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ギャンブル症・ギャンブル依存症の知識

目次

非物質関連障害群のギャンブル症(ギャンブル障害)の概要と臨床、治療法の知識

  • Aさんはパチンコが好きで、毎週末にパチンコ店に通っています。最初は小遣い程度でしたが、次第にお金を借りてパチンコに使うようになりました。今では、Aさんに借金があり、パチンコで負けたお金を取り戻そうとしています。家族との関係も悪化しており、仕事もうまくいっていません。
  • Bさんは、オンラインカジノにハマっています。最初は楽しくて小遣い程度でしたが、次第に大金をかけるようになりました。Bさんは、オンラインカジノに負けたお金を取り戻そうとして、さらにお金をかけるようになりました。今では、家賃や光熱費が払えなくなってしまい、借金をしています。
  • Cさんは、大学生の頃からパチンコにはまっており、授業をサボってもパチンコ店に通うほどでした。卒業後もパチンコを続けており、仕事を辞めることになりました。家族からの説得も聞かず、借金を作ってまでパチンコに没頭しています。
  • Dさんは、カジノが合法化された後、友人と一緒にカジノに通うようになりました。最初は楽しく過ごしていたものの、次第に負けが続き、お金を借りてはカジノに行くようになっていました。仕事も辞めてしまい、家族からの支援を受けて生活しています。
  • Eさんは、スポーツくじにはまっており、毎日のようにくじを買っていました。当たったこともあるため、ますますはまってしまい、やがて借金を抱えるようになってしまいました。周りからの支援を受けつつ、病院での治療も受けています。

ギャンブル症(ギャンブル障害)の概要と臨床

ギャンブル障害は、異常なギャンブル行動によって社会的、職業的、または個人的機能に重大な障害を引き起こす疾患です。主な特徴は、制御不能なギャンブル行動に関連する心理的苦痛と、ギャンブルに関連する人生の重要な領域での機能不全です。
ギャンブル障害の診断には、長期間にわたるギャンブル行動の継続と増加、行動を制御できないという自覚、および生活の他の領域に影響を与えます。また、精神的苦痛、脱力感、または焦燥感が生じることもあります。

ギャンブル障害は、一般的に男性に多く、若年層から中年層にかけて発症することが多いとされています。ギャンブル障害の原因は複雑で、遺伝的要因、生物学的要因、環境要因などが考えられています。例えば、過去に精神疾患の既往がある場合、ギャンブル障害にかかるリスクが高くなることが報告されています。

治療法は、認知行動療法、行動療法、薬物療法などがあります。認知行動療法は、ギャンブル行動に対する無駄な思考や信念を変え、有益な行動を促すことを目的としています。行動療法は、健全な行動を強化することで、ギャンブル行動を置き換えることを目的としています。また、薬物療法は、オピエート遮断薬や抗うつ薬、抗てんかん薬などが使用されます。
ギャンブル障害は、治療を受けなければ長期的な障害を引き起こす可能性がありますので、治療を受けることで回復を望むこともできます。

ICD-11における非物質関連障害群の一つである「ギャンブル障害」は、ギャンブルに関連した問題行動のことを指しています。ギャンブルは、お金をかけることで得られる可能性のある報酬によって刺激を得るため、中毒性の高い行動の一つとされています。

ICD-11では、ギャンブル障害は以下のように定義されています。

「ギャンブルのパターンによって引き起こされる、継続的な問題行動であり、個人の社会的、職業的、身体的または精神的健康に重大な影響を与える」。
つまり、ギャンブルに関連する問題行動が継続的に発生し、個人の日常生活に深刻な影響を与える場合にギャンブル障害が診断されます。

具体的には、以下のようなギャンブル障害の症状が見られます。
  • ギャンブルに費やす時間が増え、制御が効かなくなる
  • ギャンブルに費やす金額が増え、財政的な問題を引き起こす
  • ギャンブルに関連する感情的な問題、例えば興奮や緊張、不安、絶望などが増加する
  • ギャンブルによって社会的な関係や職業的な関係が悪化する

これらの症状が継続している場合、ギャンブル障害の可能性が高くなります。ギャンブル障害は、治療の必要がある状態であり、専門家の支援を受けることが望ましいとされます。

ギャンブル障害は、様々な種類のギャンブルに関連している可能性があり、一般的に、ギャンブルとは、お金をかけて何らかのリスクを取る行為を指します。次に、一般的なギャンブルの種類をいくつか挙げてみます。

  • カジノゲーム
    ポーカー、ブラックジャック、ルーレットなど、カジノで提供されるゲーム➡賭け金として現金やチップを使用します。
  • スポーツ賭博
    スポーツの試合の結果に対して賭けをする行為➡プロスポーツや大学スポーツなど、さまざまな種類があります。
  • 宝くじ
    当選番号を予想し、宝くじの購入代金によって賞金が決まるギャンブルの一種。
  • 競馬・競艇・オートレースなどの公営ギャンブル
    レースの結果に対して賭けをする公営ギャンブル➡日本では、競馬や競艇、オートレースなどがあります。
  • パチンコやかけマージャンなど
    パチンコやかけマージャンを含むギャンブルにおいても、個人の行動が問題となるレベルに達している場合には、ギャンブル障害の可能性が高くなります。

これらの種類のギャンブルには、それぞれ独自のルールや賭け方があります。ギャンブル障害は、これらのギャンブルに関連して発生する可能性がありますが、症状自体は、ギャンブルの種類に依存するものではありません。ギャンブル障害の診断には、問題行動が継続的で、個人の生活に重大な影響を与えることが必要となります。

ICD-11のギャンブル症の診断基準

ICD-11のギャンブル障害の診断基準は以下のとおりです。

  1. 継続的なギャンブル行為の重複や頻度に関する強い欲求を示す。
  2. ギャンブルに従事するために必要な金額を増やすために、より多くのお金を賭ける傾向がある。
  3. ギャンブルを減らすかやめることに失敗する傾向がある。
  4. ギャンブルを通じて、家族、友人、職場、または学校といった重要な社会的関係を損なうことがある。
  5. ギャンブルに関する嘘をついたり、負けたことを隠したりする傾向がある。
  6. ギャンブルによって、個人の社会的、職業的、またはその他の重要な機能が損なわれることがある。
  7. ギャンブル行為によって生じた苦痛や苦悩が、他の心理疾患の原因でないことが示される。

以上の基準のうち、2つ以上を満たす場合に、ギャンブル障害の診断が考慮されます。また、この病態の重症度は、軽度、中等度、重度に分類されます。

ICD-11において、ギャンブル障害の重症度は次のように分類されます。

  • 軽度
    ギャンブル行為に関する問題が、軽度の影響しかなく、患者自身や周囲の人々の日常生活に大きな影響を与えていない場合
    • ギャンブル行為を制御するための努力が必要であるが、大部分の社会的、職業的、またはその他の機能に影響を与えていない場合。
  • 中等度
    ギャンブル行為に関する問題が、中等度の影響を与えており、患者自身や周囲の人々の日常生活に一定の影響を与えている場合
    • 一部の社会的、職業的、またはその他の機能が損なわれている可能性がある。
  • 重度
    ギャンブル行為に関する問題が、重度の影響を与えており、患者自身や周囲の人々の日常生活に深刻な影響を与えている場合
    • 重要な社会的、職業的、またはその他の機能が損なわれている可能性が高く、治療が必要である可能性が高い。

これらの分類は、患者のギャンブル行動による機能障害の程度を反映しています。ただし、患者の症状や状態によっては、重症度の変化が起こることがあります。

ギャンブル症の疫学

ギャンブル障害の疫学については、国や地域によって異なるため一概には言えませんが、次に代表的なデータを挙げてみます。

年間有病率は一般人口の0.2〜0.3%で、生涯有病率は0.4〜1.0%とされています。男性は0.6%で女性は0.2%です。ギャンブル障害の多くは青年期または成人期に現われますが、中高年であっても発現します。
厚生労働省による調査によると、日本の成人の約4.8%が、ギャンブル依存症の診断基準を満たす可能性があると報告されています。この調査でも、男性の方が女性よりもギャンブル依存症の有病率が高いという結果が得られています。
アメリカの国立精神衛生研究所(NIMH)によると、アメリカ合衆国の成人の約0.2〜0.3%が、ギャンブル障害に苦しんでいると推定されています。また、NIMHでも、男性の方が女性よりもギャンブル障害にかかる割合が高い傾向があり、年齢層については、一般的に若年層がリスクが高いとされています。例えば、アメリカのNIMHによると、若年層(18〜29歳)が、ギャンブル障害にかかる割合が高い傾向があります。

ただし、これらの数字はあくまでも推定値であり、国や地域によって定義や測定方法が異なるため、比較が困難であるという点に注意する必要があります。

ギャンブル症の要因

ギャンブル障害は、複数の要因が絡み合って発症すると考えられています。次に代表的な要因をいくつか挙げてみます。

  • 生物学的要因
    遺伝的要因が関与する可能性があります。双生児研究では、一卵性双生児では一方がギャンブル依存症である場合、もう一方が同様の症状を示す確率が高いことが示唆されています。
  • 心理社会的要因
    ストレスやトラウマ、人間関係の問題などのストレス要因が、ギャンブル障害の発症に影響すると考えられています。また、ギャンブルによる刺激や興奮が、精神的な報酬として働き、繰り返し行うようになるという心理的なメカニズムも注目されています。
  • 環境的要因
    社会的な環境、家庭環境、友人や同僚のギャンブルの影響などがギャンブル障害の発症に影響する可能性があります。
  • 脳科学的要因
    脳内の神経伝達物質に関連する要因も注目されています。例えば、ドーパミンなどの神経伝達物質の異常が、ギャンブル障害の発症に関与するという説もあります。

以上のように、ギャンブル障害は複数の要因が絡み合って発症することが考えられています。ただし、これらの要因は個人差があり、必ずしも全ての人に当てはまるわけではありません。二卵性双生児と一卵性双生児の遺伝結果については、一卵性双生児の方がギャンブル依存症の有病率が高く、遺伝的要因が関与する可能性があるとされています。ただし、遺伝的要因は環境的要因と相互作用することが多いため、環境の影響が重要視されています。

精神障害や物質使用障害との共病と併存

ギャンブル障害は、他の精神障害や物質使用障害との共病率が高く、様々な障害と併存することがあります。

反社会性パーソナリティ障害との共病率が高いとされており、犯罪や不法行為に関与する傾向があるという報告もあります。また、抑うつ障害や双極性障害などの気分障害との関連性も示唆されています。うつ病や双極性障害の人は、ギャンブル行動によって感情を調整しようとすることがあり、それが問題となることがあります。

また、アルコールやドラッグなどの物質使用障害との共病率も高いことが知られています。ギャンブルと同様に、アルコールやドラッグの使用によって、脳の報酬系が刺激され、依存症が引き起こされることがあります。

これらのことから、ギャンブル障害を診断する際には、他の精神障害や物質使用障害との共存を確認する必要があります。また、複数の障害を同時に治療することが必要となる場合があります。

薬剤療法

ギャンブル障害の治療には、薬剤療法が使用されることがあります。ただし、現在までに確立された明確な効果的な薬剤療法は存在しておらず、治療効果については限定的な報告です。

次に、ギャンブル障害に対する薬剤療法の代表的なものをいくつか挙げてみます。

セレトニン再取り込み阻害薬(SSRI)

うつ病や強迫性障害の治療に使用される抗うつ薬の一種であり、ギャンブル障害の治療にも使用されます。SSRIは、脳内のセロトニンという神経伝達物質の再取り込みを阻害し、神経活動を調整することで、ギャンブル行動の抑制に効果があるとされています。

オピオイド受容体拮抗薬

オピオイド受容体拮抗薬は、オピオイド受容体に結合して神経伝達を抑制する薬剤です。ギャンブル行動に関わる神経伝達物質であるドーパミンの放出を抑制することで、ギャンブル行動の減少につながるとされています。

抗てんかん薬

抗てんかん薬は、てんかん発作を抑制する薬剤ですが、ギャンブル障害に対する効果も報告されています。脳の興奮を抑制する作用があるため、ギャンブル行動を抑制することができると考えられています。

精神安定剤  

精神安定剤は、気分障害や不安障害の治療に使用される薬剤で、ギャンブル障害に対する効果も報告されています。脳内の神経伝達物質のバランスを調整することで、ギャンブル行動の抑制に効果があるとされています。

これらの薬剤療法は、個々の症状や病態に応じて、医師が適切な治療法を選択する必要があります。

認知行動療法

薬物療法以外にも認知行動療法、回復プログラム、支援グループ、精神療法、家族療法などの心理的アプローチも効果的です。

認知行動療法は、自分自身の考えや感情に対する自覚を高め、それに基づいて自己制御や調整の方法を学びます。回復プログラムや支援グループは、同じ問題を抱えた人々との交流を通じて相談や助言を得たり、自分が抱える問題について話し合ったりすることで、回復のプロセスを促進することができます。精神療法は、ギャンブル障害と関連する心理的問題を取り扱います。家族療法は、家族や関係者の支援を受けながら、問題を克服するための手段を見つけることを目的としています。

ギャンブル障害の治療は、薬物療法と心理的アプローチを併用することが効果的とされています。治療の方法は、個人の症状や状況に応じて選択されます。

認知行動療法(認知行動療法:CBT)は、ギャンブル障害をはじめとするさまざまな精神疾患の治療に広く用いられている心理療法の一つです。この治療法は、思考と行動のパターンを変えることで、問題を改善することを目的としています。

認知行動療法の主な内容は、次の通りです。

  • 認知療法
    ギャンブルに関連する誤った思考パターンを特定し、それを修正することでギャンブル依存症に対する見方や考え方を改善することを目指します。
  • 行動療法
    ギャンブル依存症を引き起こす行動パターンを特定し、それを変えることでギャンブルへの衝動を抑えることができます。
  • 応用練習
    習慣化された問題行動に対する新しい行動パターンを学ぶための練習を提供します。
  • ストレス管理
    ストレスや不安がギャンブル依存症を引き起こすことがあるため、ストレス管理技術を習得することが重要です。
  • リラクゼーション技法
    深呼吸やプログレッシブ・マッスル・リラクセーションなどのリラクゼーション技法を学び、身体的な緊張を軽減することができます。
  • 問題解決技法
    ギャンブル依存症に対する問題解決技法を習得することで、問題を解決するためのスキルを身につけることができます。

以上のような認知行動療法の療法内容は、ギャンブル依存症の患者に合わせてカスタマイズされ、個人の状況に応じたアプローチが行われます。

ギャンブル依存症治療センター

ギャンブル障害を含む物質障害の治療のための施設があります。アルコールやドラッグの依存症を扱う施設には、リハビリテーションセンター、アルコール・薬物乱用治療施設、自助グループ(アルコホーリクス・アノニマス、ナルコティクス・アノニマスなど)、カウンセリングセンター、精神科病院などがあります。

ギャンブル障害の治療に特化した施設もあり、これらの施設は一般的に「ギャンブル依存症治療センター」と呼ばれます。これらの施設では、認知行動療法や家族療法などの心理療法、薬物療法、リハビリテーションなどが提供されます。また、自助グループであるギャンブラーズ・アノニマスもあります。

これらの施設は、専門の医療従事者によって運営されており、患者の治療にあたっては個別のプランが立てられます。治療期間は患者の状態や治療の進行度合いに応じて異なりますが、数ヶ月から1年以上に及ぶ場合があります。

「ギャンブル障害の臨床と治療―「病気」として理解するために」山中 康裕、東京大学出版会、2018年

「ギャンブル障害を知る―情報ハンドブック」中西 大介、金剛出版、2017年

「ギャンブル障害―未来への希望を求めて」Linda Chamberlain、丸善出版、2013年

「ギャンブル障害」ジョン・E・グラント、マーク・N・ポテンザ、アメリカ精神医学会出版、2019年

「ICD-11 精神・行動障害:臨床記述と診断ガイドライン」世界保健機関、世界保健機関、2018年

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