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窃盗壁(病的窃盗)

目次

窃盗壁(病的窃盗)の概要、臨床症状、診断、治療

窃盗壁(病的窃盗)とは、物を盗むという衝動のために窃盗行為を繰り返す病的な傾向を示す精神障害です。ほとんどが万引きですが、万引きを行うことによって緊張や興奮を感じるため、万引き行為を繰り返す傾向があります。窃盗行為は個人的な実利や金儲けのためのような特定の動機によるものではなく、盗むという行為自体が患者にとって意味のあるものですが、窃盗行為が社会的規範に反することから、患者自身や家族、周囲の人々に問題を引き起こしてしまいます。

窃盗壁は、一般的には若い成人期に発症することが多く、女性に多い傾向があります。そして窃盗行為の醍醐味である緊張感や充足感などの窃盗行為に至るまでの過程には、自己正当化、自己欺瞞、窃盗の準備、窃盗行為自体、そして罪悪感や後悔といった感情の変化があります。

窃盗壁は、一般的には精神疾患の一症状であることが多く、うつ病、強迫性障害、てんかん、統合失調症、アルコール依存症などと関連していることがあります。また、脳の損傷や外傷後ストレス障害(PTSD)とも関連が報告されています。

窃盗壁の診断には、主に臨床面接、行動観察、および精神状態検査が用いられます。診断には、窃盗行為が社会的規範に適合しない、または窃盗行為自体が繰り返されるなどの要件が必要です。

窃盗壁の治療には、薬物療法や認知行動療法、精神療法などが用いられます。治療は、窃盗行為の背後にある精神疾患を適切に治療することが重要です。また、社会的サポートや職業訓練なども治療に組み込まれることがあります。

窃盗壁の臨床症状

窃盗者は、通常の窃盗と異なり盗んだものを捨ててしまったり人に与えたりもします。病的窃盗者は盗むものより、盗みの行為自体に意味があるものとなります。中には社会的規範に反する行為で捕まることも恐れず、あえて周囲に気付かれるように仕向けて窃盗が行われることさえもあります。
患者は盗む際の緊張感と盗んだ後に得られる満足感や充足感、開放感によって欲求不満が解消され、快感を体験することに興味を持っています。しかし、しばらくすると後悔が現われ、うつ状態になってしまうことがあります。
経過は様々ですが、都市化に伴いコンビニエンスストアーの増加が慢性化に影響しています。

検挙された万引きの約5%が病的窃盗であり、3:1で女性に多く、青年期以降の発生が目立ちます。また、病的窃盗者は一般人口の0.6%と推定されています。

窃盗壁(病的窃盗)は、反社会的な行動の一種で、人々から物品を盗む病的な傾向を持つ精神障害です。次に窃盗壁の一般的な臨床症状をいくつか挙げます。

  • 盗癖
    窃盗壁は、病的に物品を盗む傾向があります。物品を盗んでいるとき、強い衝動や興奮を感じることが快感となります。この病的な傾向は、何らかのストレスや不安を感じたときに強まることがあります。
  • 盗みの動機
    窃盗行為の動機は、様々な理由で起こります。窃盗壁は、金銭的な利益を得るためだけでなく、物品を盗むことによって感じる興奮や刺激を求めるています。窃盗自体が判明しなくても、盗んだ物品を売ったり処分したりすることで、それが逮捕や法的問題の原因となります。
  • 認知的問題
    窃盗壁は、自己制御や自制心に問題を抱えています。欲求に抵抗することができず、衝動的に行動していますが、犯罪行為を犯すことが社会的に許されるという誤解を持っていることがあります。
  • 依存症の兆候
    窃盗行為は、脳内報酬系を刺激している可能性があります。このため、盗みに依存するようになることで、何かを盗まないと不快感や不安感を感じるようになります。
  • 社会的問題
    窃盗行為は、当然ながら社会的問題を引き起こし、その度に家族や友人、相手や店舗などに損害を与えるだけではなく、法的問題や逮捕、刑務所服役のリスクを負っています。

窃盗壁の症状は、個人によって異なりますが、これらの症状がある場合は、専門家による評価が必要です。治療法には、行動療法や認知行動療法、または薬物療法があります。治療の目的は、窃盗行為を止めること、社会的機能を改善すること、そして再発を防止することです。

ICD-11の窃盗壁の診断基準

ICD-11における窃盗壁の診断基準は次の通りです。

  • A. 繰り返し行われる窃盗行為がある。
  • B. 窃盗行為に対して社会的規範に適合しないと自覚している。
  • C. 窃盗行為が行われる前には興奮、緊張、不安、刺激を求めるといった感情がある。
  • D. 窃盗行為を行った後には罪悪感や後悔を感じる。
  • E. 窃盗行為を隠すためにうそをつくことがある。
  • F. 窃盗行為が繰り返されることで、社会的、法的な問題を引き起こすことがある。
  • G. 窃盗行為が他の精神疾患によるものではないことが確認されている。

上記の基準に該当する場合、窃盗壁と診断されます。窃盗行為は、盗む対象が小銭から高価な品物まで様々です。また、窃盗壁の診断にあたっては、他の精神疾患や物質乱用などの影響を受けていないことが重要です。

病的窃盗の架空ケース例

  • ケース1
    高校時代から窃盗行為を繰り返していた男性A。Aは窃盗が好きで、衝動的に物を盗むことが日常化していました。家にいるときは、妹の部屋に入り浸りになっており、妹の財布、スマートフォン、アクセサリーを何度も盗んでいました。Aは犯罪を犯していることを自覚していましたが、盗んだものを手放すことができず、それがAに罪悪感を引き起こすこともありました。
    後に心療内科で診断された病的窃盗により、治療を受けることになりました。治療を通じて、Aは盗むことによって得られる快感は一時的なものであり、それがAに与える損失や不利益は非常に大きいことを理解しました。治療を終えた後、Aは再び窃盗行為を行わないようにするために、自己管理のスキルを身につけることになりました。
  • ケース2
    幼いころから、物を盗んでいた女性B。大学生になったときには、Bは偽装窃盗行為に没頭するようになりました。Bは、自分の身分を偽って高級品の店に入り、商品を盗み出すことが何度もありました。そして、窃盗行為を通じて得られる興奮がやめられないと感じていました。
    Bは、友人にそのことを打ち明けたところ、心療内科を受診するよう勧められました。診断された病的窃盗は、Bの心の中で深刻な問題であることが明らかになりました。
    治療を受けることで、Bは自分が窃盗行為を行う理由を理解し、自己管理のスキルを身につけることができました。治療を終えた後、自分に嘘をつかないようにし、自分が得たものを楽しむことを学びました。

窃盗壁(病的窃盗)は、突発的に盗みを働いてしまう衝動制御障害の一つであり、自己制御ができない状態が続くため、繰り返し盗みを働くことがあります。

  • ケース3
    高校生のYさんは、学校内でたまたま見かけた同級生の携帯電話を盗んでしまい、すぐに警察に逮捕されました。しかし、これが初めての犯罪ではなく、家族や友人からも度々物がなくなる被害に遭っていたため、家庭内で問題になっていました。Yさんは、自分が窃盗壁であることを知らずに生きていましたが、後日専門の医師から診断を受け、適切な治療を受けることで自己制御を取り戻しました。
  • ケース4
    社員のXさんは、仕事中にも関わらず、職場の同僚のバッグから財布を盗んでしまい、直ちに解雇されました。Xさんは、仕事中や外出時にたまたま見かけたものを突発的に盗んでしまう症状があり、何度も繰り返し犯罪を犯してしまっていました。家族や友人からも問題になっており、心療内科を受診することで窃盗壁であることを知り、適切な治療を受けて自己制御を取り戻し、社会生活を取り戻しました。

窃盗壁の病因や病態

窃盗壁の病因や病態については、まだ明確には解明されていない部分が多いとされています。ただし、次のような要因が関連していると考えられています。

  • 精神疾患
    窃盗壁の患者には、うつ病や双極性障害、不安障害、摂食障害、アルコールや薬物の乱用など、他の精神疾患を併発していることが多いとされています。また、摂食障害と不安障害の患者に万引きを行う症例があることは知られています。
  • 環境要因
    貧困、ストレス、社会的孤立、家庭内暴力、虐待など、厳しい環境やストレスの多い生活状況が窃盗壁の発症に関連していると考えられています。
  • 遺伝要因
    遺伝的素因によって窃盗行為を行いやすい傾向があるとする研究もあります。
  • 脳損傷
    頭部外傷や脳疾患による脳損傷が窃盗壁の原因に関連していることがあるとされています。
  • 脳器質性障害
    知的能力傷害の衝動制御の障害との関連性も議論されています。

病態については、窃盗壁患者の脳内神経伝達物質のバランスが崩れていることが指摘されています。具体的には、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンといった神経伝達物質の異常が関連していると考えられています。また、窃盗行為を行うことで、ドーパミンの放出が増加し、報酬系が活性化するという説もあります。

窃盗壁の治療

窃盗壁の治療には、次のようなアプローチがあります。

  • 薬物療法
    うつ病や不安障害などの併発症状に対して、適切な薬物療法が行われることがあります。また、窃盗行為を抑制するために、炭酸リチウム、バルプロ酸ナトリウム、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの抗うつ薬が使用されます。
  • 心理療法
    カウンセリングや認知行動療法、認知療法などの心理療法が行われることがあります。これらの療法では、窃盗行為を行う原因となる心理的な問題にアプローチすることが目的となります。
  • 社会的支援
    窃盗行為を行う原因となる社会的要因に対して、社会福祉士やカウンセラーなどによる支援が行われることがあります。例えば、貧困層や虐待された家庭の子どもたちに対して、適切な支援を行うことで窃盗行為の予防が図られるようなことがあります。
  • 統合的アプローチ
    薬物療法や心理療法、社会的支援を組み合わせた、総合的な治療アプローチが行われます。治療の目的は、窃盗行為を抑制するだけでなく、患者の心理的・社会的問題を解決することで、再発を予防することにあります。

精神療法は治療への積極的、動機づけが強う場合には有効となります。

エリアス・アブジャウデとロリン・M・コーラン編集「衝動調節障害」2010年/ケンブリッジ大学出版局

「衝動調節障害:行動依存症の理解と治療のための臨床医のガイド」、ジョンE.グラントとマークN.ポテンザ2018年/W.W.ノートン&カンパニー

Eric HollanderとDan J. Steinが編集「Handbook of Impulsive and Compulsive Disorder」2010年/John Wiley & Sons

ハーヴェイ・B・ミルクマンとケネス・W・ワンバーグが編集「衝動調節障害」2007年/アメリカ心理学会

ナンシーM.ペトリーが編集「行動中毒:DSM-5以降」2016年/オックスフォード大学出版局

ブライアン・P・マコーミック著、2009年/ProQuest「行動の知覚と調節に対する実行機能と動機づけの自己規律の相乗的貢献の神経心理学」

尾崎紀夫・三村將・水野雅文・村井俊哉:標準精神医学第8版/医学書院

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