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金縛り・悪夢体験-実際の無料心理相談例を徹底検証➁

目次

中枢性過眠症群のナルコレプシーは、睡眠麻痺(金縛り)、入眠時幻覚(鮮明な悪夢体験)を引き起こすケースもある。

2023年1月に3時間無料対面カウンセリングに予約が入りました。予約シートには「睡眠直後や睡眠中に心霊現象のような金縛りや幻覚なのか霊体験が度々起きてしまい、体験後は体がだるかったり、時には痛みが伴った経験もある」。というものでした。

これは睡眠の覚醒維持に関わる中枢性過眠症群の症状の一つで、睡眠麻痺の金縛り、または入眠時幻覚で生じる鮮明な悪夢・幻覚体験のいずれかである可能性もあると推測はしました。

ただし、入眠時幻覚と睡眠麻痺は、ナルコレプシーの症状の一部であることもありますが、必ずしもナルコレプシーを持つ人に現れるわけではありません。
確かに入眠時幻覚は、入眠時に見る幻覚や幻聴で、独特の体験をもたらすことはあります。また、睡眠麻痺は、入眠時や覚醒時に筋肉が意図的に動かせなくなる症状で、突然起こり、不安や恐怖を引き起こすことがあります。
結果的にナルコレプシーは、これらの症状を伴うことがありますが、中枢性過眠症群の一種であり、突然の睡眠発作、昼間の強い眠気に注目しており、入眠時幻覚、睡眠麻痺などの症状は伴う場合があるとしています。
また、ナルコレプシーは、神経系の障害によって引き起こされることがありますので、診断には、多相睡眠検査(MSLT)やポリソムノグラフィー(PSG)などの検査が使用されます。

中枢性過眠症群とは

中枢性過眠症候群は、異常なまでの睡眠欲求と過度の昼間の睡眠(ナルコレプシー)を特徴とする神経学的な疾患です。異常な睡眠欲求は過眠と呼ばれ、覚醒時に過剰な眠気が生じて居眠りを繰り返してしまう状態や夜間の睡眠が延長している状態のことです。その他の症状としては、筋肉の緊張を伴う睡眠準備不足、睡眠中の幻覚や錯覚、不随意的な筋肉の痙攣などです。

中枢性過眠症群は、睡眠覚醒リズム障害の一種であり、日中に異常なまでの眠気や過度の睡眠欲求を伴う疾患です。中枢性過眠症群には、次の3つのタイプがあります。

  1. ナルコレプシー
    突然の睡眠発作を伴う症状が特徴的です。まれに筋肉の麻痺(睡眠麻痺)や入眠時幻覚を伴うこともあります。
  2. カタプレキシー
    感情的な刺激によって筋肉が弛緩し、意識ははっきりしていますが、体が動かせない状態になる症状が特徴的です。強い感情を抑えることで、症状を回避できることがあります。
  3. 睡眠時無呼吸症候群
    夜間に一時的に呼吸が止まり、窒息感を伴う症状があります。この症状により、深い睡眠が妨げられ、日中の眠気を引き起こすことがあります。

病因・病態、診断

中枢性過眠症群は脳の神経伝達物質のバランスが崩れ、脳内での睡眠と覚醒の調節に影響する脳領域(覚醒促進系、睡眠促進系、およびそれらをつなぐ橋渡しとなる下垂体)が正常に機能しなくなることによって引き起こされます。また、情動脱力発作を伴うナルコレプシーは覚醒状態の維持に重要なオレキシン神経伝達物質の欠乏で後天的に変性脱落する例が多いことから自己免疫機序が関連していると推測されています。また、遺伝的な要因や環境的なトリガー(感染症、ストレス、脳の外傷など)が関与する可能性があるといわれていますが、いまだに解明できていません。

診断には、反復入眠潜時検査・睡眠多剤耐性検査(MSLT)や、脳波検査(多頻度エレクトロ脳波検査:MEG、ポジトロン断層法:PET、磁気共鳴画像法:MRIなど)が行われます。

ナルコレプシー

ナルコレプシーは、中枢性過眠症候群の一種であり、ほぼ毎日出現する日中の異常な眠気に加えて、レム睡眠に関連した睡眠発作、情動脱力発作、睡眠麻痺、入眠幻覚がみられる特徴的な疾患です。
ナルコレプシー の推定有病率は、0.16~0.18人の割合で10万人に数人程度で思春期の発症が主です。

睡眠麻痺

睡眠麻痺は、金縛りとも呼ばれ、睡眠と覚醒の移行期(入眠時が多い)に生じる全身脱力症状です。通常は夜間や昼寝などの睡眠中に発生する症状であり、目が覚めている感覚でも身体が動かないや、声が出ない、一時的に呼吸ができなくなることもあるうえに幻覚や妄想で強い恐怖を感じることがあります。この症状は、通常、数分間続きますので非常に不快であり、日常生活に影響を与えることがあります。

なお、睡眠麻痺の金縛りの脱力症状は、健常者にも起こることがあります。健常者でも睡眠中に脳が覚醒することがあるため、筋肉の麻痺が解除される前に意識が戻ってしまい、一時的に身体を動かすことができなくなることがあります。この状態は一過性のもので、数十秒から数分程度で自然に解消されます。

しかし、ナルコレプシーの場合、睡眠麻痺の金縛りは夜間だけではなく、日中にも頻繁に起こることがあり長時間続くことがあるため、生活に大きな影響を与えてしまいます。また、ナルコレプシーの場合、睡眠麻痺の金縛りが幻覚とともに起こることがあるため、より恐怖心を引き起こしてしまいます。
ナルコレプシーの人には睡眠麻痺が20〜60%に発生すると言われています。

次は睡眠麻痺の主な症状です。

  • 身体が動かせない
    睡眠麻痺の最も一般的な症状は、身体の麻痺です。身体が動かせないため、呼吸が困難になることがあります。
  • 覚醒意識がある
    睡眠麻痺の間、患者は目を開けたり、周りの音や刺激に反応することができますが、身体が動かせないために意識がはっきりしているにもかかわらず、動けないという不快な感覚を覚えることがあります。
  • 幻覚を見ることがある
    睡眠麻痺の中には、視覚的または聴覚的な幻覚を見ることがあることが報告されています。これらの幻覚は、恐怖を伴う場合があり、不快な体験となることがあります。
  • 恐怖を感じることがある
    睡眠麻痺の経験は、不快な体験となる場合があり、恐怖を感じることがあります。恐怖を感じることで、心拍数が上がり、呼吸が浅くなることがあります。

睡眠麻痺(金縛り)は、身体を動かせない時間が30秒から数分以内だと言われていますが、なかには「このまま死んでしまうのではないか」という感覚になる場合もあります。この際には視覚も聴覚も働いているため、誰かの声を聴いたとか、姿を見たとかというような心霊現象のような体験を次のようにすることもあります。

  • 体が固まったようにこわばってしまう
  • 貼り付けられたように全身が重く動かない
  • 声を出そうとしても声が出ない、体も動かない
  • 幽霊のようだがはっきりとした顔が目の前にいてこちらを見ている
  • 体外離脱のような感じがする
  • 意識があるのに体を動かせないが時計の音がはっきりと聞こえる
  • 耳鳴りがする
  • 誰かに触られたような感覚がする
  • 目が覚めていて息苦しさを感じる
  • 目が開かず声も出ない
  • 胸に重たいものが乗っている
  • 胸に人が乗っている

中枢性過眠症群の睡眠麻痺や金縛りの原因は、正確には解明されていませんが、REM睡眠において筋肉の弛緩が過剰に起こることが関係しているとされています。

入眠時幻覚

睡眠の直前の状態で覚醒から睡眠に移行する途中(意識混濁状態)で、鮮明で現実感のある幻覚を見ることを指します。この症状は、しばしば悪夢や恐怖を感じることがあり、現実世界から離れた異様な状況を体験することもあります。
ナルコレプシーの場合は、入眠時幻覚が昼夜構わず頻繁に発生し現実なのか幻覚なのかの判断がつかなくなり、深刻な問題を引き起こすことがあります。
健常者も過度のストレスや疲労などによって、入眠時幻覚が起こり異常な体験をすることがあります。しかし、健常者の場合は一過性の現象に留まり深刻な問題を引き起こしません。

入眠時幻覚の中でも、特に一般的なものには次のようなものがあります。

  • 光や色彩を見る
    目を閉じた状態で、赤や青、緑などの色彩が浮かび上がってくることがあります。また、光のようなものが点滅することもあります。
  • 聴覚的なものを聞く
    耳元でのささやき声や物音を聞くことがあります。また、鳥のさえずりや雨音などの自然音を聞くこともあります。
  • 体感的なものを感じる
    身体に触れたような感覚や、身体が浮いているような感覚を感じることがあります。
  • 幻覚的なものを見る
    眠っている部屋やベッド周辺に人がいるような幻覚を見ることがあります。また、怖いものや不気味なものを見ることもあります。

入眠時幻覚(悪夢・心霊体験)は、入眠直後に現実に体験しているかのように、生々しいリアルな幻覚(触感、運動感覚、音などの五感を伴うこともある)などを見ることや体験することで恐怖感も伴うことがあります。また、同じ幻覚や幻聴が繰り返されることも、日中にも入眠幻覚が現れることもあり、現実なのか幻覚なのか判断できないように追い込まれたりします。

次のように心霊現象のような体験をすることもあります。

  • 幽霊が立って怖い顔でこちらをにらんでいる
  • 自分の身体が宙に浮かんだ後に落とされた
  • 蛇や妖怪など恐ろしいものが体の上に乗っている
  • 窓や玄関からあやしい人影や化け物などが寝室に侵入してきて危害を加える
  • 天井に死神がいたのが降りてきて身体を圧迫する
  • 悪魔から身体を引きずられて階段から落とされそうになった
  • 首のない幽霊が頭を腕に抱えてこちらに近づいてくる
  • 白装束の女性数十人が交代で首を噛んでくる

入眠時幻覚は、ストレスや疲れ、薬の副作用などによって引き起こされることがあります。また、睡眠不足や不規則な睡眠リズムによっても起こりやすいとされています。

睡眠発作

中枢性過眠症群の一つであるナルコレプシーは、異常な強い眠気や急激な睡眠発作を特徴とする疾患です。ナルコレプシーの睡眠発作は、患者が意識を失うことなく、急に睡眠状態に入ることを意味しています。通常、この状態は、リラックスした状態での環境音や視覚的な刺激に反応して引き起こされます。睡眠発作は、通常は数分間から30分程度続きますが、場合によっては数時間にわたって続くこともあります。

ナルコレプシーの睡眠発作は、異常な強い眠気や疲れが原因で、日中に起こることが一般的です。また、感情的なストレスや過度の興奮、食事の直後などにも発生することがあります。睡眠発作が起こると、患者は急に強い眠気に襲われ、頭痛や筋肉痛、吐き気、幻覚、幻聴などの症状が現れることがあります。また、発作中に夢を見ることがあるため、現実と夢の境界が曖昧になることがあります。

ナルコレプシーの睡眠発作は、日常生活に深刻な影響を与えてしまい、患者は仕事や学校での集中力を維持できません。また、交通事故のリスクも高まるため早期の治療が必要です。

一般的な疲れや睡眠不足とは異なり、非常に強い睡魔が突然襲ってきて強制的に眠りに落ちる症状です。運転中や食事中、接客中や仕事中などでも生じ、危険な状況であっても眠気を抑えることができません。突発的な睡眠発作は数十分(20〜30分程度)程度で自然に目覚めますが、数時間後には再び突発的に眠気に襲われて居眠りを繰り返します。

情動脱力発作(カタプレキシー)

情動脱力発作、またはカタプレキシーは、ナルコレプシーの症状の一つで、突然の筋肉の弛緩や力の低下を引き起こす神経疾患です。この症状は、感情的な刺激によって引き起こされることが一般的で、笑い声や驚き、興奮などがトリガーとなります。

カタプレキシーの症状は、様々で、軽度のものではまぶたの痙攣や首の筋肉の弱りなどが起こり、重度のものでは全身の筋肉が弛緩し、倒れることもあります。症状は通常、数秒から数分間続き、意識は保たれますが、周囲の状況に対する反応が鈍くなります。また、カタプレキシーの発作が頻繁に起こる場合、日常生活に大きな影響を与えることがあります。

喜び、笑い、驚きの強い感情によって、筋弛緩で筋肉の緊張が弱まり、くびが垂れ下がる、呂律が回らない、膝が折れ曲がる、倒れ込む、意識を失う、脱力によって倒れ込む場合もあります。呼吸と外眼筋は確保され、数秒から長くても数分で回復します。転倒や怪我の心配がある他、運転などでは危険な事故を引き起こす可能性が大です。

カタプレキシーは、中枢性過眠症群の一種であるナルコレプシーに関連しており、通常はナルコレプシーと同時に発症します。症状の重症度は患者によって異なりますが、軽度の症例では、日常生活でカタプレキシーが発生してもほとんど支障をきたさない場合もあります。カタプレキシーの治療法には、刺激を避けることや、刺激に対するストレスを軽減することとなります。また、ナルコレプシーを治療することでカタプレキシーの症状を改善することができる場合があります。

ナルコレプシーの治療

ナルコレプシーの治療は中枢神経の興奮を促す刺激剤や抑制剤が使われることがあります。

中枢神経刺激薬興奮作用を持つ薬剤で日中の眠気を軽減する効果モダフィニル
三環系抗うつ薬情動脱力発作に対するレム睡眠の抑制作用クロミプラミン
セロトニン・ノルアドレナリン
再取り込み阻害薬
睡眠麻痺や入眠時幻覚を改善する効果ベンラファキシン
セレプトール
カルシュウムチャンネル遮断薬筋弛緩を抑制する効果アルモジピン
ベンゾジアゼピン
受容体作動薬
睡眠の質を改善ソルピデム
メラトニン
受容体作動薬
睡眠リズムを調整する効果クロナゼパム

治療薬は患者の症状に合わせて適切なものが選ばれますが、副作用や依存症などに注意して使用する必要があります。医師の指導の下で適切に使用することが重要です。
ナルコレプシーの治療には、薬物療法が一般的に使用されますが、心理療法や認知行動療法などの心理・精神療法も併用することで効果をあげます。

  • 睡眠ハイジーンの改善
    睡眠環境の改善や規則的な睡眠スケジュールの確立など、健康的な睡眠習慣を身につけることで眠りの質を改善することができます。
  • ストレス管理
    ストレスがナルコレプシーの発作を引き起こすことがあるため、ストレスを軽減するためのリラクゼーション法やマインドフルネスなどの技術を学ぶことが有効となります。
  • カウンセリング
    ナルコレプシーによって生じる心理的な負担に対してカウンセリングを受けることで、自己効力感やストレスへの対処能力を高めることができます。
  • 認知行動療法
    適切な行動や思考パターンを身につけ、ナルコレプシーによる影響を最小限に抑えることができます。例えば、発作前の早期警告サインを認識することや、発作が起こったときの緊急な行動計画を立てることが挙げられます。

これらの心理・精神療法は、ナルコレプシーによって生じる身体的な症状を改善することはできませんが、患者の心理的な側面や生活の質を改善することができます。ナルコレプシー治療には多面的なアプローチが必要であり、医師の指導の下、適切に組み合わせた治療法を選択することが重要です。

DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル 高橋三郎・大野裕監修/2021医学書院標準精神 尾崎紀夫・三村將・水野雅文・村井俊哉/医学書院
International Classification of Sleep Disorders第3版(ICSD-3)
American Academy of Sleep Medicine(AASM)のガイドライン

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