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醜形恐怖症・身体醜形症害-実際の無料心理相談例を徹底検証➃

目次

3年間マスク着用に依存できていたのに、顔の欠陥や欠点があらわに露出してしまう恐怖で押しつぶされそうだ。醜形恐怖が再来予感で体調面にも影響している-4弾

政府が新型コロナウィルス対策のマスク着用ルールを令和5年3月13日に緩和すると発表しました。マスクの着用は3年近く経過しましたが、実際には入学から卒業まで素顔を見せることなく過ごしてきた学生もいるほどの期間でした。
心理相談例のクライエントさんは、もともと中学生位から顔のつくり、肌に対して異常なまでに欠陥や欠点観に捉われていたようでした。今までは帽子や髪型で隠すように過ごしてきていたのが、コロナの影響でこの3年間のマスク着用は好都合だったようです。
美容整形で口と鼻はプチ整形したようですが、新たな顔の欠点も現れたようです。今後のマスク緩和後に対し、自分の「醜い顔」の露出に恐怖を覚えて悩んでいます。

醜形恐怖症/身体醜形症害とは

醜形恐怖症は、従来は身体表現性障害の一種としていましたが、2013年にDSM-5新たに改訂され強迫症や身体醜形障害などの「強迫症および関連症群」に分類されています。
醜形恐怖症は、自分の外見に対する強い不安や恐怖を引き起こす障害です。多いのは、顔の輪郭や歪み、額、耳、ニキビやしわ、瘢痕、唇、歯並び、鼻や目の形、顔の筋肉、肌の状態、頭の形状、髪の毛の薄さや質、手や腕など、さまざまな特徴があります。それ以外にも乳房や性器、ペニス、殿部、腹部、脚、首、肩といった部位も対象になります。また、筋肉に対する捉われは、身体の作りが小さいや貧層であるなどが原因となり、筋肉醜形恐怖の場合もあります。多くの人は複数の部分について悩んでいます。
醜形恐怖症の臨床的特徴は、自分が外見について認識された欠陥や欠点への捉われといえます。他人から見てその欠陥や欠点は観察されないか、観察されてもわずかなものであるにかかわらず、「醜い」「異常である」「魅力的ではない」「歪んでいる」などと表現し認識しています。

ICD-11の診断基準

  1. 醜形恐怖症の主要症状は、自己外観に対する極度の恐怖や不安である。
  2. 醜形恐怖症によって、社会的、学業的、職業的、またはその他の重要な領域において、明らかな機能上の障害が生じている。
  3. 醜形恐怖症の症状は、心理的なものであり、身体的な疾患、外傷、または先天的欠損によって説明できない。
  4. 醜形恐怖症の症状は、その他の精神障害、物質使用障害、または一般的医学的状態によって引き起こされていない。

醜形恐怖症が強迫症の一種として認識されるようになった背景には、強迫症の症状として現れる「自己評価の過剰な重要性」という要素があり、自分の外見に対して非常に厳しい自己評価を行っています。そのうえで、「身体的な外見に関する欠陥または欠点への過剰なとらわれ」とその反応として「繰り返し行為」を特徴としています。

症状の不合理性に関する認識の程度により、「病識が十分またはおおむね十分」「病識が不十分」「病識が欠如した・妄想的な信念を伴う」の3部類としますが、病識が不十分なことが多く、1/3以上では妄想的な信念を認めます。

臨床症状・妄想的不安

臨床的症状は次のようなものがあります。

自分の外見に対する強い不安や懸念

自分が外見的に不十分であると感じ、病識が欠如していて外見に対する強い不安や懸念を抱いています。

自己評価の低下

自分の外見に対する不安や懸念が強いため自己評価が低下しています。
・妄想的な信念を持っています。

外見に対する回避行動

外見に対する不安や懸念を和らげるために、外出を避けたり鏡を見なかったり、人前で話すことを避けたりする回避行動をとっています。

精神的苦痛や機能の低下

外見に対する強い不安や懸念が原因で、精神的苦痛を感じたり日常生活の機能が低下しています。

強迫的な行動

外見に対する強い不安や懸念を和らげるために、鏡を見続ける、洗浄や化粧などの強迫的な行動をとっています。
・1日に何時間も悩みにとらわれ相当な時間を費やしています。

身体表現性障害の症状

身体表現性障害の症状を示すことがあります。具体的には、身体のある部分が歪んで見える、大きくなって見える、または小さくなって見えるなど、身体の形や大きさに関する歪んだ知覚を抱くことがあります。

妄想的不安は次のようなものがあります。

  • 多くは自分が醜いという妄想を抱いていて、整形手術などの治療を受ける必要があると感じています。実際には33〜76%の人は美容整形手術を受けていますが、満足することはほとんどなく修正した部分も含め、それ以外の部分に欠陥や欠点をとらえ始めます。
  • 他人が自分を醜いと思っているという妄想を抱くことが多く、その妄想が人々から嫌われていると感じさせ、社交的な状況を避けるようになります。
  • 他者の外見に対して異常な注意を払うようにもなり、他者の醜いと感じられるような外見的特徴に対して異常に敏感に反応するようになります。

これらの症状や妄想が、社会的、学業的、職業的、またはその他の重要な領域において、明らかな機能上の障害を引き起こす場合に、醜形恐怖症の診断が考えられます。

過剰なとらわれ・繰り返し行為・認識や信念

過剰なとらわれには次のようなものがあります。

  • 他人の外見への異常な注意
    自分の外見に加えて、他人の外見にも異常な注意を払います。特に、外見上の欠点や特徴に集中し、それが過剰に気になります。
  • 過剰な自己分析
    自分の外見に過剰に注意を払い、自己分析を行い自分の外見について悩みます。
  • 社交不安
    他人に自分の外見を見られることを避けるために、社交的な場面から遠ざかる傾向があります。

繰り返し行為には次のようなものがあります。

  • 鏡の前での過剰なチェック
    鏡の前で自分の外見を繰り返しチェックし、見た目に問題がないか時間をかけて確認します。
  • 化粧やファッションの過剰な気遣い
    自分の外見に対して過剰な気遣いで化粧やファッションに時間をかけます。
  • パーフェクショニズム
    自分の外見に対する不安を緩和するために、不安部分を隠すなどで完璧主義的な行動を取ります。

認識・信念は次のようなものがあります。

  • 自分の外見に対する過剰な自己評価
    自分の外見に対して過剰な自己評価を行い自分を否定的に見ています。
  • 外見に対する異常な認知
    自分や他人の外見に対して、異常な認知をしてしまいます。例えば、小さな外見の欠点を誇張してしまったり、正常な外見を異常に見えると判断してしまったりします。
  • 過剰な妄想
    自分や他人の外見について、過剰な妄想を持つことがあります。例えば、自分が他人から嫌われている、拒絶されてしまうと信じ込んだり、他人が自分を見下していると感じ取ります。

醜形恐怖症の疫学(有病率など)

醜形恐怖症の正確な有病率は明確には分かっていませんが、一般的には人口の1〜2%程度であると推定されています。ただし、症状の軽度な恐怖症は多く存在する可能性があります。
2008年米国の成人有病率は2.4%(男性2.2%、女性2.5%)とされています。
醜形恐怖症は外見の欠陥や欠点の捉われを認識できずに、直接的な外見の症状を修正するために皮膚科9〜15%、形成外科7〜8%、矯正歯科8%などと精神科以外の受診が多くなります。この意味が示すように自分の外見にこだわるだけではなく、他者からどう見られているかの意識を過剰に気にしているために精神科の受診に至るケースが少なくなるということです。

平均発症年齢は12〜13歳をピークに16〜17歳位まで続きます。醜形恐怖症の2/3 は18歳までに発症します。この早期の年齢で発症しているということは、思春期だけでは説明がつきにくいため、養育問題の関連があるといわれています。

醜形恐怖症の病因

醜形恐怖症の病因はまだ完全には解明されていませんが、脳の機能や神経伝達物質、または脳の構造の異常が関与していることが示唆されていて、脳の前頭前野や扁桃体、海馬などの領域に異常があることが示されています。また、セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質のバランスの異常が関与している可能性もあるとされています。まとめると、次のような要因が関連している可能性があることが示されています。

  • 遺伝的要因
    遺伝的要因が関与している可能性があります。遺伝的な要因は、脳の機能や化学物質のバランスなどに影響を与えることがあります。
  • 生物学的要因
    脳の機能、神経伝達物質、または脳の構造に関する生物学的な異常が発症に関与すると考えられています。
  • 養育や経験的要因
    過去の養育に関連する虐待、養育者の代理醜形恐怖症などのトラウマ体験、いじめ、または外見に関するネガティブな認識をしてしまう経験が発症に関与する可能性があります。
  • 社会文化的要因
    外見に対する社会的な圧力や理想化された美的観念が発症に関与する可能性があります。

代理醜形恐怖症

代理醜形恐怖症とは、醜形恐怖症の一種とも考えられており、他人の外見上の欠点や異常な特徴に過剰に反応する傾向を指します。この症状は、自己の外見に関する問題ではなく、他人の外見についてのこだわりが中心で、例えば、他人の顔にあるシミ、傷跡、鼻の形など、一般的には受け入れられる外見の観点からでも欠陥や欠点と見なして異常な注意を向けます。
もし、親権者が養育の際に過剰な反応を見せて我が子に注意を向けていたとしたら、幼児期からトラウマ体験をすることになり、醜形恐怖の捉われとなります。

醜形恐怖症の薬剤治療と心理療法

薬剤治療には、抗うつ薬の他、抗不安薬、抗精神病薬などが使用されることがあります
セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリンなどの効果と三環系うつ薬のクロミプラミンの有効性が確認されています。また、抗不安薬や比較的症状が重い場合は向精神薬が処方される場合もあります。

心理療法は次のようなことが考えられます。

認知行動療法
認知行動療法の目標の1つは、負の信念を取り除き、健康的でバランスのとれた自己評価を促進することです。治療者は、患者の負の信念について探求し、それがどのように形成されどのように維持されるかを分析します。次に、それらの負の信念を払拭し、健全な自己評価を促進するための新しい思考パターンを開発するために患者と協力して作業します。具体的には、次のようなアプローチが用いられます。

  • 認知の変容
    自分の外見に対して過剰に悪い評価をしていることが多いため、まずは自分の認知パターンを変えることが大切です。具体的には、自分が外見に対して過剰に注意を払っていることや、外見以外の自分の良い点や能力にフォーカスすることを学びます。
  • 暴露療法
    自分の外見に対して過剰に嫌悪感を持っているため、自分の外見を直視することができません。そこで、徐々に自分の外見に対する恐怖心に直面することで、徐々に恐怖心を克服する暴露療法が用いられます。
  • スキルトレーニング
    自己肯定感を高めるスキルトレーニングが行われます。具体的には、自己肯定感を高める自己暗示を繰り返す、自分の強みや成功体験を振り返るなどの方法があります。
  • 身体感覚の訓練
    治療者は、患者に自分の体に対する過剰な関心や不快感に対処するための訓練を提供します。具体的には、リラクゼーションや深呼吸などの技術を使用し、自分の身体感覚に慣れ親しむように指導します。
行動療法

行動療法は、醜形恐怖症患者が避けている行動を徐々に再開し、症状の軽減を図ることを目的としています。

応用行動分析

醜形恐怖を感じることを避けたり、不安を回避する行動をとることに対し、応用行動分析では、そのような行動を分析し、代替行動を学習することを目指します。

具体的には次のような手法が用いられます。

  • 活動増加
    外出や人前に出ることを避けがちになります。そこで、活動増加の行動療法を行い、日常生活での活動を増やすことで自信や自己効力感を高めることができます。
  • 肯定的な体験の増加
    肯定的な体験を増やすことで自己肯定感を高めることが重要視されます。例えば、自分の好きなことや得意なことに時間を費やすように自分にとって楽しいイベントや活動に参加するなどがあります。
  • 目標設定
    自分にとって達成しやすい目標を設定し、それを達成することで自己効力感を高めることが重要です。また、自分にとっての外見に関する問題に焦点を当てた目標設定も行われます。例えば、自分の髪型や服装を変えるなど、自分の外見に関する取り組みを行うことができます。

暴露療法は有効的ですので詳しく解説します。自分自身が過剰に嫌悪する自分の外見に直面することで、その恐怖感や不安感を克服するための治療法です。

  • 恐怖階層の作成
    まず、醜形恐怖症の人がどのような状況で外見に関する不安や恐怖を感じるか、その状況をリストアップします。その後、リストにある状況を、どの程度不安や恐怖を感じるかを1から10までの数字で評価し恐怖階層を作成します。
  • 徐々に暴露する
    次に、リストにある状況から自分の外見に直面する最も恐怖心が低いものから順に取り組みます。徐々に外見に関する不安や恐怖の強い階層に直面して行きますが、大切な所はその状況を繰り返し経験することで、不安や恐怖を軽減させることです。
  • 終了時のフィードバック
    露療法の最後に治療を振り返り、何が上手くいったか、どのような変化があったかを話し合います。このフィードバックによって、患者は自分自身の成長を確認し、治療の効果を実感することができます。

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DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル 高橋三郎・大野裕監修/2021医学書院標準精神 尾崎紀夫・三村將・水野雅文・村井俊哉/医学書院

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