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幼少期の心の傷をインナーチャイルドの催眠療法で癒す

目次

分身催眠療法(パーツセラピー)のワークとスクリプト

セルフワークシート:わたしの中にいる5人は、あなたの中にいるさまざまな「わたしの一部(パーツ)」に気づき、それぞれの声を聴くことで、内なる対話と統合を促すことを目的としています。分身催眠療法(パーツセラピー)に基づいたセルフワークシート《わたしの中にいる5人》 を解説します。

  • 書くのが難しい場合は、絵にして描くのもOKです。
  • 毎回同じ5人でなくても構いません。そのときに出てきた「わたし」を大切にしてください。
  • このワークは「正解を探す」のではなく、「気づきと対話」を目的にします。
セルフワーク
【5人のわたしを探す】

今のあなたの中にいる、特徴的な「5人のわたし」をイメージしてみましょう。
次の質問に沿って、それぞれの“存在”を言葉にしてみてください。

名前/役割いつ出てくる?どんな声をしてる?何を願っている?どんなふうに接してほしい?
① 怖がりなわたし
② 怒っているわたし
③ 頑張りすぎるわたし
④ 優しく見守るわたし
⑤ 本当の気持ちを抱えるわたし
セルフワーク
【5人の対話を聞いてみよう】

ノートや心の中で、5人のわたしが話し合いをしている場面を想像してみましょう。

  • 誰が一番声が大きいですか?
  • 誰がいつも無視されがちですか?
  • 「本当はわたし、◯◯したいんだ」と言っているのは誰でしょう?
  • その人の声を、他の4人はどう受け取るでしょうか?

メモ欄(自由記入)

セルフワーク
【統合のイメージ】

今、5人のわたしが「協力チーム」になるとしたら、どんなイメージになるでしょう?

  • チーム名:
  • 各メンバーの役割:
  • チームとしてどんなことを目指したいですか?
  • 今のあなたにどんな力を貸してくれそうですか?

今、わたしにかけてあげたい言葉:
→「……………………………………………………………」

「わたしの中にいる5人」セッションの導入スクリプト

「わたしの中にいる5人」セッションの導入スクリプトです。
これはパーツセラピー(分身催眠療法)の観点をもとに、対話型セッション・ナラティブアプローチ・軽いイメージワークの要素を取り入れています。催眠状態に深く入らなくても使用できます。

STEP
導入:背景と目的を伝える

導入と目的共有

  • 心理教育的な説明(パーツ=こころの登場人物たち)
  • クライエントの関心やテーマに即した事前対話
  • 本日のテーマの簡単な説明(内なる“わたし”たちの声を聴く)
  • セルフワーク形式であることの安心感を伝える

「今日は、あなたの中にいるいくつかの“部分”に気づき、その声を丁寧に聴いてみる時間にしたいと思います。
私たちは普段、“私はこう思う”と一人の声で話しているように感じますが、実はその中にはいろんな気持ちや立場の『わたし』が同時に存在しています。
たとえば、“怒っているわたし”や、“頑張りすぎるわたし”、“怖がっているわたし”、“優しく見守っているわたし”…
今日はそんな『わたしの中にいる5人』を見つけて、それぞれの思いや願いを丁寧に聴いてみましょう。」

STEP
ウォーミングアップ:イメージを誘導

イメージの導入と5人のわたしを見つける

  • 軽いイメージワーク or ガイド付き対話
  • リラクゼーション誘導(呼吸・身体・内側に意識を向ける)
  • 「あなたの中にはどんな“わたし”がいますか?」
  • 「あなたの中に現れる“5人のわたし”の声に耳をすませてみましょう」
  • キーワード、名前、性格、声などを紙に書き出す

「目を閉じても、開けたままでも大丈夫です。
今、あなたの内側にいる“いろんな自分”にそっと目を向けてみましょう。

もしかしたら、いつも責任を背負って頑張っているわたしがいるかもしれません。
誰かに怒っているわたし。
何かを怖がって、前に出られないわたし。
それをそっと見守ってくれているやさしいわたし。
そして、まだ言葉にできないけれど、何かとても深い気持ちを持っているわたし…

いま浮かんできた“5人のわたし”に、それぞれ名前や雰囲気、声の感じをつけてみましょう。」

STEP
紙に書き出す作業へ

5人のプロフィールを整理する

  • セルフワークシートを使って整理
    • いつ出てくる?
    • どんな声? 
    • どんな願い?
    • どんなふうに接してほしい?
    • 対話形式(「怒っているわたしに、優しいわたしが声をかけるとしたら?」)
    • 関係図(5人の位置関係・距離感)を書いてみる
    • 紙への記述 or カウンセラーとの言語化

「このあとの時間で、それぞれのわたしについて少しずつ書き出してみましょう。
どんなときに出てくるか。どんな言葉を言っているか。何を守ろうとしているのか。

そして、あなた自身がそれぞれにどんなふうに接してあげられそうか。
急がなくていいので、ひとつひとつの『わたし』に丁寧に目を向けてあげてください。」

STEP
対話の導入(必要に応じて)

内なる対話・関係性の把握

  • 「この5人が今、話し合っているとしたら…?」
  • 「5人でチームを組むとしたら?」という統合的な問い
  • 役割分担・リーダーは誰? 
  • 対立している関係・無視されている声・中心になっている存在などを可視化
  • 今の自分がどう5人と関わっていくか
  • 統合的な視点を支援:「チームとして何を目指せる?」

「もしよければ、紙に書いた5人のわたし同士が、今どんな話をしているかを想像してみてもいいかもしれません。
あるいは、あなたが“まとめ役”としてそれぞれの声を聴いてみる、という形でもOKです。

5人はそれぞれ、あなたを守ったり、支えたり、助けようとして現れた存在です。
一見ぶつかり合っているように見えるかもしれませんが、その奥には大切な意図や願いがあるかもしれません。」

STEP
まとめと振り返りへ(終盤に)

まとめとフィードバック

  • 印象的だった“わたし”に言葉をかけてみる
  • 「今日は誰と特に深く話せたと感じましたか?」
  • 今、5人にひとこと言うとしたら?5人のわたしに言いたいことは?
  • セッションの気づき、日常でできる小さな実践へ

「いかがでしたか? 何か印象に残った『わたし』はいましたか?
今まで気づいていなかった気持ちや声に触れられたかもしれません。

どんな自分も、あなたという全体の一部であり、大切な存在です。
今日出会えた“5人のわたし”は、これからも必要なときに声をかけてくれるかもしれません。」

年齢退行療法セッション構成

年齢退行療法における誘導文スクリプト(標準型)をご紹介します。この構成は、催眠誘導を深く用いない“対話中心型(軽度退行)”にも対応可能ですので、比較的軽い催眠的誘導を用いた「安心 → 回想 → 過去の自己との出会い」という構成です。トラウマ的記憶を扱う場面では、安全確保(グラウンディング・観察者ポジションなど)を大切にしています。

STEP
安心の場への誘導(グラウンディング)

導入テーマの明確化・安全設定

  • 「今、繰り返している感情やパターンの奥にどんな記憶があると思いますか?」
  • セッションの流れと目的の共有:「過去の自分に会いに行くことで、今の自分が抱えている気持ちやパターンの“原点”をやさしく見にいく」
  • セッションへの期待と不安を整理、安全サインやグラウンディングの確認
  • 安全な場所のイメージ、合図の確認(例:「戻りたい時は◯と言ってください」)

まず、ゆったりと椅子に座って、背中をあずけてみましょう。
軽く目を閉じて、呼吸に意識を向けます。
吸って…吐いて…。その呼吸が、自然に、ゆっくりと、落ち着いていくのを感じてください。

あなたの身体が、椅子に支えられている感覚を感じてみましょう。
足の裏が床についている感じ。背中が支えられている感覚。
あなたは今、安全な場所にいます。

STEP
安心なイメージの構築

誘導・リラクゼーション

  • 安心できる場所・保護者的存在のイメージを準備
  • 呼吸/身体→心→イメージへの順で誘導
  • 呼吸・身体感覚・安心できる場所をイメージ(誘導文あり)

今、あなたの心の中に「安心できる場所」を思い浮かべてみましょう。
それは実際に行ったことのある場所でも、想像の中の場所でもかまいません。
自然の中かもしれないし、部屋の中かもしれません。

その場所に、あなたはひとりでいます。風の音、光の感じ、空気の匂い…。
あなたにとって、心が安らぎ、安心して過ごせる場所です。

STEP
時の川をさかのぼるイメージ
  • 現在のテーマ(例:不安・怒り・人間関係)に結びついた過去の時点へ
  • 感情や身体感覚を手がかりに、過去のある年齢へゆっくりと戻っていく
  • 「“その感覚”を初めて覚えたのは、いつ頃でしょうか?」
  • 幼い自分の視点/第三者視点の併用(安全確保のため)

今、あなたはこの安心な場所から、小さなボートに乗って、
時の川をゆっくりと、過去へとさかのぼっていきます。
あなたの無意識が、いちばん必要だと感じる“あの頃”へと、やさしく導いてくれます。

川の流れに身をまかせながら、少しずつ、景色が変わっていきます。
今のあなたが、かつてのあなたに近づいていきます。

STEP
ある年齢の自分との出会い(退行)
  • 「その気持ちが最初に強く感じられたのは、いつ頃でしょうか?」
  • 「“その感覚”を初めて覚えたのは、何歳のあなたでしょうか?」
  • 幼い自分(インナーチャイルド)との出会い、当時の気持ち、周囲の様子を丁寧に描写
  • できるだけ詳細に記憶を描写し、未完了の感情を受けとめる
  • 感情の再体験(可能な範囲で)、観察者視点で支援

今、あなたの前に、かつての“あなた”が見えてきます。
それは何歳くらいのあなたでしょうか?
どんな表情をしていて、どんな場所にいますか?

その子は、どんな気持ちを抱えているように見えますか?
あなたがその子のそばに座って、やさしく見守ってあげましょう。
もし、その子に声をかけられるとしたら…何と言ってあげたいですか?

STEP
対話・癒しへとつなげる(ここから自由対話へ)

対話と癒しの介入

  • 現在の自分が過去の自分に語りかける(リソースの統合)
    • 「今だからこそ言えること」「当時言いたかったけど言えなかったこと」
  • 現在の自分からの介入(保護・共感・励まし・再解釈)
    • 例:「あのときのあなたに、今のあなたは何を伝えてあげたいですか?」
  • 自己肯定的な“意味づけ”や“つながり”の創出
  • 必要があれば、安心・保護・受容的なイメージ介入(例:抱きしめる・安全な場所に連れていく)

今のあなたにできることは何でしょう?
そっと寄り添い、見守り、語りかけながら、
この“かつてのあなた”の声に、耳を傾けてみましょう…。

(ここからクライエントとの対話・自由描写へ)

STEP
帰還・統合・ふりかえり
  • 「今の自分が、過去の自分を背中に乗せて歩いていくようなイメージ」
  • 必要なら:シンボルや色のイメージで統合(例:光/箱/日記)
  • セッションの気づき・変化した感覚を共有、セルフケアの提案
  • 安心な場所をつくるワークシート
  • 過去のわたしに伝えたい言葉を書くシート
  • 今週できる小さな見守りワーク(インナーチャイルド用)

インナーチャイルドのセッション

インナーチャイルドを扱うセッションは、自己の内的な子どもとの関係を再構築することを目的としており、深い感情的な癒しを促すことが多くなります。

STEP
導入と目的共有
  • セッションの目的と流れを簡単に説明します。

「今日は、あなたの内側にいるインナーチャイルドと向き合って、その声を聴いていきます。過去の自分を癒し、今の自分にどう活かしていくかを一緒に探していきましょう。」

  • セッションの流れとインナーチャイルドとの関わり方について説明。

「インナーチャイルドは、私たちの心の中にある未解決の感情や傷を持った、幼い自分です。その子に会い、癒し、理解していきます。」

STEP
リラクゼーションとグラウンディング
  • 深い呼吸とリラクゼーションの時間を取り、身体的なリラックスを促します。

「今、呼吸に意識を向けてください。息を吸って、吐いて…心が落ち着いていきます。」

「ゆっくりと深呼吸をして、心と身体が落ち着いていくのを感じてください。」

STEP
インナーチャイルドとの出会い
  • 内なる子どもに出会うための誘導を行い、クライエントが自分のインナーチャイルドを見つけられるようサポートします。
  • インナーチャイルドの姿を観察し、その子の感情やニーズを探る。

「今、目の前に現れた幼いあなたはどんな様子でしょうか? どんな環境にいるでしょうか?」

  • 誘導文を使って、内なる子どもに出会うプロセスを促します。

「今、あなたの目の前に、幼いあなたが現れました。その子は何歳くらいでしょうか? どんな表情をして、どんな感情を抱えているように見えますか?」

  • インナーチャイルドがどのような状態かを観察し、必要であればその子と対話をします。

「その子に、今、どんな言葉をかけてあげたいですか?」

STEP
対話と癒し
  • インナーチャイルドと対話を行い、傷ついた部分を癒す時間。
  • 癒しのプロセスを丁寧に進め、クライエントがインナーチャイルドを受け入れ、愛情を注ぐ感覚を育む。

「その子があなたに何を求めているのか、その子にどんな安心感を与えられるかを考えてみましょう。」

  • インナーチャイルドに対して、愛や温かさを伝える時間です。
  • 必要であれば、過去の傷を癒すための言葉やジェスチャーを用います。

「その子に抱きしめたり、安心感を与えたりして、今、その子が必要としているものを与えてあげましょう。」

STEP
現在の自分とインナーチャイルドの統合
  • 現在の自分が過去の自分にどのようにサポートできるかを考え、インナーチャイルドとの関係を再構築します。
  • 自己愛や自己受容を深めるために、今後の実践方法を探ります。

「今後、どのようにその子を支えていけるでしょうか? 日常生活でその子とどんなふうに過ごしたいですか?」

  • 現在の自分とインナーチャイルドとの関係を築き、これからのつながりを育んでいきます。

「今のあなたがその子にできること、どんな形でサポートしていくかを考えてみましょう。」

STEP
まとめと帰還
  • セッションの振り返りと、クライエントが今後行動に移すための小さなステップを提案します。
  • グラウンディングと帰還。安心感を感じながら、現実の世界に戻ります。

「今日のセッションを振り返り、今後どのように自分のインナーチャイルドと向き合っていくかを考えてみましょう。」

  • セッションを終わらせる準備として、インナーチャイルドを安全な場所に戻す。
  • セッション後に振り返りを行い、「今日感じたこと」「気づき」を言葉にします。
  • 「この後、現実の世界に戻りますが、心の中でいつでもその子と会うことができます。」

『現代催眠療法マニュアル』 ミルトン・エリクソン (著), アーネスト・L・ロッシ (著), デビッド・B・チーク
『インナーチャイルド療法 世界中の催眠療法家たちが実践する「子ども時代からの癒し」』 ニコラス・レンデル (著), 山本 紀夫 (翻訳)
『トラウマ催眠療法』 マイケル・D・ユーマン (著), クラウス・A・シュタイナー (著), 菊池 暁子 (翻訳)
『ヒプノシス』 デイヴィッド・スポールドング (著), 高橋 泰彦 (翻訳)
『エリクソン催眠カード』 ロバート・ディルツ(著)、ジュディス・デロージャー(著)
「今日の催眠術」マイケルD.ヤプコ(2012)
「現代の催眠研究」アーヴィング・キルシュ(2006)
「臨床催眠と記憶:臨床医と法医学的催眠のためのガイドライン」アマンダD.バルニエ、アランW.シェフリン、マーティンT.オルン(2009)

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