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アンガーマネジメントの知識と実践

目次

アンガーマネジメントの具体的実践

STOP技法の概要

STOP技法は、感情の爆発的な反応を抑え、衝動的な行動を制御するための非常に有効なスキルです。これは、特に感情的な瞬間に迅速に取り入れることができ、感情をコントロールし、適応的な対応を選択するために役立ちます。

最初のスキルとして、感情が爆発する瞬間に「一旦停止」するためのSTOPスキルを導入します。

「感情が高まり始めたと感じたら、まず『STOP』のスキルを使ってみましょう。このスキルは、その場で自分に『一旦停止』と命じることで、感情的な反応を防ぎます。」

  • S: Stop(止まる) – 今、やろうとしていることを止める。
    • → まず「立ち止まる」。反応しない、動かない。心の中でも一瞬の停止を行います。
    • 『ストップ!』と声をかけます。これは自分への合図で、『今反応する前に立ち止まる』ということです。
  • T: Take a step back(少し後退する) – 一歩引いて、感情を整理する時間を取る。
    • → 一歩引いて、状況から物理的または心理的に距離を取る。数回深呼吸し、状況を冷静に見つめ直します。
    • 次に一歩引いてみましょう。部屋の隅に移動してもいいし、深呼吸をして心を落ち着けるのも効果的です。そうすると、自分の中で冷静さを取り戻す時間が生まれます。」
  • O: Observe(観察する) – 今の感情や周りの状況を冷静に観察する。
    • → 自分の感情、思考、体の感覚を観察します。「何が起こっているのか?」、「今、どんな感情が浮かんでいるのか?」と自問します。
    • 『Observe(観察)』です。深呼吸をした後、自分がどんな感情を感じているのかを観察してみましょう。怒りなのか、不安なのか、あるいは疲れなのか。その感情を正確に理解することで、冷静に次の行動を選ぶことができます。」
  • P: Proceed mindfully(慎重に進む) – 冷静に、意図的に次の行動を選ぶ。
    • → 意識的に次の行動を選び、慎重に進む。目の前の状況に対して冷静な選択肢を検討し、衝動的ではなく、理性的に対応します。
    • 最後に『Proceed Mindfully(慎重に行動する)』です。感情を理解したら、その感情に流されるのではなく、次の行動を選ぶ時間ができます。例えば、相手に穏やかに話しかけるか、一旦部屋を出て冷静になってから戻るか。その瞬間に衝動的な行動を抑え、冷静に対応することで、後で後悔することが少なくなります。」

慣れるまで少し時間がかかるかもしれませんが、STOP技法を繰り返し練習することで、次第に感情の波をコントロールできるようになります。感情のサインを早めにキャッチして、立ち止まり、落ち着いてから行動を選ぶことで、今よりもずっと穏やかな対応ができるようになります。

TIPPスキル

感情が非常に高まっているとき、身体的な反応を利用して感情を落ち着かせる「TIPPスキル」を紹介します。感情が抑えきれない時には、TIPPというスキルを使って、体を落ち着かせる方法があります。このスキルは、強い感情に対処するために身体を使って、感情をリセットするものです。

  • T: Temperature(温度) – 冷たい水を顔にかける、冷却パックを使うことで心拍数を下げ、感情を落ち着かせる。
  • I: Intense Exercise(強い運動) – 体を動かして、感情のエネルギーを消費する。
  • P: Paced Breathing(ペースを整えた呼吸) – ゆっくりとした呼吸を意識して、リラックスさせる。
  • P: Paired Muscle Relaxation(筋弛緩) – 体の筋肉を緊張させてから解放し、リラックスを促進する。

ABCDE

ABCDE法は、心理療法やアンガーマネジメントにおいて、怒りや不安といったネガティブな感情を管理し、現実的で柔軟な思考を促すための方法です。アルバート・エリスの認知行動療法(CBT)の一環として発展しました。ABCDE法では、自分の感情や反応に対して「自動的に生じた考え」を検証し、新たな視点を取り入れることで、感情を和らげ、行動をポジティブに変えることを目指します。

ABC理論に基づき、怒りを引き起こす思考パターンを見直し、現実的で柔軟な考え方をする方法です。

  • A(Activating Event): 怒りのきっかけとなる出来事
  • B(Belief): 出来事に対する自分の解釈や信念
  • C(Consequence): その結果生じる怒りなどの感情と行動
  • D(Dispute): 思考の偏りに気づき、それに対する反論
  • E(Effect): 新しい見方や考え方を取り入れた結果としての気持ちの変化

具体例
友人が自分の連絡に応じてくれなかったとき

  • A: 友人が返事をくれない。
  • B: 「私は嫌われたんだ。友人として見てもらっていないに違いない」と思う。
  • C: 落ち込んでイライラする。
  • D: 友人には事情があるかもしれない、自分を嫌っているとは限らないと考え直す。
  • E: 気持ちが落ち着き、「次の機会に再度連絡してみよう」と考えられるようになる。

詳しいABCDE法の各ステップと具体例

ABCDE法は、怒りや不安の感情を引き起こす「思考の歪み」に気づき、それに対して建設的な見方を導く手法です。繰り返し行うことで、感情の管理が自然とできるようになります。この方法はアンガーマネジメント以外にも、不安、自己否定感、落ち込みなどのさまざまな感情に対して応用可能です。

STEP
ステップA: きっかけとなる出来事

最初のステップは、怒りや不安などの感情を引き起こした「出来事」や「状況」を特定することです。ここでは、事実に基づいて具体的に出来事を書き出します。


上司が他の同僚の前で自分を厳しく批判し、「このプロジェクトに向いていないのでは?」と発言した。

STEP
ステップB: 出来事に対する信念や考え方

次に、その出来事に対して自分がどのように考え、どのような信念を持っているかを特定します。怒りや不安の元になる「解釈」や「思い込み」がここで浮かび上がります。


「上司に評価されていない」「自分は役立たずで、プロジェクトを任されるべきではなかった」「みんなもそう思っているに違いない」という考えが浮かぶ。

STEP
ステップC: 感情と行動の結果

その考えや信念によって生じた感情や行動を確認します。ここでは、「B」での信念が自分にどのような影響を及ぼしたかを見ていきます。

  • 感情: 恥ずかしさ、怒り、無力感。
  • 行動: 他の同僚と距離を置き、会議で発言を控えるようになる。また、上司への反発心が生まれる。
STEP
ステップD: 思考や信念への反論・修正

このステップでは、怒りを引き起こしている自分の「信念や解釈」に反論します。客観的な視点から、「B」での信念が偏りや誇張を含んでいないかを問い直し、現実的な見方を探します。

具体的な質問例

  • 本当に「みんな」そう思っているのか?一部の人だけの考えではないか?
  • 上司の批判が事実だとしても、それが自分の存在価値全体に関わることなのか?
  • 自分の得意分野は他にあり、今回の仕事に100%向いていないかもしれないが、努力によって成長できる部分はあるのではないか?


「上司の発言は、プロジェクトに対する一時的な評価に過ぎず、自分全体を否定するものではない。他の同僚も同じ経験をしており、成長の機会と捉えられるかもしれない」と再考する。

STEP
ステップE: 修正した信念による新たな効果・感情の変化

最後に、「D」で考え直した信念によって、新たに生まれる感情や行動を確認します。この段階では、考え方を変えた結果として、より落ち着いたり前向きになれたりする効果が得られます。

  • 新たな感情: 怒りや不安が和らぎ、冷静に受け止められる。
  • 新たな行動: プロジェクトを再評価し、上司と改善点について話し合う姿勢を持つ。また、同僚とも協力してプロジェクトを進めようとする意欲が生まれる。


アンガーマネジメントには様々なアプローチがありますが、一般的には次の3つのステップや実践テクニックがありますが、これらのステップとテクニックは、怒りの感情を健康的に管理し、建設的なアプローチを取るための手段となります。個々の状況や個性に応じて、これらのアンガーマネジメントテクニックを組み合わせることが効果的です。

STEP
怒りの認識と理解
  • ステップ
    最初のステップは、怒りの感情を認識し、理解することです。感情の起源や引き金となる状況を把握し、なぜ怒りが生じているのかを理解します。
  • テクニック
    • 感情のラベリング
      怒りやイライラなどの感情を言葉でラベリングすることで、感情を明確に認識しやすくなります。
    • ジャーナリング
      怒りを経験した状況や感情を書き留めることで、感情の原因やパターンを発見しやすくなります。

アンガーログの手順

アンガーログは、怒りやイライラの感情やそれに伴う状況を記録するためのツールです。これを使うことで、怒りのパターンや引き金を理解し、アンガーマネジメントに役立てることができます。次はアンガーログをつける際の手順と記入の仕方についての詳細です。

手順

感情の認識

怒りやイライラなどの感情を認識します。感情が高まる前に、できるだけ早い段階で気づくことが重要です。

手順
状況の記録

怒りを感じた具体的な状況を書き留めます。どこで、誰と一緒にいて、何が起きていたのかを詳細にメモします。

手順
引き金の特定

怒りの引き金となる要因や出来事を明確に特定します。他者の行動、特定の言葉、環境の変化などが引き金となることがあります。

手順
身体的な反応の記録

怒りやイライラに伴う身体的な反応を書き留めます。例えば、動悸、緊張感、頭痛などが挙げられます。

手順
思考パターンの洗い出し

思考や自己話しに焦点を当て、怒りの際にどのような考えが頭をよぎるかを洗い出します。否定的な自己話しや過度な一般化などに注目します。

手順
行動の記録

怒りやイライラの感情に対する自分の行動を具体的に書き込みます。これには言動や表情、他者への対応などが含まれます。

アンガーログの記入の仕方

アンガーログ
日時イベントが発生した日時を書きます。
状況どのような場所や状況でイベントが起こったかを詳細に記入します。
思考パターン怒りの際にどのような思考が頭に浮かんでくるかを箇条書きでまとめます。
引き金怒りを引き起こす原因やトリガーとなる出来事や行動を具体的に列挙します。
感情その時の感情と強度を記載します。(○○%)
身体的な反応怒りやイライラに伴う身体的な反応や感触をリストアップします。
行動(結果)怒りに対する具体的な行動や反応を説明します。

※アンガーログを記入することで、怒りの発端やパターンを客観的に把握しやすくなります。この洞察を元に、アンガーマネジメントのアプローチを検討し、より健康的な感情表現や行動に向けて努力することができます。

STEP
感情のコントロールとリラックス
  • ステップ
    怒りを感じた際に感情をコントロールし、冷静な状態に戻すことが重要です。怒りのピークを過ぎてから冷静に考える余裕を持つことが目標です。
  • テクニック
    • 深呼吸
      深くゆっくりとした呼吸をすることで、自律神経を整え、冷静な状態に戻りやすくなります。
    • リラクセーション
      マインドフルネスやプログレッシブ・マッスル・リラクセーションなどのリラックス法を実践し、緊張を解消します。

ストレスマネジメントテクニック

怒りが大きくなる前に心と体を落ち着かせるストレスマネジメントがあります。①いつもよりゆっくりする「呼吸調整法」②刺激から離れて落ち着く「タイムアウト」➂大丈夫や落ち着こうなど、自分で自分に声をかける「セルフトーク」④自分の楽しいことや好きなことに意識を向ける「気分転換」があります。

通常の呼吸法
手順①快適な姿勢をとり、ゆっくりと鼻から深呼吸を始めます。
②腹式呼吸を心掛け、吸うときにお腹が膨らみ、吐くときに縮みます。
➂吸うときは「1、2、3」と数え、吐くときも同様に数えます。
④息を吸うときは鼻から、吐くときは口から行います。
効果深呼吸は自律神経を整える効果があります。呼吸に意識を集中することで冷静な状態に導くことができます。
呼吸調整法
⑴ 3秒かけて自然に息を吸います。
⑵ 口をすぼめて6秒程度かけてゆっくりと息を吐きます。
               
自分に合う呼吸時間にしてください。
ただし、吸う:吐くは1:2です。 その時に頭の中に「リラーーーックス」という言葉で自分をなだめます。
呼吸法のコツ
⑴ 息を吸うのが緊張、吐くのがリラックスとなります。リラックスしたい時は息を吸うよりも息を長めに、ゆっくりと細く長く吐いていきます。
⑵ 息を吸うときにはお腹が膨らむように、吐くときはお腹がしぼむように腹式呼吸を用います。
⑶ 息を吐くときには「リラックス」や「落ち着け」と自分に向かって言います。日頃の緊張や疲れ、不安や不満などの嫌な感情が気持ちよく外に吐き出されるのをイメージします。

※ゆっくりした呼吸によって不安と緊張を軽減する呼吸法を行います。落ち着くために良く行う深呼吸は深く息を吸う呼吸です。実は深く息を吸うことは不安や恐怖の助けにはなっていません。

タイムアウト

その場を一度離れて冷静になるための方法です。強い怒りがこみ上げた際にその場から一時的に離れることで、気持ちを落ち着ける効果があります。怒りが頂点に達すると冷静な判断が難しくなるため、あらかじめ「タイムアウト」を決めておくと役立ちます。

具体例
職場で部下のミスに対して怒りを感じたとき:

  • 怒りが沸き上がった瞬間に「自分を落ち着ける時間が必要だ」と判断し、その場を離れる。
  • 10分程度、外の空気を吸ったり、深呼吸をすることで、冷静さを取り戻してから話し合いに戻る。
  1. 手順
    1. 怒りっぽい状況から離れ、刺激を断つために一時的に場所を移動します。
    2. 静かで穏やかな場所にいるか、自分の居心地の良い空間に移動します。
    3. 短時間でも構いませんが、急激な感情が収まり、冷静な状態に戻るまでに十分な時間をかけます。
  2. 効果
    • タイムアウトを取ることで、急激な感情が収まり、冷静な判断ができるようになります。感情がピークに達する前に対応することが重要です。

セルフトーク

  1. 手順
    1. 自分に対して穏やかでポジティブな言葉で声をかけます。例えば、「大丈夫だ」「冷静になる」「今は落ち着こう」などです。
    2. 怒りやイライラが高まっているときに、自分に対して否定的な言葉ではなく、建設的な言葉を使います。
    3. 効果
      セルフトークは自分の気持ちを把握し、冷静な状態を保つのに役立ちます。ポジティブな言葉で自分を励ますことで、怒りの感情をコントロールしやすくなります。

ディストラクション技法(気分転換

怒りの原因から一時的に注意を逸らし、他のことに意識を向ける方法です。怒りにとらわれず、別の活動に集中することで、怒りが収まるのを待ちます。

具体例
誰かとの言い争いでイライラが収まらないとき:

  • その場で好きな音楽を聴く、簡単な運動をする、ペットと遊ぶなど、楽しいことに意識を向けることで怒りが徐々に和らいでいく。
  • 手順
    1. 怒りっぽい状況から離れ、好きなことやリラックスできる活動に集中します。
    2. 興味を引く本を読んだり、音楽を聴いたり、散歩をしたり、趣味に没頭するなど、気分転換に適した活動を選びます。
  • 効果
    気分転換は怒りの感情を断ち切り、ポジティブなエネルギーを取り戻すのに効果的です。好きなことに意識を向けることで、怒りに囚われずに冷静な状態に戻りやすくなります。

自己モニタリング

自分の怒りがどのような場面で起こるのか、原因や兆候を把握するために、怒りを記録していく方法です。怒りのパターンやトリガーを知ることで、怒りを未然に防ぐ対策が立てやすくなります。

具体例
日記やメモに、怒りを感じた出来事、相手の言葉、自分の思考を記録する。例えば、「上司が自分の意見を無視したと感じてイライラした」と記録し、それが繰り返し起こることで、どう対処するかを前もって考える。

STEP
建設的なコミュニケーションと問題解決
  • ステップ
    怒りをコントロールしたら、感情を適切に表現し、問題解決やコミュニケーションの改善に向けて努力します。
  • テクニック
    • アサーション
      自分の意見や感情を適切に相手に伝えるアサーションの技術を身につけることで、怒りを建設的に表現できます。
  • 認知の再評価(リフレーミング)
    • 物事の解釈を意識的に変え、怒りを感じにくいようにする技法です。怒りを引き起こす原因となる偏った思考を他の視点から見直し、受け入れやすい解釈に変えることで、怒りを抑えます。
    • 具体例:
      配偶者が家事を手伝わないことに腹が立つとき
    • 「手伝ってくれない」と考える代わりに、「普段の忙しい仕事で疲れているからかもしれない」「何か他のことで貢献してくれている」と考え直すことで、許容できるようになる。

怒りを乗り切る6秒間対処法

怒りの6秒間を乗り切る対処法は、怒りの感情が急上昇する瞬間に即座に使えるものであり、感情のコントロールや冷静な状態の復帰に役立ちます。個々の方法を試し、自分に合ったものを見つけることが重要です。

怒りを乗り切る6秒間対処法
  1. 思考を停止させる (ストップシンキング)
    • 手順
      1. 怒りの感情が高まったら、一時的に思考を停止させます。
      2. 冷静な判断や反応をする前に、状況を客観的に見つめ直す時間を取ります。
    • 効果
      1. 怒りっぽい状況で思考を停止させることで、感情に支配されない冷静な判断ができるようになります。
      2. ストップシンキングは怒りのスパイラルを防ぎ、行動前に冷静な状態を取り戻すのに役立ちます。
  2. 心の中で怒りが和らぐ言葉を唱える (コーピングマントラ)
    • 手順
      1. 怒りの感情が高まったら、心の中で穏やかな言葉やフレーズを唱えます。
      2. 「落ち着いて」「大丈夫だ」「冷静になる」といった肯定的で和らげる言葉を選びます。
    • 効果
      1. コーピングマントラを唱えることで、自分を安心させ、冷静な状態に導くことができます。
      2. 言葉による自己リラックスが怒りの感情を緩和し、建設的な対応を促進します。
  3. 怒りの数値化に集中する (スケールテクニック)
    • 手順
      1. 怒りの感情を0から10のスケールで評価します。0は全く怒っていない状態で、10は極めて怒っている状態です。
      2. 感情の数値を確認し、冷静な状態に戻るよう意識します。
    • 効果
      1. 怒りの数値を意識することで、感情の強弱や変化を把握しやすくなります。
      2. スケールテクニックは冷静な状態を保ちながら感情の変動を観察し、適切な対応をするのに役立ちます。
  4. まったく別のものに意識を向ける (グラウンディング)
    • 手順
      1. 怒りの感情が高まったら、周囲の環境に注意を向けます。例えば、自分の呼吸や周りの音、触れるものに意識を向けます。
      2. 環境に焦点を当てることで、怒りの感情から一時的に離れることができます。
    • 効果
      1. グラウンディングは感情の急激な変動を和らげ、冷静な状態に戻すのに効果的です。
      2. 周囲の環境に意識を向けることで、感情に振り回されず冷静な判断ができるようになります。

ホット思考

ホット思考のアプローチを実践することで、怒りにつながるイライラ思考を冷静なホット思考に変えることができます。柔軟性を持ち、違った視点から物事を見ることで、より建設的で効果的な対応が可能となります。怒りにつながるイライラ思考を、冷静で建設的なホット思考に変えるためには、次のポイントや方法が役立ちます。

ホット思考
  • 別の角度から見てみる
    • 怒りやイライラの感情は、特定の視点からのみではなく、異なる角度からも理解できます。
      具体的な方法としては次のようになります。
      • 他者の視点を考える
        相手の状況や立場を理解しようとすることで、感情を冷静にコントロールできます。
      • 時間をおいて再考する
        状況が許すならば、一度感情を静めてから問題や状況を再考することで、新しい視点が見つかるかもしれません。
  • 視野を広げてみる
    • 怒りの感情は狭い視野で物事を見ることから生じます。視野を広げることで冷静な判断が可能になります。
      • 将来の影響を考える
        現在の怒りの感情が将来的にどのような影響を与えるかを考えることで、長期的な視点を持つことができます。
      • 他の優先事項を見つける
        状況や問題を他の重要な優先事項と比較し、相対的な重要度を理解することができます。
  • 視点を変えてみる
    • 怒りの感情は固定された視点から生じることがあります。この固定視点を変えることで、柔軟性を持った対応が可能になります。
      • ポジティブな側面を見つける
        困難な状況や人物にもポジティブな側面があります。その側面を見つけ出すことで、怒りを和らげることができます。
      • 学びの機会として見る
        状況や他者との衝突から学びの機会を見つけることで、怒りの感情をポジティブな方向に変えることができます。
アンガーログ
日時イベントが発生した日時を書きます。
状況どのような場所や状況でイベントが起こったかを詳細に記入します。
思考パターン怒りの際にどのような思考が頭に浮かんでくるかを箇条書きでまとめます。
引き金怒りを引き起こす原因やトリガーとなる出来事や行動を具体的に列挙します。
感情その時の感情と強度を記載します。(○○%)
身体的な反応怒りやイライラに伴う身体的な反応や感触をリストアップします。
行動(結果)怒りに対する具体的な行動や反応を説明します。

ホット思考で視点や角度など考え方の幅を広げた(具体例を列挙)ことにより、認知のバイアスの検証ができて感情の変化も起きます。このことで言動も変化してくることに気付きます。

ホット思考
考え方の幅を広げて例を挙げる
幅を広げて認知のバイアスの検証
感情の変化は起きている(○○%)
ホット思考の結果・行動の予想

アンガーマネジメントのまとめ

怒りはネガティブな感情として捉えられがちですが、現代社会では様々なハラスメントが問題視されており、特にパワーハラスメントは怒りの感情を引き起こしやすい事象の一つです。アンガーマネジメントは、怒りの感情を抑え込むだけでなく、その感情を理解し、コントロールするための手法です。怒りを無理に抑圧することはストレスの原因となりますが、アンガーマネジメントは怒りを建設的に活用する方法を提供します。

怒りをコントロールすることができれば、対人関係が円滑になるだけでなく、自己分析力も向上します。怒りの感情が湧き上がった際に、自分の状況を客観的に観察し、感情を冷静に判断することが求められます。これにより、自身についての理解を深め、抱える課題やその解決方法に対しても適切な検討が可能になります。

また、アンガーマネジメントは、怒りによる後悔を最小限にすることを目指します。怒りはただ怒るだけでなく、その後の後悔や誤解を招かないように上手に表現することが重要です。怒りが必要な場面では、人を傷つけずに上手に表現することが求められ、逆に怒りが不必要な場面では冷静に対処することが重要です。

アンガーマネジメントは怒りの感情を健全な形で扱う手法であり、その効果は個人だけでなく、社会全体にもポジティブな影響を与えることが期待されます。

  1. 書籍名: 『怒りのパターンがわかればもっと楽に生きられる』
    著者: ハリエット・ゴールドホーク
    発行社: KADOKAWA
  2. 書籍名: 『怒りを癒すセラピューティック・ワーク―アンガーマネジメントの実践』
    著者: レベッカ・デ・ノブリガ
    発行社: こう書房
  3. 書籍名: 『怒りはどこからくるのか: アンガーマネジメントのすべて』
    著者: レナード・スミス
    発行社: ウェリントン東京
  4. 書籍名:『怒りのコントロール―感情を理解し、コントロールする技術』
    著者: ロバート・A・フィーバーソン (Robert A. F. Thurman)
    発行社: かんき出版
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