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双極性障害(躁うつ病)の診断エピソードと8分類の型

目次

双極性の分類は軽躁病双極Ⅰ型障害双極Ⅱ型障害気分循環性障害、特定不能の双極性障害混合性急速交代型の8通りとなります。図とエピソードで解説しています。

私たちは誰にでも気分の波はごく普通にあり、朝の目覚めたときの気分次第で行動が変わることもあります。また、良いことがあったときは楽しく幸せな気持ちであり、嫌なことがあったときは悲しく落ち込んでしまうというような気分の浮き沈みがあります。
しかし、周囲から見て「いつもと違い、行き過ぎた状態」だと思われたり、ハイテンションで迷惑や信用を失うような行動が起きる場合は正常ではありません。
この普段と違う明るさや暗さが急に出てしばらく続くようであれば、双極性障害を疑うことも必要です。この病気は本人よりも周囲の方が気づくことが多いのも事実です。

双極性障害とは(状態・発症年齢・有病率・他の障害との合併)

双極性障害は、気分障害の一種で、過剰な高揚感と深刻なうつ病の症状が交互に現れる疾患です。双極性障害は、躁状態、うつ状態、混合状態、または症状が軽度の場合もあります。

躁状態は、高揚感、興奮、活力、自信過剰、睡眠不要、過剰な社交性、危険な行動などを特徴とします。一方、うつ状態は、悲しみ、無力感、絶望感、不眠、食欲不振、疲れや倦怠感、自分自身への否定的な感情などを特徴とします。

混合状態は、躁状態とうつ状態の症状が混合されることがあり、同時に高揚感と不安、混乱、憤慨、イライラなどが現れる場合があります。

躁状態は、普段の気分の波を超えて自分ではコントロールできない行き過ぎる言動、眠らなくても平気でアイデアも湧いくるのだが集中はできてはいない、浪費や性的逸脱行動にも走るような躁状態が一定期間現れます。そして、真逆のうつ状態は抑うつ気分で強い罪責感、無価値観、絶望感、悲哀などに襲われ、何も楽しいとは思えず体の調子も悪くなり疲れやすく、生きるのが辛くなるような状態が一定期間続きます。双極性障害は、このような躁状態とうつ状態を繰り返す病気です。ただし、平常の寛解期には特に症状は現れません。
以前は、双極性障害を「躁うつ病」と呼ばれていたためうつ病の種類だと誤解されがちですが、異なる病気として分類されており遺伝的要素が高く治療薬も治療方法もうつ病とは異なります。しかし、うつ病の中にも相反する躁的因子を有するものがあるということに注目されています。

躁状態として気分の高揚、開放的・易怒的、活力や活動性の増加、睡眠欲求の減少などが少なくとも4日程度(軽躁)または1週間以上ほぼ毎日、1日の大半続きます。また、うつ状態として抑うつ気分・気分の低下、活力や活動性の減退などがほとんど毎日、2週間の間(双極Ⅰ型は躁の存在は必須ではない)、または2週間以上に存在します。

発症年齢
双極性障害は20歳以前が多く10歳以下でも稀ではありません。また、20代、30代も多数発症していますが、総合的には25歳以前が主であると言われています。ただし、割合は少なくなりますが、40代以上、高齢者にも発症します。

生涯有病率
生涯有病率の統計は幅広く、海外の中央値はⅠ型1%前後、Ⅱ型1〜5%です。
日本は海外より遅れていて双極性障害をうつ病と診断されたままの方もいるとも言われ、世界精神保健/日本の調査では双極性障害Ⅰ型・Ⅱ型ともに12カ月有病率は1%、生涯有病率はⅠ型0.4%、Ⅱ型は0.1%との統計もありますが、一般的には約0.7〜1%と言われていて男女差は統計にはありません。肥満を有する人は50%以上でⅡ型糖尿病の合併も10%と報告されています。

合併症
欧米のデータをもとにすると、不安障害である社会不安障害、パニック障害、強迫性障害、PTSDに加えアルコールなどの物質使用障害は高い値を示します。また、パーソナリティ障害や摂食障害も多いとされています。

双極性障害は躁状態とうつ状態が交代で起こりますが、どちらが先に始まるか、それぞれの期間はどのくらいか、強さ、病症内容などのエピソードは人により様々です。
躁病エピソードの診断基準をDSM-5統計マニュアルで見てみます。

躁病の診断基準
 A. 気分が異常かつ持続的に高揚し、開放的または易怒的になる。加えて異常かつ持続的に亢進した活動または活力がある。このように普段とは異なる期間が少なくとも1週間、ほぼ毎日、1日の大半において持続する(入院治療が必要な場合はいかなる期間でもよい)。
気分がよくなり周りからも陽気に捉えられ、進んで他者にも話し掛け、外見的にも派手になります。この高揚と開放的言動が認められないと易怒的になる可能性があります。
 B. 気分が障害され、活動または活力が亢進した期間中、以下の症状のうち3つ(またはそれ以上)(気分が易怒性のみの場合は4つ)が優位の差を持つほどに示され、普段の行動とは明らかに異なった変化を象徴している。
 下記の7項目の中で3項目が当てはまり、持続することが診断上必要になります。また、高揚や開放的な気分より易怒性が中心的な場合は下記の4項目が当てはまることが診断基準となります。
 ⑴自尊心の肥大、または誇大
自己肯定感が高まり誇大思考が過ぎると行き過ぎてしまい、誇大妄想につながることもある。
 ⑵睡眠欲求の減少
3時間眠っただけでも十分な休息が取れ休まっていると感じる。
 ⑶普段より多弁であるか、しゃべり続けようとする切迫感
早口で声も大きくなり、重要ではないことも次々と浮かび周りから遮ることもできないくらいになる。
 ⑷観念奔逸、またはいくつもの考えがせめぎ合っているといった主観的な体験
考えが一度にいくつも浮かび、プロセスとは関係なく話す内容も変化していく。
 ⑸注意散漫が報告される、または観察される
注意しなければならないことも関係のない外的刺激に反応し、気が散り集中できない。
 ⑹目標志向性の活動の増加、または精神運動焦燥
社会的、職場または学校内、宗教的な目的を持った行動面が多くなることや、貧乏揺すりや足踏み、手を揺するなど精神運動性焦燥を起こす
 ⑺困った結果につながる可能性が高い活動に熱中すること
制御の利かない浪費、無意味な投資、性的逸脱など社会的にも生活的にも好ましくない結果につながることに熱中する。
 C. この気分の障害は、社会的または職業的機能に著しい障害を引き起こしている、あるいは自分自身または他人に害を及ぼすことを防ぐため入院が必要であるほど重篤である、または精神病性の特徴を伴う。
これらの症状が本来自分の持っている社会的や職業的機能に悪影響を与え、精神病性の特徴として幻覚や妄想がある症状は入院が必要となる。
DSM-5精神疾患の診断。統計マニュアル医学書院に簡易説明加筆

うつ病の診断基準の詳しい内容はこちら↓

双極性障害の分類

軽躁病
基本症状と症状項目は抑うつ診断基準のエピソードと同じですが、軽躁病は躁病ほど極端ではない状態です。平常時と違う明確なエピソードの期間も4日以内で社会的能力はあり、社会的や職業的機能障害を起こしてなく入院も必要ない状態です。
自身では睡眠が少なくても活発に活動でき、苦痛は感じられずいつもより良好な状態であると認識しています。しかし、知り合いからはいつも通りでないことは気づかれてしまう状態です。 

躁病エピソード
軽躁エピソード
  • 幻想や妄想が時には生じる
  • 社会的機能を大きく損なう
  • 時には入院を必要とする
  • エピソードが長い
  • 観念奔逸を生じる
  • 制御の利かない活動をして深刻になる
  • 幻想や妄想は生じない
  • 能力が改善されたり対人関係が活性化される
  • 入院は必要ない
  • エピソードは短い
  • 時には観念奔逸を生じる
  • 可能性はあるが 深刻には至らない

双極Ⅰ型障害
少なくとも1回、または複数回の明白な社会的および職業的機能を破綻させるような躁病エピソードに加え、多くは複数回の抑うつエピソードの存在(うつエピソードは必須条件ではない)により定義されます。

双極Ⅱ型障害
少なくとも1回、または複数回のうつエピソードに加え、少なくても1回の軽躁病エピソードの存在により定義されます。

気分循環性障害
複数の軽躁病エピソードに加え、抑うつエピソードの診断基準に至らない抑うつ症状を示す期間が2年以上あることが定義となります。

特定不能の双極性障害
明らかに双極性障害に準じた特徴はあるが、軽躁、Ⅰ型、Ⅱ型、循環性で現れる障害の具体的な診断を満たさない症状です。

混合性の特徴を伴う基準
躁状態からうつ状態へ、あるいはうつ状態から躁状態へ移り変わる双極性障害の経過中に躁エピソードと抑うつエピソードが入り混じって出現する場合を混合性と呼びます。一般的には躁の状態は「興奮」で気分は高揚し、思考は激しく、行動は活発になります。うつ状態は「減弱」で気分は沈み、思考は停滞し、行動は停止します。しかし、混合性の場合は三要素が同じ方向を示さないという事です。例えば気分はうつなのに、考えや行動は躁の状態になっているようなことです。
精神活動の「気分」「思考」「行動」の3種に2極の「減弱」「興奮」を想定すると2³で8通りとなります。

状態気分思考行動
興奮興奮興奮
うつ減弱減弱減弱
躁うつ混合状態

気分は落ち込み不安であるのに、思考は次から次へと浮かんできて、じっとしていられない行動の状態は図のようになります。
「気分は減弱」「思考は興奮」「行動は興奮」
この状態は精神障害の中で最も自殺率が高くなります。

抑うつエピソードより混合性躁病・軽躁病エピソードより混合性
抑うつエピソードの基準を完全に満たし、現在のまたは直近の抑うつエピソードの期間の大半において、以下の躁、軽躁症状のうち少なくても3つ以上が存在する。躁病または軽躁病エピソードの基準を完全に満たし、現在または直近の、躁病または軽躁病エピソードにおいて、以下の症状のうち少なくとも3つ以上が存在する。
⑴高揚した開放的な気分
⑵自尊心の肥大または誇大
⑶普段より多弁であるか、しゃべり続けようとする心拍
⑷観念奔逸またはいくつもの考えが競い合っているという主観的体験
⑸気力または目標志向性の活動の増加
⑹困った結果につながる可能性が高い活動に熱中すること
⑺睡眠欲求の減少
⑴その人自身の言葉か、他者の観察によって示される、顕著な不快気分または抑うつ気分
⑵すべて、またはほとんどすべての活動における興味または喜びの著しい減退
⑶ほぼ毎日の精神運動性の制止
⑷易疲労感または気力の減退
⑸無価値観または過剰であるか不適切な罪責感
⑹死についての反復思考、特別な計画はないが反復的な自殺念慮、または自殺企図または自殺するための特別の計画
混合性症状は他者によって観察可能で、その人の通常の行動から変化を起こしている。混合性症状は他者によって観察可能で、その人の通常の行動から変化を起こしている。
混合性の特性:DSM-5精神疾患の診断、マニュアルより

急速交代型(ラピッドサイクラー)
うつ病相、軽躁病相、躁病相、混合性のいずれかが、1年に4回以上現れ繰り返します。急速交代型は難治性で自殺率も高くなります。
原因の一つとして、抗うつ薬使用、甲状腺機能の低下、物質使用障害の合併を伴いやすい点などを挙げています。

DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル:高橋三郎、大野裕(監訳)/医学書院

標準精神医学第8版:尾崎紀夫・三村將・水野雅文・村井俊哉/医学書院

双極性障害 病態の理解から治療戦略まで:加藤忠史/医学書院

精神科治療学Vol.36 特集 双極性障害を極める:松尾幸治ほか/星和書店
双極性障害の診断・治療と気分安定薬の作用機序:寺尾岳・和田明彦/新興医学出版社

日本うつ病学会 https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/iinkai/katsudou/soukyoku.html

日本うつ病学会治療ガイドラインhttps://www.secretariat.ne.jp/jsmd/iinkai/katsudou/data/guideline_sokyoku2020.pdf


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