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対人関係が苦手と感じたら、発達障害の自閉スペクトラム症も疑うべき

目次

自閉スペクトラム症の7通りの型と特徴

自閉スペクトラム症の特性はスペクトラムが表すように、虹のように境界線や範囲が明確ではなく、特性にグラデーションや強弱があって、年齢や社会活動、置かれる状況によっても変化するために明確に分けられるものではありません。このために、スペクトラム症の分類や型に分けるのは困難ですが、特性に特徴がある7通りの型を示します。この特徴には、注意欠如・多動症、学習症、発達性協調運動症、チック症・トゥレット症、常同運動症、知的発達症、コミュニケーション症群のいずれかの特性が含まれている型もあります。

独立型ASDの一般的な特徴

独立型ASDの一般的な特徴
  • 社会的距離: 独立型のASDは、他人との社会的な接触や相互作用を避ける傾向があります。孤立した状態を好み、他人との交流を求めない傾向があります。
  • 独自の興味や活動: 独立型のASDは、自分の興味や活動に熱中し、それに没頭することがあります。これは特定のトピック、活動、または物事に焦点を合わせることを指します。没頭する特定のトピックについて深く学び、専門知識を持っています。
  • ルーティンの重視: 日常生活の中でルーティンや予測可能性を重視し、変化や予期せぬ出来事に対する不安を感じます。特定の行動パターンや環境の変化に敏感であり、それが安定感や快適さに影響を与えることになります。
  • コミュニケーションの課題: 独立型のASDは、非言語的なコミュニケーションや社会的な相互作用に苦労することがあります。感情や意図を理解するのが難しく、適切なコミュニケーションの方法を身につけるのに苦労します。
  • 感覚処理の違い: 光、音、触覚などの感覚刺激に対する過敏症や過少症が見られることがあります。感覚の違いが行動や快適さに影響を与えています。

大仰型ASDの一般的な特徴

大仰型ASDの一般的な特徴
  • 言動の過剰性: 大仰型ASDは、感情や興味を表現する際に非常に大げさな言動を示します。例えば、喜びや興奮、怒りや悲しみなどを表現する際に、通常よりも大きな声や身振り手振りを使うことがあります。
  • 興味の拡大: 特定の興味やトピックに対して、通常よりも強い興味を示しますが、興味の対象は広範囲にわたる可能性があります。例えば、特定のテレビ番組や映画、音楽、漫画、その他の特定のトピックなどになります。
  • 自己主張の強さ: 大仰型ASDは、自分の考えや感情を強く主張する傾向があります。自分の意見や興味を他人に伝えるのに積極的であり、自分の独自の視点や価値観を持っています。
  • 社交的な過剰性: 一部の大仰型ASDは、他人との社交的な相互作用において過剰な行動を示すことがあります。これは、会話や交流において適切な距離やマナーを守らないこと、または相手の個人的な空間やプライバシーを侵害することなどにあたります。
  • 感覚的な過剰性: 光、音、触覚などの感覚刺激に対して過剰な反応を示すことがあります。これは、騒がしい環境や刺激的な場面での過敏性が現れます。

受動型ASDの一般的な特徴

受動型ASDの一般的な特徴
  • 社会的な回避: 受動型ASDは、他人との社会的な相互作用を回避する傾向があります。例えば、他人とのコミュニケーションや交流を避け、孤立した状態を好むようなことです。これは、対人関係やグループ活動への関与が少ないことを意味します。
  • コミュニケーションの不活性: 受動型ASDは、自分からコミュニケーションを始めることが少なく、他人との会話や交流に積極的に関与しない傾向があります。自身の感情や意見を表現することが難しく、他人とのコミュニケーションに消極的な態度を示します。
  • 興味の制限: 受動型ASDは、限られた範囲の興味や関心を持つ傾向があります。興味の対象は狭く、特定のトピックや活動に熱中することがありますが、それ以外の領域にはあまり関心を示しません。
  • 感覚過敏または過少: 受動型ASDは、感覚刺激に対して過敏または過少な反応を示すことがあります。一部の人は、騒がしい環境や刺激的な場面に過敏に反応し、不快感やストレスを感じることがある一方で、他の人は感覚過少により、外部刺激に対する注意が不足していることがあります。
  • ルーティンと予測可能性の重視: 受動型ASDは、日常生活の中でルーティンや予測可能性を重視します。変化や不確実性に対して不安を感じる傾向があり、安定性や予測可能性を求めます。

尊大型のASDの一般的な特徴

尊大型のASDの一般的な特徴
  • 傲慢な態度: 尊大型ASDは、他人との関係において傲慢な態度を示すことがあります。これは、自己中心的であり、他人の意見や感情にあまり関心を示さない傾向があります。また、自分の能力や知識を過大評価し、他人よりも優れていると考えています。
  • 自己中心的なコミュニケーション: 尊大型ASDは、コミュニケーションにおいて自己中心的な態度を示すと同時に、自分の話題や興味に集中し、他人の意見や話題にはあまり関心を示しません。また、会話や交流において支配的な態度を取ることがあります。
  • 優越感: 尊大型ASDは、自分が他人よりも優れているという優越感を持っていて、自分の能力や知識を過大評価し、他人に対して高慢な態度を取ることや他人を見下す傾向があります。
  • 社会的な問題: 尊大型ASDは、他人との適切なコミュニケーションや相互作用に苦労し、友人関係や親密な関係を築くことが難しいため、社会的な相互作用において問題を抱えています。
  • 感覚的な過敏: 光、音、触覚などの感覚刺激に対して過敏な反応を示すことがあり、外部刺激に対する過敏性が行動や快適さに影響を与える可能性があります。

運動型ASDの一般的な特徴

運動型ASDの一般的な特徴
  • 運動の不器用さ: 運動型ASDは、一般的な発達の子供と比較して、運動技能の発達が遅れていることがあります。具体的には、手先の器用さや筋力、身体の協調性などが不足していることがあります。
  • 身体的な不調和: 運動型ASDは、身体的な動きや姿勢に不自然さや不調和を示すことがあります。例えば、歩行や走行時の不安定さ、手の動きのぎこちなさ、身体のバランスの取りにくさなどが挙げられます。
  • 運動パターンの反復: 一部の運動型ASDは、特定の運動パターンを繰り返す傾向があります。これは、手の動きや身体の動き、あるいは特定の身体的な行動を反復することを指します。この反復行動は、日常生活や活動において顕著に現れることがあります。
  • 運動の興味: 運動型ASDは、特定の運動活動や身体的なアクティビティに強い興味を持っています。例えば、特定のスポーツや運動、または身体的なアクティビティに熱中することがあります。
  • 感覚運動の調節困難: 運動型ASDは、感覚運動の調節に問題を抱えることがあります。具体的には、身体の位置や動きの把握、身体感覚の過敏症や過少症、運動の調整能力の低下などが見られることがあります。

感覚処理型ASDの一般的な特徴

感覚処理型ASDの一般的な特徴
  • 感覚過敏: 感覚過敏型ASDは、外部の刺激に対して過敏な反応を示します。例えば、騒音、明るい光、特定の触覚刺激などに対して非常に敏感に反応することがあります。この過敏症は、日常生活での刺激的な環境に適応するのが難しくなります。
  • 感覚過少: 感覚過少型ASDは、外部の刺激に対して過少な反応を示します。例えば、痛みや温度、触覚刺激などに対して感覚過少な反応を示すことがあります。これにより、外部刺激を適切に感知するのが難しくなる場合があります。
  • 感覚統合の困難: 感覚統合型ASDは、複数の感覚刺激を効果的に処理し、統合するのが難しい場合があります。例えば、音と視覚、または触覚と運動の刺激を同時に処理するのが困難であり、この感覚統合の困難は、日常生活での活動や社会的な相互作用に影響を与えます。
  • ルーティンと予測可能性の重視: 感覚処理型ASDは、日常生活の中でルーティンや予測可能性を重視する傾向があります。感覚的な過敏症や過少症を避けるために、予測可能な環境やルーティンを求めます。
  • 行動パターンの反復: 感覚処理型ASDは、特定の感覚刺激に対する反復的な行動パターンを示すことがあります。例えば、特定の音や触覚刺激に対する反復的な身体的な動きや行動を示すようなことです。

言語運用型ASDの一般的な特徴

言語運用型ASDの一般的な特徴
  • 言語遅延: 言語運用型ASDは、一般的な発達の子供と比較して、言語の習得に遅れが見られます。初期の発話や言葉の獲得が遅れ、言語の発達が遅くなることが特徴です。
  • 言語の理解の困難: 言語運用型ASDは、言語を理解するのに困難を抱えていて、他人の話している内容や指示を理解するのが難しく、言語的な情報を適切に処理することができない場合があります。
  • 社会的コミュニケーションの課題: 言語運用型ASDは、社会的なコミュニケーションに関する困難を抱えていて、適切な言語の使用やコミュニケーションスキルの欠如により、他人との対人関係や交流が難しくなることがあります。
  • 言語の利用の制限: 言語運用型ASDは、言語を限定的に使用する傾向があり、特定の興味や関心に焦点を合わせ、そのトピックに関する言葉を多く使用することがあります。また、他人とのコミュニケーションにおいても、限られた言語の用法や表現を使用することがあります。
  • 非言語的コミュニケーションの偏り: 言語運用型ASDは、非言語的なコミュニケーションに偏りを示すことがあり、身振りや表情、視線などの非言語的な手段を使用せずに、言葉だけでコミュニケーションを行う傾向があります。

一般的なASDの特徴や特性

自閉スペクトラム症 (ASD) の特性は多様であり、それぞれの個人において独自の組み合わせや強弱が現れます。さらに、ASDの分類や型に関する研究や理解が進むにつれて、新たな特性や分類が示されていくと思います。次は、一般的なASDの特性のいくつかですが、他にも様々なタイプや特性が存在する可能性があります。

  • 社会的コミュニケーションの困難
    • ASDの特徴として、他者との社会的な相互作用やコミュニケーションに困難を抱えることが挙げられます。これには、表情やジェスチャーの理解や使用、適切な会話の展開、他者の感情や意図の理解などです。
  • 興味・関心の狭窄
    • ASDは、特定の興味や関心を持つ傾向があります。これは、特定のトピックや活動に強い関心を持ち、それに集中することが特徴的です。興味が狭窄されている場合、他の興味や関心を持つことが難しい場合があります。
  • ルーチンや予測可能性の重視
    • ASDは、ルーチンを大切にします。また、予測の困難があり、予期せぬ変化や環境の変化に対する適応が難しい場合があります。
  • 感覚過敏や感覚過少
    • 感覚処理の特性は、ASDにとって重要な側面です。感覚過敏や感覚過少が現れ、特定の刺激に対して過剰反応や過小反応を示すことがあります。
  • 言語の発達や理解の遅れ
    • 一部のASDは、言語の発達や理解に遅れを示すことがあります。これには、遅い発語や他者の言語の理解に困難を抱えることがあります。
  • 身体動作の制御の困難
    • 一部のASDは、身体の動作の制御に困難を抱えることがあります。これには、身体的な不器用さや運動の調整困難があります。
  • 想像力や創造性の豊かさ
    • 一部のASDの人々は、豊かな想像力や創造性を持っています。独自の視点やアイデアを持ち、独創的な表現を示すことがあります。
  • 感情の規則性や安定性の欠如
    • 一部のASDは、感情の規則性や安定性に欠如を示すことがあります。感情の表現や理解が難しい場合があります。
  • 利他的な関心や行動の欠如
    • 一部のASDは、他者への関心や利他的な行動に欠如を示すことがあります。他者の感情やニーズに共感することが難しい場合があります。
  • リーダーシップの欠如
    • 一部のASDの人々は、リーダーシップの特性を持つ場合があります。独自の視点やスキルを活かし、リーダーシップの役割を果たすことがあります。

これらは、ASDの特性の一般的な例ですが、個々にはそれぞれ異なる特徴や特性が存在することを考慮する必要があります。

標準精神医学第8版:尾崎紀夫・三村將・水野雅文・村井俊哉/医学書院
成重竜一郎:多動性障害(注意欠如/多動性障害ADHD)・精神科治療学
金生由紀子、浅井逸郎:チックのための包括的行動介入セラピストガイド/丸善出版
次良丸睦子、五十嵐一枝:発達障害の臨床心理学/北大路書房
柴崎光世、橋本優花里:神経心理学/朝倉書店
村上宣寛:IQってなんだ・知能をめぐる神話と真実/日経BP社
DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル 高橋三郎・大野裕監修/医学書院

RAADS-14-Screen is an abridged version of Ritvo Autism and Asperger Diagnostic Scale-Revised (RAADS-R). Cite: Eriksson JM, Andersen MJ, Bejerot S. RAADS-14 Screen: validity of a screening tool for Autism Spectrum Disorder in an adult psychiatric population. Molecular Autism 2013

岩波明 :うつと発達障害 青春出版社 2019.

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