性的指向や性自認に関する多様なアイデンティティを含む言葉です。
LGBTQ+の歴史は古く、世界中の文化や歴史で見られます。現代的なLGBTQ+の運動は、20世紀に始まり、ストーンウォールの反乱をきっかけに大きく広がりました。その権利や人権を求め、セクシュアル・マイノリティ(性的少数派)の権利、同性婚の合法化、パワーハラスメントの禁止などの法的保護を求めるなか、多くの運動を行ってきました。

性的指向は、人が性的に魅かれる対象のことを指し、性表現は人が自分の性的アイデンティティを表現する方法のことを指します。ただし、自分の性的指向と性表現が異なることがあり、この2つの要素は別々に考える必要があります。
また、性別違和(性同一性障害)は、身体の性と自分の心の性別が一致しないと感じる性自認の問題です。
性別違和を持つ人々の中には、ホルモン治療や手術を受けて自分の性別の違和をなくそうとします。しかし、性別違和は病気や異常ではなく、人間の多様性の一つであり多様性を受容し理解することが先決です。そのことが自分の性別意識を受け入れてそれにふさわしい生活を実現するようになれば、葛藤から解放され自らの性別意識の問題に取り組めるようになりたいものです。
性別違和の考えられる治療は直面している精神的、環境的問題についての理解を促し、相応しい性別的役割や生活の在り方を選択させる治療です。タブーな治療は性別意識を変えるなどを問題にすることです。

LGBTQ+の問題を解消するためには、政治や法律、国民の行動が必要です。政府は、同性婚の合法化やパートナーシップ制度の導入が必要不可欠です。また、医療現場でのLGBTQ+への理解を深めるための医療従事者向けの教育や、LGBTQ+に対する差別や偏見をなくすためのメディアや広告の取り組みも必要です。それに加えて性別適合手術やホルモン治療による性別の変更に対する法的なサポートの充実も求められます。また、性的マイノリティに対する差別を解消できるように職場や学校などでのLGBTQ+へのハラスメントや差別を防止するための教育や取り組みも必要です。
このように社会の理解と法律の整備が不可欠ですので、LGBTQ+に関する正確な知識を広め、性的指向や性自認による差別を禁止する法律の制定や改正が必要です。

総じて、LGBTQ+が平等に扱われ、偏見や差別がない社会を実現するためには、社会全体での取り組みが必要です。個人的な理解や配慮が必要なこともあるかもしれませんが、大切なのはLGBTQ+の人々が自分らしく生きることができる社会を、共に創っていくことだと言えます。

「The ABC’s of LGBT+」 – 著者: Ashley Mardell (Mango Media)

「Queer: A Graphic History」 – 著者: Meg-John Barker, Julia Scheele (Icon Books)

「Gender Outlaws: The Next Generation」 – 著者: Kate Bornstein, S. Bear Bergman (Seal Press)

「The Velvet Rage: Overcoming the Pain of Growing Up Gay in a Straight Man’s World」 – 著者: Alan Downs (Da Capo Press)

「Stone Butch Blues」 – 著者: Leslie Feinberg (Alyson Books)

「This Book is Gay」 – 著者: Juno Dawson (Sourcebooks Fire)

「Sissy: A Coming-of-Gender Story」 – 著者: Jacob Tobia (Putnam)

「The Gay Revolution: The Story of the Struggle」 – 著者: Lillian Faderman (Simon & Schuster)

「Transgender History: The Roots of Today’s Revolution」 – 著者: Susan Stryker (Seal Press)

「Redefining Realness: My Path to Womanhood, Identity, Love & So Much More」 – 著者: Janet Mock (Atria Books)

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