ACTの6ステップトレーニングをクライエントが一人でできるマインドフルネスやエクササイズとフレームワークを紹介
ACT(アクセプタンス&コミットメントセラピー)において、クライエントのトレーニングは非常に重要となります。ACTは単に理論を学ぶだけでなく、実際に新しい行動や思考のパターンで心理的柔軟性を体得し、それを日常生活に適用していくことを目指すことになります。そのため、クライエントがセラピーセッションの中で学んだスキルをトレーニングし、実践することが成功の鍵となります。
要するに、ACTにおいてクライエントのトレーニングは理論的理解以上に重要であって、学んだスキルを実際の生活に適用し、持続的な心理的柔軟性とウェルビーイングを築くためにも欠かせないものとなります。
アクセプタンス&コミットメントセラピー(ACT)は、心理的柔軟性を高めるために6つのコアプロセスを使用します。それぞれのステップに適したトレーニング方法について解説します。
このページを含め、心理的な知識の情報発信と疑問をテーマに作成しています。メンタルルームでは、「生きづらさ」のカウンセリングや話し相手、愚痴聴きなどから精神疾患までメンタルの悩みや心理のご相談を対面にて3時間無料で行っています。
- ACTアクセプタンス&コミットメント・セラピーの知識
- ACTアクセプタンス&コミットメント・セラピーの技法と手順
- ACTが10分で理解できる総まとめ
- ACT技法の具体的実践アプローチ
- ACT療法がセッション話法で楽に学ぶ
- 依存症に対するACT療法の実践セッション
- トラウマに対するACT療法の実践セッション
- ACT-価値観の明示とコミットメント行動のアプローチ
- 過去の後悔・未来の不安の捉われにACTセッション
- ACTのセッションでトラウマを受け入れ価値感を示す
- 回避的特性とアレキシサイミアへのACTセッション
解説:クライエントが自身の感情や思考を自由に表現できるようにリラックスすることが重要となります。呼吸調整法は、ゆっくりした呼吸によって不安と緊張を軽減する呼吸法を行います。
ゆっくりした呼吸によって不安と緊張を軽減する呼吸法を行います。落ち着くために良く行う深呼吸は深く息を吸う呼吸です。実は深く息を吸うことは不安や緊張の助けにはなっていません。
人間が怖い目に遭ったり興奮したときには息苦しさを感じるので、酸素が必要だと勘違いし呼吸が早くなったり、呼吸を激しくしてしまい過呼吸を引き起こしてしまいがちです。この必要以上に酸素を吸うことで恐怖感が増し、人間が恐怖や不安の時に脳からの指令により、「逃げるか闘うか」の警報が鳴ってしまい身体がさらなる恐怖感を強めてしまいます。
気持ちを静めるためには、呼吸のペースを落とし普通に息を吸い、口をすぼめゆっくりと吐き出す呼吸調整法が緊張した際の助けに繋がります。
複式呼吸を意識して行うことで、横隔膜に集まっている自律神経が適度に刺激されて心拍の安定や体温の調節、肺機能の向上や胃腸運動など臓器の働きが活性化されます。また、脳の前頭前野の血流の増加や不安やストレスを軽減させるセロトニン神経伝達の働きが促されて記憶・注意・意欲などの認知機能にも効果的だと言われています。
呼吸調整法
呼吸法の練習(前もっての深呼吸はしません) |
---|
❶ 3(4)秒かけて自然に息を吸います。口をすぼめて6(8)秒程度かけてゆっくりと息を吐きます。 自分に合う呼吸時間にしてください。 ただし、吸う:吐くは1:2の時間の割合です。 吐くときには、頭の中に「リラーーーックス」という言葉で自分をなだめます。 |
❷ ❶が慣れてきたら、4-7-8呼吸法①鼻からゆっくり4秒程度かけて自然に息を吸います。②7秒程度息を止めます。③口をすぼめて8秒程度かけて息を吐きます。無理をせず①②③の繰り返しです。 (朝・昼・夕・晩(寝る前)1日4回、1回5分間程度を普段から練習しておく。特に寝る前は有効です。) |
呼吸法のコツ ⑴ 息を吸うのが緊張、吐くのがリラックスとなります。リラックスしたい時は息を吸うよりも息を長めに、口をすぼめるようにゆっくりと細く長く吐いていきます。 ⑵ 息を吸うときにはお腹が膨らむように、吐くときはお腹がしぼむように腹式呼吸を用います。 ⑶ 息を止める時には、肺にためた空気を保持しながら全身に酸素を行きわたらせることをイメージして、「集中力」「心のコントロール」と自分に向かって言います。 ⑶ 息を吐くときには「リラーーーックス」や「落ち着けーーー」と自分に向かって言いながら、日頃の緊張や疲れ、不安や不満などの嫌な感情が気持ちよく外に吐き出されるのをイメージします。 ※PDの症状であるパニック発作と予期不安は、交感神経の興奮による身体反応ですので、不安時にどうしても息を吸い込みがちになります。呼吸法のコツはゆっくり腹式呼吸を用いて息を吐き、コントロールの感覚をもって行います。 |
解説: アクセプタンスは、不快な感情、(思考、記憶、身体感覚)などを変えようとせず、ありのまま受け入れる姿勢を育てます。抵抗するのではなく、それらが存在することを認め、自分の行動に影響を与えないようにします。
トレーニング方法
- マインドフルネス瞑想
感情や思考が浮かんできたときに、それを判断せず、ただ観察する練習をします。例えば、呼吸に意識を向けながら、自分に浮かぶ思考や感情を注意深く観察します。 - ボディスキャン
体の各部位に意識を向け、緊張や痛みを感じても、それを変えようとせず、ただその感覚を受け入れる練習です。 - ラディカルアクセプタンス
強い感情や否定的な状況を認める練習。感情や経験に対して「これは今の私にとって現実だ」と認識し、抵抗を手放すことを学びます。
「私は今、ここにいる・ある」気づきのマインドフルネス
- 椅子や地べたに座った姿勢でも、ベットなどに仰向けに寝た姿勢など無理のない楽な姿勢をとります。
- 目を閉じ(目を開ける)自分のペースで呼吸を続けます。
- セラピスト:自分自身の身体の内側で感じる感覚や感情に意識を向けてください。
- セラピスト: 自分の身体の内側で感じている心臓の鼓動、呼吸、興奮やイライラ感、怒り、ウキウキ感、嬉しさなどや、今、体の内側で体験していること、気づいていること、起こっていることは何かありますか?意識を向けて感じてください。
- クライエント: 不安感です。
- セラピスト: 不安感ですね。『不安感です』に「私は今、」と「あることに気付いています」を加え、「私は今、『不安感がある』ことに気づいています」と言葉で気づきを話してください。
- セラピスト: 最初ですから繰り返します。「私は今、不安感があることに気づいています」。と気づきを向けてください。それではどうぞ!
- クライエント:「私は今、不安感があることに気づいています」。
- このことで、「私は今、ここにいる・ある」ことに強く気付きを得たはずです。しかし、気づきには何の評価もしません。
- 同じように2分程度、内側の感覚を広げ、その他の内側で感じる気づくことを焦点化し、「私は今、○○〇いる・あることに気づいています」。を繰り返していきます。
- 同じようにセラピストとクライエントが外側と中間領域も引き続きセッションを繰り返していきます。「私は今、ここにいる・ある」を感じていくだけでも、意識の変容が活性化されます。また、このセッションを繰り返すことは、感情や欲求にアクセスすることで必要とするヒントや答えが感情や欲求の中から見つけ出すことができるからです。
エクササイズ終了後、振り返りの中で、それらの回答(気づき)が、3つの中のどの領域に多く分布しているかをお互いに見ていきます。人によって、ある領域が多かったり、ある種の傾向性があったりと、自分の癖やパターンが見えてきます。気づきのマインドフルネスでは、このパターンの偏りが、心の可動域をせばめたり、体験を阻害したりと能力を制限していると考えます。この阻害や制限を、ワーク(セッション)などを通して、心の可動域が広がるようにします。
- 内部領域(内側):皮膚の内側で感じる感覚や感情;心臓の鼓動、呼吸、血流、体温、興奮などと内的な感覚である不安や悲しみ、怒りなどの感情と情動の領域
- 外部領域(外側):皮膚の外側、特に五感で認識、感じる外部;目の前や周りの環境、外部に実在している物質、それらを直接知覚する五感の領域
- 中間領域(思考):思考や判断、言葉の行き交う頭の中;自己の考えや信念、解釈、判断の気づきです。自己の思考パターンや信念の影響を受け入れる領域
「今、ここに注意を向ける」気づきのマインドフルネス
アクセプタンス(Acceptance)のトレーニングでは、STEP1(呼吸)・2(身体感覚)・4(感情)の気づきを否定せずにそのまま受け入れるワークをします。
- “今、ゆっくりと深呼吸してみてください。吸うときに鼻から空気が入り、吐くときに口から出る感覚を感じてください。”
- “呼吸を意識して、体が膨らむときと縮むときの違いに気づいてみてください。”
- “座っているお尻の感覚を十分に感じ取ってください。あったかいですか?体重を感じていますか?”
- “その後は自分が楽な呼吸を続けてください。”
- “体のどこかに緊張や痛みを感じている場所がありますか?
その部分の感覚を観察してみてください。” - “例えば、体の一部に気持ちのよい感覚がある場合、それを感じることができますか?どんな感覚ですか?”
- ”感じたら、STEP⒈の呼吸や身体感覚に戻ります。”
- “部屋の中で目に入る色や光、影を見つめてみてください。それらの色や形に注意を向けます。”
- “部屋の中で聞こえる音に注意を向けてください。それらの音がどこから来ているか、どのような音なのかに気づいてみてください。”
- ”感じたら、STEP⒈の呼吸や身体感覚に戻ります。”
- “今、何か特定の感情を感じていますか?
例えば、イライラ感や悲しみ、ワクワク感や嬉しさなどになります。その感情がどのように体の中で感じられるかに注意を向けてみてください。” - 感情は体のどこの場所で感じていますか?感じる強さは1〜10段階でいくつぐらいですか?どんな色をしていますか?どんな形をしていますか?重いですか、軽いですか?痛いですか、押された感じですか、掴まれた感じですか?など細やかに注意を注いでみます。
- “感情が表面に出ている場合、どのような表情や身体の動きがありますか?
それらのサインに注意を向けてください。” - ”感じたら、STEP⒈の呼吸や身体感覚に戻ります。”
- “今、頭の中に浮かんでくる思考や声がありますか?
例えば、昨日失敗したことや明日の仕事のことなどです。それらの思考や声に気づいて、ただ観察してください。” - “思考が流れるのを観察することができますか?
どのようなパターンやテーマがあるかに気づいてみてください。” - ”感じたら、STEP⒈の呼吸や身体感覚に戻ります。”
これらの具体的な指示や質問を通じて、セラピストはクライアントが内部、外部、および中間の領域に注意を向けるよう促し、そこに現れる体験や感情に気づくことを支援します。セラピストはクライアントがそれらの体験を受け入れ、観察することを奨励し、自己理解を深めるための基盤を提供します。その後は、感情も思考も受け流すこともできるように呼吸に戻り、今ここに集中していきます。
アクセプタンスのトレーニングは、内部、外部、そして中間の領域に気づきを向けることで、クライアントが自己理解を深め、現実との接続を強化し、受容することで自己の内外の統合を促進することを目的としています。
また、これらの領域をバランスよく探求することが重要であり、クライアントが自己の気づきを深め、成長や変化を促進するのに役立ちます。
解説: 認知デフュージョンは、思考と現実を切り離し、思考に縛られずに行動する能力を養います。思考を絶対的な真実と見なすのではなく、単なる「思考」として捉えることを目指します。
トレーニング方法
- ラベル付け
浮かんでくる思考に「私の頭の中に◯◯という考えが浮かんでいる」とラベルを付けて観察します。これは、思考を客観視する助けになります。 - 声に出して言う
否定的な思考を繰り返し声に出して言うことで、その思考が持つ力を弱めます。例えば、「私は無価値だ」という考えを繰り返し言うと、それが単なる言葉に過ぎないことに気づきやすくなります。 - 思考を浮かべて流す
思考が雲や川の流れのように通り過ぎるのを想像する方法です。思考が生まれては消えることを視覚化します。
認知デフュージョンのトレーニング
認知デフュージョン(Cognitive Defusion)は、思考に対する距離感を持ち、これらを客観的に観察することで、思考にとらわれることなく、より自由に行動するための技法です。認知デフュージョンのトレーニングは、クライエントが思考を現実そのものとみなすのではなく、それを一歩引いて観察する力を養うための具体的な練習となります。
- 思考を書き出す
- 目的: 頭の中の思考を視覚化し、言葉として客観的に捉える。
- 方法: クライエントに、頭の中で繰り返されるネガティブな思考や強迫的な考えを紙に書き出してもらいます。例:「私は失敗するに違いない」、「誰も私を理解してくれない」、「私は価値がない」など。
- 実践のポイント: このステップでは、思考を一つひとつ書き出すことが大切です。書くことで、思考が頭の中にだけ存在するものから、外部の紙に移動することで客観的に見やすくなります。
- 思考を音読する
- 目的: 思考を言葉として認識し、それが現実の事実ではないことに気づく。
- 方法: 書き出した思考を声に出して読んでもらいます。このとき、普通のトーンで読み上げるように指示します。次に、その思考を違ったトーンや声色で読んでもらうことも試します。
- 例: 「私は価値がない」という思考を、最初は普通に読み、その後、例えばアニメのキャラクターの声や、おどけた声、ロボットのような無感情な声で読み上げます。
- 実践のポイント: 声に出すことで、思考が単なる音声(言葉)であることを実感しやすくなります。また、異なる声色で読むことで、思考がそれほど深刻でないことを感じることができます。
- 思考の反復
- 目的: 思考を繰り返し言うことで、言葉の意味が徐々に薄れ、単なる音のように感じるようになる。
- 方法: クライエントに、特定の思考(例:「私は失敗する」)を何度も繰り返してもらいます。最初は普通に、次第に早口で、あるいはリズムをつけて繰り返すようにします。
- 実践のポイント: 繰り返し行うことで、思考の意味合いが薄れ、言葉そのものが単なる音やリズムとして感じられるようになります。これにより、思考に対する感情的な反応が弱まります。
- 思考を視覚化する
- 目的: 思考を言葉として捉え、それをさらに視覚的にイメージすることで、客観的に観察する。
- 方法: クライエントに、自分の思考を視覚化してもらいます。例えば、思考が吹き出しの中に書かれている漫画のコマを思い浮かべたり、頭の中でその言葉が書かれた紙が風に飛ばされていく様子をイメージさせます。
- 実践のポイント: 視覚化することで、思考が頭の中にこもったものでなく、外部に存在する「物」として扱えるようになります。これにより、思考との距離を保つ感覚が強化されます。
- 反射的な思考と認識する
- 目的: 思考が自動的に浮かんでくるものであり、それを自分自身と同一視しないことを学ぶ。
- 方法: クライエントに、浮かんできた思考を「これはただの思考だ」と反射的に認識させる練習をします。思考が浮かんだときに、「ああ、またこういう思考がやってきた」と冷静に観察するように促します。
- 実践のポイント: この練習を繰り返すことで、クライエントは思考が自分自身を定義するものではなく、ただの言葉の集合であると認識できるようになります。
- 「私は〇〇を考えている」というフレーズを付け加える
- 目的:このトレーニングでは、クライエントが自分の思考と自分自身を切り離して認識できるようにすることが目的です。思考を事実として捉えるのではなく、単なる思考として認識することで、その影響力を弱めることができます。特に自動的に浮かんでくるネガティブな思考に対して、この方法を適用することで、クライエントは思考に支配されず、冷静な判断ができるようになります。
- 思考の認識:クライエントが日常生活で感じるネガティブな思考や強迫的な考えに気づいたとき、その思考をそのまま口に出すように指示します。例:「私は失敗するに違いない」。
- フレーズを付け加える:その後、思考の前に「私は〇〇を考えている」というフレーズを付け加えるようにします。例:「私は『私は失敗するに違いない』と考えている」。
- 実践のポイント
- 繰り返し行う: 日常生活の中で何度も繰り返すことで、このプロセスが自然とできるようになります。
- 自動思考に対して適用: 特に自動的に浮かんでくるネガティブな思考に対して、この方法を適用することで、クライエントは思考に支配されず、冷静な判断ができるようになります。
- 例
- 思考: 「私は絶対に上手くいかないだろう」
- 付け加えたフレーズ: 「私は『私は絶対に上手くいかないだろう』と考えている」
- 思考に名前を付ける
- 目的:思考に名前を付けることで、クライエントは自分の思考をより一層客観的に捉えられるようになり、その思考が持つ感情的な重みを軽減し、クライエントが冷静に対応できるようになります。
- 思考の特定:クライエントが感じるネガティブな思考や不安を特定します。
- 思考に名前を付ける:クライエントに、その思考に適した名前を付けるように提案します。名前はその思考を表現するものであれば何でも構いません。例えば、「完璧主義ちゃん」、「心配ぐるぐる」、「ネガティブネリー」などです。
- 名前で呼ぶ:その後、思考が浮かんできたときに、その名前で呼ぶように指示します。「ああ、また心配ぐるぐるがやってきたな」といった具合です。
- 思考との距離を保つ:名前を付けることで、クライエントはその思考と自分自身を切り離して認識できるようになります。これにより、その思考に対する感情的な反応が弱まり、冷静な対応がしやすくなります。
- 実践のポイント
- 親しみやすい名前: クライエントが思わず笑ってしまうような、親しみやすい名前を付けると効果的です。思考がそれほど深刻ではないことを感じさせます。
- 習慣化: 思考が浮かぶたびにその名前で呼ぶことで、思考に対する距離感を保つ習慣がつきます。
- 例:
- 思考: 「何もかもがうまくいかない」
- 名前: 「悲観的ピーター」
- 対応: 「また悲観的ピーターがやってきた。そんなに騒ぐことはないよ」
解説: 現在の瞬間に意識を向け、過去や未来にとらわれずに「今ここ」に集中する力を高めます。このステップでは、過去や未来への思考が行動を妨げるのを防ぎます。
トレーニング方法
- マインドフルネス呼吸法
呼吸に意識を集中し、呼吸を一つ一つ感じることで現在に戻ります。これにより、心が過去や未来にさまよわないようにします。 - 五感に注目する練習
周囲の音、匂い、感触、味、視覚に集中し、今この瞬間を五感で感じる練習です。例えば、歩くときに足の裏が地面に触れる感覚や風の音を感じます。 - グラウンドリングエクササイズ
不安やストレスを感じたときに、周囲の環境に意識を向けて、現実に戻るための方法です。「今ここ」で感じられるものを5つ数える、色を見つけるなどの具体的な行動を行います。
現在の瞬間に焦点を当てるトレーニング
概要: マインドフルネス瞑想は、意識的に現在の瞬間に集中し、思考や感情を観察する練習です。これにより、クライエントは「今ここ」に意識を向ける力を養います。
- 呼吸に集中する: クライエントに、静かな場所で目を閉じて呼吸に意識を向けてもらいます。呼吸のリズムや感覚に注意を払い、思考が浮かんできたら優しく呼吸に戻るようにします。
サマタ瞑想は、今、ここで起きている現実に集中していても、不可避的に現れる思考や感情などに奪われそうになります。そんな妄想に近い私的な対象や出来事に対しては、気付いた時点で呼吸や身体感覚に注意を戻す「注意の転換」瞑想のことです。例えば、注意の転換をするときに「戻ります」などの意識的な声がけで、今の呼吸や身体感覚の現実に注意を転換をさせます。 - ボディスキャン: 頭から足先まで、体の各部位に順番に意識を向ける方法です。各部位の感覚に注意を払うことで、身体感覚を通じて「今」に集中する練習になります。
- 体全体に意識を向ける: 足の先から頭のてっぺんまで、体の各部位に順番に意識を向けます。各部位がどのように感じているか(温かさ、冷たさ、痛み、緊張、リラックスなど)を観察します。
- 感覚を観察する: その部位がどのように感じているかをただ観察し、緊張を感じた場合は、その部位がリラックスするように深呼吸をすることもあります。
- 音に注意を向ける: 周囲の音に意識を集中させ、その音をただ聴くことに専念します。音が去るときもそれに気づき、次の音に意識を移す練習です。
ヴィパッサナー瞑想は、サマタ瞑想で行われる注意の持続と転換が安定して行えるようになったうえで、注意の範囲をパノラマ的に広げ、意識的に入ってくる音や匂い風など一つに注意を向ける、交互に注意を向ける、同時に全体に注意を配るようにする「注意の分割」ができる瞑想のことです。例えば、外で聞こえる電車や車の音、話し声、部屋の匂いや外から入ってくる匂い、外からの風や光の感覚などの刺激の一つに集中します。その後は刺激を変えて集中していきます。そして、複数の刺激を同時に集中できるようにしていく注意の分割の訓練です。
概要: グラウンディングエクササイズは、クライエントが自分の身体と周囲の環境に注意を向けることで、「今ここ」に意識を固定する方法です。これにより、心が過去や未来にとらわれるのを防ぎます。
- 5-4-3-2-1エクササイズ: クライエントに、今この瞬間に感じる5つの視覚的なもの、4つの触覚的なもの、3つの聴覚的なもの、2つの嗅覚的なもの、そして1つの味覚的なものを挙げてもらいます。このプロセスを通じて、注意を現在の感覚に集中させます。
- 足の感覚に意識を向ける: 座ったり立ったりしているときに、足が地面に触れている感覚に注意を向けます。足の裏の感覚、圧力、温度に意識を集中させることで、「今ここ」に意識を向けることができます。
概要: セルフコンパッションエクササイズは、クライエントが自分に対して思いやりを持つことで、今の自分を受け入れる力を養うトレーニングです。これにより、現在の瞬間における自分の感情や状況をありのままに受け入れることができます。
- 自己肯定的な言葉を使う: クライエントに「私は今、十分に頑張っている」「この瞬間をただ経験しよう」といった自己肯定的な言葉を使うよう指導します。
- 「私は価値ある存在である」
- 「私は愛されている」
- 「私は十分に良い」
- 「私は自分を大切にする」
- 「今、自分は安全な場所にいる」
- 「この状況も必ず乗り越えられる」
- 「私は自分のペースで成長している」
- 「私は毎日成長している」
- 「私は他人と比べず、自分自身に誇りを持っている」
- 「私は自分の夢を実現する力を持っている」
- 「私は困難に立ち向かう力を持っている」
- 温かさと受容を感じる: クライエントに手を胸に置き、深呼吸をしながら自分自身に優しさと温かさを送り、その瞬間を受け入れる練習を行います。
- 「私が幸せでありますように」
- 「私が安全でありますように」
- 「私が健康でありますように」
- 「私が平穏でありますように」
- 「悲しみを歓迎しよう」「後悔を歓迎しよう」「裏切りを歓迎しよう」
- 「批判したりせず、許しを歓迎しよう」「批判したりせず、思いやりを歓迎しよう」
- 「批判したりせず、忍耐を歓迎しよう」「批判したりせず、弱さを歓迎しよう」
- 「批判したりせず、信頼を歓迎しよう』「批判したりせず、愛情を歓迎しよう」
概要: クライエントが日常的な活動を通じて注意を集中させる練習です。これにより、日常の中で「今ここ」に意識を向ける習慣をつけます。
- 注意深く食べる: クライエントに食事をするときに、食べ物の味、食感、香りに集中するように指導します。食べる動作そのものに意識を向けることで、現在の瞬間に意識を集中させます。
- 注意深く歩く: クライエントに歩くとき、足の動き、足が地面に触れる感覚、周囲の音や視覚的な情報に注意を向けるように指導します。これにより、歩く瞬間瞬間に意識を集中させる練習になります。
概要: 呼吸法は、クライエントが現在の瞬間に集中し、リラックスするための基本的な方法です。深呼吸や呼吸に意識を集中することで、「今ここ」に意識を向けることができます。
- 4-7-8呼吸法: クライエントに、4秒かけて息を吸い、7秒間息を止め、8秒かけて息を吐くよう指導します。この呼吸法は、現在の瞬間に集中し、心を落ち着けるのに効果的です。
- 呼吸を数える: クライエントに息を吸いながら「1」、吐きながら「2」と数え、10まで数えたらまた1に戻るという方法です。これにより、呼吸に意識を集中し続ける練習になります。
概要:ATTは、注意の持続や転換、分割を訓練することで、クライエントは「現在の瞬間に焦点を当てる」力を高め、より柔軟に思考や感情に対応できるようになります。
- 注意の持続: 一定の対象に注意を集中し続ける能力を高める。
- 注意の転換: 注意を一つの対象から別の対象へ迅速に移す能力を養う。
- 注意の分割: 複数の対象に同時に注意を向ける能力を強化する。
ATTは、クライエントが注意を意識的にコントロールできるようになるための強力なツールであり、それがACTのプロセス全体にわたって重要な役割を果たします。
トレーニング⒈のマインドフルネス瞑想
マインドフルネス瞑想は、現在の瞬間に意識を集中させることを目的とした瞑想法です。これは、ACT(アクセプタンス&コミットメントセラピー)の「現在の瞬間に焦点を当てる」というプロセスに深く関連しており、クライエントが思考や感情にとらわれることなく、今ここに集中する力を養うのに役立ちます。
- 場所の選定: 静かで落ち着ける場所を選びます。周囲に気を散らすものがない場所が理想的です。
- 姿勢の確認: 座る場合、椅子やクッションを使用して、背筋を伸ばし、リラックスした姿勢をとります。立つ、横になる、歩くといった姿勢でも構いませんが、意識的に姿勢を保つことが重要です。
- 時間の設定:初心者は5〜10分の短い時間から始め、慣れてきたら20分、30分と徐々に時間を延ばしていきます。
- 呼吸の観察: 目を閉じ、呼吸に意識を向けます。鼻から吸い込む空気の感覚、肺が膨らむ感覚、そして口や鼻から息を吐き出す感覚に集中します。呼吸のリズムや深さを変えることなく、ただ自然な呼吸を観察します。
- 「今ここ」に意識を向ける: 息を吸うたびに、「私は今ここにいる」という意識を持ち、息を吐くたびに「この瞬間を感じている」と心の中で言い聞かせると、現在の瞬間に意識を集中させやすくなります
- 思考や感情が浮かんできたら: 瞑想中に思考や感情が浮かんできても、それに対して批判や判断をせず、ただ「浮かんできた」という事実を認識します。その後、再び呼吸や現在の瞬間に意識を戻します。
- 思考を流れとして観察する: 思考や感情が浮かんできたとき、それを「雲が空を流れていくように」あるいは「川の流れに葉が流されていくように」観察します。これにより、思考や感情にとらわれることなく、再び「今ここ」に意識を戻す練習ができます。
- 体全体に意識を向ける: 足の先から頭のてっぺんまで、体の各部位に順番に意識を向けます。各部位がどのように感じているか(温かさ、冷たさ、痛み、緊張、リラックスなど)を観察します。
- 感覚を観察する: その部位がどのように感じているかをただ観察し、緊張を感じた場合は、その部位がリラックスするように深呼吸をすることもあります。
日常生活への応用: マインドフルネス瞑想は座って行うだけでなく、日常生活の中でも実践できます。例えば、食事をする際に、食べ物の味、香り、食感に意識を向ける「マインドフルイーティング」や、歩行時に足が地面に触れる感覚や周囲の音に集中する「マインドフルウォーキング」があります。
- 静かに終える: 瞑想が終わる時間が来たら、ゆっくりと意識を戻します。目を開け、周囲の環境に注意を向けながら、深呼吸をしてリラックスします。
- 振り返り: 瞑想の終わりに、瞑想中に感じたことや浮かんできた思考を軽く振り返ります。これにより、自分の内面をより深く理解し、次回の瞑想に役立てることができます。
現在の瞬間への意識強化: マインドフルネス瞑想を続けることで、思考や感情に巻き込まれることなく、「今ここ」に意識を集中する力が強化されます。これにより、ストレスの軽減、感情のコントロールの向上、注意力の向上が期待できます。
ACTへの応用: この瞑想法は、ACTの他のプロセス(アクセプタンス、認知デフュージョンなど)との統合が可能であり、クライエントが柔軟に思考や感情に対応できる力を養うのに有効です。
マインドフルネス瞑想を通じて、「現在の瞬間に焦点を当てる」スキルを磨くことは、クライエントがより健全で充実した人生を送るための重要なステップとなります。
解説: 自己観察(または自己をコンテクストとして捉えること)は、自分自身を固定的な存在として捉えるのではなく、状況や時間と共に変化する存在として観察する能力を育てます。自分を変化の中で捉えることで、自己に対する柔軟な視点を持つことができます。
トレーニング方法
- 自己と他者を分離する瞑想
自分の思考や感情と「自分」という存在を分けて観察する練習です。「私はこれらの思考や感情を持っているが、それが私そのものではない」と認識します。 - 役割演技
様々な役割(親、友人、職業人など)を演じることで、それぞれの役割が自分の一部に過ぎないことを理解します。これにより、自己の複数の側面を認識し、それに囚われない柔軟性を養います。 - 視点の変換練習
自分自身を第三者の視点から観察する練習です。現在の自分を、過去や未来の自分、または他者の視点から見て、状況や感情を多角的に捉えます。
自己観察のトレーニング方法
- 観察者としての自己を意識する
- 「今の私はどこにいる?」と問いかける
自分の身体や周囲の環境を意識し、「今、自分はどこにいて、何を感じているのか」と自問してみてください。この質問を通じて、自分の「観察者」としての側面に気づくことができます。 - 静かな場所で目を閉じるか、軽く目を開けて自分に集中します。
- 「今の私はどこにいるのか?」と自問します。この問いかけに対して、「私はこの部屋の中にいる」「椅子に座っている」といった物理的な答えでも良いですし、「私は安心している」「少し緊張している」などの感情的な答えでもかまいません。
- この質問を通じて、自分の存在を意識し、心の中で「今ここ」にいることを感じます。
- 「今の私はどこにいる?」と問いかける
- マインドフルネス瞑想
- 呼吸に集中する瞑想: 呼吸に意識を向け、吸う息と吐く息に注意を集中します。思考や感情が浮かんできたら、「今、考えが浮かんできた」「今、こんな感情が湧いた」とただ認識し、再び呼吸に意識を戻します。この過程を通じて、思考や感情と距離を置き、それらを観察する能力を養います。
- 思考や感情の流れを観察する: 自分の頭の中で思考や感情がどのように現れ、消えていくのかを観察します。この観察を通じて、思考や感情が常に変化し続ける一時的なものであることを実感し、「観察者」としての自己に気づきます。
- 「過去・現在・未来」エクササイズ
- 過去に意識を向ける
過去の出来事や感情を思い浮かべ、その時の自分を思い返します。次に、それを観察する「今」の自分を意識します。 - まず、自分の過去の中で印象的だった出来事や、特に感情が動いた瞬間を一つ選びます。例えば、初めて大きな成功を収めた瞬間や、悲しい別れを経験した時などです。
- その過去の出来事に関して、できるだけ詳細に思い出し、当時の自分がどのように感じ、どのように考えていたかを想像します。この時、自分の感情や思考に集中し、その時の感覚をできる限りリアルに再現するよう努めます。
- 現在の自分に意識を戻す
- 過去の出来事に十分に集中したら、意識を現在の自分に戻します。現在の生活や感情、考え方を観察し、どのように変化しているか、または一貫しているかを感じ取ります。
- 過去の自分と比べて、今の自分がどのように成長しているのか、何が変わったのか、あるいは変わらずに続いているのかを意識的に考えます。
- 過去と現在を比較する
- 過去の自分と現在の自分を比較し、それぞれの状況や感情を並べてみます。この時、自分自身を批判するのではなく、ただ観察者として、その違いを受け入れることが重要です。
- 例えば、「あの時の私は○○と感じていたが、今は○○と感じている」という形で、過去と現在の違いを言葉にしてみます。
- 未来に意識を向ける
未来の自分がどのように感じ、どのような状況にいるのかを想像し、その時の自分を思い浮かべます。そして、再びそれを観察している「今」の自分を意識します。 - 観察者としての自己を意識する
最後に、現在の自分に意識を戻し、「観察者としての自己」として過去や未来を振り返る能力を強化します。 - 過去と現在を比較することで、時間が経過しても変わらない「観察者としての自己」に気づくことが目標です。この自己は、経験や感情に影響されることなく、常に存在し続けるものです。
- その観察者としての自分を意識し、今後もこの視点を持ちながら日常生活を送ることを心がけます。
- 過去に意識を向ける
- 「思考や感情を座らせる」エクササイズ
- 思考や感情をキャラクター化する: 自分の思考や感情を一つのキャラクターや物体としてイメージします。それを心の中で特定の場所に「座らせ」て、客観的に眺めます。これにより、自分の中にある観察者としての自己をより明確に意識できます。
- 距離を置く: そのキャラクターや物体を少し遠くに置き、その様子を観察します。このエクササイズを通じて、思考や感情との距離感を意識しやすくなります。
- 「三人称視点」エクササイズ
- 自分を第三者視点から観察
自分自身をまるで他人であるかのように第三者視点から観察してみます。例えば、自分の日常生活や感情の起伏を、映画やドラマを観るように描写してみるのです。 - 自分の日常的な行動や状況を思い浮かべます。例えば、昨日の食事をしている自分、友人と話している自分など。
- そのシーンをまるで映画の一場面のように、第三者視点で観察します。「この人(自分)は今、何を感じているだろう?」「どんな行動をとっているのか?」といった問いを自分に投げかけます。
- 自分を「キャラクター」として観察し、その行動や感情を批判せず、ただ受け入れます。これにより、自己に対する客観的な視点を育てます。
- 客観的な言葉を使う: 自分の行動や感情を客観的な言葉で表現します。「私は今、こんなことを考えている」「彼女(自分)は今、こんな感情を抱いている」といった具合に、自己を観察対象として描写します。
- 自分を第三者視点から観察
- 「思考や感情のラベリング」
- 浮かんできた思考や感情に名前を付ける:
思考や感情が浮かんできたら、それに適切なラベルを貼ります。「これは不安だ」「これは怒りだ」など、シンプルに名前を付けることで、それを観察する自己との距離を意識します。
- 浮かんできた思考や感情に名前を付ける:
- 「視点の切り替え」エクササイズ
- 異なる視点で状況を捉える:
ある状況に対して、複数の異なる視点から考える練習をします。例えば、「私の視点」「相手の視点」「観察者としての視点」の3つの視点から同じ状況を見つめ、どのように感じるかを比較します。これにより、自己観察の視点が広がります。
- 異なる視点で状況を捉える:
「雲が空を流れていくように」のマインドフルネス
「雲が空を流れていくように」というマインドフルネス瞑想は、思考や感情を雲にたとえ、それが空をゆっくりと流れていく様子をイメージすることで、心の中に浮かんでくる思考や感情に対して執着せず、ただ観察する練習をするものです。この瞑想は、思考や感情をコントロールしようとするのではなく、自然に湧き上がるものとして受け入れ、それが過ぎ去るのを見守るという考え方に基づいています。
- 静かな場所を選ぶ: 騒音や邪魔が入らない静かな場所で行うのが理想です。椅子に座っても、床に座っても構いません。背筋を伸ばして楽な姿勢をとります。
- 目を閉じる: 目を閉じて、外界からの視覚的な刺激を遮断します。
- 深呼吸: まず、数回ゆっくりと深呼吸をします。息を吸う時にお腹が膨らみ、吐く時にお腹が凹むことを意識します。呼吸が自然なリズムに戻るまで、呼吸に意識を集中します。
- 澄んだ青空を想像: 心の中に広がる澄んだ青空をイメージします。その空は広々としていて、どこまでも続いています。この空が、あなたの心や意識の象徴だと考えてください。
- 浮かんでくる思考や感情を認識する: 瞑想中に、何か思考や感情が浮かんできたら、それを無理に排除しようとせず、「あ、考えが浮かんできた」「今、こう感じている」というように、ただそれを評価せず認識します。
- 思考や感情を雲としてイメージ: 浮かんできた思考や感情を一つの雲にたとえます。その雲がどんな形をしているか、色はどうか、大きさや質感はどうかを思い描きます。
- 雲を見送りながら観察する: その雲(思考や感情)が空の中をゆっくりと流れていくのを見守ります。雲が空を横切り、やがて視界から消えていく様子をイメージします。
- 無理に追いかけない: その雲に対して執着することなく、ただ自然に流れていく様子を観察します。雲が消えた後は、再び澄んだ青空だけが残ります。
- 繰り返し観察: 新しい思考や感情が浮かんできたら、再びそれを雲にたとえ、同じように観察します。繰り返し、思考や感情が現れては流れていく様子を見守ります。
- 意識を現在の瞬間に戻す: 瞑想を終える際には、再び呼吸に意識を向け、数回深呼吸をします。自分が座っている場所や体の感覚に意識を戻して、ゆっくりと目を開けます。
効果:「雲が空を流れていくように」のマインドフルネスの効果として、思考や感情に対して距離感を持つことができるようになります。それによって、思考や感情にとらわれず、それらを一時的なものとして受け流す能力が高まります。日常のストレスや不安を感じた時、この瞑想を実践することで、思考や感情の波に翻弄されず、心の安定感を保つのに役立ちます。
解説: 価値観の明示では、最も重要と感じる人生の方向性や目的を明確にすることを目指します。価値観は、具体的な目標や結果ではなく、行動や生き方の指針となるものです。価値観を明確にすることで、長期的な行動のモチベーションが高まります。
エクササイズ
- 人生の重要な領域をリストアップする
家族、仕事、健康、人間関係、趣味、精神性など、人生のさまざまな領域について考え、それぞれの領域で何が自分にとって重要かを明確にします。 - 価値観カードソート
さまざまな価値観が書かれたカードを使って、それらを重要度順に並べ替えるエクササイズです。これにより、自分にとって最も大切な価値観が何であるかが視覚的に分かりやすくなります。 - 理想の人生を描く
「理想的な1日」や「5年後の理想の自分」を具体的に描き、その中でどのような価値観が大切にされているかを考えます。これにより、自分の行動がどのような価値観に基づいているのかを把握できます。 - 自己評価
「今の自分がこの価値観にどれだけ従って生きているか?」を10段階で評価し、現在の行動と価値観の一致度を確認します。
価値感や目標を見つけるエクササイズ
「価値観の明示(Values Clarification)」は、クライエントが自分にとって本当に大切な価値や目標を見つけるプロセスですが、特に生きづらさと闘っているクライエントにとっては、これが難しい場合が多いのが実情です。こうした場合の価値や目標の引き出し方についてのアプローチを紹介します。価値観が明確になることで、クライエントは目の前の困難に対処するための指針を持つことができ、より充実した人生を歩むための方向性を見つけられるようになります。
- クライエントが抱えている現在の生きづらさや苦しみを出発点にして、その背景にある価値を探ります。例えば、「なぜその状況がそんなに辛いのか?」「何を失ったり、欠けていると感じるのか?」といった質問を通じて、隠れた価値を引き出します。
- 例えば、「孤独感が辛い」と言うクライエントには、「それは人とのつながりを大切にしているからかもしれませんね」と指摘し、社会的つながりが重要な価値である可能性を提示します。
質問例:
- 「今一番辛いと感じるのはどんなことですか?」
- 「どんな時にその苦しみを強く感じますか?」
- 「その苦しみが、あなたにとってどんな意味を持っていますか?」
- 「その状況が辛いのは、何かが欠けていると感じているからでしょうか?もしそうなら、それは何ですか?」
- 「この苦しみは、何か大切なものが失われていると感じているからでしょうか?それは何だと思いますか?」
- 「この状況が改善されたとしたら、あなたにとってどんな価値が満たされるでしょうか?」
- 「もしその苦しみがなくなったとしたら、どんな生活を送りたいですか?」
- 「その時、どんな価値や感情を大切にしていたいですか?」
- 「その価値を大切にするために、日常生活でできることは何でしょうか?」
- 「一歩進むために、今できる小さな行動は何ですか?」
このアプローチにより、クライエントが自分の苦しみをただのネガティブな感情としてではなく、自分にとって重要な価値や目標を見つける手がかりとして捉えられるようになります。その結果、苦しみが克服される可能性が高まり、より充実した人生を目指すための方向性が見えてきます。
- クライエントに、理想の未来について考えるエクササイズを行います。「もし苦しみがなくなったら、どんな人生を送りたいですか?」といった質問を投げかけます。ここで重要なのは、具体的な目標ではなく、どんな感情や価値を感じたいかに焦点を当てることです。
- 例えば、「安心感」や「自由」、「他者との深い関係」といった抽象的な価値が浮かび上がってきます。
質問例:
- 「5年後、10年後のあなたの理想の生活はどんなものですか?」
- 「その時、あなたはどんな仕事をしているでしょうか?どんな場所に住んでいますか?」
- 「理想の未来の中で、ある1日の朝を思い浮かべてください。その朝、どんな部屋で目覚め、何をしますか?」
- 「その日、どんな人たちと会って、どんな会話をしているでしょうか?」
- 「その未来で、あなたはどんな気持ちを感じていますか?」
- 「その未来で、どんな感情が一番大切だと感じますか?」
- 「今の自分と、その理想の未来の自分との間にどんな違いがありますか?」
- 「その未来に近づくために、今から何ができるでしょうか?」
- 「その理想の未来の自分が、今のあなたにメッセージを送るとしたら、何と言うでしょうか?」
- 「その言葉を聞いて、今のあなたはどんな行動を取ることができるでしょうか?」
このエクササイズは、クライエントが自身の価値観や目標をより具体的に認識する手助けをする強力な手法です。未来のビジョンを描くことで、クライエントは自分が本当に求めるものに気づき、そこに向かうための道筋を見つけることができます。
- クライエントが過去にどんな時に満足感や幸福感を感じたかを振り返ることで、その経験から価値を引き出します。「過去に何かに没頭したり、充実感を感じたことはありますか?」と尋ね、その経験がどんな価値に基づいていたのかを共に探ります。
- 例えば、仕事で達成感を感じたとすれば、それが「成長」や「貢献」といった価値に基づいていた可能性があります。
質問例:
- 「過去に、特に満足感を感じた出来事を思い出してみてください。それはどんな瞬間でしたか?」
- 「何かに成功したり、自分を誇らしく思った瞬間はありましたか?」
- 「その出来事のとき、どんな環境や状況だったのか覚えていますか?」
- 「その成功を手にするために、どんな努力をしましたか?」
- 「その時、何があなたにとって特に大切だったと思いますか?」
- 「その成功が特別に感じられたのは、どんな価値観に基づいていたからだと思いますか?」
- 「その時の満足感は、どこから来ていたと思いますか?」
- 「その満足感を感じた背景には、どんなことがあったのでしょうか?」
- 「その時に大切にしていた価値観を、今の生活でどのように活かせると思いますか?」
- 「その成功体験から学んだことを、今後の目標設定にどのように反映させたいですか?」
このエクササイズは、クライエントが自分の過去から得たポジティブなエネルギーや価値観を現在と将来に活かす手助けをするものです。過去の成功体験を振り返ることで、クライエントは自己理解を深め、自分の人生において何が本当に大切なのかを再確認することができます。
- クライエントが明確な価値観を持っていない場合、仮の価値観を設定し、それに基づいて小さな行動を取ることを提案します。実際に行動を通じて経験し、価値観が本当に自分にとって重要かどうかを確認していくプロセスです。
- 例えば、「他者との関係を大切にする」という仮の価値観を設定し、誰かに感謝の言葉を伝えるなどの行動を試み、その感情や反応を観察してもらいます。
質問例:
- 「今、生活の中で一番困難だと感じていることは何ですか?」、「どのような状況で行き詰まりを感じていますか?」
- 「もし、あなたがもっと健康的な生活を送りたいと感じていると仮定してみましょう。その場合、『健康』を仮の価値観として設定してみてはどうでしょうか?」
- 「もし『健康』を仮の価値観として設定するなら、週に3回運動を取り入れる計画を立ててみましょう。例えば、毎朝30分のウォーキングを始めるなどはどうでしょう?」
- 「最近、健康に関する行動を増やしてみて、どんな感覚がありましたか?」
- 「『健康』という価値観を試してみて、それがあなたにとって本当に大切だと感じましたか?それとも、別の価値観が浮かび上がってきましたか?」
- 「仮に、あなたが他者とより良い関係を築きたいと考えているとしたら、『人間関係の質』を価値観として仮設定してみませんか?」
- 「もし『人間関係の質』を重視するなら、週に1回誰かと直接会って会話する時間を作るようにしてみてください。」
- 「他者との関係を意識して行動してみて、何か変化を感じましたか?」
- 「『人間関係の質』を仮に設定してみて、それが重要だと感じましたか?それとも、他に大切だと思うことが見えてきましたか?」
このアプローチは、クライエントが価値観を明確にするのに時間がかかる場合でも、まずは行動に移すことを促すため、非常に実践的で柔軟な方法です。クライエントが自分の価値観に自信を持てるようになるまで、段階的に進めることができます。
- 「もしあなたが人生の終わりに近づいているとしたら、どんなことを後悔したくないですか?」という問いを通じて、自分が本当に大切にしたい価値を探ります。これは、クライエントにとって最も大切なものを見つける助けとなることが多いです。
- ここでは、「後悔したくないこと」に焦点を当てることで、クライエントが自分にとって本当に重要なことに気づきやすくなります。
質問例:
- 「あなたが人生の終わりを迎えるとき、自分の人生を振り返っている場面を想像してください。どんな思いが浮かんできますか?」
- 「これまでの人生で最も誇りに思っていることは何ですか?」
- 「これから先、どんなことを成し遂げておきたいですか?」
- 「どんな人生だったら、自分が満足できると感じると思いますか?」
- 「もし人生の終わりに、何かを達成しておきたいと強く感じることがあるとしたら、それは何ですか?」、「逆に、後悔したくないと思うことは何ですか?」
- 「あなたが後悔したくないと思うことを避けるために、今からどんな行動を取っていくべきだと思いますか?」、「これからの人生で何を大切にしていきたいですか?」
- 「あなたがこれから大切にしたいと感じる価値観に基づいて、今週の目標を立ててみましょう。」
このエクササイズは、クライエントが自分の本質的な価値観に気づくための強力なツールとなります。特に、日々の忙しさやストレスに追われ、自分の本当に大切なことを見失いがちなクライエントにとって有益です。
- 見つけた価値を、具体的な日常行動に結びつけることで、クライエントがそれを実感しやすくなります。「どんな小さな行動でもいいので、この価値を実践するために何ができますか?」と問いかけます。
- 例えば、「健康を大切にしたい」という価値に基づいて、毎日5分でも運動を取り入れることを提案するなどです。
質問例:
- 「家族との関係を大切にするために、あなたが日常生活でできる具体的な行動は何ですか?」
- 「どのような小さなステップから始められそうですか?」
- 「家族との時間を増やすために、まずは週に一度、家族と夕食を共にすることから始めてみませんか?」
- 「もし仕事で忙しくて時間が取れない場合、どのようにして家族との時間を確保しますか?」
- 「先週、家族との夕食を共にする時間を取れましたか?どう感じましたか?」
価値観を行動に変換することで、クライエントは自分の人生をより意図的に生きることができるようになります。クライエントが価値観に基づいた行動を取ることで、自己満足感が向上し、また困難に直面した際もその行動が支えとなります。このプロセスを通じて、クライエントは自分が望む生き方を具体化し、それを実践するための明確なステップを得ることができるのです。
- 一般的な価値観のリスト(例:誠実さ、勇気、思いやり、創造性、成長、貢献など)を提供し、その中から自分に響くものを選んでもらいます。これにより、自分が何に価値を置いているのかを明確にする手助けとなります。
- 人間関係: 信頼、家族、友情、愛情
- 仕事: 成長、達成、誠実、リーダーシップ
- 個人的発展: 自律、学習、創造性、健康
- 社会的貢献: 公平、公正、支援、尊重
質問例:
- 「このリストを見て、最初に心に響くものをいくつか選んでみてください。」
- 「どの価値観が、あなたにとって最も大切だと感じますか?」
- 「選んだ価値観の中で、特に重要だと感じるものを3つ選んでください。」
- 「その3つを、重要度に基づいて順位付けしてみましょう。」
- 「この価値観を選んだ理由は何ですか?」
- 「この価値観を持つことで、どんな良いことがあると思いますか?」
- 「この価値観を大切にするために、どんな具体的な行動を取ることができますか?」
- 「その行動を実行に移すために、どんなステップが必要だと思いますか?」
- 「この価値観に基づいた目標は何かありますか?」
- 「その目標に向かって、どのように行動を起こせば良いですか?」
価値観のリストを使うことで、クライエントは自分の内面を具体的に理解し、自分が本当に大切にしたいものを明確にできます。リストを通じて選んだ価値観を基に具体的な行動を設定することで、クライエントは自分の人生をより意図的に、充実したものにしていくことが可能となります。このプロセスは、クライエントが迷いや不安を感じたときに、自分の行動や選択を振り返るための強力なガイドとして機能します。
解説: コミットメント行動では、明確にした価値観に基づいて、具体的な行動計画を立て、それを実行します。行動の一貫性と持続性が求められますが、完璧を目指すのではなく、価値観に沿った小さなステップを積み重ねることが重要です。
SMARTなゴール設定
コミットメント行動(Committed Action)において、自己の価値に基づいた行動を取ることが強調されますが、その際にSMARTなゴール設定を行うことで、行動の成功率を高め、価値と行動の不一致を最小限に抑えることができます。ここでは、SMARTなゴール設定を使ってセラピストとクライエントがどのようにコミットメント行動を進めていくか、具体的な会話例を交えて解説します。
- S:Specific(具体的)スピシフィック
ゴールを具体的に設定します。これにより、何を達成したいのかを明確にします。具体的に例えば、「健康になる」ではなく、「週に3回、30分のウォーキングをする」といった具体的な行動を設定します。 - M:Meaningful(有意義)ミーニングフル
ゴールが自分の価値や意味に合致しているかを検討します。ゴールが自分自身にとって本当に重要で意味のあるものであるかを考えます。自分の内なる動機やパーソナルバリューに基づいてゴールを選びます。- Measurable(測定可能): 目標達成が測定できるようにします。進捗状況がわかる指標を設けることで、達成感を得やすくなります。
- A:Adaptive(適合的)アダプティブ
ゴールが適応的であるかを検討します。つまり、ゴールを達成することで自分の人生がより豊かになるかどうかを考えます。ゴールが自己成長や健康、幸福などの健全な方向に向かっているかを確認します。- Achievable(達成可能): 目標は現実的で、達成可能なものにします。過度に挑戦的な目標は、挫折の原因となることがあるため、少しずつ達成可能な範囲で設定します。
- R:Realistic(現実的)リアリスティック
ゴールが現実的であるかを検討します。自分の能力や制約、現在の状況を考慮して、達成の可能性を確認します。目標が過度に困難であり、実現がほぼ不可能である場合、モチベーションの低下や失望感を招く恐れがあります。現実的な目標を設定します。- Relevant(関連性): 目標が価値観に関連しているかを確認します。自分の価値観に合った目標であることが、モチベーションを高めます。
- T:Time-framed(期限の設定)タイムフレーム
ゴールを達成する期限を設定します。期限を設けることで、目標に向かって行動を起こすための時間的な枠組みを持つことができます。期限を設けることで、タスクや行動の優先順位を明確にし、効果的な計画を立てることができます。- Time-bound(期限を設定): 目標に期限を設けます。具体的な期限があることで、計画的に行動を進めることができます。
クライエントは、人間関係において孤独を感じ、コミュニケーションが苦手であり、これを改善したいと考えています。クライエントは友人や家族との関係を改善し、より豊かな社会生活を送りたいという価値を持っています。
SMARTなゴール設定の具体的なセラピーの会話例
SMARTなゴール設定を用いてセラピストとクライエントは具体的で達成可能な行動を計画し、その結果に基づいて価値の見直しや新たな目標の設定を行います。これにより、クライエントは自己の価値に沿った充実した行動を継続しやすくなり、心理的な柔軟性と幸福感を高めることができます。
セラピスト: 「あなたが今、人生で最も大切にしたい価値は何でしょうか?」
クライエント: 「人とのつながりですね。友人や家族ともっと良い関係を築きたいです。」
セラピスト: 「素晴らしいですね。その価値に基づいて、具体的な目標を設定してみましょう。具体的【Specific】な目標を考えるとしたら、どんな行動が挙げられますか?」
クライエント: 「毎週末、家族と過ごすことかな。月に一度の週末は友人との約束をすることですね。」
セラピスト: 「それはとても具体的で良いですね。その行動はあなたにとってどのように有意義【Meaningful】ですか?」
クライエント: 「私にとって、人とつながることが孤独感を減らしてくれるし、関係が深まると感じます。」
セラピスト: 「なるほど、それは重要な動機ですね。では、その行動はあなたの現在の状況に適合的【Adaptive】だと思いますか?他の予定や生活習慣と無理なく両立できそうですか?」
クライエント: 「はい、土曜日は特に予定がないので、その時間を使えます。」
セラピスト: 「良いですね。そして、その目標は現実的【Realistic)ですか?週末に家族や友人と過ごすことは可能でしょうか?」
クライエント: 「はい、週末なら十分にできると思います。」
セラピスト: 「素晴らしいです。最後に、その行動に対して期限【Time-framed】を設けることが大切です。例えば、次の1ヶ月間、毎週末に目標を設定してみるのはどうでしょう?」
クライエント: 「それならできそうです。1ヶ月後に振り返ってみて、どう感じるか確かめたいです。」
セラピスト: 「では、次の1ヶ月間、毎週末に家族や友人と過ごすことや計画を立てます。その後、どんな変化があったか一緒に振り返りましょうね。」
セラピーのフォローアップ
1ヶ月後、セラピストとクライエントが再び集まり、目標の達成度とその影響について話し合います。
セラピスト: 「前回設定した目標について、1ヶ月間どのように進められましたか?」
クライエント: 「週末は家族と過ごすことができました。家族と話すことで関係が少しずつ良くなっている気がします。ただ、週一の週末では友人の一部が忙しくて会えない人もいました。」
セラピスト: 「それは素晴らしいですね。家族との関係が良くなったと感じていることは、あなたの価値に沿った行動が効果を発揮している証拠です。すべての友人とは会えなかった点については、どう感じましたか?」
クライエント: 「少し残念でしたが、友人も忙しいことを理解しています。別の方法でつながりを維持できるように考えてみたいです。」
セラピスト: 「次のステップとして、友人との関係をさらに深めるためにどんな行動ができるか考えてみましょう。また、今の価値に沿って他に何か追加したい目標があれば、それも一緒に検討してみましょう。」
行動計画のピラミッド
価値観を基盤にして、長期的な目標を設定し、その目標を達成するための短期的なアクションステップをピラミッド状に組み立てます。
- 価値観: ピラミッドの基礎として、自分の価値観を明確にします。
- 長期目標: 価値観に基づいた5年、10年後の目標を設定します。
- 中期目標: 長期目標に向けた1〜2年の目標を設定します。
- 短期目標: 中期目標を達成するための数週間〜数か月の目標を設定します。
- 日々のアクション: 毎日の具体的な行動を計画し、それを実行します。
- フィードバックと調整: 行動を実行し、定期的に進捗を確認します。目標が達成できない場合や、価値観に沿わない行動を取った場合は、何が原因かを振り返り、行動計画を調整します。
価値観「ビジネスの独立させる」のコミットメント行動の設定
「将来ビジネスを独立させて成功する」という価値観を基盤とした行動計画のピラミッドとSMART目標の設定は、具体的かつ計画的な行動計画を立てるために有効です。この価値観を実現するためには、長期的な目標から具体的なアクションステップまでを段階的に設定し、達成に向けて取り組んでいくことが重要です。
「ビジネスを独立させて成功する」という価値観に基づいた行動計画のピラミッドとSMART目標の設定は、クライエントがビジネス独立に向けて計画的かつ実現可能なステップを踏むことをサポートします。このアプローチでは、大きな目標を細分化し、それぞれの段階で具体的なアクションを設定することで、長期的な成功に向けた一貫性と持続性を確保することができます。
価値観は、「ビジネスを独立させ、成功させる」という強い意志や願望に基づいています。この価値観を基盤に目標を設定します。
- 価値観例: 「自己のビジネスを立ち上げ、独立して成功を収める」
価値観に基づいて、5年以内に達成したい長期目標を設定します。
- 例:「5年以内に独自のビジネスを立ち上げ、年収1000万円を達成する。」
中期目標を達成するために、1年以内で達成可能な短期目標を設定します。
例:「3年以内に独立に向けたビジネスプランを完成させ、出資者などからの資金調達の見当をつける。」
中期目標を達成するために、1年以内で達成可能な短期目標を設定します。
- 例
- ビジネスプランの作成: 「6ヶ月以内に市場調査を行い、ターゲット市場と競合分析を基にしたビジネスプランを完成させる。」
- スキルの習得: 「1年以内に必要なビジネススキルを習得するために、3つの専門コースを修了する。」
短期目標を達成するために必要な具体的なアクションステップを設定し、それを実行します。
- 例
- 市場調査: 「今月中に5つの競合企業を調査し、成功要因を分析する。」
- ビジネスプラン作成: 「来月中に、ターゲット市場のニーズに基づいたビジネスプランのドラフトを作成する。」
- スキル習得: 「今週から週に1度のペースで、ビジネスに関連するオンラインコースを受講し、6ヶ月以内に3つのコースを修了する。」
SMART目標の進捗を定期的にモニタリングし、必要に応じて計画を調整します。成功体験を重ねることで、モチベーションを維持しながら目標達成に向かいます。
- 例: 毎月末に進捗を確認し、予定通りにビジネスプランが進んでいるか、スキル習得が順調に進んでいるかをチェックし、必要に応じて計画を見直します。
設定した目標を達成したら、その成功を振り返り、次のステップとして新たな短期目標や中期目標を設定します。
- 例: 「ビジネスプランが完成したら、次は資金調達に向けたプレゼンテーション資料を作成し、投資家との会議を設定する」など。