ひきこもりの要因が疾患や障害
「ひきこもり」は病名ではありませんが、様々な要因がひきこもりを起こしていることになります。例えば、生まれながらの生物学的要因に加え、対人・社会関係から起こる心理的要因、社会的要因だけではなく、発達障害や不安障害、統合失調症、PTSD、パーソナリティ障害、うつ病などの精神疾患や障害が要因となり、社会的ひきこもりを起こしているケースが多くあります。
「ひきこもり」の要因が発達障害
発達障害（例えば、注意欠陥多動性障害（ADHD）、自閉スペクトラム障害（ASD）、限局性学習障害（SLD）知的発達障害（IDD）など）を抱える人がひきこもることがあります。これは、個別の特性や社会的な適応の困難さがひきこもりに関連しています。
注意欠陥多動性障害（ADHD）とひきこもり
- 衝動性や注意力の欠如
- 衝動性や注意力の欠如がひきこもりを引き起こす可能性があります。学業や仕事、社会的な関係の中での困難さやストレスにより、衝動的な行動が増え、適切な対処が困難になることがあります。
自閉スペクトラム障害（ASD）とひきこもり
- コミュニケーションの困難さ
- 社会的なコミュニケーションや相互作用の困難さがひきこもりを引き起こす可能性があります。自閉スペクトラム障害を持つ人は、他者との関わり方に苦労することがあります。
限局性学習障害（SLD）とひきこもり
- 極端に苦手な特異的な神経発達症群
- 「読み」が苦手だと「書き」にも影響し「読み書き」の両方が苦手な人や、学習症(ＬD)の範囲だとその他にも「話す」「聞く」「推論」「英語の読み書き」が苦手な症状を持つ人もいます。
知的発達障害（IDD）
- 知的発達症(軽度）は知的機能の発達が不全の状態で、認知や言語、運動に加え、適応機能である社会的能力に障害があり、学業や職場、社会活動に適応しにくく反応の乏しさがうかがえます。
共通する要因
- 適応能力の低下
- 社会的な期待に合わせた適応が難しいため、学校や職場、社会でのストレスや適応の困難さがひきこもりの要因となることがあります。
- 環境への適応困難
- 刺激過多や予測不可能な環境への適応が難しく、それによってひきこもりを引き起こすことがあります。
「ひきこもり」の要因が不安障害
不安障害（例えば、一般的な不安障害、社会不安障害、パニック障害、強迫性障害など）を抱える人がひきこもることがあります。これは、不安障害が社会的な活動や外部環境との関わりに対する強い抵抗や不安を引き起こすことが原因となります。
不安障害とひきこもりの関連性
- 社会不安障害
- 他人との交流や集団での参加に対する強い不安や恐怖がひきこもりを引き起こすことがあります。外部環境への恐怖が強くなり、それに対する回避行動としてひきこもりが現れることがあります。
- 一般的な不安障害
- 長期間にわたる過度の不安や緊張が、外出や社会的な活動を避ける原因となり、ひきこもりを引き起こすことがあります。
- 強迫性障害
- 特定の強迫観念や儀式行動による困難さから、外部環境との接触を避け、それがひきこもりの要因となることがあります。
- パニック障害
- パニック障害は不安とパニック発作の症状が相互に影響し合い、症状を悪化させるプロセスを指します。この悪循環が継続することで、ひきこもりの要因となることがあります。
共通する要因
- 過度のストレスや不安
- 社会的な期待や外部環境への適応が不安を引き起こし、それによってひきこもりを誘発することがあります。
- 恐怖や避ける行動
- 不安障害の症状によって外部環境への恐怖が強まり、それを避けるためにひきこもる可能性があります。
「ひきこもり」の要因がうつ病
うつ病を抱える人がひきこもることがあります。うつ病は、強い悲しみや無気力感、興味や喜びを失うことなどを特徴とする重篤な精神疾患です。
うつ病とひきこもりの関連性
- 無気力感
- 強い疲労感や興味を失い、日常活動への意欲が減少し、それがひきこもりを引き起こすことがあります。
- 社会的孤立感
- 自己価値感の低下や他者とのつながりの欠如がひきこもりを促進することがあります。
- 社会不安
- うつ病の症状による社会不安や他者との関わりへの苦手意識が、ひきこもりを引き起こすことがあります。
共通する要因
- 精神的苦痛
- 長期間のうつ病による苦痛が、外部環境への適応を難しくし、ひきこもりを誘発することがあります。
- 無気力感と興味の喪失
- 活動意欲の低下が、社会的な関わりを減少させ、それがひきこもりにつながることがあります。
統合失調症とひきこもりの要因
統合失調症は、現実感覚や思考、感情の混乱や歪み、幻覚、妄想、社会的および職業的機能の低下などを特徴とする精神疾患です。これらの症状が深刻化すると、社会的な交流や日常生活の機能が困難になり、結果的に引きこもるケースが生じることがあります。
症状の影響
統合失調症の症状が社会的な交流を難しくし、人とのコミュニケーションや日常生活の維持が困難になることがあります。幻覚や妄想がある場合、周囲の人々との信頼関係が損なわれることでひきこもりが生じる可能性があります。
- 治療や支援の不足
- 適切な治療や支援を受けられない場合、統合失調症の症状が悪化し、社会的な孤立感や不安が増すことがあります。これが引きこもりの一因になることが考えられます。
- 自己認識や自尊心の低下
- 統合失調症の影響で自己認識や自尊心が低下し、他者との交流を避ける傾向があります。そのことが社会的な孤立を招く可能性があります。
- 副次的な要因
- 統合失調症に伴ううつ病や不安障害、または薬物治療の副作用などが、ひきこもりの要因となることが考えられます。
「社会的ひきこもり」の症状や経過、背景
「社会的ひきこもり」とは、社会的な活動や交流を避け、外部の人間関係から隔離された状態に陥ることを指します。この状態にはさまざまな要因や症状が関与しています。
無気力とひきこもり
- 無気力感や興味の喪失
- 日常的な活動や人間関係への関心や意欲が低下し、それによって社会的な活動を避ける傾向が見られます。
- エネルギー不足
- 活動へのエネルギーが低下し、外部との交流や社会的な活動を避けることが増えます。
対人恐怖
- 社会不安障害
- 他者との交流や集団での参加に対する強い不安や恐怖があり、それが社会的ひきこもりを引き起こすことがあります。
- 過度の緊張
- 他人との関わりを避けるために、常に緊張感や警戒心を持ち、その結果、社会的な活動を減らすことがあります。
強迫症状
- 避ける行動
- 特定の恐怖や不安を回避するために、社会的な活動を避ける行動をとります。
- 強迫観念
- 特定の思考や行動が強迫的に現れ、それによって社会的な場面を避けることが起こる可能性があります。
- トラウマや過去の負の経験
- 過去のトラウマや負の経験が、社会的な信頼や安全性に対する不安や恐怖を引き起こし、それが社会的ひきこもりを促進することがあります。
- 社会的な圧力や不適切な環境
- 適切なサポートや理解が得られず、社会的な圧力や適応が難しい環境が、ひきこもりを誘発する要因となることがあります。
不眠と昼夜逆転
- 不規則な睡眠パターン
- 不眠や昼夜逆転が社会的ひきこもりの症状となることがあります。睡眠の乱れが日常活動を妨げ、外部の社会的な活動への参加を難しくします。
家庭内でのひきこもり
- 家庭内での社会的孤立
- 家庭内でのひきこもりが継続し、外部とのつながりを減少させることがあります。家族や親しい人々との接触が限られ、社会的な孤立感が深まります。
退行
- 成長段階の逆行
- 社会的ひきこもりによって、成人や青年期の人が子供のような行動を取ることがあります。成長段階での進歩や発達が逆行し、社会的な適応力が低下することがあります。