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無目的な運動の反復を行う常同運動症

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発達症に併発する常同運動症は無意味な行動の反復を繰り返し、重度では自傷の危険性もあります。また、言葉の常同言語症や情動姿勢症の特性も反復です。

常同運動症(SMD)の概念

無目的な同じ運動や行動を繰り返す状態です。これが言葉の反復であれば常同言語症で同じ姿勢の反復であれば常同姿勢症となります。幼児期の常同行動は珍しいものではなく、「不満や不快感の欲求を訴えている」「不安や刺激の遮断などで精神的な安定を求めている」「興味や刺激を求めている」などの理由で常同行動を起こしていることがあります。ただし通常は、成長していくにつれ行動が少なくなっていきます。
常同運動症の軽度や中等度では、うなずく、頭を振る、口の開閉、歯ぎしり、掌の開閉、手を揉む、指の曲げ伸ばし、腕を振る、腕の上げ下げ、身体を叩く、爪を噛む、指をしゃぶる、足を揺する、身体をうねらす、立つ座る、うろうろする、身体の回転、ドアの開閉などをします。特に重度な運動や行動の常同運動症の場合には、頭を打ち付けたり、身体や唇や手を嚙むなどで自傷につながったり、指で目を突いてしまい失明の恐れもあります。
常同行動は人により特性があり、パターンが様々で複数の組み合わせまであります。また、時間の間隔も数秒から数十分、一日に数回起きるものから月に何度かなど様々ですが、欲求や刺激、不安などが影響していることもあり、特に発達症の発達性協調運動症、注意欠如・多動症、チック症、学習症の人に多いとされています。

常同運動症の診断基準:DSM-5とICD-11の診断基準

DSM-5の診断基準

  1. 反復し、駆り立てられるように見え、かつ外見上無目的な運動行動(例:手を震わせるまたは振って合図をする、身体を揺する、頭を打ち付ける、自分の身体を嚙む、自分の身体を叩く)
  2. この反復性の運動行動によって、社会的、学業的、または他の活動が阻害され、自傷を起こすこともある。
  3. 発症は発達期早期である。
  4. この反復性の運動行動は、物質や神経疾患の生理学的作用によるものではなく、他の神経発達症や精神疾患(例:抜毛症、強迫症)ではうまく説明されない。

現在の重症度を特定する

軽度症状は、感覚的な刺激や気晴らしによって容易に抑制される。
中等度症状は、明確な保護的手段や行動の修正を要する。
重度重大な自傷を防ぐために、持続的な監視と保護手段が必要となる。

文献:「DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル」医学書院

ICD-11(国際疾病分類第11版)では、常同運動症(Stereotypeic Movement Disorder、略称SMD)は、神経発達障害の一種として分類されます。以下は、ICD-11におけるSMDの診断基準の詳細です。

ICD-11の診断基準

  1. 常同的な運動のパターンが現れること。
  2. その常同運動が、日常生活の様々な活動において不適切であるか、またはその活動を妨げること。
  3. その常同運動が、他の精神障害、神経学的な障害、薬物の使用、薬剤中毒、またはその他の物質の使用によるものではないこと。
  4. その常同運動が、少なくとも4週間以上継続していること。

ICD-11におけるSMDの診断基準では、常同的な運動のパターンが現れることが必要です。また、その常同運動が日常生活の様々な活動において不適切であるか、またはその活動を妨げることが必要です。診断にあたっては、他の精神障害、神経学的な障害、薬物の使用、薬剤中毒、またはその他の物質の使用によるものではないことを確認する必要があります。さらに、その常同運動が少なくとも4週間以上継続していることが必要です。

SMDは、通常、幼児期に発症し、自己刺激的な行動や繰り返し行動を示すことがあります。例えば、頭を振る、体を揺らす、指を吸うなどがあります。SMDの原因は不明であり、神経発達障害の一つと考えられています。治療法は確立されていませんが、行動療法や薬物療法が一部の患者に有効であるとされています。

常同運動障害の治療法

  • 薬物療法
    ドーパミンの量を調整する薬物療法が一般的に使用されます。ドパミン作動薬や抗精神病薬などが使用されることがあります。
  • 行動療法
    症状を引き起こすストレスや不安を減らすためのリラクゼーションやストレス管理技術、または深呼吸などの呼吸法が行われます。
  • 物理療法
    常同運動障害によって身体的な症状が生じた場合には、物理療法が行われることがあります。ストレッチング、マッサージ、温熱療法、電気療法などが使用されます。
  • 心理療法
    心理療法では症状を引き起こす原因を特定し、その原因に対する対処法を学びます。また、自己認識や自己肯定感の向上など、精神的な側面にも対応します。

治療法は、患者の症状や状況に合わせて個別に決定されます。

発達障害(NRD)のまとめ「8つの障害/症群」

神経発達症群(発達障害)は幼児期には症状が軽度であったため診断されずに、成人期に社会参加することで症状が顕著になることがあり、また人間関係の問題が精神的ストレスを強く感じたことで症状が増悪し現れることもあります。時には自分で気づかなくても周りの人に指摘されて自覚することもあります。
神経発達症群は遺伝要因を主とした発達の段階で生じる障害の分類であり、以下には主要な8つの知的発達症、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、限局学習症、発達協調運動症、常同運動症、チック症群の発達症害の概要を示します。

  • 自閉症スペクトラム障害(ASD)
    社会的相互作用の障害、コミュニケーションの障害、反復的な行動パターンや興味関心の制限などが特徴の発達障害です。(以前は広汎性発達障害のグループ概念で下位分類は自閉症・アスペルガー症候群・レット症候群・小児期破壊性障害などとしていた)
  • 知的能力障害(ID)
    生まれつきまたは幼少期に獲得された原因により、知的機能(認知、理解、思考、判断能力など)の発達に遅れがある状態を指します。知能指数(IQ)が70以下であることが一般的に定義されています。さらに、概念的、社会的、実用的領域で日常生活において適応が困難である状態かに注目します。
  • 注意欠如・多動障害(ADHD)
    注意欠陥、過活動、衝動性の3つの症状を持つ状態を指します。注意力や衝動抑制の障害が主な特徴となる神経発達障害の一種です。主な症状としては、注意散漫、集中力の低下、衝動的な行動、多動性などがあります。
  • 限局性学習障害(SLD)
    読み書き・計算・表現力など、特定の学習領域において習得・発達に障害がある状態を指します。この障害は、一般的な知的能力や教育的な機会に問題がないにもかかわらず、ある特定の学習領域において著しい困難を抱えることが特徴です。
  • 発達協調運動障害(DCD)
    幼児期や学齢期において、基本的な運動能力や身体的な協調性が発達遅延や障害を示す状態を指します。具体的には、手や足の使い方の不器用さや、運動の制御や調整がうまくいかないなどがあります。これにより、スポーツや運動競技、書字、日常生活での動作などに苦労することがあります。
  • 常同運動障害(SMD)
    外見上は無目的な運動(手を振る、噛む、身体を揺する、頭突き、爪噛み、指しゃぶりなど)を反復し、社会的、学業的活動が阻害されるような、特定の動作を繰り返し行う癖のようなことが特徴的な状態を指します。
  • コミュニケーション症群(CD)
    コミュニケーションの遅れ、言葉の理解・使用の障害、発音障害などが特徴的な状態を指します。言語、話し方、聴覚のうち、一つまたは複数の機能が障害されている状態を指します。具体的には、発語や理解、言語表現、声の質や量、話し方のリズムや速度、聴覚処理などが問題となります。
  • チック症群(TD)(TS)
    突発的な筋肉の痙攣や無意識的な癖のような動作(チック)を引き起こす疾患群のことです。神経系の発達異常により、繰り返し発生する不随意運動(チック)や、それに伴う発声チックが主な特徴の神経発達障害です。チックは、目をまばたきしたり、首を振ったり、肩をすくめたりする動作や、咳き込んだり、喉を鳴らすような発声などがあります。

大人の発達症群は、人間関係のトラブル、職場でのトラブル、疲労感、過敏性など、様々な生きづらさがあります。また、自己肯定感が低くなったり、自尊心が傷ついたりすることもあります。二次障害としてうつ病、不安症群、強迫性障害など、他の精神疾患との合併することが多いとされています。

大人の発達症群には、以下のような特性があります
  • 社交的な場での不器用さや、コミュニケーションの困難さ
  • 日常生活の細かいルーティンが必要であること
  • 一つのことに集中するため、他のことに気が回らないこと
  • 細かい観察力や、特定の分野での興味が深いこと
  • 変化に敏感で、新しいことに適応しにくいこと

標準精神医学第8版:尾崎紀夫・三村將・水野雅文・村井俊哉/医学書院
成重竜一郎:多動性障害(注意欠如/多動性障害ADHD)・精神科治療学
金生由紀子、浅井逸郎:チックのための包括的行動介入セラピストガイド/丸善出版
次良丸睦子、五十嵐一枝:発達障害の臨床心理学/北大路書房
柴崎光世、橋本優花里:神経心理学/朝倉書店
村上宣寛:IQってなんだ・知能をめぐる神話と真実/日経BP社
DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル 高橋三郎・大野裕監修/医学書院

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