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心理的欲求59分類と「新仮説-Z世代の6つの心理的欲求」を公開!

目次

 マレーの欲求理論

アメリカの心理学者ヘンリー・マレー(Henry A. Murray)は、1938年に著書『Explorations in Personality』の中で、人間の動機づけを説明するために「欲求(Needs)」という概念を用い、それらを分類しました。

マレーは人間の行動を引き起こす根源的な動因を「欲求(needs)」と呼び、これを一次的欲求12(11)種類、生理的欲求(臓器発生的欲求)と二次的欲求である28種類の社会的欲求(心理発生的欲求)の2つに分類しました。これらは動物にも共通し、人間の生理的・原初的な動機づけの基盤を形成します。

マレーの一次的欲求(生理的・臓器発生的欲求)

一次的欲求(Primary Needs/生理的・臓器発生的欲求)
身体的、生物学的な基盤に基づく本能的・生理的欲求です。生存や身体の恒常性維持に直結していて、11種類で示しています。
欲求名説明
欠乏から摂取に導く欲求
吸気欲求酸素を取り入れたい欲求。
飲水欲求(水分)水分を摂取し脱水を防ぎたい欲求。
食物欲求(食べ物)栄養を摂取して空腹を満たしたい欲求。
感性欲求(安静)身体的な感覚を楽しみたい欲求。疲労を回復するために安静を求める欲求。
膨張から求める排泄欲求
排泄・排便欲求体内の老廃物(尿や便)を排出したい欲求。
性的欲求(性行動)生殖や性行為を通じて性的関係や快楽を得たい欲求。
呼気欲求息を吐きたい欲求
授乳欲求(母性的欲求)授乳したい欲求。他者(特に子ども)を守り育てたいという本能的欲求。
危機から求める回避欲求
暑熱回避欲求暑さから身体を守り、適切な体温を維持したい欲求。
寒冷回避欲求寒さから身体を守り、適切な体温を維持したい欲求。
毒性回避欲求有毒物を回避し逃れたい欲求。
障害回避欲求身体的苦痛や危険を避けたい欲求。病気・けが・死を避けたい。
  • 一次的欲求を11種類とする場合は、吸気欲求と呼気欲求を呼吸欲求とし、13種類とする場合は、運動欲求を加えます。

マレーの二次的欲求(社会的・心理発生的欲求)

環境や文化、社会的関係の中で学習され、発達する欲求です。自己概念、社会的地位、関係性の中で生じる心理的・対人的な欲求群です。マレーは28種類に分類しています。

二次的欲求(Secondary Needs/社会的・心理発生的欲求)
物質に関する欲求
獲得欲求(Acquisition)地位や人望、財産など様々なものを手に入れたい欲求。お金や財産など物や地位を手に入れたい欲求
保持欲求(Retention)所有物や金銭など手放さずに保持したい欲求。所有物や知識を保持したい欲求
保存欲求(Conservance)物を集めて大切に保存していたい欲求
秩序欲求(Order)整理された環境や計画にこだわる傾向。整理整頓し、秩序ある状態を維持したい欲求
構成・建設欲求(Construction)何かを作り出したい、形にしたいという欲求。物事を創造し、形にしたい欲求。
野心や向上心に関係する欲求
優越欲求(Dominance)自分が上だと感じたい、認められたいと思うことがある。他者より優位に立ちたい、支配したい欲求。
達成欲求(Achievement)成功や達成感を得るために努力している。難しい目標に挑戦し、成功をおさめたい欲求
承認欲求(Recognition)他人から認められたい、褒められたいという思いが強い。他者から認められたい欲求。
顕示欲求(Exhibition)自分を表現し、注目されたい欲求。自己演出により他人に刺激を与えたい欲求。
自己防衛や保身に関連する欲求
防衛欲求(Defendance)非難または軽視に対して自己を防衛しようとする欲求。自己の行為を正当化しようとする欲求。
劣等感回避欲求(Infavoidance)不確実なことや失敗、恥辱などのリスクを避けたい欲求。劣等感が現れるのを隠したい欲求。
中和・反動欲求(Counteraction)失敗をリベンジしたい、弱さを克服したい欲求。名誉のため報復しようとする欲求。
不可侵欲求(Inviolacy)自尊心を失わないような行動維持しようとする欲求。
支配や権力に関連する欲求
支配欲求(Dominance)自己の影響力を拡げて支配したい欲求。他人に影響を与え統制しようとする欲求。
同一化欲求(Identification)尊敬する対象と自分を同一視したい欲求。他人を同一視して感情移入しようとする欲求
対立欲求(Contrariance)規則や権威に反発したり、他人と差別化できる行動欲求。他人と異なった独自的行動によって反対の側に立とうとする欲求。
恭順欲求(Deference)権威ある人に従い、評価されたい欲求。優越者を賞賛して喜んで仕えようとする欲求
自律欲求(Autonomy)他人に指示されるより、自分のやり方でやりたい。他人の支配を受けず、自立したい欲求
攻撃欲求(Aggression)怒りを感じやすく、誰かにぶつけたくなることがある。他者を傷つけたい、支配したいという衝動が起こる欲求。
屈従欲求(Abasement)自分を低く見て罪を仕方なく承服しようとする欲求。自分を犠牲にしてでも服従したい欲求
禁止に関係する欲求
非難回避欲求(Blame Avoidance)衝動や非難を避けることやルールを守りたい欲求。法律や規則に反する衝動を抑えることによって非難、追放、処罰を避けようとする欲求。
他社との愛情に関係する欲求
親和欲求(Affiliation)誰かの役に立ちたい、助けたいという保護の気持ちが強い。他者と親しくつながり、仲間でいたい欲求。
救護欲求(Succorance)援助、保護または同情を求めようとし、依存的であろうとする欲求。愛されたい、慰められたい、看護されたい欲求。
保護欲求(Nurturance)他者を守り、援助したい欲求。他社を養い、助け、または保護する欲求。
拒絶欲求(Rejection)他人を差別し、鼻であしらい、無視し、排斥しようとする欲求。他者や状況を拒絶したい欲求
遊戯に関係する欲求
遊戯欲求(Play)楽しさや遊び心をもっと生活に取り入れたい。楽しさや娯楽を求める欲求。
情報に関係する欲求
証明・情報欲求(Cognizance)知的知識や情報を提供したい欲求。情報の説明や解釈し、講釈しようとする欲求。
認知・分析欲求(Exposition)知識を学び理解したい、理論的に捉えたい欲求。情報を探索し好奇心を満足させる欲求

臨床やカウンセリングでの活用ポイント

  • アセスメント:どの欲求が満たされず、どれが過剰かを見ることで、クライエントの心的葛藤を読み解けます。
  • 欲求の優先順位:人によっては「承認」が強く、「自律」が低いなど、パーソナリティ傾向の理解に有効です。
  • 相反する欲求の葛藤:たとえば「親密になりたい(Affiliation)」と「距離を置きたい(Autonomy)」という対立も。
  • 欲求充足の手段の再構築:不適応的な方法(例:攻撃)から、より建設的な方法(例:協調や表現)へ導ける可能性。
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