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認知行動療法とは?ストレス・自動思考・コーピングと耐性チェック

目次

認知行動療法はうつ病、パニック障害、強迫性障害、統合失調症に対する治療効果があります。ここではストレス、自動思考、コーピングについて知識を高め、抑うつ尺度の心理評価をしていきます。

ストレスとは

 「ストレス」の言葉は物理学の分野で使われていたもので、物体の外側からかけられた圧力によって歪みが生じた状態を言います。ストレスを風船にたとえてみると、風船を指で押さえる力をストレッサーと言い、ストレッサーによって風船が歪んだ状態をストレス反応と言います。医学や心理学の領域では、心や身体にかかる外部からの刺激をストレッサーと言い、ストレッサーに適応しようとする心理や身体に生じたさまざまな反応をストレス反応と言います。

 普段私たちが「ストレス」と言っているものの多くは、「心理・社会的ストレッサー」(人間関係や仕事上の問題、家庭の問題など)があります。職場では、仕事の量や質、対人関係をはじめ、さまざまな要因がストレッサーとなり得ることが分かっています。

 ストレッサーによって引き起こされるストレス反応は、心理面、身体面、行動面の3つに分けることができます。心理面でのストレス反応には、活気の低下、イライラ、不安、抑うつ(気分の落ち込み、興味・関心の低下)などがあります。 ストレス反応が長く続く場合は、過剰なストレス状態に陥っていることが多いので、症状に気づいたら、普段の生活を振り返りストレスと上手に付き合うための対処、コーピングを工夫してみることが大切です。

ワークは№1・№2・№3・№4と続いているため、№1のコラム法から順序にワークすることを奨励します。

ストレスのメカニズムと図

 私たちは日常生活でストレッサーを経験すると、そのストレッサーの解決や、ストレッサーによる悪影響(ストレス反応)を緩和するために、さまざまな工夫をします。これをストレス対処(コーピング)といいます。ストレス対処が適切になされている場合は、心理面、身体面、行動面のストレス反応は次第に低下していきます。

しかし、対処能力を上回るほどのストレッサーの体験や、それほど大きくなくても長期間続いたりするとストレス反応も慢性化していきます。ストレス反応が慢性化すると、まず活気が低下して、元気がなくなってきます。この状態が解消されずに慢性化すると、イライラや不安感を覚えるようになります。そして最終的には気分が落ち込み、ものごとがおっくうになるなど、いわゆる「うつ」の状態に近づいていきます。

 ストレスコーピングは、ストレスそのものに対する働きかけによってストレスをなくしてしまう方法、ストレスに対して自分自身ならびに周囲の人の協力を得て解決する方法、ストレスによって発生した自分の不安感や怒りなどの感情を周囲の人たちに聴いてもらうことによって発散する方法などがあります。
ストレスを抱え込みやすい人は、ネガティブで硬直した認知(ものの捉え方や見方)の癖や歪み、不適応に繋がりやすい行動パターンがあるとされています。ストレッサー(環境・問題状況)は変えられませんが、認知と行動は見直し、改善ができます。そして認知または行動をポジティブにすることで身体も感情も変わってきます。

ストレスが生むメカニズム図

認知的評価(自動思考)

 日常生活することは、ストレスとのお付き合いから免れられません。ただし、ストレッサー(問題状況)への対処や受け止め方は、一人ひとりが備えている認知的評価(自動思考)の受け方やストレスへのコーピング(対処)ができているかどうかで、負担を感じる(ストレス反応)、負担は感じない(快活な気分)であるかが決まります。

 例えば「自分は何事も失敗してしまう」「自分はいつも巻き込まれてしまう」「自分は無能だ」「自分はいつも人に見捨てられてしまう」などのような悲観的な認知的評価、またはネガティブな影響の心理的防衛機制(不安、ストレスを軽減しようとする無意識的な心理メカニズム)が表れた人は何ごとにも自信を持てず、ストレスを強く感じてしまいます。

 もちろん、気分も憂うつ感に陥ってしまい体調も悪くなりがちになります。行動にもミスや失敗が多くなり、周りからの評価も気になってしまいます。これでは自分の能力を十分に発揮することができず、快活な気分や健康的な生活は難しくなります。
そこで、前向きで楽観的な適応的認知評価に改められるような改善が必要となります。

認知行動療法基本モデル図

•環境・状況・出来事・対人関係など

•上司とすれ違う際に「おはようございます」と挨拶したが無視されてしまった。

認知の歪みと感情との大まかな関係

認知行動療法とは

近年、様々な心の病に対して、薬物療法だけではなく心理療法(精神療法)の有効性が、信頼すべき医学研究により立証されつつあります。中でも認知行動療法(認知療法)は、うつ病、パニック障害、強迫性障害、統合失調症に対する治療効果が繰り返し確認されています。

私たちは日常生活で物事を主観的に判断しますが、その判断には人それぞれ癖があります。ストレスを感じた時、悲観的に考えて落ち込み、それを引きずる人もいれば、ストレスを感じていないか、感じていたとしてもすぐに立ち直る人もいます。これは「認知」の違いから生じています。
認知行動療法は、ある状況に出くわした時に「認知」がどう捉えるかによって、私たちが持つ感情と行動がその影響を受けることに着目します。

感情や行動に影響を及ぼしている極端な捉え方(歪んだ認知)を、確認していくことが、認知行動療法の第一歩です。最終的に、より現実的で幅広い「認知」の捉え方を自分自身によって選択できるようになることで、必要以上に落ち込んだり、不安になったりするといった不快な感情を軽くして、自身が本来持っている力を発揮できることを目指します。
うつ病やパニック障害の場合、認知行動療法で改善した患者さんは、薬で治療した方と比べて、再発が少ないことがわかっています。また、認知行動療法の効果にも、脳の変化が関わっていることも解明されつつあります。
英語では、Cognitive Behavioral Therapyと表記され、CBTと呼ばれています。

自動思考

「環境や状況(ストレッサー)」を捉える認知には、浅いレベルの認知「自動思考」と深いレベルの認知「スキーマ」があります。浅い認知の「自動思考」が変われば、「気分や感情」「行動」「身体反応」も変わります。要するに次の図のように、「環境・状況」「認知・自動思考」「気分・感情」「身体反応」「行動」の4つの要素は常に相互作用し、循環しています。

パソコン作業に例えると、「環境・状況」は認知に入力するためのお客様からの原案(入稿)であり、「認知」はその人の特徴(癖)を持って校正と校閲により原案を修正し、入力作業「行動」が起き、気分・感情と身体反応は適宜、画面上で刻々と変化し、出力(印刷)すると気分・感情、身体反応が写し出されると捉えることができます。

すでに外部で起きた「環境や状況」、例で例えるとお客様からの原案は変えることができません。直接コーピング(対処)できるのは、「認知」(校正)と「行動」(入力)の2つだけです。認知行動療法では認知と行動のコーピングにより悪循環をほどいて解消していくことになります。

ワークではその人の悪循環の解消につながるまで、自動思考(浅いレベルの認知)に対し、コラム法、認知再構成法、問題解決法と進みます。段階的に「自動思考」(癖)をメタ認知的(自らの認知を客観的に認知する)に捉えていきます。

ただし、自分でストレスケアができるようになっても、生きづらさが残っている、生きていくのが辛いなどの感覚がある場合は、心の深いレベルの認知(信念・価値観・ルール)の傷つきを癒す「スキーマ療法」に移行します。

認知行動療法のモデル図

認知モデルとは、感情や行動が出来事に対する理解の仕方によって影響を受けるという仮説です。要するに、感じ方を決定するのは出来事や状況そのものではなく、出来事や状況に対する解釈の仕方にあるということです。この解釈の仕方は、熟考や推論の結果として導き出されるものではなく、むしろ自動的に湧き出てくるような評価的な思考となります。

自動思考を生み出す信念

中核信念

信念の最も基本的な層にあり、包括的かつ固定的でほとんど自覚されることなく完全な真実としてみなされています。たとえ、その信念が妥当性に欠けていて非機能的であったとしても、この信念に合致する情報を選択的に受け取り、中核信念というレンズを通して物事を解釈します。
例:「私は無能だ」

媒介信念

媒介信念は次の3つの構成されています。

  • 構え:「無能であることは、最悪なことである」
  • ルール/予期:「私は常に懸命に努力しなければならない」
  • 思い込み:もし、懸命に努力をしなければ、最低限の成果もあげられないだろう」
STEP
関連する幼少期の体験

兄や友人などと自分を比較してしまう/批判ばかりの母親

STEP
中核信念

私はちゃんとしていない

STEP
条件付きの思い込み/信念/ルール

ポジティブ:一生懸命にやれば、上手く行くかもしれない
ネガティブ:最高の成果を上げなければ、失敗だということだ

STEP
埋め合わせ戦略
  • 基準を高く設定
  • 不十分なところを見つけて修正する
  • 一生懸命努力をする
  • 助けを求めることを避ける
  • 過剰に構える

熊野宏昭:情報処理理論と認知療法セミナー収録より抜粋

ストレス耐性/うつチェックについては2⃣ページ目をご覧ください。

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