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発達性協調運動症の理解

目次

生活に支障が出るくらいの不器用さや運動オンチを感じているなら、発達症の発達性協調運動症を疑ってみてください。

発達性協調運動症(DCD)の概念

発達性協調運動症は運動機能の特異的な発達障害で、手と手、手と目、手と足など個別な動きを同時に行う協調運動の苦手な特性があります。例えば、日常生活の食事では片方の手でお椀を持ち、片方の手では箸を使って食べます。キャッチボールは目で追いながら手でキャッチし、縄跳びは手で縄を回し足でジャンプします。このような運動を協調運動と言います。
協調運動は人間に先天的に備わった寝返り、歩く、走る、階段を上るといった全身を使った運動や泳ぐ、自転車に乗るなど学習や環境から得られる大きな運動を「粗大運動」と呼びます。また、粗大運動や感覚から得られた小さな動きを「微細運動」と呼び、生活動作では主に指先を使って行う動作となります。例えば、洋服のボタンをかける、パズルを組み立てる、ハサミや定規などの道具を使うなどにあたります。
このような粗大運動や微細運動の中で、物を落とす、物にぶつかるなどの「不器用」さや、刃物を使う、自転車に乗るなどの「運動技能」の遂行の遅さや不正確さ、獲得度で判断します。その判断としては、身体機能に異常がないにもかかわらず、年齢や経験値などの期待から、明らかに劣っていて生活に支障あるものを発達性協調運動症と診断しています。

DCD臨床

有病率は5〜11歳の5〜6%と報告されていて、50〜70%が成人期まで持ち越します。ところが、発達性協調運動症の症状での主訴は少なくASD、ADHD、LSDでの併発症状として気づくことが多くなります。
原因はまだ解明されていませんが、ASDに63.2%、ADHDに50.6%、LSDに50%と併発が多いため、遺伝的な要因があるのではないかとされていて、男女比率は2:1〜7:1と男性が多くなります。また、母親の早産や低出生体重児、妊娠時のストレス、栄養不良、アルコール、薬物使用などの環境要因が影響されることも指摘されています。

薬物療法としては、ADHDに有効性を示しているメチルフェニデートが改善させる効果が示されていて、アトモキセチンも示唆されています。
薬剤以外では、身体機能の向上の筋トレや感覚統合療法や心理療法、活動参加指向のアプローチがあります。

DCDの診断基準:DSM-5とICD-11の診断基準

DSM-5の診断基準

  1. 協調運動技能の獲得や遂行が、その人の生活年齢や技能の学習および使用の機会に応じて期待されるものよりもはるかに劣っている。その困難さは、不器用(例:物を落とす、または物にぶつかる)、運動技能(例:物を掴む、はさみや刃物を使う、書字、自転車に乗る、スポーツに参加する)の遂行における遅さと不正確さによって明らかになる。
  2. 診断基準1における運動技能の欠如は、生活年齢にふさわしい日常生活動作(例:自己管理、自己保全)を著明および持続的に妨げており、学業または学校での生産性、就労前および就労後の活動、余暇、および遊びに影響を与えている。
  3. この症状の始まりは発達段階早期である。
  4. この運動技能の欠如は、知的能力障害(知的発達症)や視力障害によってはうまく説明されず、運動に影響を与える神経疾患(例:脳性麻痺、筋ジストロフィー、変性疾患)によるものではない。

診断基準

診断基準ではわかりにくいのですが、四肢協調運動の障害は「できない」のではなく遅さや不正確が問題ですので、時間をかけて上手とは言えない程度に仕上がります。そのため、周りからはもっと頑張ればできるんだと見られがちになります。また、起立がしにくい、ふらつきや歩幅がコントロールできなく歩行に困難がある場合も診断基準に含まれています。
四肢以外では、発声するための口内の筋肉がうまく使えなく発声や呂律がうまくできない症状もあります。その他には眼振があり、眼球のコントロールができない症状もあります。これがSLDやADHDと併存していることで学習の際に影響を受けてしまい困難が増します。

文献:「DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル」医学書院

ICD-11(国際疾病分類第11版)では、発達協調性運動症(発達性協調障害、略称DCD)は、神経発達障害の一種として分類されます。以下は、ICD-11におけるDCDの診断基準の詳細です。

ICD-11の診断基準

  1. 神経発達障害に伴う、持続的で発達遅滞につながる、運動能力の妨げとなる協調性の欠如があること。
  2. その運動能力の欠如が、日常生活の様々な活動、学校や職場の活動において、通常の期待に対して明らかな不適応をもたらすこと。
  3. その欠如が、他の発達障害、知的障害、視覚、聴覚、神経、身体的な問題、運動やスポーツ活動への興味の欠如、または環境要因によるものではないこと。
  4. 運動の欠如が、通常の発達期間に現れること。
  5. この欠如の症状は、少なくとも6ヶ月以上持続していること。
  6. 上記の基準に合致しているが、運動の欠如が軽度である場合は、他の障害と併存している場合でも、発達協調性運動症と診断できる。

ICD-11におけるDCDの診断基準では、神経発達障害による、持続的で発達遅滞につながる、運動能力の協調性の欠如が必要です。また、その欠如が日常生活の様々な活動、学校や職場の活動において、通常の期待に対して明らかな不適応をもたらすことが必要です。診断にあたっては、他の発達障害、知的障害、視覚、聴覚、神経、身体的な問題、運動やスポーツ活動への興味の欠如、または環境要因によるものではないことを確認する必要があります。さらに、運動の欠如は通常の発達期間に現れ、少なくとも6ヶ月以上持続していることです。

発達性協調運動症の治療法

  • 身体療法は、体操、バランス運動、アーティキュレーション、手書き練習、マッサージ、温熱療法、電気療法など、身体的なアプローチを取る治療法があります。これらの治療は、筋肉の強化、運動制御の改善、身体の柔軟性の向上などを目的としています。
  • 認知療法は、発達性協調運動障害に対する治療として、認知療法を用いることもあります。これは、個人が自分自身の思考や行動を認識し、それらを変えるための技術を学ぶ方法です。認知療法には、緊張や不安を減らすリラクゼーション技術や、自己観察、反省、問題解決スキルの開発などが含まれます。
  • ビジョンセラピーは、目の筋肉のコントロールや視覚調和力を改善することで、身体的なバランス感覚を改善する治療法です。ビジョンセラピーには、光線療法、色覚調和療法、視力矯正などが含まれます。

治療法は、患者の症状や状況に応じてカスタマイズされ、個別に合わせた治療を受けることで、症状の改善が期待されます。また、身体的な治療に加えて、家族や学校、職場などの環境を改善することも重要です。

標準精神医学第8版:尾崎紀夫・三村將・水野雅文・村井俊哉/医学書院
成重竜一郎:多動性障害(注意欠如/多動性障害ADHD)・精神科治療学
金生由紀子、浅井逸郎:チックのための包括的行動介入セラピストガイド/丸善出版
次良丸睦子、五十嵐一枝:発達障害の臨床心理学/北大路書房
柴崎光世、橋本優花里:神経心理学/朝倉書店
村上宣寛:IQってなんだ・知能をめぐる神話と真実/日経BP社
DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル 高橋三郎・大野裕監修/医学書院

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