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抗うつ薬SSRI・SNRI・NaSSAの知識と使用例

目次

精神疾患のうつ病やパニック障害、強迫性障害、社会不安障害などの不安障害群に用いる抗うつ薬SSRI・SNRI・NaSSAの知識と使用例

うつ病、またはうつ症状では、セロトニン、もしくはセロトニンとノルアドレナリンの量や濃度、受容体の機能が低下している可能性があります。セロトニンは脳内の神経伝達物質の一種であり、感情や心の安定に関与しています。また、ノルアドレナリンも重要な神経伝達物質の一つであり、意欲や注意力に関与しています。
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬・剤)は、セロトニンの再取り込みを阻害することでセロトニンの神経伝達物質の量を増やす作用があります。うつ症状は、セロトニンが増えたことで感情や心の安定性の改善が期待できます。また、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬・剤)は、セロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害することで、セロトニンとノルアドレナリンの神経伝達物質の量を増やす作用があり、うつ症状の感情や心の安定に加え、やる気や注意力の改善が期待できます。
さらに、NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ剤)というタイプの抗うつ剤は、脳内のアドレナリンの受容体への遮断作用とセロトニンの受容体阻害作用により、脳内のノルアドレナリンとセロトニンの働きを改善し、抗うつ作用に効果的な薬剤となります。

今回はうつ病を例に、日本で使用できるSSRIの5種とSNRIの3種の抗うつ薬の知識と使用例、新たなNaSSAの作用機序と臨床的な特徴を紹介させていただきます。
中盤では、不安障害群の一つであるパニック症/パニック障害とSSRIの使用例にについて解説しています。SSRIの薬剤はパニック症以外の限局性恐怖症や社会不安症、全般性不安症、強迫症などの不安障害群とも基本的には類似した使用法となります。また、適応症の場合はうつ病のような脳の不調はないとされますが、症状によりうつ病に準じた取り扱いがなされることもあります。

先ずは、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)について解説していきますが、SSRIは抗うつ薬であり、うつ症状に対処するための第一選択の薬剤です。

通常、神経細胞間でのセロトニンの伝達が行われる際、一度シナプス間隙に放出されたセロトニンは再取り込まれ、再利用されます。しかし、うつ病ではこの再取り込みが過剰に行われることが見られるため、SSRIはセロトニンの再取り込みを阻害し、シナプス間隙にセロトニンを増やすことで受容体への刺激が増し、うつ症状の改善が期待できるいうことになります。

なお、うつ病のメカニズムは非常に複雑で、セロトニンだけでなく他の神経伝達物質や神経回路も関与しています。また、個々の患者によっても症状や治療効果が異なるため、医師の診断と指導のもとで治療が行われることが適切となります。

SSRIはセロトニン再取り込みを阻害する役割

セロトニンは神経伝達物質で、神経細胞間で情報を伝達する役割を果たしています。セロトニンが前の神経細胞から放出され、シナプス間隙(細胞の間の空間)を横切り、後の神経細胞に存在する受容体と結合することで、神経伝達が行われます。その後、セロトニンは再取り込まれることでバランスが保たれます。

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、セロトニン再取り込みを阻害することで、シナプス間隙においてセロトニンの濃度を増やします。これにより、受容体に対するセロトニンの刺激が増加し、うつ症状の改善が期待されます。ただし、SSRIの効果が現れるまでには時間がかかり、通常は2~4週間かかることがあります。

また、SSRIの作用が続くことで、神経細胞の受容体の過敏さが改善され、新しい神経の成長(神経新生)を促進すると考えられます。これにはBDNF(脳由来神経栄養因子)の上昇が関与しており、脳のバランスが変化することでうつ症状の改善が生じるとされています。

SSRIの離脱症状の注意点

離脱症状は、主に抗うつ薬の急激な中止によって引き起こされる心身の症状であり、SSRIの場合、そのメカニズムは再取り込み阻害の効果が急に失われることにより、セロトニンが急激に減少することに起因しています。この急激な変化により、体が適応できずに離脱症状が発生します。

また、離脱症状は精神的な依存とは異なることを強調しておくべきです。精神的な依存は薬物の使用に対する心理的な依存を指し、離脱症状は生理的な変化によるものです。

離脱症状の予防や対策に関しては、急激な中止を避け、医師の指導に従ってゆっくりと投与量を減らしていくことが重要です。離脱症状が強い場合は、元の薬量に戻すことで改善されることがあります。また、飲み忘れによる離脱症状が出る場合は、速やかに薬を服用することが推奨されます。

総じて、SSRIの理解と使用においては、医師との密接な連携が必要であり、適切な投与と減量スケジュールを共有することが大切です。

日本で使用できるSSRIの5種類

日本で使えるSSRIは、次の5種類になります。まずはセルトラリン(ジェイゾロフト)、エスシタロプラム(レクサプロ)、パロキセチン(パキシル)、パロキセチン徐放錠(パキシルCR)、フルボキサミン(ルボックスもしくはでブロメール)です。 セロトニン再取り込み阻害ということで、大まかには共通ですが、細かい違いがありますので、一つひとつ見ていきます。

セルトラリン(ジェイゾロフト)

セルトラリン(ジェイゾロフト)は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の一つで、うつ病やパニック障害などの治療に使用されます。通常は、少量25ミリから始め、徐々に増やし、最大が100ミリグラムになります。 副作用や離脱症状が比較的少ないという臨床的な印象があります。ただ、少ない量から徐々に増やしますので、効果が出るまでに時間がかかる場合があります。
総じて、セルトラリンは安全性が高く、広範な精神疾患に対して効果が期待される薬剤の一つです。ただし、具体的な治療計画や投与量については、患者の個別の状態や医師の診断に基づいて行われるべきです。

  • 効果と適応
    セルトラリンはうつ病の治療において効果が期待され、またパニック障害にも適応があります。これにより、幅広い精神疾患の治療に使用されています。
  • 投与量
    一般的には、治療を開始する際には低い投与量から始め、必要に応じて徐々に増量していきます。これにより、個別の症状に適切に対応できます。
  • 副作用と離脱症状
    セルトラリンは一般的には安全で、副作用や離脱症状が比較的少ないとされています。ただし、個々によって反応が異なるため、注意深いモニタリングが必要です。
  • 治療期間
    効果が現れるまでには時間がかかることがあります。通常、数週間から数か月かかることがあり、個体差や症状の重症度により異なります。

エスシタロプラム(レクサプロ)

エスシタロプラム(レクサプロ)は、効果の早さが強調されるSSRIで、うつ病やうつ状態のほか、社会不安障害にも適応があります。

エスシタロプラム(レクサプロ)

一般的な初期投与量は10ミリグラムで、必要に応じて最大20ミリグラムまで増やすことができます。副作用を減らすため、一部の患者では5ミリグラムから始めることもあります。初期の効果が早いとされ、特に10ミリグラムから始めることで、比較的早い段階で効果を期待できることが特徴です。ただし、最大量が他のSSRIと比較してやや低いため、個々の患者の症状に合わせて調整が必要となります。

パロキセチン(パキシル)

パロキセチン(パキシル)は、広範な適応があり、うつ病やうつ状態のほか、パニック症や強迫性障害にも使用されることがあります。

パロキセチン(パキシル)

効果は他のSSRIよりも強いとされていますが、その反面、副作用や離脱症状が比較的強く現れることが懸念されます。通常、他のSSRIが効果的でない場合や症状が重篤な場合に、一種の「切り札」として使用されることがあります。ただし、使用する際には慎重に調整が必要であり、医師の指導のもとでの投与が重要です。

パロキセチン徐放錠(パキシルCR)

パロキセチン徐放錠(パキシルCR)は、通常のパロキセチンと比較して、ゆっくりと効果を発揮する特徴があります。

パロキセチン徐放錠(パキシルCR)

このタイプのパロキセチンは、副作用と効果のマイルドな面が強調されており、以前に通常のパロキセチンを使用して効果があったが副作用が気になっていた方に適しているとされます。徐放錠の特長は、一日一度の投与で効果が持続することであり、患者により一定の薬物濃度を維持することが期待されます。

フルボキサミン(ルボックスまたはデプロメール)

主に強迫性障害の治療に使われる薬で、うつ病や強迫性障害に適応があります。最近では、特に強迫性障害の治療において重要な選択肢となっています。

フルボキサミン(ルボックスまたはデプロメール)

この薬は他のSSRIとは異なり、独自の作用機序を持つことが特徴です。ただし、使用頻度はうつ病よりも強迫性障害において多いとされ、効果的な治療を提供することが期待されます。

SSRIの使い方の例

SSRIの実際の使い方に関して、安全性を優先する場合にはセルトラリンが選択されることが一般的です。エスシタロプラムは少量から始めることができ、効果の早さを優先する場合には選択肢となります。一方で、効果の強さを求める場合はエスシタロプラムやパロキセチンが検討されることがあります。また、他のSSRIと補助薬を併用する場合も考慮されます。

SSRIのまとめとして、これらの薬は脳内のセロトニンを増やすことでうつや不安を改善する抗うつ薬であり、効果は通常2~4週間で現れます。副作用には腹部症状やめまい、眠気などがありますが、これらは通常数日から数週間で改善される傾向があります。離脱症状は急な中止で現れやすいため、徐々に減薬することが推奨されます。SSRIには依存性がなく、ベンゾジアゼピン薬のような依存とは異なります。

SSRIの短所として、効果の実感が初期に難しく、効くまでに時間がかかり、また長期間の使用が必要な点が挙げられます。個々によって相性が異なるため、すべての患者に効くわけではありませんが、うつ病や不安障害においては、改善や再発予防の双方に有効であり、症状が安定してからもしばらく継続することが一般的です。

最後に、日本で利用可能な5種類のSSRIにはそれぞれ特徴があり、患者の症状や状況に応じて適切な薬を選ぶことが重要です。

SNRIはノルアドレナリン再取り込みを阻害する役割

ノルアドレナリンは、脳内で重要な神経伝達物質の一つであり、意欲や注意力に関与しています。SNRIは、セロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害することで、これらの神経伝達物質の量を増やす作用があります。セロトニンの再取り込み阻害による作用は、SSRIと共通しているため、ここではノルアドレナリンに焦点を当てて解説します。

ノルアドレナリンの再取り込み阻害薬は、「ノルアドレナリントランスポーター」が関与するメカニズムです。神経伝達物質(ノルアドレナリン)が神経細胞から放出され、次の神経細胞で情報を伝達します。その後、再取り込むためのトランスポーターが作用し、余分なノルアドレナリンを適正な量に戻します。

うつ病の状態では、細胞外・シナプス間隙のノルアドレナリンが慢性的に減少していると考えられ、これが意欲不振などの症状に影響しています。SNRIがノルアドレナリンの再取り込みを阻害すると、回収されないノルアドレナリンが増え、細胞外のノルアドレナリンが増加します。これによって、神経伝達物質のバランスが回復し、うつ症状や意欲の改善が期待されます。

SNRIは、セロトニンとノルアドレナリンの双方に作用するため、意欲低下が目立つ患者に適しています。この薬の特徴は、より広い範囲の神経伝達物質に影響を与えることで、症状に対して総合的な効果をもたらす点にあります。

SNRIの効果と副作用

SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)のアドレナリン再取り込み阻害薬効果は、主にセロトニンとノルアドレナリンの双方の増加に起因しています。

SNRIの効果

  1. セロトニン増加による効果
    • 落ち込み全般と不安の改善が期待されます。セロトニンの増加は、気分の安定や不安の軽減に効果があります。
  2. ノルアドレナリン増加による効果
    • 特に意欲ややる気の向上が期待されます。ノルアドレナリンはエネルギーの向上や注意力の増強に関与しており、これがうつ症状中の意欲不振に対する効果とされています。

SNRIの副作用

  • セロトニンおよびノルアドレナリン増加に伴う副作用
    • 吐き気やお腹の不調など、セロトニン増加に起因する副作用が現れます。
    • ノルアドレナリン増加により、尿閉、頭痛、頻脈などが報告されることがあります。

これらの副作用は、通常は初期に現れ、数日から数週間で慣れて改善されます。また、SNRIの離脱症状についても、SSRIと同様にセロトニン関連の症状が出現する可能性があります。離脱症状は急激な中止に伴って起こり、めまい、神経の過敏、吐き気、しびれ感などが挙げられます。これらの症状は中止から数日でピークに達し、数週間で改善される傾向がありますが、個人差が存在します。

総じて、SNRIはセロトニンとノルアドレナリンの両方に作用することから、広範な症状に対して効果を発揮しますが、それに伴って多様な副作用が現れる可能性があります。

日本で使用できるSNRIの3種類

日本で使えるSNRIはデュロキセチン(サインバルタ)、ベンラファキシン(イフェクサー)、ミルナシプラン(トレドミン)、この3種類になります。効果の出方などに関しては一部違いがありますので、見ていきたいと思います。

デュロキセチン(サインバルタ)

デュロキセチンは、SNRIの一つであり、主にセロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害することにより、抗うつ作用や意欲改善の効果が期待されます。総じて、デュロキセチンは意欲改善やうつ病の治療において効果が期待される一方で、副作用に対する注意が必要な薬剤です。

  • 使い方と効果
    • デュロキセチンは比較的シンプルな使い方で、20ミリから始め、徐々に増量して最大60ミリまで調整します。
    • 特に意欲改善に対して強い効果が期待されており、うつ病だけでなく、慢性疼痛症状(腰痛など)にも使用されることがあります。
  • 副作用に関する注意点
    • デュロキセチンの使用に際しては、副作用に比較的注意が必要です。一般的な副作用には、吐き気、頭痛、口渇、便秘、めまいなどが挙げられます。
    • 特に初期にこれらの副作用が現れることがありますが、通常は数日から数週間で慣れて改善することが期待されます。
  • 慢性疼痛への効果
    • デュロキセチンは、抗うつ薬としてだけでなく、慢性疼痛症状にも使用されるのが特徴の一つです。

ベンラファキシン(イフェクサー)

不安への効果と、高用量での強い意欲の効果を期待するSNRIになります。

  • ベンラファキシン(イフェクサー)
    • 効果と使い方
      • 不安への効果と、高用量での強い意欲の改善が期待されるSNRIです。
      • 37.5ミリから始め、徐々に増やしていき、最大では225ミリまで調整します。
      • 少量では不安への効果を、高用量では意欲への効果を主に見込みます。
    • 難点
      • ベンラファキシンは増量に時間がかかる傾向があり、効果の現れるまでには忍耐が必要です。

ミルナシプラン(トレドミン)

比較的少ない量で調整ができて、副作用の少なさを期待するという薬です。

  • ミルナシプラン(トレドミン)
    • 使い方と特徴
      • 比較的少ない量で調整ができ、副作用の少なさを期待するSNRIです。
      • 25ミリから始め、徐々に増やして最大100ミリ(1日2から3回)まで使用します。
      • 効果が弱いことが多く、使用頻度は少なめですが、高齢の方など副作用のリスクが高い場合に使われることがあります。

SNRIの使い方の例

早い効果を優先する場合、デュロキセチン(サインバルタ)を主に使います。 不安と意欲低下の合併時は、ベンラファキシン(イフェクサー)が選択肢です。また、高齢者等副作用の少なさ優先の場合ミルナシプラン(トレドミン)が選択肢となります。

  • デュロキセチン(サインバルタ)
    • 早い効果を優先する場合の主な選択肢となります。
    • 使用時には、効果が出るまでに数日かかることや、副作用が初期に出る可能性があることに理解を深めてもらうことが重要となります。
  • ベンラファキシン(イフェクサー)
    • 不安と意欲低下の合併時の選択肢となります。
    • ベンラファキシンは初期の副作用が比較的強く出ることがあるため、その点も説明します。
  • ミルナシプラン(トレドミン)
    • 高齢者等で副作用の少なさを優先する場合の選択肢となります。
    • 効果が弱い場合があるため、患者に期待値を説明し、状況に合わせて検討することが重要です。
  • まとめ
    • SNRIはセロトニンとノルアドレナリンの両方を増やし、うつ病の効果を見込む薬です。
    • 減薬時の注意や離脱症状や副作用の広さについての知識は重要で、これらの情報は患者に適切に伝えることが大切です。

うつ症状の睡眠薬や抗不安薬

うつ症状の睡眠薬

不安や不眠が強い場合の対策は睡眠薬や抗不安薬などを使います。 睡眠薬は大まかに3種類で依存がない睡眠薬とベンゾジアゼピン系睡眠薬と補助薬の選択となります。 依存がない睡眠薬は安全性があるためオレキシン拮抗薬の「レンボレキサント(デエビゴ)」「スボレキサント(ベルソムラ)」と「ラメルテオン(ロゼレム)」が選択となります。ただし、効果の弱さがあります。

そこで、ベンゾジアゼピン系睡眠薬 「ゾルピデム(マイスリー)」「ブロチゾラム(レンドルミン)」「ニトラゼパム(ベンザリン)」は効果は強く不眠に対するタイプも選択できますので使い分けが可能となります。 ただし、依存性のリスクがあるため、必要な期間に限定しての使用となります。

補助薬で検討するには、抗うつ薬の「トラゾドン」、抗精神病薬の「レボメプロマジン」、抗アレルギー薬の「ヒドロキシジン(抗アレルギー薬)」があり、 基本的に依存性が少なく量も調整可能です。 ただし、効果に相性があることと、眠気が残りやすい欠点がありますので、特性を理解して適切に使用する必要がありますす。全体的に、個別の状態や適応に基づいて薬物を選択し、注意深く管理することが強調されます。

状態
依存がない睡眠薬
  • レンボレキサント(デエビゴ)・スボレキサント(ベルソムラ)・ラメルテオン(ロゼレム)
    • 睡眠の質を向上させる効果は個人差がありますが、弱い傾向と日中の眠気が残りやすいといわれています。
    • レンボレキサントとスボレキサントはオレキシン拮抗薬であり、日中の活動においても他のベンゾジアゼピン系睡眠薬よりも優れた安全性が報告されています。
状態
ベンゾジアゼピン系睡眠薬
  • ゾルピデム(マイスリー)ブロチゾラム(レンドルミン)・ニトラゼパム(ベンザリン)
    • 依存性があるため、期間を決めての使用が推奨されています。患者に依存性や長期使用のリスクを説明することが大切です。
状態
補助薬
  • トラゾドン(抗うつ薬)・レボメプロマジン(抗精神病薬)・ヒドロキシジン(抗アレルギー薬)
    • 依存性が少なく、調整が可能なことが強調されています。ただし、相性により眠気が残りやすいとの指摘があります。
    • レボメプロマジンは、抗精神病薬の一種ですが、眠気を引き起こす作用があり、眠りを助けるために使われることがあります。これを抗不安薬として利用する場合もありますが、その特性を理解して適切に使用する必要があります。

うつ症状の抗不安薬

抗不安薬は即効性があり、不安を取り除く目的で使用され、特につらい場面の不安感を解消する頓服薬としての利用が増えています。ただし、依存には慎重である必要があります。
効果の短めの薬を定期的に使うなら1日に2〜3回程度の使用とします。 効果が長めの抗不安薬は、1日一回就寝前に服用することで「睡眠」と「日中の不安」に効果を期待できます。 どちらも効果は感じられますが、日中の眠気が現れる場合に量を減らすなどの調整に難儀することもあります。

まとめ として、うつ病は脳のセロトニン不足が関与する精神疾患で、主に用いる薬は次の3種類です。 抗うつ薬(SSRIまたはSNRIの主剤)に加え、睡眠薬や抗不安薬を使用します。

  • 睡眠薬
    • 依存がない睡眠薬
      レンボレキサント、スボレキサント、ラメルテオンは依存のリスクが低いとされています。ただし、効果の弱さと日中の眠気が課題であることが指摘されています。患者とのコミュニケーションで期待値を調整することが肝要です。
    • 一般のベンゾジアゼピン系睡眠薬
      ゾルピデム、ブロチゾラム、ニトラゼパムなどは効果が強く、不眠のタイプによって使い分けが可能です。ただし、依存のリスクがあるため、短期間の使用が原則です。
    • 補助薬
      トラゾドン、レボメプロマジン、ヒドロキシジンなどは依存性が少なく、調整が可能ですが、相性や眠気の残りやすさが注意点です。
  • 抗不安薬
    • 即効性と依存に注意
      抗不安薬は即効性があり、不安を取る目的で使用されますが、依存には慎重である必要があります。頓服薬としての使用が増えていることが指摘されています。
    • 効果の長めの抗不安薬
      1日一回寝る前に使用することで、睡眠と日中の不安に効果が期待されます。ただし、微調整が難しく、日中の眠気に対処するためには量を調整する必要があります。
  • まとめ
    • うつ病治療の薬物アプローチ
      抗うつ薬、睡眠薬、抗不安薬を組み合わせて治療することが一般的です。そのうえで、認知行動療法など精神療法と組み合わせることが必要となります。患者との十分なコミュニケーションと共有意識が治療の要となります。

不安障害群のパニック症の薬剤

不安障害群にも抗うつ薬の第一選択SSRIを使いますが、今回は不安障害群の中のパニック障害に使う薬剤 について見ていきます。

パニック障害は、うつ病と同様で「セロトニン」の不足が関与してるとされているため、セロトニンを増やす「抗うつ薬SSRI」を使用します。 パニック障害は、発作の予防と不安の改善が目的ですので、抗うつ薬SSRIと「抗不安薬」を使います。 SSRI効果と副作用は、うつ症状に使用した時と同じように、SSRIの効果が出るまでは2~4週間かかり、薬の量は徐々に増減することが必要です。 また、飲み始めて数日に吐き気など副作用が出ることがあり、時間の経過とともに慣れていきます。 また、急な服用の中止や飲み忘れが続くと離脱症状が出ることがあります。 パニック障害に使うSSRIセルトラリン(ジェイゾロフト)ですが、パロキセチン(パキシル)を使うことがあります。また、対人不安なども合併している患者にはエスシタロプラム(レクサプロ)を使うこともあります。総じて、個別のニーズに基づいて治療計画が策定されることを強調します。

  • SSRIの使用
    • メカニズムと効果
      SSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)は、セロトニンの再取り込みを阻害することで、脳内のセロトニン濃度を増やす作用があります。これにより、パニック障害において不安や発作の改善が期待されます。
    • 主な使用薬
      セルトラリン(ジェイゾロフト)、パロキセチン(パキシル)、エスシタロプラム(レクサプロ)などが主に使用されます。それぞれの選択は患者の症状によるものであり、離脱症状に関しても注意を必要とします。
    • 治療期間と調整
      SSRIの効果は通常2~4週間かかるため、患者とのコミュニケーションが欠かせません。薬の量は慎重に調整され、初期の副作用や離脱症状についても患者に説明し、適切な管理が求められます。
  • 適応
    • パニック障害への効果
      抗うつ薬SSRIは、パニック障害において「発作の予防」と「不安の改善」の双方に効果を発揮することが期待されます。これはセロトニンの増加が神経伝達に影響を与え、症状の緩和につながるためです。
    • 選択薬の個別差
      患者の症状や身体状態により、セルトラリン(ジェイゾロフト)よりも適したSSRIがある場合もあります。医師との相談を通じて最適な薬物療法が選択されるべきです。
  • 離脱症状への注意
    • 離脱症状の管理
      特にパロキセチンは離脱症状に注意が必要である旨が指摘されています。医師の指示に従い、急激な中止ではなく徐々に減薬することが重要です。

抗不安薬 は主に発作時の頓服

即効性の抗不安薬は、その状況での不安を取る薬になりますので、15〜30分ほどで効果が見込める「発作時の効果の短い頓服」が基本となります。 ただし、「依存」のリスクがあるため、不安の状況下だけの服用で使い過ぎには注意が必要となります。 もし、発作の頻度が高い場合は、「効果が長い抗不安薬」を就寝前や定期的に使用するのも選択肢です。 抗不安薬は、「ロラゼパム(ワイパックス)」、「ブロマゼパム(レキソタン)」、「クロチアゼパム(リーゼ)」を症状に合わせて使用します。
一方で漢方薬は、症状が比較的軽めの時や副作用の安全性を何よりも重視したい時には選択肢になります。

まとめとして、パニック障害に使う薬は、SSRIを主剤の第一選択とする抗うつ薬、発作時の頓服薬として抗不安薬、症状が軽く安心できる漢方薬になります。

症状
抗不安薬の使い方
  • 頓服の利用
    抗不安薬の即効性として、頓服が強調されています。効果が15〜30分で現れ、特に発作時の使用が重要です。ただし、依存リスクがあるため、使い過ぎには慎重であるべきです。
  • 頓服の目的
    頓服は効果が短いものを使用し、調子が悪い時だけ使う方針が提案されています。また、頻度が高い場合には効果が長い抗不安薬の定期的な使用も検討されます。
症状
主に使う抗不安薬
  • 具体的な薬物
    ロラゼパム、ブロマゼパム、クロチアゼパムの使用が挙げられます。これらは発作時の対応に用いられます。
症状
漢方薬の利用
  • 選択基準
    漢方薬の使用は軽症の時や抗うつ薬の副作用が強い場合、または安全性を重視する場合に適しているとされています。その際、効果はゆっくりかつ弱いものの、副作用がほぼ目立たないとされています。
症状
まとめ
  • 治療方針
    パニック障害の治療において、抗うつ薬、抗不安薬、漢方薬を組み合わせ、土台を作りつつ脱感作を進めることが重要とされています。これにより、複合的なアプローチで症状の改善を目指すことが提案されています。

NaSSAの作用機序を持った抗うつ薬と3種の比較は2ページ目をご覧ください。

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