3時間無料対面カウンセリングを行っています。無料カウンセリング予約フォームでお申し込みください。ボタン

夢遊病者か睡眠時に叫ぶ-実際の無料心理相談例を徹底検証③

目次

夢遊病か?睡眠時に歯ぎしりや寝言、大きな叫び声、突然起き上がり異常行動を起こすことがある。睡眠時の異常行動を徹底検証3弾

2023年1月、3時間無料相談でナルコレプシー(過眠症状)と思われる相談を受けましたが、ナルコレプシーは実際に医師の診断や診療が必要なことだと思いますが、実は2022年10月に睡眠時の異常症状の睡眠時随伴症群と思われる相談を受けていました。相談内容は「ストレスが多く溜まっているのか、睡眠中に無意識で歯ぎしりやはっきりした言葉で寝言を言う、時には大きな声で叫ぶことやベットを蹴ったり物を投げたり、ドアを開けたりする異常行動を起こしているので、何かに憑かれているのか恐ろしい」ということでした。
こちらの睡眠障害も医師の分野だと思いますが、心理療法として考えられることは睡眠時随伴症群ではないかと予測しました。

睡眠時随伴症群

  • 夜間歯ぎしり
    夜間に歯を食いしばり歯ぎしりすることや歯噛みをすることがある
  • 夜間脚痙攣
    夜間にふくらはぎや足首が痙攣することがある
  • 夜間運動障害
    夜間に手足が動いてしまうことがある
  • 夜間発作性睡眠無呼吸症候群
    睡眠中に突然息が止まることがある
  • 夜間エナメル質欠損症
    歯の表面が削れてしまうことがある
  • 夜間多汗症
    夜間に多くの汗をかくことがある
  • 夜間頻尿症
    夜間に何度もトイレに行くことがある
  • 夜間の異常行動
    睡眠中に歩き回ったり、激しい寝返りを打ったりすることがある
  • 睡眠時游行症(夢遊病)
    睡眠中に歩き回ったり、行動することがある
  • 睡眠時過剰接触症
    睡眠中に自分自身やベットの周りの物を過剰に摩擦したりする
  • 睡眠時過剰摂食症
    睡眠中に目が覚めることなく、感覚のようなもので物を食べて目が覚めても記憶のないことがある
  • 睡眠時驚愕症(夜驚症)
    睡眠中に突然大声で叫び激しく動いて起きることがある
  • レム睡眠行動障害
    ・寝言や叫び声を発することがある
    ・蹴ったり、打ったり、投げたりするなどの身体的な動作をすることがある
    ・夢の内容に合わせて身体的な動作をすることがある
    ・睡眠中に突然起き上がり、パニックになることがある
    ・睡眠中に急速な心拍数や呼吸が増加することがある
    ・レム睡眠中に痛みを感じることがある。
  • レストレスレッグス症候群
    寝た間際から夜間に足の付け根やふくらはぎ、腿などに「むずむず感」や「虫が這いずりまわる」ような感覚や痛みがある
  • 周期性四肢運動障害
    夜間に四肢に稲妻が走るような収縮が繰り返し出現する

睡眠時随伴症群

睡眠直前、睡眠時または覚醒時、何らかの目的や意味があるような複雑な行動が骨格筋や自律神経系において様々な生体現象や異常行動に関連する症状が次のように生じます。

睡眠時幻覚症候群

睡眠中に幻覚を覚える症状を指し、夢幻覚、睡眠時幻覚、悪夢などが生じます。

睡眠時関連行動障害

睡眠中に異常な行動を起こす症状を指し、睡眠時遊行症、夢遊病、睡眠時過剰摂食症など生じます。

骨格筋の異常興奮症候群

睡眠時無意識のうちに筋肉が不随意に動く、または反応する異常現象を指し、周期性四肢運動障害、脚の痙攣、レストレスレッグス症候群などが生じます。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠中に一時的に呼吸が止まる症状を指し、いびきや上気道抵抗症候群、中枢性睡眠時無呼吸症候群などに分類されます。

自律神経機能の異常症候群

自律神経系が正常に機能しないことによって引き起こされる症状を指し、夜間多汗症、寝汗、睡眠中の徐脈や頻脈、低血圧なが生じます。

睡眠時随伴症はノンレム睡眠とレム睡眠に関連するものとその他の睡眠時随伴症に分けられます。

睡眠時游行症(夢遊病)

ノンレム睡眠中に無意識に起き上がって、目を開けていることが多いのですが、ぼんやりした症状で歩き回るなどもします。深い睡眠状態にもかかわらず話したり、障害物をよけてドアや窓から出るなど目的のないの行動をとる睡眠障害の一種で、異常行動は10分程度で終了し再び寝室で眠り込みます。時には、眠りから目が覚めた後に疲れや頭痛を感じることがあります。
夢遊病は小児の15%〜40%が一度は経験し、成人では一般的に20代から30代の3〜4%に繰り返しが見られ、男性の方が女性よりも発症率が高いとされています。
夢遊病は自覚症状がないため、周囲の人が気づいて発見することが多いとされていますが、治療が必要な疾患であり専門医の診断を受ける必要があります。治療法には、薬物療法、認知行動療法、生活習慣の改善、身の回りの安全確保などがあります。

夢遊病の原因は、遺伝的要因や精神的なストレス、睡眠不足、アルコールの摂取、薬物の使用などが関係していると考えられています。

睡眠時驚愕症(夜驚症)

睡眠時驚愕症(夜驚症)は、睡眠中に突然の恐怖で覚醒し、悲鳴や大声で叫び、激しく動く症状があります。一般的には悲鳴や恐怖の叫び声が出る発作で夜中に何度も繰り返されることがあります。ノンレム状態で出現し、発汗や動悸などを伴いますが目が覚めても記憶にはないことがほとんどです。
夜驚症は、周囲や本人にとっても辛い症状ですので、周囲の人が適切なアプローチをとることが必要です。ただし、夜驚症の発作中に揺さぶったり、急に起こしたりすることは避け、落ち着くまで静かに見守ることが望ましいとされます。また、本人が症状を認識している場合には、ストレスがかかってしまうので負担にならないような配慮も大切です。

治療法としては、睡眠の改善、ストレスの軽減、睡眠薬や抗不安薬の処方があり、予防には、睡眠環境の整備や規則正しい生活習慣の維持が重要です。発症年齢については、小児期から思春期にかけて多く見られ10%の割合とされていますが、多くの場合は成長とともに自然治癒し、成人期になると発症率が低下する傾向があります。男性の方が女性よりも発症しやすいという報告もあります。

睡眠時過剰摂食障害

睡眠時過剰摂食症の場合、睡眠中に目が覚めることなく食物摂取や飲水行動を繰り返します。しかし、摂取する食物はを炭水化物や脂肪を多く含む食品を選ぶ傾向があるため、ある程度の意思決定に基づいていることが知られています。つまり、混乱しているわけではなく、ある程度意識がある状態で行動している可能性があります。ただし、未調理や冷凍食品のままやペットフードなどを食べたり、包装を開けたりする行動は自動的かつ反射的に行われるため、実際にその行動を行っている本人が自覚していないことにもなります。

睡眠時過剰摂食症については、実際に医療機関を受診することが少なく疫学的な研究があまり進んでいないため、正確な発症率は不明ですが、過剰な睡眠時摂食行動を示す人は比較的多く、全人口の約1〜2%に達するとされています。女性に多く発症する傾向があり、特に20代後半から40代前半の女性に多く見られます。また、肥満や過食症、不眠症などの精神疾患を併発している人に多いとされています。

レム睡眠行動障害

レム睡眠中に夢の中で身体を動かす症状です。通常はレム睡眠中には身体が麻痺しているため、身体を動かすことはできませんが、レム睡眠行動障害では筋肉の麻痺が不十分で夢の中での行動ができてしまいます。軽症は明瞭な寝言やベットから落ちたり四肢の異常運動ですが、重症となると寝床から起きての行動や暴力行為に至る場合もあります。ただし、せん妄とは違い睡眠中に起きる現象ですので、容易に覚醒させることが可能で本人が体験を想起することもできます。

全体的に男性に多く見られる睡眠障害で、一般的に、50歳以上の中高年に発症することが多く、年齢が上がるにつれて発症率が高くなる傾向があります。また、神経変性疾患を患っている場合に発症することが多く、発症してから5年後までに約30%、10年後までに80%以上がパーキンソン病、多系統萎縮症、レビー小体型認知症といった疾患と関連があることが報告されています。

世界中のさまざまな地域で調査が行われていますが、具体的な発症率は地域によって異なっています。米国では、発症率は65歳以上の人口において0.5〜1%程度と報告されています。また、日本での発症率は50歳以上の人口において1.0〜1.6%程度と報告されています。

夜間歯ぎしり

睡眠中に無意識に歯を強く噛みしめたり、歯を擦り合わせたりすることを指し、一般的には「歯ぎしり」という呼び方をすることが多い症状です。夜間歯ぎしりは、生活習慣病の1つであるストレスによって引き起こされることが多いとされていて、ストレスによって身体が緊張し、筋肉が硬直してしまいその緊張が顎の筋肉にも影響し、夜間歯ぎしりが起こるとされています。また、不良な咬合(噛み合わせ)が原因で歯ぎしりを引き起こす場合もあります。

夜間歯ぎしりによって、歯や歯茎に損傷を与えたり歯の神経や骨にダメージを与えてしまい、歯茎が痛むなどが挙げられます。また、顎関節症の原因にもなることがあります。
夜間歯ぎしりの治療法としては、マウスピースを使用する方法が一般的です。マウスピースは、歯のすり減りや損傷を防ぐことができ、また、筋肉の緊張を緩和する効果もあるため、歯ぎしりを防止することができます。その他、ストレスを解消するためには運動やリラックス法、ストレス管理なども有効です。

REM睡眠行動障害(夜間過剰接触症)

睡眠中に自分やベッドの周りの物を過剰に摩擦したり、叩いたりの行動を繰り返す症状で、脳の睡眠中における異常な活動に起因して発生すると考えられています。睡眠中の脳は、筋肉の緊張を抑制するために「鎮静神経」と呼ばれる神経を優位に使いますが、夜間過剰接触症の場合は、この鎮静神経が正常に機能せず筋肉の緊張を抑えることができません。
症状が現れるのはレム睡眠期に発生し、例えばベッドで悪夢を見ているかのように激しく動いたり、叩いたり、蹴ったりすることが挙げられます。

夜間過剰接触症の治療法としては、ドパミン作動薬を用いた薬物療法が行われる場合があります。また、睡眠時の環境改善や、周囲の安全確保、安全な寝具の選択なども重要な治療法となります。重度の場合には、他者や自分自身を傷つける恐れがあるため、医師の監視下で入院治療を行うこともあります。

レストレスレッグス症候群(下肢静止不能症候群・むずむず脚症候群)

下肢や上肢(特に下腿)、稀に大腿部や腕、指などに起こる「むずむずする」「虫が這いまわる感じ」「張るような感じ」「ほてり感」「突っ張るような感じ」「下肢の骨に違和感」「不快な感覚」「痛み」または動揺感により、静止していられなく足を動かしたくなる異常感覚の症状が特徴です。症状が重くなると動かしたり揉んだりだするだけではなく、一晩中歩きまわらなければ症状が治まらない場合もあります。昼でも授業中や理容店などで椅子に腰かけていたり、マッサージで横になりじっとしている時や、特に夜間の寝室に横たわると同時に悪化する傾向があります。日中より夕方、夜に症状がひどくなります。
発症のピークは中年期ですが、少年期、青年期に発症していることや高齢者でもよく見られます。

周期性四肢運動障害

睡眠中に起こる四肢の周期的な不随運動が特徴的な障害です。この症状は、ミオクローヌスの稲妻が走るように下肢を中心(足関節や拇趾の背屈、膝関節や股関節の屈曲)に発生し、足首やふくらはぎ、太ももなどの筋肉が自発的に収縮し、脚を突っ張らせたり、キックしたりすることがあります。この運動は0.5〜5秒で20〜60秒間隔で出現し、睡眠中の1時間当たり5回以上認められます。睡眠中は不随運動を自覚していないことも多いですが、日中に睡眠の質が低下したことにより、日中の眠気や疲れ、集中力の低下など症状の機能障害が生じることで周期性四肢運動障害と診断されます。
レストレッグス症候群と合併することが多いと言われています。
特に高齢者に多く見られることが知られていますが、若年層にも発生します。

睡眠時随伴症群周期性四肢運動障害の治療法

「睡眠時随伴症群(Sleep-related movement disorders)」には様々な症状が該当しますが、例として「周期性四肢運動障害(Periodic Limb Movement Disorder, PLMD)」を考えてみます。PLMDは睡眠中に四肢の繰り返しの動きがあり、これが睡眠の質を低下させます。

薬物療法

1. ドパミン作動薬

  • プラミペキソール、ロピニロール: ドパミンの作動を調整し、四肢の動きを抑制する効果が期待されます。

2. 抗てんかん薬

  • ガバペンチン、プレガバリン: 中枢神経の興奮を抑制し、四肢の運動を安定化させる効果が期待されます。

3. ベンゾジアゼピン系薬物

  • クロナゼパム: 筋肉の弛緩を促進し、四肢の動きを抑制する効果が期待されます。

精神療法

1. 睡眠衛生指導

  • 概要: 健康な睡眠習慣や環境整備を通じて、睡眠の質を向上させる治療法です。
  • 効果: 睡眠環境や習慣の改善を通じて、PLMDに伴う睡眠の影響を軽減することが期待されます。

2. 行動療法

  • 概要: 不安やストレスに対処し、これがPLMDに与える影響を軽減する治療法です。
  • 効果: 精神的な要因が影響を与えている場合、これに対処することが効果的です。

併用療法

薬物療法と精神療法を併用することで、PLMDに対するアプローチが多面的になり、より総合的な改善が期待されます。

治療計画は患者の症状やニーズに基づいて個別に調整され、治療の成功には患者と治療チームとの協力が重要です。

睡眠時随伴症群の心理療法

  • 心理教育
    睡眠時随伴症群の症状について理解を促し、生活習慣や睡眠環境の改善を提案することで症状の改善を促す方法です。
  • 睡眠ハイジーンの改善
    睡眠環境や睡眠時の習慣の改善を行い、睡眠質を改善することで睡眠時随伴症群の症状を軽減することができます。
  • 認知行動療法
    睡眠時随伴症群の症状を改善するための認知行動療法の技法を用いて、患者の思考や行動を変えることで症状の改善を促す方法です。
  • 心理療法
    過去のトラウマやストレスなどの心理的な問題が睡眠時随伴症群の原因となっている場合に、心理療法を行うことで症状の改善を促す方法です。

具体的な予防策

  • ストレスを軽減すること
    ストレスが緊張や不安を引き起こすことが原因の一つになっています。ストレスを軽減するためには、瞑想やヨガ、深呼吸などのリラックス方法を試してみることが効果的です。
  • 規則正しい生活リズムを維持すること
    睡眠リズムを乱すことが原因の一つになっています。規則正しい生活リズムを維持することで、睡眠の質が向上し防ぐことができます。
  • アルコールやカフェインを控えること
    アルコールやカフェインは、睡眠を妨げる原因になることがあります。アルコールやカフェインを控えることで発症リスクを減らすことができます。
  • 運動をすること
    運動はストレスの軽減に役立つだけでなく、睡眠の質を向上させる効果もあります。運動をすることで予防することができます。

DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル 高橋三郎・大野裕監修/2021医学書院標準精神 尾崎紀夫・三村將・水野雅文・村井俊哉/医学書院
American Academy of Sleep Medicine. International classification of sleep disorders. 3rd ed. Darien, IL: American Academy of Sleep Medicine; 2014.
Schenck CH, Mahowald MW. Parasomnias. In: Kryger MH, Roth T, Dement WC, eds. Principles and Practice of Sleep Medicine. 6th ed. Philadelphia, PA: Elsevier Saunders; 2017: 1389-1407.
American Psychiatric Association. Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders. 5th ed. Arlington, VA: American Psychiatric Association; 2013.
Aurora RN, Zak RS, Maganti RK, et al. Best practice guide for the treatment of REM sleep behavior disorder (RBD). J Clin Sleep Med. 2010;6(1):85-95.
Schenck CH, Bundlie SR, Ettinger MG. Chronic behavioral disorders of human REM sleep: a new category of parasomnia. Sleep. 1986;9(2):293-308.
Boeve BF, Silber MH, Ferman TJ. REM sleep behavior disorder in Parkinson’s disease and dementia with Lewy bodies. J Geriatr Psychiatry Neurol. 2004;17(3):146-157.
American Academy of Sleep Medicine. International classification of sleep disorders. 2nd ed. Westchester, IL: American Academy of Sleep Medicine; 2005.

目次