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LGBTQQIAAPPO2SとSOGIの知識と理解

目次

カミングアウト可否判断の安全チェック

カミングアウト可否判断の安全チェック【臨床家用/クライエント配布可】は、「すべきか/すべきでないか」を決めるものではなく、今の状況で“話しても安全かどうか”を冷静に見極めるための判断補助ツールです。

カミングアウト可否判断の安全チェック話す・話さないを選ぶための現実的ガイド

  • カミングアウトは義務ではありません
  • 「話さない」「今は保留」も、尊重される選択です。
  • 安全・生活・心身の安定が最優先です。
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【最優先】身体的・生活上の安全チェック

以下に 一つでも「はい」がある場合今はカミングアウトを勧めません

  • □ 暴力・脅し・強い支配的態度の前歴がある
  • □ 住居・生活費・学費を相手に強く依存している
  • □ カミングアウト後に追い出される可能性がある
  • □ 職場・学校で不利益を受ける現実的リスクが高い
  • □ 相手が「罰」「制裁」を正当化する価値観を持っている

安全が確保されない状態での開示は“勇気”ではなく“危険”です。

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心理的安全性チェック(相手側)

次は「話せる可能性があるか」を見る指標です。すべてが揃う必要はありません

  • □ 相手は、意見が違っても人格否定をしない
  • □ 過去に価値観の違いを尊重した経験がある
  • □ 感情的になっても、後で修復できた関係である
  • □ 「分からない」と言える柔軟さがある
  • □ 第三者の話題(LGBTQ+など)で極端な嫌悪を示さない

ここが弱い場合、段階的/限定的開示を検討します。

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自分自身の準備チェック(内的安全)

次の問いに答えてみてください。

  • □ 否定的反応があっても、自分が間違っていると思い込まずにいられそうか
  • □ すぐに話せる支援者(友人・専門家)がいるか
  • □ 今、心身が極端に不安定ではないか
  • □ 「理解されない可能性」を想定できているか
  • □ カミングアウト後も生活を続けられる見通しがあるか

「全部YES」でなくて構いません。NOが多い=延期という判断が安全です。

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目的の明確化チェック(とても重要)

次を区別できているかを確認します。

  • □ 「理解してほしい」のか
  • □ 「隠さずにいたい」のか
  • □ 「関係を続けるため」なのか
  • □ 「もう限界だから」なのか

「もう限界」だけが動機のときは、先に支援者につながる方が安全な場合があります。

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部分開示・代替選択の検討

カミングアウトは 0か100かではありません

  • □ ラベルを使わず、感情だけを伝える
  • □ 信頼できる一人だけに話す
  • □ 「今は話せない」と伝える
  • □ 専門家・第三者を介して伝える
  • □ そもそも話さない選択をする

「話さない自由」も自己尊重です

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安全なカミングアウト条件(目安)

次が複数当てはまる場合、比較的安全と考えられます。

  • □ 生活・経済的に自立、または代替手段がある
  • □ 否定的反応があっても、距離を取れる
  • □ 支援ネットワークがある
  • □ 「理解されなくてもいい」という覚悟が少しある
  • □ 自分の価値を相手の反応に委ねすぎていない
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専門家からのメッセージ

カミングアウトは「誠実さの証明」ではありません。
あなたの安全と人生を守るための、戦略的な選択です。

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セッションでの確認質問(例)
  • 「話した後、最悪の場合どうなりそうですか?」
  • 「理解されなかったとき、誰が味方でいられそうですか?」
  • 「“今は話さない”を選ぶとしたら、どんな利点がありますか?」
  • 「本当に今、話す必要がありますか?」
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まとめ(クライエント用メッセージ)

話すかどうかを決める基準は、「正しさ」ではなく「安全」です。
あなたは、いつ・誰に・どこまで話すかを選ぶ権利があります。

「MtF」「FtM」の手術前特有の悩み

「手術を望む/望まない」「手術前/後」そのものを主軸にしないことが、最大のポイントです。

次に、考え方の枠組み → 手術前特有の悩み → カウンセリングの基本姿勢 → 実践的進行モデル → NG対応の順で整理します。

STEP
まず前提の整理(混乱が生じやすい点)

戸惑いやすい核心部分

  • 身体的性:男性 → 性自認:女性(MtF)
  • 身体的性:女性 → 性自認:男性(FtM)

の方の中には、

  • 外科的手術を望む人
  • 望まない人
  • すでに終えている人
    がいます。

重要なのは

トランスジェンダー = 手術を望む/終えている人ではありません。

手術は

  • 性自認の証明ではない
  • トランスである条件でもない
  • カウンセリングのゴールでもない

という必要です。

STEP
手術前の方が抱えやすい「本当の悩み」

表面上は

  • 「手術したい/怖い」
  • 「いつすべきか」
  • 「後悔しないか」

と語られますが、臨床的には次の層が重なっています

① 身体と自己像のズレによる慢性的ストレス

  • 鏡を見るたびに起こる違和感
  • 入浴・排泄・更衣・性行為への苦痛
  • 「一生この身体と付き合うのか」という絶望感

性別違和(ジェンダー・ディスフォリア)の中核です。

② 社会的承認への不安

  • 「手術しないと本物じゃないのでは」
  • 「周囲にどう見られるか」
  • 「恋愛・就労・公的書類」

自己決定ではなく“社会圧”に揺さぶられている状態

③ 決断不能状態(ambivalence)

  • したい/したくないが同時に存在
  • 失うもの(身体・家族・関係)への恐怖
  • 後戻りできないことへの不安

これは病理ではなく、極めて健全な反応です。

STEP
カウンセリングの基本スタンス(最重要)

 困りやすい考え方

  • 「本当にトランスなのか見極めよう」
  • 「手術した方が楽になるのでは」
  • 「決断を後押ししてあげたい」

有効な考え方

  • 決断を促さない
  • 迷っている状態そのものを支える
  • 選ばない自由・保留の自由を明示する

カウンセラーは、「決める人」ではなく「決めなくてもいられる空間を守る人」です。

STEP
手術前ケースのためのカウンセリング進行モデル
STEP
安全化・正常化

最初に必ず考えること:

「迷っているのは自然です」
「今ここで、決めなくていいです」
「手術を望む/望まないで、あなたの価値は変わりません」

これだけで、緊張が大きく下がるケースが多いです。

STEP
「手術」の話題を一度分解する

以下を別々に扱います

  • 手術への希望
  • 身体への違和感
  • 社会的承認への不安
  • 周囲(家族・職場)の期待
  • 将来像(老後・パートナー)

混ぜたまま扱うと、必ず混乱します。

STEP
核心質問(決断を迫らない)

有効な問いの例:

  • 「手術の話題が出たとき、体のどこが一番反応しますか?」
  • 「“したい”気持ちと“怖い”気持ち、どちらもどんな理由がありますか?」
  • 「もし一生決めなくてもいいとしたら、今は何が一番つらいですか?」

Yes/No にしないことが鍵です。

STEP
身体以外の苦痛を丁寧に扱う

多くの場合、

  • 家族との断絶
  • 恋愛・孤立
  • 経済・制度的不安
    が、身体違和と絡み合っています。

ここを扱わずに手術の話だけをすると、カウンセリングが「準備外来」になってしまうため注意が必要です。

STEP
選択肢を「横に並べる」
  • 今は何もしない
  • ホルモンのみ
  • 情報収集だけ
  • 社会的移行のみ
  • 外科的手術

どれも正解・不正解ではないと明示します。

STEP
よくあるNG対応(臨床家側)
  • 「手術したら楽になる人も多いですよ」
  • 「覚悟が決まっていないように見える」
  • 「本当はどうなりたいんですか?」(追い詰める)

これらは、「決断できない自分はダメ」という二次的傷つきを生みます。

STEP
臨床家としての立ち位置のまとめ
  • 手術前の悩みは、「決断の問題」ではなく「存在の揺らぎ」
  • カウンセリングの役割は、決めさせることではなく、揺らぎに耐えられる空間を作ること
  • 手術を選んでも、選ばなくても支援は継続されるという安心感が最重要
STEP
クライエントに伝えたい一文

「あなたが何を選ぶかより、どんな状態で生きたいかを一緒に考えることです。」

外科的手術の可否を決めない期間を支えるセッション

「“決めなくていい期間”を支えるためのセッション構成(実務設計)」です。
これは MtF/FtM など身体的性と性自認の不一致を自覚しているが、外科的手術の可否を“決められない/決めたくない”クライエントを想定した、安全化・分離・耐性形成を主目的とする構成です。

“決めなくていい期間”を支えるセッション構成決断前の揺らぎを「問題化しない」ための臨床モデル

この構成の位置づけ

  • 決断を促さない
  • 医療判断の前段階
  • 性自認の真偽を見極めない
  • ゴールは 「迷っていても日常が崩れない状態」

全体像(5セッション想定・回数調整可)このモデルが特に有効なケース

  • 手術を望む気持ちと恐怖が拮抗している
  • 周囲から決断を迫られている
  • 「本物/偽物」思考で苦しんでいる
  • 決断疲労・燃え尽きが見られる
主目的キーワード
第1回安全化・正常化決めなくていい
第2回分離・整理手術≠人生
第3回揺らぎ耐性両価性
第4回生活の再接続いまを生きる
第5回主体性の回復いつでも選べる
STEP
安全化・正常化セッション

目的

「決められない自分=問題」という自己攻撃を止める

導入で必ず伝える

「この場では、決断しなくていいです。迷っている状態を支える時間にしましょう。」

中核テーマ

  • 迷いは 異常ではなく自然
  • 決めなくても、支援は続く

有効な問い

  • 「決めなきゃと思うと、体のどこが一番苦しくなりますか?」
  • 「“今は決めなくていい”と聞いて、少し楽になりますか?」

セラピストの役割

  • 決断圧を下げる
  • 沈黙・ため息・言葉の詰まりを遮らない

① まず大切なこと

  • 今、決められなくても大丈夫です
  • 迷っていることは、弱さではありません
  • 大きな選択ほど、揺れるのは自然なことです

いまは「決断」より、「自分を守ること」が優先されてよい時期です。

STEP
分離・整理セッション

目的

「手術」という一語に絡みついた複数の問題を分解する

分けて扱う5領域

  1. 身体への違和感
  2. 社会的承認への不安
  3. 家族・他者の反応
  4. 将来像(老後・恋愛・仕事)
  5. 手術そのものへの感情

ここで初めて「整理」する

有効な問い

  • 「手術の話題で一番つらいのは、身体ですか?社会ですか?」
  • 「“手術”という言葉が、いくつの意味を背負っていますか?」

② いま起きている状態を理解する

次の中で、当てはまるものに○をつけてください。
(いくつでも構いません)

  • □ 決めなきゃと思うと苦しくなる
  • □ したい気持ちと、怖い気持ちが両方ある
  • □ 周りから決断を期待されている
  • □ 何を選んでも後悔しそうに感じる
  • □ もうこの話題に疲れてしまった

これらはすべて、自然な反応です。

STEP
揺らぎ耐性セッション(核心)

目的

「したい/したくない」を同時に持っても壊れない感覚を育てる

臨床的に重要な理解

  • 両価性(ambivalence)は 未熟ではなく成熟
  • 人生に関わる選択ほど、揺れるのは当然

有効な構文

「したい自分」と「怖い自分」は、どちらもあなたを守ろうとしています。

ワーク例(言語中心)

  • 「したい理由」を3つ
  • 「怖い理由」を3つ
    どちらも否定しない

③ 「迷い」を責めないための整理

あなたの中には、2つ以上の気持ちが同時に存在しているかもしれません。

  • 進みたい気持ち
  • 立ち止まりたい気持ち
  • 守りたいもの
  • 失うのが怖いもの

どれも、あなたを守ろうとしている大切な部分です。

STEP
生活の再接続セッション

目的

決断問題から一度離れ、「今の生活」を取り戻す

重要な視点

  • 決断に意識を奪われすぎると、生活が停止する
  • 生活が回復すると、判断能力も回復する

扱うテーマ

  • 睡眠・食事・仕事
  • 安心できる時間・場所
  • 性別と関係ない「自分らしさ」

有効な問い

  • 「手術を考えない時間に、少し楽になることはありますか?」
  • 「性別以外で、あなたを支えているものは何ですか?」

⑤ “今の生活”を支えるチェック

いまの生活で、少しでも安心できるものに○をつけてください。

  • □ よく眠れる時間がある
  • □ 気を抜ける人・場所がある
  • □ 性別の話をしなくていい時間がある
  • □ 好きなこと・集中できることがある

○が少なくても大丈夫です。ここは、これから増やしていく場所です。

STEP
主体性の回復セッション

目的

「いつでも選べる」という感覚を取り戻す

中核メッセージ

今、決めないことは、一生決めないことではありません。

有効な問い

  • 「もし1年後にまた考えるとしたら、今できることは何ですか?」
  • 「誰の期待から、一番自由でいたいですか?」

終結の言葉(非常に重要)

「あなたが選ぶとき、それは“追い込まれて”ではなく、“自分の足で”選べる状態であってほしい。」

「迷っている期間は、何もしていない時間ではありません。自分を守り、整えている時間です。」

⑥ 決断の話題から距離を取る工夫

今の時期に使ってよい選択です。

  • □ この話題は今は考えない
  • □ 信頼できる人とだけ話す
  • □ 「今は決められない」と伝える
  • □ 誰にも説明しない

話さない自由も、あなたの権利です。

⑦ 苦しくなったときの合言葉

以下の中から、ひとつ選んでください。

  • 「今は準備中」
  • 「今日はここまで」
  • 「私のペースでいい」
  • 「決める時は、あとで来る」

⑧ これからについて(とても大切)

  • 今、決めないことは一生決めないことではありません
  • 落ち着いた状態で考えるほうが、納得のいく選択につながりやすいです
  • あなたの価値は、どんな選択をするかで決まりません

最後に

迷っている期間は、何もしていない時間ではありません。
自分を守り、整えている時間です。

このシートは、何度読んでも、途中で閉じても構いません。
必要なときに、また開いてください。

手術前トランスジェンダーのための心理教育シート

「“決めなくていい期間”用シート」と「手術前トランスジェンダーの心理教育シート」は、必ずセットで使う方が臨床的にも安定します。

理由は明確で、

  • 前者は 感情と状態を守るシート
  • 後者は 混乱を生みやすい誤解をほどくシート
    だからです。

以下に、手術前トランスジェンダーのための心理教育シートを提示します。「決めなくていい期間」シートと同時進行を前提に設計しています。

手術前トランスジェンダーのための心理教育シート

― 知っておいてほしい大切な整理 ―(決断前・検討中のあなたへ)

このシートは、手術を勧めるためのものでも、止めるためのものでもありません。
混乱しやすいポイントを整理し、あなたが自分を責めずに考えられるようにするためのものです。

STEP
まず大切な前提
  • トランスジェンダーであることと、手術を望むかどうかは別の話です
  • 手術をしていなくても、あなたの性自認は本物です
  • 迷っている状態は、未熟でも失敗でもありません
STEP
よくある誤解をほどきます

誤解①

「手術をしないと本物じゃない」→ それは 社会の思い込みです。
性自認は、他人の承認や医療行為で決まるものではありません。

誤解②

「決められないのは覚悟が足りない」→ 大きな選択ほど、迷うのは自然で健康的な反応です。

誤解③

「いつかは決めなければならない」→ 決める“時期”も、あなたが選んでいいことです。

STEP
手術前につらくなりやすい理由

手術を考える時、実は いくつもの問題が一つに重なっています。

  • 身体への違和感
  • 社会からどう見られるか
  • 家族や周囲の反応
  • 将来(仕事・老後・恋愛)
  • 失うかもしれないもの

混乱して苦しくなるのは当然です。あなたが弱いからではありません。

STEP
「したい気持ち」と「怖い気持ち」

多くの人の中には、同時に

  • 手術したい気持ち
  • 失敗や後悔が怖い気持ち

が存在します。

これは、どちらかが間違っているわけではありません。

どちらも、あなたを守ろうとしている大切な気持ちです。

STEP
⑤ 決断しない期間の意味

今、決めないでいることは、

  • 逃げている
  • 先延ばししている

のではなく、自分の心と生活を守る時間落ち着いて考える準備期間です。

STEP
手術は「人生のすべて」ではありません

手術は、あなたの人生の一部になる可能性はありますが、

  • あなたの価値
  • あなたの人間性
  • あなたの生き方

を決めるものではありません。

STEP
今のあなたに許されている選択

今の時点で、どれも選んでいいです。

  • □ 今は考えない
  • □ 情報収集だけする
  • □ 誰かと気持ちを整理する
  • □ 将来の自分に考える余地を残す

どれを選んでも、間違いではありません。

STEP
最後に(とても大切なこと)

あなたが選ぶときは、追い込まれてではなく、安心できる状態で選んでほしい。今はそのための時間です。

「決めなくていい時間は、あなたの人生を止める時間ではありません。」

STEP
【補足】
  • このシートは「決断圧」を下げるための心理教育
  • 「手術をどうするか」の話題が出たら→ 必ず“身体以外の不安”を分離して扱う
  • 先に渡す順番
    ① 決めなくていい期間シート
    ② 本心理教育シート

否定的反応(家族・社会)への心理教育

この否定的反応(家族・社会)への心理教育資料【専門家用/配布可】は、要点抽出ができるよう、構造理解 → 典型反応 → 心理的影響 → 対応指針 → 安全な伝え方の順で整理しています。

否定的反応(家族・社会)への心理教育 理解と安全を守るためのガイド ―

本資料の目的

  • クライエントが受ける否定的反応を「個人攻撃」ではなく「社会的反応」として理解する
  • 自己否定・病理化・孤立を防ぐ
  • 家族・職場・学校等での現実的な対処選択肢を持つ
STEP
否定的反応は「よくある」— まず正常化する

よくある反応(例)

  • 「それは一時的なものだ」
  • 「普通じゃない」
  • 「育て方が悪かったのでは」
  • 「将来困るのはあなた」
  • 「黙っていれば問題にならない」

重要な理解
これらは多くの場合、無知・恐れ・不安・価値観の衝突から生じる反応であり、あなたの人格や価値の否定ではありません

STEP
否定的反応が生まれる心理的メカニズム

家族側の内的要因(代表例)

  • 既存の価値観(異性愛規範・男女二元論)
  • 「親として失敗したのでは」という防衛
  • 将来不安(結婚・子ども・世間体)
  • 情報不足・誤情報

社会側の構造要因

  • 法制度・学校・職場の前提が二元的
  • 可視化の少なさ(「身近にいない」と思い込む)
  • メディアによるステレオタイプ

否定は“理解の遅れ”から起こりやすい(同意や賛成とは別の次元)

STEP
否定的反応が本人に与える心理的影響

よく見られる影響

  • 自己否定・恥・罪悪感
  • 「自分が悪いのでは」という内在化
  • 関係断絶への恐怖
  • 過剰適応・沈黙・二重生活

臨床的注意点

  • 抑うつ・不安・トラウマ反応と区別が必要
  • 「反応がつらい」のと「自分が間違っている」は別
STEP
対応の基本原則(最重要)

理解を「求めすぎない」

  • すぐに理解される必要はありません
  • 距離・時間・段階が必要な場合が多い

2.説明する義務はない

  • 答えない・話さない選択も尊重される
  • 「今は話したくない」は正当な境界

3.安全を最優先にする

  • 生活・経済・暴力リスクがある場合、カミングアウトは必須ではない
STEP
家族・他者への伝え方(使えるフレーズ例)

境界を守る表現

  • 「これは私の大切な部分なので、否定される話し方はつらいです」
  • 「今は理解してもらうことより、尊重してほしいです」

説明を最小限にする表現

  • 「治す必要のあるものではありません」
  • 「多様なあり方の一つです」

対話を切り上げる表現

  • 「今日はこの話題をここまでにしたいです」
  • 「落ち着いて話せる時に、また話したいです」
STEP
否定的反応が続く場合の現実的選択肢
  • 話題を限定する(性の話題を出さない)
  • 信頼できる一人だけに共有する
  • 物理的・心理的距離を取る
  • 第三者(支援者・専門家)を介する
  • 同じ立場の人とつながる(ピアサポート)

距離を取ること=冷たい/逃げではありません回復と安全のための選択です。

STEP
支援ポイント
  • 否定的反応を構造として説明する
  • 感情(怒り・悲しみ・諦め)を正当化する
  • 「選ばない自由(黙る・距離を取る)」を明示する
  • 長期的には自己肯定の軸を社会評価から切り離す
STEP
セッション(例)
  • 「どの反応が一番つらかったですか?」
  • 「理解されなくても守りたいものは何でしょう?」
  • 「距離を取るとしたら、どの程度が安全そうですか?」
  • 「あなたの味方は、今どこにいますか?」

「否定されたことは、あなたの価値を示すものではありません。社会や周囲が、まだ追いついていないだけです。」

否定反応を受けた直後のセルフケアシート

否定的反応を受けた直後に使うためのセルフケアシートです。クライエントが 「一人で安全に使える」ことを最優先に設計しており、事後面接の導入として使用できます。

否定反応を受けた直後のセルフケアシート傷ついた心を“今ここ”で守るために

このシートについて

  • これは 自分を落ち着かせるための一時的なケアです
  • 正しい・間違いを考える必要はありません
  • 今は「考える」より 守る・整えることが目的です
STEP
まず、最初に

以下を、心の中または声に出して読んでください。

私はいま、否定されて傷ついています。
傷ついた反応は、自然で正当なものです。
いまは自分を守る時間です。

✔ 涙・怒り・混乱があっても構いません
✔ 何も感じない場合もあります(それも正常です)

STEP
身体を落ち着かせる

今の身体の状態に近いものに○をつけてください。

  • □ 胸が苦しい
  • □ 頭がぼんやりする
  • □ 体がこわばっている
  • □ 何も感じない

次に、以下の中から 一つだけ行ってください。

  • □ 足の裏を床に強く押しつける(10秒×3回)
  • □ ゆっくり息を吐く(吸うより長く)
  • □ 温かい飲み物をひと口飲む
  • □ 近くにある物を3つ見つけて名前を言う

「感じる→整える」順番が大切です

STEP
起きたことを整理する(思考の安全化)

以下は 書いても/考えるだけでもOK です。

いま起きたこと

  • 誰から、どんな言葉(または態度)を受けましたか?

(                )

そのとき浮かんだ考え

  • 例:「自分がおかしいのかも」「黙っていればよかった」

(                )

※ここでは 正しいかどうかは判断しません

STEP
大切な切り分け(最重要)

次の文を確認してください。

否定された = 私が間違っている

否定された = 相手が理解できていない/追いついていない

いまの反応は、あなたの価値の証明ではありません

STEP
自分を責めそうになったら(思考のブレーキ)

以下の中で、今いちばん近いものを一つ選んでください。

  • □ 私は説明が足りなかった
  • □ 私が普通じゃないから
  • □ 私が我慢すればよかった
  • □ 相手が怖がっているだけかもしれない

最後の一文を、そっと付け加えてください。

「それでも、私は傷ついていい」

STEP
今できる“小さな守り”

今から1時間以内にできそうなことを一つ選びます。

  • □ 誰かに「つらかった」とだけ伝える
  • □ この話題を今日は考えない
  • □ 音楽・動画・入浴などで気を逸らす
  • □ 何もしないで休む

回復は行動しなくても起きます

STEP
危険サインのチェック(大切)

以下が強い場合は、一人で抱え込まないでください

  • □ 自分を消したいと思う
  • □ 強い自己否定が止まらない
  • □ 家に帰るのが怖い
  • □ 誰にも話せない感じが強い

信頼できる人・支援先・専門家につながることが必要です

STEP
最後に(回復の言葉)

理解されなかったことは、あなたの存在を否定する理由にはなりません。
今日は「生き延びた」だけで十分です。

LGBTQ+に関する法律関係/性別再適合手術/LGBTQ+の割合の統計/LGBTQ+の困難や苦痛を経験する場面/LGBTQ+の改善に必要な国民の行動や政治、法律は/LGBTQ+に関する「まとめ」については次ページ2⃣でご覧ください。

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