性的嗜好ペドフィリアへのエンプティチェアは「やめたい自分」「やりたい自分」「叔父さん」「母親」「インナーチャイルド」「妻」「未来の自分」になりきって感情統合する
性的嗜好に関する問題、とくに本人が葛藤を抱えている場合、ゲシュタルト療法のエンプティチェア技法は、深層の自己理解と感情の統合を促す有効なアプローチとなります。この技法は、心の中にある「未完結の感情」や「対立する内的パート(自己の一部)」との対話を促し、自覚されていない欲求や痛みに気づくことを目的としています。
次の事例のように、性的嗜好に関して本人が「やめようとしても繰り返してしまう」「過去のトラウマが関係していると感じている」といった場合、本人の中には葛藤や否認、罪悪感、恥、恐れ、欲望といった複雑な感情が同居していると考えられます。エンプティチェア技法では、たとえば次のような対話が可能となります。
- 「性的嗜好を持つ自分」と「やめたいと思う自分」
- 「過去に傷ついた子どもの自分」と「今の自分」
- 「叔父」に対する怒りや恐怖と向き合う
- 「妻」に対する申し訳なさと本音の吐露
このような対話を進めることで、本人が感情の抑圧や否認をやめ、自己の一部としてそれらを受け入れ、責任を持った選択を行う準備が整います。
さらに、エンプティチェアでは感情を「言葉で語る」だけでなく、「身体で感じる」「相手の立場に立つ」「声に出す」といった体験的プロセスが含まれるため、頭では理解していても変えられなかった行動や感情のパターンに気づきや変容を促します。
次の事例においては、再発の背景にある無意識的な欲求や未解決の心的外傷、あるいは「性的嗜好を通じて安心を得ている自分」を丁寧に見つめ、責めるのではなく理解するステップが重要です。その上で、「どのように今後の人生と関係性を再構築するのか」という未来志向の変容への準備を整えることができます。
この技法は、あくまで非暴力的・体験的・自己責任の原則のもとに進めることが求められます。性的嗜好に関するセッションではとくに、倫理的な配慮と安全な枠組み(セラピストとクライアント間の信頼)が欠かせません。
このページを含め、心理的な知識の情報発信と疑問をテーマに作成しています。メンタルルームでは、「生きづらさ」のカウンセリングや話し相手、愚痴聴きなどから精神疾患までメンタルの悩みや心理のご相談を対面にて3時間無料で行っています。
私は現在36歳の男性会社員です。昨年妻(28歳)と結婚し、幸せに新婚生活をしていました。しかし私には10代の頃からエフェボフェリア(中学生の女児位からの第2次性徴の性的成熟期)の嗜好がありました。一般的には小児愛性やペドフェリアと呼ばれています。
私のPCにそのような画像が保存されていたデータがもとで妻に私の問題が発覚しました。妻はもし女児を授かっても大丈夫なのかと非常に大きな不安、ストレス、後悔を感じながらも家庭を支えてくれていました。
私は妻と離婚することは考えられないため、自分のペドフィリアを改善し可能な限り結婚生活を継続したいと考えていました。
本能とも、強迫的とも言えるべきなのか、一度すべてデータを破棄したにもかかわらず、その後にも画像を取集してしまい、ある時に勇気をもって妻に正直に申し出ました。「データのコレクションはしてしまうが、女児に対する行動はまったく考えも意識すらもない」ことを伝えました。そして、「妻を愛している」ことも伝えました。
しかし、妻はさらに拍車がかかり、子供が生まれた際の心配を強く抱くことで、離婚も視野に入れなければならないとまで考えているようです。
私は妻に言われ、精神科を受診しましたが、女児に危害を与えるか、行動に問題がなければいいだろう、とだけでした。期待していた心理療法や薬剤療法はありませんでした。
私の母親は離婚を経験していて、私を育てるために仕事に明け暮れ、私は寂しい思いをしてきました。そんな時に、小学校低学年の頃に数度にわたり受けた叔父からの性的いたずらが、私の性的嗜好のきっかけとして思い当たります。しかし、叔父を恨むことは考えられません。私が寂しいときに唯一頼れるのが叔父でもありました。

エンプティチェア技法の基本ステップ
実施時のポイント
- 安全な関係性が築かれていることが前提(とくにトラウマ・性的嗜好のテーマでは重要)
- クライアントが「やらされている」と感じないよう、自発性を尊重
- 感情が強く出た際のサポートと安定化に留意
まず、クライアントが現在抱えている「感情的なひっかかり」や「葛藤のある人物・状況」を明確にします。
例:「性的嗜好を持つ自分」vs「やめたいと思う自分」「叔父への怒り」など。
クライアントの目の前に空の椅子(エンプティチェア)を置き、「そこにいるのは誰か?」を想定してもらいます。
例:「そこには叔父がいる」「そこには自分の中の欲望が座っている」など。
クライアントは自分の椅子に座ったまま、空の椅子の相手(またはもう一人の自分)に向かって「本音」を語ります。
感情的に抑えていた言葉(怒り・悲しみ・恐怖・願望など)を率直に表現することが重要です。
クライアントに空の椅子へ移動してもらい、「相手の立場」になって今度は自分に向けて話してもらいます。
相手の声や視点を通して、自分の内面にある新たな気づきや感情が出てくることがあります。
必要に応じて数回、椅子を行き来しながら感情を深めていきます。
感情の層が深まるごとに、怒りの奥に悲しみが出てきたり、罪悪感の下に愛情が見えてくることもあります。
対話の最後に、自分の椅子に戻り、体験した感情や気づきを振り返ります。
「どんなことに気づいたか」「何が変わったか」「これからどんな自分になりたいか」をセラピストと共に言語化していきます。
感情が動きやすい技法なので、セッション後は必ず安心感や落ち着きを取り戻す時間(グラウンディング)を設けます。
深呼吸、身体への意識、今ここに戻るための短い対話などが効果的です。
エンプティチェア(内的対話バージョン)のセッション
クライエント(性的嗜好に悩み、トラウマ体験と再発の自己矛盾を抱える36歳男性)に合わせて、もう一人の自分をエンプティチェアに座らせるパターンのセッション進行例を示します。
このプロセスは、「性的嗜好を持ち、やめられない自分」と「やめたい・変わりたいと願う自分」との内的対話に焦点を当てたものです。
目的:自分の中にある「矛盾する自己」を可視化し、距離を取って観察する。
内的対立の外在化スクリプト
テーマの明確化(焦点の設定):まず、クライアントが現在抱えている「感情的なひっかかり」や「葛藤のある人物・状況」を明確にします。
例:「性的嗜好を持つ自分」vs「やめたいと思う自分」「叔父への怒り」など。
テーマ:「やめたい自分」vs「やりたい自分」
- 「行動をやめたい自分」と「行動を続けたい自分」を明確に分けて可視化し、
- 両者の言い分や動機を明らかにして内面の対立構造を認識する。

導入:空の椅子を用意する
クライアントの目の前に空の椅子(エンプティチェア)を置き、「そこにいるのは誰か?」を想定してもらいます。
例:「そこには叔父がいる」「そこには自分の中の欲望が座っている」など。
セラピスト:「今日は、“やめたくてもやめられない自分”について、少し深く向き合ってみませんか?」
セラピスト:
「今日は、あなたの中にある“やめたい気持ち”と“やりたい気持ち”を、2つの椅子に分けて話してみましょう。
それぞれの椅子に、あなたの中の“やめたい自分”と“やりたい自分”が座っているとイメージしてみてください。」
クライエント:
「……はい、やってみます。」
片方に“今のあなた”が座り、もう片方に“やめられない自分”(「衝動を持つもう一人の自分」などと命名してもよい)を座らせる。
- 椅子➀:それをやめたいと思う「理性的・倫理的な自己」
- 理性的自己が“何を守りたい”のか(関係性、社会的評価、自尊心)
- セラピスト:「目の前の椅子には、“やめたいと願うあなた”を困らせている、もう一人のあなたが座っていると想像してみてください。彼に、今感じていることを率直に話してみてください。」
例:「また画像を見てしまったじゃないか。妻を裏切った。もうやめたいのに、なぜ繰り返すんだ。自分が怖いよ。」
感情(怒り・悲しみ・絶望・願い)をできるだけ身体感覚とともに言語化するよう促します。
セラピスト:
「まずは、“やめたい自分”の椅子に座って、その声になって話してみましょう。どんな思いがありますか?」
クライエント(やめたい自分):
「もうこんなこと、やめたい。
気持ち悪いって思われるのが怖いし、妻にバレたら終わる気がしてる。
なのに、また繰り返して…自己嫌悪ばかり。」
セラピスト:
「そう感じるのはどんなときですか?」
クライエント:
「ネットを見たあと、すぐに後悔します。汚いって思う。こんな自分を、妻に知られたら嫌われる…。
でもやめられない。自分が最低な気がして仕方ないです。」
- 椅子➁:パラフィリア行動を求める「衝動的な自己」
- 衝動的自己が“何を得たい”のか(快感、逃避、安全、自己肯定)
セラピスト:「今度は、やりたい自分“あなた”の椅子に座って、その視点から、今の話を聞いてどう感じるか話してみましょう。いま話しかけてきたあなたに返事をしてみてください。」
例:「俺だって、こんな風になりたくてなったわけじゃない。あのときの叔父のこと…誰も助けてくれなかった。あれ以来、こうでもしないと不安が押し寄せてくるんだ。」
ここでは性的嗜好の背後にある「守り」「代償」「痛み」が浮かび上がることが期待されます。
クライエント(やりたい自分):
「……でも、これが俺の唯一の“落ち着ける時間”なんだ。
人に理解されなくても、自分だけの場所っていうか…。
昔から、どうせ誰もちゃんと分かってくれないって思ってる。」
セラピスト:
「誰にも理解されない、というのはどこから、いつ頃から来ていると思いますか?」
クライエント:
「……小さい頃から、母さんに気にかけてほしくて、
でも忙しそうにしてて…俺のことなんて見てくれてない気がしてた。」
対話の往復:
- 椅子を交互に移動しながら、対話を続けていきます。
- セラピストは「その言葉を聞いてどう感じた?」「あなたは何を伝えたい?」など、感情に根差した問いかけをサポート。
目的:言葉にならない感情の存在を認め、徐々に言語化するプロセス
感情や思いを語る(椅子➀):クライアントは“やめたい”自分の椅子に座ったまま、空の椅子の“やりたい”もう一人の自分に向かって「本音」を語ります。
そして、感情的に抑えていた言葉(怒り・悲しみ・恐怖・願望など)を率直に表現することが重要です。
役割交代(椅子➁):クライアントに空の椅子“やりたい”自分へ移動してもらい、「相手の立場」になって今度は自分に向けて話してもらいます。相手の声や視点を通して、自分の内面にある新たな気づきや感情が出てくることがあります。
- カウンセラーが感情の観察者として関わり、「今、どんな感じがしますか?」「体のどこかが反応していますか?」など、身体感覚を伴う問いかけを行います。
- 「涙が出そうです」「胸が苦しいです」など、“前言語的な感情”を丁寧に扱うことが大切です。
対話の繰り返し:必要に応じて数回、椅子を行き来しながら感情を深めていきます。
感情の層が深まるごとに、怒りの奥に悲しみが出てきたり、罪悪感の下に愛情が見えてくることもあります。
対話の中で、次のような展開を目指します。
・「怒り→哀しみ→理解→和解」のプロセス
・嗜好の“悪”ではなく“意味”への気づき
・「やめたい自分」と「やめられない“やりたい”自分」が協力する可能性の発見
セラピスト(“やめたい自分”へ):
「“やりたい自分”の話を聞いてどう感じましたか?」
クライエント(やめたい自分):
「……わかる気もする。寂しかったんだよな。
でも、それでこうなるのは間違ってるって思う。」
セラピスト(“やりたい自分”へ):
「“やめたい自分”の言葉をどう受け止めていますか?」
クライエント(やりたい自分):
「正論なんだよね。でも、じゃあ俺は何で埋めればいいの?って思ってる。
ただ否定されても、他にどうすればいいのか分からないんだよ。」
セラピスト:
「ふたりとも、“安心したい”とか“自分を大切にしたい”っていう、根っこは同じところを見ているように感じました。
その方法が今は違っていて、そこに葛藤が生まれているのかもしれませんね。」
クライエント(沈黙の後):
「……たしかに。どっちも俺なんだよな。責めてばかりじゃ、何も変わらない気がする。」
セラピスト:
「今日は、それぞれの自分の“気持ち”や“理由”が、少しずつ明らかになってきたように思います。
クライエント:
「はい…。なんか、自分が初めて“ひとつの存在”として扱われた気がしました。」
このステップの最終目的は「対立していた両者が実は共通の願いを持っている」と気づくこと
目的:未消化の母親との関係性を象徴的に癒す
- 椅子①:現在のクライエント
- 椅子②:母親への想いをぶつける椅子(母親役)
→ 「どうして気にかけてくれなかったの?」「いつも僕は後回しだった」などの感情を吐き出してもらいます。
- その後、クライエントに母親役になってもらい、自分が欲しかった言葉を母親の口から語ってもらう(=再養育的要素)
対話の繰り返し:必要に応じて数回、椅子を行き来しながら感情を深めていきます。
感情の層が深まるごとに、怒りの奥に悲しみが出てきたり、罪悪感の下に愛情が見えてくることもあります。

母親への怒りや寂しさをエンプティチェアで表現
セラピスト:
「この椅子には“お母さん”が座っていると想像してください。小さい頃のあなたとして、今の気持ちをお母さんに言ってみましょう。」
クライエント(子ども時代の自分として):
「なんで一緒にいてくれなかったの? 僕、ずっと待ってたのに…」
セラピスト:
「その言葉、とても大事です。“待ってた”んですね。お母さんに何て言ってほしかったですか?」
クライエント(母親役で椅子を移動):
「ごめんね。本当はあなたのことを大切に思ってた。でも、うまく言えなかった…。」
セラピスト:
「その言葉を、あなたの今の心に届かせることができたら…どう感じますか?」
クライエント:
「少し…少しだけ、泣けそうな気がします。」
目的: 現在の葛藤の背景にある、幼少期の未完了体験・感情にアクセスし、癒しを進める。
セラピスト:
「この椅子に、“小学生のころのあなた”が座っていると想像してください。当時の気持ちを今のあなたが聞いてあげてみましょう。」
クライエント(子ども時代の自分):
「お母さんに迷惑かけたくなかった。だから、がんばって静かにしてた。でも…ほんとは、もっと甘えたかった。」
セラピスト:
「では、今のあなたが、その気持ちを聞いて、何を伝えたいですか?」
クライエント(現在の自分):
「そうだったんだね…。無理させてごめん。でも、ずっとひとりじゃなかったんだよ。」
セラピスト:
「“無理させてごめん”という言葉が、きっとあの子に届いていますよ。」
このステップでは、クライエントが“希望”や“成長”の可能性”を内面から見出し、未来における「より健やかな自分」と出会い、対話を通して変容の兆しを感じ取ることを目的としています。
目的:変化への希望・ビジョンを言語化し、自己決定感を高める
- 椅子①:今の自分(葛藤の中にいる)
- 椅子②:理想とする「パラフィリアに支配されていない未来の自己」
→ 「君はこれからどうしたい?」「どんな人生を送りたい?」
→ 「僕はもう、自分を傷つけるような欲望に振り回されたくない」といった自己選択の言葉を導きます。
対話の繰り返し:必要に応じて数回、椅子を行き来しながら感情を深めていきます。
感情の層が深まるごとに、怒りの奥に悲しみが出てきたり、罪悪感の下に愛情が見えてくることもあります。
未来の自己との対話:「変わっていく自分」と出会う
- パラフィリアと向き合い、苦しみの中でも前に進もうとする自分自身の「成長した未来像」と出会う
- 現在の自分と対話を通じて、安心感・自己承認・希望を育てる
- 「変化が可能だ」という身体感覚を獲得する
セラピスト:
「今日は、あなたが“変わっていこうとしている未来のあなた”と会って対話してもらいます。その人は、今のあなたと同じ経験をしながらも、少しずつ違う選択を重ねてきた“少し先のあなた”です。」
(※椅子を対面に置き、「現在の自分」と「未来の自分」の椅子を明確に分ける)
セラピスト:「今日、2人のあなたが出会って、どんなことが見えましたか?」
クライエントに、自分の中で起きた変化や新しい理解を語ってもらう。
例:
「あの欲望が“安心を求めてる自分”だったって思うと、少しだけ許せる気がした。」
「では、今の自分の椅子に座って、向こうの“未来のあなた”に向けて、今の気持ちを話してみてください。」
クライエント(現在の自分):
「正直、信じられない。こんな自分が“変われる”とか“幸せになれる”とか、そんな未来があるなんて思えない。もし本当にいるなら…どうやってここから抜け出したの?」
(椅子を移動)
セラピスト:
「次は、“未来のあなた”の椅子に座って、今の自分の声を聞いてどう感じましたか?」
クライエント(未来の自分):
「うん、その気持ち分かるよ。俺もあの頃は、もう誰にも言えない、どこにも行けないって思ってた。でも、少しずつ自分を許せるようになって、“本当の助け”を受け入れていいんだって思えた瞬間があったんだ。」
クライエント(現在の自分):
「……俺、本当に変われるのかな。また同じこと繰り返して、また誰かを傷つけるんじゃないかって、怖くて仕方ない。」
クライエント(未来の自分):
「その怖さを無理に消さなかったのが、俺の第一歩だったよ。“やめなきゃ”って苦しむより、“その裏にあるもの”に目を向けて、少しずつ行動を変えていった。セラピーでも正直に話せるようになった時、俺の中で何かが変わったんだ。」
セラピスト:
「“未来のあなた”は、“変わる”とは過去を否定することではなく、
“過去の痛みを抱えたまま、自分の人生を再構築していくこと”だと伝えてくれているようですね。」
クライエント(現在の自分):
「……たしかに、過去の俺を切り捨てるんじゃなくて、連れていく感じかも。」
セラピスト:
「では、“未来のあなた”が“今のあなた”に何かメッセージや象徴的な“贈り物”を渡すとしたら、何でしょうか?」
クライエント(未来の自分):
「……“鏡”を渡したい。
ちゃんと自分を見て、責めるんじゃなくて、“よくここまで来たな”って言ってほしい。」
セラピスト:
「その鏡を、今のあなたはどう受け取りますか?」
クライエント(現在の自分):
「……最初は怖い。でも、ちょっとだけ見てみようかなって思う。」
まとめと余韻を味わう
セラピスト:
「今日は、“未来のあなた”と出会って、いろいろな気持ちを受け取った時間になったと思います。
この対話の感覚を、体や心に少し残しておいてくださいね。」
クライエント:
「……未来の自分が、俺のことを責めてなかったのが救いでした。
少し、進める気がします。」
変化とは“理想像になる”ことではなく、“痛みと共に生きていけるようになること”「未来の自分」を通じて、内的リソース(やさしさ・勇気・希望)を取り戻すことが主眼終了後は、その“未来の自分”に手紙を書く宿題も効果的です。
目的:矛盾する自己を切り捨てずに“受け入れていく”姿勢を育てる
- 「衝動的な自己」と「理性的な自己」を再び向かい合わせ、それぞれの存在理由を認めた上で、両者の対話を通じて統合のイメージを作っていきます。
→ 例:「君(衝動的な自己)は、寂しかった僕の代わりに快感で満たそうとしてくれたんだね。でも、もう少し違う方法で僕を支えてくれないかな?」
統合と承認:内的パーツの調和を目指す
- パラフィリアに関係する「やりたい自分」「やめたい自分」、そして「未来の自分」や「傷ついた過去の自分(インナーチャイルド)」といった内的パーツを、敵対ではなく対話と共感によって統合(調和)させる
- 自己の一部を否定するのではなく、全体を承認し、抱えながら生きる力を育てる
- 統合を通じて、「自己を受け入れられる」という存在の肯定感を感じる
気づきの統合:対話の最後に、自分の椅子に戻り、体験した感情や気づきを振り返ります。自分の中で起きた変化や新しい理解を語ってもらう。
セラピスト:「今日、「やりたい自分」と「やめたい自分」の2人のあなた、そして「未来の自分」や「傷ついた過去の自分(インナーチャイルド)」が出会って、どんなことが見えましたか?」
「どんなことに気づいたか」「何が変わったか」「これからどんな自分になりたいか」をセラピストと共に言語化していきます。
例:「あの欲望が“安心を求めてる自分”だったって思うと、少しだけ許せる気がした。」
罪悪感の呪縛から一歩抜け出し、自分自身との共感的関係を築く足がかりになります。

クライエント(やりたい自分):
「自分は間違ってるのかもしれない。でも、この欲求だけは正直に言えば“安らぐ瞬間”だった。
誰にも理解されないけど、ここに“心地よさ”や“支配される安心”があったんだ。」
クライエント(やめたい自分):
「それで自分や他人を傷つけてまで続けるの?
俺たち、本当はもっと“普通の愛”を知りたいんじゃないの?
逃げるために使うのは、もうやめたい。罪悪感に押し潰されるのは、嫌なんだ。」
セラピスト:
「2人の声、どちらもあなたの一部ですね。
“快と安全を求めている”自分と、“罪悪感と変わりたい気持ち”の自分。
では、未来のあなたがこのやり取りを見て、どう感じるか聴いてみましょう。」
「両方の声、俺にもあった。どっちも嘘じゃないし、どっちかを否定することでは進めなかった。でも大事だったのは、“選ぶ自由がある”ってことだったんだ。俺は、どんな時も『どの自分と一緒にいたいか』を、自分で選べるようになった。」
クライエント(インナーチャイルド):
「……ママに気づいてほしかった。“ちゃんとしなさい”って怒られるのが怖くて、自分の気持ちをどこにも出せなかった。だから、“見つけてほしい”って気持ちがずっと残ってたんだと思う。」
セラピスト:
「今ここにいるのは、“快を求めた自分”、“やめたいと願った自分”、そして“未来のあなた”、さらに“愛されなかった過去の自分”。すべての声に共通するもの、それは“安心したい”“認められたい”という願いではないでしょうか?」
セラピスト:
「どの声も、あなたを守ろうと必死だったと思います。
では、今日この場で、全ての“自分”たちが集まり、対立ではなく、同じ方向を見て生きていくには、どんな一歩があるでしょうか?
“今ここ”で、全員に伝えたい言葉は何ですか?」
「……ありがとう。どの自分も、本当は孤独だったんだと思う。もう、誰かを演じなくていい。“一緒に歩こう”って、初めて言える気がする。」
セラピスト:
「今の言葉や感覚を、少し身体の内側に感じてみましょう。
安心がどこにあるか、ほんの少しでもいいので探ってみてください。
今日は、“自分自身を信じ直す”一歩になったのではないでしょうか。」
対話の中で「良い/悪い」「正しい/間違い」ではなく、“どの声も自分”であると認識していくこと「今までバラバラだった声たちが、やっと“同じテーブルにつけた”」という体験そのものが癒しと変容の種になるセッション後、「内なる対話」の継続を支援するために「各自分への手紙」や「日記」も有効