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ACTが10分で理解できる総まとめ

目次

ACTの理念、特徴、基礎理論、概念、他の療法との比較、技法の知識が10分で理解できる総まとめ

ACTアクセプタンス&コミットメントセラピーの知識ACTアクセプタンス&コミットメントセラピーACT技法と手順は別ページで詳しく解説していますが、「ACTが10分で理解できる総まとめ」を掲載することにしました。
総まとめは、ACTの理念、特徴、基礎理論、概念、他の療法との比較、技法の知識を10分程度で理解できるようにしています。初めてACTに興味を抱いた方や、復習的に目を通す方向けに作成しています。

アクセプタンス&コミットメント・セラピーとは

アクセプタンス&コミットメントセラピー(Acceptance and Commitment Therapy、ACT)は、認知行動療法の一形態でありますが、苦痛や不快な感情、思考、感覚を避けるのではなく、それらを受け入れることが重要だとされていて、同時に人生における価値観や目標を明確にし、それに基づいて行動することを強調しています。ACTは、心理的苦痛を軽減し、より豊かな、充実した意味のある人生を実現することを目指す心理療法のアプローチです。
ACTは、1990年代にスティーブン・C・ヘイズ(Steven C. Hayes)とその同僚によって開発されました。ACTは、さまざまな心理的問題や状況に適用できる包括的なアプローチであり、うつ病、不安障害、ストレス、依存症、慢性疼痛などの治療に利用されています。セラピストは、クライアントが自己受容し、自分の価値観に基づいた意味のある生活を追求するのを支援する役割を果たします。

ACTの中心的な理念を紹介します。

アクセプタンス(Acceptance)

ACTでは、個人が感じる苦痛や不快な感情、思考、感覚を避けるのではなく、それらを受け入れることが重要だとされます。人は苦痛から逃れることで問題を悪化させることがあります。アクセプタンスは、これらの苦痛の感情や思考を受け入れ、対抗せずに受け止めることを指しています。

コミットメント(Commitment)

ACTは、人生の価値観や目標に基づいて、行動の方向性を決めることを奨励しています。つまり、自分が本当に大切に思うこと、人生で達成したいことにコミットメントし、そのために行動を起こすことが重要だということです。

認知デフュージョン(Cognitive Defusion)

ACTでは、「私は不安だ」「私は失敗だ」といった負の自己評価や思考から一歩引いて、これらの思考が単なる出来事であることを認識する技法が使われます。これにより、思考が行動を制約するのを緩和し、より柔軟な行動が可能になります。

プレゼント・モーメント(Present Moment)

ACTは、現在の瞬間に焦点を当て、マインドフルネスの要素を取り入れています。過去や未来への過度な心配や回想を減少させ、現在の状況に注意を向けることで、より充実感を感じる手助けをします。

ACTの心理学療法での特徴

アクセプタンス&コミットメントセラピー(ACT)は、他の心理療法と比較していくつかの特徴的な要素を持っており、次に示す特徴的な要素を組み合わせて、ACTはクライアントが心理的苦痛を軽減し、より満足度の高い人生を追求するのを支援します。また、さまざまな心理的問題や状況に対して適用できる汎用性の高いアプローチでもあります。

ホリスティックアプローチ

ACTは、心理的問題を分析的に分解せず、心と体、感情と思考、過去と未来の要素を統合的に捉えます。このホリスティックなアプローチは、人間の複雑な経験を理解するために行われます。

アクセプタンスとコミットメントの統合

ACTは、アクセプタンス(受容)とコミットメント(価値・行動)という二つの対立する要素を統合します。クライアントは苦痛や不快な感情を受け入れつつ、自分の価値観や目標にコミットメントし、それを実現するために行動することを学びます。

認知デフュージョン

ACTでは、認知デフュージョンと呼ばれる技法を使用して、不健康な思考と感情から距離を置く方法を教えます。クライアントは、自分の思考や感情が現実ではないことを認識し、それらに縛られないようになります。

プレゼント・モーメント

ACTはマインドフルネスの原則を取り入れ、クライアントに現在の瞬間に注意を向けることを奨励します。これは、過去の過ちや未来の不安から解放され、現在の状況に対処するためのリソースを発見するのに役立ちます。

価値観の重要性

ACTは、クライアントが自分の人生における価値観や目標を明確にし、それに基づいて行動することを強調します。価値観は、クライアントにとって本当に重要なことを明示し、その価値観を見出し行動することが幸福感と満足感の源であるとされます。

行動への焦点

ACTは行動療法も取り入れており、理論を実践に結びつけることを重視しています。クライアントは、自己受容と目標達成のために行動計画を立て、実行することに焦点を当てます。

柔軟性と適応性

ACTは柔軟性と適応性を重要視し、クライアントに固定観念から解放され、状況に応じて適切に対処するスキル開発の手助けをします。

ACTのエビデンスと基礎理論

アクセプタンス&コミットメントセラピー(ACT)のエビデンスと基礎理論について解説します。

エビデンス

ACTの基礎理論と多くの研究のエビデンスに基づいたアプローチは、心理的苦痛から解放され、自己受容と意味のある人生を追求するセラピーとなります。このアプローチは、個別セラピーやグループセラピー、さらにはコーチングなどで使用されています。

臨床効果

ACTは、うつ病、不安障害、ストレス、慢性疼痛、依存症など、さまざまな心理的問題に対して有効性が示されています。多くの臨床試験とメタアナリシスにより、ACTは他の心理療法と同等またはそれ以上の効果を持つことが確認されています。

長期持続性

ACTの効果は治療終了後も持続的であり、クライアントが自己受容とコミットメントのスキルを継続的に活用することが示されています。

幅広い応用

ACTは異文化や年齢層のクライアントに適用できるため、世界中で活用されています。

基礎理論

ACTの基礎理論は次のようになります。

心の柔軟性

ACTの基本的な考え方は、心の柔軟性を高めることが精神的健康に不可欠であるというものです。クライアントは、自分の感情、思考、感覚を受け入れ、柔軟に対処する方法を学びます。これにより、困難な状況に適応しやすくなります。

6つのコアプロセス
  • アクセプタンス(Acceptance)
    不快な感情や思考を受け入れること
  • 認知デフュージョン(Cognitive Defusion)
    不健康な思考と感情から距離を置く技法
  • 現在の瞬間に焦点を当てる(Present Moment Awareness)
    マインドフルネスを通じて現在の状況に注意を向けること
  • 自己観察(Self-as-Context)
    客観的な視点から自己を見つめること
  • 価値観の明示(Values Clarification)
    自分の本当に大切に思う価値観を明確にし、それに基づいて行動すること
  • コミットメント行動(Committed Action)
    自己観察と価値観を基に行動すること
「自己」の再構築

ACTは「自己」を再構築するアプローチであり、クライアントに自己評価やアイデンティティに囚われない方法を提供します。これにより、クライアントは自分自身をより多面的に理解し、柔軟に行動できるようになります。

ACTの心理的柔軟性と6つのコアプロセス

アクセプタンス&コミットメントセラピー(ACT)の中心的な概念である「心理的柔軟性」と6つのコアプロセスを解説します。

心理的柔軟性(Psychological Flexibility)

心理的柔軟性は、ACTの中核的な概念であり、個人の精神的健康と幸福感を高めるための重要な要素です。心理的柔軟性は、次の2つの主要な側面から成り立っています。

  1. アクセプタンス(Acceptance)
    • アクセプタンスは、不快な感情、思考、感覚を拒絶するのではなく、受け入れることを指します。つまり、不快なものを回避せずに、それらを受け入れることで、苦痛からの逃避を減少させ、現実をより適切に認識します。
  2. コミットメント(Commitment)
    • コミットメントは、自分の価値観と目標に基づいて行動することを指します。つまり、何が本当に重要で価値のあることなのかを明示し、その目標に向かって行動する決意を持つことです。

心理的柔軟性は、2つの側面の統合によって実現され、柔軟かつ適切に状況に対処し、自己受容と意味のある人生を実現できるようになることを目指します。

6つのコアプロセス

ACTは、心理的柔軟性を発展させるために次の6つのコアプロセスを強調しています。

6つのコアプロセス
アクセプタンス(Acceptance)
不快な感情や思考を受け入れること:
これにより、感情や思考に抗議せずに受け止めるスキルが向上し、苦痛から解放されます。
認知デフュージョン(Cognitive Defusion)
不健康な思考から距離を置く技法:
クライアントは、自分の思考が現実ではないことを認識し、思考と感情による固定観念から解放されます。
現在の瞬間に焦点を当てる(Present Moment Awareness)
マインドフルネスを通じて、現在の状況に注意を向けること:
これにより、過去の過ちや未来の不安から解放され、現在の状況に対処するリソースを発見できます。
自己観察(Self-as-Context)
客観的な視点から自己を見つめること:
これにより、クライアントは自己評価やアイデンティティに過度に囚われず、より多面的な視点を持つことができます。
価値観の明示(Values Clarification)
自分の本当に大切に思う価値観を明確にし、それに基づいて行動すること:
価値観は個人の目標設定と行動指針の基盤となります。
コミットメント行動(Committed Action)
自己観察と価値観を基に行動すること:
クライアントは、自己受容と価値観に向かって意味のある行動を起こし、目標に向かって進む力を発揮します。

これらの6つのコアプロセスを通じて、心理的柔軟性を高め、自己受容と意味のある人生を築くスキルを習得します。

ACTが失敗するFEARの4つの状態

アクセプタンス&コミットメントセラピー(ACT)において、クライアントがセラピーの進展が遅い場合には、「FEAR」と呼ばれる4つの状態が関連していることが指摘されています。この状態は、クライアントが心理的柔軟性を妨げるもので、ACTでは、クライアントとセラピストは「FEAR」の状態に注意を払い、克服するための戦略を開発していきます。クライアントが思考と感情に固執せず、自己受容を促進し、自分の価値観に基づいた行動を実現することで、ACTの成功を促進させます。

  1. Fusion (融合)
    • フュージョンは、認知デフュージョンの逆で、クライアントの思考と感情に過度に固執している状態を指します。クライアントの思考と感情が事実そのものであるかのように受け入れ、それに制限された行動をとっていることになります。例えば、「私は失敗者だ」という思考に過度に固執することで、行動や生活の多くの側面に影響を与えることになります。
  2. Evaluation of experience(経験の評価)
    • 経験の評価は、過去の経験や現在の経験を判断し、評価する傾向を指します。特定の経験を「良い」「悪い」とラベリングし、それに基づいて自己や他者を評価します。
      経験の評価は、柔軟性を阻害し、苦痛や困難に対する抵抗や回避行動を引き起こす可能性があります。
  3. Avoidance of your experience(体験の回避)
    • 体験の回避とは、不快な思考や感情、身体的な感覚を避けようとする傾向を指します。人間は時折、不快な思考や感情を無視し、意識から遠ざけようとします。この回避の試みは、一時的には不快感を減らすことができますが、結果として自己の成長や本来の価値に繋がる経験を逃すことになります。
  4. Reason-giving for your behavior(回避行動に理由をつける)
    • 回避行動に理由をつけるとは、苦痛や不快感から逃れるために、自己正当化や理由付けを行う傾向を指します。自分の行動や選択に対して合理化や正当化の理由を見つけることで、不快感や心の葛藤から逃れようとします。長期的に見れば、問題や困難から逃れるための制約を生み出し、自己の成長や意味づけを妨げる結果となります。

ACTのアクセプタンスの育む方法

アクセプタンス&コミットメントセラピー(ACT)におけるアクセプタンスを育むためのテクニックやアプローチは、クライアントが不快な感情や思考を受け入れ、それに適切に対処するスキルを開発するのを助けます。
アクセプタンスを育むための一般的なテクニックのいくつかを挙げますが、これらのテクニックは、アクセプタンスのスキルを育て、クライアントが苦痛から逃れずに受け入れることを助け、心理的柔軟性を高めます。セラピストはクライアントにこれらのスキルを教え、実践するサポートを提供します。

  1. マインドフルネス
    • マインドフルネスは、現在の瞬間に注意を向け、感じ、考え、感じるを受け入れることを促進します。クライアントに対して、日常生活の中でマインドフルな状態を養う方法を教えることができます。マインドフルネス瞑想や呼吸法を通じて、感情や思考に注意を向け、それを非判断的に受け入れる練習を行います。
  2. 感情の認識と表現
    • クライアントに感情を認識し、表現する方法を学ばせることがアクセプタンスを育むのに役立ちます。感情日記をつけたり、感情を絵や言葉で表現するアートセラピーを行ったりすることで、感情を認識し、受け入れるプラクティスを促進します。
  3. 認知デフュージョン
    • 認知デフュージョンは、クライアントが思考と感情から一歩引いて、それらを客観的に見る技法です。クライアントは、自分の思考が事実ではなく、単なる過去の経験や信念であることを理解し、その思考に囚われないようになります。
  4. 自己観察
    • 自己観察は、クライアントが自分自身を客観的に見つめ、自己評価に囚われないようにするプロセスです。クライアントは、「私は感情ではない。私は思考ではない」という考えを育て、自己受容を促進します。
  5. 価値観の明示
    • クライアントに自分の価値観を明示し、それに基づいて行動する重要性を理解させることがアクセプタンスを促進します。クライアントは、価値観が行動の指針となることを理解し、それにコミットメントを持つことで、不快な感情を受け入れやすくなります。
  6. アクティブな受容のプラクティス
    • クライアントは、不快な感情や思考を意識的に受け入れる練習を行います。これは、不快な感情や思考に関連する行動を制約し、柔軟な対処策を見つけるのに役立ちます。

ACTのコミットメントを行動する方法

アクセプタンス&コミットメントセラピー(ACT)において、コミットメントの目標に向かって行動する方法をサポートするためのテクニックやアプローチは、クライアントが自己受容と自分の価値観に基づいた行動を実現するのに役立ちます。これらのテクニックを用いて、クライアントは自己受容と自分の価値観に基づいた行動を促進し、コミットメント行動を実現するスキルを磨くことができます。セラピストはクライアントが自分の目標に向かって行動し、意味のある人生を築くのをサポートします。コミットメント行動を促進する一般的なテクニックを示します。

  1. 価値観の明示
    • クライアントに自分の価値観を明示させ、それについて深く考えるプロセスをサポートします。セラピストは、クライアントに質問を投げかけ、どの価値観が本当に重要で意味のあるものなのかを明確にする手助けをします。
  2. 価値観と行動の整合
    • クライアントに、自分の価値観と行動が整合しているかどうかを評価させることが重要です。クライアントは、自分の目標や行動が自己受容と価値観に合致することを確認することで、より意味のある行動を見つけることができます。
  3. コミットメントの明示
    • クライアントは、明確なコミットメントを設定し、それを具体的な目標や行動に結びつけることが求められます。セラピストは、クライアントに「何を達成したいのか?」や「どのように行動を起こすか?」について尋ね、それを具体的に定義します。
  4. 小さなステップに分解
    • 大きな目標を小さなステップに分解し、クライアントに進捗を確認しやすくします。クライアントは、小さな成功体験を通じて、大きな目標に向かって進む自信をつけることができます。
  5. コミットメントを文字で作成
    • クライアントは、コミットメントを文字で作成し、それを行動の指針として活用します。この文面は、自分の価値観や目標に関連するものであり、日常生活で行動を誘導する役割を果たします。
  6. フィードバックと評価
    • セラピストは、クライアントがコミットメント行動に向かって進むプロセスをフィードバックし、評価します。クライアントは進捗状況を振り返り、必要に応じて調整を行うことができます。
  7. 支援システムの活用
    • クライアントは、友人、家族、またはサポートグループなどの支援システムを活用し、目標に向かって行動する際にサポートを受けることができます。

ACTと認知行動療法との違い

アクセプタンス&コミットメントセラピー(ACT)と認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy, CBT)は、両方とも心理療法の一形態であり、類似点もありますが、いくつかの重要な違いが存在します。2つのアプローチには特徴的長所があり、症状やクライアントのニーズに応じていずれかを選択することが適正だと判断します。ただし、治療者にはACTとCBTの要素を組み合わせて、クライアントに最適なアプローチを提供することもあります。ACTとCBTの主な違いを解説します。

アプローチの基本哲学
  • ACT
    ACTは、心の柔軟性、アクセプタンス、コミットメント、価値観に基づく行動を重視するアプローチです。ACTの基本哲学は、不快な感情や思考を避けずに受け入れ、自己受容と価値観に従って行動することで、豊かで意味のある人生を築くことができるというものです。
  • CBT
    CBTは、認知(思考)と行動の関連性を強調し、不健康な思考や信念を修正し選択肢を増やすことで、健康的な行動パターンを養うことを重視します。CBTは、問題の根本的な思考パターンを変えることを中心に据えたアプローチです。
アクセプタンスとアクション
  • ACT
    ACTはアクセプタンス(受容)とコミットメント(価値・行動)の統合を強調し、クライアントに不快な感情や思考を受け入れつつ、自分の価値観に基づいて行動する方法を教えます。感情を避けずに共存し、自己受容を高めることが重要です。
  • CBT
    CBTは、不健康な思考パターンの特定と修正、そして健康的な行動パターンの育成に焦点を当てます。感情を受け入れることよりも、感情の原因となる思考を変えることと思考の選択肢を増やすことに注力します。
認知の処理方法
  • ACT
    ACTは、認知デフュージョンと呼ばれる技法を使用して、クライアントが自分の思考と感情に過度に同一視しないように支援します。これにより、不健康な思考から距離を置き、柔軟な対処策が見つけやすくなります。
  • CBT
    CBTは、認知再構成と呼ばれるプロセスを通じて、クライアントの不健康な認知を特定し、思考の選択肢を増やし修正することを目指します。不健康な思考パターンを健康的なものに変えることが中心です。
治療の焦点
  • ACT
    ACTは、クライアントが自己受容、価値観、意味のある生活へのコミットメントを中心に据え、クライアントの個人的な目的と価値観に基づいて治療を進行させます。
  • CBT
    CBTは、具体的な問題や症状(うつ病、不安障害など)の治療に焦点を当て、問題解決と症状の軽減を主要な目標とします。

ACTとマインドフルネスの違い

アクセプタンス&コミットメントセラピー(ACT)とマインドフルネスは、いずれも心理療法やストレス管理のアプローチとして使用されますが、異なるコンセプトと焦点を持つています。
総括すると、ACTは自己受容と価値観に基づく行動を強調する特定の心理療法のアプローチであるのに対し、マインドフルネスは現在の瞬間に注意を向け、感情や思考を受け入れる広範な実践や哲学的なアプローチです。両方とも精神的な健康とウェルビーングに貢献しますが、焦点やアプローチが異なります。ACTとマインドフルネスの主な違いを解説します。

基本哲学と焦点
  • ACT
    ACTは、アクセプタンス(受容)、コミットメント(行動)、価値観に基づく行動を重要視するアプローチです。ACTの焦点は、不快な感情や思考を受け入れつつ、自己受容と自分の価値観に基づいた行動を実現することにあります。ACTは、自己受容と意味のある人生を追求することを強調します。
  • マインドフルネス
    マインドフルネスは、「良い」「悪い」の判断をすることなく、「今この瞬間」に注意を向け、ありのままに観察し、理解し、感じることを受け入れるプラクティスです。マインドフルネスは、気づき、注意を持つこと、そして非判断的に自分の内的経験を観察することを強調します。マインドフルネスは、ストレス軽減や感情調整に焦点を当てることが一般的です。
アプローチのプロセス
  • ACT
    ACTでは、アクセプタンス、認知デフュージョン、自己観察、価値観の明示、コミットメント行動など、特定のプロセスとテクニックが使用されます。これらのプロセスは、個人が心理的柔軟性を高め、不快な感情や思考に対処する能力を向上させるのを支援します。
  • マインドフルネス
    マインドフルネスは、瞑想、深呼吸、ヨガなどの練習を通じて現在の瞬間に注意を向け、感情や思考を受け入れる練習を重視します。マインドフルネスの目的は、ストレスの軽減、リラクセーション、気づきの向上、感情の調整などです。
適用範囲
  • ACT
    ACTは、広範な心理的問題に対処するのに役立ちます。うつ病、不安障害、依存症、ストレス、人間関係の問題など、さまざまな状況で使用されます。
  • マインドフルネス
    マインドフルネスは、特にストレス管理、リラクセーション、気づき向上、瞑想練習として広く使用されます。また、心理療法の一部としても利用され、特定の問題に焦点を当てることがあります。
フレームワーク
  • ACT
    ACTは、特定の心理療法としてのフレームワークを提供します。クライアントとセラピストの間での対話や演習を含む具体的なアプローチです。
  • マインドフルネス
    マインドフルネスは、広範な実践と哲学的なアプローチを指す用語であり、特定のセラピストやセラピーに限定されない、個人の認知です。

ACTの技法をSTEPで解説

アクセプタンス&コミットメントセラピー(ACT)の技法やアプローチは、個人の状況とニーズに合わせて調整されることがありますが、一般的に、ACTは次のステップで進めていきます。これらのステップはACTの一般的な進行を示していますが、個人のニーズや状況によって調整されます。セラピストはクライアントの状況に合わせてテクニックを選択し、クライアントが自己受容と心理的柔軟性を発展させるのをサポートします。

STEP
現在の状況の認識 (Assessment)
  • クライアントとセラピストが初対面し、クライアントの現在の状況や問題について話し合います。
  • クライアントの主な症状や懸念、目標、価値観を理解します。
STEP
自己観察 (Self-Observation)
  • クライアントは自己観察のプロセスを開始し、自分の感情、思考、感覚、行動を客観的に観察し始めます。
  • セラピストはクライアントをこのプロセスに導き、思考や感情に対する意識を高めるサポートを提供します。
STEP
アクセプタンス (Acceptance)
  • クライアントにアクセプタンス(受容)の重要性を教え、不快な感情や思考を拒絶するのではなく、受け入れる方法を探ります。
  • クライアントは不快な感情や思考を受け入れる練習を行い、感情に対する柔軟性を養います。
STEP
認知デフュージョン (Cognitive Defusion)
  • クライアントは、認知デフュージョンのテクニックを学び、自分の思考と感情から距離を置く方法を身につけます。
  • クライアントは、思考を単なる言葉として受け取り、それに対して過度に同一視しないようになります。
STEP
現在の瞬間に焦点を当てる (Present Moment Awareness)
  • クライアントはマインドフルネス瞑想を行い、現在の瞬間に注意を向けるスキルを発展させます。
  • クライアントは過去の過ちや未来の不安から解放され、現在の状況に集中できるようになります。
STEP
価値観の明示 (Values Clarification)
  • クライアントは自分の価値観を明示し、それが自分の人生においてどれほど重要であるかを理解します。
  • クライアントは自分の人生における価値観に基づいて目標を設定し、コミットメントを強化します。
STEP
コミットメント行動 (Committed Action)
  • クライアントは、自分の価値観と目標に基づいて行動する方法を探ります。具体的な行動計画を立て、それを実行します。
  • クライアントは、コミットメント行動を通じて、価値観に向かって進む力を発揮し、意味のある人生を築きます。
STEP
評価と調整 (Assessment and Adaptation)
  • セラピストはクライアントの進捗を評価し、必要に応じてプランを調整します。
  • クライアントとセラピストは共同で進行状況を検討し、治療プロセスを最適化します。

ACTを受けたクライエントのケース

架空のケーススタディ:
美里のアクセプタンス&コミットメントセラピー

美里は40歳のシングルマザーで、2人の子供を育てていました。美里は高ストレスの状況に直面しており、過去のトラウマや自己価値に関する問題にも悩まされていました。また、長年のうつ病と不安障害に苦しんでおり、日常生活が困難でした。友人からアクセプタンス&コミットメントセラピー(ACT)を勧められ、セラピストに支援を求めることに決めました。

セラピストは、美里との最初のセッションで状況を理解しました。美里は過去のトラウマに苦しむ一方で、自分の子供たちに対して負担を感じ、自己評価が低かったのです。セラピストはACTのアプローチを通じて、美里に向き合うこと、受け入れること、そして自分の人生にコミットメントする方法を教えることに焦点を当てました。

最初に、美里は自己観察のプロセスに慣れるセラピーを受けました。美里は感情や思考に注意を向け、それらを客観的に観察し始めました。そして、自分の過去のトラウマについて語り、それに対処する方法を見つけることに取り組みました。

次に、アクセプタンスのプロセスに移りました。美里は自分の感情を受け入れる練習をし、自己評価が向上し始め、過去の出来事や自分自身に対して非難的な思考から距離を置く方法も学びました。

価値観の明示が続き、美里は自分の人生における価値観について考えました。価値観には、子供たちへの愛とサポート、自己成長、そして他者との付き合いの方法についてです。これらの価値観を明確にし、それに基づいて行動する方法を理解しました。

最後に、美里はコミットメント行動のプロセスに取り組みました。自分の価値観に基づいて行動計画を立て、子供たちとの関係を改善し、ストレスを軽減する方法を見つけました。また、セラピストのサポートを受けながら、不安とうつ病の症状を管理するスキルを発展させました。

数か月後、美里は自己受容が向上し、ストレスが減少しました。子供たちとの関係は強化され、自分の価値観に基づいた充実した生活を築いています。ACTのアプローチが美里の生活に新たな可能性をもたらし、小さいながら希望と幸福を見つけたのでした。

ACTのまとめ

アクセプタンス&コミットメントセラピー(ACT)は、心理療法のアプローチで、心理的柔軟性を高め、意味のある人生を築くことをサポートします。ACTは、不安、うつ病、ストレス、トラウマ、人間関係の問題など、さまざまな心理的課題に対処するために使用される効果的な心理療法の一つです。セラピストとクライアントの協力により、心理的柔軟性を高め、充実した人生を築く道が開かれます。

ACT
アクセプタンス (Acceptance)
  • ACTでは、不快な感情や思考を避けずに受け入れることが重要です。
  • 感情や思考を受け入れることで、心の柔軟性が高まり、感情的な苦痛が軽減されます。
ACT
コミットメント (Commitment)
  • クライアントは、自己受容と自分の価値観に基づく行動を強化するコミットメントをします。
  • 価値観に基づいた行動は、意味のある人生を築くのに役立ちます。
ACT
価値観 (Values)
  • ACTでは、クライアントが自分の価値観を明示し、それに基づいて行動することを強調します。
  • 価値観は人生の目的や意義を示し、行動の指針となります。
ACT
認知デフュージョン (Cognitive Defusion)
  • 認知デフュージョンは、クライアントが自分の思考と感情から距離を置く技法です。
  • これにより、クライアントは思考に過度に同一視せず、柔軟な対処策を見つけやすくなります。
ACT
自己観察 (Self-Observation)
  • クライアントは自己観察を通じて、自分の感情、思考、感覚、行動を客観的に観察し始めます。
  • 自己観察は意識の向上を促し、心の柔軟性を高めるのに役立ちます。
ACT
現在の瞬間に焦点を当てる (Present Moment Awareness)
  • マインドフルネス瞑想を通じて、クライアントは現在の瞬間に注意を向けるスキルを発展させます。
  • これにより、過去や未来の不安から解放され、現在の状況に集中できるようになります。
ACT
コミットメント行動 (Committed Action)
  • クライアントは自分の価値観に基づいて行動計画を立て、それを実行します。
  • コミットメント行動は、価値観に向かって進む力を発揮し、意味のある人生を築くのを支援します。

書籍名: “The Happiness Trap: How to Stop Struggling and Start Living” 著者: Russ Harris 出版社: Trumpeter

書籍名: “The ACT Workbook for Depression and Shame: Overcome Shame and Increase Self-Compassion Using Acceptance and Commitment Therapy” 著者: Jacob Alexander, MD, MHA 出版社: New Harbinger Publications

書籍名: “Get Out of Your Mind and Into Your Life: The New Acceptance and Commitment Therapy” 著者: Steven C. Hayes, PhD, Spencer Smith 出版社: New Harbinger Publications

書籍名: “The Big Book of ACT Metaphors: A Practitioner’s Guide to Experiential Exercises and Metaphors in Acceptance and Commitment Therapy” 著者: Jill A. Stoddard, Niloofar Afari 出版社: New Harbinger Publications

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