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抜毛症と皮膚むしり症

目次

抜毛症(抜毛壁)と皮膚むしり症の概念、疫学、症状、ケース例、治療

抜毛症と皮膚むしり症の精神疾患は、元来は、他のどこにも分類されない衝動制御の障害に分類され、行為直前、または抵抗時の緊張感の高まり、行為中の快感、満足、開放感が中核的にあると捉えられていました。しかし、現在は「緊張し意識を集中させる」だけではなく、習慣性の様相が強い「無意識に自動的に生じる」があることから、緊張感の高まりや満足感、開放感が伴わないことも示されています。
このことから、「捉われ」の認知的プロセスの関与は少ないとされ、衝動制御障害との併存はなく、強迫スペクトラム障害と密接な関連性から強迫症および関連症群に移行されています。
似たような病気では、皮膚ひっかき症や爪かみ症があります。

メカニズム

  • 自己治療
    痛みや刺激を与えることによって、緊張を緩和する自己治療を行っています。初期は緊張緩和の効果を感じて回数が増えていきますが、回数を重ねると徐々に効果が弱まってきます。
  • 強迫症状
    強迫的に行動を繰り返さずにはいられない強迫観念に襲われてきて、強迫行為を行うことになります。
  • 無意識の習慣
    強迫行為が慢性化してくると、無意識の習慣になってしまいます。

抜毛症(TTM)の概要

抜毛症は、自己苦痛や機能的障害を引き起こす程度に髪を引き抜くことによって特徴づけられる精神障害の一種です。抜毛症は、局所的な髪の引き抜きを伴うもの(局所性抜毛症)と、全身的な髪の引き抜きを伴うもの(全身性抜毛症)の2つのタイプがあります。局所性抜毛症は、主に頭皮やまつ毛、眉毛などの限定的な部位に現れます。一方、全身性抜毛症は、全身の毛髪を引き抜くことによって特徴づけられます。

抜毛症は、精神的なストレス、不安、うつ病、トラウマ、ある種の神経学的状態などに関連していることがあります。抜毛症は、成人期あるいは思春期における一般人口の12カ月有病率は1〜2%とされていて、性別は1:10と圧倒的に女性に多く見られます。

TTMの臨床症状

抜毛症の主な臨床症状は、特定の部位から髪の毛を引き抜くことによって生じる脱毛です。次に詳細を示します。

局所性抜毛症

局所性抜毛症の最も一般的な形態は、頭皮の限定的な領域から髪を引き抜くことによって生じる円形脱毛症です。この状態では、網状の脱毛部位が見られることがあります。また、まつ毛、眉毛、髭など、他の部位の毛髪を引き抜くこともあります。

全身性抜毛症

全身性抜毛症の症状は、頭髪だけでなく、体全体の毛髪の脱落によって特徴付けられます。これには、眉毛、髭、腋毛、体毛、陰毛などが含まれます。

抜毛症による脱毛は、通常、毛穴が開いたままになります。また、一度に多くの毛髪を引き抜いたり、継続的に引き抜いたりすることによって、頭皮に炎症が起こることがあり、多くは頭皮にかゆみ、痛み、炎症が生じています。

ICD-11の抜毛症の診断基準

ICD-11(国際疾病分類第11版)では、抜毛症は「トリコティロマニア」として分類されています。トリコティロマニアは、反復的な髪や毛の引き抜きを特徴とする、強迫性障害の一種です。

  1. 髪の引き抜きを繰り返す強い衝動があること。
  2. 引き抜く行為によって、毛髪が局所的な脱毛や毛根の損傷を引き起こしていること。
  3. 引き抜く行為が、社会的、職業的、またはその他の日常生活上の重要な機能に支障をきたすか、または苦痛を引き起こすこと。
  4. その行為が、他の条件によって説明されるわけではないこと。

この診断基準により、トリコティロマニアの診断を行うためには、髪の引き抜きの行為が反復的かつ強い衝動によって支配されていることが必要です。また、この行為が機能的な障害や苦痛を引き起こしており、その原因が他の病気や状態ではないことが必要です。

専門の精神医療専門家がトリコティロマニアを診断する際には、患者の症状や状況について詳しく聞き取りを行い、必要に応じて身体検査などを行うことがあります。治療には、認知行動療法や薬物療法などの方法が用いられる場合があります。

抜毛症の架空のケース例

【ケース1】
高校2年生の女性、夏休み中にボブカットにしたところ、ふとしたきっかけで髪の毛を触ってから、自分でも気づかないうちに抜き始めてしまいました。最初は数本程度だったのが、次第に癖になり、ついには一度に20本以上も抜いてしまうようになりました。鏡を見るのも怖くなり、外出するのも嫌になってしまい、友人とも距離を置くようになりました。家族には相談できずに一人で悩んでいました。
【解説】
このように、髪の毛を抜く癖がついてしまった場合、その癖が強くなると自制することができなくなるため、抜毛症に陥ることがあります。

【ケース2】
25歳の男性、仕事のストレスから抜毛症になりました。最初は髪の毛を引っ張る癖があり、そのうちに頭皮が傷ついて薄くなったことに気づきました。それでも癖を直そうとせず、ストレスが増すにつれ、髪の毛を抜く回数が増えました。やがて、完全に禿げ上がり、周囲の人々から避けられるようになりました。彼は社交的であったのに、今では自分から人と話をすることができず、孤独に暮らしています。
【解説】
このように、ストレスなどの精神的な問題から抜毛症が発生することがあります。抜毛症は、周囲の人々から避けられたり、孤独になることで、生活に深刻な影響を与えることがあります。

皮膚むしり症(ED)の症状・診断

皮膚むしり症の主な臨床症状は、以下のようなものが挙げられます。

  • 無意識に皮膚を引っ張ったり、引っかいたりする習慣
  • 傷口を広げたり、深く掘り込んだりすることで、皮膚に傷や瘢痕が残る
  • 頻繁に皮膚を触っていることに気づかず、他人に注意されるまで止められない
  • 皮膚を引っ張っている間に快感や安心感を感じることがある
  • 皮膚むしり症をやめられないことによるストレスや不安を感じることがある

これらの症状は、個人によって異なり、重症度にも差があります。いずれも思春期あるいはそれ以降に発症することが多く、慢性的な疾患であるため慢性的に続き症状の消長が繰り返されます。

ICD-11において、皮膚むしり症の診断基準は以下のようになっています。

ICD-11(国際疾病分類第11版)においては、皮膚むしり症(ED)は「皮膚摘発障害」として分類されています。皮膚摘発障害は、皮膚の表面から異物を取り除くために、反復的な摘発行為が行われる精神疾患です。

ICD-11における皮膚摘発障害の診断基準は次の通りです

  • A. 皮膚を引っ張り、掻きむしったり、擦ったり、引っ掻いたり、振動を与えたりすることによって、自己傷害が引き起こされる。傷は、顔や頭皮、口唇、手、腕、足、脚などの1つ以上の部位に存在する。
  • B. 摘発行為は、非生理的な苦痛、、または機能的な障害を引き起こし、社会的、職業的、またはその他の重要な領域で問題を引き起こす。
  • C. 他の心理社会的障害、薬物使用障害、または医学的状態によって説明されるものでない。
  • D. 症状が軽度であるか、または短期的である場合は、適応障害として分類する。
  1. 皮膚を引っ張り、掻きむしったり、擦ったり、引っ掻いたり、振動を与えたりすることによって、自己傷害が引き起こされる。傷は、顔や頭皮、口唇、手、腕、足、脚などの1つ以上の部位に存在する。
  2. 現象は、非生理的な苦痛、、または機能的な障害を引き起こし、社会的、職業的、またはその他の重要な領域で問題を引き起こす。
  3. 他の心理社会的障害、薬物使用障害、または医学的状態によって説明されるものでない。

この診断基準により、皮膚摘発障害の診断には、反復的な皮膚摘発行為が必要であり、この行為によって皮膚に損傷が生じ、社会的、職業的、またはその他の日常生活上の機能障害や苦痛があることが必要です。また、この行為が他の病気や状態によって説明できないことが必要です。

専門の精神医療専門家が皮膚摘発障害を診断する際には、患者の症状や状況について詳しく聞き取りを行い、必要に応じて身体検査や検査を行うことがあります。治療には、認知行動療法や薬物療法などの方法が用いられる場合があります。

EDの架空ケース例

【架空ケース例1】
高校生のAさんは、ストレスがたまると、自分の腕や足の皮膚をむしり始める癖がありました。数年前に父親を事故で亡くし、その悲しみから抜け出せず、毎日がつらいと感じていました。彼女は皮膚を傷つけることで、感情を解消しようとしていました。しかし、皮膚をむしりすぎて、痛みが強くなり、感染症を引き起こすこともありました。
【解説】
Aさんの場合、ストレス解消法を身につけることが大切でした。自分の感情を認識するためにカウンセリングを受け、自己肯定感を高め、ストレス解消のための新しい技術を学ぶことが大切です。病的な皮膚むしりは、ストレスや不安と関連しており、治療の目的は、このようなストレス要因を除去することです。

【架空ケース例2 】
Bさんは、肌に何かがいるように感じ、痒いと思い、皮膚を引っ張っては、小さな傷を作る癖がありました。しかし、それは止まらなくなり、次第に皮膚を深く傷つけてしまい、血まみれになってしまいました。彼女はこの病気に苦しんでいましたが、自分の家族にも話すことができず人生を送っていました。

【架空ケース例3】
Cさんは、長年にわたり皮膚むしり症に悩んでいた。仕事中でも、家にいるときでも、常に手がかりとなる何かを探していた。小さなニキビやざらつきがあると、ついついその部分を掻き毟ってしまい、指先が血まみれになってもやめられなかった。最近は、特にストレスがたまると、顔中を掻き毟り、炎症や傷跡が残るようになってしまった。Cさんはもともと几帳面で、いつも緊張している性格でした。ある日、傷のかさぶたを剥がすと気持ちが楽になるのを覚えたのがきっかけでした。Cさんはこの症状によって、社交的な場面やデートの約束などを避けるようになってしまった。

治療方法

標準治療方法はありませんが、「併存症の治療」「セルフモニタリング」「暴露妨害法」「ストレスマネジメント」の方法の中で組み合わせていきます。

  • 併存症の治療
    うつ病や強迫性症の場合は、抗うつ薬を使います。
  • セルフモニタリング
    無意識の習慣にならないように、行う前と行っている時の状態、意識を観察したうえで、行う前に止めるように意識していきます。
  • 暴露反応妨害
    抗うつ薬などと合わせて、行うことを敢えてやらないことを繰り返し、不安に馴らしていきます。並行して手を別な意味で動かす「代替行動」を取り入れていきます。
  • ストレスマネジメント
    要因としてストレスや体調不良などもあります。緊張などの場合はリラックスできる方法を対策として取り入れていきます。

治療法には、次のようなものがあります。

  • 認知行動療法(CBT)
    この治療法は、抜毛症の行動的、感情的、および認知的側面を扱います。患者は、自分の行動を監視し、トリガーを特定し、代替行動を学びます。心理教育が重要となり、自己評価や感情の管理方法を学びます。
  • 習慣逆転法(HRT)
    習慣逆転法はチック症の治療として開発されています。
    • 意識化練習
    • 拮抗反応の学習:衝動が高まった際に抜毛や皮膚むしりを阻害する安全な代替行動を行います。
    • リラクゼーション
  • マインドフルネス瞑想
    この技法は、患者が自分の感情や思考に気づくことを促し、自己認識を高めることによって、ストレスや不安を軽減します。
  • 応用行動分析学
    この治療法は、抜毛症や皮膚むしり症の行動を変更するためのツールや戦略を提供します。患者は、自分自身の行動を見直し、健康的な代替行動を見つけることができます。
  • サポートグループ
    患者は、同じ状況にある他の人たちと共感し、情報交換をすることで、ストレスを軽減することができます。
  • 行動療法
    皮膚むしり症によって損傷を受けた皮膚の治療を含む、生活習慣改善、皮膚ケアの改善、傷を治すための措置など、具体的な治療を行うことも有効です。
  • 薬物療法
    選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)や、非定型抗精神病薬などが用いられますが、有効性は十分に確認されていません。

治療は、患者が治療の必要性を認識し、積極的に治療に参加することが重要です。また、家族や友人からのサポートや理解も治療において非常に重要です。

エリアス・アブジャウデとロリン・M・コーラン編集「衝動調節障害」2010年/ケンブリッジ大学出版局

「衝動調節障害:行動依存症の理解と治療のための臨床医のガイド」、ジョンE.グラントとマークN.ポテンザ2018年/W.W.ノートン&カンパニー

Eric HollanderとDan J. Steinが編集「Handbook of Impulsive and Compulsive Disorder」2010年/John Wiley & Sons

ハーヴェイ・B・ミルクマンとケネス・W・ワンバーグが編集「衝動調節障害」2007年/アメリカ心理学会

ナンシーM.ペトリーが編集「行動中毒:DSM-5以降」2016年/オックスフォード大学出版局

ブライアン・P・マコーミック著、2009年/ProQuest「行動の知覚と調節に対する実行機能と動機づけの自己規律の相乗的貢献の神経心理学」

尾崎紀夫・三村將・水野雅文・村井俊哉:標準精神医学第8版/医学書院

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