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アンガーマネジメントの知識と実践

目次

怒りの理解とアンガーマネジメントの知識、実践、攻略法のポイント

アンガーマネジメントは、怒りやイライラなどの感情をコントロールし、適切に対処するためのスキルや戦略を指す概念です。これは、怒りやストレスなどの負の感情に対処する方法を学ぶプロセスであり、感情の爆発や不適切な行動を防ぐために役立ちます。

アンガーマネジメントの主な目標は、怒りを感じた際に冷静な状態を保ち、建設的な解決策を見つける能力を向上させることです。これは、自己の精神面、コミュニケーション、仕事の関係性、健康などに対してポジティブに働き、様々なコンテキストで有益なスキルと見なされています。

認識と理解

自分の感情を正確に認識し、理解することが重要です。感情を冷静に分析し、なぜ怒りが生じたのかを理解することで、対処法を見つけやすくなります。

コミュニケーションスキル

怒りをコントロールするためには、感情を適切に表現し、他者とのコミュニケーションスキルを向上させることが必要です。効果的なコミュニケーションは、対人関係の円滑な維持に効果的です。

問題解決のスキル

アンガーマネジメントは、怒りやストレスを引き起こす根本的な問題に焦点を当て、それに対する建設的な解決策を見つけるスキルも包括しています。

リラックステクニック

深呼吸や瞑想などのリラックステクニックを用いることで、身体的な状態を安定させ、冷静な状態を維持する手段となります。

アンガーマネジメントの重要なポイントは、怒りやイライラを否定せずに、これらを人間の自然な感情として受け入れることです。イライラや怒り自体には問題はなく、それを理解することが肝要です。その上で、日常生活や職場でアンガーマネジメントのスキルを身につけることで、コミュニケーションが円滑に行え、周りへのポジティブな影響を生むとともに、自身もイライラから解放され、自信を持てるようになります。このアプローチは、怒りを否定するのではなく、健康的な感情の管理を通じてより良い人間関係を築く手段として有益です。

このページを含め、心理的な知識の情報発信と疑問をテーマに作成しています。メンタルルームでは、「生きづらさ」のカウンセリングや話し相手、愚痴聴きなどから精神疾患までメンタルの悩みや心理のご相談を対面にて3時間無料で行っています。

アンガーマネジメントのプログラム

手法
怒りの感情への気づきと理解
  • 目的: 最初のステップは、怒りの感情に対する自己認識を高め、なぜ怒りが生じるのか理解することです。
  • 手法: 刺激の反応として思い描く「ジャーナリング(書く瞑想)」を通じて、怒りがどのように体験され、何が引き起こされるのかを明らかにします。感情の原因やパターンを把握することが、効果的なアンガーマネジメントの出発点です。
手法
ストレスマネジメント
  • 目的: ストレスは怒りの原因となり得るため、ストレスを効果的に管理することが怒りの制御に役立ちます。
  • 手法: リラックステクニック、深呼吸、瞑想などを取り入れ、ストレスの発散や緩和に焦点を当てます。また、時間管理や仕事の優先順位付けなども重要であり、生活の中でストレスを軽減する方法を学びます。
手法
認知変容
  • 目的: 怒りの感情を引き起こす認知や信念を変え、より建設的な視点に切り替えることを目指します。
  • 手法: 思考のパターンを見直し、楽観的な視点を育むトレーニングを行います。誤解や先入観を避け、事実に基づいた評価を促進することで、怒りを和らげる効果が期待されます。
手法
傾聴
  • 目的: 怒りを抱える人が自分の感情や立場を理解されることは重要です。傾聴は対話の中で相手の感情を受け止め、共感するスキルを向上させます。
  • 手法: 積極的な聞き手となり、非言語的なサインや感情を敏感に察知することで、相手が抱える怒りやストレスに対する理解を深めます。
手法
アサーティブコミュニケーション
  • 目的: 怒りを適切に表現し、他者とのコミュニケーションを円滑に行うためのスキルを身につけます。アサーティブなコミュニケーションは、自己主張と他者尊重のバランスを取ります。
  • 手法: 自分の意見や感情を明確に表現する方法を学び、同時に相手の意見や感情にも敏感に対応するスキルを養います。非攻撃的で建設的なコミュニケーションが怒りの予防や解決に役立ちます。

怒りは2次感情

怒りについて

不快感情の中でも「怒り」は最も強いエネルギーを持った感情です。アドラーは不当な扱いを受けたり、理不尽な言動に晒されたときに感じる二次感情と言っています。環境や状況に対し、直前に感じた傷つきのような一次感情「不安」「困惑」「恐れ」「寂しい」「悲しい」「恥ずかしい」「辛い」「苦しい」というようなネガティブな感情が「怒り」の裏に隠されています。ほとんどの場合「怒り」は強いエネルギーの情動で表現されるため、一次感情を自覚せず「怒り」だけが感じられているようです。

実は感情よりも先の動因は「認知・自動思考(いま、頭に浮かぶ考え)」の方が先に現れます。「怒り」の本当の原因は環境でも状況でも対人でもなく、無意識的または意識的に自己の特有な内的判断力が感情反応を引き起こしているということになります。
「怒り」は、この特有な自己の価値観やルール(認知バイアス)が意志的感情を引き起こします。言葉で表現すると、その一つに「べき思考」があります。「〜するべきだ」「〜であるべきだ」が示す願望や期待、理想などとも言えます。
また、怒りは他者の言動を第三者視点で捉えている時にも怒りが起こります。これは不正などを罰する規範などであり、利害関係がない他者に対しても起こり得ることです。
このことからも、「怒りの」本質的な原因は自己にあるということになります。

怒りの脳領域の関与

怒りの脳の働きは複雑で、複数の脳領域が感情に関与し、複雑な相互作用を通じて怒りの出現とと表現が形成されています。個々によって異なる脳の活動が見られるため、怒りの管理やコントロールには個別のアプローチが必要とされます。

偏桃体(Amygdala)

役割: 偏桃体は感情の処理に関与し、特に恐怖や怒りなどの強い感情の認識や生成に関わっています。急激な脅威に対する反応を調整し、情動の形成に影響を与えます。

前頭葉(Prefrontal Cortex)

役割: 前頭葉は感情の制御や調整に関与しています。特に前頭前野は意志決定や行動の抑制、社会的なコントロールに関わり、怒りの感情をコントロールするのに重要です。

海馬(Hippocampus)

役割: 怒りやストレスの経験が長期的な記憶に影響を与える場合があり、海馬はその過程に関与しています。過去の経験や記憶が怒りの感情に影響を与えることがあります。

視床下部(Hypothalamus)

役割: 怒りの感情が高まると、視床下部が活性化され、自律神経系と内分泌系に影響を与えます。これにより、体内でストレスホルモンが分泌され、心拍数や血圧などが変化します。

扁桃体前部(Anterior Cingulate Cortex)

役割: 扁桃体前部は衝突や誤差検知に関与し、怒りに関連する誤解や不一致が生じた場合に反応します。また、感情と痛覚の統合にも影響を与えています。

怒りの性質・タイプ

怒りは、身体的、感情的、行動的な反応を伴う自然な感情であり、様々な性質やタイプが存在します。性質やタイプは、怒りが個々によって異なる形で現れることを示しています。怒りを理解し、適切に管理するためには、個人の特定のタイプや状態に応じたアプローチが重要です。

怒りの性質・タイプ例1

爆発的な怒り(Sudden Anger)

特徴: 突然発生し、感情が急速に高まる怒りのタイプ。通常は予兆なしに現れ、短時間で消えます。これは外部の刺激に対する即時の反応として現れます。

潜在的な怒り(Suppressed Anger)

特徴: 怒りの感情を表面に出さずに抑え込んでいる状態。怒りを抱え込んでいるため、表面的には冷静に見えますが、内部で蓄積されている可能性があります。

慢性的な怒り(Chronic Anger)

特徴: 長期間にわたって続く怒り。慢性的なストレスや不満を抱え、そのために怒りが持続している状態であり、精神的健康に悪影響を与える可能性があります。

過敏的な怒り(Explosive Anger)

特徴: 小さな刺激に対しても過剰な怒り反応が見られる状態。怒りっぽい性格であり、他者や状況に対して即座に激しい怒りを示します。

消極的な怒り(Passive-Aggressive Anger)

特徴: 怒りを直接に表現せず、かわりに間接的な手段を用いる状態。怒りを隠したり、他者に対して間接的な攻撃を仕掛けたりします。

適応的な怒り(Adaptive Anger)

特徴: 怒りを適切に処理し、建設的な行動に結びつけることができる状態。怒りを感じた時に冷静に対処し、解決策を見つける能力があります。

怒りの性質・タイプ例2

爆発的な怒りスタイル

急激的な怒りや爆発的な怒りスタイルは、感情の爆発や怒りの表現が急激で激しい特徴を持つものです。

  • 突然の怒り(Sudden Anger)
    • 特徴: 怒りが急に発生し、感情が瞬間的に高まる。通常は予測が難しく、外部の刺激に対して即座に反応する傾向があります。この怒りは短時間で消えます。
  • 恥に基づく怒り(Shame-based Anger)
    • 特徴: 自尊心や誇りが傷つけられたと感じると、その感情を怒りに変換する傾向があるスタイル。他者からの批判や非難に敏感で、怒りを通じて自分の立場を守ろうとします。
  • 意図的な怒り(Instrumental Anger)
    • 特徴: 怒りを目的とした手段として使用するスタイル。他者に対して権力やコントロールを示すためにわざと怒りを表現することがあります。目的意識的に怒りを利用することが特徴的です。
  • 興奮するための怒り(Excitatory Anger)
    • 特徴: 怒りを感じることで興奮や刺激を求める傾向があるスタイル。危険や挑戦に対して過度な反応を示し、自身のエネルギーや興奮を怒りを通じて発散しようとします。
慢性的な怒りスタイル

慢性的な怒りスタイルには、長期間にわたり持続する怒りや敵意が見られるものがあります。

  • 習慣的な敵意(Chronic Hostility)
    • 特徴: 常に他者に対して敵意を抱く傾向があります。小さな出来事にも敏感に反応し、他者に対して常に懐疑的で攻撃的な態度を示します。これは習慣的な敵意とも呼ばれます。
  • パラノイア(Paranoia)
    • 特徴: 恐れや疑念に基づく慢性的な怒りのスタイル。他者が敵意を持っていると疑い、自分に対する陰謀や嫌がらせが行われていると信じています。これにより、継続的な緊張や不安が生じることがあります。
  • 道徳的な怒り(Moral Anger)
    • 特徴: 道徳的な価値観に基づいて他者に対して怒りを感じる傾向があります。不正義や不公平な行動、他者の倫理的な違反に対して激しい怒りを抱きます。社会的正義に対する感受性が強いことが特徴です。
  • 憤り(Resentment)
    • 特徴: 過去の出来事や他者の行動に対して激しい怒りや憤りを抱え続ける傾向があります。これにより、感情的な負荷やストレスが蓄積され、精神的健康に影響を与えることがあります。
  • 嫌悪(Disgust)
    • 特徴: 不快感や嫌悪感に基づく怒りのスタイル。他者の行動や性格に対して強い嫌悪感を抱き、これが怒りにつながります。感情が他者に対して否定的であることが特徴的です。
隠された怒りスタイル

隠された怒りスタイルは、感情を表面に出さずに抑え込んだり、間接的な方法で表現する傾向があるものです。

  • 怒り回避(Anger Avoidance)
    • 特徴: 怒りを感じたり表現することを極力避ける傾向があります。このタイプの人は、自分や他者に対する怒りを直接的には示さず、感情を抑え込んでしまいます。怒りの表現を避けることで、対立や問題を回避しようとする特徴があります。
  • 陰険な怒り(Passive-Aggressive Anger)
    • 特徴: 怒りを直接には表現せず、かわりに間接的な手段で感情を伝える傾向があります。これには、嫌みや挑発、意図的な無視などが該当します。怒りを直接的に口にせず、代わりに非言語的な行動や態度で表現します。
  • 内に向けられる怒り(Inward-Turned Anger)
    • 特徴: 怒りを内に抱え込み、自分自身に向ける傾向が見られます。自己嫌悪や罪悪感が怒りによって引き起こされ、これが自己価値感の低下やうつ病の原因となることがあります。怒りを自分に向けてしまうことで、他者に対しては表面的には平静を保つことができています。

怒りのタイプ自己評価セルフチェックリスト

怒りのタイプには「爆発的な怒りスタイル」「慢性的な怒りスタイル」「隠された怒りスタイル」の3つがあります。これらのスタイルを理解し、適切に管理するための60問のセルフチェックリストです。それぞれのスタイルに20問ずつ質問を用意し、最後に評価表で自分の怒りのタイプを確認できるようにします。

各質問には、次のスケールで回答してください。

  • 1:全く当てはまらない
  • 2:あまり当てはまらない
  • 3:どちらでもない
  • 4:やや当てはまる
  • 5:非常に当てはまる
怒りのタイプ自己評価セルフチェックリスト
爆発的な怒りスタイルに関する質問
1.怒りを感じると、すぐに声を荒げてしまう。
2.感情が高ぶると、物を叩いたり投げたりすることがある。
3.怒りが溜まると、一気に爆発することがある。
4.人との対立が起きると、つい感情的に反応してしまう。
5.怒りを感じると、体が緊張したり、息が荒くなることが多い。
6.怒ると冷静に考えるのが難しくなる。
7.些細なことで感情が爆発することがある。
8.誰かに裏切られたと感じると、すぐに激しい怒りを覚える。
9.怒りを感じると、無意識に大声を出してしまう。
10.自分の思い通りにならないと、感情が爆発することがある。
11.怒りを感じると、他人を傷つける発言をしてしまうことがある。
12.一度怒り始めると、収まるまで時間がかかる。
13.怒りが収まるまで、誰にも話しかけられたくないと感じる。
14.怒りが最高潮に達したとき、コントロールが効かなくなることがある。
15.感情が高ぶると、手足が震えることがある。
16.怒りの勢いで、無意識に攻撃的な行動を取ることがある。
17.相手の行動に対して突然強い怒りを感じることが多い。
18.怒りが収まった後、後悔することが多い。
19.他人の言葉に敏感に反応し、感情的になることが多い。
20.怒りが爆発すると、周囲のことが見えなくなる。
慢性的な怒りスタイルに関する質問
21.常に小さな苛立ちを感じている。
22.日常生活で何かしらの不満を抱えていることが多い。
23.他人の小さなミスや不注意に過度に腹を立てることがある。
24.長期にわたって同じことに対して怒りを感じ続ける。
25.何かにつけて他人に対して批判的な感情を抱いてしまう。
26.物事が計画通りにいかないと、持続的なストレスや怒りを感じる。
27.小さな問題でも、自分だけが常に不遇な立場にいると感じることがある。
28.他人が思い通りに動かないときに怒りを感じやすい。
29.過去の出来事を思い出して、怒りが再燃することがある。
30.他人の成功を見ると、羨望と怒りを同時に感じることがある。
31.他人との比較によって、自己嫌悪や怒りを感じることがある。
32.周囲の人々に対して、いつも苛立ちや不満を感じる。
33.怒りの原因が分からないことが多いが、常に不快な感情を抱えている。
34.過去の傷ついた経験が、現在の怒りにつながっていると感じる。
35.長期間にわたって誰かに対して怒りを持ち続けていることがある。
36.怒りを抱えたまま、それを表に出す機会がないことが多い。
37.毎日の生活の中で、何かに怒りを感じる場面が多い。
38.怒りを抱えた状態が日常になっていると感じる。
39.他人の言動にいつも過敏に反応し、怒りを感じやすい。
40.不満や怒りが常に心の中にあると感じる。
隠された怒りスタイルに関する質問
41.怒りを表に出すのが苦手で、感情を押し殺すことが多い。
42.怒りを感じても、表情や態度に出さないように努める。
43.誰かに対して怒りを感じたとき、それを直接伝えられない。
44.自分が怒っていることを認めるのが難しい。
45.怒りを感じたとき、他人にはそれが伝わらないように振る舞う。
46.怒りを感じても、自分の中で静かに処理しようとする。
47.相手に対して直接怒りをぶつけるのではなく、遠回しに不満を表現することが多い。
48.怒りを感じたとき、自分の気持ちを抑えてしまう。
49.怒りを直接相手に伝える代わりに、態度で示すことがある。
50.怒りを感じても、相手に気づかれないように振る舞う。
51.誰かに対して怒っていても、それを相手に伝えるのが怖いと感じる。
52.怒りを感じたとき、自分の感情を無視することが多い。
53.怒りを抱えたまま、他人と接するが、それを表に出さないように努める。
54.怒りを感じても、自分の中で飲み込んでしまう。
55.怒りを抱えても、それを適切に処理できずに、心の中で積み重なることが多い。
56.他人に対して怒っていても、そのことを直接伝えない。
57.誰かに怒っていても、その人と普通に接するふりをすることがある。
58.怒りを感じても、無意識にそれを無視する傾向がある。
59.怒りを感じても、それを表に出すことで誰かを傷つけたくないと感じる。
60.怒りを感じたとき、自分の感情を認めるのが苦手だと感じる。
怒りのタイプ自己評価セルフチェックリスト

評価

  • 各スタイル(爆発的、慢性的、隠された怒り)の20問について合計点を算出してください。
合計点爆発的な怒りスタイル
0- 49点爆発的な怒りの傾向はあまり強くありません。
50- 69点時折感情的になりやすいですが、落ち着きを取り戻すことができる場合もあります。改善の余地があります。
70-100点非常に爆発的な怒りの傾向が強く、感情が激しく表に出やすいです。怒りをコントロールする技術を学ぶことが有効です。
合計点慢性的な怒りスタイル
0- 49点慢性的な怒りの傾向はあまり強くありません。
50- 69点慢性的に怒りを感じることがありますが、時々それを処理できることもあります。
70-100点怒りを長期間抱え込み、慢性的に不満を感じる傾向が強いです。ストレス管理や不満解消の方法を学ぶことが必要です。
合計点隠された怒りスタイル
0- 49点隠された怒りの傾向はあまり強くありません。
50- 69点怒りを隠す傾向はありますが、完全に表に出さないわけではありません。
70-100点自分の怒りを隠す傾向が非常に強いです。感情を認めて適切に表現する練習が有効です。

怒りの言動の背景にある考え方の癖

怒りの言動の背景にある考え方の癖(認知バイアス)があるのですが、①「~ねばならない」などのべき思考②完全主義、➂白黒思考、④過度な一般化、⑤被害的思考、⑥過大・過小評価、➆執着・しがみつき、などの認知バイアスが怒りの言動に影響を与えるケースがありますので解説します。

「~ねばならない」などの「べき思考

特徴: 行動規範や規則に基づく強い期待や要求が存在し、それに適合しない状況に対して怒りが生じます。過度な義務感や厳格なルールに縛られた思考が特徴で、「べき」や「しなければならない」といった言葉が頻繁に使われます。

完全主義(Perfectionism)

特徴: 完璧主義的な考え方が怒りの背景となります。自分自身や他者に対して非常に高い基準を設け、それを達成できないことに対して怒りや失望が生じます。達成できない目標が設定されると、自己評価が低下しやすくなります。

白黒思考(All-or-Nothing Thinking)

特徴: 事象を極端な2つのカテゴリー「全か無か思考」の二文法思考に分類し、中間の状態を許さない傾向があります。これにより、他者や自分自身に厳しい評価がなされ、怒りが生じます。柔軟性や妥協が難しい場合があります。

過度な一般化(Overgeneralization)

特徴: 特定の不快な出来事や経験を一般的な傾向として拡大解釈することがあります。一つの失敗や誤りから全体を否定し、これが怒りの原因となります。特定の出来事に基づいて広範な結論を導く傾向があります。

被害的思考(Victim Mentality)

特徴: 自分が犠牲者であると感じ、他者が原因であるかのように思考します。過去の出来事や他者の行動に対して責任を転嫁し、これが怒りの根底にあります。

過大・過小評価(Catastrophizing / Minimizing)

特徴: 物事を過大評価したり、逆に過小評価したりする傾向があります。問題や困難を取り巻く状況を極端に評価し、これが怒りの発端となります。事態の客観的な見方が難しい状態です。

執着・しがみつき(Attachment/Clinging)

特徴: 特定の信念や期待、関係に執着し、それに固執することが怒りの要因となります。変化や不確実性に対する不安が高まり、これが怒りに繋がります。

『奇跡の脳』「90秒ルール」

神経科学者で『奇跡の脳』の著者であるジル・ボルト・テイラーは怒りの感情反応の誘発は、脳から放出される化学物質によって引き起こされ、その生理的な反応が始まると、最初の誘発から約90秒以内に、怒りの化学的な成分が血液中からなくなり、自動的な反応が終わると説明しています。

この考え方は、感情が脳内で起こる化学的なプロセスに関与しており、その影響が生理的なレベルで表れることを強調しています。感情が引き起こされると、脳内で神経伝達物質やホルモンなどの化学物質が放出され、身体全体に影響を与えます。しかし、これらの化学物質が血液中に存在する時間は短く、約90秒以内にその影響が収束するとされています。

STEP
感情の起源

怒りの感情は、脳の特定の領域で発生し、神経伝達物質やホルモンの放出によって表れます。これが怒りの感情を引き起こすプロセスの始まりです。

STEP
90秒間

脳から放出された化学物質が血液中に存在する時間は約90秒であるとされています。この約90秒間は身体の生理的な反応がおこなわれ、感情が影響を及ぼされています。

STEP
反応の終了

約90秒後、怒りの化学的な成分が血液中からなくなり、自動的な反応が終了します。この段階で感情が収束し、冷静な状態に戻ります。

この考え方のポイントは、感情が一時的で短い時間において起こり、その後には冷静な状態に戻る可能性があるということです。テイラーは、この理論を活かして、感情をコントロールし、冷静な判断ができるようになるためには、その90秒の期間を上手に活用することが重要だと説いています。この理論は感情と脳の関係を強調し、感情が自動的に収束する時間的な側面に焦点を当てています。

アンガーマネジメントの手順と3つのコントロール

アンガーマネジメントは、怒りやイライラといった感情を健康的に処理し、建設的な方法で表現するためのスキルを向上させるプロセスです。ここではアンガーマネジメント全体像の手順を示します。

STEP
感情の認識と受容

最初のステップは、怒りやイライラなどの感情を認識し、それを受け入れることです。感情を無視せずに、その感情がどのように現れているか自覚します。

STEP
引き金の特定

怒りの感情が引き起こされる要因や出来事を特定します。他者の行動、特定の状況、個人的なストレスなどが引き金となります。

STEP
身体的な反応の認識

怒りやイライラには身体的な反応が伴います。動悸、緊張感、筋肉の緊張などに注意を払い、それらの反応が感情にどのように関連しているか理解します。

STEP
深呼吸やリラックス法の活用

怒りの感情が高まった際には、深呼吸やリラックス法を使って冷静な状態に戻ります。ゆっくりとした呼吸や瞑想、プログレッシブ・マッスル・リラクセーションなどが役立ちます。

STEP
思考の検証

怒りの感情には特定の思考パターンが伴います。これらの思考を客観的に検証し、過度な一般化や否定的なセルフトークや認知バイアスに気づきます。

STEP
適切なコミュニケーション

怒りを感じた場合、感情を冷静に表現し、他者とのコミュニケーションを円滑に行う方法を模索します。アサーション技術などコミュニケーションスキルが役立ちます。

STEP
解決策の探求

怒りの感情が起こった原因に対して、解決策を探求します。問題解決の方法や改善策を考え、次回同様の状況が生じないように工夫します。

STEP
ポジティブな代替手段の構築

怒りの感情に対処するために、ポジティブで健康的な代替手段を見つけます。趣味やリラックス法、ストレス解消の方法を導入して、怒りをコントロールできるスキルを身につけます。

「衝動」のコントロール

「衝動」は感情や欲望から生じる突発的で強い行動のことを指します。これらの衝動的な行動は冷静な判断を欠き、後悔や問題を引き起こすことがあります。次のアプローチを組み合わせることで、衝動的な行動をコントロールし、より建設的な選択をすることが可能となります。

STEP
認識と理解

最初に、衝動が生じたことを認識します。感情や欲望がどのように衝動的な行動につながったかを理解することが重要です。感情を冷静に観察し、なぜその感情が生じたのかを考えます。

STEP
深呼吸とリラクセーション

深呼吸やリラックス法を使って、急激な感情や興奮を和らげます。深呼吸は自律神経を整え、冷静な状態に戻るのに役立ちます。リラクセーション法を実践することで、緊張を緩和し、衝動的な行動を抑制するのに効果的です。

STEP
タイムアウトを取る

衝動的な行動に走る前に、一時的なタイムアウトを取ることが効果的です。数分間の休憩や席を外して物事を冷静に考える時間を設けることで、衝動をコントロールしやすくなります

STEP
目標と価値の明確化

自分の目標や大切にしている価値観を明確にします。衝動的な行動がこれらの目標や価値観に反するものである場合、自分を戒める材料となります。

STEP
代替行動の採用

衝動的な行動の代わりに、より建設的な行動を選択することが重要です。例えば、怒りっぽくなった場合には冷静な対話を心がける、あるいはストレスがたまった時には運動や趣味に時間を費やすなど、ポジティブな代替行動を取り入れます。

STEP
サポートを求める

衝動的な行動が悩みや問題を引き起こす場合、友人や家族、専門家といったサポートを求めることが役立ちます。相談やアドバイスを受けることで、冷静な意見や視点を得ることができます。

「思考」のコントロール

思考のコントロールは、感情や行動に影響を与える重要なスキルの一つです。ポジティブで冷静な思考を促進し、ネガティブな思考パターンを軽減することが目的です。次のテクニックを組み合わせて、ポジティブで冷静な思考スタイルを養います。思考のコントロールは日常生活において有益なスキルであり、感情や行動にポジティブな影響を与えることが期待されます。

STEP
自己観察と認識

思考のコントロールの第一歩は、自分の思考を注意深く観察し、認識することです。自分の頭の中で何が起こっているのかを把握します。ネガティブな認知バイアスや誤った信念を見つけることができます。

STEP
肯定的なセルフトーク

ポジティブで建設的な自己認知を身につけることが重要です。自分に対して否定的な言葉や思考を肯定的なものに変えるよう努めます。例えば、「できない」という言葉を「できる方法を見つけよう」と言い換えるなどがあります。

STEP
リフレーミング

問題や困難な状況を異なる視点から見ることをリフレーミングと呼びます。否定的な考え方や過度な一般化を避け、柔軟性を持って状況を評価することが重要です。

STEP
過去や未来への過度な焦点の回避

過去の過ちや未来への不安に焦点を合わせることは、不必要なストレスを生む原因となります。現在の状況に焦点を当て、問題解決に集中するよう心がけます。

STEP
具体的で現実的な目標の設定

長期的で漠然とした目標ではなく、具体的で現実的な目標を設定することで、達成感やポジティブな思考が生まれやすくなります。大きな課題を小さなステップに分割することも役立ちます。

STEP
感謝の意識

毎日の中で感謝すべきことを考えることは、ポジティブな思考を促進します。感謝の意識を持つことで、ネガティブな感情や思考から距離を置くことができます。

STEP
ストレス管理

ストレスが高まるとネガティブな思考が増えやすくなります。ストレスを管理するためには、リラックス法や適切な休息を確保することが必要です。

「行動」のコントロール

行動のコントロールは、感情や思考に基づく行動を効果的かつ建設的に調整する能力です。次のポイントを意識的に取り入れることで、行動のコントロールを向上させ、より効果的で健康的な行動を実現することができます。

STEP
目標の設定と優先順位付け

具体的で実現可能な目標を設定し、それらに優先順位をつけます。目標が明確であれば、行動の方針も明確になり、焦点を絞ることができます。

STEP
計画の策定

行動する前に、計画を立てます。計画を立てることで、目標に向かって効果的かつ効率的に進むことができます。計画は柔軟性を持ちながらも、具体的で実用的なものであるべきです。

STEP
刺激と反応の制御

刺激と反応の間には行動に移す前の選択肢がもてます。刺激に対する反応を自覚的に選び、感情や衝動に振り回されずに冷静に行動することが重要です。深呼吸や瞑想などのリラックス法が助けになります。

STEP
ポジティブな習慣の構築

日常的な小さな行動が、大きな変化をもたらします。ポジティブな習慣を積み重ねることで、自己制御力や行動のパターンが向上します。

STEP
感情の管理

感情が高まった際には、その感情に対する建設的な対処法を見つけます。怒りっぽい人は深呼吸やタイムアウトを取り入れ、感情を冷静に処理します。

STEP

周囲とのコミュニケーション

他者との円滑なコミュニケーションは行動をコントロールする上で重要です。感情や意図を適切に伝え、他者の意見や感情にも敏感に対応することが必要です。

STEP
フィードバックの活用

自身の行動に対するフィードバックを受け入れ、成長や改善につなげます。他者の意見や経験を参考にすることで、より良い行動を選択できます。

STEP
モチベーションの維持

長期的な目標に向けてモチベーションを維持することが重要です。小さな成功を積み重ね、ポジティブなエネルギーを維持することで、行動の質を向上させることができます。

アンガーマネジメントの具体的実践方法は2⃣ページ目をご覧ください。

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