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統合失調症の症状と発症過程

目次

統合失調症の症状と発症過程、診断と手順を詳しく解説!

統合失調症の陽性症状と陰性症状

統合失調症は、主に陽性症状と陰性症状の2つの症状グループで特徴づけられます。

陽性症状

陽性症状は、本来存在しない体験や感覚などの異常な症状を指します。次に代表的な陽性症状をいくつか挙げます。

  • 幻視(幻覚)
    実際には存在しない視覚的な刺激の知覚
  • 妄想(Delusions)
    現実に反する信念や考えの持続的な保持
  • 思考障害(思考障害)
    脈絡のない言語、話題の飛躍、または会話が理解しにくい
  • 言語障害(言語障害)
    無意味な言葉の羅列、音の繰り返し、または新しい言葉の創造
  • 運動障害(運動障害)
    筋肉の硬直、自発的な運動の減少、または奇妙な動作

陰性症状

陰性症状は、通常の感情、動機、または行動の減少を指します。次に代表的な陰性症状をいくつか挙げます。

  • アフェクトフラットニング(Affective flattening):感情の減少または欠如
  • アボリション(Avolition):動機の減少、活動の減少、または行動の欠如
  • 無口症(Alogia):言葉の生産の減少または欠如
  • 社会的引きこもり:社会的活動の減少、人との交流の避け方、または興味の欠如

これらの症状は、病気の進行によって変化することがあります。治療によって、症状の軽減や改善が可能な場合があります。

統合失調症の発症の過程

統合失調症の発症の過程は、一般的には次のような段階を辿ります。

段階
前駆期(プロドローム)

精神病症状が現れる前の期間で、数週間から数年にわたり、社会的、職業的機能の低下や気分の不安定さ、異常な行動などが現れる場合があります。
この期間に早期介入が行われることで、将来の発症を遅らせたり、症状の軽減につながることがあります。

段階
急性期

陽性症状が現れ、幻覚、妄想、錯覚、思考障害などが現れます。この期間には、入院治療が必要となる場合があります。

段階
安定期

急性期の治療後に、症状が一定期間改善された状態を指します。ただし、この期間にも、慢性的な陰性症状が残る場合があります。

前駆期の症状

前駆期の症状は個人差がありますが、次のようなものが知られています。

  • 社交性の低下や、親しい人との関係において不自然な反応が現れる
  • 意欲の低下や、集中力の低下が現れる
  • 不安感や、緊張感、敏感になっていると感じる ・気分が不安定で、怒りっぽくなる場合がある
  • 異常な思考回路が現れる ・感覚に異常を感じる(例えば、音や色に対する異常な反応など)
  • 妄想や幻覚、疑い深い考え方が現れる場合がある

これらの症状が現れた場合には、早期に医師や精神保健専門家に相談することが重要です。

急性期の幻覚・妄想・自我症状などの症状

幻覚

統合失調症の急性期(活動期)における幻覚症状は、主に視覚幻覚や聴覚幻覚が現れます。具体的には、次のような幻覚症状が見られます。

  • 聴覚幻覚
    音が聞こえる、人の声が聞こえる、呼びかけられる、音楽や歌が聞こえるなどの虚偽的な音が聞こえる。
  • 視覚幻覚
    人の顔が歪んで見える、物が変形して見える、人や物が動いているように見える、動物がいるように見える、色が変わって見えるなどの虚偽的な光景が見える。

これらの幻覚症状は、現実との乖離が大きく、患者にとって非常に苦痛なものとなることがあります。また、他の症状と併発することもあります。

妄想

統合失調症の急性期において、幻覚だけでなく妄想も現れることがあります。妄想とは、現実と矛盾する信念や考えのことで、患者が固執するという特徴があります。次に代表的な妄想の例を挙げます。

  1. 迫害妄想
    自分が迫害されているという信念があります。例えば、他人に監視されている、自分を陥れるために策略が巡らされているという考えなどです。
  2. 嫉妬妄想
    自分の配偶者や恋人が浮気をしていると信じることがあります。この妄想によって、患者はつきまとったり、自分自身を傷つけることがあります。
  3. 被害妄想
    身体的な被害や損害が自分に対して行われているという信念があります。例えば、体内に異物が埋め込まれている、体に電流が流されているなどがあります。

これらの妄想は、患者が常にそれらに注意を向け、その行動が制限されたり、社会的な関係が崩れたりすることがあります。また、急性期の妄想は、幻覚と同様に、現実との区別がつかなくなることがあるため、適切な治療が必要です。

妄想気分、妄想知覚、妄想着想、関係妄想

妄想気分

妄想気分は、不快な感情を伴う虚偽の信念や疑念の存在を主張する症状であり、患者は自分自身や周りの人々に対して異常な疑念や不信感を抱きます。

妄想知覚

妄想知覚は、外界からの刺激に対して誤った解釈がされ、患者が現実とは異なる感覚を持つ症状です。
例えば、何かが自分の体内に入り込んだと感じたり、自分が監視されていると感じたりすることがあります。

妄想着想

妄想着想は、不合理な信念や考え方に基づく思考パターンを示す症状であり、現実に起こっていることについて、不合理な解釈を行うことがあります。
例えば、自分が偉大な人物であると信じたり、自分が宇宙人に誘拐されたと信じたりすることがあります。

関係妄想

関係妄想は、特定の人物や集団との間に存在しない関係を信じ込む症状です。
例えば、自分が政治家や有名人と親密な関係にあると信じたり、周りの人々が自分に敵意を持っていると信じたりすることがあります。

これらの症状は、統合失調症の急性期によく見られます。ただし、患者によって異なるため、全ての患者がこれらの症状を経験するわけではありません。

自我障害

統合失調症の急性期には、自我の障害が見られることがあります。自己と現実との区別が曖昧になり、自己のアイデンティティや意識の一貫性が欠如することがあります。具体的には、次のような症状が見られます。

  • 自己の感覚や動作が他者に支配されていると感じる錯覚
  • 自己の意志に反して行動が制御されると感じる錯覚
  • 自己と他者の境界が曖昧になっていると感じる錯覚
  • 自己が外部から支配されているという妄想

これらの症状により、患者は自己と現実の区別がつかず、自己のアイデンティティや意識の一貫性が欠如するため、日常生活に支障をきたすことがあります。

思考過程、会話の障害

統合失調症の急性期には、思考過程の障害や会話の障害が見られることがあります。

思考過程の障害は、言葉やアイデア、イメージなどの思考の内容が混乱し、一貫性を欠いたり、不条理なつながりを持ったりすることが特徴です。具体的には、思考の飛躍、思考の停滞、思考の封鎖、思考の抽象化の障害があります。また、自分の思考が他人に読まれているという「思考公開妄想」を抱くこともあります。

会話の障害は、思考過程の障害に伴い、言葉の意味が混乱し、独特な言葉遣いや発語障害を示すことがあります。具体的には、言葉の意味が外れたり、同音異義語を使ったり、言葉遊びをすることがあります。また、相手の話を理解できないために、回答が的外れになることがあります。このような言葉の意味や内容の混乱は、他人とのコミュニケーションにも支障をきたすことがあります。

意欲・行動障害

連合弛緩

連合弛緩は、身体運動の調節機能が低下して、動作が滑らかでなくなることを指します。
統合失調症患者においても、連合弛緩の症状が見られることがあります。

緊張病症候群

緊張病症候群は、意欲・行動の障害の一つで、緊張状態にあるために体が硬直する症状です。
患者は、筋肉の硬直感、姿勢の変化、口の中の乾き、動悸、多汗、手足の震えなどを感じることがあります。

自発性減退

自発性減退は、行動や言葉の出現頻度が低下し、無関心や無気力、無表情などを示す症状です。
患者は、自発的な行動や関心が低下し、口数が少なくなったり、無表情で物事に対する興味や喜びを感じにくくなったりします。また、身の回りのことを放置してしまうことがあるため、社会生活に支障が出ることがあります。

感情の障害

統合失調症の急性期においては、感情の障害もときおりみられます。具体的には、表情や声の抑揚が乏しくなったり、無表情になったり、感情表出が不適切になることがあります。また、感情の反応が鈍くなったり、遅れたりすることもあります。これらの症状は、陰性症状の一種として知られています。ただし、統合失調症の症状は個人差があり、必ずしも全ての人が同じ症状を示すわけではありません。

急性期の統合失調症において、次のような感情・社会性の障害が見られることがあります。

  • 両極性障害(感情的な平坦化)
    感情表現の欠如や減少が見られる症状。表情や話し方が乏しくなり、感情の起伏が少なくなる。
  • 自閉的傾向(自閉症)
    自分の内的世界に没頭する傾向があり、周囲の人々や社会的な出来事に対する関心が薄れる。
  • 疎通の障害(alogia)
    言葉の生産やコミュニケーションに問題が生じる症状。話が短縮され、内容が希薄になったり、会話が進まなくなったりする。
  • 病識の障害(洞察の欠如)
    自分が病気であるという認識が希薄になり、治療や入院に消極的になる傾向がある。

これらの症状は、患者の日常生活や社会性の面で大きな影響を与えることがあります。治療の目的の一つは、これらの障害を軽減することです。

慢性期症状

統合失調症の慢性期症状には、次のようなものがあります。

  • 陰性症状
    気分の低下、動機の減退、興味や楽しみの喪失、社会的引きこもり、無気力、言語貧疏など。
  • 味覚・嗅覚異常
    食欲不振や嗜好の変化、異臭嗅覚や無臭嗅覚など。
  • 情動不安定
    抑うつ症状、過敏性、攻撃性、不安感、うつ状態など。
  • 認知機能障害
    注意欠陥、記憶障害、思考障害、言語障害、実行機能の低下など。
  • 統合失調症特有の症状
    妄想や幻覚は、急性期に比べて軽度化することが多いが、なお残存する場合がある。
  • 身体症状
    身体的不快感、疼痛、めまい、手足のしびれ、筋肉の緊張感などの身体症状が出現することがある。

これらの症状がある場合、患者の日常生活や社会生活に支障をきたすことがあります。また、これらの症状は治療によって改善することができますが、完全に治癒することはまれであり、長期的な治療が必要となる場合があります。

統合失調症の診断

統合失調症の診断手順

手順
精神病歴の聴取

医師が患者の病歴を聴取することで、症状の経過や現在の状態、治療歴などを把握します。

手順
身体検査および検査の実施

身体検査を行い、身体的な原因による症状の排除を行います。また、血液検査や脳波検査、脳画像検査などを行い、統合失調症の可能性を確認します。

手順
DSM-5に基づく診断基準の評価

DSM-5に基づく診断基準に従って、症状の有無や程度を評価します。主な診断基準は、次の3つです。

  • 陽性症状(幻覚、妄想、混乱など)の存在
  • 陰性症状(情動鈍麻、社会的引きこもり、自発性の減退など)の存在
  • 症状が6か月以上継続し、その期間において、1か月以上症状が持続したこと
手順
他の精神疾患との鑑別

統合失調症の症状は、他の精神疾患でも現れることがあるため、他の精神疾患との鑑別が必要です。

手順
統合失調症のタイプの特定

統合失調症には、一次性および二次性のタイプがあります。
一次性の場合は、症状が原発的に生じるのに対し、二次性の場合は、他の原因によって症状が引き起こされることがあります。タイプを特定することで、適切な治療法を選択することができます。

以上が、統合失調症の診断の進め方の一般的な流れです。ただし、患者の症状や状況によっては、異なる診断方法が採用されることがあります。

ICD-11の診断ガイドライン

ICD-11(国際疾病分類第11版)における統合失調症の診断ガイドラインは次の通りです。

  1. 臨床的特徴
    統合失調症の診断には、少なくとも1ヶ月以上の期間にわたり、次のような症状が存在する必要があります。
    • 錯覚、妄想、混乱、思考、言語、行動の不調
    • 緊張、不安、抑うつ、情動の減弱
    • 認知機能の低下
  2. 重症度
    症状の重症度によって、次の3つのサブタイプに分類されます。
    • 統合失調症単型型:陽性症状(妄想、幻覚など)が優勢である。
    • 統合失調症陰性症状型:陰性症状(自発性の減退、情動の乏しさなど)が優勢である。
    • 混合型:陽性症状と陰性症状が同等に現れる。
  3. 除外基準
    次の疾患が除外されていることが必要です。
    • 躁うつ病
    • 双極性障害
    • 精神病性障害(統合失調症以外の病型)
  4. その他の要件
    • 発症年齢:15歳以上
    • 症状の持続期間:1ヶ月以上
    • 症状の重症度:社会的機能に重大な影響を及ぼす

以上が、ICD-11における統合失調症の診断ガイドラインになります。ただし、各国の診断基準によって微妙に異なる場合があります。
※ICD-11では、病型分類は廃止され、代わりに症状や機能上の障害に基づく詳細な診断が提供されるようになりました。従来のように、統合失調症は「パラノイド型」、「カタトニック型」、「不定型」などの病型に分類されることはありません。代わりに、症状のタイプや程度に基づいて、統合失調症を診断するための詳細な診断基準が提供されます。

統合失調症の鑑別診断

統合失調症の鑑別診断には次のような疾患が該当します。

  • 器質性精神障害
    脳卒中、脳外傷、脳腫瘍、感染症などの脳の損傷によって引き起こされる精神症状を伴う疾患
    診断には身体検査、神経心理学的検査、脳画像検査などが行われます。
  • 精神作用物質による障害
    アルコール、覚せい剤、大麻、LSD、PCPなどの物質乱用によって引き起こされる精神症状を伴う疾患
    診断には尿検査、血液検査、毛髪検査などが行われます。
  • うつ病・双極性障害
    気分障害によって引き起こされる精神症状を伴う疾患
    診断には精神状態の評価、うつ病・双極性障害の診断基準を満たす症状があるかどうかの確認が行われます。
  • パーソナリティ障害
    個性や性格の特徴が非常に強く、その特徴が日常生活や社会的関係に支障をきたす障害
    診断には心理学的評価が行われます。

これらの疾患との鑑別診断には、症状や病歴、身体検査、精神状態の評価、検査結果の比較などが必要となります。また、疾患間には重複する症状もあるため、診断には時間をかけて綿密な検査や評価が必要となります。

『統合失調症の治療―実践ガイドライン2020年版』(日本精神神経学会編集、南江堂、2020年)

『統合失調症の臨床ガイドライン』(編者:小林宏彰、発行:精神神経学会、2019年)

『精神科看護実践ガイドブック』(編者:長崎勇、発行:医学書院、2018年)

『統合失調症―診断と治療の実際』(著者:鈴木康雄、発行:中外医学社、2017年)

『統合失調症の最新治療』(編者:近藤徹、発行:医学書院、2017年)

『統合失調症と回復―その理論と実践』(著者:森川真也、発行:金剛出版、2017年)

『統合失調症の理解と対応―精神科医・看護師・臨床心理士・社会福祉士・保健師のために』(編者:糸賀幹夫、発行:医学書院、2016年)

Carpenter, W. T., & Buchanan, R. W. (1994).精神分裂症・ニューイングランドジャーナルオブメディシン、330(10)、681-690

リーバーマン、JA(1999)統合失調症は神経変性疾患ですか?臨床的および神経生物学的視点・生物学的精神医学、46(6)、729-739

Mueser, K. T., & Gingerich, S. (2013).病気の管理と回復:研究のレビュー。精神科サービス、64(5)、510-521

アンドレアセン、ノースカロライナ州(1999)統合失調症の単一モデル:統合失調症としてのブロイラーの「断片化されたフレン」一般精神医学のアーカイブ、56(9)、781-787

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